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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】蓄電池装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220530BHJP
   H01H 33/59 20060101ALI20220530BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20220530BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H01H33/59 B
H02J7/00 302A
H02H7/18
H02H7/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018118663
(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2019221103
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 修一
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-044904(JP,A)
【文献】特開2016-149213(JP,A)
【文献】国際公開第2015/087558(WO,A1)
【文献】特開2014-179189(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0062384(US,A1)
【文献】特開2016-213179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01H 33/59
H02H 7/18
H02H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷装置に電力を供給する第1蓄電池と、
前記第1蓄電池と前記負荷装置とを遮断する半導体で形成された遮断器と、
前記遮断器に並列に接続され、前記遮断器により前記第1蓄電池と前記負荷装置とが遮断されたとき、前記負荷装置が有するインダクタンスに蓄積されている電気エネルギーが放電される経路を形成する第2蓄電池と、
前記第2蓄電池から前記遮断器への放電を阻止するダイオードと、
を備え
前記第2蓄電池の出力電圧は、
前記第1蓄電池の出力電圧をV1、前記第2蓄電池の出力電圧をV2、前記ダイオードの順方向電圧をVfとした場合、V2≧V1-Vfを満たすように設定されている、
蓄電池装置。
【請求項2】
前記第1蓄電池の正極は負荷装置の一端に接続され、
前記第1蓄電池の負極は前記遮断器の第1端子に接続され、
前記遮断器の第2端子は前記負荷装置の他端に接続され、
前記第2蓄電池の負極は前記遮断器の前記第1端子に接続され、
前記第2蓄電池の正極は前記ダイオードのカソードに接続され、
前記ダイオードのアノードは前記遮断器の第2端子に接続されている、
請求項に記載の蓄電池装置。
【請求項3】
前記第1蓄電池の正極は前記遮断器の第2端子に接続され、
前記第1蓄電池の負極は前記負荷装置の一端に接続され、
前記遮断器の第1端子は前記負荷装置の他端に接続され、
前記第2蓄電池の負極は前記遮断器の前記第1端子に接続され、
前記第2蓄電池の正極は前記ダイオードのカソードに接続され、
前記ダイオードのアノードは前記遮断器の第2端子に接続されている、
請求項に記載の蓄電池装置。
【請求項4】
前記第1蓄電池の出力電圧をV1,前記第2蓄電池の出力電圧をV2,前記ダイオードの順方向電圧をVfとした場合、V2≧V1-Vfを満たすように前記第2蓄電池を充電する第1充電器を備える、
請求項1からの何れか一項に記載の蓄電池装置。
【請求項5】
前記第1充電器は、前記第1蓄電池を入力源として動作するDC/DCコンバータで構成されている定電流源である、
請求項に記載の蓄電池装置。
【請求項6】
前記第2蓄電池を入力源として動作するDC/DCコンバータで構成され、前記第1蓄電池を充電する第2充電器を備える、
請求項1からの何れか一項に記載の蓄電池装置。
【請求項7】
前記負荷装置の有するインダクタンスをL、前記インダクタンスに蓄積されているエネルギーをE、前記第2蓄電池の出力電圧をV2、前記遮断器を切断する直前に前記負荷装置に流れていた負荷電流をIとした場合、前記第2蓄電池は、前記第2蓄電池の等価容量CBTが次式を満たすように構成されている、
請求項1からの何れか一項に記載の蓄電池装置。
