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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】回転電機の軸受の交換方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20220530BHJP
   H02K 5/16 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
H02K15/02 A
H02K5/16 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018169742
(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公開番号】P2020043696
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安室 慧
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 紘和
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-150524(JP,A)
【文献】特開2017-046460(JP,A)
【文献】実開昭52-035599(JP,U)
【文献】特開2008-142823(JP,A)
【文献】特開2012-060794(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105322691(CN,A)
【文献】中国実用新案第206517262(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
H02K 5/16
F16C 35/06
F16C 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の連結ロッドの一端に設けられたねじ部を機外側から軸受ハウジングにねじ込んで、複数本の連結ロッドを軸受ハウジングに連結し、
ロック部材をロック位置に移動させ、前記ロック部材により回転子をケースに固定し、
支持基板および前記支持基板に取付けられた押圧器を有する取出し治具の前記支持基板を前記複数本の連結ロッドに連結し、前記押圧器を回転シャフトの一端に当接させ、
油圧あるいは空気圧により前記押圧器を前記回転シャフトに押し当て、前記回転シャフトからの反力により前記支持基板および前記連結ロッドを介して前記軸受ハウジングを軸受と共に前記ケースから引き抜く、
回転電機の軸受の交換方法。
【請求項2】
前記連結ロッドのねじ部をねじ込む際、前記ねじ部で前記ロック部材を押圧し、前記ロック部材を解除位置からロック位置へ移動させる請求項1に記載の軸受の交換方法。
【請求項3】
前記押圧器により機外から前記ロック部材を押圧し、前記ロック部材を解除位置からロック位置に移動させる請求項1に記載の軸受の交換方法。
【請求項4】
前記引き抜かれた軸受ハウジングを機外側から前記ケースの所定位置に挿入、嵌合した後、前記軸受ハウジングおよび前記ケースを通して前記ロック部材に固定ボルトをねじ込み、前記固定ボルトにより前記軸受ハウジングを前記ケースに締結し、かつ、前記ロック部材を前記ロック位置から解除位置へ引き込む請求項1に記載の軸受の交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、回転電機の軸受を交換あるいはメインテナンスするための軸受の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道車両(以下、車両と称する)では、車体の下に配置された台車に回転電機、例えば、主電動機(以下、「電動機」と呼ぶ)が設けられている。電動機の回転力が継手と歯車装置を介して車輪に伝達され、鉄道車両が走行される。
電動機は、固定部材である円筒状の外郭部材(ケース)と、ケース内に固定された円筒状の固定子と、固定子に対して回転自在に支持された回転子と、を備えている。回転子は、回転シャフトと、回転シャフトに固定された回転子鉄心と、を有している。回転シャフトの駆動側端部および反駆動側端部は、それぞれケースに設けられた軸受に支持されている。
【0003】
電動機では、重要部品である軸受を定期的に保守する必要がある。通常、軸受の保守には、電動機を分解して、回転子を固定子から引き抜く作業が発生する。このような分解に伴う保守作業は大変煩雑であり、作業負担が大きい。そのため、保守性を向上を図るべく、回転子を引き抜くことなく、軸受の保守を行うことが可能な非分解軸受部交換構造が提案されている。前記の非分解軸受部交換構造では、回転子を固定子に固定した後に、前記のハウジングを引き抜き軸受の保守を行う。軸受保守後、軸受部の再組立時は軸受が挿入されたハウジングを電動機に取付て、回転子を軸受により支持してから、回転子固定の解除を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-99491号公報
