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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】パレット用箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/38 20060101AFI20220526BHJP
【FI】
B65D19/38 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022063162
(22)【出願日】2022-04-05
【審査請求日】2022-04-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398006855
【氏名又は名称】株式会社アルプス物流
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】渡部 広美
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-67154(JP,A)
【文献】特開2007-210632(JP,A)
【文献】特開平11-79276(JP,A)
【文献】特表平5-506199(JP,A)
【文献】実開昭59-191321(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形のパレットの上面に載置された物品を囲うパレット用箱であって、
前記パレットの4つの側面に当接する角筒状の胴体部と、
前記胴体部の上方の開口部を塞ぐ蓋部とを有し、
前記パレットは、4つの前記側面として、対向する2つの第1側面と、対向する2つの第2側面とを持ち、
前記胴体部は、
2つの前記第1側面に対応する2つの側板部と、
2つの前記側板部を連結する2つの連結板と
を含み、
1つの前記第1側面に対応する1つの前記側板部は、
当該1つの第1側面に当接する第1側板と、
2つの前記第2側面に当接する2つの第2側板と、
2つの前記第2側板に設けられた2つの固定部と
を含み
各前記第2側板に設けられた1つの前記固定部は、前記第2側板に対して1つの前記連結板を取り外し可能に固定し、
一方の前記連結板は、一方の前記第2側面に当接する2つの前記側板部の2つの前記第2側板に固定され、
他方の前記連結板は、他方の前記第2側面に当接する2つの前記側板部の2つの前記第2側板に固定され、
各前記側板部における2つの前記第2側板は、前記第1側板に対して折り畳み可能に接続される、
パレット用箱。
【請求項2】
前記固定部は、前記第2側板に対して1つの前記連結板を固定する場合、前記第2側板に対して前記連結板を面接触させる、
請求項1に記載のパレット用箱。
【請求項3】
前記固定部は、1つの前記第2側板に接続されるとともに、当該1つの第2側板と隙間を隔てて対向するように配置された対向板を含み、
前記連結板は、同一の前記第2側面に当接する2つの前記第2側板に設けられた2つの前記固定部の前記隙間にそれぞれ差し込まれる2つの差し込み部を含む、
請求項2に記載のパレット用箱。
【請求項4】
前記固定部は、前記対向板の端縁、及び、前記第2側板と前記対向板とを接続する部分の少なくとも一方において、前記パレットの前記上面に当接する、
請求項3に記載のパレット用箱。
【請求項5】
前記固定部は、前記第2側板と前記対向板とを接続する折り曲げ部を含み、
前記対向板は、隙間を隔てて前記第2側板と対向するように、前記折り曲げ部において前記パレットの前記上面側に折り返されている、
請求項3又は4に記載のパレット用箱。
【請求項6】
前記側板部において、前記第1側板と前記第2側板とが折り曲げ線において折り畳み可能に接続されており、前記折り曲げ部が前記折り曲げ線と平行に伸びている、
請求項5に記載のパレット用箱。
【請求項7】
前記連結板は、2つの前記差し込み部の間に位置する中間部を含んでおり、
一方の前記差し込み部と前記中間部との間、及び、他方の前記差し込み部と前記中間部との間には、それぞれ第1スリットが形成されており、
1つの前記連結板を1つの前記第2側板に固定する前記固定部の前記折り曲げ部は、当該1つの連結板における1つの前記第1スリットに差し込まれる、
請求項5に記載のパレット用箱。
【請求項8】
前記固定部は、前記折り曲げ部より前記開口部側において、前記第2側板の端縁と前記対向板の端縁との間に第2スリットが形成されており、
