(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】衣類処理装置用リフター
(51)【国際特許分類】
D06F 37/06 20060101AFI20220610BHJP
D06F 25/00 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
D06F37/06
D06F25/00 A
(21)【出願番号】P 2019091911
(22)【出願日】2019-05-15
(62)【分割の表示】P 2018554292の分割
【原出願日】2016-11-08
【審査請求日】2019-11-07
(31)【優先権主張番号】10-2016-0001209
(32)【優先日】2016-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】LG ELECTRONICS INC.
【住所又は居所原語表記】128, Yeoui-daero, Yeongdeungpo-gu, 07336 Seoul,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(72)【発明者】
【氏名】リ,キルリョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ビョンハ
(72)【発明者】
【氏名】アン,ジンソク
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-126595(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0127370(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0071202(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0137425(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0017259(US,A1)
【文献】特表2019-501000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/00 - 37/42
D06F 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類処理装置用リフターであって、
ドラムの内側面に装着される第1部材と、
前記第1部材の上側に結合され、前記ドラムの内部に向かって突出する第2部材と、を備えてなり、
前記ドラムの内側面を貫通する少なくとも一部の孔が重なるように構成される洗濯水流入部を備える前記第1部材の上部は、前記第2部材に形成された洗濯水排出孔を備える前記第2部材の上部から離隔され、内部空間を形成し、
前記洗濯水流入部は、前記内部空間に向かって前記第1部材の前記上部を貫通することにより形成されることを特徴とする、衣類処理装置用リフター。
【請求項2】
前記洗濯水流入部は、複数の洗濯水流入孔を備えることを特徴とする、請求項1に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項3】
複数の前記洗濯水流入孔のそれぞれは、
前記第1部材の長手方向に沿って形成され、及び、
前記第1部材の上面に前記ドラムの回転軸と平行な方向に互いに離隔して配置されることを特徴とする、請求項
2に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項4】
前記第1部材は、
前記ドラムの内側面に対向する前記第1部材の背面部の周囲に沿って突設され、前記ドラムの内側面に形成される締結孔に締結されるフック部と、
前記背面部の周囲の一側に沿って形成され、前記締結孔を覆うように前記背面部の周囲から前記フック部の突設方向と交差する方向に突設される遮蔽部と、を備え、
前記第1部材が前記ドラムの内周面に結合される際、前記遮蔽部は前記締結孔を覆うことを特徴とする、請求項1に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項5】
前記第1部材の上
側は、前記第1部材
の下部周囲に沿って形成された連続溝を備え、前記第2部材の下部が前記連続溝に挿入され、及び、
前記