【文献】特開2017-46460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の非分解軸受交換構造では、作業手順を間違えると、固定子に対して回転子が落下するような不具合を生じる場合がある。そのため、作業者は、作業手順を間違えないように十分な確認作業を行う必要がある。
この発明の実施形態の課題は、保守作業の容易化を図ることが可能な回転電機の軸受の交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、回転電機の軸受の交換方法は、複数本の連結ロッドの一端に設けられたねじ部を機外側から軸受ハウジングにねじ込んで、複数本の連結ロッドを軸受ハウジングに連結し、ロック部材をロック位置に移動させ、前記ロック部材により回転子をケースに固定し、支持基板および前記支持基板に取付けられた押圧器を有する取出し治具の前記支持基板を前記複数本の連結ロッドに連結し、前記押圧器を前記回転シャフトの一端に当接させ、油圧あるいは空気圧により前記押圧器を前記回転シャフトに押し当て、前記回転シャフトからの反力により前記支持基板および前記連結ロッドを介して前記軸受ハウジングを軸受と共にケースから引き抜く、ことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る電動機を示す縦断面図。
図2図2は、上記電動機の駆動側端部の正面図。
図3図3は、上記電動機の反駆動側端部の正面図。
図4図4は、前記電動機における軸受部の点検保守作業の手順を示す上記電動機の縦断面図。
図5図5は、前記電動機に取出し治具を装着した状態を示す前記電動機の反駆動側端部の斜視図。
図6図6は、前記取出し治具が装着された前記電動機の縦断面図。
図7図7は、前記取出し治具により軸受ハウジングを引出した状態における前記電動機の反駆動側端部を示す斜視図。
図8図8は、前記電動機の再組立てにおいて、軸受ハウジングを電動機に装着した状態を示す前記電動機の縦断面図。
図9図9は、前記電動機の再組立てにおいて、前記軸受ハウジングのねじ止めおよび支持構造部のロックを解除した状態を示す前記電動機の縦断面図。
図10図10は、第2の実施形態に係る電動機の縦断面図。
図11図11は、第3の実施形態に係る電動機の縦断面図。
図12図12は、第4の実施形態に係る電動機の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面を参照しながら、種々の実施形態について説明する。なお、実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略あるいは簡略化する場合がある。また、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電動機の断面図である。図2は、上記電動機の駆動側端の正面図、図3は、上記電動機の反駆動側端の正面図である。
回転電機の一例である電動機10は、例えば、鉄道車両の台車に載置され鉄道車両を駆動する主電動機に適用される。図1に示すように、電動機10は、円筒状のフレーム12を備えている。フレーム12の軸方向一端は、環状の端板14により閉塞されている。端板14は、フレーム12と一体に成形されている。フレーム12の軸方向他端には、環状のブラケット16がボルト止めされ、フレーム12の他端を閉塞している。これらフレーム12、端板14、およびブラケット16により、内部が密閉されたケース(機体)が構成されている。
【0010】
電動機10は、ケース内に配置された固定子20と、固定子20に対して回動自在に支持された回転子30とを備えている。固定子20は、フレーム12の内周面に固定された円筒状の固定子鉄心22と、固定子鉄心22に巻回された固定子コイル24と、を有している。固定子鉄心22は、フレーム12と同芯状に配置されている。固定子鉄心22の軸方向両端に、一対の環状の鉄心押さえ26a、26bが配置されている。鉄心押え26a、26bは、フレーム12の内周面に固定され、固定子鉄心22を両側から挟んで保持している。
固定子鉄心22は、磁性材、例えば、珪素鋼板からなる環状の金属板を多数枚積層して構成されている。固定子鉄心22の内周部には、それぞれ軸方向に延びた複数のスロットが形成され、これらのスロットに固定子コイル24が埋め込まれている。固定子コイル24のコイルエンドは固定子鉄心22の両端面から軸方向に張り出している。
【0011】
ブラケット16の中心部に開口が形成され、この開口に、第1軸受ハウジング41が機外側から嵌め込まれている。図2に示すように、第1軸受ハウジング41のフランジ部41aは、ブラケット16の外側から複数の固定ボルト42でブラケット16の外面にボルト止めされている。これにより、第1軸受ハウジング41がブラケット16に固定されている。第1軸受ハウジング41内に第1軸受B1が内蔵されている。
