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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/91 20110101AFI20220523BHJP
【FI】
H01R12/91
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018149402
(22)【出願日】2018-08-08
(65)【公開番号】P2020024878
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】橋口 徹
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-230945(JP,A)
【文献】特開2014-146472(JP,A)
【文献】特開2018-37150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタと上下方向に沿って嵌合可能なコネクタであって、
前記コネクタは、固定ハウジングと、可動ハウジングと、複数のコンタクトとを備えており、
前記固定ハウジングは、ハウジング収容部と、前記コンタクトに夫々対応する複数の保持部とを有しており、
前記ハウジング収容部は、上方に開口しており、
前記保持部は、前記上下方向と直交するピッチ方向に並んでおり、
前記可動ハウジングは、少なくとも部分的に前記ハウジング収容部の内部に収容されており、
前記可動ハウジングは、前記上下方向に沿って前記固定ハウジングに対して相対的に移動可能であり、且つ、前記上下方向と直交する水平面に沿って前記固定ハウジングに対して相対的に移動可能であり、
前記可動ハウジングは、受容部と、前記コンタクトに夫々対応する複数のコンタクト収容部と、1以上の仕切部とを有しており、
前記受容部は、上方に開口しており、前記コネクタと前記相手側コネクタとが互いに嵌合した嵌合状態において、少なくとも部分的に前記相手側コネクタを受容し、
前記コンタクト収容部は、前記ピッチ方向に並んでおり、且つ、前記上下方向及び前記ピッチ方向の双方と直交する幅方向において前記受容部と連通しており、
前記仕切部の夫々は、前記ピッチ方向において、隣り合う2つの前記コンタクト収容部の間に位置しており、
前記コンタクトの夫々は、被保持部と、弾性変形部とを有しており、
前記被保持部の夫々は、対応する前記保持部に保持されており、
前記弾性変形部の夫々は、弾性変形可能であり、且つ、被収容部を有しており、
前記被収容部の夫々は、前記コネクタと前記相手側コネクタとが互いに離れた分離状態において、対応する前記コンタクト収容部の内部に収容されており、
前記弾性変形部の夫々には、第1接点と、第2接点とが設けられており、
前記コンタクトの夫々の前記第1接点と前記第2接点とは、前記分離状態において、前記幅方向に対向しており、
前記弾性変形部の夫々は、前記可動ハウジングを前記固定ハウジングに対して相対的に移動させることなく、前記固定ハウジングに対して相対的に移動可能である
コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記可動ハウジングは、前記弾性変形部の夫々を前記固定ハウジングに対して相対的に移動させることなく、前記固定ハウジングに対して相対的に移動可能である
コネクタ。
【請求項3】
相手側コネクタと上下方向に沿って嵌合可能なコネクタであって、
前記コネクタは、固定ハウジングと、可動ハウジングと、複数のコンタクトとを備えており、
前記固定ハウジングは、ハウジング収容部と、前記コンタクトに夫々対応する複数の保持部とを有しており、
前記ハウジング収容部は、上方に開口しており、
前記保持部は、前記上下方向と直交するピッチ方向に並んでおり、
前記可動ハウジングは、少なくとも部分的に前記ハウジング収容部の内部に収容されており、
前記可動ハウジングは、前記上下方向に沿って前記固定ハウジングに対して相対的に移動可能であり、且つ、前記上下方向と直交する水平面に沿って前記固定ハウジングに対して相対的に移動可能であり、
前記可動ハウジングは、受容部と、前記コンタクトに夫々対応する複数のコンタクト収容部と、1以上の仕切部とを有しており、
前記受容部は、上方に開口しており、前記コネクタと前記相手側コネクタとが互いに嵌合した嵌合状態において、少なくとも部分的に前記相手側コネクタを受容し、
前記コンタクト収容部は、前記ピッチ方向に並んでおり、且つ、前記上下方向及び前記ピッチ方向の双方と直交する幅方向において前記受容部と連通しており、
前記仕切部の夫々は、前記ピッチ方向において、隣り合う2つの前記コンタクト収容部の間に位置しており、
前記コンタクトの夫々は、被保持部と、弾性変形部とを有しており、
前記被保持部の夫々は、対応する前記保持部に保持されており、
前記弾性変形部の夫々は、弾性変形可能であり、且つ、被収容部を有しており、
前記被収容部の夫々は、前記コネクタと前記相手側コネクタとが互いに離れた分離状態において、対応する前記コンタクト収容部の内部に収容されており、
前記弾性変形部の夫々には、第1接点と、第2接点とが設けられており、
前記コンタクトの夫々の前記第1接点と前記第2接点とは、前記分離状態において、前記幅方向に対向しており、
前記可動ハウジングは、前記弾性変形部の夫々を前記固定ハウジングに対して相対的に移動させることなく、前記固定ハウジングに対して相対的に移動可能である
コネクタ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載のコネクタであって、
前記固定ハウジングは、移動制限部を有しており、
前記可動ハウジングは、被制限部を有しており、
前記移動制限部は、前記被制限部の上方に位置しており、前記可動ハウジングの前記固定ハウジングに対する相対的な上方への移動を所定範囲内に制限している
コネクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載のコネクタであって、
