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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】着用物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/495 20060101AFI20220527BHJP
   A61F 13/42 20060101ALI20220527BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20220527BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20220527BHJP
   A61F 13/533 20060101ALI20220527BHJP
   A61F 13/539 20060101ALI20220527BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
A61F13/495
A61F13/42 B
A61F13/53 100
A61F13/53 300
A61F13/511 300
A61F13/533 200
A61F13/539
A61F13/532 200
A61F13/532 100
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017254780
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019118543
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100066267
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 吉治
(72)【発明者】
【氏名】山口 正史
(72)【発明者】
【氏名】合田 裕樹
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-021624(JP,U)
【文献】特開2007-117727(JP,A)
【文献】特開2009-125338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 - 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向及び横方向と、厚さ方向とを有し、前記横方向の寸法を2等分する縦断中心線と、前ウエスト域と、後ウエスト域、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを含むとともに、肌対向面側に位置する透液性の表面シートと、非肌対向面側に位置する不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に介在して固定されていて、少なくとも前記クロッチ域に位置する吸収体とを含む着用物品において、
前記吸収体は、島状であって吸液性を有する排泄物受容域と、前記排泄物受容域を囲むように位置する吸液性の周辺域とを有し、
前記排泄物受容域は、前記縦断中心線と重なって位置し、
前記吸収体は、超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性コアを有し、前記排泄物受容域の超吸収性ポリマー粒子の含有率が前記周辺域の超吸収性ポリマー粒子の含有率よりも低く、
体液の吸収前における前記排泄物受容域の厚さ寸法と前記周辺域の厚さ寸法との差が、1.5gf/cm 荷重下における前記表面シートの厚さ寸法よりも小さい又はそれと同等であり、
前記吸収体の体液の吸収後において、前記排泄物受容域の厚さ寸法が前記周辺域の厚さ寸法よりも小さく、
前記吸収体の前記体液の吸収後における前記排泄物受容域と前記周辺域との厚さ寸法の差が、前記吸収体の前記体液の吸収前における前記排泄物受容域と前記周辺域との厚さ寸法の差よりも大きいことを特徴とする着用物品。
【請求項2】
前記吸収体の前記体液の吸収前において、前記排泄物受容域の厚さ寸法は前記周辺域の厚さ寸法よりも小さい請求項1に記載の着用物品。
【請求項3】
前記排泄物受容域は、複数のドット状の圧縮凹部を有する請求項1又は2に記載の着用物品。
【請求項4】
前記排泄物受容域全体の面積に対する前記圧縮凹部の総面積率は、10~65%である請求項3に記載の着用物品。
【請求項5】
記吸収体は、前記吸収性コアと前記吸収性コアの肌対向面を被覆する第1コアカバーシートと前記吸収性コアの非肌対向面側を被覆する第2コアカバーシートとを含み、前記表面シート、前記第1コアカバーシート及び前記第2コアカバーシートのうちの少なくともいずれか1つのシートが、熱可塑性繊維を含む繊維不織布から形成されている請求項3又は4に記載の着用物品。
【請求項6】
前記表面シートの内面における、前記排泄物受容域の前記圧縮凹部と前記厚さ方向において対向する部分には、接着剤が塗布されている請求項3-5のいずれかに記載の着用物品。
【請求項7】
前記周辺域は、前記排泄物受容域の外周縁の少なくとも一部に沿って位置する第1吸収部と、前記第1吸収部の外周から外方へ延在する第2吸収部とを有し、前記第1吸収部の超吸収性ポリマー粒子の含有率が前記第2吸収部の超吸収性ポリマー粒子の含有率よりも高い請求項1-6のいずれかに記載の着用物品。
【請求項8】
前記着用物品の前記縦方向の寸法を2等分する横断中心線をさらに有し、
前記排泄物受容域が前記クロッチ域において前記横断中心線に関して前記前ウエスト域側又は前記後ウエスト域側に偏位して位置し、
前記第1吸収部が、前記排泄物受容域の前記横方向の外側において前記縦方向へ延びる第1及び第2縦断部分と、前記排泄物受容域の前記縦方向の外側において前記横方向へ延びる横断部分とを有し、
前記横断中心線へ向かって凹となる形状を有する請求項に記載の着用物品。
【請求項9】
前記第1吸収部は、前記第1及び第2縦断部分のみ又は前記横断部分のみから形成される請求項に記載の着用物品。
【請求項10】
前記前後ウエスト域のうちの少なくとも一方のウエスト域を保持するためのホールド域をさらに有し、
前記排泄物受容域は、前記ホールド域よりも前記縦方向の内側に位置し、前記ホールド域と重なっていない請求項1-のいずれかに記載の着用物品。
【請求項11】
前記表面シートの前記肌対向面側において、前記縦方向へ延びる一対のバリアカフをさらに有し、
前記バリアカフは、前記表面シートの前記肌対向面側に倒伏された状態において前記縦方向へ延びる内側縁部を有し、
前記排泄物受容域は、前記バリアカフの前記内側縁部間に配置され、前記内側縁部とは重なっていない請求項1-10のいずれかに記載の着用物品。
【請求項12】