衣類処理装置用リフターが前記ドラムの内周面に結合される際、前記第1部材の一部は前記第2部材と前記ドラムの内周面との間に露出されることを特徴とする、請求項1に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項6】
前記遮蔽部は、
前記フック部が前記締結孔に挿入され、及び、
何れか一方向にスライドされ、
前記締結孔を覆うことを特徴とする、請求項4に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項7】
複数の前記遮蔽部は、前記第1部材の中心部を通過して長手方向に沿って延びる線に対して、前記第1部材の背面部の何れか一つの側の周囲に沿って互いに離隔して形成されることを特徴とする、請求項6に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項8】
前記遮蔽部と前記フック部とはお互いに隣接して形成されることを特徴とする、請求項4に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項9】
前記フック部は、
鉤部の形状で形成され、
前記ドラムの前記締結孔に挿入され、
一方向にスライドされ、
前記ドラムの内側面及び外側面をそれぞれ支持することを特徴とする、請求項4に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項10】
前記フック部は、前記第1部材の背面部から外側に曲がった形状で形成されることを特徴とする、請求項9に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項11】
前記フック部のそれぞれは、
前記締結孔のそれぞれに挿入され、
スライドされ、
前記ドラムの内側面及び外側面をそれぞれ支持することを特徴とする、請求項9に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項12】
複数の前記フック部は、前記第1部材の背面部に沿って離隔して配置され、及び、
前記フック部のそれぞれは、前記第1部材の中心部に対して互い違いの位置に形成されることを特徴とする、請求項9に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項13】
前記第2部材は、前記第1部材の下部周囲に挿入され、前記第1部材の前記下部周囲に沿って形成された装着孔を貫通することを特徴とする、請求項1に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項14】
前記洗濯水排出孔は、前記
第2部材の表面に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項15】
前記遮蔽部は、
前記第1部材の背面部が前記第1部材の内側に向かって突出するように形成され、及び、
前記第1部材の長手方向に互い離隔して配置されることを特徴とする、請求項4に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項16】
前記遮蔽部は、前記ドラムの内周面を支持し、前記フック部と共に前記ドラムに形成された前記締結孔を完全に覆うことを特徴とする、請求項15に記載の衣類処理装置用リフター。
【請求項17】
前記フック部は、
前記第1部材の前記背面
部から突出した後、前記第1部材の内側に向かって突出し、及び、
前記ドラムの前記締結孔に挿入され、前記ドラムの内周面及び外周面で支持されることを特徴とする、請求項4に記載の衣類処理装置用リフター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類処理装置において用いられるリフターに関する。
【背景技術】
【0002】
衣類処理装置は、ドラムの内部に衣服、寝具など(以下、洗濯物という。)を投入して洗濯物に付着した汚染を除去する装置である。衣類処理装置は、洗濯、すすぎ、脱水、乾燥などの過程を行うことができる。衣類処理装置は、ドラムに洗濯物を投入する方式によってトップローディング(top loading)方式とフロントローディング(front loading)方式に分けられる。フロントローディング方式の洗濯機を一般にドラム洗濯機という。
【0003】