1つの前記連結板を前記第2側板に固定する前記固定部の前記第2スリットには、当該1つの連結板が差し込まれる、
請求項5に記載のパレット用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットに載せた物品を囲うパレット用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パレットに物品を載せた状態で、パレット上の物品の周囲をスリーブ部材(強化段ボール等)で囲い、上側の開口部を蓋部材で塞ぐようにしたパレット用の箱が知られている(下記の特許文献1を参照)。このようなパレット用箱を用いることにより、パレットで輸送中の物品が周囲の物にぶつかって傷つくことを防止したり、物品の荷崩れを防止したりすることができる。また、パレット用箱の上に別のパレット用箱を積み重ねることで、貨物の輸送効率を高めることができるとともに、倉庫等で効率的に物品を保管することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-116395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるような従来のパレット用箱を使用する場合、作業者は、パレットに載せた物品の上側からスリーブ部材(特許文献1では側壁部材30)を下ろして、スリーブ部材の内側に物品を収容させるようにする。パレットに積み上げた物品の高さが大きくなるほど、より高い位置からスリーブ部材を下ろす必要があるため、一人でパレット用箱を組み上げることが難しくなるという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、パレットに載せた物品の高さが大きい場合でも簡単にパレットに取り付けることが可能なパレット用箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係るパレット用箱は、矩形のパレットの上面に載置された物品を囲うパレット用箱であって、前記パレットの4つの側面に当接する角筒状の胴体部と、前記胴体部の上方の開口部を塞ぐ蓋部とを有する。前記パレットは、4つの前記側面として、対向する2つの第1側面と、対向する2つの第2側面とを持ち、前記胴体部は、2つの前記第1側面に対応する2つの側板部と、2つの前記側板部を連結する2つの連結板とを含む。1つの前記第1側面に対応する1つの前記側板部は、当該1つの第1側面に当接する第1側板と、2つの前記第2側面に当接する2つの第2側板と、2つの前記第2側板に設けられた2つの固定部とを含む。各前記第2側板に設けられた1つの前記固定部は、前記第2側板に対して1つの前記連結板を取り外し可能に固定する。一方の前記連結板は、一方の前記第2側面に当接する2つの前記側板部の2つの前記第2側板に固定され、他方の前記連結板は、他方の前記第2側面に当接する2つの前記側板部の2つの前記第2側板に固定される。各前記側板部における2つの前記第2側板は、前記第1側板に対して折り畳み可能に接続される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パレットに載せた物品の高さが大きい場合でも簡単にパレットに取り付けることが可能なパレット用箱を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係るパレット用箱の一例を示す分解図である。
図2図2Aは、図1に示すパレット用箱が組み立てられる途中の状態を示す図である。図2Bは、図1に示すパレット用箱が組み立てられた状態を示す図である。
図3図3Aは、パレットと2つの側板部を上側から見た図である。図3Bは、パレットと胴体部を上側から見た図である。
図4図4は、側板部の斜視図を示す。
図5図5A及び図5Bは、側板部の平面図及び正面図である。図5Cは、側板部のA-A線断面図である。
図6図6A及び図6Bは、側板部を板状に展開した状態を示す図である。
図7図7A及び図7Bは、連結板の斜視図及び正面図である。
図8図8は、パレット用箱を分解してコンパクトにした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係るパレット用箱について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るパレット用箱1の一例を示す図である。図2Aは、図1に示すパレット用箱1が組み立てられる途中の状態を示し、図2Bはパレット用箱1が組み立てられた状態を示す。