前記排泄物受容域は、前記肌対向面側又は前記非肌対向面から視認可能な着色部分を有する請求項1-11のいずれかに記載の着用物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ、使い捨ておむつカバー等の着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排泄物受容域(便ポケット)を備える着用物品は、公知である。例えば、特許文献1には、クロッチ域の中央部において表面側から裏面側へ窪んで形成した凹部と、凹部の周縁を画成する隆起部とからなる排泄物受容域を備えた使い捨て着用物品が開示されている。特許文献2には、クロッチ域において、吸収体の一部を刳り抜いて形成した排泄物受容域を備えた使い捨て着用物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平5-86320号公報
【文献】特開2007-21191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に開示の着用物品によれば、排泄物受容域において排泄物を受容することができるので、排泄物が前後ウエスト域へ広がって着用者の身体を汚すのを抑制することができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の着用物品においては、着用中の排泄前において、排泄物を十分に受容するために、隆起部と凹部とによる比較的に大きな凹凸の高低差が形成されている。したがって、着用したときに着用者に違和感を与えるおそれがあるとともに、嵩張って携帯性に劣る。かかる着用感及び携帯性の低下を防ぐために、隆起部と凹部との高低差を小さくした場合には、排泄物の受容スペースが小さくなるので、十分に排泄物を受容することができない。
【0006】
一方、特許文献2に開示の着用物品においても、刳り抜いた排泄物受容域と他の領域との間に凹凸の高低差が形成されて着用感が低下するおそれあるとともに、排泄物受容域は吸収体が存在していないことから、それ自体に吸収性がなく、排泄物受容域に受容された液体の排泄物を吸収・保持することができない。また、このように排泄物受容域を刳り抜いて形成する場合には、吸収体が所要の厚さ寸法を有する必要があり、比較的に肉厚となって、下着の外面にその外形線が表れて外観を損ねるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、吸液性を有するとともに、着用感を損ねることなく、比較的に十分な大きさの受容スペースを形成することのできる排泄物受容域を備えた着用物品の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明は、縦方向及び横方向と、厚さ方向とを有し、前記横方向の寸法を2等分する縦断中心線と、前ウエスト域と、後ウエスト域、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを含むとともに、肌対向面側に位置する透液性の表面シートと、非肌対向面側に位置する不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に介在して固定されていて、少なくとも前記クロッチ域に位置する吸収体とを含む着用物品に関する。
【0009】
本発明に係る着用物品は、前記吸収体、島状であって吸液性を有する排泄物受容域と、前記排泄物受容域を囲むように位置する吸液性の周辺域とを有し、前記排泄物受容域は、前記縦断中心線と重なって位置し、前記吸収体は、超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性コアを有し、前記排泄物受容域の超吸収性ポリマー粒子の含有率が前記周辺域の超吸収性ポリマー粒子の含有率よりも低く、体液の吸収前における前記排泄物受容域の厚さ寸法と前記周辺域の厚さ寸法との差が、1.5gf/cm 荷重下における前記表面シートの厚さ寸法よりも小さい又はそれと同等であり、前記吸収体の体液の吸収後において、前記排泄物受容域の厚さ寸法が前記周辺域の厚さ寸法よりも小さく、前記吸収体の前記体液の吸収後における前記排泄物受容域と前記周辺域との厚さ寸法の差が、前記吸収体の前記体液の吸収前における前記排泄物受容域と前記周辺域との厚さ寸法の差よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る着用物品は、以下の好ましい実施態様を有する。
(1)前記吸収体の前記体液の吸収前において、前記排泄物受容域の厚さ寸法は前記周辺域の厚さ寸法よりも小さい。かかる場合には、着用補助者が、使用する前に、排泄物受容域の存在域を確認することができ、排泄物の漏れに対する安心感を与えることができる。
)前記排泄物受容域は、複数のドット状の圧縮凹部を有する。かかる場合には、排泄物受容域においてより体液を引込み易く、また、剛性が高く、着用状態における排泄物受容域の変形を抑制することができる。
)前記排泄物受容域全体の面積に対する前記圧縮凹部の総面積率は、10~65%である。かかる場合には、圧縮凹部が所要の体形の引込み効果を発揮するとともに、排泄物受容域の剛性が高くなりすぎて着用者に違和感を与えることもない。
(4)記吸収体は、前記吸収性コアと前記吸収性コアの肌対向面を被覆する第1コアカバーシートと前記吸収性コアの非肌対向面側を被覆する第2コアカバーシートとを含み、前記表面シート、前記第1コアカバーシート及び前記第2コアカバーシートのうちの少なくともいずれか1つのシートが、熱可塑性繊維を含む繊維不織布から形成されている。かかる場合には、表面シート側から吸収体とともに熱エンボス加工を施したときに、熱可塑性繊維が融着して積層されたシートどうしの接合強度が向上する。
)前記表面シートの内面における、前記排泄物受容域の前記圧縮凹部と前記厚さ方向において対向する部分には、接着剤が塗布されている。かかる場合には、圧縮凹部を吸収体にのみ形成している場合であっても表面シートを圧縮凹部に沿って凹状に変形させることができ、着用前に排泄物受容域の外形線をより明瞭にして視認させることができる。
)前記周辺域は、前記排泄物受容域の外周縁の少なくとも一部に沿って位置する第1吸収部と、前記第1吸収部の外周から外方へ延在する第2吸収部とを有し、前記第1吸収部の超吸収性ポリマー粒子の含有率が前記第2吸収部の超吸収性ポリマー粒子の含有率よりも高い。かかる場合には、吸収体の体液吸収後において、超吸収性ポリマー粒子が膨潤して第1吸収部が第2吸収部よりもさらに肉厚になって、第1吸収部と排泄物受容域との間により大きな受容スペースが画成される。
)前記着用物品の前記縦方向の寸法を2等分する横断中心線をさらに有し、前記排泄物受容域が前記クロッチ域において前記横断中心線に関して前記前ウエスト域側又は前記後ウエスト域側に偏位して位置し、前記第1吸収部が、前記排泄物受容域の前記横方向の外側において前記縦方向へ延びる第1及び第2縦断部分と、前記排泄物受容域の前記縦方向の外側において前記横方向へ延びる横断部分とを有し、前記横断中心線へ向かって凹となる形状を有する。かかる場合には、第1吸収部が、排泄物受容域内の排泄物がクロッチ域側から前ウエスト域のウエスト開口側又は後ウエスト域のウエスト開口側へ移動するのを抑制する障壁として機能しうる。
)前記第1吸収部は、前記第1及び第2縦断部分のみ又は前記横断部分のみから形成される。かかる場合には、第1吸収部が、排泄物受容域内の排泄物が横方向の外側又は縦方向の外側へ移動するのを抑制する障壁として機能しうる。