BT≧2E/V2
E=0.5LI
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池装置と負荷装置とを遮断する遮断器を備えた蓄電池装置がある。従来の遮断器には、メカニカルリレーが使用されていた。しかし、近年では、装置の小型化、長寿命化を進めるために、MOS-FET(Metal Oxide Semiconductor-Field effect transistor)やIGBT(Insulated gate bipolar transistor)等の半導体スイッチを使用する遮断器が増えている。
【0003】
蓄電池装置は、モータのようにインダクタンスを有する負荷装置に電力を供給することがある。蓄電池装置から大きなインダクタンスを有する負荷装置を切り離す際、負荷装置のインダクタンスに蓄えられていたエネルギーが遮断器に印加される。このエネルギーが遮断器を構成する半導体スイッチの耐電圧を超えると遮断器は故障する。故障を回避するために、遮断器に印加されるエネルギーを吸収するエネルギー吸収装置を設けた蓄電池装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-44904号公報
【0005】
しかしながら、このエネルギー吸収装置は、遮断器を構成する半導体スイッチよりもサイズが大きくなることが多く、装置の小型化を図るという観点から問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、蓄電池装置の小型化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、実施形態に係る蓄電池装置は、負荷装置に電力を供給する第1蓄電池と、第1蓄電池と負荷装置とを遮断する半導体で形成された遮断器と、遮断器に並列に接続され、遮断器により第1蓄電池と負荷装置とが遮断されたとき、負荷装置が有するインダクタンスに蓄積されている電気エネルギーが放電される経路を形成する第2蓄電池と、第2蓄電池から遮断器への放電を阻止するダイオードと、を備える。第2蓄電池の出力電圧は、第1蓄電池の出力電圧をV1、第2蓄電池の出力電圧をV2、ダイオードの順方向電圧をVfとした場合、V2≧V1-Vfを満たすように設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る蓄電池装置の構成図である。
図2】第1の実施形態に係る蓄電池装置の等価回路である。
図3】第1の実施形態に係る蓄電池装置の等価回路である。
図4】変形例2に係る蓄電池装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、実施形態に係る蓄電池装置100の構成図である。蓄電池装置100は、負荷装置200に電力を供給するための装置である。負荷装置200は、電動機、空調装置、照明装置等の電力を消費する電気機器である。負荷装置200は、抵抗RL、インダクタンスLを有している。
【0010】
図1に示されるように、蓄電池装置100は、第1蓄電池10、遮断器20、サブモジュール30、第1充電器40、第2充電器41、計測部60、制御部70を備える。
【0011】
蓄電池装置100の接続構成を説明する。第1蓄電池10の正極は、負荷装置200の一端に接続されている。第1蓄電池10の負極は、遮断器20の第1端子20aに接続されている。遮断器20の第2端子20bは、負荷装置200の他端に接続されている。第2蓄電池31の負極は、遮断器20の第1端子20aに接続されている。第2蓄電池31の正極は、ダイオード32のカソードに接続されている。ダイオード32のアノードは、遮断器20の第2端子20bに接続されている。
【0012】
第1蓄電池10は、負荷装置200に電力を供給するメインの蓄電池である。第1蓄電池10は、リチウムイオン電池、鉛蓄電池などで構成されている。第1蓄電池10は、複数のバッテリーセルを直列もしくは並列に組み合わせることにより、所定の電圧を出力し、所定の電気エネルギーを蓄積できるように構成されている。
【0013】
遮断器20は、第1蓄電池10から負荷装置200を遮断する機能を備える。遮断器20は、MOS-FETやIGBT等の半導体スイッチで構成されたスイッチS0を備える。スイッチS0は、制御部70からの制御に従ってオン・オフ制御される。
【0014】
サブモジュール30は、遮断器20に並列に接続され、遮断器20により第1蓄電池10と負荷装置200とが遮断されたとき、負荷装置200が有するインダクタンスLに蓄積されている電気エネルギーが放電される経路を形成する。サブモジュール30は、第2蓄電池31とダイオード32を有している。
