(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20220524BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20220524BHJP
H01G 11/80 20130101ALI20220524BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20220524BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/186
H01G11/80
H01M50/184 A
(21)【出願番号】P 2018034638
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】中條 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】弘瀬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】中村 知広
(72)【発明者】
【氏名】山田 正博
【審査官】川村 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-314567(JP,A)
【文献】特開2005-005163(JP,A)
【文献】特表2010-518580(JP,A)
【文献】特開2018-018698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/00 -10/39
H01M 4/00 - 4/84
H01M 50/183-50/198
H01G 11/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って積層された複数の電極を含む積層体と、
前記電極の少なくとも周縁部において前記電極の表面に溶着され、前記第1方向に沿って隣接する前記電極の間に
アルカリ水溶液からなる電解液が収容される内部空間を形成すると共に、前記内部空間を封止するための複数の第1封止部と、
前記第1方向から見た場合に複数の前記第1封止部を外側から包囲するように、前記第1封止部に接合され、複数の前記第1封止部と共に前記内部空間を形成し、前記内部空間を封止するための第2封止部と、
前記積層体に対して前記第1方向の一方側に設けられ、前記積層体と電気的に接続された第1導電板と、
前記積層体に対して前記第1方向の他方側に設けられ、前記積層体と電気的に接続された第2導電板と、
を備え、
前記電極は、複数のバイポーラ電極と、前記第1方向の前記積層体の一端に配置された負極終端電極と、
前記第1方向の前記積層体の他端に配置された正極終端電極と、を含み、
前記第1導電板は、前記負極終端電極のうち前記第1封止部及び前記第2封止部から露出している部分に接触しており、
前記第2導電板は、前記正極終端電極のうち前記第1封止部及び前記第2封止部から露出している部分に接触しており、
前記積層体には、前記第1導電板及び前記第2導電板を介して前記負極終端電極及び前記正極終端電極から拘束荷重が付加されており、
前記第1封止部は、前記バイポーラ電極の少なくとも周縁部において前記バイポーラ電極の表面に溶着された中間封止部と、前記負極終端電極の少なくとも周縁部において前記負極終端電極の表面に溶着された終端封止部と、を含み、
前記第1方向に沿った断面において、前記負極終端電極の表面における前記終端封止部が溶着されたエリアの長さは、前記バイポーラ電極の表面における前記中間封止部が溶着されたエリアの長さよりも大きい、
蓄電モジュール。
【請求項2】
前記バイポーラ電極は、電極板と、前記電極板の第1面に設けられた正極と、前記電極板の前記第1面に対して反対側の第2面に設けられた負極と、を含み、
前記負極終端電極は、前記電極板と、前記第2面に設けられた負極と、を含み、前記第2面が前記積層体の前記第1方向の内側に向くように配置されており、
前記バイポーラ電極及び前記負極終端電極の表面は、前記第1面と前記第2面とを含む、
請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記中間封止部は、前記バイポーラ電極の前記第1面に溶着されており、
前記終端封止部は、前記負極終端電極の前記第1面に溶着されており、
前記第1方向に沿った断面において、前記負極終端電極の前記第1面における前記終端封止部が溶着されたエリアの長さは、前記バイポーラ電極の前記第1面における前記中間封止部が溶着されたエリアの長さよりも大きい、
請求項2に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記終端封止部は、前記第1方向から見て、前記正極に重なるように延在している、
請求項3に記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
前記中間封止部は、前記バイポーラ電極の前記第1面に溶着されており、
前記終端封止部は、前記負極終端電極の前記第1面に溶着された第1部分と、前記負極終端電極の前記第2面に溶着された第2部分と、を含み、
前記第1方向に沿った断面において、前記負極終端電極の前記第1面における前記第1部分が溶着されたエリアの長さと前記負極終端電極の前記第2面における前記第2部分が溶着されたエリアの長さとの合計は、前記バイポーラ電極の前記第1面における前記中間封止部が溶着されたエリアの長さよりも大きい、
請求項2~4の何れか一項に記載の蓄電モジュール。
【請求項6】
前記第1部分及び前記第2部分の少なくとも一方は、前記中間封止部と同一の部材である、
