(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】チョコレート、チョコレートの製造方法、及び抹茶を含有するチョコレートの風味を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
A23G 1/48 20060101AFI20220525BHJP
A23G 1/46 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
A23G1/48
A23G1/46
(21)【出願番号】P 2020073575
(22)【出願日】2020-04-16
(62)【分割の表示】P 2019505957の分割
【原出願日】2018-03-09
【審査請求日】2021-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2017047844
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397059157
【氏名又は名称】大東カカオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】明星 奈穂子
(72)【発明者】
【氏名】中川 翔
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 勉
【審査官】吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-161453(JP,A)
【文献】特開2014-200198(JP,A)
【文献】特開2003-111566(JP,A)
【文献】特開2006-056761(JP,A)
【文献】特開2006-087323(JP,A)
【文献】特開2007-110988(JP,A)
【文献】特開2005-027554(JP,A)
【文献】特開2002-080363(JP,A)
【文献】特開平09-313129(JP,A)
【文献】特開平11-228565(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105104660(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1748582(CN,A)
【文献】日本味と匂学会誌,2007年,Vol. 14, No. 3,p. 431-434
【文献】野菜・茶業試験場研究報告 B,1988年,No. 2,p. 47-90
【文献】茶業研究報告,No. 60,1984年,p. 79-81
【文献】ORISEPON,抹茶味とにかく濃厚!抹茶チョコ レシピ・作り方,Rakutenレシピ[online],2015年12月02日,[検索日:2021.12.21],インターネット<URL: https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1480007999>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 1/00-1/56
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抹茶を含有し、テアニンの含有量が0.012~0.090質量%であり、タンニンの含有量が0.05~0.48質量%であり、カフェインの含有量が0.01~0.17質量%であり、かつ、テアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比が6.0~10.5であり、タンニンとカフェインの合計含有量が0.08~0.65質量%であるチョコレート。
【請求項2】
前記抹茶に含まれるテアニン、タンニン、カフェイン以外のテアニン、タンニン、カフェインを1種以上含有する請求項1に記載のチョコレート。
【請求項3】
無脂カカオ固形分の含有量が1質量%未満である請求項1又は請求項2に記載のチョコレート。
【請求項4】
糖類及び乳製品を含有する請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のチョコレート。
【請求項5】
抹茶を添加し、テアニンの含有量を0.012~0.090質量%、タンニンの含有量を0.05~0.48質量%、カフェインの含有量を0.01~0.17質量%、かつ、チョコレートのテアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比を6.0~10.5、タンニンとカフェインの合計含有量を0.08~0.65質量%にすることを特徴とするチョコレートの製造方法。
【請求項6】
糖類及び乳製品を添加する請求項5に記載のチョコレートの製造方法。
【請求項7】
テアニンの含有量を0.012~0.090質量%、タンニンの含有量を0.05~0.48質量%、カフェインの含有量を0.01~0.17質量%、かつ、テアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比を6.0~10.5、タンニンとカフェインの合計含有量を0.08~0.65質量%にすることを特徴とする抹茶を含有するチョコレートの風味を向上させる方法。
【請求項8】
糖類及び乳製品を添加する請求項7に記載の抹茶を含有するチョコレートの風味を向上させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョコレート、チョコレートの製造方法、及び抹茶を含有するチョコレートの風味を向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、抹茶を使用した菓子が非常に流行しており、数多くの商品が販売されている。抹茶を使用した菓子としては、例えば、特許文献1~3が提案されている。
【0003】
抹茶を使用した菓子の中でも抹茶入りのチョコレートは非常に人気のある製品である。抹茶入りのチョコレートは、ホワイトチョコレートに抹茶を添加して製造される。そのため、抹茶入りのチョコレートの風味は、添加される抹茶に大きく依存する。一方、抹茶は、銘柄等によって、風味が異なることがある。そのため、使用する抹茶によっては、抹茶入りのチョコレートが美味しくならない場合があった。
【0004】
以上のような背景から、美味しい抹茶入りチョコレートの開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-41569号公報