)前記前後ウエスト域のうちの少なくとも一方のウエスト域を保持するためのホールド域をさらに有し、前記排泄物受容域は、前記ホールド域よりも前記縦方向の内側に位置し、前記ホールド域と重なっていない。かかる場合には、ホールド域によって排泄物受容域が着用者の身体へ押し当てられて受容スペースが崩れるのを抑制することができる。
10)前記表面シートの前記肌対向面側において、前記縦方向へ延びる一対のバリアカフをさらに有し、前記バリアカフは、前記表面シートの前記肌対向面側に倒伏された状態において前記縦方向へ延びる内側縁部を有し、前記排泄物受容域は、前記バリアカフの前記内側縁部間に配置され、前記内側縁部とは重なっていない。かかる場合には、排泄物受容域の収容容量を超えて吸収・保持することができなかった排泄物が横漏れするのを効果的に抑制することができる。
11)前記排泄物受容域は、前記肌対向面側又は前記非肌対向面から視認可能な着色部分を有する。かかる場合には、着用者及び着用補助者に対して排泄物受容域を認識させ、排泄物の横漏れや排泄物の身体への付着に対して安心感を与えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る着用物品の少なくとも1つの実施形態においては、吸収体が島状であって吸液性を有する排泄物受容域を備え、体液の吸収前において排泄物受容域と周辺域との間には段差が形成されていない又は比較的に小さな段差が形成されているのみであるから、着用者に違和感を与えるおそれはない。一方、体液の吸収後において排泄物受容域の存在域には比較的に深くて大きな受容スペースが形成されることから、排泄物が排泄物受容域において吸収・保持されて排泄物の拡散が抑制され、排泄物によって身体が汚れるのを抑制することができる。また、体液の吸収後において、体液の吸収前に比して排泄物受容域と周辺域との厚さ寸法の差が大きくなることから、体液吸収後の着用物品の交換時に、着用者及び着用補助者がそれを視認することによって、排泄物の漏れに対して安心感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る着用物品の一例として示す、第1実施形態に係る使い捨ておむつの斜視図。
図2】おむつの一部破断展開平面図。
図3】吸収体の平面図。
図4図2のIV-IV線に沿う断面図。
図5】(a)体液の吸収前における、図4の一点鎖線V(a)で囲んだ領域の一部拡大図。(b)体液の吸収後における、図5(a)と同様の一部拡大断面図。
図6】体液の吸収後におけるおむつの展開斜視図。
図7】本発明の第2実施形態におけるおむつの平面図。
図8】本発明の第3実施形態に係るおむつの吸収体の平面図。
図9】(a)本発明の第4実施形態に係るおむつの図5(a)と同様の断面図。(b)本発明の第4実施形態に係る図5(b)と同様の一部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
図1及び2を参照すると、本発明に係る使い捨て着用物品の一例である使い捨ておむつ10は、縦方向Y及びそれに交差する横方向Xと、厚さ方向Zと、肌対向面及びその反対側の非肌対向面と、横方向Xの寸法を二等分する縦断中心線Pと、縦方向Yの寸法を二等分する横断中心線Qとを有し、縦断中心線に関してほぼ対称であり、前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、前ウエスト域11および後ウエスト域12の間に位置するクロッチ域13とを含む。
【0014】
おむつ10は、縦方向Yに対向して横方向Xへ延びる前後端部16,17と、横方向に対向して縦方向へ延びる両側縁部18,19とを有する。両側縁部18,19は、着用者の大腿部にフィットするように凹曲状に形成されている。
【0015】
おむつ10は、肌対向面側に位置する透液性の表面シート21と、非肌当接面側に位置する不透液性の裏面シート22と、表裏面シート21,22間に介在して固定された吸液性の吸収体25と、吸収体25と裏面シート22との間に介在して固定された防漏シート26と、表面シート21の肌対向面側に固定された一対のバリアカフ27とをさらに含む。
【0016】
表面シート21と裏面シート22とには、SMS繊維不織布、スパンボンド繊維不織布、エアスルー繊維不織布等の各種公知の繊維不織布、又は繊維不織布とプラスチックフィルム(表面シートの場合には、多孔性を有するもの)とのラミネートシート等が好適に用いられる。防漏シート26は、好ましくは通気性を有する、疎水性及び耐水性のシート材料、例えば、疎水性の繊維不織布や通気性プラスチックフィルムから形成される。
【0017】
図2,3を参照すると、吸収体25は、所要の形状に賦形された半剛性のパネル形状であって、横方向へ延びる前後端縁25a,25bと、前後端縁25a,25b間において縦方向へ延びる両側縁25c,25dとを有する。吸収体25は、フラッフ木材パルプと、不水溶性であって自重の数十~数百倍の吸収力を有する超吸収性ポリマー(super absorbent polymer) 粒子(SAP粒子)との混合物から形成された吸収性コア30と、吸収性コア30をカバーするコアカバーシート31とを有する。
【0018】
コアカバーシート31は、吸収性コア30の保形及び体液の拡散をするためのシートであって、比較的に肉薄の親水性シート、ティッシュペーパ等から形成される。コアカバーシート31は、吸収性コア30の肌対向面側を被覆する第1コアカバーシート31aと、吸収性コア30の非肌対向面側を被覆する第2コアカバーシート31bとを有する。吸収性コア30とそれを被覆する第1及び第2コアカバーシート31a,31bとは、それらの対向面のいずれか一方に塗布されたホットメルト接着剤(図示せず)を介して互いに接合されている。コアカバーシート31は、吸収性コア30全体を包被する限りにおいて、第1コアカバーシート31aと第2コアカバーシート31bとが一体に形成されていてもよい。
【0019】
バリアカフ27は、吸収体の両側縁に沿ってその外側に固定されている近位縁部27a、近位縁部27aよりも横方向の内側に位置していて内側縁部が折り返された遠位縁部27bと、縦方向における両端固定部27c,27dとを有する。遠位縁部27bの内部にはその長さ方向へ延びるカフ弾性体28が伸長状態で取り付けられ、カフ弾性体28の収縮によって遠位縁部27bが表面シート21の上方へ離間する。
【0020】
おむつ10の両側縁部18,19では、バリアカフ27と裏面シート22との間に伸長状態で収縮可能に取り付けられた、クロッチ域13の両側縁に沿って延びるレッグ弾性体29が配置される。レッグ弾性体29は、所定幅を有するリボン状であって、糸状の弾性材料から形成される場合に比べて身体に優しくフィットされる。
【0021】
おむつ10は、一対のテープファスナ40を有し、テープファスナ40は後ウエスト域12の両側縁部に取り付けられる。これらテープファスナ40は、後ウエスト域12の両側縁部の少なくとも一方に取り付けられ、その他方は予め連結されていてもよい。テープファスナ40は、後ウエスト域12の両側縁部を形成するバリアカフ27と裏面シート22との間に介在して固定された固定部41と、後ウエスト域12の両側縁から横方向の外側へ延びる自由部42とを有する。自由部42の肌対向面側には、メカニカルファスナ要素のフック群を有する止着域43が位置する。