請求項5に記載の蓄電モジュール。
【請求項7】
前記第2封止部は、前記第1方向から見て、前記電極板に重なるように前記終端封止部上に設けられた重なり部を含む、
請求項2~6の何れか一項に記載の蓄電モジュール。
【請求項8】
前記第1導電板及び前記第2導電板のそれぞれの内部には、冷媒を流通させる流路が設けられ、
前記流路は、前記第1方向に交差する方向に沿って延在している、請求項1~7の何れか一項に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バイポーラ電池が記載されている。このバイポーラ電池は、積層された複数枚のバイポーラ電極を含む電池要素を備える。このバイポーラ電池は、電池要素の外部を被覆する樹脂群を備えている。樹脂群は、電池内部の電解液等が外部に漏液しないように電池要素を液密に維持するために設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のバイポーラ電池にあっては、積層方向の最外層に負極層が位置しており、且つ、電解液がアルカリ水溶液からなる場合には、いわゆるアルカリクリープ現象によって、例えば負極層と樹脂群との隙間から電解液が漏液しやすくなる。このような状況において、上記のバイポーラ電池といった蓄電モジュールにあっては、漏液を抑制して信頼性を向上することが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、信頼性を向上可能な蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蓄電モジュールは、第1方向に沿って積層された複数の電極を含む積層体と、第1方向に沿って隣接する電極の間に電解液が収容される内部空間を形成すると共に、内部空間を封止するための複数の第1封止部と、を備え、電極は、複数のバイポーラ電極と、第1方向の積層体の一端に配置された負極終端電極と、を含み、第1封止部は、バイポーラ電極の少なくとも周縁部においてバイポーラ電極の表面に溶着された中間封止部と、負極終端電極の少なくとも周縁部において負極終端電極の表面に溶着された終端封止部と、を含み、第1方向に沿った断面において、負極終端電極の表面における終端封止部が溶着されたエリアの長さは、バイポーラ電極の表面における中間封止部が溶着されたエリアの長さよりも大きい。
【0007】
この蓄電モジュールにおいては、電極は、複数のバイポーラ電極と、第1方向の積層体の一端に配置された負極終端電極と、を含んでいる。第1封止部は、第1方向に沿って隣接する電極の間に電解液が収容される内部空間を形成すると共に、内部空間を封止するためのものである。また、第1封止部は、バイポーラ電極の少なくとも周縁部においてバイポーラ電極の表面に溶着された中間封止部と、負極終端電極の少なくとも周縁部において負極終端電極の表面に溶着された終端封止部と、を有している。ここで、第1方向に沿った断面において、負極終端電極の表面における終端封止部が溶着されたエリアの長さは、バイポーラ電極の表面における中間封止部が溶着されたエリアの長さよりも大きい。これにより、内部空間に収容された電解液が、負極終端電極側から漏液することが抑制される。よって、この蓄電モジュールによれば、信頼性を向上可能である。
【0008】
本発明の蓄電モジュールにおいては、バイポーラ電極は、電極板と、電極板の第1面に設けられた正極と、電極板の第1面に対して反対側の第2面に設けられた負極と、を含み、負極終端電極は、電極板と、第2面に設けられた負極と、を含み、第2面が積層体の第1方向の内側に向くように配置されており、バイポーラ電極及び負極終端電極の表面は、第1面と第2面とを含んでもよい。この場合、電極板の第1面に正極が設けられ、第2面に負極が設けられた蓄電モジュールを構成することができる。
【0009】
本発明の蓄電モジュールにおいては、中間封止部は、バイポーラ電極の第1面に溶着されており、終端封止部は、負極終端電極の第1面に溶着されており、第1方向に沿った断面において、負極終端電極の第1面における終端封止部が溶着されたエリアの長さは、バイポーラ電極の第1面における中間封止部が溶着されたエリアの長さよりも大きくてもよい。この場合、第1方向に沿った断面において、負極終端電極の第1面における終端封止部が溶着されたエリアが十分に確保され、負極終端電極側からの電解液の漏液が確実に抑制される。
【0010】
本発明の蓄電モジュールにおいては、終端封止部は、第1方向から見て、正極に重なるように延在していてもよい。このように、負極終端電極の第1面においては、第1方向からみて正極に重なるように終端封止部と溶着されたエリアを拡大できる。このため、負極終端電極側からの電解液の漏液をより確実に抑制できる。
【0011】
本発明の蓄電モジュールにおいては、中間封止部は、バイポーラ電極の第1面に溶着されており、終端封止部は、負極終端電極の第1面に溶着された第1部分と、負極終端電極の第2面に溶着された第2部分と、を含み、第1方向に沿った断面において、負極終端電極の第1面における第1部分が溶着されたエリアの長さと負極終端電極の第2面における第2部分が溶着されたエリアの長さとの合計は、バイポーラ電極の第1面における中間封止部が溶着されたエリアの長さよりも大きくてもよい。この場合、負極終端電極の第1面及び第2面の両方を利用して、電解液の漏液を抑制できる。
【0012】
本発明の蓄電モジュールにおいては、第1部分及び第2部分の少なくとも一方は、中間封止部と同一の部材であってもよい。この場合、部材の共通化を図ることができる。
【0013】