【文献】特開2003-284500号公報
【文献】特開2011-50364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、美味しい抹茶入りチョコレートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、テアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比及び、タンニンとカフェインの合計含有量を特定の数値範囲にすると、美味しい抹茶入りチョコレートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明は、抹茶を含有し、テアニンの含有量が0.012~0.090質量%であり、タンニンの含有量が0.05~0.48質量%であり、カフェインの含有量が0.01~0.17質量%であり、かつ、テアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比が6.0~10.5であり、タンニンとカフェインの合計含有量が0.08~0.65質量%であるチョコレートである。
本発明の第2の発明は、前記抹茶に含まれるテアニン、タンニン、カフェイン以外のテアニン、タンニン、カフェインを1種以上含有する第1の発明に記載のチョコレートである。
本発明の第3の発明は、無脂カカオ固形分の含有量が1質量%未満である第1の発明又は第2の発明に記載のチョコレートである。
本発明の第4の発明は、糖類及び乳製品を含有する第1の発明~第3の発明のいずれか1つの発明に記載のチョコレートである。
本発明の第5の発明は、抹茶を添加し、テアニンの含有量を0.012~0.090質量%、タンニンの含有量を0.05~0.48質量%、カフェインの含有量を0.01~0.17質量%、かつ、チョコレートのテアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比を6.0~10.5、タンニンとカフェインの合計含有量を0.08~0.65質量%にすることを特徴とするチョコレートの製造方法である。
本発明の第6の発明は、糖類及び乳製品を添加する第5の発明に記載のチョコレートの製造方法である。
本発明の第7の発明は、テアニンの含有量を0.012~0.090質量%、タンニンの含有量を0.05~0.48質量%、カフェインの含有量を0.01~0.17質量%、かつ、テアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比を6.0~10.5、タンニンとカフェインの合計含有量を0.08~0.65質量%にすることを特徴とする抹茶を含有するチョコレートの風味を向上させる方法である。
本発明の第8の発明は、糖類及び乳製品を添加する第7の発明に記載の抹茶を含有するチョコレートの風味を向上させる方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、美味しい抹茶入りチョコレートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、抹茶を含有し、テアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比が11.0以下であり、タンニンとカフェインの合計含有量が0.80質量%以下である。
【0011】
本発明におけるチョコレートは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規上で規定されたチョコレートに限定されない。本発明においてチョコレートとは、食用油脂、糖類を主原料とし、必要により乳製品、香料、乳化剤等を加え、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、成形工程、冷却工程等の全部乃至一部)を経て製造され、油脂が連続相をなす食品である。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは水分含量が3質量%以下である。
【0012】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、抹茶を含有する。すなわち、本発明の実施の形態に係るチョコレートは、抹茶が添加された抹茶入りチョコレートである。
本発明の実施の形態に係るチョコレートの製造に使用される抹茶は、抹茶であれば特に制限されることはない。本発明の実施の形態に係るチョコレートの製造に使用される抹茶は、調達のしやすさから、好ましくは市販品の抹茶である。なお、抹茶とは、乾燥させた不発酵茶葉を臼等で挽くなどして粉状に製造した粉末の茶である。不発酵茶葉は、発酵させていない茶葉のことである。不発酵茶葉は、摘まれた茶葉を蒸気で蒸す等により熱を加えることで得られる。不発酵茶葉のうち、覆下栽培した茶葉を揉まずに乾燥させた茶葉は、碾茶という。抹茶の製造に使用される茶葉は、茶の木(学名:Camellia sinensis)の茶葉が使用される。 本発明の実施の形態に係るチョコレートは、抹茶を好ましくは0.5質量%以上含有し、より好ましくは0.5~10質量%含有し、さらに好ましくは0.7~7質量%含有する。
【0013】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、テアニンの含有量(質量%)に対するタンニンとカフェインの合計含有量(質量%)の質量比が11.0以下であり、好ましくは10.7以下であり、より好ましくは6.0~10.5である。テアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比が前記範囲であると、風味のバランスが良くなり、美味しい抹茶入りチョコレートが得られる。
【0014】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、タンニンとカフェインの合計含有量が0.80質量%以下であり、好ましくは0.70質量%以下であり、より好ましくは0.08~0.65質量%である。タンニンとカフェインの合計含有量が前記範囲であると、美味しい抹茶入りチョコレートが得られる。
【0015】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、テアニンの含有量が好ましくは0.008質量%以上であり、より好ましくは0.010質量%以上であり、さらに好ましくは0.012~0.090質量%である。テアニンの含有量が前記範囲であると、より美味しい抹茶入りチョコレートが得られる。