【0022】
前ウエスト域11における裏面シート22の外面には、メカニカルファスナのループ群を有し、テープファスナ40の受止域を画成する受止シート(ターゲットテープ)45が取り付けられている。図1に示すように、後ウエスト域12の両側縁部に固定された一対のテープファスナ40を前側へ掛け回して、前ウエスト域11の外面に位置する一対の受止シート45に止着域43を係脱可能に係止することによって、ウエスト開口7及び一対のレッグ開口8が画成される。
【0023】
後ウエスト域12のテープファスナ40の固定部41間には、横方向へ延びる帯状のウエスト弾性体46が配置される。ウエスト弾性体46は、おむつ10の後端部17に位置し、表面シート21と裏面シート22との間に横方向へ伸長状態で収縮可能に取り付けられる。後端部17にウエスト弾性体46が配置されることによって、後ウエスト域12を着用者の背部にフィットさせて着用中の位置ズレを防止するとともに、テープファスナ40を前側に掛け回すときにウエスト弾性体46の伸縮作用を利用することができるので、容易に止着操作を行うことができる。
【0024】
本実施形態に係るオープン型のおむつ10においては、テープファスナ40間の領域は、ウエスト弾性体46が配置されていない場合であっても、テープファスナ40を止着することによって、着用状態においてウエスト回り方向へ引っ張られて着用者の身体へ押し当てられる領域であるから、テープファスナ40の固定部41間を結ぶ仮想の帯状域が、着用者の身体に安定的に保持されるホールド域といえる。一方、前後ウエスト域の両側縁部がサイドシームを介して互いに予め連結されているパンツ型のおむつの場合には、前後ウエスト域に配置された複数条のウエスト弾性体からなるウエスト弾性域であって、サイドシーム間の領域がホールド域となる。
【0025】
図2~4及び図5(a),(b)を参照すると、吸収体25は、島状であって吸液性を有する排泄物受容域50と、排泄物受容域50を囲むように位置する吸液性の周辺域51とを有する。排泄物受容域50は、少なくともクロッチ域13において縦断中心線Pと重なって位置し、略八角形状を有している。吸収体25が島域を構成する排泄物受容域50と、それを囲む海域を構成する周辺域51とからなる海島構造を有する限りにおいて、排泄物受容域50は、他の多角形状であってもよいし、円形、楕円形状等の各種公知の形状を有していてもよい。ただし、本実施形態のように、排泄物受容域50が多角形状を有することによって、着用中に排泄物受容域50の外周縁部に加えられるそれを変形しようとする外力を分散して、体液吸収後における排泄物受容域50と周辺域51との厚さ寸法の差を製品において確実に実現することができる。
【0026】
排泄物受容域50においては、吸収性コア30に含まれるSAP粒子の含有率が周辺域51に比べて低くなっており、その吸収力が周辺域51に比べて小さくなっている。周辺域51は、排泄物受容域50の外周縁の少なくとも一部に沿って位置する第1吸収部52と、第1吸収部52の外周から外方へ延在する第2吸収部53とを有し、第1吸収部52のSAP粒子の含有率が第2吸収部53のSAP粒子の含有率よりも高くなっている。したがって、第1吸収部52は、第2吸収部53に比べて高い吸収力を有する。本実施形態においては、第1吸収部52は排泄物受容域50の外周縁全体を囲んだ形状を有している。ただし、後記の本願発明の技術的効果を奏する限りにおいて、第1吸収部52は、排泄物受容域50の少なくとも一部を囲んでいればよい。
【0027】
排泄物受容域50には、吸収体25の肌対向面側から非肌対向面側へ向かって凹となる複数のドット状の圧縮凹部60が配置されている。圧縮凹部60は排泄物受容域50のほぼ全域に万遍なく配置されている。また、排泄物受容域50のうちの圧縮凹部60が位置していない部分についても、僅かに圧縮されて周辺域51に比べてその厚さ寸法が小さくなっており、排泄物受容域50全体として周辺域51よりも肉薄になっている。
【0028】
図5(a)を参照すると、吸収体25の体液の吸収前の状態において、排泄物受容域50は周辺域51に比べて肉薄であって、その厚さ寸法(圧縮凹部60が配置されてない部分の厚さ寸法)D1は、周辺域51の厚さ寸法D2,D3よりも小さくなっている。周辺域51の厚さ寸法D2,D3は、第1吸収部52の厚さ寸法D2と第2吸収部53の厚さ寸法D3とを有する。ここで、排泄物受容域50の厚さ寸法D1と周辺域51の厚さ寸法D2,D3とは、吸収性コア30とコアカバーシート31とを含む吸収体25の各領域の厚さ寸法を意味する。
【0029】
このように、排泄物受容域50の厚さ寸法D1が周辺域51の厚さ寸法D2,D3よりも小さくなっていることから、おむつ10の内面において表面シート21を介して排泄物受容域50の外形輪郭が現れる。また、着用補助者が、排泄物受容域50を比較的に強い力で押圧したときには、排泄物受容域50と周辺域51との間に段差が形成されていることを感触で確認することができる。それによって、着用者及び/又は着用補助者に対して、クロッチ域13に位置する吸収体25には、排泄物を吸収・保持するための排泄物受容域50が形成されていることを認識させることができ、排泄物の漏れに対して安心感を与えることができる。
【0030】
また、体液の吸収前における排泄物受容域50の厚さ寸法D1と周辺域51の厚さ寸法D2,D3との差が、1.5gf/cm荷重(着用補助者が使用前におむつ10の肌対向面側を指先で撫でるように触れたときを想定した荷重)下における表面シート21の厚さ寸法よりも小さい又はそれと同等になる。例えば、おむつ10の使用前において、着用補助者が、肌触りを確認するために、おむつ10の肌対向面側を指先で撫でるように触れることがある。かかる場合において、着用補助者が指先で表面シート21を介して排泄物受容域50の存在域を触れたときにも凹凸度合いの小さな、フラットに近い触感を与えることができ、乳幼児等の着用者に違和感を与えることがないという印象を与えることができる。このように、1.5gf/cm荷重下において表面シート21が所要の厚さ寸法を有する場合には、表面シート21が、エアスルー繊維不織布、スパンレース繊維不織布等の比較的に嵩高な繊維不織布シートから形成されていることが好ましい。
【0031】
図5(b)を参照すると、吸収体25の体液の吸収後においては、吸収性コア30に含まれるSAP粒子が体液を吸収して膨潤することによって、体液吸収前に比べて吸収体25全体の厚さ寸法が大きくなる。排泄物受容域50においては、SAP粒子の含有率が比較的に低いことから、SAP粒子が体液を吸収して膨潤もその厚さ寸法の変化は比較的に小さい。一方、周辺域51は排泄物受容域50に比べてSAP粒子の含有率が高いことから、SAP粒子が体液を吸収して膨潤することによってその厚さ寸法の変化は比較的に大きくなる。
【0032】