本発明の蓄電モジュールにおいては、複数の第1封止部を第1方向の外側から包囲するように、第1封止部に接合された第2封止部を更に備え、第2封止部は、第1方向から見て、電極板に重なるように終端封止部上に設けられた重なり部を含んでもよい。この場合、重なり部により終端封止部が補強されるため、当該終端封止部の変形が抑制される。これにより、電解液の漏液がより確実に抑制される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、信頼性を向上可能な蓄電モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。
【
図2】
図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。
【
図3】
図2に示されたバイポーラ電極の平面図である。
【
図4】
図2に示された負極終端電極の平面図である。
【
図5】互いに積層されたバイポーラ電極及び負極終端電極の平面図である。
【
図6】比較例に係る蓄電モジュールの一部拡大断面図である。
【
図7】変形例に係る蓄電モジュールの一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。
図1に示される蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対してその積層方向(ここでは、後述する電極積層体11における電極の積層方向D)に拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。
【0018】
モジュール積層体2は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール4と、複数(ここでは4つ)の導電板5と、を含む。蓄電モジュール4は、バイポーラ電池であり、積層方向Dから見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0019】
積層方向Dに互いに隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、積層方向Dに互いに隣り合う蓄電モジュール4間と、積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側と、にそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側に配置された一方の導電板5には、正極端子6が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側に配置された他方の導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向Dに交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
【0020】
導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えば、積層方向Dと、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向と、にそれぞれ交差(直交)する方向に沿って延在している。導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、これらの流路5aに冷媒を流通させることにより、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。なお、
図1の例では、積層方向Dから見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
【0021】
拘束部材3は、モジュール積層体2を積層方向Dに挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10と、によって構成されている。エンドプレート8は、積層方向Dから見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート8の積層方向Dの内側面(モジュール積層体2側に向いた面)には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電板5との間が絶縁されている。
【0022】
エンドプレート8には、モジュール積層体2と積層方向Dに重なる部位よりも外周側の縁部に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通され、他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5がエンドプレート8によって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されると共に、モジュール積層体2に対して積層方向Dに拘束荷重が付加される。
【0023】
次に、蓄電モジュール4の構成について詳細に説明する。
図2は、
図1に示された蓄電モジュール4の内部構成を示す概略断面図である。
図2に示されるように、蓄電モジュール4は、電極積層体(積層体)11と、電極積層体11を封止する樹脂製の封止体12と、を備えている。電極積層体11は、セパレータ13、セパレータ13を介して、積層方向D(第1方向)に沿って積層された複数の電極(複数のバイポーラ電極14、単一の負極終端電極18、及び、単一の正極終端電極19)を含む。ここでは、電極積層体11の積層方向Dはモジュール積層体2の積層方向と一致している。電極積層体11は、積層方向Dに延びる側面11aを有している。側面11aは、一例として、後述する電極板15の端面(第1面15aと第2面15bとを接続する面)の集合として構成される。
