IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イシダの特許一覧

<>
  • 特許-物品移載装置 図1
  • 特許-物品移載装置 図2
  • 特許-物品移載装置 図3
  • 特許-物品移載装置 図4
  • 特許-物品移載装置 図5
  • 特許-物品移載装置 図6
  • 特許-物品移載装置 図7
  • 特許-物品移載装置 図8A
  • 特許-物品移載装置 図8B
  • 特許-物品移載装置 図8C
  • 特許-物品移載装置 図8D
  • 特許-物品移載装置 図8E
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】物品移載装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/91 20060101AFI20220520BHJP
   B65B 35/18 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
B65G47/91 A
B65B35/18
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017120772
(22)【出願日】2017-06-20
(65)【公開番号】P2019006515
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮民
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-074470(JP,A)
【文献】特開2017-095282(JP,A)
【文献】特開2014-108492(JP,A)
【文献】特開2013-208699(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0360137(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/91
B65B 35/18
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームと、
前記ロボットアームに装着された第1把持部および第2把持部と、
前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、搬送されてくる複数の物品を移載位置に移すとき、先に前記第1把持部で物品を把持させ、次に前記物品の後から搬送されてくる物品を前記第2把持部で把持させ、その後、前記移載位置の上方に前記物品を移動させ、
前記第1把持部は、物品の搬送方向の第1地点において物品を把持し、
前記第2把持部は、前記第1地点よりも前記搬送方向の上流側となる第2地点において物品を把持
前記第1把持部と前記第2把持部とは、物品の搬送面を含む基準平面と前記第1把持部および前記第2把持部それぞれとの最短距離が異なるように配置されている、
物品移載装置。
【請求項2】
前記ロボットアームに装着された第3把持部をさらに備え、
前記制御部は、前記第2把持部が把持した前記物品の後から搬送されてくる物品を前記第3把持部で把持してから、前記移載位置の上方に前記物品を移動させる、
請求項1に記載の物品移載装置。
【請求項3】
前記各把持部には吸着機構が設けられており、
前記各把持部は、物品の搬送速度に合わせて動きながら吸着によって前記物品を把持する、
請求項1または請求項2に記載の物品移載装置。
【請求項4】
前記ロボットアームは、
前記第1把持部および前記第2把持部を移動させる可動部と、
物品の搬送方向の延長線上に位置して前記可動部を支持する支持部と、
を有し、
前記移載位置は、前記ロボットアームの前記支持部を挟んで前記支持部の両側に設定されている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の物品移載装置。
【請求項5】
前記移載位置にはコンテナが配置され、
前記コンテナのうち前記搬送方向の下流側に位置する端部が前記ロボットアームの前記支持部に隣接する、
請求項4に記載の物品移載装置。
【請求項6】
前記基準平面と前記第1把持部および前記第2把持部それぞれとの最短距離が異なるように段差が設けられている
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の物品移載装置。
【請求項7】
前記基準平面と前記第1把持部との最短距離は、前記基準平面と前記第2把持部との最短距離よりも長い、
請求項6に記載の物品移載装置。
【請求項8】
物品の厚みが前記段差の高さよりも低い場合において、
前記第1把持部および前記第2把持部それぞれに把持される物品を互いに厚み方向に一部重なるように把持する、
請求項6に記載の物品移載装置。
【請求項9】
搬送されてくる物品が所定位置を通過したことを検知する搬入検知センサをさらに備え、
前記制御部は、前記搬入検知センサの検知信号に基づき、前記第1把持部および前記第2把持部それぞれが物品を把持するタイミングを計る、
請求項6に記載の物品移載装置。
【請求項10】
物品が前記第1把持部に把持される位置から第1所定距離はなれた位置に到達したことを検知する第1検知センサと、
物品が前記第2把持部に把持される位置から第2所定距離はなれた位置に到達したことを検知する第2検知センサと、
をさらに備える、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の物品移載装置。
【請求項11】
