(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】高温SCR触媒としての8員環小孔分子ふるい
(51)【国際特許分類】
B01J 29/76 20060101AFI20220613BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20220613BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20220613BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
B01J29/76 A ZAB
B01D53/86 222
B01D53/94 222
F01N3/08 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018192333
(22)【出願日】2018-10-11
(62)【分割の表示】P 2015537833の分割
【原出願日】2013-10-17
【審査請求日】2018-10-26
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-13
(32)【優先日】2012-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】モナハン,ジャヤ,エル.
(72)【発明者】
【氏名】バーク,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ブリーン,マイケル,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スラヴスキー,バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】ナガタ マコト
(72)【発明者】
【氏名】バンノ ヤスユキ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユンソク
【合議体】
【審判長】原 賢一
【審判官】三崎 仁
【審判官】金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-524677(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0107203(US,A1)
【文献】国際公開第2011/073398(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00-38/74, B01D53/73-53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤の存在下で
、
N
2
O、及び
NO、N
2
O
3
、N
2
O
4
、N
2
O
5
及びNO
3
から成る群から選ばれる少なくとも1種の窒素酸化物、
の選択的触媒還元を行うための選択的触媒還元用触媒であって、揮発性物質なしを基準として報告される、か焼したゼオライトの総質量に基づいて、Fe
2O
3として計算して、5.1~
10質量%の範囲の鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含み、該8員環小孔分子ふるいは、CHA結晶構造を有する
所定のアルミノケイ酸塩ゼオライトから成る群から選択され、及び
前記8員環小孔分子ふるいは
、イオン交換によって鉄のみを含
み、
前記CHA結晶構造を有する所定のアルミノケイ酸塩ゼオライトは、SSZ-13ゼオライト及びSSZ-62ゼオライトから選択され、及び前記選択的触媒還元用触媒は、バインダーを含み、及び
前記アルミノケイ酸塩ゼオライトの粒径は、D
90
が12ミクロン未満である
ことを特徴とする選択的触媒還元用触媒。
【請求項2】
ハニカム基板上に被着したウォッシュコート中に請求項
1に記載の触媒を含む触媒製品。
【請求項3】
前記ハニカム基板が、フロースルー基板を含む請求項
2に記載の触媒製品。
【請求項4】
窒素酸化物を選択的に還元する方法であって、窒素酸化物を含有するガス流を、請求項
1に記載の選択的触媒還元用触媒と接触させることを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2012年10月19日に出願され、米国特許出願として係属している特許出願第61/716078号に優先権を主張する。
【0002】
本発明は、選択的触媒還元触媒の分野に関連する。より具体的には、本発明の実施形態は、8員環小孔分子ふるい(8-ring small pore molecular sieve)を含む選択的触媒還元触媒、及びこれらの触媒を、排ガス中の汚染物質を低減すること等の様々なプロセスに使用する方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
ゼオライト等の分子ふるいは、多数の、製油所における化学反応、及び石油化学反応、並びに触媒作用、吸着、分離、及びクロマトグラフィを触媒するために広く使用されてきている。例えば、ゼオライトに関して、合成及び天然ゼオライトの両方、並びにメタノールのオレフィンへの変換(MTO反応)、及び酸素の存在下で、アンモニア、尿素又は炭化水素等の還元剤と共に行なわれる窒素酸化物の選択的触媒還元(SCR)を含む、いくつかの反応を促進することにおけるそれらの使用が、当技術分野においてよく知られている。ゼオライトは、ゼオライトの種類、並びにゼオライト格子に含まれるカチオンの種類及び量に依存して、直径で約3~10オングストロームの範囲であるかなり均一な細孔径を有する結晶物質である。8員環細孔開口(8-ring pore opening)及び二重6員環二次基礎単位(double-six ring secondary building unit)を有するゼオライト、特にかご様構造(cage-like structure)を有するゼオライトは、最近、SCR触媒としての使用への関心が見出されている。これらの特性を有するゼオライトの具体的な種類は、その3次元多孔性を通じて到達できる8員環細孔開口(~3.8オングストローム)を有する小孔ゼオライトである、チャバザイト(CHA)である。かご様構造は、二重6員環基礎単位の4環の接続に起因する。