【0024】
バイポーラ電極14は、電極板15、電極板15の第1面15aに設けられた正極16、電極板15の第1面15aに対して反対側の第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。電極板15は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板15は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15は、積層方向Dから見て矩形状の外縁15dを含んでいる。
【0025】
電極板15の表面は粗面化されている。ここでは、第1面15a、第2面15b、及び第1面15aと第2面15bとを接続する端面を含む電極板15の表面全体が粗面化されている。電極板15の表面は、例えば、電解メッキ処理で複数の突起が形成されることにより粗面化されている。このように電極板15が粗面化されている場合、電極板15と後述する第1樹脂部21との接合界面では、溶融状態の第1樹脂部21が粗面化により形成された凹部内に入り込み、アンカー効果が発揮される。これにより、電極板15と第1樹脂部21との結合力を向上させることができる。少なくとも、第1面15aにおける周縁部15cが粗面化されていれば、結合力向上の効果が得られる。突起は、例えば、基端側から先端側に向かって先太りとなる形状を有している。この場合、互いに隣接する突起の間の断面形状はアンダーカット形状となり、アンカー効果が生じ易い。
【0026】
正極16は、正極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される正極活物質層である。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。正極16は、積層方向Dから見て矩形状の外縁16dを含んでいる。負極17は、負極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される負極活物質層である。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。負極17は、積層方向Dから見て矩形状の外縁17dを含んでいる。
【0027】
本実施形態では、電極板15の第2面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の第1面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。つまり、負極17の外縁17dは、正極16の外縁16dよりも一回り大きい。電極板15の周縁部15cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。つまり、電極板15の周縁部15cは、積層方向Dから見て、電極板15における正極16及び負極17が形成された領域以外の部分であって、正極16及び負極17を包囲する部分である。なお、バイポーラ電極14、負極終端電極18、及び正極終端電極19の表面は、それぞれ電極板15の周縁部15cにおける第1面15a及び第2面15bを含んでいる。
【0028】
電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う別のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合うさらに別のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
【0029】
負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。負極終端電極18は、正極16を含んでいない。すなわち、負極終端電極18の電極板15の第1面15aには、活物質層が設けられていない(すなわち、負極終端電極18の第1面15aの全体が露出している)。負極終端電極18は、第2面15bが電極積層体11の積層方向Dの内側(積層方向Dについての中心側)に向くように、積層方向Dの一端に配置されている。負極終端電極18の負極17は、セパレータ13を介して、積層方向Dの一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
【0030】
正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の第1面15aに設けられた正極16を含んでいる。正極終端電極19は、負極17を含んでいない。すなわち、正極終端電極19の電極板15の第2面15bには、活物質層が設けられていない(すなわち、正極終端電極19の第2面15bの全体が露出している)。正極終端電極19は、第1面15aが電極積層体11の積層方向Dの内側に向くように、積層方向Dの他端に配置されている。正極終端電極19の正極16は、セパレータ13を介して、積層方向Dの他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。
【0031】
負極終端電極18の電極板15の第1面15aには、導電板5が接触している。また、正極終端電極19の電極板15の第2面15bには、隣接する蓄電モジュール4の導電板5が接触している。拘束部材3からの拘束荷重は、導電板5を介して負極終端電極18及び正極終端電極19から電極積層体11に付加される。すなわち、導電板5は、積層方向Dに沿って電極積層体11に拘束荷重を付加する拘束部材でもある。
【0032】
