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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】ステータ及び回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20220526BHJP
【FI】
H02K1/18 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021050195
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】中山 陽介
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-329986(JP,A)
【文献】中国実用新案第203243128(CN,U)
【文献】実開昭49-029404(JP,U)
【文献】特開昭60-096164(JP,A)
【文献】特開平05-103436(JP,A)
【文献】特許第2925991(JP,B2)
【文献】実開昭55-023857(JP,U)
【文献】特開2003-274579(JP,A)
【文献】実公昭54-000003(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状部及び環状部から中心に向かって突出する複数のティース部を備える環状コアプレートが軸方向に複数積層されて構成されるステータコアと、
ステータコアの端面に配置される終端部材とを備え、
終端部材は、
複数枚の環状プレートが積層されたものであり、
最外の環状コアプレートの環状部に当接する環状部と、
最外の環状コアプレートの各ティース部に当接する複数の押さえ部と
外面が凸、内面が凹となり、各環状プレートに押さえ部から環状部に跨って形成される塑性変形部であって、内側の環状プレートの塑性変形部が外側の環状プレートの塑性変形部よりも小さく、外側の環状プレートの塑性変形部の凹部に収まる大きさに形成されることにより、各環状プレートが密着する、塑性変形部とを備える
ステータ。
【請求項2】
塑性変形部は、環状プレートの径方向に沿って長尺に形成され、
内側の環状プレートの塑性変形部が外側の環状プレートの塑性変形部よりも短くかつ細く形成される
請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
環状部及び環状部から中心に向かって突出する複数のティース部を備える環状コアプレートが軸方向に複数積層されて構成されるステータコアと、
最外の環状コアプレートの環状部に当接するスペーサと、
スペーサを介してステータコアの端面に配置される終端部材とを備え、
終端部材は、
スペーサに当接する環状部と、
環状部から中心に向かって突出し、先端部が屈曲して最外の環状コアプレートの各ティース部に当接する複数の押さえ部であって、最外の環状コアプレートの各ティース部との間に、ティース部に巻回されるコイルのコイルエンド部を配置可能な空間部を形成する複数の押さえ部とを備える
ステータ。
【請求項4】
スペーサは、ネジ孔を備え、
終端部材の環状部は、ネジ挿通孔を備え、
終端部材は、ネジによりスペーサに取り付けられる
請求項3に記載のステータ。
【請求項5】
押さえ部の先端部は、ティース部の先端部に当接する
請求項3又は請求項4に記載のステータ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のステータを備える回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機や発電機等の回転電機のステータ及び回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
図10に示すように、ステータ1’は、複数のティース部23’,…を備える電磁鋼板からなる環状コアプレート20’が軸方向に複数積層されて構成される積層タイプのステータコア2’と、ステータコア2’の両端面に配置されるエンドプレート3’,3’とを備える。そして、一対のエンドプレート3’,3’は、最外の環状コアプレート20’の環状部22’に当接し、圧力を掛けてステータコア2’を軸方向両側から挟み込んだ状態で、複数の締結部材4’,…により連結される。なお、図示しないが、ステータ1’は、軸方向に連続するティース部23’,…に巻回されかつ周方向で隣り合うティース部23’,23’間に形成されるスロット部に配置されるコイルを備える。このような構造のステータは、たとえば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-061348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、環状コアプレート20’は、厚みが0.5mm程度の非常に薄いプレートである。