【0015】
遮断器20により第1蓄電池10と負荷装置200とが遮断された直後、負荷装置200のインダクタンスLは、遮断される直前の電流を継続して流そうとする。遮断器20がオフ状態であるので、この過渡的な電流はサブモジュール30を流れる。つまり、サブモジュール30は、負荷装置200が遮断された直後に流れる電流のバイパスを形成している。ダイオード32は、第2蓄電池31から遮断器20への放電を阻止する機能を有している。
【0016】
第2蓄電池31は、リチウムイオン電池、鉛蓄電池などで構成されている。第2蓄電池31は、複数のバッテリーセルを直列もしくは並列に組み合わせることにより、所定の電圧を出力できるように構成されている。具体的には、第2蓄電池31の出力電圧は、第1蓄電池10の出力電圧よりも高く設定されている。第1蓄電池10と第2蓄電池31に同種のバッテリーセルを使用する場合、第2蓄電池31のバッテリーセルを直列に接続する数は、第1蓄電池10のバッテリーセルを直列に接続する数よりも多くする。これにより、第2蓄電池31の出力電圧を第1蓄電池10の出力電圧よりも高く設定することができる。
【0017】
第1充電器40は、第2蓄電池31を充電する充電器である。具体的には、第1充電器40は、第2蓄電池31の出力電圧が第1蓄電池10の出力電圧よりも高くなるように第2蓄電池31を充電する。第1充電器40は、例えば、第1蓄電池10の出力を入力源として動作するDC/DCコンバータで構成されている定電流源である。詳細には、第1充電器40は、第2蓄電池31の出力電圧が1式を満たすように第2蓄電池31を充電する。V1は第1蓄電池10の出力電圧、V2は第2蓄電池31の出力電圧、Vfはダイオード32の順方向電圧である。1式は、第1蓄電池10から出力された負荷電流Iが第2蓄電池31に流れ込まないための条件を示している。
V2≧V1-Vf (1式)
【0018】
第2充電器41は、第2蓄電池31に蓄積された電気エネルギーを使用して、第1蓄電池10を充電する。第2充電器41は、例えば、第2蓄電池31の出力を入力源として動作するDC/DCコンバータで構成されている定電流源である。第2充電器41は、制御部70の制御に基づいて動作する。詳細は後述する。
【0019】
計測部60は、電圧計を備え、第1蓄電池10の出力電圧を計測する。また、計測部60は、電流計を備え、第1蓄電池10から充放電される電流を計測する。また、計測部60は、第2蓄電池31の出力電圧V2及び第2蓄電池31から充放電される電流を計測する。計測部60は、計測結果を示すデータを制御部70に供給する。
【0020】
制御部70は、上位装置もしくはユーザの操作に基づいて遮断器20のスイッチS0を開閉制御する。また、制御部70は、例えば、計測部60から供給されたデータに基づいて第1蓄電池10が過放電状態になったことを検出し、遮断器20のスイッチS0を開状態に制御する。また、制御部70は、第1蓄電池10及び第2蓄電池31の出力電圧を示すデータに基づいて、第2蓄電池31の出力電圧V2が1式を満たすように第1充電器40を制御する。また、制御部70は、第2蓄電池31の出力電圧V2を示すデータに基づいて、第1蓄電池10を充電するように第2充電器41を制御する。制御部70は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、記憶部等を備える。
【0021】
次に、上述の構成を有する蓄電池装置100の動作について説明する。図1に対応する等価回路を図2及び図3に示す。図2は、遮断器20のスイッチS0がオン状態である場合の等価回路である。図3は、遮断器20のスイッチS0がオフ状態である場合の等価回路である。第2蓄電池31等価回路は、電池E、内部抵抗RBT、等価容量CBTで表される。ここでは、第1蓄電池10の内部抵抗及びスイッチS0がオン状態になった時の抵抗を0Ωとして説明する。
【0022】
図2に示される等価回路の構成について説明する。第1蓄電池10の正極は、負荷装置200の一端に接続されている。負荷装置200の他端は、遮断器20の第2端子20bに接続されている。遮断器20の第1端子20aは、第1蓄電池10の負極に接続されている。サブモジュール30は、遮断器20と並列に接続されている。遮断器20の第2端子20bは、ダイオード32のアノードに接続されている。遮断器20の第1端子20aは、電池Eの負極に接続されている。ダイオード32のカソードは、並列に接続された内部抵抗RBTと等価容量CBTを介して、電池Eの正極に接続されている。
【0023】