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ13は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
【0033】
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として断面が略矩形の筒状に形成されている。封止体12は、周縁部15cを包囲するように電極積層体11の側面11aに沿って設けられている。封止体12は、周縁部15cを保持している。封止体12は、周縁部15cに溶着された複数の第1樹脂部(複数の第1封止部)21と、電極積層体11の側面11aに沿って第1樹脂部21を積層方向Dの外側から包囲するように第1樹脂部21に接合された単一の第2樹脂部(第2封止部)22と、を有している。
【0034】
図3は、積層方向Dから見た場合における中間樹脂部23が溶着されたバイポーラ電極14を示す図である。
図4は、積層方向Dから見た場合における負極終端樹脂部24が溶着された負極終端電極18を示す図である。
図5は、積層方向Dから見た場合におけるバイポーラ電極14及び負極終端電極18を示す図である。なお、
図5に示されるバイポーラ電極14及び負極終端電極18は、それぞれ中間樹脂部23及び負極終端樹脂部24が溶着されており、互いに積層されている。
【0035】
図2~
図5に示されるように、第1樹脂部21は、中間樹脂部(中間封止部)23と、負極終端樹脂部(終端封止部)24と、正極終端樹脂部(終端封止部)25,26と、を含んでいる。中間樹脂部23は所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。中間樹脂部23は、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、バイポーラ電極14の周縁部15cの全周にわたって連続的に設けられている。中間樹脂部23は、積層方向Dから見て矩形状の内縁23c及び矩形状の外縁23dを含んでいる。中間樹脂部23は、バイポーラ電極14の少なくとも周縁部15cにおいてバイポーラ電極14の表面に溶着されている。具体的には、中間樹脂部23は、バイポーラ電極14の第1面15aに溶着されて気密(液密)にバイポーラ電極14に接合されている。
【0036】
中間樹脂部23は、第1中間樹脂部231と第2中間樹脂部232とを有している。第1中間樹脂部231及び第2中間樹脂部232は、積層方向Dに沿って互いに積層されている。第1中間樹脂部231及び第2中間樹脂部232のそれぞれは、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、矩形状の内縁及び外縁を含んでいる。積層方向Dから見て、第1中間樹脂部231の外縁及び第2中間樹脂部232の外縁は、互いに一致しており中間樹脂部23の外縁23dを構成している。
【0037】
積層方向Dから見て、第2中間樹脂部232の内縁は、第1中間樹脂部231の内縁よりも一回り大きい矩形状である。これにより、中間樹脂部23には、段差部23eが形成されている。段差部23e上には、セパレータ13の縁部が載置されている。第1中間樹脂部231の内縁は、中間樹脂部23の内縁23cを構成している。第1中間樹脂部231は、バイポーラ電極14の第1面15aに溶着されて電極板15に接合されている。第2中間樹脂部232は、第1中間樹脂部231上に溶着されて第1中間樹脂部231に接合されている。
【0038】
負極終端樹脂部24は所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。負極終端樹脂部24は、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、負極終端電極18の周縁部15cの全周にわたって連続的に設けられている。負極終端樹脂部24は、積層方向Dから見て矩形状の内縁24c及び矩形状の外縁24dを含んでいる。負極終端樹脂部24は、負極終端電極18の少なくとも周縁部15cにおいて負極終端電極18の表面に溶着されている。具体的には、負極終端樹脂部24は、負極終端電極18の第1面15aに溶着されて気密(液密)に負極終端電極18に接合されている。
【0039】
正極終端樹脂部25,26は所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。正極終端樹脂部25,26は、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、正極終端電極19の周縁部15cの全周にわたって連続的に設けられている。正極終端樹脂部25は、積層方向Dから見て矩形状の内縁25c及び矩形状の外縁25dを含んでいる。正極終端樹脂部25は、正極終端電極19の少なくとも周縁部15cにおいて正極終端電極19の表面に溶着されている。具体的には、正極終端樹脂部25は、正極終端電極19の第1面15aに溶着されて気密(液密)に正極終端電極19に接合されている。
【0040】
正極終端樹脂部25は、第1部分251と第2部分252とを有している。第1部分251及び第2部分252は、積層方向Dに沿って互いに積層されている。第1部分251及び第2部分252のそれぞれは、積層方向Dから見て、それぞれ矩形枠状をなし、矩形状の内縁及び外縁を含んでいる。積層方向Dから見て、第1部分251の外縁及び第2部分252の外縁は、互いに一致しており正極終端樹脂部25の外縁25dを構成している。積層方向Dから見て、第2部分252の内縁は、第1部分251の内縁よりも一回り大きい矩形状である。これにより、正極終端樹脂部25には、段差部25eが形成されている。段差部25e上には、セパレータ13の縁部が載置されている。第1部分251の内縁は、正極終端樹脂部25の内縁25cを構成している。第1部分251は、正極終端電極19の第1面15aに溶着されて電極板15に接合されている。第2部分252は、第1部分251上に溶着されて第1部分251に接合されている。