衣類処理装置は、外観を形成する本体と、本体の内部に収容されるタブと、タブの内部に回転可能に装着されて洗濯物が投入されるドラムと、洗剤をドラムの内部に供給する洗剤供給装置とを含むものが一般的である。ドラムに収容された洗濯物に洗濯水が供給された状態でドラムがモータにより回転すると、洗濯物とドラム及び洗濯水との摩擦により洗濯物に付いた汚れを除去することができる。
【0004】
洗濯機ドラムの内周面には、ドラムが回転すると洗濯物の上昇及び落下により洗濯物の洗浄を助けるリフターが位置する。リフターは、ドラム内に洗剤、洗濯水及び洗濯物が投入されてドラムが回転すると、洗濯物を上方に持ち上げ、その後落下させて洗濯物の洗浄を助ける装置である。ドラムの内部にリフターが位置することにより、洗濯物の損傷が防止され、水使用量を減少させることができ、洗濯物を叩いて揉み洗う効果が得られる。リフターは、ドラムの内周面に取り付けられ、リフターの内部空間に水を収容し、その後ドラムの内部の洗濯物に水を噴射する役割を果たす。
【0005】
従来のリフターは、別途の締結部材によりドラムに結合されるのが一般的であり、それは締結部材の欠陥や故障によりリフターの性能低下を引き起こす。また、リフター内に流入した水がドラムとリフターの締結部位から流出することにより、洗濯水の無用な流出が発生するという問題もある。
【0006】
よって、ドラムとリフターの結合によりリフターの性能低下を引き起こさず、リフターに収容される水がドラムとリフターの結合部位から流出しない構造を有するリフターが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、性能低下が発生せず、ドラムの内側面に取り付け可能な構造を有するリフターを提案する。
【0008】
本発明は、ドラムの内側面に強固に結合される構造を有するリフターを提案する。
【0009】
本発明は、内部に収容される洗濯水がドラムとリフターの締結部から流出することを低減できる構造を有するリフターを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態による衣類処理装置用リフターは、ドラムの内側に装着される第1部材と、前記第1部材に装着され、前記ドラムの内部に向かって突出する第2部材とを含み、前記第1部材は、前記第1部材の周囲に沿って突設され、前記ドラムの締結孔に挿入されて一方向にスライドされると少なくとも一部が前記ドラムの内周面を覆うように配置されるフック部と、前記第1部材の内側に向かって突設され、前記フック部が前記締結孔に挿入されて一方向にスライドされると前記締結孔を完全に覆うように形成される遮蔽部とを含む。
〔本発明の一の態様〕
〔1〕 衣類処理装置用リフターであって、
ドラムの内側に装着される第1部材と、
前記第1部材に装着され、前記ドラムの内部に向かって突出する第2部材とを備え、
前記第1部材は、
前記第1部材の周囲に沿って突設され、前記ドラムの締結孔に挿入されて一方向にスライドされると少なくとも一部が前記ドラムの内周面を覆うように配置されるフック部と、
前記第1部材の内側に向かって突設され、前記フック部が前記締結孔に挿入されて一方向にスライドされると前記締結孔を完全に覆うように形成される遮蔽部とを備えてなる、衣類処理装置用リフター。
〔2〕 前記遮蔽部は、前記ドラムの回転方向に対応するように前記第1部材の一側に形成され、前記締結孔からの前記洗濯水の流出を防止することを特徴とする、〔1〕に記載の衣類処理装置用リフター。
〔3〕 前記遮蔽部は、前記第1部材の一側の周囲部に沿って互いに離隔して複数配置されることを特徴とする、〔2〕に記載の衣類処理装置用リフター。
〔4〕 前記第1部材の他側は、前記第1部材の内側に向かって突設され、前記フック部が前記締結孔に挿入されて一方向にスライドされると前記締結孔の一部のみ覆うように形成され、洗濯水の流入が可能であることを特徴とする、〔2〕に記載の衣類処理装置用リフター。
〔5〕 前記第1部材は、洗濯水の流入のために前記ドラムに形成された孔の一部と重なるように形成される洗濯水流入部を備えることを特徴とする、〔1〕に記載の衣類処理装置用リフター。
〔6〕 前記洗濯水流入部は、前記洗濯機ドラムの回転軸と平行な方向に互いに離隔して配置される複数の洗濯水流入孔を備えることを特徴とする、〔5〕に記載の衣類処理装置用リフター。
〔7〕 衣類処理装置用リフターであって、
ドラムの内側に装着される第1部材と、
前記第1部材に装着され、前記ドラムの内部に向かって突出する第2部材とを備え、
前記第2部材は、