したがって、吸収体25の体液吸収後における排泄物受容域50と周辺域51との厚さ寸法の差が、吸収体25の体液の吸収前における排泄物受容域50と周辺域51との厚さ寸法の差よりも大きくなっている。そのために、吸収体25の体液吸収後においては、排泄物受容域50の厚さ寸法D1が周辺域51の厚さ寸法D2,D3よりも相対的にさらに小さくなってそれらの間には大きな段差が生じ、おむつ10の排泄物受容域50の存在域には、肌対向面側から非肌対向面側へ凹となる受容スペースSが形成される。これによって、より多くの排泄物を排泄物受容域50に吸収・保持することができ、また、吸収体25の体液の吸収量が増加するほどに泄物受容域50と周辺域51との厚さ寸法の差が大きくなって受容スペースSの容量がさらに大きくなるので、より多くの排泄物を吸収・保持することができる。
【0033】
吸収体25が体液を吸収する前においては、排泄物受容域50と周辺域51との間に大きな段差が形成されず、排泄物受容域50に受容スペースSが形成されていないことから、両域50,51に予め大きな段差が形成される場合に比べて着用者に違和感を与えることはなく、着用感に優れる。
【0034】
既述のとおり、吸収体25が体液を吸収した後には、排泄物受容域50と周辺域51との間に大きな段差が生じ、クロッチ域13の排泄物受容域50の存在域には受容スペースSが形成される。通常、乳幼児はおむつを履いた後にパンツ等の下着を着用することから、着用補助者が排尿時の臭いを知覚し難く、排尿のみの場合には、排泄したことを着用補助者に気付かずに、そのまま長時間放置される場合が多い。したがって、着用者がおむつ内で排便するときには、多くの場合において、既に排尿がされていることから、排泄物の受容スペースを有しない着用物品を着用した場合には、排尿によってSAP粒子が膨潤して吸収体と身体との間に軟便を保持するためのスペースが形成されず、軟便で身体が汚れたり、軟便が背中を伝って外部に漏れ出るおそれがある。本実施形態に係るおむつ10では、おむつ10の排泄物受容域50の存在域において受容スペースSが形成されて軟便を吸収・保持することができるので、軟便によって身体が汚れたり、軟便が漏れるのを抑制することができる。
【0035】
排泄物受容域50は、それ自体が吸収性を有することから、受容スペースS内に吸収・保持された軟便、尿等の体液を吸収することができる。このように、周辺域51のみならず、受容スペースSを画成する排泄物受容域50も吸収性を有することによって、排泄物受容域50が吸収性を有しない場合に比べて、吸収体25全体の吸収性能が向上することができる。また、軟便等の吸収に時間を要する場合や繰り返し排泄されて全て吸収するまでに時間を要する場合であっても、受容スペースS内に速やかに一時的に保持し、かつ、排泄物受容域50及び周辺域51の吸収力によって吸収することができる。
【0036】
図5(a),(b)及び図6を参照すると、本実施形態においては、周辺域51は、排泄物受容域50の外周縁の少なくとも一部に沿って位置する第1吸収部52と、第1吸収部52の外周から外方へ延在する第2吸収部53とを有し、かつ、第1吸収部52のSAP粒子の含有率が第2吸収部53のSAP粒子の含有率よりも高くなっていることから、第1吸収部52は第2吸収部53よりもさらに上方へ隆起した形状を有している。
【0037】
第1吸収部52の厚さ寸法D2が、第2吸収部53の厚さ寸法D3よりも大きくなることによって、第1吸収部52に囲まれた排泄物受容域50との段差がさらに大きくなっており、比較的に深くて容量の大きな受容スペースSが形成される。したがって、周辺域51が第1吸収部52を有しない場合に比べて、多量の排泄物を保持・収容することができる。ただし、周辺域51の第1吸収部52はオプションであって、周辺域51が第1吸収部52を有しない場合、すなわち、周辺域51全体においてSAP粒子の含有量に差がない場合であっても、周辺域51のSAP粒子の含有率が排泄物受容域50のSAP粒子の含有率よりも高いことによって、吸収体25の体液吸収後において排泄物受容域50は周辺域51よりも厚さ寸法が小さくなって、受容スペースSが形成される。
【0038】
吸収体25の各域50,51のSAP粒子の含有率についていえば、周辺域51の第2吸収部53のSAP粒子の含有率は20~60%であって、吸収体25の所要の吸収力に応じて適宜自由に設定することができる。排泄物受容域50のSAP粒子の含有率は、第2吸収部53のSAP粒子の含有率よりも低く、例えば、3.0~10.0%、周辺域51の第1吸収部52のSAP粒子の含有率は、第2吸収部53のSAP粒子の含有率よりも高く、例えば、30~70%である。
【0039】
ここで、吸収体25の保液量が300~600gの場合において、その保液量が限界に達した場合に、保液量が100%という。吸収体25の体液吸収後における各領域50,51の厚さ寸法D1,D2,D3は、吸収体25の保液量が少なくとも30%に達した状態において後記の測定方法によって測定したものである。
【0040】
排泄物受容域50は、クロッチ域13において、横断中心線Qに関して前ウエスト域11側又は後ウエスト域12側に偏倚して位置していることが好ましい。すなわち、排泄物受容域50は、クロッチ域13のうちの横断中心線Qから前ウエスト域11側へ延びる前方区域と、横断中心線Qから後ウエスト域12側へ延びる後方区域とのうちのいずれかに配置されていればよい。
【0041】
排泄物受容域50は、直接的に排泄物を保持・収容するために、着用者の排泄口近傍と対向することが好ましく、クロッチ域13の前ウエスト域11側に偏倚することによって着用者の排尿器近傍と対向し、クロッチ域13の後ウエスト域12側に偏倚することによって、着用者の肛門近傍と対向することができる。
【0042】
排泄物受容域50は、少なくともクロッチ域13に位置していればよく、その一部が前ウエスト域11又は後ウエスト域12に位置していてもよい。また、排泄物受容域50は、比較的に多量の排泄物を吸収・保持するために所要の面積を有しており、クロッチ域13の前方区域又は後方区域の25~80%の大きさを有していることが好ましい。
【0043】
排泄物受容域50は、複数の圧縮凹部60を有することによって、局所的に吸収性コア30の密度が高くなっていることから体液を内部に引き込み易く、より効率的に体液を吸収することができ、また、所要の剛性が付与されて、排泄物受容域50が着用中によれたり、変形したりするのを抑制することができる。さらに、排泄物受容域50を広範囲で均一に圧縮する場合に比べて、複数の圧縮凹部60を散点状に配置することで、体液を吸収してSAP粒子が膨潤したときに、より均一に膨潤して吸収体25が歪な形状になるのを抑制することができる。
【0044】
また、排泄物受容域50全体の面積に対する複数の圧縮凹部60の総面積率は、10~65%であることが好ましい。圧縮凹部60の総面積率が65%を超える場合には、排泄物受容域50の剛性が比較的に高くなって着用中に着用者に違和感を与えるおそれがある。一方、圧縮凹部60の総面積率が10%未満の場合には、着用する際に表面シート21を介して排泄物受容域50の外形輪郭を視認し難くなったり、所望の体液の引込み効果を発揮することができなくなるおそれがある。
【0045】