前記制御部は、搬送される物品の種類ごとに、物品の搬送速度、及び前記ロボットアームのパラメータを予め設定するアイテム予約部を有する、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の物品移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁当や惣菜等の物品を配送用コンテナに詰め込む物品移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアで販売される弁当や惣菜等は、パックセンター等で製造され、それが配送センターに持ち込まれ、店舗別に仕分けられて配送される。
【0003】
一方、パックセンターでは、製造した弁当等を短時間に処理するため、容器への食材の盛り付けが完了すると、番重と言われる運搬容器(以下、この容器をコンテナという。)に詰めて配送センターに移送する。
【0004】
そのため、パックセンターでは、流れ作業的に容器に食材を盛り付ける盛り付けラインと、それに続くコンテナ詰め込みラインとが設けられ、それぞれに複数の作業者が配置される。
【0005】
しかし、こうしたパックセンターでは、弁当等の製造が早朝や深夜に行われるため、日々の作業者の確保が難しいという問題がある。そのため、例えば、特許文献1(特許第3602817号公報)に代表されるような「食品盛り付けロボット」や、特許文献2(特開2016-78997号公報)に代表されるような「積み込みシステム、容器移送装置」等が開発され、実用化されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような装置から整然と搬送されてくる商品をライン上に留めずに効率的に処理するためには、ロボットアームにより、逐次、コンテナに充填していくのが望ましい。
【0007】
しかしながら、コンベア上を搬送されてくる商品をロボットアームにより毎回同じ地点で把持してコンテナに充填する物品移載装置の場合、後続の物品が当該地点に到達してくる搬送周期と、ロボットアームが商品を把持してからコンテナに充填して当該地点に戻ってくるまでの動作周期とを一致させる必要があり、ロボットアームの動作周期が物品の搬送周期に合わせられないときは、ロボットアームの追加を余儀なくされる。これは、大幅なコストアップとなる。
【0008】
本発明の課題は、ロボットアームの追加をすることなく、処理能力を向上させることができる物品移載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1観点に係る物品移載装置は、ロボットアームと、ロボットアームに装着された第1把持部および第2把持部と、ロボットアームの動作を制御する制御部とを備えている。制御部は、搬送されてくる複数の物品を移載位置に移すとき、先に第1把持部で物品を把持させ、次に当該物品の後から搬送されてくる物品を第2把持部で把持させ、その後、移載位置の上方にそれら物品を移動させる。第1把持部は物品の搬送方向の第1地点において物品を把持し、第2把持部は第1地点よりも搬送方向の上流側となる第2地点において物品を把持する。第1把持部と第2把持部とは、物品の搬送面を含む基準平面と第1把持部および第2把持部それぞれとの最短距離が異なるように配置されている。
【0010】
この物品移載装置では、例えば、ロボットアームの第1把持部が物品を把持した後、第2把持部が後続の物品を早めに把持し、移載して、再び第1把持部が物品を把持した地点に戻るようにすれば、第2把持部が把持する地点から第1把持部が把持する地点までの搬送時間をロボットアームの動作に充てることができ、その分、処理能力が向上する。
【0011】
また、この物品移載装置では、搬送コンベア上の物品はロボットアームが物品を移載している間も搬送されてくる。かかる場合、第1把持部が物品搬送方向の第1地点で物品を把持し、第2把持部がその上流側の第2地点で物品を把持することによって、「第1把持部と第2把持部とが物品を把持してから移載して再び第1地点に戻ってくる間に次の物品が第1地点近くに移動してくる」という流れが出来上がるので、搬送を止めることなく、さらには搬送速度を落とすことなく、連続した物品移載が可能となる。
【0012】
また、搬送路の両脇に物品検知センサを配置している場合でも、第1把持部と第2把持部とは、物品の搬送面を含む基準平面と第1把持部および第2把持部それぞれとの最短距離が異なるように配置されているので、第2把持部で物品を把持する際に第1把持部に把持された物品の底でセンサを叩くことが回避されるような構成を採ることができる。
【0013】
本発明の第2観点に係る物品移載装置は、第1観点に係る物品移載装置であって、ロボットアームに装着された第3把持部をさらに備えている。制御部は、第2把持部が把持した物品の後から搬送されてくる物品を第3把持部で把持してから、移載位置の上方に物品を移動させる。
【0014】
この物品移載装置では、第1観点に係る動作と同様に、ロボットアームの第1把持部が物品を把持した後、第2把持部が後続の物品を早めに把持し、第3把持部がさらに後続の物品を[第2把持部が物品を把持した地点]で把持し、移載して、再び第1把持部が物品を把持した地点に戻るようにすれば、第2把持部が把持する地点から第1把持部が把持する地点までの搬送時間をロボットアームの動作に充てることができるので、その分、処理能力が向上する。
【0015】
本発明の第3観点に係る物品移載装置は、第1観点または第2観点に係る物品移載装置であって、各把持部には吸着機構が設けられている。各把持部は、物品の搬送速度に合わせて動きながら吸着によって物品を把持する。
【0016】
この物品移載装置では、把持部は物品の搬送速度に合わせて動きながら吸着するので、吸着時に物品と搬送面との滑りが発生せず、常に定位置で物品を把持することができる。