前記可動ハウジングは、規制部を有しており、
前記被収容部の夫々は、被規制部を有しており、
前記規制部は、少なくとも前記分離状態において、前記幅方向における前記被規制部と前記受容部との間に位置しており、前記被規制部の前記受容部へ向かう移動を規制している
コネクタ。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載のコネクタであって、
前記可動ハウジングは、天板部を有しており、
前記被収容部の夫々は、少なくとも部分的に前記天板部の真下に位置している
コネクタ。
【請求項7】
請求項記載のコネクタであって、
前記天板部は、外側端部と、規制部とを有しており、
前記外側端部と前記受容部とは、前記幅方向に並んでおり、
前記規制部は、前記外側端部から下方に延びており、
前記被収容部の夫々は、被規制部を有しており、
前記規制部は、少なくとも前記分離状態において、前記幅方向における前記被規制部と前記受容部との間に位置しており、前記被規制部の前記受容部へ向かう移動を規制している
コネクタ。
【請求項8】
請求項又は請求項記載のコネクタであって、
前記可動ハウジングは、付加的天板部を有しており、
前記弾性変形部の夫々は、部分的に前記付加的天板部の真下に位置している
コネクタ。
【請求項9】
請求項記載のコネクタであって、
前記付加的天板部は、内側端部と、付加的規制部とを有しており、
前記内側端部と前記受容部とは、前記幅方向に並んでおり、
前記付加的規制部は、前記内側端部から下方に延びており、
前記弾性変形部の夫々において前記付加的天板部の真下に位置する部位は、付加的被規制部を有しており、
前記付加的規制部は、少なくとも前記分離状態において、前記幅方向における前記付加的被規制部と前記受容部との間に位置しており、前記付加的被規制部の前記受容部へ向かう移動を規制している
コネクタ。
【請求項10】
請求項1から請求項までのいずれかに記載のコネクタであって、
前記受容部は、少なくとも部分的に前記ハウジング収容部の内部に位置している
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの接点を有するコンタクトを備えたフローティングコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、2つの接点を有するコンタクトを備えたコネクタが開示されている。
【0003】
図17を参照すると、特許文献1に開示されたコネクタ90は、ハウジング92と、ハウジング92に保持された複数の端子(コンタクト)96とを備えている。ハウジング92は、周壁922と、立壁924とを有している。図18を参照すると、コンタクト96の夫々は、フロント接点964が設けられたフロント弾性腕962と、リア接点968が設けられたリア弾性腕966とを有している。フロント弾性腕962及びリア弾性腕966の夫々は、上下方向(嵌合方向)に長く延びており、これにより弾性変形し易い。コネクタ90が相手側コネクタ(図示せず)と嵌合すると、フロント弾性腕962及びリア弾性腕966の夫々は弾性変形し、フロント接点964及びリア接点968の2つの接点は、相手側コンタクト(図示せず)と接触する。
【0004】
図17から理解されるように、立壁924を周壁922に対して移動可能に形成すると、特許文献1のコネクタ90は、2つの接点を夫々有する複数のコンタクト96を備えたフローティングコネクタになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5457595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、フローティングコネクタのコンタクトは、相手側コンタクトと確実に接触するために2つの接点を有することが好ましい。しかしながら、特許文献1のコンタクトは、嵌合方向において長く延ばす必要がある。従って、特許文献1のコンタクトを備えたフローティングコネクタは、嵌合方向におけるサイズが大きくなり易い。
【0007】
そこで、本発明は、2つの接点を有するコンタクトを備えたフローティングコネクタであって、嵌合方向におけるサイズを小さくできるフローティングコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1のコネクタとして、
相手側コネクタと上下方向に沿って嵌合可能なコネクタであって、
前記コネクタは、固定ハウジングと、可動ハウジングと、複数のコンタクトとを備えており、
前記固定ハウジングは、ハウジング収容部と、前記コンタクトに夫々対応する複数の保持部とを有しており、
前記ハウジング収容部は、上方に開口しており、
前記保持部は、前記上下方向と直交するピッチ方向に並んでおり、
前記可動ハウジングは、少なくとも部分的に前記ハウジング収容部の内部に収容されており、
前記可動ハウジングは、前記上下方向に沿って前記固定ハウジングに対して相対的に移動可能であり、且つ、前記上下方向と直交する水平面に沿って前記固定ハウジングに対して相対的に移動可能であり、
前記可動ハウジングは、受容部と、前記コンタクトに夫々対応する複数のコンタクト収容部と、1以上の仕切部とを有しており、
前記受容部は、上方に開口しており、前記コネクタと前記相手側コネクタとが互いに嵌合した嵌合状態において、少なくとも部分的に前記相手側コネクタを受容し、
前記コンタクト収容部は、前記ピッチ方向に並んでおり、且つ、前記上下方向及び前記ピッチ方向の双方と直交する幅方向において前記受容部と連通しており、
前記仕切部の夫々は、前記ピッチ方向において、隣り合う2つの前記コンタクト収容部の間に位置しており、
前記コンタクトの夫々は、被保持部と、弾性変形部とを有しており、
前記被保持部の夫々は、対応する前記保持部に保持されており、
前記弾性変形部の夫々は、弾性変形可能であり、且つ、被収容部を有しており、
前記被収容部の夫々は、前記コネクタと前記相手側コネクタとが互いに離れた分離状態において、対応する前記コンタクト収容部の内部に収容されており、
前記弾性変形部の夫々には、第1接点と、第2接点とが設けられており、