排泄物受容域50の複数の圧縮凹部60は、吸収体25にのみ形成されるほかに、吸収体25と表面シート21とを積層した状態において、表面シート21の上面から熱エンボス(デボス)加工を施すことによって、表面シート21と吸収体25とに圧縮凹部60を形成するようにしてもよい。
【0046】
かかる場合においては、表面シート21、表面シート21と接触して吸収性コア30の肌対向面側に位置する第1コアカバーシート31a、吸収性コア30の非肌対向面側に位置する第2コアカバーシート31bのうちの少なくとも1つのシートが熱可塑性繊維を含む繊維不織布から形成されていることが好ましい。それによって、熱エンボス加工を施したときに熱可塑性繊維が融着して積層された各シート21,31a,31b及び吸収性コア30との接合強度を向上させることができる。
【0047】
また、通常、SAP粒子を含む吸収体に熱エンボス加工によって比較的に深い圧縮凹部を形成する場合には、エンボスピンがSAP粒子に比較的に強く接触してコアカバーシートの一部が破れてしまうおそれがあるが、排泄物受容域50はSAP粒子の含有率が低いことから、熱エンボス加工時においてコアカバーシート31の一部が破れてしまうことはない。したがって、通常よりも深さのある圧縮凹部60を形成することができる。
【0048】
再び、図4の拡大図を参照すると、表面シート21の内面における、排泄物受容域50の圧縮凹部60と厚さ方向において対向する部分には、接着剤33(ホットメルト接着剤)が塗布されている。このように、表面シート21の内面において圧縮凹部60と対向する部分に接着剤33が塗布されていることによって、圧縮凹部60を吸収体25にのみ形成している場合であっても表面シート21を圧縮凹部60に沿って凹状に変形させることができ、着用前に排泄物受容域50の外形線をより明瞭にして視認させることができる。
【0049】
図2を参照すると、排泄物受容域50は、バリアカフ27の倒伏された状態において、バリアカフ27の縦方向へ延びる内側縁部、すなわち、遠位縁部27b間に配置され、内側縁部と重なっていない。排泄物受容域50がバリアカフ27の遠位縁部27b間に配置されていることによって、排泄物受容域50の収容容量を超えて吸収・保持することができなかった排泄物が横漏れするのを効果的に抑制することができる。バリアカフ27の縦方向へ延びる内側縁部とは、図示例のように、バリアカフ27の遠位縁部27bが横方向の内側へ倒伏されて固定された態様を有する場合には遠位縁部27bを意味し、一方、バリアカフ27の遠位縁部27bが横方向の外側へ折り返された状態で固定された場合には、折り返されて固定された部分(近位縁部27aの内側縁部)を意味する。したがって、バリアカフ27が横方向の外側へ折り返された状態で固定された場合には、バリアカフ27と重ならないように、それらの折り返されて固定された部分間に排泄物受容域50が配置される。
【0050】
排泄物受容域50は、後ウエスト域12を保持するためのホールド域の縦方向の内側に位置し、平面視においてホールド域と重なっていない。このように、排泄物受容域50がホールド域と重なっていないことによって、ホールド域によって排泄物受容域50が肌に押し当てられて受容スペースSが崩れるのを抑制することができる。また、排泄物受容域50がクロッチ域13の前ウエスト域11側へ偏倚している場合には、前ウエスト域11を保持するためのホールド域と重なっていないことが好ましい。
【0051】
図示していないが、排泄物受容域50は、表面シート21又は裏面シート22を介して外部から視認可能な着色部分を有することが好ましい。着色部分には、感圧性の着色剤のほかに、尿によって呈色する着色剤を用いることができる。
【0052】
感圧性の着色剤を用いる場合には、製造工程において、排泄物受容域50内の吸収性コア30の表面にマイクロカプセルに包まれた無色の着色剤を塗布し、圧縮凹部60を形成するための熱エンボス加工時においてマイクロカプセルが破れて赤色、青色等に発色させることができる。かかる場合には、排泄物受容域50において圧縮凹部60の位置と着色部分の位置とが一致することで、おむつ10の内面側又は外面側から着色部分の視認性が向上する。着用前に排泄物受容域50が着色されていることによって、着用者及び着用補助者に対して排泄物受容域50を認識させ、排泄物の横漏れや排泄物の身体への付着に対して安心感を与えることができる。
【0053】
尿と接触することによって呈色する着色剤を用いる場合には、排泄物受容域50内の吸収性コア30の表面及び/又は裏面に指示薬(例えば、PH指示薬)等を塗布し、吸収性コア30に体液が拡散されることによって着色させることができる。かかる場合には、着色剤が排尿のあったことを知らせるインジケータとしての機能を有する。通常、排尿検知用のインジケータは、着色剤をライン状に延びるホットメルト接着剤に含有させて配置する態様を有するものであってその着色面積は比較的に小さくなるが、排泄物受容域50全体に着色部分が位置することによって着色面積が比較的に大きくなり、おむつ10の内外面から容易に視認することができる。また、排泄物受容域50は排泄物が吸収・保持させる領域であることから着色剤は体液に触れて着色しやすく、さらに、比較的に深い受容スペースS内に広く着色部分が形成されることで、その立体的形状と相俟って、より着色部分の視認性が向上する。また、おむつ10は、一部に着色部分を有することによって情緒的価値が提供されるとともに、着色部分が着用する際の位置合わせとしても機能しうる。着色手段としては、着色剤を含んだホットメルト接着剤を塗布するほかに、着色された繊維層を使用してもよい。
【0054】
おむつ10の内外面側から排泄物受容域50の着色部分が視認されるようにするために、排泄物受容域50と着色されていない周辺域51との色差ΔEは、5.0以上であることが好ましい。色差ΔEは、市販の測色器を使用して、例えば、JISZ8729等に規定されるCIE1976(L*a*b*)色空間に基づいて数値化した値を比較することによって求めることができる。
【0055】
下記の表1は、本発明に係るおむつ10の実施例1~5及び比較例1~3の人工尿の吸収前の厚さ寸法(mm)、人工尿の吸収後の厚さ寸法(mm)、人工軟便の拡散面積(cm)、人工軟便の付着量(g)を評価したものである。実施例1~5及び比較例1~3のおむつにおいて、吸収体は、SAP粒子とパルプ繊維との混合物から形成された吸収性コアと、吸収性コアの上下面をそれぞれ被覆する質量17g/mのティッシュペーパから形成された上下コアカバーシートとから構成した。また、吸収体の上面に、質量22g/mのエアスルー繊維不織布製の表面シートをホットメルト接着剤を介して接合した。
【0056】
なお、比較例1~3のおむつとして、吸収体のSAP粒子の含有率がほぼ同じものを作製したが、実施例1~5の排泄物受容域50と同じ位置、大きさを指定して排泄物受容域、周辺域の第1吸収部、第2吸収部とした。
【0057】
【表1】
【0058】
<実施例1>
吸収体25の吸収性コア30において、排泄物受容域50のSAP粒子の質量は8.7g/m、周辺域51の第1吸収部52のSAP粒子の質量は194.6g/m、周辺域51の第2吸収部53のSAP粒子の質量は132.7g/m、排泄物受容域50のパルプ繊維の質量は246.2g/m、周辺域51の第1吸収部52のパルプ繊維の質量は392.8g/m、周辺域51の第2吸収部53のパルプ質量は340.4g/mであった。