前記ドラムの内部に向かって突出し、内部に洗濯水を収容する本体と、
前記本体の下部の周囲に沿って位置する複数の突起部とを備えることを特徴とする、衣類処理装置用リフター。
〔8〕 前記第1部材には、前記第2部材の突起部が挿入されて前記第2部材に結合されるように、下部の周囲に沿って複数の装着孔が形成されることを特徴とする、〔7〕に記載の衣類処理装置用リフター。
〔9〕 前記第1部材の装着孔に前記第2部材の突起部が挿入されて前記突起部が屈曲されることにより、前記第1部材と前記第2部材が結合されることを特徴とする、〔8〕に記載の衣類処理装置用リフター。
〔10〕 前記第2部材は、前記ドラムの外部から前記本体に収容される洗濯水の排出のために、前記本体の上部に位置し、一方向に形成される複数の洗濯水排出孔を備えることを特徴とする、〔7〕に記載の衣類処理装置用リフター。
〔11〕 前記第1部材には、前記ドラムの内側面に螺合により固定されるように、一側にネジ挿入孔が形成されることを特徴とする、〔1〕に記載の衣類処理装置用リフター。
〔12〕 前記第1部材はステンレスで形成され、前記第2部材はプラスチックで形成されることを特徴とする、〔1〕に記載の衣類処理装置用リフター。
【0011】
本発明の一態様によれば、前記遮蔽部は、前記ドラムの回転方向に対応するように前記第1部材の一側に形成され、前記締結孔からの前記洗濯水の流出を防止する。
【0012】
本発明の一態様によれば、前記遮蔽部は、前記第1部材の一側の周囲部に沿って互いに離隔して複数配置されてもよい。
【0013】
ここで、前記第1部材の他側は、前記第1部材の内側に向かって突設され、前記フック部が前記締結孔に挿入されて一方向にスライドされると前記締結孔の一部のみ覆うように形成され、洗濯水の流入が可能であってもよい。
【0014】
本発明の一態様によれば、前記第1部材は、洗濯水の流入のために前記ドラムに形成された孔の一部と重なるように形成される洗濯水流入部を備える。
【0015】
ここで、前記洗濯水流入部は、前記洗濯機ドラムの回転軸と平行な方向に互いに離隔して配置される複数の洗濯水流入孔を備えてもよい。
【0016】
本発明の一態様による衣類処理装置用リフターは、ドラムの内側に装着される第1部材と、前記第1部材に装着され、前記ドラムの内部に向かって突出する第2部材とを含み、前記第2部材は、前記ドラムの内部に向かって突出し、内部に洗濯水を収容する本体と、前記本体の下部の周囲に沿って位置する複数の突起部とを備えてもよい。
【0017】
また、前記第1部材には、前記第2部材の突起部が挿入されて前記第2部材に結合されるように、下部の周囲に沿って複数の装着孔が形成されてもよい。
【0018】
ここで、前記第1部材の装着孔に前記第2部材の突起部が挿入されて前記突起部が屈曲されることにより、前記第1部材と前記第2部材が結合されてもよい。
【0019】
また、前記第2部材は、前記ドラムの外部から前記本体に収容される洗濯水の排出のために、前記本体の上部に位置し、一方向に形成される複数の洗濯水排出孔を備えてもよい。
【0020】
本発明の一態様によれば、前記第1部材には、前記ドラムの内側面に螺合により固定されるように、一側にネジ挿入孔が形成されてもよい。
【0021】
本発明の一態様によれば、前記第1部材はステンレスで形成され、前記第2部材はプラスチックで形成されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明による衣類処理装置用リフターは、フック部によりドラムの締結孔に挿入されてスライドされ、ドラムの内周面を支持することによりドラムに結合することができるので、ドラムとの結合による性能低下が発生しなくなる。
【0023】
本発明による衣類処理装置用リフターは、洗濯過程でドラムが回転しても、第1部材に形成される遮蔽部によりリフターの内部に収容される洗濯水が外部に流出することを防止することができるので、無用な洗濯水の流出を防止することができ、洗濯水排出孔から洗
濯水を排出することによりリフターの性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】衣類処理装置の全体的な構造を示す斜視図である。
【
図2】ドラムの内周面に取り付けられるリフターを示す斜視図である。
【
図3】ドラム及びドラムに取り付けられるリフターを含むドラムの内部構造を示す分解図である。
【
図4】ドラムの内部からリフターを見た斜視図である。
【
