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  • 特許-メッシュシート製品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】メッシュシート製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06C 7/00 20060101AFI20220602BHJP
   D01F 8/04 20060101ALI20220602BHJP
   D03D 9/00 20060101ALI20220602BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20220602BHJP
   D03D 15/587 20210101ALI20220602BHJP
   D04B 1/12 20060101ALI20220602BHJP
   D04B 21/12 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
D06C7/00 A
D01F8/04 Z
D03D9/00
D03D1/00 Z
D03D15/587
D04B1/12
D04B21/12
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017035616
(22)【出願日】2017-02-28
(65)【公開番号】P2018141248
(43)【公開日】2018-09-13
【審査請求日】2019-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】室谷 浩紀
(72)【発明者】
【氏名】田代 こゆ
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-015978(JP,A)
【文献】特開2008-001995(JP,A)
【文献】特開2001-271245(JP,A)
【文献】特開2003-301346(JP,A)
【文献】特開平09-256270(JP,A)
【文献】国際公開第2006/001056(WO,A1)
【文献】米国特許第06244173(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第1973107(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06C3/00-29/00
D01F8/00-8/18
D03D1/00-27/18
D04B1/00-1/28
21/00-21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュシート製品を製造するための一次工程として、
高融点熱可塑性重合体を芯成分とするとともに、芯成分よりも融点の低い低融点熱可塑性重合体を鞘成分とした芯鞘複合繊維糸条を用いて、織編装置によりメッシュシートを製織編し、
引き続いて、この織編装置により製織編されたメッシュシートを、このメッシュシートをこのメッシュシートに加熱処理を行うローラ巻き掛けた状態で、この加熱処理を行うローラとの間に前記メッシュシートを挟み込む他のローラであって、ローラ同士の押し付け状態のもとで前記加熱処理を行うようにした前記他のローラは用いずに、鞘成分の融点以上かつ芯成分の融点未満の温度で加熱処理を行うことで、糸条同士の交点で目ずれを起こさないための仮止めを行ったうえで、このメッシュシートを最初にロール状に巻き取り、
前記メッシュシート製品を製造するための二次工程として、前記メッシュシートをロールから繰り出して、最終的な熱処理を行うことを特徴とするメッシュシート製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュシート製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
土木用資材などとして好適に用いられるメッシュシートとして、合成樹脂製の太い糸条を縦横に大きな目開きで製織編したものが、たとえば特許文献1によって知られている。この特許文献1に記載されたメッシュシートは、共重合ポリエステルを芯成分とするとともに、芯成分よりも融点の低い高分子重合体を鞘成分とした芯鞘複合繊維糸条を用いて製織編されたものである。
【0003】
このようなメッシユシートを製造する際には、製織編工場にて大きな目開きの網状のシート体を一定幅で連続的に製織編したうえで、いったんロール状に巻き取る。そして、ロールを加熱設備を備えた別工場へ運搬し、ロールからシートを繰り出したうえで、鞘成分の融点以上かつ芯成分の融点未満の温度で加熱処理を行うことで鞘成分のみを溶融させ、それにより鞘成分同士の融着作用で糸条の交点を接着させる。これにより、目ずれや目曲がりを防止し、かつ糸条の交点が強固に接着することで、土木工事に供されても目合いの変化しないメッシュシートを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-271245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のように製織編工場にてシート体をいったんロール状に巻き取ると、そのときに目ずれや目曲がりが生じるおそれがある。目ずれや目曲がりが生じると、その後の工程においてさまざまな支障が生じる。
【0006】
そこで本発明は、目ずれや目曲がりの発生を確実に防止することができるメッシュシート製品の製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため本発明のメッシュシート製品の製造方法は、
メッシュシート製品を製造するための一次工程として、
高融点熱可塑性重合体を芯成分とするとともに、芯成分よりも融点の低い低融点熱可塑性重合体を鞘成分とした芯鞘複合繊維糸条を用いて、織編装置によりメッシュシートを製織編し、
引き続いて、この織編装置により製織編されたメッシュシートを、このメッシュシートをこのメッシュシートに加熱処理を行うローラ巻き掛けた状態で、この加熱処理を行うローラとの間に前記メッシュシートを挟み込む他のローラであって、ローラ同士の押し付け状態のもとで前記加熱処理を行うようにした前記他のローラは用いずに、鞘成分の融点以上かつ芯成分の融点未満の温度で加熱処理を行うことで、糸条同士の交点で目ずれを起こさないための仮止めを行ったうえで、このメッシュシートを最初にロール状に巻き取り、