【0004】
SCRプロセスにおいて使用される触媒は、理想的には、熱水条件下で、広い範囲の使用温度条件、例えば200℃~600℃又はそれ以上にわたり良好な触媒活性を維持することが出来るべきである。熱水条件は、煤フィルター、粒子の除去のために使用される排ガス処理システムの構成要素の再生中等において、実際によく遭遇する。
【0005】
アンモニアと共に行なわれる窒素酸化物の選択的触媒還元のための、特に鉄で促進化した(iron-promoted)、及び銅で促進化した(copper-promoted)ゼオライト触媒を含む、金属で促進化した(metal-promoted)ゼオライト触媒が知られている。鉄で促進化したゼオライトベータ(米国特許番号4,961,917)は、アンモニアと共に行なわれる窒素酸化物の選択的還元用の効果的な市販の触媒である。残念ながら、例えば局部的に700℃を超える温度での煤フィルターの再生中に示される、厳しい熱水条件下では、多くの金属で促進化したゼオライトの活性が低下し始めることが認められている。この低下は、しばしば、ゼオライトの脱アルミニウム、及び結果として生じるゼオライト内の金属含有活性中心の減少に起因する。
【0006】
ゼオライトの合成は、ゼオライトの種類に従って変わるが、通常は、ゼオライトは、構造指向剤(structure directing agent)(SDA)(鋳型又は有機鋳型と称されることがある)を、シリカ及びアルミナ源と一緒に使用して合成される。構造指向剤は、有機、すなわち水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)、又は無機カチオン、すなわちNa+若しくはK+の形態であり得る。結晶化中に、4面体のシリカ-アルミナ単位が、所望の骨格を形成するようにSDAの周囲に構造化し、SDAは、しばしばゼオライト結晶の細孔構造中に組み込まれる。
【0007】
CHA構造型、及び1より大きいシリカのアルミナに対するモル比を有する、金属で促進化した、特に銅で促進化したアルミノケイ酸塩ゼオライト、特に5、10又は15以上で、約1000、500、250、100及び50未満のシリカのアルミナに対する比を有するものは、最近、窒素還元剤を使用する希薄燃焼エンジンにおける窒素酸化物のSCR用の触媒として、高度の関心を呼んでいる。これは、米国特許番号7,601,662に記載されているように、これらの材料の優れた熱水耐久性に加えて、広い温度ウィンドウ(temperature window)のためである。米国特許番号7,601,662に記載された金属で促進化したゼオライトの発見の前に、その文献は、多数の金属で促進化したゼオライトが、特許及び科学文献においてSCR触媒としての使用のために提案されていることを示していたものの、提案された材料のそれぞれは、以下の欠点:(1)低温、例えば350℃以下での窒素酸化物の不十分な変換;及び(2)SCRによる窒素酸化物の変換における触媒活性の著しい低下により示される不十分な熱水安定性;の1個又は両方を抱えていた。したがって、米国特許番号7,601,662に記載された発明は、低温での窒素酸化物の変換、及び650℃を越えた温度での熱水時効後のSCR触媒活性の保持を備える材料を提供する切実な未解決の要求に対処した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許番号4,961,917
【文献】米国特許番号7,601,662
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
米国特許番号7,601,662に記載された触媒が、優れた特性を示すとしても、常に、広範な又は異なる温度ウィンドウにおいて向上した性能の要求がある。例えば、いくつかの応用のため、Cu-SS-13の向上した高温(例えば、450℃を超える温度)性能が、切望又は要求され得る。Euro6規制等の規制基準以上を満たすため、高温での向上した性能が切望されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様は、触媒が、200℃及び600℃の間の温度で、還元剤の存在下で窒素酸化物の選択的触媒還元を触媒する効果があるように、5質量%を超える鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む選択的触媒還元用触媒に関連する。
【0011】
一以上の実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、ERI、KFI、LEV、SAS、SAT、及びSAVから選択される構造型を有する鉄で促進化したゼオライトからなる群から選択される。一以上の実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、CHA結晶構造を有する。
【0012】
一以上の実施形態において、CHA結晶構造を有する鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、アルミノケイ酸塩ゼオライト、ホウケイ酸塩、ガロケイ酸塩、SAPO、ALPO、MeAPSO、及びMeAPOから選択される。
【0013】
一以上の実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、SSZ-13、SSZ-62、天然チャバザイト、 ゼオライトK-G、リンデD、リンデR、LZ-218、LZ-235、LZ-236、ZK-14、SAPO-34、SAPO-44、SAPO-47、及びZYT-6からなる群から選択される。