前記コンタクトの夫々の前記第1接点と前記第2接点とは、前記分離状態において、前記幅方向に対向している
コネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記固定ハウジングは、移動制限部を有しており、
前記可動ハウジングは、被制限部を有しており、
前記移動制限部は、前記被制限部の上方に位置しており、前記可動ハウジングの前記固定ハウジングに対する相対的な上方への移動を所定範囲内に制限している
コネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第3のコネクタとして、第1又は第2のコネクタであって、
前記可動ハウジングは、規制部を有しており、
前記被収容部の夫々は、被規制部を有しており、
前記規制部は、少なくとも前記分離状態において、前記幅方向における前記被規制部と前記受容部との間に位置しており、前記被規制部の前記受容部へ向かう移動を規制している
コネクタを提供する。
【0011】
また、本発明は、第4のコネクタとして、第1又は第2のコネクタであって、
前記可動ハウジングは、天板部を有しており、
前記被収容部の夫々は、少なくとも部分的に前記天板部の真下に位置している
コネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第5のコネクタとして、第4のコネクタであって、
前記天板部は、外側端部と、規制部とを有しており、
前記外側端部と前記受容部とは、前記幅方向に並んでおり、
前記規制部は、前記外側端部から下方に延びており、
前記被収容部の夫々は、被規制部を有しており、
前記規制部は、少なくとも前記分離状態において、前記幅方向における前記被規制部と前記受容部との間に位置しており、前記被規制部の前記受容部へ向かう移動を規制している
コネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第6のコネクタとして、第4又は第5のコネクタであって、
前記可動ハウジングは、付加的天板部を有しており、
前記弾性変形部の夫々は、部分的に前記付加的天板部の真下に位置している
コネクタを提供する。
【0014】
また、本発明は、第7のコネクタとして、第6のコネクタであって、
前記付加的天板部は、内側端部と、付加的規制部とを有しており、
前記内側端部と前記受容部とは、前記幅方向に並んでおり、
前記付加的規制部は、前記内側端部から下方に延びており、
前記弾性変形部の夫々において前記付加的天板部の真下に位置する部位は、付加的被規制部を有しており、
前記付加的規制部は、少なくとも前記分離状態において、前記幅方向における前記付加的被規制部と前記受容部との間に位置しており、前記付加的被規制部の前記受容部へ向かう移動を規制している
コネクタを提供する。
【0015】
また、本発明は、第8のコネクタとして、第1から第7までのいずれかのコネクタであって、
前記受容部は、少なくとも部分的に前記ハウジング収容部の内部に位置している
コネクタを提供する。
【0016】
また、本発明は、第9のコネクタとして、第1から第8までのいずれかのコネクタであって、
前記弾性変形部の夫々は、前記可動ハウジングを前記固定ハウジングに対して相対的に移動させることなく、前記固定ハウジングに対して相対的に移動可能である
コネクタを提供する。
【0017】
また、本発明は、第10のコネクタとして、第1から第9までのいずれかのコネクタであって、
前記可動ハウジングは、前記弾性変形部の夫々を前記固定ハウジングに対して相対的に移動させることなく、前記固定ハウジングに対して相対的に移動可能である
コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コネクタの可動ハウジングは、コネクタの固定ハウジングに対して相対的に移動可能である。また、本発明によるコンタクトの夫々は、2つの接点(第1接点及び第2接点)を有している。即ち、本発明によるコネクタは、2つの接点を有するコンタクトを備えたフローティングコネクタである。
【0019】
本発明によれば、弾性変形可能な1つの弾性変形部に2つの接点(第1接点及び第2接点)を設けることができる。例えば、弾性変形部を蛇行するような形状に形成することで、弾性変形部のバネ性を維持しつつ、上下方向(嵌合方向)におけるコンタクトのサイズを小さくでき、これにより嵌合方向におけるコネクタのサイズを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態によるコネクタと相手側コネクタとを示す斜視図である。コネクタ及び相手側コネクタは互いに離れている。
図2図1のコネクタ及び相手側コネクタを示す斜視図である。コネクタ及び相手側コネクタは互いに嵌合している。
図3図2のコネクタ及び相手側コネクタを示す側面図である。コネクタが搭載される回路基板の一部及び相手側コネクタが搭載される相手側回路基板の一部を破線で描画している。
図4図2のコネクタ及び相手側コネクタを示す別の側面図である。
図5図4のコネクタ及び相手側コネクタをV-V線に沿って示す断面図である。
図6図4のコネクタ及び相手側コネクタをVI-VI線に沿って示す別の断面図である。コネクタの可動ハウジングは、図5の位置から幅方向に沿って移動している。
図7図1の相手側コネクタを示す斜視図である。
図8図7の相手側コネクタを示す平面図である。相手側コネクタと嵌合した際のコネクタの可動ハウジングの中間部の輪郭を破線で描画している。
図9図8の相手側コネクタをIX-IX線に沿って示す断面図である。相手側回路基板の一部を破線で描画している。
図10図1のコネクタを示す斜視図である。
図11図1のコネクタを示す分解斜視図である。コンタクトのうちの1つを拡大して描画している。
図12図10のコネクタを示す分解斜視図である。コンタクトのうちの1つを拡大して描画している。
図13図1のコネクタを示す側面図である。回路基板の一部を破線で描画している。
図14図1のコネクタを示す平面図である。