フレーム12の端板14の中心部に開口が形成され、この開口に、第2軸受ハウジング44が外側から嵌め込まれている。第2軸受ハウジング44のフランジ部44aは、端板14の外側から複数の固定ボルト45で端板14の外面にボルト止めされている。これにより、第2軸受ハウジング44が端板14に固定されている。第2軸受ハウジング44内に第2軸受B2が内蔵されている。
【0012】
一方、回転子30は、回転シャフト32と、回転シャフト32のほぼ軸方向中央部に固定された円筒状の回転子鉄心34と、を有している。回転シャフト32は、ケース内に配置され、軸方向の両端部が第1軸受B1および第2軸受B2によりそれぞれ回転自在に支持されている。
第1軸受B1の外輪は第1軸受ハウジング41の内周に嵌合し、内輪は回転シャフト32の外周に嵌合している。第2軸受B2の外輪は第2軸受ハウジング44の内周に嵌合し、内輪は回転シャフト32の外周に嵌合している。これにより、回転シャフト32は、ケース内に固定子20と同軸的に延在し、中心軸線Cの回りで回転自在に支持されている。回転シャフト32の駆動側端部32aは機外に延出し、この部分に駆動歯車装置を接続するための継手が取り付けられる。
【0013】
回転子鉄心34は、磁性材、例えば、珪素鋼板からなる環状の金属板を多数枚積層して構成されている。回転子鉄心34は、回転シャフト32に取り付けられた一対の鉄心押え36a、36bにより、軸方向両側面から挟まれるように支持されている。鉄心押え板36a、36bは、環状に形成され、その外径は、回転子鉄心34の外径よりも僅かに小さく形成されている。回転子鉄心34は、固定子鉄心22の内側に同軸的に配置されている。回転子鉄心34の外周面は、隙間を介して、固定子鉄心22の内周面と対向している。
回転子鉄心34には、図示しない複数の永久磁石が埋め込まれ、複数の磁極を構成している。固定子コイル24に通電して磁界を発生させることにより、固定子磁界と永久磁石の磁界との相互作用により、回転子鉄心34が回転し、回転シャフト32が回転子鉄心34と一体に回転される。なお、回転子30は、永久磁石型の回転子に限らず、誘導電動機のかご型回転子を用いてもよい。
【0014】
駆動端側の第1軸受B1と回転子鉄心34との間で回転シャフト32に第1仕切り板60が同軸的に取付けられ、回転シャフト32と一体に回転自在となっている。第1仕切り板60は、ほぼロート形状に形成され、回転子鉄心34側からブラケット16に向かって傾斜している。第1仕切り板60の外周縁部とブラケット16の内側張出部16aとは、円環状の微小間隙を置いて互いに係合している。この円環状の微小間隙は、互いに凹凸形状の略二段構造に形成され、ラビリンス構造部R1を形成している。第1仕切り板60において、第1軸受B1と対向する外面に複数のフィンを設けてもよい。
【0015】
反駆動端側の第2軸受B2と回転子鉄心34との間で鉄心押さえ36bに第2仕切り板62が同軸的に取付けられ、回転シャフト32と一体に回転自在となっている。第2仕切り板62は、ほぼロート形状に形成され、回転子鉄心34側から端板14に向かって傾斜して延びている。第2仕切り板62の外周縁部と端板14の機内側の張出部62aとは、円環状の微小間隙を置いて、互いに係合している。この円環状の微小間隙部は、互いに凹凸形状の略二段構造に形成され、ラビリンス構造部R2を形成している。第2仕切り板62において、第2軸受B2と対向する外面に複数のフィンを設けてもよい。
第1仕切り板60および第2仕切り板62は、固定子鉄心22および回転子鉄心34が位置する機内側空間と機外とを気密に遮断しているとともに、回転子30の熱を放熱する役目を有している。
【0016】
第1仕切り板60の外側に空間64を置いて第1軸受B1が設けられている。この空間64は、固定子コイル24や回転子30による発熱が第1軸受B1に影響を与えない断熱構造を構成している。また、この空間64に外気を導入できるように、ブラケット16および第1軸受ハウジング41等に空間64に連通する図示しない吸気孔が形成され、また、ブラケット16に空間64に通じる複数の排気孔が形成される。第1仕切り板60が回転することにより、外気が吸気孔から空間64内に導入され、空間64内を冷却した後、排気孔から外部に排気される。これにより、第1軸受B1および回転子30の冷却に貢献する。
第2仕切り板62の外側に空間65を置いて第2軸受B2が設けられている。空間65は、固定子コイル24や回転子30による発熱が第2軸受B2に影響を与えない断熱構造を構成している。この空間65に外気を導入できるように、端板14および第2軸受ハウジング44等に空間65に連通する図示しない吸気孔が形成され、また、端板14に空間65に通じる複数の排気孔が形成される。第2仕切り板62が回転することにより、外気が吸気孔から空間65内に導入され、空間65内を冷却した後、排気孔から外部に排気される。これにより、第2軸受B2および回転子30の冷却に貢献する。
【0017】
次に、軸受ハウジングの取付け構造、および分解時における回転子の支持構造について詳細に説明する。