【0010】
本実施形態に係るパレット用箱1は、矩形のパレット90の上面94に載置された物品を囲うための箱である。パレット用箱1は、組み立てられた状態(図2B)で角筒状になる胴体部2と、胴体部2の上方の開口部を塞ぐ蓋部3とを有する。パレット90は、上側から見て矩形の形状をしており、胴体部2は、その4つの側面(91A,91B,92A,92B)に当接する。胴体部2の上側の開口部を蓋部3で塞ぐことにより、パレット90上の物品がパレット用箱1の内側に収容された状態となる。
【0011】
胴体部2は、パレット90の2つの側面(91A,91B)に対応する2つの側板部(4A,4B)と、この2つの側板部(4A,4B)を連結する2つの連結板(5A,5B)とを含む。図1及び図2Aに示すように、2つの側板部(4A,4B)を2つの連結板(5A,5B)で連結させることにより、角筒状の胴体部2が組み立てられる。
【0012】
図3Aは、パレット90と2つの側板部(4A,4B)を上側から見た図であり、側板部(4A,4B)をパレット90の側面(91A,91B)に当接させる前の状態を示す。図3Bは、パレット90と胴体部2を上側から見た図であり、パレット90に当接させた2つの側板部(4A,4B)を2つの連結板(5A,5B)で連結させて胴体部2が組み立てられた状態を示す。
【0013】
図3Aに示すように、パレット90は上側から見て矩形であり、矩形の4辺に対応した4つの側面(91A,91B,92A,92B)を持つ。パレット90の4つの側面において、第1側面91Aと第1側面91Bとが対向し、第2側面92Aと第2側面92Bとが対向している。側板部4Aは、第1側面91Aに対応する部材であり、第1側面91A側からパレット90を囲う。側板部4Bは、第1側面91Bに対応する部材であり、第1側面91B側からパレット90を囲う。
【0014】
図3Aに示すように、側板部4Aは、第1側面91Aに当接する第1側板41と、第2側面92Aに当接する第2側板42Aと、第2側面92Bに当接する第2側板42Bと、第2側板42Aに設けられた固定部44Aと、第2側板42Bに設けられた固定部44Bと、中間板43A及び43Bとを含む。また側板部4Bは、第1側面91Bに当接する第1側板41と、第2側面92Aに当接する第2側板42Aと、第2側面92Bに当接する第2側板42Bと、第2側板42Aに設けられた固定部44Aと、第2側板42Bに設けられた固定部44Bと、中間板43A及び43Bとを含む。側板部4Aと側板部4Bは略同一の構成を有しているため、以下では主に側板部4Aについて説明することとし、側板部4Bについては説明を省略する。
【0015】
図4図6は、側板部4Aの構成を示す図である。図4は側板部4Aの斜視図であり、図5Aは側板部4Aを上側から見た平面図であり、図5Bは側板部4Aをパレット90側から水平方向に見た正面図である。図5Cは、図5BのA-A線において側板部4Aを切断した断面を示す断面図である。図6A及び図6Bは、側板部4Aを板状に展開した状態を示す図である。図6A図5Aと同じ方向から見た図を示し、図6B図5Bと同じ方向から見た図を示す。
【0016】
第1側板41は、概ね矩形の形状を持ち、下側には2つの切り欠き411が形成される。各切り欠き411は、パレット90の各側面に2つずつ形成された孔93と重なる場所に形成される。孔93は、フォークリフトのフォークを差し込むことができるように、対向する2つの側面(91A及び91B、92A及び92B)を貫通している。従って、パレット用箱1をパレット90に被せた状態でも、パレット90の各側面に形成された孔93にフォークリフトのフォークを差し込んで、パレット90を運搬することができる。
【0017】
第2側板42A及び第2側板42Bは、それぞれ第1側板41に対して折り畳み可能に接続される。すなわち、第1側板41の対向する2つの辺における一方の辺に第2側板42Aが接続され、他方の辺に第2側板42Bが接続される。第2側板42A及び第2側板42Bは、図5A図6B等に示すように、第1側板41に対して3分の1程度の横幅を持っており、第1側板41側に折り畳まれた状態では、第1側板41と略平行になる。
【0018】