図15図14のコネクタをXV-XV線に沿って示す断面図である。
図16図10のコネクタを示す平面図である。
図17】特許文献1のコネクタを示す斜視図である。
図18図17のコネクタの端子のうちの1つを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から図4までを参照すると、本発明の実施の形態によるコネクタ10は、相手側コネクタ60と上下方向(Z方向:嵌合方向)に沿って嵌合可能である。コネクタ10と嵌合した相手側コネクタ60は、コネクタ10からZ方向に沿って抜去可能である。本実施の形態において、コネクタ10は、回路基板82に搭載される基板コネクタであり、相手側コネクタ60は、相手側回路基板86に搭載される基板コネクタである。また、コネクタ10は、レセプタクルであり、相手側コネクタ60は、プラグである。但し、本発明は、これに限られず、様々なコネクタに適用可能である。
【0022】
図1及び図7から図9までを参照すると、相手側コネクタ60は、絶縁体からなる相手側ハウジング62と、導電体からなる複数の相手側コンタクト68とを備えている。相手側ハウジング62は、基部622と、相手側周壁部624とを有している。図9を参照すると、基部622は、相手側コネクタ60の使用時に、相手側回路基板86に搭載され固定される。図7及び図8を参照すると、相手側周壁部624は、Z方向と直交する水平面(XY平面)において基部622の外周に沿って延びており、Z方向において基部622から離れるように延びている。相手側周壁部624は、2つの相手側側壁626を有している。相手側側壁626の夫々は、YZ平面に沿って延びている。
【0023】
図7から図9に示されるように、相手側ハウジング62には、相手側受容部628が形成されている。相手側受容部628は、XY平面において相手側周壁部624によって囲まれた空間である。2つの相手側側壁626は、Z方向と直交する幅方向(X方向)において相手側受容部628を挟んで互いに反対側に位置している。相手側受容部628は、コネクタ10(図1参照)と相手側コネクタ60とが互いに離れた分離状態(図1参照)において、基部622のZ方向における反対側に開口している。図5を参照すると、相手側受容部628は、コネクタ10と相手側コネクタ60とが互いに嵌合した嵌合状態において、コネクタ10を少なくとも部分的に受容する。
【0024】
図1図7及び図8を参照すると、相手側コンタクト68は、互いに同じ形状を有しており、X方向において、2つの相手側側壁626に夫々対応する2列に分けられている。2列の相手側コンタクト68は、YZ平面について鏡対称に配置されている。各列の相手側コンタクト68は、対応する相手側側壁626に保持されており、X方向及びZ方向の双方と直交するピッチ方向(Y方向)において等間隔に並べられている。
【0025】
図7及び図9を参照すると、相手側コンタクト68の夫々は、曲げを有する1枚の金属板であり、相手側被固定部682と、相手側第1接触部684と、相手側第2接触部686とを有している。相手側被固定部682の夫々は、基部622に部分的に埋め込まれており、基部622からX方向外側に突出している。相手側被固定部682の夫々は、相手側コネクタ60の使用時に、相手側回路基板86の導電パッド(図示せず)に半田付け等によって固定され接続される。相手側第1接触部684の夫々は、対応する相手側側壁626の内壁に埋め込まれており、相手側受容部628の内部に部分的に露出しつつ、Z方向に沿って延びている。相手側第2接触部686の夫々は、対応する相手側側壁626の外壁に埋め込まれており、相手側ハウジング62の外部に部分的に露出しつつ、Z方向に沿って延びている。
【0026】
本実施の形態の相手側コネクタ60は、上述の構造を有している。但し、相手側コネクタ60の構造は、コネクタ10の構造に合わせて様々に変形可能である。
【0027】
図1及び図10から図12までを参照すると、コネクタ10は、絶縁体からなる固定ハウジング20と、絶縁体からなる可動ハウジング30と、導電体からなり相手側コンタクト68に夫々対応する複数のコンタクト40とを備えている。本実施の形態のコネクタ10は、上述の部材のみを備えている。但し、コネクタ10は、別の部材を更に備えていてもよい。以下、コネクタ10の各部材の構造について説明する。
【0028】
図13を参照すると、固定ハウジング20は、コネクタ10の使用時に、回路基板82に搭載され固定される。図11及び図12を参照すると、固定ハウジング20は、周壁部24と、ハウジング収容部28とを有している。本実施の形態の周壁部24は、XY平面において矩形フレーム形状を有している。また、ハウジング収容部28は、XY平面において周壁部24によって囲まれた空間であり、上方(+Z方向)及び下方(-Z方向)に開口している。但し、ハウジング収容部28は、上方のみに開口していてもよい。
【0029】
周壁部24は、2つの側壁242と、2つの連結壁(移動制限部)244とを有している。側壁242の夫々は、Y方向に沿って延びている。2つの側壁242は、X方向においてハウジング収容部28を挟んで互いに反対側に位置している。連結壁244の夫々は、X方向に沿って延びており、2つの側壁242をX方向に連結している。
【0030】
固定ハウジング20は、コンタクト40に夫々対応する複数の保持部26を有している。後述するように、保持部26の夫々は、対応するコンタクト40を保持する。本実施の形態の保持部26は、X方向において2列に分かれている。各列の保持部26は、互いに同じ形状を有しており、Y方向において等間隔に並んでいる。本実施の形態において、2列の保持部26は、2つの側壁242に夫々対応して設けられており、YZ平面について鏡対称に配置されている。より具体的には、保持部26の夫々は、側壁242の内壁に形成された溝である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、保持部26の夫々は、対応するコンタクト40を保持できる限り、どのような構造を有していてもよい。また、保持部26は、2つの側壁242のうちの一方のみに形成されていてもよい。換言すれば、固定ハウジング20は、Y方向に並ぶ保持部26を1列のみ有していてもよい。