【0041】
正極終端樹脂部26は、積層方向Dから見て矩形状の内縁26c及び矩形状の外縁26dを含んでいる。正極終端樹脂部26は、正極終端電極19の少なくとも周縁部15cにおいて正極終端電極19の表面に溶着されている。具体的には、正極終端樹脂部26は、正極終端電極19の第2面15bに溶着されて気密(液密)に正極終端電極19に接合されている。
【0042】
中間樹脂部23、負極終端樹脂部24、及び正極終端樹脂部25のそれぞれは、例えば超音波又は熱によって第1面15aに溶着されている。電極板15の端面は、中間樹脂部23、負極終端樹脂部24、及び正極終端樹脂部25によって覆われておらず露出している。中間樹脂部23、負極終端樹脂部24、及び正極終端樹脂部25のそれぞれの内側端部は、積層方向Dに互いに隣り合う電極板15の周縁部15c同士の間に位置しており、外側端部は、積層方向Dからみて電極板15から外側に張り出している。中間樹脂部23、負極終端樹脂部24、及び正極終端樹脂部25のそれぞれは、当該外側端部において第2樹脂部22に埋設されている。積層方向Dに沿って互いに隣り合う第1樹脂部21同士は、互いに離間している。
【0043】
第2樹脂部22は、電極積層体11及び第1樹脂部21の外側に設けられ、蓄電モジュール4の外壁(筐体)を構成している。第2樹脂部22は、例えば樹脂の射出成型によって形成され、積層方向Dに沿って電極積層体11の全長にわたって延在している。第2樹脂部22は、積層方向Dを軸方向として延在する筒状(環状)を呈している。第2樹脂部22は、例えば、射出成型時の熱によって第1樹脂部21の外表面に溶着(接合)されている。
【0044】
第2樹脂部22は、第1樹脂部21と共に、積層方向Dに沿って互いに隣接するバイポーラ電極14の間、積層方向Dに沿って互いに隣接する負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、積層方向Dに沿って互いに隣接する正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。これにより、バイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密(液密)に仕切られた内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。すなわち、第1樹脂部21は、積層方向Dに沿って隣接する電極の間に電解液が収容される内部空間Vを形成すると共に、内部空間Vを封止するためのものである。電解液は、セパレータ13、正極16及び負極17内に含浸されている。
【0045】
第1樹脂部21及び第2樹脂部22は、例えば、絶縁性の樹脂であって、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等から構成され得る。
【0046】
続いて、各部の相対的な関係について詳細に説明する。なお、内側とは、積層方向Dから見て、蓄電モジュール4の中心の側をいう。外側とは、積層方向Dから見て、蓄電モジュール4の中心から遠ざかる側をいう。バイポーラ電極14において、負極17は、電極板15よりも一回り小さい。つまり、負極17の外縁17dは、電極板15の外縁15dよりも内側に位置している。正極16は、負極17よりも一回り小さい。つまり、正極16の外縁16dは、負極17の外縁17dよりも内側に位置している。中間樹脂部23の外縁23dは、電極板15の外縁15dの外側に位置している。中間樹脂部23の内縁23cは、電極板15の外縁15dと負極17の外縁17dとの間に位置している。
【0047】
中間樹脂部23は、第1エリア15e(
図3においてハッチングが施された領域)においてバイポーラ電極14の表面(ここでは、バイポーラ電極14の第1面15a)に溶着されている。換言すれば、第1エリア15eは、バイポーラ電極14の第1面15aにおける中間樹脂部23が溶着されたエリアであって、電極板15の外縁15d及び中間樹脂部23の内縁23cにより矩形枠状に規定されたエリアである。
【0048】
負極終端電極18において、負極17は、電極板15よりも一回り小さい。つまり、負極17の外縁17dは、電極板15の外縁15dよりも内側に位置している。正極16は、負極17よりも一回り小さい。つまり、正極16の外縁16dは、負極17の外縁17dよりも内側に位置している。負極終端樹脂部24の外縁24dは、電極板15の外縁15dの外側に位置している。負極終端樹脂部24の内縁24cは、正極16の外縁16dよりも内側に位置している。つまり、負極終端樹脂部24は、正極16に重なるように延在している。
【0049】
負極終端樹脂部24は、第2エリア15f(
図4においてハッチングが施された領域)において負極終端電極18の表面(ここでは、負極終端電極18の第1面15a)に溶着されている。換言すれば、第2エリア15fは、負極終端電極18の第1面15aにおける負極終端樹脂部24が溶着されたエリアであって、電極板15の外縁15d及び負極終端樹脂部24の内縁24cにより矩形枠状に規定されたエリアである。
【0050】