【0017】
また、吸着による物品の把持は、多様な物品形状に対応することができるので、物品に応じて把持部を交換する必要がなく、或いは交換する頻度を少なくすることができるので、使い勝手がよい。
【0018】
本発明の第4観点に係る物品移載装置は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係る物品移載装置であって、ロボットアームが、第1把持部および第2把持部を移動させる可動部と、物品の搬送方向の延長線上に位置して可動部を支持する支持部とを有している。移載位置は、ロボットアームの支持部を挟んで当該支持部の両側に設定されている。
【0019】
この物品移載装置では、移載位置が搬送方向に沿って一筋で並ばないので、搬送距離を短くすることができる上に、ロボットアームの可動域を小さくすることもできるので、装置全体が小型になる。
【0020】
本発明の第5観点に係る物品移載装置は、第4観点に係る物品移載装置であって、移載位置にはコンテナが配置されている。コンテナのうち搬送方向の下流側に位置する端部がロボットアームの支持部に隣接している。
【0021】
この物品移載装置では、ロボットアームが移載処理範囲の下流側に置かれることによって、装置の長大化を抑制することができる。
【0022】
また、第4観点との関係で(移載位置が一筋に並ばないので)、コンテナを搬送方向に並べる必要がない。
【0023】
例えば、コンテナを搬送方向に並べたものと比較すると、一つのコンテナへの物品の充填が完了する毎にそのコンテナの移動に伴って空のコンテナが移動してくる構成を採らざるを得ず、その移動時間が無駄になる。
【0024】
これに対し、ロボットアームを挟んで左右にコンテナがあるので、一方のコンテナへの物品の充填が完了すると、ロボットアームは他方のコンテナへの物品充填を開始し、その間に先のコンテナを空のコンテナに入れ替えればよく、コンテナの入れ替え時間も物品の充填が行われる。
【0025】
本発明の第6観点に係る物品移載装置は、第1観点から第5観点のいずれか1つに係る物品移載装置であって、上記基準平面と第1把持部および第2把持部それぞれとの最短距離が異なるように段差が設けられている
【0026】
仮に、物品の搬送面を含む平面と第1把持部および第2把持部それぞれとの最短距離が同一となるように面一に配置されていると、搬送路の両脇に物品検知センサを配置しているので、第2把持部で物品を把持する際に第1把持部に把持された物品の底でセンサを叩く虞がある。これを回避するため、搬送面と直交する軸方向の移動機構を設けて軸方向にセンサを回避してから物品を把持することもできるが、それでは重量増、コスト増を招来する。
【0027】
これに対して、この物品移載装置では、第1把持部および第2把持部それぞれとの最短距離が異なるように段状に配置されることによって、搬送面と直交する軸方向の移動機構を設けることなく、センサとの干渉を回避して物品を把持することができる。
【0028】
本発明の第7観点に係る物品移載装置は、第6観点に係る物品移載装置であって、基準平面と第1把持部との最短距離は、基準平面と第2把持部との最短距離よりも長い。
【0029】
上記第7観点の効果は、最初に物品を把持する方の把持部と基準平面との最短距離をもう一方よりも長くしておくことによって発揮される。
【0030】
本発明の第8観点に係る物品移載装置は、第6観点に係る物品移載装置であって、物品の厚みが段差の高さよりも低い場合において、第1把持部および第2把持部それぞれに把持される物品を互いに厚み方向に一部重なるように把持する。
【0031】
この物品移載装置では、第1把持部および第2把持部それぞれに把持される物品を当該物品の厚み方向に一部重なるように把持することができるので、載置面に対する投影面の幅を小さくすることができる。それゆえ、幅広の物品であってもコンテナへの載置の際に、コンテナの縁に物品が当たることがない。
【0032】
本発明の第9観点に係る物品移載装置は、第6観点に係る物品移載装置であって、搬送されてくる物品が所定位置を通過したことを検知する搬入検知センサをさらに備えている。制御部は、搬入検知センサの検知信号に基づき、第1把持部および前記第2把持部それぞれが物品を把持するタイミングを計る。
【0033】
この物品移載装置では、第1把持部と第2把持部とは、物品を把持する位置がそれぞれ異なるので、把持動作に入るタイミングが異なる。それゆえ、共通地点を通過してからの時間に基いて把持動作に入るタイミングを計ることが可能となる。
【0034】
本発明の第10観点に係る物品移載装置は、第1観点から第9観点のいずれか1つに係る物品移載装置であって、第1検知センサと第2検知センサとをさらに備えている。第1検知センサは、物品が第1把持部に把持される位置から第1所定距離はなれた位置に到達したことを検知する。第2検知センサは、物品が第2把持部に把持される位置から第2所定距離はなれた位置に到達したことを検知する。
【0035】
この物品移載装置では、第1把持部と第2把持部とが、物品を把持する位置がそれぞれ異なるので、把持動作に入るタイミングが異なる。それゆえ、共通地点を通過してからの時間に基いて把持動作に入るタイミングを計ることも可能であるが、物品と搬送面との滑りが生じると物品ごとに把持位置がずれる虞がある。そこで、把持部ごとに対応する物品の検知センサを設けて把持動作に入るタイミングを計ることによって、物品ごとに把持位置がずれることを防止する。
【0036】
本発明の第11観点に係る物品移載装置は、第1観点から第10観点のいずれか1つに係る物品移載装置であって、制御部が、搬送される物品の種類ごとに、物品の搬送速度、及びロボットアームのパラメータを予め設定するアイテム予約部を有している。
