(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】インジケータ、養魚槽、浄化槽
(51)【国際特許分類】
G01P 13/00 20060101AFI20220520BHJP
A01K 63/00 20170101ALI20220520BHJP
【FI】
G01P13/00 C
A01K63/00 C
(21)【出願番号】P 2020501867
(86)(22)【出願日】2018-02-20
(86)【国際出願番号】 JP2018005830
(87)【国際公開番号】W WO2019162983
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】511053492
【氏名又は名称】株式会社スパークル
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太麻 隆士
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-17756(JP,A)
【文献】特開2001-74762(JP,A)
【文献】国際公開第2006/106632(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0266133(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P13/00-13/04
G01F 1/00- 1/54
A01K63/00-63/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側部に透明部を備えるとともに、一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向けて流体が流れる筒状ハウジングと、
該筒状ハウジングの内側に遊嵌され、前記筒状ハウジングの軸方向に動作可能な第1ピストンと、
前記第1ピストンを前記流体の流れ方向と逆方向に押圧する付勢部材と、が備えられ、
前記流体の流れ方向の力が、前記付勢部材の押圧力よりも大きい場合に、前記流体を通過させ、
前記透明部から見た前記第1ピストンの位置により前記流体の流れの状態が確認可能であ
り、
前記第1ピストンは、筒形状であり、
該第1ピストンの内側に遊嵌され、前記筒状ハウジングの軸方向に動作可能な第2ピストンが備えられている、
ことを特徴とするインジケータ。
【請求項2】
側部に透明部を備えるとともに、一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向けて流体が流れる筒状ハウジングと、
該筒状ハウジングの内側に遊嵌され、前記筒状ハウジングの軸方向に動作可能な第1ピストンと、
前記第1ピストンを前記流体の流れ方向と逆方向に押圧する付勢部材と、が備えられ、
前記流体の流れ方向の力が、前記付勢部材の押圧力よりも大きい場合に、前記流体を通過させ、
前記透明部から見た前記第1ピストンの位置により前記流体の流れの状態が確認可能であり、
前記第1ピストンの前記流体の通過孔の流れ方向下流側には、
前記流体の流れ方向と逆方向の流れを遮断する弁体が設けられている、
ことを特徴とするインジケータ。
【請求項3】
前記第1ピストンの外周には、
2つの異なる色彩が施されている第1色彩部分および第2色彩部分があり、
前記筒状ハウジングに接続されている流体ポンプが作動していない場合に、前記透明部からこれらの第1色彩部分および第2色彩部分のいずれか一方が視認可能であり、
前記流体ポンプが正常に作動している場合に、前記透明部からこれらの第1色彩部分および第2色彩部分の他方が視認可能である、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載のインジケータ。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれかに記載のインジケータが、エアが供給される配管に備えられている、
ことを特徴とする養魚槽。
【請求項5】
請求項1から請求項
3のいずれかに記載のインジケータが、エアが供給される配管に備えられている、
ことを特徴とする浄化槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インジケータ、養魚槽、浄化槽に関する。さらに詳しくは、エアポンプ等の出力側に設けられ、エアポンプ等の状態を確認できるインジケータ、このインジケータを利用した養魚槽、または浄化槽に関する。
【背景技術】
【0002】