図1および図2に示すように、駆動側のブラケット16の中心部に開口が形成され、この開口に、第1軸受ハウジング41が外側から嵌め込まれている。第1軸受ハウジング41は、それぞれ放射方向に延出した複数のフランジ部41aを有している。複数のフランジ部41aは、第1軸受ハウジング41の円周方向に所定の間隔を置いて設けられている。各フランジ部41aは、ブラケット16の外面に隣接、対向して位置している。各フランジ部41aの内周部にねじ孔50aが形成され、また、外周部に透孔52aが形成されている。ブラケット16の中心部には、フランジ部41aのねじ孔50aと連通する位置に透孔50bが形成され、更に、フランジ部41aの透孔52aと連通する位置に透孔52bが設けられている。なお、フランジ部41aのねじ孔50aおよびブラケット16の透孔50bには、後述するスタッドボルトのねじ部がねじ込みおよび挿通される。
【0018】
ケース内において、第1軸受ハウジング41の外周側に円環状の第1ロック部材70aが設けられ、ブラケット16の内面に対向して位置している。第1ロック部材70aの外周は、ブラケット16の内面に突設された環状の凸部16bに摺動可能に係合している。第1ロック部材70aは、回転シャフト32の軸方向に沿ってブラケット16上を摺動可能となっている。第1ロック部材70aは、回転シャフト32に向かって延出したロート状の当接部72aを一体に有している。第1ロック部材70aには、ブラケット16の透孔52bと連通する位置にねじ孔52cが設けられている。すなわち、フランジ部41aの透孔52a、ブラケット16の透孔52b、および第1ロック部材70aのねじ孔52cは、中心軸線Cと平行な軸線に沿って整列して設けられている。また、第1ロック部材70aの内面(当接面71a)は、ブラケット16の透孔50bに対向して位置している。
【0019】
第1軸受ハウジング41は、複数の固定ボルト42によりブラケット16にねじ止めされている。固定ボルト42は、ブラケット16の外側からフランジ部41aの透孔52a、ブラケット16の透孔52bに挿通され、第1ロック部材70aのねじ孔52cにねじ込まれている。第1ロック部材70aは、固定ボルト42によりブラケット16側に引き付けられ、図1に示す解除位置、つまり、ブラケット16の内面に当接する位置に固定されている。複数の固定ボルト42は、回転シャフト32と同芯の円上に、周方向に所定の間隔を置いて設けられている。
第1軸受ハウジング41と第1仕切り板60との間で回転シャフト32に環状の受け座74aが同軸的に固定されている。受け部材として機能する受け座74aは、その外周に形成されたテーパー面を有している。このテーパー面は、全周に亘って連続して形成されているとともに、回転シャフト32と同芯状に位置している。テーパー面は、第1ロック部材70aの当接部72aと僅かな隙間Gを置いて対向している。後述するように、第1ロック部材70aを回転子鉄心34側のロック位置に押し込むと、当接部72aが受け座74aのテーパー面に押し当てられる。これにより、第1ロック部材70aおよび受け座74aにより回転子30を支持することができる。第1ロック部材70aおよび受け座74aは、第1軸受ハウジング41および軸受B1を取外した際に、回転子30をブラケット16に対して固定、支持する支持構造部を構成している。
更に、駆動側の端部において、第1軸受ハウジング41の開口および軸受B1を覆うように、環状の端蓋80が外側から複数のボルト81で第1軸受ハウジング41にねじ止めされている。
【0020】
図1および図3に示すように、反駆動側の端板14の中心部に開口が形成され、この開口に、第2軸受ハウジング44が外側から嵌め込まれている。第2軸受ハウジング44は、それぞれ放射方向に延出した複数のフランジ部44aを有している。複数のフランジ部44aは、第2軸受ハウジング44の円周方向に所定の間隔を置いて設けられている。各フランジ部44aは、端板14の外面に隣接、対向して位置している。各フランジ部44aの内周部にねじ孔54aが形成され、また、外周部に透孔56aが形成されている。端板14の中心部には、フランジ部44aのねじ孔54aと連通する位置に透孔54bが形成され、更に、フランジ部44aの透孔56aと連通する位置に透孔56bが設けられている。なお、フランジ部44aのねじ孔54aおよび端板14の透孔54bには、後述するスタッドボルトのねじ部がねじ込みおよび挿通される。
【0021】
ケース内において、第2軸受ハウジング44の外周側に円環状の第2ロック部材70bが設けられ、端板14の内面側に対向している。第2ロック部材70bの外周は、端板14の内面に突設された環状の凸部14bに摺動自在に係合している。第2ロック部材70bは、回転シャフト32の軸方向に沿って端板14上を摺動可能となっている。第2ロック部材70bは、回転シャフト32に向かって延出したロート状の当接部72bを一体に有している。第2ロック部材70bには、端板14の透孔56bと連通する位置にねじ孔56cが設けられている。すなわち、フランジ部44aの透孔56a、端板14の透孔56b、および第2ロック部材70bのねじ孔56cは、中心軸線Cと平行な軸線に沿って整列して設けられている。また、第2ロック部材70bの内面(当接面71b)は、端板14の透孔52bに対向して位置している。