【0031】
図1図11及び図12を参照すると、本実施の形態の可動ハウジング30は、中間部32と、2つの外壁部34と、2つの鍔部(被制限部)36とを有している。中間部32及び外壁部34の夫々は、可動ハウジング30の下端(-Z側の端)から上方に突出しており、且つ、Y方向に沿って延びている。中間部32は、X方向において2つの外壁部34の間に位置している。中間部32のX方向両側の下端は、2つの外壁部34の下端と夫々繋がっている。鍔部36は、可動ハウジング30のY方向両側に夫々位置している。鍔部36の夫々は、可動ハウジング30の下端から、Y方向外側に突出しており、XY平面に沿って平板状に延びている。本実施の形態の可動ハウジング30は、上述の中間部32、外壁部34及び鍔部36を有している。但し、後述するように、可動ハウジング30の構造は様々に変形可能である。
【0032】
図1図11及び図14を参照すると、可動ハウジング30は、2つの受容部38を有している。受容部38の夫々は、上方に開口した空間である。図5を参照すると、本実施の形態の2つの受容部38は、嵌合状態において、相手側コネクタ60の2つの相手側側壁626を夫々部分的に受容する。但し、本発明は、これに限られず、受容部38は、嵌合状態において、相手側コネクタ60の相手側コンタクト68が設けられた部位を受容すればよい。即ち、受容部38の夫々は、嵌合状態において、相手側コネクタ60を少なくとも部分的に受容すればよい。
【0033】
本実施の形態において、2つの受容部38は、2つの外壁部34に夫々対応している。受容部38の夫々は、X方向において、対応する外壁部34と中間部32との間に位置している。但し、可動ハウジング30に1以上の受容部38が設けられている限り、受容部38の構造は様々に変形可能である。例えば、可動ハウジング30に外壁部34が設けられていない場合、中間部32のX方向両側に位置する2つの空間が受容部38として夫々機能してもよい。また、可動ハウジング30に中間部32が設けられていない場合、X方向において2つの外壁部34の間に位置する空間が受容部38として機能してもよい。
【0034】
図10図12及び図16とを参照すると、本実施の形態の中間部32は、2つの端板部322と、分離部324とを有している。図12を参照すると、端板部322は、Y方向における中間部32の両端に夫々位置している。端板部322の夫々は、XZ平面と平行に延びている。分離部324は、2つの端板部322の間をY方向に沿って延びている。詳しくは、分離部324は、中間部32のX方向における中間に位置しており、YZ平面に沿って延びている。本実施の形態の可動ハウジング30は、上述のように形成された端板部322及び分離部324を有している。但し、本発明は、これに限られず、端板部322及び分離部324の夫々は、後述するように、必要に応じて設ければよい。
【0035】
図11及び図14を参照すると、本実施の形態において、中間部32は、天板部326を有しており、外壁部34の夫々は、付加的天板部346を有している。天板部326は、中間部32の上端(+Z側の端)に位置しており、全体としてXY平面と平行に延びている。付加的天板部346の夫々は、外壁部34の上端に位置しており、全体としてXY平面と平行に延びている。即ち、本実施の形態の可動ハウジング30は、中間部32の上端に位置する天板部326と、外壁部34の上端に夫々位置する2つの付加的天板部346とを有している。本実施の形態において、天板部326及び付加的天板部346の夫々は、可動ハウジング30の一部である。但し、本発明は、これに限られず、天板部326及び付加的天板部346の夫々は、可動ハウジング30と別体の部材であってもよいし、後述するように、必要に応じて設ければよい。
【0036】
図11及び図12を参照すると、可動ハウジング30は、コンタクト40に夫々対応する複数のコンタクト収容部352を有している。コンタクト収容部352の夫々は、下方に開口した空間である。コンタクト収容部352は、X方向において2列に分かれている。各列のコンタクト収容部352は、互いに同じ形状を有しており、Y方向において等間隔に並んでいる。2列のコンタクト収容部352は、YZ平面について鏡対称に配置されている。また、2列のコンタクト収容部352は、2つの受容部38に夫々対応するように設けられている。即ち、2列のコンタクト収容部352は、2つの外壁部34に夫々対応している。
【0037】
図12及び図15を参照すると、コンタクト収容部352の夫々は、Y方向において一定のサイズを保ちつつ、X方向において、対応する外壁部34のX方向外側の端と中間部32の分離部324との間を延びている。コンタクト収容部352の夫々は、対応する受容部38とX方向において連通している。詳しくは、コンタクト収容部352の夫々は、外側部352Sと、中間部352Mと、内側部352Uとを含んでいる。外側部352Sの夫々は、対応する外壁部34の付加的天板部346の下に位置しており、対応する受容部38に隣接してX方向外側に位置している。中間部352Mの夫々は、対応する受容部38の下に位置している。内側部352Uの夫々は、中間部32の天板部326の下に位置しており、対応する受容部38に隣接してX方向内側に位置している。
【0038】
図12及び図14を参照すると、可動ハウジング30は、複数の仕切部354と、複数の連結部358とを有している。図12を参照すると、仕切部354の夫々は、Y方向において、隣り合う2つのコンタクト収容部352の間に位置しており、X方向において、対応する外壁部34のX方向外側の端と中間部32の分離部324との間を延びている。連結部358は、コンタクト収容部352に夫々対応して設けられている。連結部358の夫々は、対応するコンタクト収容部352のY方向両側の内壁を互いに連結している。
【0039】