養殖用の水槽または家庭用浄化槽に酸素を補給するエアポンプは、電磁振動型でありダイアフラムを利用して間欠的に流体を吐出している。このポンプが故障すると養殖用水槽の場合、水槽の中の魚等が死に至り、事業等に多大な損失を与えてしまう。また、家庭用浄化槽の場合、浄化作用がなくなり、浄化槽からの臭気による悪臭問題が発生したりする。
【0003】
上記の問題を解決するために、ポンプの異常を検出するための検出装置が設けられる。例えば流体ポンプの吐出側に圧力センサを設けて、吐出側の圧力が下がると異常を知らせる表示を出したり警報を出したりする方法が考えられる。また、特許文献1では、内部の圧力に対して動作する隔膜を設け、隔膜により動作する表示筒の見え方で流体ポンプの動作異常を知らせる方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の検出装置のうち、圧力センサを設ける方式では、ポンプそれぞれに対し圧力センサおよび表示装置などを設ける必要があり、ポンプを含めた高度なシステムが必要となり、コストが大きくなるという問題がある。また特許文献1で開示された方法では、電気部品を用いることがなく、コストを抑えることができるものの、エアポンプからのエアが通る配管から別途専用の配管を設ける必要があり、インジケータのための設置スペースを確保する必要があるという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、コストを抑えながら、設置スペースを少なくすることができるインジケータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明のインジケータは、側部に透明部を備えるとともに、一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向けて流体が流れる筒状ハウジングと、該筒状ハウジングの内側に遊嵌され、前記筒状ハウジングの軸方向に動作可能な第1ピストンと、前記第1ピストンを前記流体の流れ方向と逆方向に押圧する付勢部材と、が備えられ、前記流体の流れ方向の力が、前記付勢部材の押圧力よりも大きい場合に、前記流体を通過させ、前記透明部から見た前記第1ピストンの位置により前記流体の流れの状態が確認可能であり、前記第1ピストンは、筒形状であり、該第1ピストンの内側に遊嵌され、前記筒状ハウジングの軸方向に動作可能な第2ピストンが備えられていることを特徴とする。
第2発明のインジケータは、側部に透明部を備えるとともに、一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向けて流体が流れる筒状ハウジングと、該筒状ハウジングの内側に遊嵌され、前記筒状ハウジングの軸方向に動作可能な第1ピストンと、前記第1ピストンを前記流体の流れ方向と逆方向に押圧する付勢部材と、が備えられ、前記流体の流れ方向の力が、前記付勢部材の押圧力よりも大きい場合に、前記流体を通過させ、前記透明部から見た前記第1ピストンの位置により前記流体の流れの状態が確認可能であり、前記第1ピストンの前記流体の通過孔の流れ方向下流側には、前記流体の流れ方向と逆方向の流れを遮断する弁体が設けられていることを特徴とする。
第3発明のインジケータは、第1発明または第2発明において、前記第1ピストンの外周には、2つの異なる色彩が施されている第1色彩部分および第2色彩部分があり、前記筒状ハウジングに接続されている流体ポンプが作動していない場合に、前記透明部からこれらの第1色彩部分および第2色彩部分のいずれか一方が視認可能であり、前記流体ポンプが正常に作動している場合に、前記透明部からこれらの第1色彩部分および第2色彩部分の他方が視認可能であることを特徴とする。
第4発明の養魚槽は、第1発明から第3発明のいずれかのインジケータが、エアが供給される配管に備えられていることを特徴とする。
第5発明の浄化槽は、第1発明から第3発明のいずれかのインジケータが、エアが供給される配管に備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、インジケータの主要部材が筒状をしている筒状ハウジングであり、この筒状ハウジングの一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向けて流体が流れ、インジケータが、第1ピストンの中に設けられている付勢部材の押圧力よりも、流体の圧力から生じる力が大きい場合に流体を通過させる構成であるので、インジケータを流体ポンプの配管に組み込むことができる。これによりインジケータの設置スペースを小さくできる。また、インジケータには、ポンプの異常を検知する電気部品が必要ないため、ポンプの異常を検知する機能を有しながら、異常検知のためのシステムのコストを抑えることができる。