【0014】
一以上の実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいが、CHA結晶構造を有するアルミノケイ酸塩ゼオライトであり、鉄で促進化したSSZ-13、及び鉄で促進化したSSZ-62から選択される。一以上の実施形態において、ゼオライトは、5~100の範囲の、シリカのアルミナに対する比を有する。具体的な実施形態において、シリカのアルミナに対する比は、10~50の範囲である。
【0015】
一以上の実施形態において、触媒は、F2O3として計算された、5.1質量%~10質量%の範囲の鉄を含む。
【0016】
本発明の別の態様は、ハニカム基板上に被着したウォッシュコート中に上記の触媒を含む触媒製品に関連する。ハニカム基板は、壁流フィルター(wall flow filter substrate)又はフロースルー基板(flow through substrate)を含み得る。
【0017】
本発明の別の態様は、ディーゼルエンジンより下流に配置される上記の触媒製品、及びエンジンからの排ガス流へ還元剤を添加するインジェクターを含む排ガス処理システムに関連する。
【0018】
本発明の別の態様は、窒素酸化物を選択的に還元する方法であって、窒素酸化物を含有するガス流を、200℃及び600℃の間の温度で、還元剤の存在下で窒素酸化物の選択的触媒還元を触媒するように、5質量%を超える鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む選択的触媒還元用触媒と接触させることを含む方法に関連する。本発明の方法の具体的な実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、ERI、KFI、LEV、SAS、SAT、及びSAVからなる群から選択される。さらに具体的な方法の実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、CHA結晶構造を有する。さらにいっそう具体的な方法の実施形態において、鉄で促進化し、CHA結晶構造を有する8員環小孔分子ふるいは、アルミノケイ酸塩ゼオライト、SAPO、ALPO、及びMeAPOからなる群から選択される。
【0019】
具体的な方法の実施形態において、鉄で促進し、CHA結晶構造を有する8員環小孔分子ふるいは、SSZ-13、SSZ-62、天然チャバザイト、 ゼオライトK-G、リンデD、リンデR、LZ-218、LZ-235、LZ-236、ZK-14、SAPO-34、SAPO-44、SAPO-47、及びZYT-6からなる群から選択される。さらに具体的な方法の実施形態において、鉄で促進し、CHA結晶構造を有する8員環小孔分子ふるいは、アルミノケイ酸塩ゼオライトである。さらにいっそう具体的な方法の実施形態において、アルミノケイ酸塩ゼオライトは、SSZ-13、及びSSZ-62から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、2種の異なるFe-SSZ-13試料について、温度に対するNO
x変換を示す。
【
図2】
図2は、種々のFe負荷量を有するSSZ-13について、温度に対するNO
x変換を示す。
【
図3】
図3は、種々のFe負荷量を有するSSZ-13について、温度に対するNO
x変換を示す。
【
図4】
図4は、種々のFe負荷量を有するSSZ-13について、温度に対するN
2O生成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のいくつかの例となる実施形態を説明する前に、本発明は、以下の記載において説明される構造又はプロセス工程の詳細に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態、及び種々の方法で実施又は実行することが可能である。
【0022】
本発明の実施形態は、分子ふるいを含む触媒、それらの調製方法、触媒製品、排ガスシステム、及びその触媒を用いる排ガスからの汚染物質を低減する方法を対象にする。
【0023】
本開示に使用される用語に関して、以下の定義が提供される。本明細書では、分子ふるいは、一般に4面体型部位を含有し、細孔分布を有する酸素イオンの広範囲の三次元ネットワークに基づく物質を称する。ゼオライトは、分子ふるいの具体的な例であり、さらにケイ素及びアルミニウムを含む。触媒層において、「非ゼオライト担体(non-zeolite-support)」又は「非ゼオライト担体(non-zeolitic support)」への言及は、分子ふるい又はゼオライトではない物質であり、会合、分散、含浸、又はその他の適切な方法を通じて、貴金属、安定剤(stabilizer)、促進剤(promoter)、バインダー等を受け取る物質を称する。そのような非ゼオライト担体の例は、限定されないが、高表面積耐熱性金属酸化物を含む。高表面積耐熱性金属酸化物担体は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、シリカ-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、チタニア-アルミナ、ランタナ-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミア-アルミナ、ジルコニア-シリカ、チタニア-シリカ、及びジルコニア-チタニアからなる群から選択される活性化された化合物を含み得る。
【0024】
本明細書では、用語「触媒」は、反応を促進する物質を称する。本明細書では、成句「触媒組成物」は、2種以上の触媒の組み合わせ、例えば、反応を促進する2種の異なる材料の組合せを称する。触媒組成物は、ウォッシュコートの形態であり得る。本明細書では、用語「担体(carrier)」は、触媒化したハニカム基板等の触媒種を運搬又は担持する担体を称する。
【0025】