図4及び図5Aに示すように、第2側板42A及び第2側板42Bは、それぞれ中間板43A及び中間板43Bを介して第1側板41に接続される。すなわち、第2側板42Aは中間板43Aを介して第1側板41に接続され、第2側板42Bは中間板43Bを介して第1側板41に接続される。
【0019】
第2側板42Aと中間板43Aは、折り曲げ線403A(図6A図6B)において略直角に折れ曲がり、第2側板42Bと中間板43Bは、折り曲げ線403B(図6A図6B)において略直角に折れ曲がる。折り曲げ線403Aにおける第2側板42Aと中間板43Aの折り曲げ状態、及び、折り曲げ線403Bにおける第2側板42Bと中間板43Bの折り曲げ状態は、任意の固定手段(固定用の器具、接着剤など)によって直角に固定される。
【0020】
他方、中間板43Aと第1側板41は、折り曲げ線404A(図6A図6B)において折り曲げ可能となっており、中間板43Bと第1側板41は、折り曲げ線404B(図6A図6B)において折り曲げ可能となっているが、これらの折り曲げ状態は固定されていない。すなわち、第2側板42Aは、中間板43Aに対して略直角に折れ曲がった状態を保ちつつ、折り曲げ線404Aにおいて第1側板41に対して開閉自在に折れ曲がる。第2側板42Bも同様に、中間板43Bに対して略直角に折れ曲がった状態を保ちつつ、折り曲げ線404Bにおいて第1側板41に対して開閉自在に折れ曲がる。
【0021】
固定部44Aは、第2側板42Aに対して連結板5Aを取り外し可能に固定し、固定部44Bは、第2側板42Bに対して連結板5Bを取り外し可能に固定する。図2A及び図3Bに示すように、連結板5Aは、側板部4A及び4Bの各固定部44Aによって、側板部4A及び4Bの各第2側板42Aに対して取り外し可能に固定される。また連結板5Bは、側板部4A及び4Bの各固定部44Bによって、側板部4A及び4Bの各第2側板42Bに対して取り外し可能に固定される。連結板5A、5Bがそれぞれ第2側板42A、42Bに対して取り外し可能に固定されるため、分離した側板部4A、4Bをパレット90の周囲に配置させた状態で、それぞれの第2側板42A、42Bに連結板5A、5Bを固定させることにより、角筒状の胴体部2をパレット90の周囲に簡単に組み立てることができる。
【0022】
固定部44Aは、図2A及び図3Bに示すように、第2側板42Aに対して連結板5Aを固定する場合、第2側板42Aに対して連結板5Aを面接触させる。また固定部44Bも同様に、第2側板42Bに対して連結板5Bを固定する場合、第2側板42Bに対して連結板5Bを面接触させる。これにより、連結板5Aは、側板部4A及び4Bの各第2側板42Aに対して面接触した状態で固定され、連結板5Bは、側板部4A及び4Bの各第2側板42Bに対して面接触した状態で固定される。
【0023】
図4図5A図5Bに示すように、固定部44Aは、第2側板42Aに対して隙間を隔てて対向するように配置された対向板441Aを含む。また、固定部44Bは、第2側板42Bに対して隙間を隔てて対向するように配置された対向板441Bを含む。固定部44Aの対向板441Aと第2側板42Aとの隙間には、連結板5Aの差し込み部51が差し込まれ、固定部44Bの対向板441Bと第2側板42Bとの隙間には、連結板5Bの差し込み部51が差し込まれる。
【0024】
連結板5A及び連結板5Bは、図1に示すように、それぞれ2つの差し込み部51を有する。連結板5Aの2つの差し込み部51は、パレット90の第2側面92Aに当接する2つの第2側板42A(側板部4Aの第2側板42Aと側板部4Bの第2側板42A)に設けられた2つの固定部44Aの隙間(対向板441Aと第2側板42Aとの隙間)に差し込まれ、それぞれ第2側板42Aと面接触する。連結板5Bの2つの差し込み部51は、パレット90の第2側面92Bに当接する2つの第2側板42B(側板部4Aの第2側板42Bと側板部4Bの第2側板42B)に設けられた2つの固定部44Bの隙間(対向板441Bと第2側板42Bとの隙間)に差し込まれ、それぞれ第2側板42Bと面接触する。
【0025】
固定部44Aは、対向板441Aの下側の端縁においてパレット90の上面94に当接し、固定部44Bは、対向板441Bの下側の端縁においてパレット90の上面94に当接する。すなわち図3Bに示すように、パレット90の上側から見て、固定部44Aの対向板441Aは、第2側面92Aに当接する第2側板42Aよりも上面94の内側の範囲に位置しており、固定部44Bの対向板441Bは、第2側面92Bに当接する第2側板42Aよりも上面94の内側の範囲に位置しているため、いずれも下側の端縁においてパレット90の上面94に当接する。固定部44A、固定部44Bがパレット90の上面94に当接するため、フォークリフトによってパレット90を持ち上げる場合、パレット90と一緒にパレット用箱1も持ち上げることができる。