【0022】
第2軸受ハウジング44は、複数の固定ボルト45により端板14にねじ止めされている。固定ボルト45は、端板14の外側からフランジ部44aの透孔56a、端板14の透孔56bに挿通され、第2ロック部材70bのねじ孔56cにねじ込まれている。第2ロック部材70bは、固定ボルト45により端板14側に引き付けられ、図1に示す解除位置、つまり、端板14の内面に当接する位置に固定されている。複数の固定ボルト45は、回転シャフト32と同芯の円上に、周方向に所定の間隔を置いて設けられている。
第2軸受ハウジング44と第2仕切り板62との間で回転シャフト32に環状の受け座74bが同軸的に固定されている。受け部材として機能する受け座74bは、その外周に形成されたテーパー面を有している。このテーパー面は、全周に亘って連続して形成されているとともに、回転シャフト32と同芯状に位置している。テーパー面は、第2ロック部材70bの当接部72bと僅かな隙間Gを置いて対向している。後述するように、第2ロック部材70bを回転子鉄心34側にロック位置に押し込むと、当接部72bが受け座74bのテーパー面に押し当てられる。これにより、第2ロック部材70bおよび受け座74bにより回転子30を支持することができる。第2ロック部材70bおよび受け座74bは、第2軸受ハウジング44および軸受B2を取外した際に、回転子30を端板14に対して固定、支持する支持構造部を構成している。
更に、反駆動側の端部において、第2軸受ハウジング44の開口および軸受B2を覆うように、環状の端蓋82が外側から複数のボルト83で第2軸受ハウジング44にねじ止めされている。
【0023】
上記のように構成された電動機10によれば、軸受B1、B2を分解、点検、清掃、保守する際、回転子30を固定子20から引き抜くことなく、保守作業を実施することが可能となる。本実施形態では、保守作業において、第1、第2軸受ハウジング41、44の引き抜き作業は、取出し治具90を用いて行う。始めに、取出し治具90の一例について説明する。図5は、電動機10の反駆動側の端に装着された取出し治具90を示す斜視図である。
図示のように、取出し治具90は、円盤状の支持基板92と、支持基板92の中心部に固定された押圧器としての油圧プランジャ(ラム)94と、支持基板92にねじ止めされた複数本、例えば、4本の連結ロッドと、を有している。本実施形態では、連結ロッドの一例として、スタッドボルト96を用いている。スタッドボルト96は、棒状のボルト本体96aと、ボルト本体96aの軸方向両端に形成された一対のねじ部96b、96cと、を有している。ボルト本体96aは断面が六角形に形成され、スパナ等でボルト本体96aを回すことができる。少なくとも一方のねじ部96bは、第1、第2軸受ハウジング41、44のフランジ部41a、44aの板厚およびブラケット16あるいは端板14の板厚の合計よりも僅かに(隙間G分だけ)長く形成されている。
各スタッドボルト96のねじ部96bは、第1、第2軸受けハウジング41、44のねじ孔にねじ込まれ、軸受ハウジングに連結される。複数のスタッドボルト96は、それぞれ電動機10の中心軸線Cと平行に延在する。スタッドボルト96の他端側のねじ部96cは、支持基板92の透孔に挿通され、ナット97により支持基板92に固定される。油圧プランジャ94は、支持基板92の中心部を貫通した状態で支持基板92に固定されたシリンダ94aと、シリンダ94aから突没可能にシリンダ94aに設けられた後述の押圧部材(プランジャ)94bと、を有している。シリンダ94aおよび押圧部材94bは、回転シャフト32と同軸的に配列され、かつ、押圧部材94bの先端部は回転シャフト32の一端に対向して位置している。図示しない油圧供給源からシリンダ94a内に油圧を供給すると、押圧部材94bが回転シャフト32の一端を軸方向に押圧する。回転シャフト32は軸方向に移動することなく固定的に設けられているため、押圧部材94bで押圧すると、回転シャフト32からの反力が押圧部材94bを介して支持基板92および4本のスタッドボルト96に作用する。この反力により、支持基板92および4本のスタッドボルト96は電動機10から離れる方向に押圧され、これに伴って、連結された軸受ハウジングを電動機10のケースから引き抜くように動作する。この際、支持基板92およびスタッドボルト96は、中心軸線Cと平行な方向に移動し、軸受ハウジングは、ブラケット16あるいは端板14との間でカジリ等を生じることなく、円滑に引く抜くことができる。
【0024】
次に、保守作業の手順(取り出し方法、交換方法)を詳細に説明する。
図4図6図8図9は、それぞれ作業手順を示す電動機の断面図である。図5および図7は、それぞれ取出し治具が装着された電動機の反駆動側端部を示す斜視図である。