前記メッシュシート製品を製造するための二次工程として、前記メッシュシートをロールから繰り出して、最終的な熱処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、メッシュシート製品を製造するための一次工程において、織編装置により製織編されたメッシュシートを最初にロール状に巻き取る前に、このメッシュシートに、鞘成分の融点以上かつ芯成分の融点未満の温度で加熱処理を行うため、鞘成分の溶融固化によってメッシユシートを構成する糸条の交点で糸条同士が仮止めされ、その状態でメッシュシートがロール状に巻き取られる。このため、ロールへの巻き取りや、二次工程おけるロールからのメッシュシート繰り出しを行っても、目ずれや目曲がりが生じることがないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態のメッシュシートの製造方法を実行するための装置の一例を示す図である。
図2】同装置の他の例を示す図である。
図3】同装置のさらに他の例を示す図である。
図4】本発明の方法で製造される途中のメッシュシートの要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、11は織編装置で、糸条を用いて一定幅のメッシユシート12を連続的に製織編するものである。13は加熱処理装置で、織編装置11にて製織編されたメッシユシート12を通すことで、このメッシュシート12に加熱処理を施すためのものである。14は巻き取り装置で、加熱処理装置13にて加熱処理された加熱処理後のメッシュシート12aをロール状に巻き取ることができるように構成されている。15は、巻き取られたメッシュシート12aにて形成されたロールである。
【0014】
図1に示す装置では、織編装置11から巻き取り装置14に向けてメッシユシート12、12aが直線状に送られ、加熱処理装置13は、その送り経路の途中に設けられた一対のローラ16A、16Bにて構成されている。これら一対のローラ16A、16Bは、これらローラ16A、16B同士の間にメッシュシート12を挟み込み可能であるとともに、少なくともいずれか一方が加熱ローラにて構成されている。
【0015】
図4に示すように、メッシュシート12は、合成樹脂製の、たとえば繊度2000デニール程度(太さ0.4mm程度)以上の太い糸条17を、縦横に例えば5mm程度以上の大きな目開きで製織編したものである。シートの幅方向の端部18は、これを図示のような耳布19で覆うこともできる。糸条17は、高融点熱可塑性重合体を芯成分とするとともに、芯成分よりも融点の低い低融点熱可塑性重合体を鞘成分とした芯鞘複合繊維にて構成される。糸条の形態は、モノフィラメント糸であっても、複数本の複合繊維から構成されるマルチフィラメント糸であってもよい。
【0016】
芯成分の高融点熱可塑性重合体と鞘成分の低融点熱可塑性重合体との融点差は、30℃以上であればよく、より好ましくは50℃以上である。高融点熱可塑性重合体と低融点熱可塑性重合体との組合せとしては、高融点ポリエステル系重合体/低融点ポリエステル系重合体、ポリエステル系重合体/ポリオレフィン系重合体、ポリエステル系重合体/ポリアミド系重合体、ポリアミド系重合体/ポリオレフィン系重合体、高融点ポリアミド系重合体/低融点ポリアミド系重合体が挙げられ、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート/低融点ポリエステル共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリアミド、ナイロン6/ポリエチレン、ナイロンMXD6/ポリエチレン、ポリプロピレン/ポリエチレン等が例示できる。
【0017】
糸条17は、高融点熱可塑性重合体を芯成分とするとともに、低融点熱可塑性重合体を鞘成分とした芯鞘複合繊維にて構成されるため、製織編の後に、鞘成分の融点以上かつ芯成分の融点未満の温度で加熱処理を行うことで鞘成分のみを溶融させ、それにより鞘成分同士の融着作用で糸条の交点を接着させ、その結果、製品としての形態を保持したシートが得られる。
【0018】
ところが、メッシユシート12は、土木用資材を初めとし、建築用資材や水産用資材等のさまざまな用途に供される。このため、用途ごとに最終製品としての仕様が求められ、その仕様に合わせて、糸条の繊度や目開きや交点の接着状態が設定される。すなわち、交点の接着状態の設定のために、最終製品の仕様に合わせて加熱処理の条件が変更される。このため、メッシュシート12のメーカにおいては、最終製品の仕様のための加熱処理は行わず、一次工程の製品としての、すなわち最終加熱処理前の半製品としての、メッシユシートを巻き取ったロール15が出荷される。二次工程としての最終的な熱処理は、最終製品を製造する別のメーカにて行われるのが一般的である。
【0019】
そこで本発明は、一次工程においてメッシュシートが巻き取られたロール15から、その後の二次工程においてメッシュシートを繰り出したときに、そのメッシュシートに目ずれや目曲がりが生じていることによる様々な問題の発生を防止するものである。
【0020】
このため本発明においては、加熱処理装置13によってメッシュシート12を加熱することで、ロール15に巻き取ったりロール15から繰り出したりなどするときにメッシユシートに目ずれや目曲がりが生じないように、糸条同士の交点で糸条の鞘成分をある程度以上溶融させて固化させることで、糸条同士の交点を少なくとも仮止めする。図4示すように耳布19を用いる場合には、加熱処理によって耳布19を糸条17と一体化させる。
【0021】
図1は、上述のように、織編装置11から巻き取り装置14に向けてメッシユシート12、12aが直線状に送られる例を示したものである。これに対し、図2は、織編装置11から巻き取り装置14に向けてメッシユシート12、12aが湾曲した経路に沿って送られる例を示す。この湾曲した経路は、メッシユシート12が加熱処理装置13のローラ16A、16Bに巻き掛けられることによって形成される。すなわち、図2の例では、ローラ16A、16Bは、湾曲した経路を形成する機能と、加熱処理を行う機能とを兼備したものである。すなわちメッシユシート12は、巻き掛け状態でローラ16A、16Bの位置を通過するときに、ローラ16A、16Bによって加熱処理が施される。
【0022】
図3は、織編装置11から巻き取り装置14へ向けてのメッシユシート12、12aの搬送を助ける押えローラを有した例を示す。この図3の例では、押えローラとして、加熱処理装置13のローラ16、16を用いている。つまり、ローラ16、16が、押えローラとしての機能と、加熱処理の機能とを兼備している。押えローラを構成するための、図示された複数のローラ16、16のうち、少なくとも一つが加熱ローラであれば足りる。
【0023】
本発明において、加熱処理装置13は、上記したローラ配置のみならず、そのほかの適宜のローラ配置とすることもできる。また上記においては加熱処理装置13としてローラ構造のものを説明したが、本発明において、加熱処理装置13は、メッシュシート12に所定の加熱処理を行うことができるものであれば、ローラ構造以外の適宜の構造であっても差し支えない。
【符号の説明】
【0024】
11 織編装置
12 メッシュシート
13 加熱処理装置
14 巻き取り装置
15 ロール
16、16A、16B ローラ
図1
図2
図3
図4