【0026】
図4図5A図5Bに示すように、固定部44Aは、第2側板42Aと対向板441Aとを接続する折り曲げ部442Aを含み、固定部44Bは、第2側板42Bと対向板441Bとを接続する折り曲げ部442Bを含む。対向板441Aは、隙間を隔てて第2側板42Aと対向するように、折り曲げ部442Aにおいてパレット90の上面94側に折り返されている。また対向板441Bも、隙間を隔てて第2側板42Bと対向するように、折り曲げ部442Bにおいてパレット90の上面94側に折り返されている。
【0027】
図4及び図5Bに示すように、第2側板42Aと対向板441Aとを接続する折り曲げ部442Aは、第1側板41と第2側板42Aとを折り畳み可能に接続する折り曲げ線404Aと平行に伸びている。折り曲げ部442Aが折り曲げ線404Aと平行に伸びているため、第2側板42Aと対向板441Aとの隙間に差し込まれた連結板5Aの差し込み部51は、折り曲げ線404Aから遠ざかる方向への移動が折り曲げ部442Aによって規制される。これにより、連結板5Aの差し込み部51は、第2側板42Aと対向板441Aとの隙間に固定される。
同様に、第2側板42Bと対向板441Bとを接続する折り曲げ部442Bは、第1側板41と第2側板42Bとを折り畳み可能に接続する折り曲げ線404Bと平行に伸びている。折り曲げ部442Bが折り曲げ線404Bと平行に伸びているため、第2側板42Bと対向板441Bとの隙間に差し込まれた連結板5Bの差し込み部51は、折り曲げ線404Bから遠ざかる方向への移動が折り曲げ部442Bによって規制される。これにより、連結板5Bの差し込み部51は、第2側板42Bと対向板441Bとの隙間に固定される。
【0028】
図6A及び図6Bに示すように、折り曲げ部442Aは、折り曲げ線401Aにおいて対向板441Aに接続され、折り曲げ線402Aにおいて第2側板42Aに接続される。図4及び図5Aに示すように、対向板441Aと折り曲げ部442Aは、折り曲げ線401Aにおいて略直角に折れ曲がり、第2側板42Aと折り曲げ部442Aは、折り曲げ線402Aにおいて略直角に折れ曲がる。対向板441Aと折り曲げ部442Aとの折り曲げ状態、及び、第2側板42Aと折り曲げ部442Aとの折り曲げ状態は、任意の固定手段(固定用の器具、接着剤など)によって直角に固定されている。
同様に、折り曲げ部442Bは、折り曲げ線401Bにおいて対向板441Bに接続され、折り曲げ線402Bにおいて第2側板42Bに接続される。対向板441Bと折り曲げ部442Bは、折り曲げ線401Bにおいて略直角に折れ曲がり、第2側板42Bと折り曲げ部442Bは、折り曲げ線402Bにおいて略直角に折れ曲がる。対向板441Bと折り曲げ部442Bとの折り曲げ状態、及び、第2側板42Bと折り曲げ部442Bとの折り曲げ状態は、任意の固定手段(固定用の器具、接着剤など)によって直角に固定される。
【0029】
図5A及び図5Bに示すように、固定部44Aの折り曲げ部442Aと中間板43Aの横幅は概ね同じであり、固定部44Bの折り曲げ部442Bと中間板43Bの横幅は概ね同じである。そのため、折り曲げ線404A、404Bにおいて第2側板42A、42Bが第1側板41側に折り畳まれた場合、対向板441A、441Bは第1側板41と概ね面接触した状態になる(図8)。
【0030】
側板部4Aは、例えば図6A及び図6Bに示すように、1枚の板状部材を折り曲げて形成される。板状部材の材質は、使用用途に応じた適度な剛性と強度が得られるものを任意に選択してよく、例えばプラスチックでもよい。
【0031】
図7A及び図7Bは、連結板5A及び5Bの斜視図及び正面図である。以下、連結板5A及び5Bを区別せずに「連結板5」と記す場合がある。
【0032】
連結板5は、上述した固定部44A、44Bの隙間(第2側板42Aと対向板441Aとの隙間、第2側板42Bと対向板441Bとの隙間)に差し込まれる2つの差し込み部51と、2つの差し込み部51の間に位置する中間部53と、接続部54とを含む。一方の差し込み部51と中間部53との間、及び、他方の差し込み部51と中間部53との間には、それぞれ第1スリット510が形成される。