このため、上述のとおり、環状コアプレート20’の環状部22’のみがエンドプレート3’に拘束される場合、特に最外及びこの内側の数枚の環状コアプレート20’のティース部23’は、遊離片となり、微振動を起こしやすい。そして、ティース部23’が微振動を起こすことにより、異音が発生するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、ティース部の微振動を抑制することができるステータ及び回転電機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るステータは、
環状部及び環状部から中心に向かって突出する複数のティース部を備える環状コアプレートが軸方向に複数積層されて構成されるステータコアと、
ステータコアの端面に配置される終端部材とを備え、
終端部材は、
複数枚の環状プレートが積層されたものであり、
最外の環状コアプレートの環状部に当接する環状部と、
最外の環状コアプレートの各ティース部に当接する複数の押さえ部と
外面が凸、内面が凹となり、各環状プレートに押さえ部から環状部に跨って形成される塑性変形部であって、内側の環状プレートの塑性変形部が外側の環状プレートの塑性変形部よりも小さく、外側の環状プレートの塑性変形部の凹部に収まる大きさに形成されることにより、各環状プレートが密着する、塑性変形部とを備える
ステータである。
【0007】
この場合、本発明に係るステータの一態様として、
塑性変形部は、環状プレートの径方向に沿って長尺に形成され、
内側の環状プレートの塑性変形部が外側の環状プレートの塑性変形部よりも短くかつ細く形成される
との構成を採用することができる。
【0008】
また、本発明に係るステータは、
環状部及び環状部から中心に向かって突出する複数のティース部を備える環状コアプレートが軸方向に複数積層されて構成されるステータコアと、
最外の環状コアプレートの環状部に当接するスペーサと、
スペーサを介してステータコアの端面に配置される終端部材とを備え、
終端部材は、
スペーサに当接する環状部と、
環状部から中心に向かって突出し、先端部が屈曲して最外の環状コアプレートの各ティース部に当接する複数の押さえ部であって、最外の環状コアプレートの各ティース部との間に、ティース部に巻回されるコイルのコイルエンド部を配置可能な空間部を形成する複数の押さえ部とを備える
ステータである。
【0009】
この場合、本発明に係るステータの態様として、
スペーサは、ネジ孔を備え、
終端部材の環状部は、ネジ挿通孔を備え、
終端部材は、ネジによりスペーサに取り付けられる
との構成を採用することができる。
【0010】
また、本発明に係るステータの態様として、
押さえ部の先端部は、ティース部の先端部に当接する
との構成を採用することができる。
【0017】
また、本発明に係る回転電機は、
上記いずれかのステータを備える
回転電機である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、終端部材が最外の環状コアプレートの各ティース部に当接する複数の押さえ部を備える。このため、本発明によれば、異音の原因となるティース部の微振動を抑制することができる。
【0019】
また、このため、本発明をエレベータ、エスカレータ、動く歩道等の乗客搬送装置の駆動用モータとして使用すれば、利用者にとっての静粛性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るステータの斜視図である。
図2図2は、図1の分解図である。
図3図3(a)は、ステータの要部の拡大斜視図である。図3(b)は、要部の平面図である。図3(c)は、図3(b)のA-A線断面図である。図3(d)は、図3(b)のB-B線断面図である。
図4図4(a)及び(b)は、別例1に係るステータの要部の断面図である。図4(c)及び(d)は、別例2に係るステータの要部の断面図である。
図5図5(a)及び(b)は、別例3に係るステータの要部の断面図である。図5(c)及び(d)は、図5(a)及び(b)の分解図である。
図6図6(a)及び(b)は、別例4に係るステータの要部の断面図である。図6(c)及び(d)は、図6(a)及び(b)の分解図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態に係るステータの斜視図である。
図8図8は、図7の分解図である。
図9図9(a)は、ステータの要部の拡大斜視図である。図9(b)は、要部の平面図である。図9(c)は、図9(b)のC-C線断面図である。
図10図10は、特許文献1に記載されたステータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係るステータについて、図1ないし図6を参酌して説明する。