本明細書では、用語「基板」は、担体が、典型的には、その上に触媒種を有する複数の担体を含有するウォッシュコートの形態で、その上に配置されているモノリス材料(monolithic material)を称する。ウォッシュコートは、規定の固形分(例えば、30~90質量%)の担体を液体溶媒中に含有するスラリーを調製し、その後、基板上へコーティングし、乾燥してウォッシュコート層を提供することによって形成される。
【0026】
本明細書では、用語「ウォッシュコート」は、処理されるガス流の透過を可能にするように十分多孔性である、ハニカム型担体部材等の基板担体材料へ塗布された触媒又はその他の材料の薄い接着性のコーティングという当技術分野におけるその通常の意味を有する。
【0027】
一以上の実施形態において、基板は、ハニカム構造を有するセラミック又は金属である。任意の適切な基板、例えば、流路がそこを通じて流体の流れに開いているように、基板の入口又は出口面から、そこを通じて延在する微細な平行のガス流路を有する型のモノリス基板が使用され得る。本質的にそれらの流体入口からそれらの流体出口への直線路である流路は、その上に触媒材料が、流路を通じて流れるガスが触媒材料と接触するようにウォッシュコートとしてコーティングされた壁によって特徴づけられる。モノリス基板の流路は、台形、長方形、正方形、正弦曲線形、六角形、長円形、円形等の任意の適切な断面形状及び大きさであり得る、薄壁チャンネル(thin-walled channel)である。そのような構造は、断面の平方インチ当たり、約60~約900個又はそれ以上のガス入口開口部(すなわち、セル)を含み得る。
【0028】
セラミック基板は、任意の適切な耐熱性材料、例えばコージライト、コージライト-α-アルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、シリア輝石、アルミナ-シリカ-マグネシア、ジルコンケイ酸塩、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト、α-アルミナ、アルミノケイ酸塩等から作製され得る。
【0029】
本発明の実施形態の触媒担体用に有用な基板はまた、金属的な性質であり得、1種以上の金属又は金属合金から構成され得る。金属基板は、ペレット状、波板状又はモノリス形状等の種々の形状で使用され得る。金属基板の具体的な例は、耐熱性の、卑金属合金、特に鉄が実質的又は主要な成分であるものを含む。そのような合金は、ニッケル、クロム、及びアルミニウムの1種以上を含み得、これらの金属の合計は、有利には、合金の少なくとも約15質量%、例えば約10~25質量%のクロム、約1~8質量%のアルミニウム、及び約0~20質量%のニッケルを含み得る。
【0030】
濃い排気流を含む「濃ガス流(rich gaseous stream)」は、λ<1.0を有するガス流を意味する。
【0031】
「濃い期間(rich period)」は、排ガス組成物が濃い、すなわちλ<1.0を有する、排気処理の期間を称する。
【0032】
「希土類金属成分」は、ランタン、セリウム、プラセオジム及びネオジムを含む、元素周期表に定義されるランタン系列の1種以上の酸化物を称する。希土類金属成分は、Ce、Pr、Nd、Eu、Nb、Sm、Yb、及びLaから選択される少なくとも1種の希土類金属を含み得る。
【0033】
「アルカリ土類成分」は、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びラジウム(Ra)を含む、元素周期表に定義される1種以上の化学元素を称する。
【0034】
「アルカリ金属成分」は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、及びフランシウム(Fr)を含む、元素周期表に定義される1種以上の化学元素を称する。
【0035】
一以上の実施形態は、選択的触媒還元用触媒を対象にする。触媒は、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む。触媒は、200℃及び600℃の範囲内の温度で、還元剤の存在下で窒素酸化物の選択的触媒還元を触媒する効果がある。8員環細孔開口及び二重6員環二次基礎単位を有する分子ふるいは、例えば、以下の構造型:AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、ERI、KFI、LEV、SAS、SAT、及びSAVを有するもの。一以上の実施形態によれば、それらの構造型により分子ふるいを定義することによって、その構造型、及び同じ構造型を有するSAPO、ALPO及びMeAPO材料等の任意の及び全ての同形の骨格材料を含むことを意図していることは認められているだろう。
【0036】
さらに具体的な実施形態において、アルミノケイ酸塩ゼオライト構造型への言及は、骨格中に置換されたリン又は他の金属を含まない分子ふるいに、材料を限定する。当然ながら、アルミノケイ酸塩ゼオライトは、その後に、鉄、銅、コバルト、ニッケル、セリウム、アルカリ土類成分、又は白金族金属等の1種以上の促進剤金属でイオン交換され得る。しかしながら、明確化のために、本明細書では、「アルミノケイ酸塩ゼオライト」は、SAPO、ALPO、及びMeAPO材料等のアルミノリン酸塩材料を除外し、より広い用語「ゼオライト」は、アルミノケイ酸塩及びアルミノリン酸塩を含むことを意図している。一以上の実施形態において、アルミノケイ酸塩ゼオライトは、5~100の、具体的な実施形態においては10~50の、さらに具体的な実施形態においては15~40の、シリカのアルミナに対するモル比を有する。
【0037】
一般に、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいに基づくSCR触媒は、最先端の触媒と同等のNOx変換活性を示すべきである。一般に、触媒は良好なNOx変換活性(350℃~600℃の範囲にわたって、NOx変換>50%)を示すべきである。NOx活性は、500ppmNO、500ppmNH3、10%O2、5%H2O、残余のN2のガス混合物中で、80,000h-1の容積基準空間速度で、最大NH3-スリップ条件で、定常状態条件下で測定される。