【0016】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、タンニンの含有量が好ましくは0.60質量%以下であり、より好ましくは0.50質量%以下であり、さらに好ましくは0.05~0.48質量%である。
【0017】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、カフェインの含有量が好ましくは0.23質量%以下であり、より好ましくは0.20質量%以下であり、さらに好ましくは0.01~0.17質量%である。
【0018】
抹茶は、テアニン、タンニン、カフェインを含有する。そのため、本発明の実施の形態に係るチョコレートにおけるテアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比、タンニンとカフェインの合計含有量、テアニンの含有量、タンニンの含有量、カフェインの含有量は、チョコレートに抹茶を添加することで前記範囲に調整することができる。具体的には、例えば、テアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比が前記範囲を満たす抹茶を、タンニンとカフェインの合計含有量、テアニンの含有量、タンニンの含有量、カフェインの含有量が前記範囲を満たすように、チョコレートに添加することで、チョコレートにおけるテアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比、タンニンとカフェインの合計含有量、テアニンの含有量、タンニンの含有量、カフェインの含有量を調整することができる。
【0019】
抹茶の添加だけではチョコレートにおけるテアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比、タンニンとカフェインの合計含有量、テアニンの含有量、タンニンの含有量、カフェインの含有量が前記範囲を満たさない場合、テアニン、タンニン、カフェインを添加することで、テアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比、タンニンとカフェインの合計含有量、テアニンの含有量、タンニンの含有量、カフェインの含有量が前記範囲になるように調整することもできる。すなわち、本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは添加された抹茶に含まれるテアニン、タンニン、カフェイン以外のテアニン、タンニン、カフェインを1種以上含有する。また、本発明の実施の形態に係るチョコレートは、より好ましくは添加された抹茶に含まれるテアニン以外のテアニンを含有する。銘柄違い、ロット違い等によって、抹茶の添加だけでは美味しい抹茶入りチョコレートが得られない場合があった。しかしながら、本発明によると、抹茶の添加だけでは美味しい抹茶入りチョコレートが得られない場合であっても、抹茶以外にテアニン、タンニン、カフェインを添加することで、美味しい抹茶入りチョコレートを得ることができる。なお、抹茶の添加だけでチョコレートにおけるテアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比、タンニンとカフェインの合計含有量、テアニンの含有量、タンニンの含有量、カフェインの含有量が前記範囲を満たす場合であっても、添加された抹茶に含まれるテアニン、タンニン、カフェイン以外のテアニン、タンニン、カフェインを1種以上添加することもできる。
【0020】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、無脂カカオ固形分の含有量が好ましくは1質量%未満であり、より好ましくは0.5質量%未満であり、さらに好ましくは0質量%である。なお、本発明において、無脂カカオ固形分とは、カカオ豆、カカオニブ、カカオマス、ココアパウダー等から油脂を除いた固形分のことである。
【0021】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは油脂を含有する。本発明の実施の形態に係るチョコレートには、一般的にチョコレートの製造に使用される食用油脂を使用することができる。チョコレートの製造に使用される食用油脂としては、例えば、ココアバター、パーム油、パーム核油、ヤシ油、シア脂、サル脂、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、乳脂等や、これらの加工油脂(水素添加油、分別油、エステル交換油)等が挙げられる。これらの食用油脂は2種以上組み合せて使用することもできる。本発明の実施の形態に係るチョコレートの製造に使用される油脂は、好ましくはココアバター、乳脂である。
【0022】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、油脂を好ましくは25~65質量%含有し、より好ましくは30~63質量%含有し、更に好ましくは35~60質量%含有する。
なお、本発明において油脂とは、チョコレートに含まれる全油脂分のことであり、配合される油脂の他に、含油原料(全脂粉乳等)に含まれる油脂(乳脂等)も含む。
【0023】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは糖類を含有する。本発明の実施の形態に係るチョコレートには、一般的にチョコレートの製造に使用される糖類を使用することができる。チョコレートの製造に使用される糖類としては、例えば、ショ糖(砂糖、粉糖)、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラフィノース等が挙げられる。これらの糖類は2種以上組み合せて使用することもできる。本発明の実施の形態に係るチョコレートの製造に使用される糖類は、好ましくはショ糖(砂糖、粉糖)、乳糖であり、より好ましくは砂糖である。
【0024】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、糖類を好ましくは20~65質量%含有し、より好ましくは23~60質量%含有し、更に好ましくは25~55質量%含有し、最も好ましくは25~45質量%含有する。