【0037】
この物品移載装置では、商品仕様、生産計画に応じて物品の搬送速度、ロボットアームのポジション、動作パターン、及び動作速度を予め設定することができるので、使い勝手がよい。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る物品移載装置では、ロボットアームの第1把持部が物品を把持した後、第2把持部が後続の物品を早めに把持し、移載して、再び第1把持部が物品を把持した地点に戻るようにすれば、第2把持部が把持する地点から第1把持部が把持する地点までの搬送時間をロボットアームの動作に充てることができ、その分、処理能力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の一実施形態に係る物品移載装置の平面図。
図2】搬送部、供給部、ロボット及び排出部の立体的な配置構成を表す物品移載装置の斜視図。
図3】物品移載装置を正面側から視たときの当該物品移載装置の外観斜視図。
図4図3の物品移載装置の主要部を背面側から視たときの当該物品移載装置の斜視図。
図5図4の物品移載装置を正面斜め左側から視たときの当該物品移載装置の斜視図。
図6図4の物品移載装置を正面斜め右側から視たときの当該物品移載装置の斜視図。
図7】物品移載装置の制御系の構成ブロック図。
図8A】ロボットが第1吸着部で物品を吸着する状態を示す斜視図。
図8B】ロボットが第2吸着部で物品を吸着する状態を示す斜視図。
図8C】ロボットが第3吸着部で物品を吸着する状態を示す斜視図。
図8D】ロボットが三つの物品をコンテナに移送したときの斜視図。
図8E】ロボットが再び第1吸着部で物品を吸着する状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0041】
(1)物品移載装置100の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る物品移載装置100の平面図である。図1において、物品移載装置100は、搬送部1と、供給部2と、ロボット3と、排出部4と、制御部5を備えている。
【0042】
また、図1の実線と矢印で示すラインは、コンテナCが供給される経路を示し、破線とその矢印で示すラインは、物品Mが収納されたコンテナCmが排出される経路を示している。
【0043】
また、物品移載装置100で扱われる物品Mは、例えば、容器に詰められた弁当や惣菜等である。但し、それらには限定されるものではない。
【0044】
図1に示すように、作業エリアEは、ロボット3を含む一点鎖線で囲む領域であって、ロボット3が搬送部1上の物品Mを持ち上げ、それをコンテナCに収納する領域である。
【0045】
ここでの搬送部1、供給部2、排出部4は平面的な配置でもよい。また、供給部2と排出部4とを作業エリアEの下段に配置して、空のコンテナCは、下方から作業エリアEに向けて供給するようにし、物品Mで満杯になったコンテナCmは、下方へ降ろしてから排出するように構成してもよい。
【0046】
この作業エリアEは、第1作業エリアE1と第2作業エリアE2に分けられ、制御部5は、ロボット3が一方の作業エリアE1(又はE2)でコンテナCに物品Mを収納している間に、排出部4を制御して、他方の作業エリアE2(又はE1)から物品Mの収納されたコンテナCmを排出させる。続いて制御部5は、供給部2に指示して、その作業エリアE2(又はE1)に新たなコンテナCを供給させる。
【0047】
(2)詳細構成
図2は、搬送部1、供給部2、ロボット3及び排出部4の立体的な配置構成を表す物品移載装置100の斜視図である。また、図3は、物品移載装置100を正面側から視たときの当該物品移載装置100の外観斜視図である。以下、図2及び図3を参照しながら各部の詳細を説明する。
【0048】
(2-1)搬送部1
図2において、搬送部1は、ベルトコンベア11で構成されており、第1作業エリアE1と第2作業エリアE2との間に配置され、物品Mを作業エリアEに送り込む。
【0049】
例えば、物品Mが弁当や惣菜等である場合、搬送部1の上流側には、弁当等の盛り付けラインが接続される。
【0050】
また、図3及び図4において、物品移載装置100の正面側、すなわち、搬送部1の上流側に、盛り付けラインから搬送されてくる物品Mを物品移載装置100内に搬入する入口10が設けられている。その入口10に、ベルトコンベア11が接続されている。
【0051】
この入口10から所定距離内側のベルトコンベア11の両側には、物品Mを検出するセンサ群Sが設けられている。このセンサ群Sは、例えば、ベルトコンベア11の両側に対向配置された投光器と受光器で構成されるもので、投光器から照射された光が物品Mによって遮断されると、受光器がそれを検出するようになっている。
【0052】
ベルトコンベア11の、向かって左側は第1作業エリアE1であり、右側は第2作業エリアE2である。
【0053】
(2-2)供給部2
図2において、供給部2は作業エリアEにコンテナCを供給する。供給部2は、コンテナCを第1作業エリアE1と第2作業エリアE2のどちらにも送り込めるようにするため、第1作業エリアE1にコンテナCを供給する第1経路R1と、第2作業エリアE2にコンテナCを供給する第2経路R2とを有している。
【0054】
第1経路R1は、コンテナCを第1作業エリアE1に下方から供給する経路であり、コンテナCを第1作業エリアE1の下方に侵入させるコンベア20と、そこから第1作業エリアE1までコンテナCを上昇させるリフト22で構成されている。
【0055】