本実施の形態のコンタクト収容部352は、上述のように形成され配置されている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コンタクト収容部352の夫々のY方向におけるサイズは、一定でなくてもよい。コンタクト収容部352は、外壁部34の一方にのみ対応して設けられていてもよい。換言すれば、可動ハウジング30は、Y方向に並ぶコンタクト収容部352及び仕切部354を一列のみ有していてもよい。この場合、コンタクト収容部352の数は2であってもよく、仕切部354の数は1であってもよい。即ち、可動ハウジング30は、2以上のコンタクト収容部352と、1以上の仕切部354とを有していればよい。
【0040】
図11及び図12を参照すると、本実施の形態のコンタクト40は、互いに同じ形状を有しており、コンタクト収容部352に夫々対応するようにして、X方向において2列に分けられている。即ち、2列のコンタクト40は、YZ平面について鏡対称に配置されている。各列のコンタクト40は、Y方向において等間隔に並べられている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コンタクト40は、互いに異なる形状を有していてもよい。また、コネクタ10は、Y方向に並ぶコンタクト40を1列のみ備えていてもよい。
【0041】
本実施の形態のコンタクト40の夫々は、曲げを有する1枚の金属板であり、被固定部42と、被保持部44と、弾性変形部46とを有している。被固定部42は、X方向に沿って延びている。被保持部44は、被固定部42のX方向内側の端から、上方に延びている。弾性変形部46は、XZ平面において蛇行しつつ延びており、これにより弾性変形可能である。詳しくは、弾性変形部46の夫々は、外側部462と、底部464と、内側部466とを有している。外側部462は、被保持部44の上端からX方向内側及び上方に向かって弧状に延びた後、X方向内側に向かって部分的に張り出しつつ、X方向内側及び下方に向かって延びている。底部464は、外側部462の下端からX方向内側に向かって延びている。内側部466は、底部464のX方向内側の端から、上方に延びた後、X方向外側に向かって部分的に張り出しつつ下方に向かって延びている。
【0042】
内側部466の夫々は、ガイド部472と、第1接点474とを有しており、外側部462の夫々は、第2接点476を有している。ガイド部472は、X方向外側及び下方に向かって延びている。第1接点474及び第2接点476は、Z方向において概ね同じ位置にあり、X方向において互いに向かって張り出している。上述のように、弾性変形部46の夫々には、第1接点474と、第2接点476とが設けられている。
【0043】
図10から図12までを参照すると、本実施の形態において、上述の部材は、以下のように組み立てられており、これによりコネクタ10が形成されている。まず、可動ハウジング30を、固定ハウジング20のハウジング収容部28に下方から挿入する。この結果、可動ハウジング30は、ハウジング収容部28の内部に部分的に収容される。次に、コンタクト40の夫々を、下方から固定ハウジング20に取り付ける。この結果、コンタクト40の夫々は、可動ハウジング30の内部に部分的に収容される。
【0044】
詳しくは、図10及び図15を参照すると、コンタクト40の夫々の被保持部44の下端部は、固定ハウジング20の対応する保持部26に下方から圧入され保持される。図12及び図15を参照すると、このとき、コンタクト40の夫々の弾性変形部46は、第1接点474と第2接点476との間の隙間を連結部358が通過するようにして、対応するコンタクト収容部352の内部に挿入され部分的に収容される。図15を参照すると、この結果、コンタクト40の夫々の被固定部42は、固定ハウジング20から下方に露出する。図13を参照すると、被固定部42の夫々は、コネクタ10の使用時に、回路基板82の導電パッド(図示せず)に半田付け等によって固定され接続される。
【0045】
上述のように、本実施の形態のコネクタ10は、可動ハウジング30及びコンタクト40を下方から固定ハウジング20に組み合わせるだけで容易に組立可能である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、可動ハウジング30及びコンタクト40は、上方から固定ハウジング20に組み合わせ可能に構成されていてもよい。
【0046】
以下、上述のように組み立てられたコネクタ10の構造について説明する。
【0047】
図10及び図13から図15までを参照すると、可動ハウジング30の一部は、XY平面において、固定ハウジング20の周壁部24との間に間隔をあけつつ、ハウジング収容部28の内部に位置している。また、図10及び図13を参照すると、2つの被制限部36は、固定ハウジング20の2つの移動制限部244の下に間隔をあけて夫々位置している。このように配置された可動ハウジング30は、Z方向に沿って固定ハウジング20に対して相対的に移動可能であり、且つ、XY平面に沿って固定ハウジング20に対して相対的に移動可能である。即ち、コネクタ10は、2つの接点(第1接点474及び第2接点476)を有するコンタクト40を備えたフローティングコネクタである。
【0048】
本実施の形態によれば、移動制限部244は、被制限部36の上方に夫々位置しており、可動ハウジング30の固定ハウジング20に対する相対的な上方への移動を所定範囲内に制限している。この上方移動の制限によって、可動ハウジング30が固定ハウジング20から上方に抜け出ることが防止されている。また、図13を参照すると、可動ハウジング30の固定ハウジング20に対する相対的な下方への移動は、コネクタ10の使用時に、回路基板82によって制限される。
【0049】