図6】リフターを構成する第1部材を示す斜視図である。
【
図7】(a)は第1部材の装着孔に第2部材の突起部が挿入される状態を示す図である。(b)は第1部材の装着孔に第2部材の突起部が挿入されて結合される状態を示す図である。(c)は第1部材の装着孔に第2部材の突起部が挿入されて屈曲された状態を示す図である。
【
図8】リフターがドラムに結合される状態を示す図である。
【
図9】(a)は第1部材のフック部がドラムの締結孔に挿入された状態を示す図である。(b)はフック部がスライドされた状態を示す図である。(c)はフック部がスライドされてドラムに結合された状態を示す図である。(d)はリフターがドラムの内周面に結合された状態をドラムの外部から見た状態を示す図である。
【
図10】リフターがドラムの内周面に結合された状態を示す図及びそれを拡大した図である。
【
図12】リフターの内部に洗濯水が流入して洗濯水排出孔からドラムの内部に排出される状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明による引張試験用ホルダについてより詳細に説明する。
【0026】
本発明においては、異なる実施形態であっても同一又は類似の構成には同一又は類似の符号を付し、その説明は省略する。本発明に用いられる単数の表現は、特に断らない限り複数の表現を含む。
【0027】
【0028】
衣類処理装置は、外観を形成する衣類処理装置本体11と、本体11の内部に回転可能に装着されて洗濯物が投入されるドラム20と、ドラム20の内部に設けられるリフター100と、本体11の前面に設けられるドア12とを含み、本体11の下部には、洗剤を投入するための洗剤投入口を遮蔽する洗剤投入口カバー13が位置する。また、衣類処理装置は、ドラムの内部の洗濯物の乾燥のために空気を循環させなければならないので、ダクト、熱交換器などを内部に含む。
【0029】
ドラム20の内周面22にはリフター100が設けられるので、ドラム20が回転すると、洗濯物の上昇及び落下により洗濯物の洗浄を助ける。リフター100は、ドラム20の内部に洗剤、洗濯水及び洗濯物が投入されてドラム20が回転すると、洗濯物を上方に持ち上げ、その後落下させて洗濯物の洗浄を助ける役割を果たす装置である。リフター100は、ドラム20の内部の洗濯物の絡みを防止して洗濯物の損傷を防止し、水使用量を減少させることができ、洗濯物を叩いて揉み洗う効果を発揮する。
【0030】
図2はドラム20の内周面22に設けられるリフター100を示す図である。
【0031】
リフター100は、ドラムの回転軸と平行な方向に延びるように形成され、ドラム本体21の内周面22に沿って設けられる。リフター100はドラムの内周面22に複数設けられるのが一般的であり、リフター100がドラムの回転軸を中心に非対称に設けられると、ドラムが回転することにより振動及び騒音が発生する恐れがあるので、リフター100はドラムの回転軸を中心に所定角度で複数設けられることが好ましい。
【0032】
図3は本発明に用いられるドラム及びドラムに取り付けられるリフター100を含むドラムの内部構造を示す分解図である。
【0033】
ドラムは、バランサと、ドラム前面部材26と、ドラム本体21と、リフター100と、ドラム背面部材27と、バランサ25a、25bと、スパイダ28とを含み、
図3に示すように、これらの部材が順番に結合されると
図2のドラムの形状となる。
図3に示すドラムを構成する各部材の役割について説明すると、バランサ25a、25bはドラムが回転することにより振動を抑制するための部材であり、スパイダ28はドラムの回転力を供給する役割を果たす部材である。リフター100は、前述した通り、ドラムの内部の洗濯物を持ち上げ、その後落下させる役割を果たすものであり、落差により洗濯性能を向上させる役割を果たす部材である。
【0034】
図4及び
図5はリフター100の構造を示す図である。
【0035】
図4に示すように、リフター100は、第1部材110と第2部材120が結合されて形成されるものであり、第1部材110の上に第2部材120が位置する。リフター100は、流線形又はS字状を有し、所定角度だけねじれた非線形の構造を有する。よって、ドラム内の洗濯水は、ドラムが回転するとリフター100により円滑に流動することができる。
【0036】
図5は第1部材110の上に第2部材120が結合される状態を示す図である。
【0037】
まず、
図5の下部及び