第2経路R2は、コンベア20と、そこから搬送部1の下を通って第2作業エリアE2の下方まで伸びるコンベア21と、コンベア21の終端部から第2作業エリアE2までコンテナCを上昇させるリフト23とで構成されている。
【0056】
供給部2が供給するコンテナCは、物品Mが収納されていない空コンテナと、他の物品が一部収納されているが、未だ物品Mが収納できる余地のあるコンテナであり、これらのコンテナを総称して空コンテナと言う。
【0057】
供給部2には、以上の構成に加えて、段積みされたコンテナCから一箱ずつコンテナCを取り出す段ばらし装置6が接続されている。
【0058】
(2-3)ロボット3
図2において、ロボット3は、作業エリアEに配置され、作業エリアEに送り込まれた物品Mを、その作業エリアEに供給されたコンテナCに収納する。
【0059】
ロボット3は、搬送部1から物品Mを持ち上げ、それをコンテナCに移し替えるだけであるから、ロボット3はどこに配置されていても構わない。しかし、ロボット3を効率良く動作させるには、ロボットアームの可動範囲を最小限に抑えて、素早く次の行動に移れるようにする必要があるので、本実施形態では、各作業エリアE1,E2の中間位置にベルトコンベア11を跨いだ状態で支持台32(図3参照)を設置し、その上方にロボット3を配置している。
【0060】
ロボット3は、物品Mを持ち上げながら、それを三次元的に移動させてコンテナCの所定位置で物品を開放する。物品Mを吸着する吸着部36は、物品Mの性状に応じて適宜なものが使用される。
【0061】
(2-3-1)アーム33,34,35の構成
図4は、図3の物品移載装置100の主要部を背面側から視たときの当該物品移載装置100の斜視図である。また、図5は、図4の物品移載装置100を正面斜め左側から視たときの当該物品移載装置100の斜視図である。さらに、図6は、図4の物品移載装置100を正面斜め右側から視たときの当該物品移載装置100の斜視図である。
【0062】
図4図5及び図6において、ロボット3は四軸構成の水平多関節ロボットであって、水平面内で回転する第1アーム33と、第1アーム33の回転端部において、同じく水平面内で回転する第2アーム34と、第2アーム34の回転端部において、上下に昇降する第3アーム35と、第3アーム35を鉛直軸回りに回転させる図示しないサーボモータと、第3アーム35の下端部に取り付けられ、前記サーボモータによって水平面内で回動する吸着部36とを備えている。
【0063】
そして、第1アーム33と第2アーム34が一直線上に伸びれば、吸着部36が第1作業エリアE1から第2作業エリアE2の隅々まで届くように設計されている。また、この吸着部36を昇降させる第3アーム35は、前記サーボモータによってベルトコンベア11から物品Mを持ち上げ、それをコンテナC内で降ろし、物品Mの底がコンテナCに着いたタイミングで上昇に転じるようにプログラムされている。
【0064】
(2-3-2)吸着部36の構造
図5に示すように、吸着部36は、第1吸着部361、第2吸着部362及び第3吸着部363を有している。第1吸着部361、第2吸着部362及び第3吸着部363それぞれは、四つの吸着盤37でもって物品Mを吸着しながら持ち上げる。吸着盤37は、物品Mを吸引保持するベローズタイプの吸着パッドで構成されている。
【0065】
したがって、吸着部36は、三つの物品Mが横並びに吸引保持される。また一つの物品Mを吸引保持する四つの吸着盤37は、一つの電磁バルブを介して真空チャンバに接続され、物品Mを持ち上げるときは、一組の四つの吸着盤37が負圧に切り替えられ、物品Mを開放するときは、それらが大気に開放される。
【0066】
なお、吸着部36は、物品Mの搬送速度に合わせて動きながら吸着によって物品を把持するので、実際に物品Mを持ち上げる地点の少し手前から物品Mの吸着を開始する。これによって、吸着時に物品Mと搬送面との滑りが発生することを防止している。
【0067】
また、図5に示すように、第1吸着部361と、第2吸着部362及び第3吸着部363との間には、吸着盤37を下方としたときに第1吸着部361の吸着盤37が第2吸着部362及び第3吸着部363の吸着盤37よりも鉛直上方に位置するように、段差が設けられて配置されている。
【0068】
コンベア11の両脇にセンサ群Sを配置しているので、第2吸着部362で物品Mを吸着する際に、既に第1吸着部361に吸着された物品Mの底でセンサを叩く虞がある。これを回避するため、コンベア11の搬送面と直交する軸方向(上下方向)に昇降する第3アーム35によって軸方向にセンサを回避してから物品Mを吸着することもできるが、ストロークの大きい第3アーム35が必要となり、それでは重量増、コスト増を招来する。
【0069】
これに対して、第1吸着部361と、第2吸着部362および第3吸着部363とが段状に配置されることによって、搬送面と直交する軸方向の移動機構を新たに設けることなく、センサ群Sとの干渉を回避して物品Mを吸着することができる。
【0070】
また、上記のような段差を設けることによって、第1吸着部361、第2吸着部362および第3吸着部363それぞれに吸着される物品Mを当該物品Mの厚み方向に一部重なるように吸着することもできる。
【0071】
(2-4)排出部4
排出部4は、ロボット3によって物品Mが収納されたコンテナCmを作業エリアEから排出する。排出部4を作業エリアE1,E2毎に設けることは占有面積が増えることになり不合理的であるので、本実施形態では、第1作業エリアE1から物品Mの収納されたコンテナCmを排出する排出部4が、第1作業エリアE1の隣接位置から第2作業エリアE2の隣接位置に至るまでの第2経路R2と共用されている。
【0072】