加えて、第1ピストンの内側に遊嵌され、筒状ハウジングの軸方向に動作可能な第2ピストンが備えられていることにより、第1ピストンと第2ピストンとの間に絞り効果が生じ、流体ポンプの吐出圧力が小さい場合、特に流体ポンプがエアポンプである場合であっても、第1ピストンの上流側と下流側との間に圧力差が生じ、第1ピストンを所定の位置に動作させることができる。
第2発明によれば、インジケータの主要部材が筒状をしている筒状ハウジングであり、この筒状ハウジングの一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向けて流体が流れ、インジケータが、第1ピストンの中に設けられている付勢部材の押圧力よりも、流体の圧力から生じる力が大きい場合に流体を通過させる構成であるので、インジケータを流体ポンプの配管に組み込むことができる。これによりインジケータの設置スペースを小さくできる。また、インジケータには、ポンプの異常を検知する電気部品が必要ないため、ポンプの異常を検知する機能を有しながら、異常検知のためのシステムのコストを抑えることができる。
加えて、第1ピストンの流体の通過孔の流れ方向の下流側に、流体の流れ方向と逆方向の流れを遮断する弁体が設けられていることにより、この弁体により絞り効果が生じ、流体ポンプの吐出圧力が小さい場合、特に流体ポンプがエアポンプである場合であっても、第1ピストンの上流側と下流側との間に圧力差が生じ、第1ピストンを所定の位置に動作させることができる。
第3発明によれば、第1ピストンの外周に2つの異なる色彩が施されている部分がありポンプの動作に合わせて見える色彩が変更されることにより、インジケータの使用者が容易にポンプの異常を覚知できる。
第4発明によれば、養魚槽に対してエアを供給する配管に第1発明から第4発明のいずれかのインジケータが備えられていることにより、エアポンプの異常検知が低コストで行えるので、養魚槽のイニシャルコストを抑えながら、水槽の中の養魚を確実に成長させることができる。
第5発明によれば、浄化槽に対してエアを供給する配管に第1発明から第4発明のいずれかのインジケータが備えられていることにより、エアポンプの異常検知が低コストで行えるので、浄化槽のイニシャルコストを抑えながら、悪臭が発生するのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るインジケータの正面方向からの断面図である。
【
図2】
図1のインジケータの斜視方向から見た分解図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係るインジケータの正面方向からの断面図である。
【
図5】
図4のインジケータの斜視方向から見た分解図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係るインジケータの正面方向からの断面図である。
【
図9】
図1のインジケータが使用されている養魚槽の説明図である。
【
図10】
図1のインジケータが使用されている浄化槽の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するためのインジケータ、養魚槽、浄化槽を例示するものであって、本発明はインジケータ、養魚槽、浄化槽を以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさまたは位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
【0011】
(第1実施形態)
図1には、本発明の第1実施形態に係るインジケータ10の正面方向からの断面図を示す。なお、各図において白抜き矢印は、流体ポンプが正常に動作している際に、インジケータ10を流れる流体の流れ方向を示している。本明細書では、この流れ方向に基づいて、上流側、下流側と表現することがある。すなわち
図1、
図3、
図4、
図6~
図8では右側が上流側であり、左側が下流側である。また、
図2には、第1実施形態に係るインジケータ10の斜視方向から見た分解図を示す。
【0012】
本実施形態に係るインジケータ10は、一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向けて流体が流れる筒状ハウジング20と、この筒状ハウジング20の内側に遊嵌している第1ピストン25と、この第1ピストン25を流体の流れ方向と逆方向に押圧する付勢部材が備えられている。そして流体ポンプが正常に動作している場合の流れ方向の力が、付勢部材の押圧力よりも大きい場合に、流体が前記筒状ハウジング内を通過し、インジケータ10の使用者が、筒状ハウジング20の側部にある透明部から、第1ピストン25の位置により流体の流れの状態を確認することができる。