図6を参照して、第1部材110について説明する。
図5の下部には第1部材110の上面が示されており、
図6には第1部材110の下面が示されている。第1部材110は、本体111と、フック部112と、遮蔽部113と、装着孔117と、洗濯水流入孔115aと、ネジ挿入孔119とを備える。
【0038】
第1部材の本体111は、第1部材110の全体的な構造を形成するものであり、ドラムの回転軸と平行な方向に延設され、ドラムの回転軸と平行にドラムの内周面22に結合されて設けられる。
【0039】
第1部材110は、洗濯水流入部115を備える。洗濯水流入部115は、リフター100内への洗濯水流入のために第1部材110を貫通する孔からなる。洗濯水流入部115は、ドラムに形成された孔の一部と重なるように形成される。
【0040】
洗濯水流入部115は、複数の洗濯水流入孔115aから構成される。
図5に示すように、各洗濯水流入孔115aは、洗濯機ドラムの回転軸と平行な方向に互いに離隔して配置され、第1部材110を貫通する形状を有する。
【0041】
衣類処理装置の洗濯過程でドラムが回転することによりタブからドラム内に洗濯水が流入し、ドラムに形成される孔を介して流入する洗濯水は、ドラムに形成される孔と重なる各洗濯水流入孔115aを経てリフター100の内部に流入する。
【0042】
ネジ挿入孔119は、第1部材110の一側に形成されるものであり、ドラムに固定す
る役割を果たす。第1部材110は、ネジ挿入孔119を介してドラムの内側面に螺合により固定される。ネジ挿入孔119は、
図5のように、第1部材110の両端に形成されてもよく、第1部材110の洗濯水流入孔115aの間に複数配置されてもよい。ネジ挿入孔119は、ネジが挿入される一般的な形状を有する。
【0043】
図6はドラムの内周面22に結合される第1部材110の背面を示す図である。
【0044】
第1部材110の背面を見ると、第1部材110は、装着孔117と、フック部112と、遮蔽部113とを備えることが分かる。
【0045】
装着孔117は第1部材110と第2部材120の結合のためのものであり、装着孔117に第2部材120の突起部123が挿入されることにより、第1部材110と第2部材120が結合される。
図7の(a)に示すように、装着孔117は、第1部材110の周囲部に沿って形成され、第2部材120の突起部123が挿入されるように対応する形状を有する。装着孔117は、第1部材110の周囲に沿って複数箇所に位置する。
【0046】
フック部112は、第1部材110の下面の周囲に沿って突設されるものであり、第1部材110をドラムに固定する役割を果たす。フック部112は、
図6に示すように、挿入後スライドされてドラムの一側を支持できるように鉤部の形状を有する。
【0047】
フック部112は、ドラムに位置する締結孔に挿入されるように配置されてスライドされ、ドラムの一側を支持することによりドラムに固定される。各フック部112は、
図6に示すように、第1部材110の周囲に沿って複数配置され、互いに対向するように位置する。フック部112は、第1部材110の中心部に向かって曲がった形状を有する。フック部112は、ドラムの締結孔24に挿入されて一方向にスライドされ、フック部112の少なくとも一部がドラムの内周面22を覆うように配置される。
【0048】
遮蔽部113は、締結孔を覆うように第1部材110の内側に向かって突設される。遮蔽部113は、フック部112が締結孔に挿入されて一方向にスライドされると締結孔を完全に覆う役割を果たす。遮蔽部113は、ドラムの回転方向に対応して第1部材110の一側に形成され、ドラムの締結孔24から洗濯水が流出することを防止する。遮蔽部113は、第1部材110が延びる方向に第1部材110の一側の周囲部に沿って互いに離隔して複数配置される。
【0049】
ドラムが回転することにより遠心力が発生し、ドラムの回転方向から相対的に遠い側に締結孔を覆う遮蔽部113が位置するので、ドラムが回転してもリフター100に収容される洗濯水は流出しなくなる。すなわち、遮蔽部113は、
図6に示すように、楕円形状を有する第1部材110の中心を通る長軸を基準に上側にのみ遮蔽部113が形成されていることが分かる。
【0050】
遮蔽部113が位置しない第1部材110の他側は、第1部材110の内側に向かって突設されるフック部112が締結孔に挿入されて一方向にスライドされ、ドラムの締結孔24を一部のみ覆うように形成される。