図1に示すように、第1作業エリアE1で満杯になったコンテナCmは、コンベア20と、コンベア21を介して装置外へ排出されるが、これらのコンベア20、21は第2経路R2を構成しており、空コンテナCの供給路であるこの第2経路R2が満杯になったコンテナCmの排出路となることで、さらに装置のコンパクト化を図っている。
【0073】
排出部4には、以上の構成に加えて、物品Mが収納されたコンテナCmを一段ずつ積み上げる段積み装置7が接続されている。
【0074】
(2-5)制御部5
図7は、物品移載装置100の制御系の構成ブロック図である。図7において、制御部5は、物品移載装置100を制御するもので、コンピュータで構成されている。制御部5には、ロボット3、ベルトコンベア11、センサ群Sそれぞれが電気的に接続されている。
【0075】
(2-5-1)制御の概要
制御部5が行う一連の制御は、大まかには以下の通りである。
【0076】
1)空コンテナCがコンベア20上に送り込まれると、コンベア20を動作させて、空コンテナCを第1作業エリアE1の下方まで搬送させる。
【0077】
2)次に、制御部5は、リフト22を動作させて空コンテナCを第1作業エリアE1まで上昇させる。
【0078】
3)次に、制御部5は、段積みされた空コンテナから新たな空コンテナCが送り込まれると、コンベア20とコンベア21を動作させて、送り込まれた空コンテナCを第2作業エリアE2の下方まで搬送させる。
【0079】
4)次に、制御部5は、リフト23を動作させて空コンテナCを第2作業エリアE2まで上昇させる。こうして、第1作業エリアE1又は第2作業エリアE2にコンテナCが供給される。
【0080】
5)次に、制御部5は、送られてくると搬送部1上の物品Mをロボット3を介して持ち上げ、それをコンテナCに収納していく。
【0081】
6)そして、制御部5は、コンテナCが第1作業エリアE1において満杯になったとき、リフト22を介してコンベア20上に降ろし、そこからコンベア21を介して搬送部1の下と第2作業エリアE2の下を通って装置外に排出する。
【0082】
(2-5-2)ディスプレイ51
ディスプレイ51は、物品移載装置100の側方に配置されている。ユーザーは、ディスプレイ51を介して、商品仕様、生産計画に応じて物品Mの搬送速度、ロボット3の各アームのポジション、動作パターン、及び動作速度を予め設定することができる。
【0083】
(3)動作
ベルトコンベア11によって物品Mが作業エリアに到達し、センサ群Sがそれを検出すると、制御部5は、第1作業エリアE1にコンテナCがセットされている情報と、動作開始指令をロボット3に出力する。
【0084】
ロボット3は、動作を開始して、吸着部36によって物品Mを吸引して持ち上げ、それを所定高さで保持したまま、次の動作指令を待つ。
【0085】
ベルトコンベア11によって後続の物品Mが搬送されてくると、センサ群Sの検出信号をトリガーとして、制御部5は、ロボット3に動作指令を出力する。
【0086】
図3に示すように、センサ群Sは、少なくとも第1センサS1及び第2センサS2を含んでいる。第2センサS2は、第1センサS1よりも搬送方向の上流側に位置している。第1センサS1は、ロボット3が物品Mを所定の第1地点P1で吸着するためのトリガー信号を発信するため、第1地点P1から第1所定距離はなれた第1所定位置に配置されている。物品Mが第1センサS1に検知されると、ロボット3は第1地点P1で物品Mを吸着する。
【0087】
第2センサS2は、ロボット3が物品Mを所定の第2地点P2で吸着するためのトリガー信号を発信するために、第2地点P2から第2所定距離はなれた第2所定位置に配置されている。第2地点P2は、第1地点P1よりも搬送方向の上流側に位置している。物品Mが第2センサS2に検知されると、ロボット3は第2地点P2で物品Mを吸着する。
【0088】
以下、図8A図8Dを参照しながら、吸着の時期と地点について説明する。
【0089】
(3-1)物品Mの吸着の位置と時期
図8Aは、ロボット3が第1吸着部361で物品Mを吸着する状態を示す斜視図である。また、図8Bは、ロボット3が第2吸着部362で物品Mを吸着する状態を示す斜視図である。さらに、図8Cは、ロボット3が第3吸着部363で物品Mを吸着する状態を示す斜視図である。
【0090】
また、図8Dは、ロボット3が三つの物品MをコンテナCに移送したときの斜視図である。さらに、図8Eは、ロボット3が再び第1吸着部361で物品Mを吸着する状態を示す斜視図である。
【0091】
先ず、図8Aにおいて、第1センサS1が物品Mを検知し、それがトリガーとなって制御部5は直ちにロボット3の第1吸着部361を動作させ、第1地点P1で物品Mを吸着させる。この物品Mを、説明の便宜上、「n」番目物品M(n)と呼び、その後方から搬送されてくる物品Mを「n+1」番目物品M(n+1)と呼び、さらにその後方から搬送されてくる物品Mを「n+2」番目物品M(n+2)と呼ぶ。
【0092】
次に、図8Bにおいて、第2センサS2が「n+1」番目物品M(n+1)を検知し、それがトリガーとなって制御部5は直ちにロボット3の第2吸着部362を動作させ、第2地点P2で「n+1」番目物品M(n+1)を吸着させる。
【0093】
次に、図8Cにおいて、第2センサS2が「n+2」番目物品M(n+2)を検知し、それがトリガーとなって制御部5は直ちにロボット3の第3吸着部363を動作させ、第2地点P2で「n+2」番目物品M(n+2)を吸着させる。
【0094】
ロボット3は、物品Mを吸着して持ち上げる回数をカウントしており、そのカウント値が3になると、図8Dに示すように、持ち上げた三つの物品Mを空コンテナCの所定位置まで移送して下降する。その際、吸着盤37は大気に開放される。
【0095】