【0013】
筒状ハウジング20は、上流側に位置するハウジング第1部材21と、下流側に位置するハウジング第2部材23と、ハウジング透明部材22と、を含んで構成されている。ハウジング第1部材21は、外径が比較的小さい円筒と、外径が比較的大きい円筒とを組み合わせた形状である。これら二つの円筒部分は、それぞれの軸心が一直線になるように、円筒の軸心方向に垂直な面で一体化されている。ハウジング第1部材21とハウジング第2部材23とは、同じ形状をしており、また材質も塩化ビニルで同じである。
【0014】
ハウジング透明部材22は、扁平な円筒形状である。外周の一部は、外周の他の部分よりも外径が大きくなっている。この外径が大きくなっている部分は、ハウジング第1部材21の外径が比較的大きい円筒の外径と同じ大きさである。ハウジング透明部材22の材質は、透明の塩化ビニルである。
【0015】
ハウジング透明部材22の両端に、ハウジング第1部材21とハウジング第2部材23とが嵌め込まれることで、筒状ハウジング20が形成されている。筒状ハウジング20がこのように構成されていることで、筒状ハウジング20は、側部に透明部を備えることができる。すなわち、ハウジング透明部材22の半径方向外側から筒状ハウジング20の内部を視認することが可能となる。なお、本明細書で筒状の形態を持つ部材についての「側部」は半径方向の外周を意味し、「端部」は筒状の軸心と垂直な面であって軸心の端に位置する面を意味する。
【0016】
第1ピストン25は、扁平な円筒の一方の軸方向端部に底面が設けられた形状をしている。第1ピストン25の外径は、筒状ハウジング20の内径、すなわちハウジング透明部材22の内径よりも小さく、筒状ハウジング20の軸方向に容易に動作することが可能となっている。
【0017】
第1ピストン25は、外周に異なる色彩のペンキを塗布しやすいように二つの部材から構成されている。これら二つの部材のうち、上流側に位置する部材はピストン上流側部材26である。このピストン上流側部材26の外周は青色で塗装されている。この青色で塗装された部分が、特許請求の範囲での第1色彩部分である。また下流側に位置する部材はピストン下流側部材27である。このピストン下流側部材27の外周は赤色で塗装されている。この赤色で塗装された部分が特許請求の範囲での第2色彩部分である。第1ピストン25の材質も、筒状ハウジング20と同様、塩化ビニルである。なお、本実施形態では、外周にペンキを塗布することで色彩を付したが、彩色の仕方はこれに限定されない。たとえば部材の原料に着色剤を混入した後成形することで彩色する場合などが考えられる。
【0018】
第1ピストン25の底面には、流体が通過するための通過孔が設けられている。通過孔は、第1ピストン25の軸心を中心にして4つ設けられている。通過孔は長孔である。そして、この長孔の2つの長辺は、第1ピストン25の軸心を中心とした円の一部を構成している。通過孔は、これらの長辺を円で結んだ形状である。
【0019】
本実施形態のインジケータ10において、付勢部材はコイルバネ31である。コイルバネ31の外径は、第1ピストン25の内径よりも小さい。コイルバネ31は、筒状ハウジング20内に、その軸方向に縮小された状態で組み込まれている。このため、コイルバネ31は、第1ピストン25の底面を、流体の流れ方向と逆の方向に押圧している。コイルバネ31の材質は、一般のばね鋼である。なお本実施形態で付勢部材はコイルバネ31が使用されたが、特にこれに限定されない。たとえば、ゴムなどの弾性体または、皿バネなどを用いることも可能である。
【0020】
(第1実施形態のインジケータの動作)
図3には、本実施形態のインジケータ10の動作説明図が示されている。この
図3と
図1とを用いて、本実施形態の動作を説明する。
図1では、第1ピストン25が上流側に位置しており、
図3では、第1ピストン25が下流側に位置している。
図1では、第1ピストン25が上流側に位置しているので、インジケータ10の使用者は、ハウジング透明部材22を通して第1ピストン25の外周が赤色であることを確認できる。他方
図3では第1ピストン25が下流側に位置しているので、インジケータ10の使用者は、ハウジング透明部材22を通して第1ピストン25の外周が青色であることを確認できる。
【0021】