【0059】
また、実施例1の吸収体25の排泄物受容域50に位置する圧縮凹部60の配置パターンは複数のドット状であって、圧縮凹部60は吸収体25の肌対向面側から非肌対向面側へ向かって凹となるように形成されており、表面シート21は圧縮凹部60によって圧縮されていない。
【0060】
<実施例2>
実施例2に係るおむつ10においては、吸収性コア30のSAP粒子の質量が全体として少なくなっている以外は、実施例1と同様の構成を有する。
【0061】
<実施例3>
実施例3に係るおむつ10として、吸収性コア30に形成される圧縮凹部60をドット状ではなく、連続して直線状に延びる複数の圧縮凹状ラインを交差してなる格子状に配置したものを作製した。
【0062】
<実施例4>
実施例4に係るおむつ10として、表面シート21上から圧縮エンボス加工を施し、表面シート21と吸収体25とが圧縮された複数のドット状の圧縮凹部60を有するものを作製した。
【0063】
<実施例5>
実施例5に係るおむつ10は、吸収性コア30のパルプ繊維の含有量が全体として少なくなっている以外は、実施例1と同様の構成を有する。
【0064】
<比較例1>
吸収体全体としてSAP粒子の含有率がほぼ同じであって、排泄物受容域には圧縮凹部が形成されていないおむつを比較例1とした。
【0065】
<比較例2及び比較例3>
吸収体は全体としてSAP粒子の含有率がほぼ同じであって、排泄物受容域には実施例1と同様の配置パターンで圧縮凹部が形成されているおむつを比較例2,3とした。また、比較例2の吸収体は、比較例1の吸収体にエンボス加工を施してドット状の圧縮凹部を形成したものであって、比較例3の吸収体は、比較例1の吸収体において、エンボス加工対応領域の吸収性コアの質量を他の領域に比べて低くして、エンボス加工を施してドット状の圧縮凹部を形成したものである。
【0066】
<人工尿の吸収前・吸収後における各領域の厚さ寸法の測定>
各領域の厚さ寸法の測定には、市販の厚み計(例えば、(株)大栄科学精器製作所製 型式FS-60DS)を使用した。厚み計の測定端子径(例えば、15cm)は、測定部位よりも小さくなるようにサンプルの大きさに合わせて調整し、5.0gf/cm荷重下において測定した。また、同様の測定方法によって、着用補助者が使用前におむつ10の肌対向面側を指先で撫でるように触れたときを想定した低荷重下の表面シート21の厚さ寸法についても、1.5gf/cm荷重下で測定した。
【0067】
実施例1~5及び比較例1~3のおむつから吸収体を取り出し、排泄物受容域、周辺域の第1吸収部、周辺域の第2吸収部のそれぞれについて、厚み計で厚さ寸法(mm)を測定し、人工尿の吸収前の各領域の厚さ寸法とした。次に、120gの人工尿を入れたパッドに吸収体を肌対向面側を下方にした状態で浸して人工尿を均一に吸収させた後(保液量が30%以上)、SAP粒子を十分に膨潤させるために5分間静置した。5分経過後に、排泄物受容域、周辺域の第1吸収部、周辺域の第2吸収部に相当する領域のそれぞれについて厚み計で厚さ寸法(mm)を測定し、人工尿の吸収後における各領域の厚さ寸法とした。人工尿には、例えば、イオン交換水、尿素、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム及び色素(青色1号)を任意の割合で調製したものを用いた。
【0068】
<人工軟便の拡散面積の測定>
人工尿の吸収後の厚さ寸法の測定が終了した後に、排泄物受容域の中央に人工軟便15gを置き、その上に10cm四方の濾紙(30g)を載せ、さらに底面面積が10cm×10cmであって質量が2.0kgの錘を濾紙の上に載置して1分間静置した。静置した後に、錘を外して濾紙の重量変化、すなわち、測定前の濾紙の重量と測定後の濾紙の重量との差を算出して、人工軟便の付着量(g)とした。また、排泄物受容域から濾紙を取り除いた後に、吸収体の上方において離間し、かつ、排泄物受容域の全体を覆うように10cm四方の白色紙を配置する。人工便には、例えば、セルロース粉末、ベントナイト、イオン交換水、色素(赤色)を任意の割合で調製したものを用いた。
【0069】
次に、該白色紙が画面に映り込むように、白色紙を介して吸収体の排泄物受容域近傍における人工便の拡散状態をデジタルカメラ撮影し、得られたデジタル画像に基づき白色紙を基準として人工軟便の拡散した部分(赤色の部分)の面積(cm)を算出した。具体的には、デジタル画像をコピー紙にカラー印刷し、該紙部分と拡散領域の部分とをそれぞれ切り抜いて、切り抜いた紙片の重量比から拡散した部分の面積(cm)を算出した。
【0070】
表1を参照すると、実施例1~5は、SAP粒子の含有率が低い排泄物受容域50を有し、人工尿の吸収後における周辺域51の第1吸収部52の厚さ寸法が排泄物受容域50の厚さ寸法の3.1~4.9倍であることから、吸収体25の排泄物受容域50の存在域には比較的に深い受容スペースSが形成された。そのために、人工軟便の拡散面積は39.4~43.6cmであって比較的に小さく、かつ、人工軟便の付着量も3.7~4.3gであって比較的に少なかった。また、実施例3と実施例2とを比較すると、圧縮凹部60を連続したラインからなる格子状に配置することによって、人工尿の吸収後における排泄物受容域50の厚さ寸法を小さくすることができ、より深い受容スペースSを形成することができた。
【0071】
一方、比較例1~3においては、排泄物受容領域のSAP粒子の含有率が他の領域とほぼ同じであることによって、人工尿の吸収後における周辺域の第1吸収部の厚さ寸法が排泄物受容域の厚さ寸法の1.1~1.8倍であって、吸収体の排泄物受容域の存在域には比較的に浅い受容スペースが形成された。そのために、人工軟便の拡散面積は64.8~74.0cmであって比較的に大きく、かつ、人工軟便の付着量も6.3~6.5であって比較的に多かった。
【0072】
以上のとおり、吸収体25にSAP粒子の含有率が低い排泄物受容域50が形成されることによって比較的に深い受容スペースSが形成され、軟便の拡散と軟便の肌への付着を効果的に抑制することができるといえる。
【0073】
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態におけるおむつ10の展開平面図である。本実施形態においては、吸収体25の排泄物受容域50は略角丸長方形状を有し、周辺域51の第1吸収部は、排泄物受容域50の両側縁に沿って延びる第1及び第2縦断部分52A,52Bと、排泄物受容域50の縦方向の外側において横方向へ延びる横断部分52Cとを有する。
【0074】
本実施形態においては、排泄物受容域50がクロッチ域13の後ウエスト域12側に位置し、かつ、周辺域51の第1吸収部52が横断中心線Qに向かって開口した凹状を有していることから、クロッチ域13側から後ウエスト域12側へ流れた軟便を排泄物受容域50において吸収・保持することができるとともに第1吸収部52が障壁となって、軟便がさらに後ウエスト域12側へ流動するのを防ぐことができる。
【0075】