続いて、ロボット3は、カウント値をクリアして初期位置に戻り、第1地点P1において第1吸着部361で物品Mを吸着する。
【0096】
このように、第1地点P1で吸着された「n」番目物品(n)を基準にしたとき、「n+1」番目物品M(n+1)と「n+2」番目物品M(n+2)とが第2地点P2で吸着されるようにしたので、以下の作用・効果が得られる。
【0097】
(3-2)作用と効果
ロボット3の第1吸着部361が「n」番目物品(n)を吸着した後、第2吸着部362が後続の「n+1」番目物品M(n+1)を、第1地点P1の上流側となる第2地点P2で、位置的に早めに吸着し、第3吸着部363がさらに後続の「n+2」番目物品M(n+2)を[第2吸着部362が「n+1」番目物品M(n+1)を吸着した第2地点P2]で吸着し、移載して、再び第1吸着部361が物品Mを吸着した地点に戻るようにすれば、第2吸着部362及び第3吸着部363が物品Mを吸着する第2地点P2から第1吸着部361が物品Mを吸着する第1地点P1までの搬送時間をロボット3の動作に充てることができるので、その分、処理能力が向上する。
【0098】
上記の作用・効果は、三つの物品Mを持ち上げる態様だけに限定されることはなく、三つの物品Mを持ち上げる態様、ずなわち、第1吸着部361および第2吸着部362で2つの物品Mを持ち上げる際にも同様の作用・効果を奏することができる。
【0099】
すなわち、ロボット3の第1吸着部361が「n」番目物品(n)を吸着した後、第2吸着部362が後続の「n+1」番目物品M(n+1)を、第1地点P1の上流側となる第2地点P2で、位置的に早めに吸着し、移載して、再び第1吸着部361が物品Mを吸着した第1地点P1に戻るようにすれば、第2吸着部362が物品Mを吸着する第2地点P2から第1吸着部361が物品Mを吸着する第1地点P1までの搬送時間をロボット3の動作に充てることができるので、その分、処理能力が向上する。
【0100】
(3-3)物品M充填後のコンテナCの処理
こうして、物品Mがセンサ群Sで検出される度に、ロボット3は、それを持ち上げて待機し、物品Mが三つ揃うと、それらをコンテナCに収納していく。そして、コンテナCが物品Mで満杯になると、ロボット3は、第2作業エリアE2に空コンテナCがセットされていることを確認してから、次に送られてくる物品Mを第2作業エリアE2のコンテナCに収納していく。
【0101】
また、第1作業エリアE1のコンテナCが満杯になると、ロボット3は、それを制御部5に出力する。すると、図5に示すように、制御部5は、第1リフト22を作動させて、第1作業エリアE1で満杯になったコンテナCmを第1支持台25aまで降ろし、続いて第1プッシャー24aを作動させて、第1支持台25aに降ろされたコンテナCmを第2支持台25b(図6参照)に向けて送り出す。
【0102】
ロボット3は、次々と送られてくる物品Mを吸着盤37で吸引しながら持ち上げ、持ち上げた物品Mが三つ揃うと、それらを第2作業エリアE2のコンテナCに収納していく。
【0103】
そして、第2作業エリアE2のコンテナCmが満杯になると、ロボット3は、それを制御部5に報知する。
【0104】
制御部5は、それに基づいて第2リフト23を作動させる。すると、図6に示すように、第2作業エリアE2に保持されていたコンテナCmは、第2支持台25b上に降ろされ、続いて、第2プッシャー24bが作動して、そこから段積み装置7のコンベア20へ向けて押し出される。
【0105】
このようにして、第1作業エリアE1のコンテナCが満杯になると、ロボット3は、引き続き反対側の第2作業エリアE2のコンテナCに物品Mを収納していく。その間に、満杯になったコンテナCmは、第1作業エリアE1から降ろされ、それと入れ替わるように新たな空コンテナCが第1作業エリアE1に供給される。
【0106】
また、第1作業エリアE1から降ろされた満杯のコンテナCmは、搬送部1の下を通り、さらに第2作業エリアE2の下を通って排出コンベア40(図2参照)によって排出されていく。このとき、第2作業エリアE2のコンテナCは、リフト23によって持ち上げられているから、満杯のコンテナCmは、第2作業エリアE2の下方を通り抜けることができる。
【0107】
また第2作業エリアE2のコンテナCが満杯になると、満杯になったコンテナCmは、そこから降ろされて排出され、それと入れ替わるように、空コンテナCが第1作業エリアE1の下を通り、さらに搬送部1の下を通って第2作業エリアE2に供給される。
【0108】
このときも第1作業エリアE1のコンテナCは、リフト22によって持ち上げられているから、後続の空コンテナCは、その下を通り抜けることができる。その間に、ロボット3は、第1作業エリアE1の空コンテナCに物品Mを収納していく。
【0109】
このようにして、ロボット3が、一方の作業エリアE1(又はE2)で詰め込み作業をしている間に、他方の作業エリアE2(又はE1)では、物品Mが収納されたコンテナCmの排出と、空コンテナCの供給とが行われる。したがって、搬送部1から物品Mが次々と送られてきても、ロボット3は、余裕をもってそれを処理することができる。
【0110】
(4)特徴
(4-1)
物品移載装置100では、例えば、第1吸着部361が物品Mを吸着した後、第2吸着部362が後続の物品Mを早めに吸着し、移載して、再び第1吸着部361が物品Mを吸着した地点に戻るようにすれば、第2吸着部362が吸着する地点から第1吸着部361が吸着する地点までの搬送時間をロボット3の動作に充てることができ、その分、処理能力が向上する。
【0111】
(4-2)