図6に示すように、第1部材110の長軸を基準に下側には遮蔽部113が形成されていないことが分かる。よって、この部位から洗濯水の一部がリフター100の内部に流入する。第1部材110は合成樹脂からなるようにしてもよく、例えば第1部材110は射出されたプラスチックからなるようにしてもよい。しかし、その材料が限定されるものではない。
【0051】
図5を参照して、第2部材120について説明すると、第2部材120は、本体121と、突起部123と、洗濯水排出孔125とを含む。
【0052】
第2部材120の本体121は、ドラムの内部に向かって突設され、内部空間に洗濯水を収容することができる。第2部材120の本体121は、非線形的な形状を有する。
【0053】
突起部123は、本体121の下部の周囲に沿って形成されるものであり、複数からなる。第1部材110の周囲に沿って形成される装着孔117に第2部材120の突起部123が挿入されることにより、第1部材110と第2部材120が結合される。
図5に示すように、突起部123は、第2部材120の本体121の下部に形成され、第2部材120の上部から下部に向かって位置する。
【0054】
洗濯水排出孔125は、ドラムの外部から第2部材120の本体121に収容される洗濯水の排出のために、本体121の上部に位置し、一方向に沿って形成される。具体的には、第2部材120の本体121の上部には一方向に沿って延びる第2部材本体121の上面が位置し、第2部材120の本体121の上面には複数の洗濯水排出孔125が形成される。洗濯水排出孔125を介してリフター100に収容される洗濯水をドラムに向かって排出することができるので、ドラムの内部に収容される洗濯物の洗濯を助ける役割を果たす。また、リフター100によるドラムの内部への給水により、洗濯過程における水使用量も減少させることができる。
【0055】
図7はリフター100を構成する第1部材110と第2部材120が結合される過程を示す図である。
【0056】
図7の(a)は第1部材110の装着孔117に第2部材120の突起部123が挿入される状態を示す図であり、第1部材110に形成される複数の装着孔117に第2部材120に形成される複数の突起部123が位置を合わせて挿入されることにより、第1部材110と第2部材120が結合される。
【0057】
図7の(b)は第1部材110の装着孔117に第2部材120の突起部123が挿入され、第1部材110が上方に位置し、第2部材120が下方に位置する状態を示す。
図7の(b)は第2部材120の突起部123が第1部材110の装着孔117に挿入されて上方に突出した状態を示す。
【0058】
図7の(c)は第1部材110の装着孔117に挿入された第2部材120の突起部123が固定のために屈曲された状態を示す。第1部材110の装着孔117に挿入されて上方に突出した第2部材120の突起部123は、第1部材110と第2部材120の結合のために屈曲される。突起部123の屈曲は第1部材110の内側に向かって行われる。
【0059】
すなわち、第1部材110の装着孔117に第2部材120の突起部123が挿入されて屈曲されることにより、第1部材110と第2部材120が結合される。
【0060】
図8はリフター100がドラムに結合される状態を示す図である。
【0061】
ドラムにはリフター100を固定するための複数の締結孔が位置し、ドラムの締結孔24にリフター100の第1部材110のフック部112が挿入されてスライドされ、リフター100の第1部材の上下部に位置するネジ挿入孔119にネジが締結されることにより、リフター100がドラムに固定される。
【0062】
図9の(a)は第1部材110のフック部112がドラムの締結孔24に挿入された状態を示す図である。リフター100をドラムに固定するために、第1部材110のフック
部112がドラムの締結孔24に挿入される。
【0063】
図9の(b)はフック部112がスライドされた状態を示す図である。第1部材110のフック部112は、ドラムの締結孔24に挿入され、同図の矢印方向にスライドされる。フック部112はドラムの一側を支持できるように鉤部の形状を有し、フック部112はスライドされてドラムの一側を支持することにより、ドラムにさらに密着して固定される。
【0064】
図9の(c)はフック部112がスライドされてドラムに結合された状態を示す。フック部112は、同図に示すように、ドラム本体21を支持する。具体的には、第1部材110のフック部112は、ドラムの外周面と内周面の少なくとも一部を覆うように配置される。