【0033】
図7A及び図7Bに示すように、連結板5は、角に丸みを帯びた矩形の形状を持つ。接続部54は、中間部53の上側において2つの差し込み部51と中間部53とを接続する。2つの第1スリット510は縦方向へ平行に伸びており、その長さは連結板5の縦方向の長さに対して概ね半分である。中間部53には、作業者が連結板5を手で持つ際に使用される横長の孔55が形成される。
【0034】
連結板5Aを第2側板42Aに固定する固定部44Aの折り曲げ部442Aは、連結板5Aの1つの第1スリット510に差し込まれる。すなわち、側板部4Aの折り曲げ部442Aは、連結板5Aの一方の第1スリット510に差し込まれ、側板部4Bの折り曲げ部442Aは、連結板5Aの他方の第1スリット510に差し込まれる。
また、連結板5Bを第2側板42Bに固定する固定部44Bの折り曲げ部442Bは、連結板5Bの1つの第1スリット510に差し込まれる。すなわち、側板部4Aの折り曲げ部442Bは、連結板5Bの一方の第1スリット510に差し込まれ、側板部4Bの折り曲げ部442Bは、連結板5Bの他方の第1スリット510に差し込まれる。
このように、連結板5の2つの第1スリット510には、固定部44Aの折り曲げ部442A又は固定部44Bの折り曲げ部442Bが差し込まれる。そのため、2つの連結板5により連結された側板部4A及び4Bの間隔は、それぞれの連結板5に形成される2つの第1スリット510の間隔によって決まった一定の距離に保持される。
【0035】
図4及び図5Bに示すように、固定部44Aは、折り曲げ部442Aより開口部側(上側)において、第2側板42Aの端縁と対向板441Aの端縁との間に第2スリット443Aが形成されている。この第2スリット443Aには、連結板5Aが差し込まれる。第2スリット443Aに差し込まれた連結板5Aは、折り曲げ部442Aより開口部側(上側)においても、第2側板42Aと対向板441Aとの隙間に挟まれた状態になる。これにより、連結板5Aの開口部側(上側)の部分がパレット90の内側に向かって倒れ難くなる。
また、同様に、固定部44Bは、折り曲げ部442Bより開口部側(上側)において、第2側板42Bの端縁と対向板441Bの端縁との間に第2スリット443Bが形成されている。この第2スリット443Bには、連結板5Bが差し込まれる。第2スリット443Bに差し込まれた連結板5Bは、折り曲げ部442Bより開口部側(上側)においても、第2側板42Bと対向板441Bとの隙間に挟まれた状態になる。これにより、連結板5Bの開口部側(上側)の部分がパレット90の内側に向かって倒れ難くなる。
連結板5A及び5Bの開口部側(上側)の部分がパレット90の内側に向かって倒れ難くなることにより、パレット用箱1の強度が向上する。
【0036】
上述した構成を有するパレット用箱1をパレット90に取り付ける場合、作業者は、側板部4A及び側板部4Bをそれぞれパレット90の第1側面91A側及び第1側面91B側に配置させる(図1)。そして作業者は、側板部4Aの第1側板41を第1側面91Aに当接させ、第2側板42Aを第2側面92Aに当接させ、第2側板42Bを第2側面92Bに当接させる。また作業者は、側板部4Bの第1側板41を第1側面91Bに当接させ、第2側板42Aを第2側面92Aに当接させ、第2側板42Bを第2側面92Bに当接させる。この状態で、作業者は、側板部4A及び4Bの各固定部44Aの隙間(第2側板42Aと対向板441Aとの隙間)に対して、連結板5Aの2つの差し込み部51をそれぞれ差し込むことにより、側板部4A及び4Bの各第2側板42Aに連結板5Aを固定させる。また作業者は、側板部4A及び4Bの各固定部44Bの隙間(第2側板42Bと対向板441Bとの隙間)に対して、連結板5Bの2つの差し込み部51をそれぞれ差し込むことにより、側板部4A及び4Bの各第2側板42Bに連結板5Bを固定させる(図2A)。このようにして角筒状の胴体部2を組み立てた後、作業者は、胴体部2の上側の開口部を蓋部3で塞ぎ、パレット90上の物品をパレット用箱1の内部に収容させる(図2B)。
【0037】
パレット用箱1をパレット90から取り外して分解する場合、作業者は、胴体部2の開口部に被せた蓋部3を外す。そして作業者は、連結板5A及び5Bをそれぞれ上側に持ち上げて、側板部4A及び4Bの各固定部(44A、44B)から連結板5A及び5Bを取り外す。これにより、胴体部2が側板部4A及び4Bと連結板5A及び5Bとに分解されて、パレット90から取り外される。