図1で示すように、第1ピストン25が上流側に位置しているときは、流体がインジケータ10の中を正常に流れていないときである。このときの第1ピストン25の底面の上流側の圧力を圧力P
01、下流側の圧力を圧力P
02とする。この場合、圧力P
01から算出される第1ピストン25へ付加される力が、圧力
02から算出される第1ピストン25へ付加される力と付勢部材から付加される力との合計以下のときは、第1ピストン25は、上流側に位置した状態を保持する。この状態は、たとえばインジケータ10の上流側に接続している流体ポンプが正常に働いていない場合、またインジケータ10の下流側に接続している配管が詰まった場合などが挙げられる。
【0022】
図3で示すように、第1ピストン25が下流側に位置しているときは、流体がインジケータ10の中を正常に流れているときである。このときの第1ピストン25の底面の上流側の圧力を圧力P
03、下流側の圧力を圧力P
04とする。この場合、圧力
03から算出される第1ピストン25へ付加される力が、圧力P
04から算出される第1ピストン25へ付加される力と付勢部材から付加される力との合計よりも大きいときは、第1ピストン25は、
図1で示した状態から、
図3で示す下流側に位置した状態となる。この状態は、流体が第1ピストン25の底面にある通過孔が絞りの効果を生じるため、圧力P
04が圧力P
03よりも小さくなることにより生じる。
【0023】
インジケータ10を構成する主要部材が筒状をしている筒状ハウジング20であり、この筒状ハウジング20の一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向けて流体が流れ、インジケータ10が、第1ピストン25の中に設けられている付勢部材の押圧力よりも、流体の圧力から生じる力が大きい場合に流体を通過させる構成であるので、インジケータ10を流体ポンプの配管に組み込むことができる。これによりインジケータ10の設置スペースを小さくできる。また、インジケータ10には、ポンプの異常を検知する電気部品が必要ないため、ポンプの異常を検知する機能を有しながら、異常検知のためのシステムのコストを抑えることができる。
【0024】
第1ピストン25の外周に2つの異なる色彩が施されている部分がありポンプの動作に合わせて見える色彩が変更されることにより、インジケータ10の使用者が容易にポンプの異常を覚知できる。
【0025】
なお、本実施形態のインジケータ10では、筒状ハウジング20または第1ピストン25は円筒形状を採用しているが、特にこの形状に限定されず、「筒状」でありさえすれば問題ない。たとえば筒形状の軸心に垂直な断面の形状が、三角形など多角形である場合も含まれる。
【0026】
また、本実施形態のインジケータ10は、筒状ハウジング20は側部に透明部を備える構成であるが、他の発明として透明部がない構成を採用することもできる。透明部のない構成は、たとえば筒状ハウジング20に接触センサを内蔵させ、正常な流体の流れが生じるときにその接触センサから信号を出力させる構成である。
【0027】
(第2実施形態)
図4には、本発明の第2実施形態に係るインジケータ10の正面方向からの断面図を示す。また、
図5には、第1実施形態に係るインジケータ10の斜視方向から見た分解図を示す。
【0028】
本実施形態に係るインジケータ10と、第1実施形態のインジケータ10との相違点は、第1ピストン25の内側に遊嵌されている第2ピストン30が設けられている点である。この第2ピストン30は、筒状ハウジング20の軸方向に動作可能である。第2ピストン30は、扁平な円筒の一方の軸方向端部に底面が設けられた形状をしている。第2ピストン30の外径は、第1ピストン25の内径よりも小さい。第2ピストン30の材質も第1ピストン25と同様、塩化ビニルである。第2ピストンの底面の中央には、流体が通過するための通過孔が一つ設けられている。
【0029】
(第2実施形態のインジケータの動作)
図6には、本実施形態のインジケータ10の動作説明図が示されている。この
図6と
図4とを用いて、本実施形態の動作を説明する。
図4では、第1ピストン25が上流側に位置しており、
図6では、第1ピストン25が下流側に位置している。
図4では、第1ピストン25が上流側に位置しているので、インジケータ10の使用者は、ハウジング透明部材22を通して第1ピストン25の外周が赤色であることを確認できる。他方
図6では第1ピストン25が下流側に位置しているので、インジケータ10の使用者は、ハウジング透明部材22を通して第1ピストン25の外周が青色であることを確認できる。
【0030】