【0038】
本明細書では、用語「Na+型チャバザイト」は、如何なるイオン交換なしでの、このゼオライトのか焼形態を称する。この形態において、一般にゼオライトは、イオン交換部位にNa+及びH+カチオンの混合物を含有する。Na+カチオンによって占有される部位の画分は、個別のバッチ及びレシピによって変わる。
【0039】
分子ふるいは、ゼオライト-ゼオライト又は非ゼオライトであり得、及びゼオライト及び非ゼオライト分子ふるいは、国際ゼオライト学会によってCHA構造とも称される、チャバザイト結晶構造を有し得る。ゼオライトチャバザイトは、ゼオライト群の天然に生じる、近似式:(Ca,Na2,K2,Mg)Al2Si4O12・6H2O(例えば、水和したカルシウムアルミニウムケイ酸塩)のテクトケイ酸塩鉱物を含む。ゼオライトチャバザイトの3種の合成形態は、「Zeolite Molecular Sieves」(D. W. Breck, published in 1973 by John Wiley & Sons)に記載され、これは参照により本明細書に取り込まれる。Breckにより報告された3種の合成形態は、J. Chem. Soc., p. 2822 (1956), Barrer et al.に記載されるゼオライトK-G、英国特許 番号868,846 (1961)に記載されるゼオライトD、米国特許番号3,030,181に記載されるゼオライトRであり、これらは参照により本明細書に取り込まれる。ゼオライトチャバザイトの別の合成形態、SSZ-13の合成は、米国特許番号4,544,538に記載され、これは参照により本明細書に取り込まれる。チャバザイト結晶構造を有する非ゼオライト分子ふるい、シリコアルミノリン酸塩34(SAPO-34)の合成形態の合成は、米国特許番号4,440,871及び7,264,789に記載され、これらは参照により本明細書に取り込まれる。さらに別のチャバザイト構造を有する合成非ゼオライト分子ふるい、SAPO-44を作製する方法は、米国特許番号6,162,415に記載され、これは参照により本明細書に取り込まれる。
【0040】
一以上の実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、ERI、KFI、LEV、SAS、SAT、及びSAVからなる群から選択される。さらに具体的な実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、全てのアルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、ガロケイ酸塩、MeAPSO、及びMeAPO組成物を含み得る。これらは、限定されないが、SSZ-13、SSZ-62、天然チャバザイト、 ゼオライトK-G、リンデD、リンデR、LZ-218、LZ-235、LZ-236、ZK-14、SAPO-34、SAPO-44、SAPO-47、及びZYT-6を含む。しかしながら、具体的な実施形態において、8員環小孔分子ふるいは、SSZ-13及びSSZ-62等のアルミノケイ酸塩組成物を有し、ホウケイ酸塩、ガロケイ酸塩、MeAPSO、SAPO、及びMeAPO組成物を除外するだろう。
【0041】
一以上の実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、CHA結晶構造を有し、CHA結晶構造を有するアルミノケイ酸塩ゼオライト、SAPO、ALPO、及びMeAPOからなる群から選択される。特に、CHA結晶構造を有する鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、CHA結晶構造を有する鉄で促進化したアルミノケイ酸塩ゼオライトである。具体的な実施形態において、CHA結晶構造を有する鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、SSZ-13及びSSZ-62等のアルミノケイ酸塩組成物を有するだろう。特に具体的な実施形態において、CHA結晶構造を有する鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、SSZ-13である。
【0042】
質量%鉄:
鉄で促進化した小孔分子ふるいは、5質量%を超える鉄を含む。鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいのFe含有量は、F2O3として計算され、具体的な実施形態において、揮発性物質なしを基準として報告される、少なくとも約5.1質量%、さらにいっそう具体的な実施形態において、少なくとも約5.5、又は6質量%である。さらにいっそう具体的な実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいのFe含有量は、F2O3として計算され、それぞれの場合、揮発性物質なしを基準として報告される、か焼した分子ふるいの総質量に基づいて、約5.1質量%~約15質量%の範囲、又は~約10質量%の範囲、さらに具体的には~約9質量%の範囲、さらにいっそう具体的には~約8質量%の範囲である。したがって、具体的な実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいの範囲は、F2O3として計算される、約5.1~15、5.1~10、5.1~9、5.1~8、5.1~7、5.1~6、5.5~15、5.5~10、5.5~9、5.5~8、5.5、6~10、6~9、6~8質量%である。全ての質量%の値は、揮発性物質なしを基準として報告される。
【0043】
一以上の実施形態において、鉄は、8員環小孔分子ふるい中に交換される。
【0044】
SCR活性:
具体的な実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、80000h-1のガス時間空間速度で測定される、少なくとも50%の350℃での時効後のNOx変換を示す。具体的な実施形態おいて、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、80000h-1のガス時間空間速度で測定される、少なくとも70%の450℃での時効後のNOx変換を示す。さらに具体的には、500ppmNO、500ppmNH3、10%O2、5%H2O、残余のN2のガス混合物中で、最大NH3-スリップ条件で、定常状態条件下で、80000h-1のガス時間容積基準空間速度で測定される、350℃での時効後のNOx変換は、少なくとも55%であり、450℃で少なくとも75%であり、さらにいっそう具体的には、350℃での時効後のNOx変換は、少なくとも60%であり、550℃で少なくとも80%である。芯材(core)は、チューブ炉内で、4,000h-1の空間速度で、10%H2O、10%O2、残余のN2を含有するガス流中で、750℃で5時間、熱水時効された。
【0045】
SCR活性の測定は、例えばWO2008/106519等の文献において、明示されている。
【0046】
ナトリウム含有量:
具体的な実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、か焼した分子ふるいの総質量に基づいて2質量%未満のナトリウム含有量(揮発性物質なしを基準として、Na2Oとして報告される)を有する。さらに具体的な実施形態において、ナトリウム含有量は、1質量%未満、さらにいっそう具体的には2000ppm未満、さらにいっそう具体的には1000ppm未満、さらにいっそう具体的には500ppm未満、最も具体的には100ppm未満である。
【0047】
Na:Al:
具体的な実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、0.7未満のナトリウムのアルミニウムに対する元素比を有する。さらに具体的な実施形態において、ナトリウムのアルミニウムに対する元素比は、0.35未満、さらにいっそう具体的には0.007未満、さらにいっそう具体的には0.03未満、及びさらにいっそう具体的には0.02未満である。
【0048】
CHA型分子ふるいの従来型のゼオライト合成
CHA構造を有する8員環小孔分子ふるいの従来型の合成として、言及され得るものにおいては、シリカ源、アルミナ源、及び構造指向剤が、アルカリ水性条件下で混合される。典型的なシリカ源は、種々の種類のヒュームドシリカ、沈殿シリカ、及びコロイド状シリカ、並びにケイ素アルコキシドを含む。典型的なアルミナ源は、ベーマイト、擬似ベーマイト(pseudo-boehmite)、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム又はアルミン酸ナトリウム等のアルミニウム塩、及びアルミニウムアルコキシドを含む。水酸化ナトリウムが、典型的に反応混合物に添加される。この合成用の典型的な構造指向剤は、アダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物であるが、しかし他のアミン及び/又は第4級アンモニウム塩が、後者の構造指向剤に置き換え、又は加えられ得る。反応混合物は、圧力容器内で、撹拌しながら加熱され、結晶SSZ-13生成物を生じる。典型的な反応温度は、100及び200℃の範囲内であり、具体的な実施形態においては、135及び170℃の間である。典型的な反応時間は、1時間及び30日間の間であり、具体的な実施形態においては、10時間及び3日間の間である。
【0049】
反応の終わりに、任意にpHが6及び10の間に、具体的な実施形態においては、7及び7.5の間に調整され、生成物が濾過され、水で洗浄される。任意の酸が、pHの調整のために使用され得、具体的な実施形態において、硝酸が使用される。別法として、生成物は遠心分離され得る。有機添加剤は、固体生成物の取り扱い及び単離に役立つように使用され得る。噴霧乾燥は、生成物の加工における任意の工程である。固体生成物は、空気又は窒素中で、熱的に処理される。別法として、それぞれのガス処理は、様々な順序で適用され得るか、又はガスの混合物が適用され得る。典型的なか焼温度は、400℃~850℃の範囲内である。
【0050】
NH4-チャバザイトを形成するための任意のNH4-交換:
任意に、得られたアルカリ金属分子ふるいは、NH4-交換され、NH4-チャバザイトを形成する。NH4イオン交換は、当技術分野で知られた種々の技術、例えば、Bleken, F.;Bjorgen, M.;Palumbo, L.; Bordiga, S.; Svelle, S.; Lillerud, K.-P.; and Olsbye, U. Topics in Catalysis 52, (2009), 218-228に従って実行され得る。
【0051】
本発明の実施形態に従うCHA型ゼオライトの合成
一以上に実施形態によれば、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む選択的触媒還元用触媒の合成方法が提供される。特に、その触媒は、鉄で促進化したSSZ-13を含む。鉄で促進化したCHA型ゼオライト、特にSSZ-13及びSSZ-62等のCHA型アルミノケイ酸塩ゼオライトの合成が提供される。
【0052】
一般に、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいの調製は、アンモニウム型ゼオライトのか焼から始め、その後に60℃で、2時間、緩衝液を要求し得るpH4.5で、Fe前駆体塩を使用する従来型の液体イオン交換が続く。結果として得られた生成物を、ろ過し、洗浄し、空気乾燥又は噴霧乾燥する。別の実施形態において、鉄は緩衝液の存在下で、60℃で、1~2時間、Fe前駆体塩を使用してNa型中へ直接交換される。乾燥生成物は、スラリーを調製するために使用され、セラミック製フロースルーハニカム上へコーティングされる。別法として、現場法(in-situ method)が、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを調製するために使用され得る。例えば、適切な濃度のFe塩溶液が、水素又はアンモニウム型のSSZ-13のスラリーに滴加される。