最初に、第1充電器40の動作について説明する。制御部70は、計測部60を介して第2蓄電池31の出力電圧V2を計測する。制御部70は、第1充電器40を制御して、第2蓄電池31の出力電圧V2が1式を満たすように第2蓄電池31を充電する。また、制御部70は、第2蓄電池31の出力電圧V2が第2蓄電池31の満充電状態を示す電圧に至ると、第1充電器40による第2蓄電池31への充電を停止させる。制御部70は、予め計測された第2蓄電池31の放電深度特性を示すデータを備えている。制御部70は、第2蓄電池31の放電深度特性を示すデータと第2蓄電池31の出力電圧V2に基づいて、第2蓄電池31が満充電状態に至ったか否かを判断する。
【0024】
次に、遮断器20のスイッチS0がオン状態の動作について図2を参照して説明する。第2蓄電池31の出力電圧V2は、第1蓄電池10の出力電圧よりも高くなるように充電されているので、第1蓄電池10から流出された負荷電流Iが第2蓄電池31に流れ込むことはない。負荷電流Iは、第1蓄電池10、負荷装置200、遮断器20、第1蓄電池10の経路で流れる。また、ダイオード32があるので、第2蓄電池31から遮断器20に向かって電流が放電されることはない。
【0025】
次に、遮断器20のスイッチS0により負荷装置200が遮断された直後の動作について図3を参照して説明する。負荷装置200の有するインダクタンスLの値をLとすると、インダクタンスLには、次式で表されるエネルギーが蓄積される。
EL=0.5LI (2式)
【0026】
負荷装置200が遮断された直後、インダクタンスLは遮断される直前の負荷電流Iを流し続けようとする。スイッチS0がオフ状態であるので、負荷電流Iは、負荷装置200、ダイオード32、第2蓄電池31、第1蓄電池10、負荷装置200の経路で流れる。遮断器20の両端に加わる最大電圧Vmaxは、次式で表すことができる。RBTは、第2蓄電池31の内部抵抗である。Vfは、ダイオード32の順方向電圧である。遮断器20の耐圧は、Vmax以上に設定されている。
Vmax=RBTI+Vf (3式)
【0027】
内部抵抗RBTの小さい第2蓄電池31で構成されたサブモジュール30を遮断器20と並列に設けることにより、遮断器20の両端に印加される電圧を低くすることができる。つまり、サブモジュール30は、遮断器20に印加される電圧を低減する機能を有している。したがって、遮断器20に必要とされる耐圧を低減することができる。
【0028】
ところで、負荷電流Iが第2蓄電池31を流れる際、第2蓄電池31は、負荷電流Iによって充電される。負荷装置200の有するインダクタンスLの値をL、インダクタンスLに蓄積されているエネルギーをE、第2蓄電池31の出力電圧をV2、遮断器20を切断する直前に負荷装置200に流れていた負荷電流をIとした場合、第2蓄電池31は、第2蓄電池31の等価容量CBTが次式を満たすように構成される。
BT≧2E/V2 (4式)
E=0.5LI
【0029】
例えば、L=100mH、I=100A、V2=10Vとした場合、CBTは10F以上となる。したがって、等価容量CBTが10F以上になるように第2蓄電池31を構成する。
【0030】
また、例えば、L=1mH、I=1A、V2=10Vとした場合、CBTは10μF以上となる。したがって、等価容量CBTが10μF以上になるように第2蓄電池31を構成する。
【0031】
次に、第2充電器41の動作について説明する。制御部70は、計測部60を介して第2蓄電池31の出力電圧V2を計測する。制御部70は、予め計測された第2蓄電池31の放電深度特性を示すデータを備えている。制御部70は、第2蓄電池31の放電深度特性を示すデータと第2蓄電池31の出力電圧V2に基づいて、第2蓄電池31に蓄積されている電気エネルギー量を推定する。制御部70は、第2蓄電池31の出力電圧V2が予め設定された閾値電圧Vth1を超えると、第2充電器41を制御して第1蓄電池10を充電する。閾値電圧Vth1は、例えば次式を満たすように設定される。
Vth1>V1+Vf (5式)
【0032】
また、負荷装置200が1回遮断されるごとに充電により上昇する第2蓄電池31の出力電圧の上昇電圧をΔVとした場合、閾値電圧Vth1は、第2蓄電池31の満充電電圧よりもΔV以上低い電圧に設定される。
【0033】
なお、制御部70は、第2蓄電池31から充放電される電流を積分することにより、第2蓄電池31に蓄積されている電気エネルギー量を推定してもよい。
【0034】
負荷装置200が遮断されるたびに第2蓄電池31は充電され、第2蓄電池31の出力電圧V2は上昇していく。制御部70は、第2蓄電池31の出力電圧V2が閾値電圧Vth1になったことを検知すると、第2充電器41を制御して、第1蓄電池10の充電を開始する。