バイポーラ電極14及び負極終端電極18の電極板15の外縁15dは、互いに一致している。バイポーラ電極14及び負極終端電極18のそれぞれの負極17の外縁17dは、互いに一致している。中間樹脂部23の外縁23d及び負極終端樹脂部24の外縁24dは、互いに一致している。負極終端樹脂部24の内縁24cは、中間樹脂部23の内縁23cよりも内側に位置している。つまり、第2エリア15fは、第1エリア15eよりも大きい。すなわち、積層方向Dに沿った全ての断面において、第2エリア15fの長さ(矩形枠状の幅)は、第1エリア15eの長さ(矩形枠状の幅)よりも大きい(
図2参照)。つまり、積層方向Dから見て電極積層体11の全周に亘って、負極終端電極18の電極板15の外縁15dと負極終端樹脂部24の内縁24cとの距離は、バイポーラ電極14の電極板15の外縁15dと中間樹脂部23の内縁23cとの距離よりも大きい。
【0051】
正極終端樹脂部25は、第1エリア15gにおいて正極終端電極19の表面(ここでは、正極終端電極19の第1面15a)に溶着されている。換言すれば、第1エリア15gは、正極終端電極19の第1面15aにおける正極終端樹脂部25が溶着されたエリアであって、電極板15の外縁15d及び正極終端樹脂部25の内縁25cにより矩形枠状に規定されたエリアである。正極終端樹脂部26は、正極終端電極19の表面(ここでは、正極終端電極19の第2面15b)に溶着されて正極終端電極19に接合されている。
【0052】
続いて、蓄電モジュール4の作用・効果について説明する。
図6は、比較例に係る蓄電モジュールの一部拡大断面図である。
図6に示されるように、比較例に係る蓄電モジュール400は、負極終端樹脂部24に代えて負極終端樹脂部240を備えている点で、蓄電モジュール4と相違する。負極終端樹脂部240の外縁240d及び内縁240cのそれぞれは、積層方向Dから見て、中間樹脂部23の外縁23d及び内縁23cのそれぞれと一致している。つまり、蓄電モジュール400においては、積層方向Dに沿った断面において、第2エリア15hの長さが第1エリア15eの長さと同一である。
【0053】
蓄電モジュールでは、いわゆるアルカリクリープ現象により、電解液Lが負極終端電極18の電極板15上を伝わり、封止体12の第1樹脂部21(ここでは、負極終端樹脂部240)と電極板15との間の隙間を通って電極板15の第1面15a側に滲み出ることがある。
図6には、アルカリクリープ現象における電解液Lの移動経路が矢印Aで示されている。電解液Lの移動経路には、第2エリア15hが含まれている。このアルカリクリープ現象は、電気化学的な要因と流体現象等により、蓄電装置の充電時及び放電時並びに無負荷時において生じ得る。アルカリクリープ現象は、負極電位、水分、及び電解液Lの通り道がそれぞれ存在することにより生じる。
【0054】
これに対して、蓄電モジュール4によれば、アルカリクリープ現象に起因した漏液を抑制し、信頼性を向上可能である。すなわち、蓄電モジュール4においては、電極は、複数のバイポーラ電極14と、積層方向Dの電極積層体11の一端に配置された負極終端電極18と、を含んでいる。第1樹脂部21は、積層方向Dに沿って隣接する電極の間に電解液が収容される内部空間Vを形成すると共に、内部空間Vを封止するためのものである。また、第1樹脂部21は、バイポーラ電極14の少なくとも周縁部15cにおいてバイポーラ電極14の表面に溶着された中間樹脂部23と、負極終端電極18の少なくとも周縁部15cにおいて負極終端電極18の表面に溶着された負極終端樹脂部24と、を有している。ここで、積層方向Dに沿った断面において、負極終端電極18の表面における負極終端樹脂部24が溶着された第2エリア15fの長さは、バイポーラ電極14の表面における中間樹脂部23が溶着された第1エリア15eの長さよりも大きい。これにより、内部空間Vに収容された電解液が、負極終端電極18側から漏液することが抑制される。よって、蓄電モジュール4によれば、信頼性を向上可能である。
【0055】
また、蓄電モジュール4においては、バイポーラ電極14は、電極板15と、電極板15の第1面15aに設けられた正極16と、電極板15の第1面15aに対して反対側の第2面15bに設けられた負極17と、を含んでいる。負極終端電極18は、電極板15と、第2面15bに設けられた負極17と、を含み、第2面15bが電極積層体11の積層方向Dの内側に向くように配置されている。バイポーラ電極14及び負極終端電極18の表面は、第1面15aと第2面15bとを含んでいる。これにより、電極板15の第1面15aに正極16が設けられ、第2面15bに負極17が設けられた蓄電モジュール4を構成することができる。
【0056】
また、蓄電モジュール4においては、中間樹脂部23は、バイポーラ電極14の第1面15aに溶着されている。負極終端樹脂部24は、負極終端電極18の第1面15aに溶着されている。積層方向Dに沿った断面において、負極終端電極18の第1面15aにおける負極終端樹脂部24が溶着された第2エリア15fの長さは、バイポーラ電極14の第1面15aにおける中間樹脂部23が溶着された第1エリア15eの長さよりも大きい。このため、積層方向Dに沿った断面において、負極終端電極18の第1面15aにおける負極終端樹脂部24が溶着された第2エリア15fが十分に確保され、負極終端電極18側からの電解液の漏液が確実に抑制される。
【0057】
また、蓄電モジュール4においては、負極終端樹脂部24は、積層方向Dから見て、正極16に重なるように延在している。このように、負極終端電極18の第1面15aにおいては、積層方向Dからみて正極16に重なるように負極終端樹脂部24と溶着された第2エリア15fを拡大できる。このため、負極終端電極18側からの電解液の漏液をより確実に抑制できる。
【0058】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0059】