【0025】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、砂糖を好ましくは20~65質量%含有し、より好ましくは23~60質量%含有し、更に好ましくは25~55質量%含有し、最も好ましくは25~45質量%含有する。
【0026】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは乳製品を含有する。本発明の実施の形態に係るチョコレートには、一般的にチョコレートの製造に使用される乳製品を使用することができる。チョコレートの製造に使用される乳製品は、好ましく粉乳であり、より好ましくは全脂粉乳、脱脂粉乳であり、更に好ましくは全脂粉乳である。
【0027】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、乳製品を好ましくは10~40質量%含有し、より好ましくは15~35質量%含有し、更に好ましくは18~30質量%含有する。
【0028】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、一般的にチョコレートに配合される原料を使用することができる。具体的には、例えば、ガム類、澱粉類、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤、酸化防止剤、着色料、香料等を使用することができる。
【0029】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、抹茶を添加し、チョコレートにおけるテアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比、タンニンとカフェインの合計含有量を前記範囲にすることで製造することができる。また、本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは抹茶を添加し、チョコレートにおけるテアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比、タンニンとカフェインの合計含有量、テアニンの含有量、タンニンの含有量、カフェインの含有量を前記範囲にすることで製造することができる。
【0030】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは添加された抹茶に含まれるテアニン、タンニン、カフェイン以外に、テアニン、タンニン、カフェインを1種以上添加することで製造することができる。また、本発明の実施の形態に係るチョコレートは、より好ましくは添加された抹茶に含まれるテアニン以外に、テアニンを添加することで製造することができる。
【0031】
抹茶を添加すること、必要に応じてテアニン、タンニン、カフェインを1種以上添加することの他は、本発明の実施の形態に係るチョコレートは従来公知の抹茶入りチョコレートの製造方法を用いることによって製造することができる。本発明の実施の形態に係るチョコレートは、例えば、抹茶、テアニン、タンニン、カフェイン、油脂、糖類、乳化剤等を原料として、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、冷却工程等を経て製造することができる。本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは微粒化工程を経て製造する。
【0032】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、風味のバランスが良く、美味しい抹茶入りチョコレートである。従って、本発明によると、チョコレートにおけるテアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比、タンニンとカフェインの合計含有量を前記範囲にすることで抹茶を含有するチョコレートの風味を向上させることができる。また、本発明によると、チョコレートにおけるテアニンの含有量に対するタンニンとカフェインの合計含有量の質量比、タンニンとカフェインの合計含有量、テアニンの含有量、タンニンの含有量、カフェインの含有量を前記範囲にすることで抹茶を含有するチョコレートの風味をより向上させることができる。
【0033】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、菓子、パン等の他の食品と組み合わせることもできる。
【0034】
本発明の実施の形態に係るチョコレートを菓子、パン等の他の食品と組み合わせる方法としては、コーティング、注入、フィリング、挟む等が挙げられる。
【実施例】
【0035】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0036】
〔チョコレートの製造及び評価〕
5種類の抹茶を使用して、表1~6に示された配合のチョコレートを、通常のチョコレートの製造方法(混合、微粒化、精練、冷却)を用いることにより製造した(チョコレート中の無脂カカオ固形分含有量は全てのチョコレートが0質量%であった。チョコレート中の水分含有量は全てのチョコレートが3質量%以下であった。)。なお、チョコレートの配合の単位は質量部であり、含有量の単位は質量%である(質量比の単位はなし)。
各チョコレートを15名の専門パネルが食し、風味のバランス(旨味・コク味と苦味・渋味のバランス)、美味しさを下記評価基準に従って点数を付けた。15名の専門パネルの平均点を算出し、下記評価基準に従って評価した。評価結果が両方共に○である場合、風味のバランスが良く、美味しいチョコレートであるとした。なお、チョコレートの風味のバランス及び美味しさを評価した専門パネルは、チョコレートの風味や美味しさ等の官能評価の訓練を定期的に受けており、チョコレートの風味や美味しさ等の官能評価結果に個人差が少ない。
評価結果は表1~6に示した。
2点:良好
1点:やや良好
0点:不良
<平均点>
○:1.5点以上
△:1.0点以上1.5点未満
×:1.0点未満
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
表1~6から分かるように、実施例1~15のチョコレートは、風味のバランスが良く、美味しかった。
一方、表1~3から分かるように、比較例1~5のチョコレートは、風味のバランスが悪く、美味しくなかった。また、表4から分かるように、比較例6、7のチョコレートは、風味のバランスは良いが、美味しくなかった。