【0038】
側板部4A及び4Bは、それぞれ第2側板42A及び第2側板42Bを第1側板41側に折り畳んでコンパクトにすることができる。図8に示すように、折り畳んだ状態の側板部4A及び4Bと2つの連結板5は、蓋部3の縁の内側に積み重ねて置くことができる。従って、パレット用箱1を使用しない場合、パレット用箱1を分解して図8に示すようにコンパクト化することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、分解された側板部4A及び4Bを連結板5A及び5Bにより連結させることによって、角筒状の胴体部2をパレット90の周囲に組み立てることができる。そのため、上述した従来のパレット用箱におけるスリーブ部材のように、胴体部2を高い位置から下ろして胴体部2の中にパレット90を配置させるような作業を行う必要がない。従って、本実施形態に係るパレット用箱1は、パレット90上に置かれる物品の高さが大きい場合でも、一人の作業者によって簡単にパレット90へ取り付けることができる。
【0040】
また本実施形態によれば、連結板5A、5Bが第2側板42A、42Bに対して面接触するように固定される。これにより、第2側板42A、42Bや連結板5A、5Bに対して横方向から力が加わった場合でも、連結板5A、5Bと第2側板42A、42Bとを固定した箇所でこれらの部材が簡単に折れ曲がることがない。従って、スリーブ部材を構成する側板が中央部分で折れ曲がる従来のパレット用箱(特許文献1に記載される収容容器など)に比べて、荷重に対する強度を高めることができる。
【0041】
更に本実施形態によれば、胴体部2をパレット90に取り付けた状態で、固定部44A、44Bの一部(上述の例では対向板441A、441Bの下側の端縁)がパレット90の上面94に当接する。これにより、フォークリフトによってパレット90を持ち上げる場合、パレット90と一緒にパレット用箱1も持ち上げることができる。また、固定部44A、44Bが、パレット用箱1をパレット90に係止させる部材として兼用されるため、係止用の部材を別に設ける場合に比べて構成を簡易化できる。
【0042】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0043】
例えば上述した実施形態では、連結板5において2つの第1スリット510の間に中間部53が設けられているが、本発明はこの例に限定されない。本発明の他の実施形態では、連結板5における中間部53を省略し、第1スリット510を1つにしてもよい。この場合、2つの固定部(44A、44B)における2つの折り曲げ部(442A、442B)を、連結板5の1つの第1スリット510にまとめて差し込むようにしてもよい。
【0044】
また上述した実施形態では、第1側板41と第2側板(42A、42B)との折り曲げ線(404A、404B)に対して、固定部(44A、44B)の折り曲げ部(442A、442B)が平行に伸びているが、本発明はこの例に限定されない。本発明の他の実施形態では、固定部における第2側板と対向板との折り曲げ部を、第2側板の下側の端縁に設けてもよく、第1側板と第2側板との折り曲げ線に対して折り曲げ部が直交する方向に伸びていてもよい。この場合、第2側板と対向板の横側の隙間から連結板(差し込み部)が脱離することを防止するため、第2側板と対向板の横側の隙間を塞いで連結板(差し込み部)の脱離を防止する手段(隙間を塞ぐ器具など)を設けてもよい。
【0045】
また上述した実施形態では、折り曲げ部(442A、442B)を介して接続された第2側板(42A、42B)と対向板(441A、441B)との隙間に連結板5の一部を差し込んで固定しているが、本発明はこの例に限定されない。すなわち、固定部は、第2側板に対して連結板を取り外し可能に固定する(例えば第2側板に対して連結板を面接触した状態で固定する)任意の固定手段(固定用の器具など)を含んでいてもよい。
【0046】
以下、本実施形態に関連する付記を記載する。
[1]
矩形のパレットの上面に載置された物品を囲うパレット用箱であって、
前記パレットの4つの側面に当接する角筒状の胴体部と、
前記胴体部の上方の開口部を塞ぐ蓋部とを有し、
前記パレットは、4つの前記側面として、対向する2つの第1側面と、対向する2つの第2側面とを持ち、