また、図示していないが、周辺域51の第1吸収部52は、第1及び第2縦断部分52A,52Bと横断部分52Cとのうちの少なくとも1つのみを有するものであってもよい。かかる場合であっても、その1つのみ配置された部分が、クロッチ域13側から排泄物受容域50内に進入した排泄物の流動を阻止するための障壁として機能しうる。
【0076】
第1吸収部52が、第1及び第2縦断部分52A,52Bのみから形成される場合、すなわち、排泄物受容域50の縦方向の内外側に第1吸収部52が存在しない場合には、第1及び第2縦断部分52A,52Bが排泄物の横方向への流動を阻止する障壁となり、排泄物の横漏れ及びバリアカフ27が排泄物によって汚れるのを抑制することができる。
【0077】
また、第1吸収部52が、横断部分52Cのみから形成される場合、すなわち、排泄物受容域50の横方向の外側には第1吸収部が存在しない場合には、横断部分52Cが排泄物の縦方向への流動を阻止する障壁となり、例えば、乳幼児等の着用者が母親に抱っこされた状態、仰臥状態、伏臥状態にある場合等において、排泄物がウエスト開口側へ向かって流動して着用者の背部が汚れるのを抑制することができる。
【0078】
また、図示していないが、排泄物受容域50がクロッチ域13の前ウエスト域11側に位置し、かつ、周辺域51の第1吸収部が横断中心線Qに向かって開口した凹状を有していてもよい。第1吸収部が排泄物受容域50全体を囲んだ形態を有していなくても、クロッチ域13側から前ウエスト域11側へ流れた尿を排泄物受容域50において吸収・保持することができるとともに、凹状の第1吸収部が障壁となって、尿がさらに前ウエスト域11側へ流動するのを防ぐことができる。
【0079】
このように、周辺域51の第1吸収部が前ウエスト域11側に位置する場合であっても、第1及び第2縦断部分52A,52B並びに横断部分52Cのうちの少なくとも1つの部分が配置されていればよい。第1吸収部が第1及び第2縦断部分52A,52Bのみ又は横断部分52Cのみから形成されている場合においては、排泄物受容域50が後ウエスト域12側に位置する場合と同様の排泄物の流動を阻止する障壁としての効果を有する。特に、排泄物受容域50が前ウエスト域11側に位置する場合において、第1吸収部が横断部分52Cを有する場合には、それが障壁となって、クロッチ域13側から排泄物受容域50に進入した排泄物がさらに前端部16へ向かって流動し、着用者の腹部を汚すのを抑制することができる。
【0080】
<第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態に係るおむつ10の吸収体の平面図である。本実施形態においては、吸収体25の周辺域51には、肌対向面側から非肌対向面側へ凹となる複数のドット状の圧縮凹部70が、いわゆる千鳥状に配置されている。かかる配置態様を有することによって、圧縮凹部70が集中しすぎて吸収体25の剛性が局所的に高くなるのを抑制することができる。圧縮凹部70は、排泄物受容域50に位置する圧縮凹部60に比べて浅く、圧縮凹部70とその周辺に位置する非圧縮部分との間に大きな段差が形成されるものではない。
【0081】
吸収体25の周辺域51全体にも複数の圧縮凹部70形成されていることによって、周辺域51は圧縮凹部70が配置されていない場合に比べて比較的に剛性が高くなり、着用中における吸収体25全体のよれがさらに抑制され、周辺域51に囲まれた排泄物受容域50が外力によって変形するのをさらに抑制することができる。
【0082】
<第4実施形態>
図9(a)は、本発明の第4実施形態に係る着用物品の図5(a)と同様の断面図、図9(b)は、本発明の第4実施形態に係る図5(b)と同様の一部拡大断面図である。
【0083】
図9(a)を参照すると、実施形態においては、吸収体25の体液吸収前の状態において、吸収体25の表面はほぼ平坦状であって、周辺域51の厚さ寸法D2,D3と排泄物受容域50の厚さ寸法D1とは、ほぼ同じ大きさである。
【0084】
図9(b)を参照すると、吸収体25の体液吸収後の状態において、SAP粒子の含有率が、周辺域51の第1吸収部52≧周辺域51の第2吸収部53>排泄物受容域50となっていることから、SAP含有率に応じて各領域50,51の厚さ寸法D1,D2,D3が変化しており、周辺域51の第1吸収部の厚さ寸法D2≧周辺域51の第2吸収部53の厚さ寸法D3>排泄物受容域50の厚さ寸法D1となっている。
【0085】
したがって、かかる実施形態においても、周辺域51の厚さ寸法D2,D3よりも排泄物受容域50の厚さ寸法D1が小さくなることによって、それらの間には大きな段差が形成され、排泄物受容域50には、排泄物を吸収・保持することが可能な受容スペースSが形成される。また、周辺域51が排泄物受容域50の外周を囲む、比較的に高い吸収性を有する第1吸収部52を有することから、比較的に深い受容スペースSが形成され、より多量の排泄物を吸収・保持することができる。
【0086】
このように、吸収体25が体液を吸収する前の状態において、周辺域51の厚さ寸法D2,D3と排泄物受容域50の厚さ寸法D1とがほぼ同じであっても、吸収体25の体液の吸収前よりも吸収後における周辺域51の厚さ寸法D2,D3と排泄物受容域50の厚さ寸法D1との差が大きく、かつ、後者が前者よりも小さいことによって、おむつ10の排泄物受容域50の存在域には、排泄物を吸収・保持することのできる受容スペースSが形成される。
【0087】
したがって、例えば、吸収体25の体液吸収前の状態として、排泄物受容域50の厚さ寸法D1よりも周辺域51の厚さ寸法D2,D3が小さい場合であっても、体液吸収後のそれらの厚さ寸法D1-D3の大きさの相関関係が逆転することによって、おむつ10の排泄物受容域50の存在域に受容スペースSが形成されるといえる。よって、本明細書における、体液の吸収前及び吸収後における排泄物受容域50の厚さ寸法D1と周辺域51の厚さ寸法D2,D3との差は絶対値である。
【0088】
おむつ10を構成する各構成部材には、特に明記されていない限りにおいて、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種公知の材料を制限なく用いることができる。また、本明細書及び特許請求の範囲で使用されている、「第1」及び「第2」の用語は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いている。
【符号の説明】
【0089】
10 着用物品(使い捨ておむつ)
11 前ウエスト域
12 後ウエスト域
13 クロッチ域
21 表面シート
25 吸収体
27 バリアカフ
30 吸収性コア
31 コアカバーシート
31a 第1コアカバーシート
31b 第2コアカバーシート
50 排泄物受容域
51 周辺域
52 周辺域の第1吸収部
52A 第1縦断部分
52B 第2縦断部分
52C 横断部分
53 周辺域の第2吸収部
60 圧縮凹部
D1 排泄物受容域の厚さ寸法
D2 周辺域の第1吸収部の厚さ寸法
D3 周辺域の第2吸収部の厚さ寸法
P 縦断中心線
Q 横断中心線
X 横方向
Y 縦方向
Z 厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9