【0022】
図1及び図2に示すように、ステータ1は、ステータコア2と、終端部材3とを備える。また、ステータ1は、図示しないが、コイルを備える。ステータコア2は、環状部22及び環状部22から中心に向かって突出する複数のティース部23,…を備える環状コアプレート20が軸方向に複数積層されて構成される。終端部材3は、ステータコア2の両端面に配置される。コイルは、軸方向に連続するティース部23,…に巻回されかつ周方向で隣り合うティース部23,23間に形成されるスロット部に配置される。コイルの巻き方としては、分布巻き、集中巻き等がある。
【0023】
環状コアプレート20は、周方向に等分(本実施形態においては、6等分)に分割された複数の分割コアプレート21,…が同一面内で環状に配置されたものである。ただし、環状コアプレート20は、分割されていない一つの環状プレートであってもよい。
【0024】
環状コアプレート20は、外縁の複数箇所(本実施形態においては、等分かつ6箇所)に凸部24を備える。凸部24は、特許文献1に記載された治具を用いてヘリカル状に連続させることにより、ステータコア2にスキューを形成するガイド部となる。
【0025】
環状コアプレート20は、外縁の複数箇所(本実施形態においては、等分かつ凸部24,24間の6箇所)に切欠き部25を備える。切欠き部25は、ステータコア2のスキューの形成により、軸方向に連続すると、ヘリカル状の溝となる。
【0026】
一対の終端部材3,3は、最外の環状コアプレート20に当接し、圧力を掛けてステータコア2を軸方向両側から挟み込んだ状態で、複数の締結部材4,…により連結される。より詳しくは、締結部材4は、切欠き部25により構成される溝及びこの溝の端部に位置合わせされる終端部材3の外縁に形成される切欠き部33に配置され、溝内にて全長に亘って環状コアプレート20,…及び一対の終端部材3,3と溶接される。これにより、ステータコア2は、一対の終端部材3,3とともに一体化される。
【0027】
図3にも示すように、終端部材3は、円環状の環状プレート30であり、分割されていない一つの環状プレート30である。環状プレート30は、6mm以下の厚みを有する。これは、環状コアプレート20の厚みが0.5mm程度であるとして、環状コアプレート20の厚みの12倍以下の厚みである。
【0028】
終端部材3(環状プレート30)は、環状部31と、押さえ部32とを備える。環状部31は、ヨーク部として作用する。環状部31は、最外の環状コアプレート20の環状部22に当接する。押さえ部32は、最外の環状コアプレート20のティース部23に当接する。
【0029】
環状部31は、環状部22に対応した形状を有する。本実施形態においては、環状部31と環状部22とは、同一の外径及び内径を有する。したがって、環状部31の外縁と環状部22の外縁とは一致し、環状部31の内縁と環状部22の内縁とは一致する。
【0030】
押さえ部32は、環状部31の内縁から中心に向かって突出する。押さえ部32は、環状部22の内縁から中心に向かって突出しかつ周方向に等間隔に形成されるティース部23に重なるよう、ティース部23と同数かつ周方向に等間隔に形成され、かつティース部23と同一位相角に配置される。
【0031】
押さえ部32は、ティース部23に対応した形状を有する。本実施形態においては、押さえ部32とティース部23とは、同一の突出量を有する。したがって、押さえ部32の先端縁とティース部23の先端縁とは一致する。
【0032】
押さえ部32は、ティース部23の両側縁間に収まる大きさに形成される。より詳しくは、ティース部23は、先端の拡幅部を除き、先端に向かうほど幅狭となる台形状(テーパ状)を有するところ、押さえ部32も、これに対応した台形状(テーパ状)を有する。本実施形態においては、押さえ部32とティース部23とは、同一の幅を有する。したがって、押さえ部32の一方の側縁とティース部23の一方の側縁とは一致し、押さえ部32の他方の側縁とティース部23の他方の側縁とは一致する。
【0033】
押さえ部32は、高剛性部ないし補強部34を備える。高剛性部34は、ステータコア2の軸方向への曲げ(最外の環状コアプレート20のティース部23から離れる方向への曲げ)に対する剛性を高め、押さえ部32がティース部23を適切な押圧力で押圧する状態を好適に維持するためのものである。
【0034】
高剛性部34は、押さえ部32の径方向中心線を中心として径方向に沿って長尺に形成される。高剛性部34は、押さえ部32よりも幅狭に形成される。高剛性部34は、押さえ部32から押さえ部32及び環状部31間の境界を越えて環状部31に跨って形成される。これにより、押さえ部32自体の剛性が高められることに加え、環状部31に対する押さえ部32の剛性も高められる。
【0035】