図4で示すように、第1ピストン25が上流側に位置しているときは、流体がインジケータ10の中を正常に流れていないときである。このときの第1ピストン25の底面の上流側の圧力を圧力P
11、下流側の圧力を圧力P
12とする。この場合、圧力P
11から算出される第1ピストン25へ付加される力が、圧力P
12から算出される第1ピストン25へ付加される力と付勢部材から付加される力との合計以下のときは、第1ピストン25は、上流側に位置した状態を保持する。この状態はたとえば、インジケータ10の上流側に接続している流体ポンプが正常に働いていない場合、またインジケータ10の下流側に接続している配管が詰まった場合などが挙げられる。
【0031】
図6で示すように、第1ピストン25が下流側に位置しているときは、流体がインジケータ10の中を正常に流れているときである。このときの第1ピストン25の底面の上流側の圧力を圧力P
13、下流側の圧力を圧力P
14とする。この場合、圧力P
13から算出される第1ピストン25へ付加される力が、圧力P
14から算出される第1ピストン25へ付加される力と付勢部材から付加される力との合計よりも大きいときは、第1ピストン25は、
図4で示した状態から、
図6で示す下流側に位置した状態となる。インジケータ10に流される流体が、エアのように圧縮性があったり、粘度が小さかったりした場合、圧力P
13と圧力P
14との差を生じさせるためには、絞りの効果を大きくする必要がある。第2実施形態では、第1ピストン25の底面と第2ピストン30の底面との間の距離を小さくして、筒状ハウジング20内で表示のために動作する機構以外の絞り機構が設けられ、絞りの効果を大きくしている。第1ピストン25の底面と第2ピストンの底面との間の距離は、付勢部材の押圧力を適切に選定することで調整可能である。
図6に示す状態は、絞りの効果を大きくでき、圧力P
14が圧力P
13よりも小さくなることにより生じる。
【0032】
第1ピストン25の内側に遊嵌され、筒状ハウジング20の軸方向に動作可能な第2ピストン30が備えられていることにより、第1ピストン25と第2ピストン30との間に絞り効果が生じ、流体ポンプの吐出圧力が小さい場合、特に流体ポンプがエアポンプである場合であっても、第1ピストン25の上流側と下流側との間に圧力差が生じ、第1ピストン25を所定の位置に動作させることができる。
【0033】
なお、本実施形態のインジケータ10では、筒状ハウジング20、第1ピストン25、第2ピストン30は円筒形状を採用しているが、特にこの形状に限定されず、「筒状」でありさえすれば問題ない。たとえば筒形状の軸心に垂直な断面の形状が、三角形など多角形である場合も含まれる。
【0034】
また、本実施形態のインジケータ10は、筒状ハウジング20は側部に透明部を備える構成であるが、他の発明として透明部がない構成を採用することもできる。透明部のない構成は、たとえば筒状ハウジング20に接触センサを内蔵させ、正常な流体の流れが生じるときにその接触センサから信号を出力させる構成である。
【0035】
(第3実施形態)
図7には、本発明の第3実施形態に係るインジケータ10の正面方向からの断面図を、
図8には、その動作説明図を示す。
【0036】
本実施形態に係るインジケータ10と、第1実施形態のインジケータ10との相違点は、第1ピストン25の通過孔の下流側に、弁体32が設けられている点である。本実施形態では第1ピストン25の通過孔は円形であり、その円形の通過孔をふさぐように薄片の弁体32が設けられている。この弁体32の一部は、第1ピストン25の底面と接合されており、他の部分は接合されていない。流体が正常に流れている場合は、
図8に示すように、弁体32は、第1ピストン25と接合されていない部分がめくれあがるようになる。このような構成であることで、流体が正常に流れる場合の流れ方向と逆方向の流れを生じた場合は、弁体32によりその流れが遮断される。
【0037】
(第3実施形態のインジケータの動作)
図7、
図8を用いて、本実施形態の動作を説明する。
図7では、第1ピストン25が上流側に位置しており、
図8では、第1ピストン25が下流側に位置している。
図7では、第1ピストン25が上流側に位置しているので、インジケータ10の使用者は、ハウジング透明部材22を通して第1ピストン25の外周が赤色であることを確認できる。他方
図8では第1ピストン25が下流側に位置しているので、インジケータ10の使用者は、ハウジング透明部材22を通して第1ピストン25の外周が青色であることを確認できる。
【0038】
図7で示すように、第1ピストン25が上流側に位置しているときは、流体がインジケータ10の中を正常に流れていないときである。このときの第1ピストン25の底面の上流側の圧力を圧力P