【0025】
(手順1)
図4に示すように、端蓋80、82をそれぞれ軸受ハウジングから取り外すとともに、第1軸受ハウジング41を固定している4本の固定ボルト42および第2軸受ハウジング44を固定している4本の固定ボルト45をそれぞれ軸受ハウジングから取り外す。固定ボルト42、43を引き抜くことにより、第1ロック部材70aおよび第2ロック部材70bは、それぞれロックが解除され移動可能な状態となる。
続いて、電動機10の駆動側端部および反駆動側端部において、取出し治具90のスタッドボルト96を第1軸受ハウジング41および第2軸受ハウジング44にそれぞれ4本ずつ取り付ける。詳細には、駆動側端部において、スタッドボルト96のねじ部96bを第1軸受ハウジング41のねじ孔50aにねじ込み、スタッドボルト96を第1軸受ハウジング41に連結する。この際、ねじ部96bがブラケット16の透孔50bを通して第1ロック部材70aの内面(当接面71a)に押し当たるまで、ねじ部96bをねじ込む。第1ロック部材70aは、ねじ部96bにより押圧され、回転子鉄心34側に所定距離だけ変位したロック位置に押し込まれる。ロック位置において、第1ロック部材70aの当接部72aが受け座74aのテーパー面に押し当てられる。これにより、第1ロック部材70aおよび受け座74aは、回転子30の駆動側端部をブラケット16に支持およびロックする。
第1ロック部材70aをロック位置に押し込んだ場合、ブラケット16の内面と第1ロック部材70aの当接面71aとの間に僅かな隙間Gが生じる。しかし、この隙間Gは、ブラケット16の凸部16bにより機内側の開口端が塞がれている。そのため、第1軸受ハウジング41をブラケット16から取外した場合でも、ごみ、埃等が隙間Gを通して機体内に侵入することがない。
【0026】
反駆動側端部においても同様に、スタッドボルト96bのねじ部96bを第2軸受ハウジング44のねじ孔54aにねじ込み、スタッドボルト96を第2軸受ハウジング44に連結する。この際、ねじ部96bが端板14の透孔54bを通して第2ロック部材70bの内面(当接面71b)に押し当たるまで、ねじ部96bをねじ込む。第2ロック部材70bは、ねじ部96bにより押圧され、回転子鉄心34側に所定距離だけ変位したロック位置に押し込まれる。ロック位置において、第2ロック部材70bの当接部72bが受け座74bのテーパー面に押し当てられる。これにより、第2ロック部材70bおよび受け座74bは、回転子30の反駆動側を端板14に支持およびロックする。第2ロック部材70bの移動により生じた隙間Gの機内側の開口端は、端板14の凸部14bにより塞がれている。
【0027】
(手順2)
図5および図6に示すように、電動機10の駆動側端部および反駆動側端部にぞれぞれ取出し治具90を装着する。すなわち、4本のスタッドボルト96のねじ部96cを取り出し治具90の支持基板92に連結し、ナット97で支持基板92に固定する。同時に、油圧プランジャ94を回転シャフト32と同軸的に配置し、押圧部材94bの先端部を回転シャフト32の駆動側端あるいは反駆動側端に当接させる。
続いて、図6および図7に示すように、取出し治具90により、第1軸受ハウジング41および軸受B1をブラケット16および回転シャフト32から引き抜き、同時に、あるいは、続けて、第2軸受ハウジング44および軸受B2を端板14および回転シャフト32から引き抜く。具体的には、油圧シリンダ94aに油圧を供給し、押圧部材94bを回転シャフト32に向けて押し出す。すると、油圧シリンダ94a、支持基板92および4本のスタッドボルト96は、回転シャフト32からの反力により、電動機10の基体から離れる方向に付勢される。そして、第1軸受ハウジング41および軸受B1は、スタッドボルト96により引っ張られ、ブラケット16および回転シャフト32から引き抜かれる。同様に、第2軸受ハウジング44および軸受B2は、スタッドボルト96により引っ張られ、端板14および回転シャフト32から引き抜かれる。
第1および第2軸受ハウジング41,44、および軸受B1、B2を引き抜いた状態において、回転子30の駆動側端部および反駆動側端部は、支持構造部(第1、第2ロック部材70a、70b、受け座74a、74b)により支持され、固定子20に対して図示の所定位置に固定、保持されている。
【0028】
(手順3)
取出し治具90の支持基板92および油圧プランジャ94をスタッドボルト96から取外した後、軸受B1、B2に対して、点検、清掃、部品交換、グリース補充等の保守作業を行う。スタッドボルト96は、軸受ハウジングに連結した状態のままでも、あるいは、軸受ハウジングから取外してもよい。点検保守後、軸受B1、B2をそれぞれ第1軸受ハウジング41、第2軸受ハウジング44に装着する。
【0029】
(手順4)