前記胴体部は、
2つの前記第1側面に対応する2つの側板部と、
2つの前記側板部を連結する2つの連結板と
を含み、
1つの前記第1側面に対応する1つの前記側板部は、
当該1つの第1側面に当接する第1側板と、
2つの前記第2側面に当接する2つの第2側板と、
2つの前記第2側板に設けられた2つの固定部と
を含み
各前記第2側板に設けられた1つの前記固定部は、前記第2側板に対して1つの前記連結板を取り外し可能に固定し、
一方の前記連結板は、一方の前記第2側面に当接する2つの前記側板部の2つの前記第2側板に固定され、
他方の前記連結板は、他方の前記第2側面に当接する2つの前記側板部の2つの前記第2側板に固定され、
各前記側板部における2つの前記第2側板は、前記第1側板に対して折り畳み可能に接続される、
パレット用箱。
[2]
前記固定部は、前記第2側板に対して1つの前記連結板を固定する場合、前記第2側板に対して前記連結板を面接触させる、
[1]に記載のパレット用箱。
[3]
前記固定部は、1つの前記第2側板に接続されるとともに、当該1つの第2側板と隙間を隔てて対向するように配置された対向板を含み、
前記連結板は、同一の前記第2側面に当接する2つの前記第2側板に設けられた2つの前記固定部の前記隙間にそれぞれ差し込まれる2つの差し込み部を含む、
[1]又は[2]に記載のパレット用箱。
[4]
前記固定部は、前記対向板の端縁、及び、前記第2側板と前記対向板とを接続する部分の少なくとも一方において、前記パレットの前記上面に当接する、
[3]に記載のパレット用箱。
[5]
前記固定部は、前記第2側板と前記対向板とを接続する折り曲げ部を含み、
前記対向板は、隙間を隔てて前記第2側板と対向するように、前記折り曲げ部において前記パレットの前記上面側に折り返されている、
[3]又は[4]に記載のパレット用箱。
[6]
前記側板部において、前記第1側板と前記第2側板とが折り曲げ線において折り畳み可能に接続されており、前記折り曲げ部が前記折り曲げ線と平行に伸びている、
[5]に記載のパレット用箱。
[7]
前記連結板は、2つの前記差し込み部の間に位置する中間部を含んでおり、
一方の前記差し込み部と前記中間部との間、及び、他方の前記差し込み部と前記中間部との間には、それぞれ第1スリットが形成されており、
1つの前記連結板を1つの前記第2側板に固定する前記固定部の前記折り曲げ部は、当該1つの連結板における1つの前記第1スリットに差し込まれる、
[5]又は[6]に記載のパレット用箱。
[8]
前記固定部は、前記折り曲げ部より前記開口部側において、前記第2側板の端縁と前記対向板の端縁との間に第2スリットが形成されており、
1つの前記連結板を前記第2側板に固定する前記固定部の前記第2スリットには、当該1つの連結板が差し込まれる、
[5]~[7]のいずれか1つに記載のパレット用箱。
【符号の説明】
【0047】
1…パレット用箱、2…胴体部、3…蓋部、4A,4B…側板部、401A~404A,401B~404B…折り曲げ線、41…第1側板、411…切り欠き、42A,42B…第2側板、43A,43B…中間板、44A,44B…固定部、441A,441B…対向板、442A,442B…折り曲げ部、443A,443B…第2スリット、5,5A,5B…連結板、51…差し込み部、53…中間部、54…接続部、55…孔、510…第1スリット、90…パレット、91A,91B…第1側面、92A,92B…第2側面、93…孔、94…上面
【要約】
【課題】パレットに載せた物品の高さが大きい場合でも簡単にパレットに取り付けることが可能なパレット用箱を提供する。
【解決手段】パレット用箱1は、パレット90の4つの側面に当接する角筒状の胴体部2と、胴体部2の上方の開口部を塞ぐ蓋部3とを有する。胴体部2は、パレット90の第1側面91A及び91Bに対応する側板部4A及び4Bと、側板部4A及び4Bを連結する連結板5A及び5Bとを含む。側板部4Aは、第1側面91Aに当接する第1側板41と、第2側面92A及び92Bに当接する第2側板42A及び42Bと、第2側板42A及び42Bに設けられた固定部44A及び44Bとを含む。固定部44Aは、第2側板42Aに対して連結板5Aを取り外し可能に固定し、固定部44Bは、第2側板42Bに対して連結板5Bを取り外し可能に固定する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8