図10を参照すると、本実施の形態において、移動制限部244は、固定ハウジング20の連結壁244であり、被制限部36は、可動ハウジング30の鍔部36である。即ち、固定ハウジング20は、2つの移動制限部244を有しており、可動ハウジング30は、移動制限部244に夫々対応する2つの被制限部36を有している。移動制限部244の夫々は、固定ハウジング20の一部であり、被制限部36の夫々は、可動ハウジング30の一部である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、固定ハウジング20の連結壁244以外の部位が移動制限部として機能してもよく、可動ハウジング30の鍔部36以外の部位が被制限部として機能してもよい。移動制限部244の夫々は、固定ハウジング20と別体の部材であってもよく、被制限部36の夫々は、可動ハウジング30と別体の部材であってもよい。また、移動制限部244の数及び被制限部36の数は2に限られない。更に、移動制限部244及び被制限部36は、必要に応じて設ければよい。
【0050】
本実施の形態によれば、固定ハウジング20の周壁部24は、XY平面において可動ハウジング30を囲んでおり、可動ハウジング30の固定ハウジング20に対するXY平面に沿った相対的な移動を所定範囲内に制限している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、固定ハウジング20の周壁部24以外の部位が、可動ハウジング30のXY平面に沿った相対的な移動を制限してもよい。
【0051】
図15を参照すると、本実施の形態によれば、コンタクト40の夫々は、対応する保持部26においてのみ固定ハウジング20に保持され固定されている。また、コンタクト40は、下方から可動ハウジング30を支持している一方、コンタクト40のいずれの部位も可動ハウジング30に保持されておらず固定されていない。本実施の形態によれば、コンタクト40の夫々の弾性変形部46の移動可能量を大きくできる。また、本実施の形態によれば、可動ハウジング30を、例えば治具(図示せず)を使用して、図15に示される位置に保ちつつ、弾性変形部46の夫々を、可動ハウジング30及び固定ハウジング20に対して相対的に移動させることができる。換言すれば、弾性変形部46の夫々は、可動ハウジング30を固定ハウジング20に対して相対的に移動させることなく、固定ハウジング20に対して相対的に移動可能である。
【0052】
また、可動ハウジング30は、被制限部36(図13参照)が移動制限部244(図13参照)に突き当たるまで、コンタクト40の夫々と接触することなく、図15に示される位置から上方に移動可能である。加えて、図15に示される位置から上方に移動した可動ハウジング30は、コンタクト40の夫々と接触することなく、XY平面に沿って所定距離だけ移動可能である。換言すれば、可動ハウジング30は、弾性変形部46の夫々を固定ハウジング20に対して相対的に移動させることなく、固定ハウジング20に対して相対的に移動可能である。但し、本発明は、これに限られず、コンタクト40の夫々は、固定ハウジング20に加えて可動ハウジング30によって保持されていてもよい。
【0053】
コンタクト40の夫々において、第1接点474及び第2接点476の夫々は、弾性変形部46の弾性変形に伴ってX方向に移動可能である。本実施の形態によれば、弾性変形可能な1つの弾性変形部46に2つの接点(第1接点474及び第2接点476)を設けることができる。例えば、弾性変形部46を、本実施の形態のように蛇行するような形状に形成することで、弾性変形部46のバネ性を維持しつつ、嵌合方向(Z方向)におけるコンタクト40のサイズを小さくでき、これによりZ方向におけるコネクタ10のサイズを小さくできる。特に、本実施の形態によれば、可動ハウジング30の受容部38の夫々は、少なくとも部分的に固定ハウジング20のハウジング収容部28の内部に位置している。この配置によれば、Z方向におけるコネクタ10のサイズを更に小さくできる。
【0054】
図13及び図15に示されるように、本実施の形態によれば、可動ハウジング30の中間部32の上部(+Z側の部位)及び外壁部34の上部は、ハウジング収容部28から上方に突出している。但し、本発明は、これに限られず、可動ハウジング30全体がハウジング収容部28の内部に位置していてもよい。この構造によれば、Z方向におけるコネクタ10のサイズを更に小さくできる。但し、本発明は、これに限られず、可動ハウジング30は、少なくとも部分的にハウジング収容部28の内部に収容されていればよい。
【0055】
図1及び図7を参照すると、本実施の形態において、可動ハウジング30の中間部32は、相手側ハウジング62の相手側受容部628に対応した形状を有している。図8を参照すると、中間部32のXY平面におけるサイズは、相手側受容部628のXY平面におけるサイズよりも僅かに小さい。図1及び図8を参照すると、相手側コネクタ60がコネクタ10と嵌合する際、中間部32は、相手側受容部628に受容され、これにより、相手側ハウジング62は、可動ハウジング30に対してXY平面において位置決めされる。即ち、本実施の形態の中間部32は、相手側コネクタ60を位置決めする位置決め部として機能する。特に、中間部32の2つの端板部322は、相手側コネクタ60をY方向において位置決めする。但し、本発明は、これに限られない。例えば、中間部32以外の部位が位置決め部として機能してもよい。
【0056】
図16を参照すると、本実施の形態によれば、Y方向において隣り合う2つのコンタクト40は、仕切部354によって互いに隔てられている。仕切部354の夫々は、Y方向に並べられたコンタクト40の接触を防止している。加えて、相手側コネクタ60(図1参照)がコネクタ10と嵌合する際、仕切部354は、端板部322と共に、コンタクト40の夫々を対応する相手側コンタクト68(図1参照)に対して位置決めする。但し、コンタクト40の夫々がY方向において十分に大きなサイズを有しており、且つ、Y方向において隣り合う2つのコンタクト40が十分に離れているような場合、仕切部354を設けなくてもよい。
【0057】
図15を参照すると、コンタクト40の夫々の第1接点474と第2接点476とは、分離状態において、対応する受容部38の内部に位置しており、X方向に対向している。図3及び図5を参照すると、可動ハウジング30が分離状態における位置(図13及び図15参照)からX方向に移動しないようにして、相手側コネクタ60をコネクタ10と嵌合させたとき、コンタクト40の夫々の第1接点474及び第2接点476は、対応する相手側コンタクト68をX方向において挟み込み、対応する相手側コンタクト68の相手側第1接触部684及び相手側第2接触部686と夫々接触する。この結果、コネクタ10と相手側コネクタ60とは互いに電気的に接続される。