続いて、軸受ハウジングの再組立てを行う。図8に示すように、第1軸受ハウジング41をブラケット16の開口部に挿入し、軸受B1を回転シャフト32の所定位置に装着する。同様に、第2軸受ハウジング44を端板14の開口部に挿入し、軸受B2を回転シャフト32の所定位置に装着する。この際、第1および第2軸受ハウジング41,44にスタッドボルト96を連結した状態で、これらのスタッドボルト96を利用して軸受ハウジングを所定位置に押し込むようにしてもよい。軸受B1、B2を装着することにより、回転シャフト32の駆動側端部および反駆動側端部が軸受B1、B2によりそれぞれ支持される。
【0030】
(手順5)
図9に示すように、第1および第2軸受ハウジング41、44からスタッドボルト96を取外し、更に、第1軸受ハウジング41を4本の固定ボルト42でブラケット16に固定する。この際、固定ボルト42は、フランジ部41aの透孔52aおよびブラケット16の透孔52bを通して、第1ロック部材70aのねじ孔52cにねじ込まれる。固定ボルト42をねじ込むことにより、第1ロック部材70aは、固定ボルト42に引っ張られ、ブラケット16の内面に当接する解除位置まで移動される。これにより、第1ロック部材70aの当接部72aが受け座74aから隙間Gだけ離間し、支持構造部による支持およびロックが解除される。このように、固定ボルト42を締め込む動作により、第1軸受ハウジング41をブラケット16に取付るとともに、支持構造部(第1ロック部材70a、受け座74a)による回転子30の支持およびロックが解除される。
同様に、第2軸受ハウジング44を4本の固定ボルト45で端板14に固定する。固定ボルト45は、フランジ部44aの透孔56aおよび端板14の透孔56bを通して、第2ロック部材70bのねじ孔56cにねじ込まれる。固定ボルト45をねじ込むことにより、第2ロック部材70bは、固定ボルト45に引っ張られ、端板14の内面に当接する解除位置まで移動される。これにより、第2ロック部材70bの当接部72bが受け座74bから隙間Gだけ離間し、支持構造部による支持およびロックが解除される。このように、固定ボルト45を締め込む動作により、第2軸受ハウジング44を端板14に取付るとともに、支持構造部(第2ロック部材70b、受け座74b)による回転子30の支持およびロックが解除される。
以上により、軸受の点検保守作業および再組立作業(交換作業)が終了する。
【0031】
上記のように構成された第1の実施形態に係る電動機10および点検保守方法によれば、固定子から回転子を引き抜くことなく、軸受部の分解、点検、グリース補充、交換等の保守作業(あるいは交換作業)を行うことが可能となる。すなわち、支持構造部により回転子を固定子に対して固定した状態で、第1軸受ハウジング41および第2軸受ハウジング44をフレームから分解することができる。保守時の軸受部の分解において、軸受ハウジングにスタッドボルトを締め込み、ロック部材により回転子を固定する。その後、取出し治具により軸受ハウジングをフレームから引き抜く。この際、各部材間のカジリを防止するために、取出し治具の反力を利用して、嵌合面と平行な方向に軸受ハウジングを引き抜く。このように、回転子のロックおよび取出し治具による軸受ハウジングを引き抜きを順次行うことにより、作業ミスを防止し、回転子を落下させる虞をなくすことが可能となる。
また、軸受保守後の軸受部の再組立において、軸受を内蔵した軸受ハウジングをブラケットあるいはフレーム端板に挿入することにより、回転子が軸受B1、B2により支持される。その後、軸受ハウジングの固定ボルトを締め込むことだけで、軸受ハウジングをフレームあるいはブラケットに取付るとともに、回転子を支持およびロックしている回転支持機構のロック部材を機外側に移動させて、回転子のロック解除を行うことができる。これにより、再組立て時の作業ミスを防止し、回転子がロックされたまま出荷される虞を無くすことが可能となる。
【0032】
次に、他の実施形態に係る電動機について説明する。以下に述べる他の実施形態において、上述した第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略あるいは簡略化し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
(第2の実施形態)
図10は第2の実施形態に係る電動機の断面図である。
図示のように、第2の実施形態によれば、電動機10のケース(あるいはフレーム)は、固定子鉄心22の軸方向両端面に配置された一対の鉄心押え26a、26bおよび第1ブラケット、第2ブラケットにより構成されている。すなわち、固定子鉄心22の外周面を覆っていた円筒状のフレーム部分が省略され、固定子鉄心の外周面が外部に露出している。
固定子鉄心22の軸方向両端面に、環状の一対の鉄心押さえ26a、26bが固定されている。固定子鉄心22の外周には、複数の繋ぎ板13が配設されている。これらの繋ぎ板13は、それぞれ固定子鉄心22の軸方向に延び、その両端が鉄心押え26a、26bに固定されている。複数の繋ぎ板13は、固定子鉄心22の円周方向に間隔を置いて配置されている。
【0033】