【0053】
BET:
具体的な実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、少なくとも約400m2/g、さらに具体的には少なくとも約550m2/g、さらにいっそう具体的には少なくとも約650m2/gのDIN66131に従って測定されたBET表面積を示す。具体的な実施形態において、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、約400~約750m2/gの範囲、さらに具体的には約500~約750m2/gの範囲のBET表面積を示す。
【0054】
具体的な実施形態において、か焼した鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいの結晶子は、SEMによって測定された、10ナノメートル~100マイクロメートルの範囲、具体的には50ナノメートル~5マイクロメートルの範囲の平均長を有する。さらに具体的な実施形態において、分子ふるい結晶子は、0.5ミクロン又は1ミクロンより大きく、5ミクロン未満の平均長を有する。
【0055】
形状:
本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、上記の分離技術、例えばデカンテーション、ろ過、遠心分離、又は噴霧等から得られた粉末又は噴霧された材料の形態で提供され得る。一般に、粉末又は噴霧された材料は、例えば、所望の形状、例えば錠剤、円柱、球等の成形品を得るための適切な締め固めによって、如何なる他の化合物なしに成形され得る。
【0056】
例として、粉末又は噴霧された材料は、当技術分野で良く知られた適切な修飾剤(modifier)と混合されるか、又はコーティングされる。例として、シリカ、アルミナ、ゼオライト又は耐熱性バインダー(例えば、ジルコニウム前駆体)等の修飾剤が使用され得る。粉末又は噴霧された材料は、任意に適切な修飾剤で混合又はコーティングした後、例えば、水と共にスラリーに形成され、適切な耐熱性担体上に被着され得る(例えば、WO2008/106519)。
【0057】
本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいはまた、任意の他の適切な形状の押出成形品、ペレット、錠剤又は粒子の形状で、粒子状触媒の充填床として、又は平板、サドル、チューブ等の成形部品としての使用のためにも提供され得る。
【0058】
具体的な実施形態において、8員環小孔分子ふるいは、実質的にアルミナ及びシリカからなり、約1~1000の範囲、及び具体的な実施形態において、1~500の範囲のシリカのアルミナに対する比を有し、さらに具体的な実施形態において、5~300、5~200、5~100、10~90、10~80、10~70、10~60、10~50、10~40、10~35及び10~30の範囲は、本発明の範囲内である。具体的な実施形態において、8員環小孔分子ふるいは、鉄で促進化したSSZ-13及び/又はSSZ-62である。
【0059】
一般に、上記の鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、分子ふるい、吸収剤、触媒、触媒担体、又はそれらのバインダーとして使用され得る。特に具体的な実施形態において、その材料は触媒として使用される。
【0060】
また、本発明の実施形態は、本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいが、触媒活性材料として使用される化学反応を触媒する方法に関連する。
【0061】
とりわけ、前記触媒は、窒素酸化物(NOx)の選択的還元(SCR)のための触媒として;NH3の酸化のため、特にディーゼルシステムにおけるNH3スリップ(NH3 slip)の酸化のため;N2Oの分解のため;煤酸化のため;予混合圧縮着火(Homogeneous Charge Compression Ignition)(HCCI)エンジン等の高度排ガスシステム(Advanced Emission System)における排ガス制御のため;流動式接触分解(fluid catalytic cracking)(FCC)プロセスにおける添加剤として;有機変換反応における触媒として;又は「固定汚染源(stationary source)」プロセスにおいて使用され得る。酸化反応における応用のため、具体的な実施形態において、さらなる貴金属成分が銅チャバザイトに添加される(例えば、Pd、Pt)。
【0062】
したがって、本発明の実施形態はまた、適切な還元条件下で、NOxを含有する流を、本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含有する触媒と接触させることによって、窒素酸化物(NOx)を選択的に還元する方法に;適切な酸化条件下で、NH3を含有する流を、本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む選択的触媒還元用触媒と接触させることによって、NH3を酸化、特にディーゼルシステムにおけるNH3スリップを酸化する方法に;適切な分解条件下で、N2Oを含有する流を、本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む選択的触媒還元用触媒と接触させることによって、N2Oを分解する方法に;適切な条件下で、排ガス流を、銅で促進化した8員環小孔分子ふるい、及び本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む選択的触媒還元用触媒と接触させることによって、予混合圧縮着火(HCCI)エンジン等の高度排ガスシステムにおける排ガスを制御する方法に;鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む選択的触媒還元用触媒を添加剤として使用する流動式接触分解FCCプロセスに;適切な変換条件下で、有機化合物を本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む選択的触媒還元用触媒と接触させることによって、有機化合物を変換する方法に;本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含有する触媒が使用される、「固定汚染源」プロセスにも関連する。