【0058】
図15を参照すると、弾性変形部46の夫々は、被収容部48を有している。被収容部48の夫々は、コネクタ10のいずれの部材や部位にも自重以外の力が加えられていない状態において、対応するコンタクト収容部352の内部に位置する部位である。換言すれば、被収容部48は、図15に示す分離状態において、対応するコンタクト収容部352の内部に収容されている。
【0059】
本実施の形態によれば、弾性変形部46の被収容部48の夫々は、少なくとも部分的に天板部326の真下に位置している。加えて、弾性変形部46の夫々は、部分的に、対応する付加的天板部346の真下に位置している。図5を参照すると、この構造によれば、相手側コネクタ60をコネクタ10から抜去する際、弾性変形部46の夫々は、天板部326及び付加的天板部346を越えて上方に移動できない。本実施の形態によれば、弾性変形部46の過剰な弾性変形によるコンタクト40の破損を防止できる。但し、本発明は、これに限られず、天板部326及び付加的天板部346の夫々は、必要に応じて設ければよい。
【0060】
図15を参照すると、本実施の形態において、天板部326は、受容部38に夫々対応する2つの外側端部327と、外側端部327に夫々対応する2つの規制部328とを有している。外側端部327は、天板部326のX方向における両端に夫々位置しており、X方向において2つの受容部38に夫々面している。即ち、外側端部327の夫々と、対応する受容部38とは、X方向に並んでいる。規制部328の夫々は、対応する外側端部327から下方に延びている。被収容部48の夫々は、規制部328に対応する被規制部482を有している。少なくとも分離状態において、規制部328の夫々は、X方向において、対応する被規制部482と対応する受容部38との間に位置しており、対応する被規制部482の対応する受容部38へ向かう移動を規制している。
【0061】
本実施の形態において、付加的天板部346の夫々は、内側端部347と、付加的規制部348とを有している。内側端部347の夫々は、付加的天板部346のX方向内側の端に位置しており、X方向において、対応する受容部38に面している。即ち、内側端部347の夫々と、対応する受容部38とは、X方向に並んでいる。付加的天板部346の夫々において、付加的規制部348は、内側端部347から下方に延びている。弾性変形部46の夫々において付加的天板部346の真下に位置する部位は、付加的被規制部492を有している。少なくとも分離状態において、付加的規制部348の夫々は、X方向において、対応する付加的被規制部492と対応する受容部38との間に位置しており、対応する付加的被規制部492の対応する受容部38へ向かう移動を規制している。
【0062】
本実施の形態によれば、規制部328による移動規制によって、弾性変形部46の破損が防止されている。詳しくは、弾性変形部46の夫々の内側部466の上端が受容部38の内部に移動することに起因する弾性変形部46の破損が防止されている。同様に、付加的規制部348による移動規制によって、弾性変形部46の破損が防止されている。
【0063】
本実施の形態によれば、Y方向において同じ位置にある2つのコンタクト40は、分離部324によって互いに隔てられている。即ち、分離部324は、X方向において2列に分けられたコンタクト40の接触を防止している。加えて、分離部324は、弾性変形部46の夫々の分離部324へ向かう移動を規制している。
【0064】
本実施の形態によれば、規制部328、付加的規制部348及び分離部324による移動規制により、弾性変形部46の夫々は、可動ハウジング30のX方向の移動に追随するように移動する。図6を参照すると、相手側コネクタ60をコネクタ10と嵌合する際、可動ハウジング30が分離状態における位置(図15参照)からX方向に沿って移動した場合も、コンタクト40の夫々の弾性変形部46は、可動ハウジング30の移動に追随するようにして弾性変形しつつX方向に沿って移動する。この結果、コンタクト40の夫々の第1接点474及び第2接点476は、対応する相手側コンタクト68の相手側第1接触部684及び相手側第2接触部686と夫々バランスよく接触する。
【0065】
但し、本発明は、これに限られない。例えば、規制部328の夫々は、天板部326の一部でなくてもよい。同様に、付加的規制部348の夫々は、対応する付加的天板部346の一部でなくてもよい。また、規制部328、付加的規制部348及び分離部324の夫々は、必要に応じて設ければよい。
【符号の説明】
【0066】
10 コネクタ
20 固定ハウジング
24 周壁部
242 側壁
244 連結壁(移動制限部)
26 保持部
28 ハウジング収容部
30 可動ハウジング
32 中間部
322 端板部
324 分離部
326 天板部
327 外側端部
328 規制部
34 外壁部
346 付加的天板部
347 内側端部
348 付加的規制部
352 コンタクト収容部
352S 外側部
352M 中間部
352U 内側部
354 仕切部
358 連結部
36 鍔部(被制限部)
38 受容部
40 コンタクト
42 被固定部
44 被保持部
46 弾性変形部
462 外側部
464 底部
466 内側部
472 ガイド部
474 第1接点
476 第2接点
48 被収容部
482 被規制部
492 付加的被規制部
60 相手側コネクタ
62 相手側ハウジング
622 基部
624 相手側周壁部
626 相手側側壁
628 相手側受容部
68 相手側コンタクト
682 相手側被固定部
684 相手側第1接触部
686 相手側第2接触部
82 回路基板
86 相手側回路基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18