駆動端側に位置した鉄心押え26aには、ほぼ円筒状の連結ブラケット17aを介して第1ブラケット16が取り付けられ、固定子20および回転子30の駆動端側を覆っている。第1ブラケット16の中央部には、軸受B1を内蔵した第1軸受ハウジング41が嵌合され、固定ボルト42により第1ブラケット16に締結されている。
反駆動端側に位置した鉄心押え26bには、ほぼお椀形状の第2ブラケットが固定され、固定子20および回転子30の反駆動端側を覆っている。第2ブラケットは、ほぼ円筒状の連結ブラケット17bおよび連結ブラケットの一端を閉塞するように設けられた端板14を一体に有して形成されている。端板14の中央部には、軸受B2を内蔵した第2軸受ハウジング44が嵌合され、固定ボルト45により端板14に締結されている。
電動機10の他の構成は、第1の実施形態に係る電動機10と同一である。
【0034】
上記のように構成された第2の実施形態の電動機10によれば、固定子外周側のフレームを省略することにより、電動機の軽量化を図ることができる。その他、第2の実施形態においても前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0035】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態に係る電動機の縦断面図である。
図示のように、第3の実施形態によれば、電動機10の駆動端側に設けられた第1仕切り板60は、前述した鉄心押え、第1仕切り板、受け座を一部品に一体化した構成としている。同様に、電動機10の反駆動端側に設けられた第2仕切り板62は、前述した鉄心押え、第2仕切り板、受け座を一部品に一体化した構成としている。
このように構成された電動機10は、回転子鉄心34を押える機能と、機内側と機外側を遮断する機能と、回転子の支持受け機能とを仕切り板に集約し、一体化することで、前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られるとともに、電動機の小型化を実現することが可能となる。
【0036】
(第4の実施形態)
図12は、第4の実施形態に係る電動機の縦断面図である。
図示のように、第4の実施形態によれば、電動機10は、第1仕切り板および第2仕切り板を省略し、開放型の電動機を構成している。冷却風を機外側から機内側に吹き込んで、固定子コイル等の重要部品を冷却し、機外側に吹き出す冷却方式を適用することができる。また、仕切り板を省略することにより、電動機の構造の簡略化を図ることが可能となる。
第4の実施形態において、電動機の他の構成は第1の実施形態に係る電動機と同一であり、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本実施形態に係る回転電機は、電動機に限らず、発電機にも適用可能である。上述した実施形態において、第1軸受および第2軸受は、ころ軸受と玉軸受の組合せとしたが、これに限らず、鍔付きころ軸受ところ軸受の組合せとしてもよい。電動機は、誘導電動機や永久磁石型同期電動機のいずれにも適用可能である。支持構造部のロック部材を受ける受け座は、回転軸に限らず、鉄心押えや仕切り板に設けてもよい。
ロック部材が当接する受け座のテーパー面は、全周に渡って連続して延びている場合に限らず、円周方向に間欠的に形成されていてもよい。また、受け座において、ロック部材と当接する部分は、面に限らず点、直線、あるいは曲線としてもよい。固定用のねじ孔および固定ボルトの数は、実施形態に限定されることなく、必要に応じて増減可能である。
更に、取外しに用いる取出し治具は、油圧に限らず、空気圧を利用して押圧部材を押し出す治具としてもよい。スタッドボルトの数は、4本に限らず、必要に応じて増減可能である。また、軸受ハウジングにおいて、スタッドボルトをねじ込むねじ孔と、固定ボルトを挿通する透孔とは、径方向に並んで設ける場合に限らず、周方向にずらして設ける構成としてもよい。
更に、軸受を取り外す際、支持構造部のロック部材を解除位置からロック位置に移動させる工程は、スタッドボルトでロック部材を押す方法に限らず、前述した取出し治具の油圧プランジャおよび図示しない押圧治具を用いてロック部をロック位置に移動させる方法としてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10…電動機、12…フレーム、14…端板、16…ブラケット(第1ブラケット)、
20…固定子、22…固定子鉄心、24…固定子コイル、30…回転子、
32…回転シャフト、34…回転子鉄心、41…第1軸受ハウジング、
42、45…固定ボルト、50a、52c、54a、56c…ねじ孔、
50b、54b、52a、52b、56a、56b…透孔、
44…第2軸受ハウジング、90…取出し治具、92…支持基板、
94…油圧プランジャ、96…スタッドボルト、96a、96b…ねじ部、
B1…第1軸受、B2…第2軸受
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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