図7は、変形例に係る蓄電モジュールの一部拡大断面図である。
図7に示されるように、負極終端樹脂部24は、第1部分27と第2部分28とを含んでいてもよい。第1部分27及び第2部分28は、中間樹脂部23(ここでは、第2中間樹脂部232)と同一の部材である。この場合、部材の共通化を図ることができる。第1部分27は、負極終端電極18の第1面15aに溶着されている。第2部分28は、負極終端電極18の第2面15bに溶着されている。積層方向Dから見て、第1部分27の外縁27d、第2部分28の外縁28d、及び中間樹脂部23の外縁23dは、互いに一致している。積層方向Dから見て、第1部分27の内縁27c、第2部分28の内縁28c、及び中間樹脂部23の内縁23cは、互いに一致している。
【0060】
第1部分27は、第2エリア15jにおいて負極終端電極18の表面(ここでは、負極終端電極18の第1面15a)に溶着されている。換言すれば、第2エリア15jは、負極終端電極18の第1面15aにおける第1部分27が溶着されたエリアであって、電極板15の外縁15d及び第1部分27の内縁27cにより矩形枠状に規定されたエリアである。第2部分28は、第3エリア15kにおいて負極終端電極18の表面(ここでは、負極終端電極の第2面15b)に溶着されている。換言すれば、第3エリア15kは、負極終端電極18の第2面15bにおける第2部分28が溶着されたエリアであって、電極板15の外縁15d及び第2部分28の内縁28cにより矩形枠状に規定されたエリアである。
【0061】
この例でも、積層方向Dに沿った断面において、負極終端電極18の表面における負極終端樹脂部24が溶着されたエリアの長さは、バイポーラ電極14の表面における中間樹脂部23が溶着されたエリアの長さよりも大きい。より具体的には、積層方向Dに沿った全ての断面において、第2エリア15jの長さと第3エリア15kの長さとの合計は、第1エリア15eの長さよりも大きい。ここでは、第2エリア15jの長さと第3エリア15kの長さとの合計は、第1エリア15eの長さの2倍である。この場合、負極終端電極18の第1面15a及び第2面15bの両方を利用して、電解液の漏液を抑制できる。
【0062】
また、第2樹脂部22は、積層方向Dにおける電極積層体11の一端側に設けられた重なり部29を含んでもよい。重なり部29は、積層方向Dから見て、電極板15に重なるように負極終端樹脂部24上に設けられている。具体的には、重なり部29は、積層方向Dから見て、矩形枠状に形成されており、第1部分27の外縁部の全周にわたって第1部分27上に設けられている。重なり部29の内縁29cは、積層方向Dから見て、第1部分27の内縁27cと一致している。重なり部29は、第1部分27の外表面に溶着されて気密(液密)に接合されている。この場合、重なり部29により負極終端樹脂部24(ここでは、第1部分27)が補強されるため、負極終端樹脂部24の変形が抑制される。これにより、電解液の漏液がより確実に抑制される。
【0063】
また、積層方向Dに沿った断面において、負極終端電極18の表面における負極終端樹脂部24が溶着されたエリアの長さが、バイポーラ電極14の表面における中間樹脂部23が溶着されたエリアの長さよりも大きければ、負極終端樹脂部24の形態は限定されない。
【0064】
上記実施形態において、負極終端樹脂部24の内縁24cが、積層方向から見て、正極16の外縁16dよりも内側に位置している例を示したが、これに限定されない。積層方向Dに沿った断面において、第2エリア15fの長さが第1エリア15eの長さよりも大きければ、負極終端樹脂部24の内縁24cは、例えば、積層方向Dから見て、中間樹脂部23の内縁23cと正極16の外縁16d又は負極17の外縁17dとの間に位置していてもよい。
【0065】
また、上記変形例において、第1部分27及び第2部分28が、第2中間樹脂部232と同一の部材である例を示したが、第1部分27及び第2部分28の何れか一方(例えば、第2部分28)が第2中間樹脂部232と同一の部材であってもよい。つまり、第1部分27及び第2部分28の少なくとも一方が第2中間樹脂部232と同一の部材であればよい。また、積層方向Dに沿った断面において、負極終端電極18の表面における負極終端樹脂部24が溶着されたエリアの長さ(ここでは、第2エリア15jの長さ及び第3エリア15kの長さの合計)が、バイポーラ電極14の表面における中間樹脂部23が溶着されたエリアの長さ(ここでは、第1エリア15eの長さ)よりも大きければ、第1部分27及び第2部分28は、第2中間樹脂部232と同一の部材でなくてもよい。
【0066】
また、上記変形例において、積層方向Dに沿った断面において、負極終端電極18の表面における負極終端樹脂部24が溶着されたエリアの長さが、バイポーラ電極14の表面における中間樹脂部23が溶着されたエリアの長さよりも大きければ、第2エリア15jの長さは、第1エリア15eの長さよりも大きくてもよい。この場合、第2エリア15jの長さは、例えば上記実施形態における第2エリア15fの長さと同一であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
4…蓄電モジュール、11…電極積層体(積層体)、14…バイポーラ電極、15…電極板、15a…第1面、15b…第2面、15c…周縁部、16…正極、17…負極、18…負極終端電極、21…第1樹脂部(第1封止部)、22…第2樹脂部(第2封止部)、23…中間樹脂部(中間封止部)、24…負極終端樹脂部(終端封止部)、27…第1部分、28…第2部分、29…重なり部、15e…第1エリア、15f,15j…第2エリア、15k…第3エリア、D…積層方向(第1方向)、V…内部空間。