【0035】
第1蓄電池10への充電が進むにしたがって、第2蓄電池31に蓄積されていた電気エネルギーは減少し、第2蓄電池31の出力電圧V2は低下していく。制御部70は、第2蓄電池31の出力電圧V2が予め設定されている閾値電圧Vth2まで低下すると、第2充電器41による第1蓄電池10への充電を停止する。例えば、閾値電圧Vth2は、6式のように設定される。
Vth2=V1 (6式)
【0036】
(変形例1)
上記の説明では、第1充電器40を用いて第2蓄電池31を充電する場合について説明した。変形例1では、第1充電器40を備えない場合について説明する。制御部70は、計測部60による計測によって第2蓄電池31の出力電圧V2が所定の電圧以下に低下したことを検知すると、第2蓄電池31を交換するようユーザに注意を喚起する。所定の電圧とは、1式の条件に基づく電圧である。例えば、制御部70は、図示しない表示部に、第2蓄電池31を交換するようにメッセージを表示する。そして、ユーサが第2蓄電池31を交換することにより、1式の条件は維持される。
【0037】
(変形例2)
蓄電池装置100の構成を図4に示す構成にすることもできる。蓄電池装置100の接続構成を説明する。第1蓄電池10の正極は、遮断器20の第2端子20bに接続されている。第1蓄電池10の負極は、負荷装置200の一端に接続されている。遮断器20の第1端子20aは、負荷装置200の他端に接続されている。第2蓄電池31の負極は、遮断器20の第1端子20aに接続されている。第2蓄電池31の正極は、ダイオード32のカソードに接続されている。ダイオード32のアノードは、遮断器20の第2端子20bに接続されている。
【0038】
動作説明は、第1の実施形態の説明と同じである。第1充電器40を構成するDC/DCコンバータは、トランスで1次側と2次側とを絶縁した構成にする必要がある。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る蓄電池装置100は、内部抵抗の小さい第2蓄電池31を備えたサブモジュール30を遮断器20に並列に接続している。これにより、蓄電池装置100は、遮断器20により第1蓄電池10と負荷装置200とが遮断された直後に流れる負荷電流Iをサブモジュール30にバイパスしている。遮断器20に印加される電圧の最大値は3式で表される電圧であるので、遮断器20に要求される耐圧は従来に比べて低減される。これにより、遮断器20を小型化することができる。
【0040】
第2蓄電池31は、制御部70等を駆動するために使用する電源である。本実施形態に係る蓄電池装置100は、装置内で使用する電源を第2蓄電池31として使用するので、遮断器20専用のエネルギー吸収装置を備える必要がない。したがって、装置の小型化を図ることができる。
【0041】
また、第2充電器41を備えることにより、第2蓄電池31に蓄積された電気エネルギーを第1蓄電池10に回生することができる。これにより、本実施形態に係る蓄電池装置100を使用するシステムのエネルギー効率を向上させることができる。
【0042】
なお、上記の説明では、第1充電器40が第2蓄電池31の出力電圧V2が1式を満たすように第2蓄電池31位を充電する説明をした。原理的には上記の説明でよいが、Vfの値は、流れる電流によって変化するので、7式を満たすように設計してもよい。
V2≧V1 (7式)
【0043】
また、図1から4において、第2蓄電池31とダイオード32の位置を入れ替えてもよい。
【0044】
また、上記の説明では、インダクタンスLを負荷装置200が有するインダクタンスとして説明したが、インダクタンスLには負荷電流Iが流れる配線のインダクタンスも含まれる。
【0045】
また、上記の説明では、エネルギー吸収装置を設けない場合について説明したが、エネルギー吸収装置を設ける場合においても、遮断器20にサブモジュール30を並列に接続することにより、エネルギー吸収装置を小さくすることができるので、装置の小型化を図ることができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
10…第1蓄電池
20…遮断器
20a…遮断器20の第1端子
20b…遮断器20の第2端子
30…サブモジュール
31…第2蓄電池
32…ダイオード
40…第1充電器
41…第2充電器
60…計測部
70…制御部
100…蓄電池装置
200…負荷装置
BT…第2蓄電池の内部抵抗
BT…第2蓄電池の等価容量
図1
図2
図3
図4