【0065】
図9の(d)はリフター100がドラムの内周面22に結合された状態をドラムの外部から見た状態を示す。同図に示すように、ドラム本体21の一部を第1部材110に位置する各フック部112が支持し、左側の締結孔には第1部材110の遮蔽部113が介在する。ドラム本体21が第1部材110に位置するネジ挿入孔119と螺合により固定されることにより、リフター100がドラムの内周面に配置される。
【0066】
図10はリフター100がドラムの内周面22に結合された状態を示す図及びそれを拡大した図であり、右側の拡大図はリフター100の内部に洗濯水が収容可能な構造を示し、左側の拡大図はリフター100の内部に収容された洗濯水が外部に排出されない構造を示す図である。リフター100とドラムは、第1部材110のフック部112により支持され、螺合により互いに結合される。第1部材110のフック部112は、ドラムの内周面22及び外周面の一部を支持し、第1部材110のネジ挿入孔119にネジが挿入されることによりドラムに結合される。
【0067】
ドラムの各締結孔に第1部材110の各フック部112が挿入されてスライドされると、第1部材110の遮蔽部113はドラムの締結孔24を覆う。遮蔽部113は、フック部112が締結孔に挿入されて一方向にスライドされると締結孔を完全に覆い、洗濯水の流出を防止する。楕円形状を有する第1部材110は長軸を有し、長軸を基準に左側では第1部材110の遮蔽部113により締結孔を完全に覆う。
【0068】
図10の左側の拡大図に示すように、フック部112の下端には遮蔽部113が位置し、ドラムの締結孔24を覆うことが分かる。遮蔽部113は第1部材110の一側の周囲部に沿って第1部材110の内側に向かって突設され、ドラムの締結孔24を遮蔽部113が完全に覆い、ドラムの締結孔24からリフター100の内部に流入した洗濯水が外部に流出することを防止する。
【0069】
図10の右側の拡大図に示すように、第1部材110の長軸を基準に右側ではドラムの締結孔24が一部露出する形状を有する。第1部材110の中心を通る長軸を基準に右側には遮蔽部113が形成されていないので、遮蔽部113が形成されていない側では締結孔の一部が外部に露出するため、この部位から洗濯水の一部がリフター100の内部に流入する。
【0070】
図10の矢印方向に沿って、ドラムの孔と重なるように形成される洗濯水流入孔115a、及び遮蔽部113が位置せず外部に一部露出する締結孔からリフター100の内部に洗濯水の一部が流入する。
【0071】
図11は
図10のA-A線断面図であり、リフター100の内部に洗濯水が流入して洗
濯水排出孔125からドラムの内部に排出される状態を示す図である。
【0072】
ドラムが回転すると、ドラムを囲むタブからドラムの内部に洗濯水が流入する。洗濯水は、ドラムの内周面22に取り付けられるリフター100にも一部収容される。洗濯水は、ドラムの孔を通過し、ドラムの孔と重なるように形成される第1部材110の洗濯水流入孔115aを経て、第2部材120の洗濯水排出孔125からドラムの内部に排出される。また、洗濯水は、遮蔽部113が位置しない締結孔からもリフター100の内部に一部が流入する。
図11の矢印は洗濯水の移動方向を示す。
【0073】
図12は本体の前面部からドラムを見た図であり、ドラム内にリフター100が配置された状態を示す図である。リフター100は、ドラムの内周面22に沿って複数設けられる。リフター100がドラムの回転軸を中心に対称となるように配置されないと、ドラムが回転することにより騒音及び振動が発生する恐れがあり、洗濯物が均一に持ち上げられず、洗濯物全体に均一に洗濯が行われないことがある。よって、リフター100は、
図12に示すように、ドラムの回転軸を中心に対称となるように複数配置されることが好ましい。そうすると、ドラム内の洗濯物がリフター100に引っかかってドラム内で所定の高さまで効果的に持ち上げられ、ドラム内の洗濯水がより円滑に流動することができるので、洗濯効果が向上する。
【0074】
以上説明した衣類処理装置用リフター100は上記実施形態の構成や方法に限定されるものではなく、様々な変形が行われるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、衣類処理装置分野において用いられる。