図3(c)及び(d)に示すように、高剛性部34は、押さえ部32の厚みが増した肉厚部35である。あるいは、高剛性部34は、その他の各種の形態を採用することができる。たとえば、別例1として、図4(a)及び(b)に示す高剛性部34は、外面が凸かつ内面が凹となるエンボス部36である。別例2として、図4(c)及び(d)に示す高剛性部34は、外面が凸かつ内面が凹となるルーバー部37である。エンボス部36は、エンボス加工により形成される。ルーバー部37は、ルーバー加工により形成される。すなわち、エンボス部36及びルーバー部37は、塑性変形部である。別例1や別例2のように、塑性変形により高剛性部34を形成する場合は、塑性変形が可能となるよう、環状プレート30の厚みは、4mm以下とされる。
【0036】
他方、環状プレート30の厚みが小さいために、高剛性部34を設けても剛性が足りない場合、たとえば、図5図6に示す別例3や別例4の形態が採用され得る。これらは、終端部材3が複数枚の環状プレート30(第1環状プレート30A、第2環状プレート30B、第3環状プレート30C)が積層されたものであり、各環状プレート30にエンボス部36(第1エンボス部36A、第2エンボス部36B、第3エンボス部36C)が形成されるとともに、内側の環状プレート30のエンボス部36が外側の環状プレート30のエンボス部36の凹部に収まる大きさに形成されることにより、各環状プレート30が密着する構成である。この構成は、エンボス部36でなく、ルーバー部37を用いても実施可能である。
【0037】
本実施形態に係るステータ1の構成は以上のとおりである。あとは、スロット部にインシュレータ(絶縁紙等)が挿入された状態で、軸方向に連続するティース部23,…及びその両端の押さえ部32,32にコイルが巻回され、ステータ1が完成する。そして、ステータ1内にロータが挿入され、これらがハウジングに収められることにより、回転電機が完成する。
【0038】
以上のとおり、本実施形態に係るステータ1によれば、終端部材3が最外の環状コアプレート20の各ティース部23に当接する複数の押さえ部32,…を備える。このため、本実施形態に係るステータ1によれば、異音の原因となるティース部23の微振動を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態に係るステータ1によれば、従来のエンドプレートよりも終端部材3を薄く形成することができる。このため、本実施形態に係るステータ1によれば、終端部材が肉厚となることにより発生しやすくなる渦電流を抑制することができ、ひいては、渦電流の発生に伴う回転電機の効率低下(鉄損等)を防止することができる。
【0040】
また、本実施形態に係るステータ1によれば、押さえ部32が高剛性部34を備える。このため、本実施形態に係るステータ1によれば、終端部材3をさらに薄く形成することができる。
【0041】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態に係るステータについて、図7ないし図9を参酌して説明する。なお、第2実施形態と第1実施形態とが異なる点は、環状スペーサ38の有無及びこれに伴う終端部材3の押さえ部32の形状に関する点である。この点以外については、両者は、同じである。そこで、以下においては、異なる点について記載し、同じ点については、第1実施形態についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0042】
本実施形態においては、終端部材3(環状プレート30)は、最外の環状コアプレート20の環状部22及び環状プレート30の環状部31に当接する環状スペーサ38を介してステータコア2の端面に配置される。また、これに伴って生じる環状プレート30と最外の環状コアプレート20との離間を補填するために、押さえ部32の先端部は、最外の環状コアプレート20のティース部23に当接するように屈曲される。
【0043】
環状部31の周方向の複数箇所(本実施形態においては、等分かつ6箇所)には、ネジ挿通孔が形成され、環状スペーサ38の周方向の複数箇所(本実施形態においては、等分かつ6箇所)には、ネジ孔が形成される。これにより、環状プレート30は、皿ネジ等のネジにより環状スペーサ38に取り付けられる。なお、環状スペーサ38は、ネジ孔の形成の必要上、環状プレート30よりも厚みが大きくなる。
【0044】
環状プレート30が取り付けられる前に、スロット部にインシュレータ(絶縁紙等)が挿入された状態で、軸方向に連続するティース部23,…にコイルが巻回される。コイルのコイルエンド部(折返し部)は、環状スペーサ38の内側に形成される空間部40に配置され、環状スペーサ38の外面から突出しない。このため、コイルと環状プレート30が干渉することはない。そこで、環状プレート30が取り付けられ、ステータ1が完成する。そして、ステータ1内にロータが挿入され、これらがハウジングに収められることにより、回転電機が完成する。