物品移載装置100では、第1吸着部361が物品Mを吸着した後、第2吸着部362が後続の物品Mを早めに吸着し、第3吸着部363がさらに後続の物品Mを[第2吸着部362が物品Mを吸着した地点]で吸着し、移載して、再び第1吸着部361が物品Mを吸着した地点に戻るようにすれば、第2吸着部362が吸着する地点から第1吸着部361が吸着する地点までの搬送時間をロボット3の動作に充てることができるので、その分、処理能力が向上する。
【0112】
(4-3)
物品移載装置100では、搬送部1のベルトコンベア11上の物品Mはロボット3が物品Mを移載している間も搬送されてくる。かかる場合、第1吸着部361が物品搬送方向の第1地点で物品Mを吸着し、第2吸着部362がその上流側の第2地点で物品を吸着することによって、「第1吸着部361と第2吸着部362とが物品Mを吸着してから移載して再び第1地点に戻ってくる間に次の物品が第1地点近くに移動してくる」という流れが出来上がるので、搬送を止めることなく、さらには搬送速度を落とすことなく、連続した物品移載が可能となる。
【0113】
(4-4)
物品移載装置100では、吸着部36は物品Mの搬送速度に合わせて動きながら吸着するので、吸着時に物品Mとベルトコンベア11の搬送面との滑りが発生せず、常に定位置で物品Mを吸着することができる。
【0114】
また、吸着による物品Mの吸着は、多様な物品形状に対応することができるので、物品に応じて吸着部36を交換する必要がなく、或いは交換する頻度を少なくすることができるので、使い勝手がよい。
【0115】
(4-5)
物品移載装置100では、第1作業エリアE1と第2作業エリアE2を、搬送部1を挟んで面対称に配置することができるから、ロボット3が搬送部1から物品Mを持ち上げ、それをコンテナCの所定位置に収納する動作も面対称に構成することができる。
【0116】
したがって、ロボット3は、反転するだけで、どちらの作業エリアE1,E2でも最小限の動きで物品Mの詰め込み作業を行うことができるから、ロボット3に素早い動きをさせることができる。
【0117】
(4-6)
物品移載装置100では、ロボット3の作業エリアE1,E2と、そこにコンテナCを供給したり、そこからコンテナCmを排出したりする経路を立体的な配置とすることにより、ロボット3が第1作業エリアE1で作業をしている間に、第1作業エリアE1の下を通って、新たな空コンテナCを第2作業エリアE2に供給することができ、また、ロボット3が第2作業エリアE2で作業している間に、その第2作業エリアE2の下を通って、第1作業エリアE1で満杯になったコンテナCmを装置外へ排出することができるから、物品移載装置100の占有面積を小さくして、手狭な既設ラインへの導入が可能になる。
【0118】
また、空のコンテナCへ物品Mを収納する作業と、物品Mが収納されたコンテナCmと空コンテナCとの入れ替え作業を、二つの作業エリアE1,E2で交互に切り替えて処理することができる。しかも、それらを同時並行的に行うことができるから、例え物品Mが大量に搬送されてきても、それを素早く処理することができる。また、物品Mの収納されたコンテナCmは、先行技術のように、ライン上に留めずに直ちに排出して配送に回すことができるから、上流側の作業の遅れを下流側で拡大させないメリットがある。
【0119】
(4-7)
物品移載装置100では、第1吸着部361および第2吸着部362それぞれとの最短距離が異なるように段状に配置されることによって、ベルトコンベア11の搬送面と直交する軸方向の移動機構を新たに設けることなく、センサ群Sとの干渉を回避して物品Mを吸着することができる。
【0120】
(4-8)
上記の効果は、実使用時の待機姿勢において、最初に物品Mを吸着する方の第1吸着部361と搬送基準平面との最短距離を第2吸着部362と基準平面との最短距離よりも長くしておくことによって発揮される。
【0121】
(4-9)
物品移載装置100では、第1吸着部361および第2吸着部362それぞれに吸着される物品Mを当該物品の厚み方向に一部重なるように吸着することができるので、載置面に対する投影面の幅を小さくすることができる。それゆえ、幅広の物品MであってもコンテナCへの載置の際に、コンテナCの縁に物品が当たることがない。
【0122】
(4-10)
物品移載装置100では、第1吸着部361と、第2吸着部362及び第3吸着部363とに対応する物品を検知するセンサを設け、吸着動作に入るタイミングを計ることによって物品ごとに吸着位置がずれることを防止する。なお、別の方法として、一つのセンサで物品が共通地点を通過したことを検知し、共通地点を通過してからの時間に基いて吸着動作に入るタイミングを計ることも可能である。
【0123】
(4-11)
物品移載装置100では、商品仕様、生産計画に応じて物品の搬送速度、第3アーム35のポジション、動作パターン、及び動作速度を予め設定することができるので、使い勝手がよい。
【符号の説明】
【0124】
5 制御部
51 ディスプレイ(アイテム予約部)
32 支持台(支持部)
33 第1アーム(ロボットアーム、可動部)
34 第2アーム(ロボットアーム、可動部)
35 第3アーム(ロボットアーム、可動部)
36 吸着部(把持部)
361 第1吸着部(第1把持部)
362 第2吸着部(第2把持部)
363 第3吸着部(第3把持部)
37 吸着盤(吸着機構)
C コンテナ
M 物品
S センサ(搬入検知センサ)
S1 第1センサ(搬入検知センサ)
S2 第2センサ(搬入検知センサ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0125】
【文献】特許第3602817号公報
【文献】特開2016-78997号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E