21、下流側の圧力を圧力P
22とする。この場合、圧力P
21から算出される第1ピストン25へ付加される力が、圧力P
22から算出される第1ピストン25へ付加される力と付勢部材から付加される力との合計以下のときは、第1ピストン25は、上流側に位置した状態を保持する。この状態はたとえば、インジケータ10の上流側に接続している流体ポンプが正常に働いていない場合、またインジケータ10の下流側に接続している配管が詰まった場合などが挙げられる。
【0039】
図8で示すように、第1ピストン25が下流側に位置しているときは、流体がインジケータ10の中を正常に流れているときである。このときの第1ピストン25の底面の上流側の圧力を圧力P
23、下流側の圧力を圧力P
24とする。この場合、圧力P
23から算出される第1ピストン25へ付加される力が、圧力P
24から算出される第1ピストン25へ付加される力と付勢部材から付加される力との合計よりも大きいときは、第1ピストン25は、
図7で示した状態から、
図8で示す下流側に位置した状態となる。インジケータ10に流される流体が、エアのように圧縮性があったり、粘度が小さかったりした場合、圧力P23と圧力P24との差を生じさせるためには、絞りの効果を大きくする必要がある。第3実施形態では、弁体32が設けられていることにより、筒状ハウジング20内で表示のために動作する機構以外の絞り機構が設けられ、絞りの効果を大きくしている。
図8に示す状態は、絞りの効果を大きくでき、圧力P
24が圧力P
23よりも小さくなることにより生じる。
【0040】
第1ピストン25の流体の通過孔の流れ方向の下流側に、流体の流れ方向と逆方向の流れを遮断する弁体32が設けられていることにより、この弁体32により絞り効果が生じ、流体ポンプの吐出圧力が小さい場合、特に流体ポンプがエアポンプである場合であっても、第1ピストン25の上流側と下流側との間に圧力差が生じ、第1ピストン25を所定の位置に動作させることができる。
【0041】
なお、本実施形態のインジケータ10では、筒状ハウジング20または第1ピストン25は円筒形状を採用しているが、特にこの形状に限定されず、「筒状」でありさえすれば問題ない。たとえば筒形状の軸心に垂直な断面の形状が、三角形など多角形である場合も含まれる。
【0042】
また、本実施形態のインジケータ10は、筒状ハウジング20は側部に透明部を備える構成であるが、他の発明として透明部がない構成を採用することもできる。透明部のない構成は、たとえば筒状ハウジング20に接触センサを内蔵させ、正常な流体の流れが生じるときにその接触センサから信号を出力させる構成である。
【0043】
(養魚槽)
図9には、本発明のインジケータ10が使用されている養魚槽16を示す。養魚槽16は、水槽13と、この水槽13にエアを供給するためのエアポンプ11と、本発明に係るインジケータ10と、を含んで構成されている。また、エアポンプ11から供給されたエアは、エア配管の先端に設けられているエアストーン12において、細かい泡になり、このエアストーン12から水中に放出される。
【0044】
養魚槽16に対してエアを供給する配管にインジケータ10が備えられていることにより、エアポンプの異常検知が低コストで行えるので、養魚槽16のイニシャルコストを抑えながら、水槽の中の養魚を確実に成長させることができる。
【0045】
(浄化槽)
図10には、本発明のインジケータ10が使用されている浄化槽17を示す。浄化槽17は、仕切りを備えたタンク14と、このタンク14にエアを供給するためにエアポンプ11と、本発明に係るインジケータ10と、を含んで構成されている。
【0046】
浄化槽17に対してエアを供給する配管にインジケータ10が備えられていることにより、エアポンプの異常検知が低コストで行えるので、浄化槽のイニシャルコストを抑えながら、悪臭が発生するのを確実に防止することができる。
【0047】
本発明に係るインジケータ10は、付勢部材の押圧力を調整することにより、ポンプ側の圧力を精度よく検出するセンサとして使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本明細書では、本発明のインジケータ10は、エア用のポンプに接続していたが特にこれに限定されない。たとえば水などの液体に対して使用することも可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 インジケータ
16 養魚槽
17 浄化槽
20 筒状ハウジング
25 第1ピストン
30 第2ピストン
31 コイルバネ(付勢部材)
32 弁体