【0045】
なお、第1実施形態と同様、環状プレート30が高剛性部34を備えることはもちろん可能である。
【0046】
以上のとおり、本実施形態に係るステータ1によっても、第1実施形態に係るステータ1と同様の作用効果を奏する。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0048】
第1実施形態においては、押さえ部32は、環状部31から水平方向に延びる。すなわち、押さえ部32の内面(最外の環状コアプレート20のティース部23との対向面)と環状部31の内面(最外の環状コアプレート20の環状部22との対向面)とは面一である。また、第2実施形態においては、押さえ部32の先端部の端面(最外の環状コアプレート20のティース部23との対向面)と環状スペーサ38の内面(最外の環状コアプレート20の環状部22との対向面)とは面一である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、第1実施形態において、押さえ部32の内面が環状部31の内面よりも最外の環状コアプレート20側に位置するようにしたり(たとえば押さえ部32が僅かに屈曲される)、第2実施形態において、押さえ部32の先端部の端面が環状スペーサ38の内面よりも最外の環状コアプレート20側に位置するようにする(たとえば押さえ部32の先端部が僅かに長く形成される)ことも可能である。これにより、ティース部に対する押圧力を高めることができる。
【0049】
また、各実施形態においては、押さえ部32の数はティース部23の数と同数である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、押さえ部(の先端部)が幅広に形成されることにより、1つの押さえ部が複数のティース部を押さえるようにしてもよい。
【0050】
また、各実施形態においては、終端部材3は、ステータコア2の両端面に配置される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、ステータコアの一方の端面がハウジングやフレーム等で拘束されるのであれば、終端部材は、ステータコアの他方の端面にのみ用いられるようにしてもよい。
【0051】
また、第1実施形態(及び第2実施形態)においては、押さえ部32は、高剛性部34を備える。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。押さえ部自体の剛性が十分である場合は、高剛性部は必須ではない。
【0052】
また、第2実施形態においては、環状スペーサ38が用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、最外の環状コアプレートの環状部に部分的に当接する複数のスペーサであってもよい。
【0053】
また、各実施形態においては、ステータコア2とともに一対の終端部材3,3を締結するのは、バー状の締結部材4である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、終端部材の外周の複数箇所に孔が形成され、この孔に長ボルトを通してナットとの組み合わせで締結するようにしてもよい。
【0054】
また、「ヘリカル」、「円環」、「台形」、「中心」、「全長」、「同一」、「一致」、「等分」、「等間隔」、「面一」といった形状、部位又は状態を特定する用語は、本発明において、そのもののほか、それに近いないし類するという意味の「略」の概念も含むものである。
【符号の説明】
【0055】
1…ステータ、2…ステータコア、20…環状コアプレート、21…分割コアプレート、22…環状部、23…ティース部、24…凸部、25…切欠き部、3…終端部材、30…環状プレート、30A…第1環状プレート、30B…第2環状プレート、30C…第3環状プレート、31…環状部、32…押さえ部、33…切欠き部、34…高剛性部、35…肉厚部、36…エンボス部、36A…第1エンボス部、36B…第2エンボス部、36C…第3エンボス部、37…ルーバー部、38…環状スペーサ、39…切欠き部、40…空間部、4…締結部材
【要約】
【課題】ティース部の微振動を抑制することができるステータ及び回転電機を提供する。
【解決手段】ステータ1は、環状部22及び環状部22から中心に向かって突出する複数のティース部23を備える環状コアプレート20が軸方向に複数積層されて構成されるステータコア2と、ステータコア2の端面に配置される終端部材3とを備える。終端部材3は、最外の環状コアプレート20の環状部22に当接する環状部31と、最外の環状コアプレート20の各ティース部23に当接する複数の押さえ部32とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10