【0063】
特に、本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む選択的触媒還元用触媒が、触媒活性材料として使用される窒素酸化物の選択的還元は、アンモニア又は尿素の存在下で達成される。アンモニアは、固定式発電所用に選択される還元剤であるが、尿素は、移動型のSCRシステム用に選択される還元剤である。典型的に、SCRシステムは、車両の排ガス処理システムに組み込まれ、また、典型的には、以下の主要素:本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む選択的触媒還元用触媒;尿素貯蔵タンク;尿素ポンプ;尿素注入系(urea dosing system);尿素インジェクター/ノズル;及びそれぞれの制御装置(control unit)を含む。
【0064】
NOxを還元する方法:
したがって、本発明はまた、窒素酸化物(NOx)を選択的に還元する方法であって、窒素酸化物(NOx)を含有するガス流、例えば、工業プロセス又は工程において形成される排ガス、具体的な実施形態においては、アンモニア及び/又は尿素も含有するガス流が、本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む選択的触媒還元用触媒と接触される方法にも関連する。
【0065】
用語窒素酸化物、NOxは、本発明の実施形態に関連して使用される場合、窒素の酸化物、特に酸化二窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、三酸化二窒素(N2O3)、二酸化窒素(NO2)、四酸化二窒素(N2O4)、五酸化二窒素(N2O5)、過酸化窒素(NO3)を指定する。
【0066】
本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるい、又は本発明の実施形態に従って得られる若しくは得られた鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む選択的触媒還元用触媒を使用して還元される窒素酸化物は、任意のプロセスによって、例えば、排ガス流として得られ得る。とりわけ、アジピン酸、硝酸、ヒドロキシルアミン誘導体、カプロラクタム、グリオキサール、メチルグリオキサール、グリオキシル酸を製造するプロセスにおいて、又は窒素含有物質を燃焼するプロセスにおいて得られるような排ガス流が、言及され得る。
【0067】
特に具体的な実施形態において、本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるい、又は本発明の実施形態に従って得られる若しくは得られた鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む選択的触媒還元用触媒は、内燃機関、特に、化学量論の燃焼に要求される量を超えて空気を有する燃焼条件、すなわち希薄な条件で作動する、ディーゼルエンジンの排ガスからの窒素酸化物(NOx)の除去のために使用される。
【0068】
したがって、本発明の実施形態はまた、内燃機関、特に、化学量論の燃焼に要求される量を超えて空気を有する燃焼条件、すなわち希薄な条件で作動するディーゼルエンジンの排ガスからの窒素酸化物(NOx)を除去する方法であって、本発明の実施形態に従う鉄で促進化した8員環小孔分子ふるい、又は本発明の実施形態に従って得られる若しくは得られた鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含む選択的触媒還元用触媒が、触媒活性材料として使用される方法にも関連する。
【0069】
排ガス処理システム:
本発明の実施形態は、任意にアンモニア、尿素、及び/又は炭化水素等の還元剤、具体的な実施形態においては、アンモニア及び/又は尿素を含有する排ガス流、並びに基板上に配置された、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含有する選択的触媒還元用触媒製品、並びに二次排ガス処理要素、例えば煤フィルター及びディーゼル酸化触媒等を含む排ガス処理システムにも関連する。
【0070】
触媒化又は非触媒化した煤フィルターは、前記触媒製品の上流又は下流であり得る。具体的な実施形態において、ディーゼル酸化触媒は、前記触媒製品の上流に位置している。具体的な実施形態において、前記ディーゼル酸化触媒及び前記触媒化した煤フィルターは、前記触媒製品から上流である。
【0071】
具体的な実施形態において、排ガスは、ディーゼルエンジンから排ガスシステムにおける下流位置へ搬送され、さらに具体的な実施形態において、NOxを含んでおり、還元剤が添加され、添加された還元剤を有する排ガス流が前記触媒製品へ搬送される。
【0072】
例えば、触媒化煤フィルター、ディーゼル酸化触媒、及び還元剤は、WO2008/106519に記載され、参照により取り込まれる。具体的な実施形態において、煤フィルターは、チャンネルが交互に遮蔽されて、ガス流が一方向(入口方向)からチャンネルへ入り、チャンネル壁を通って流れ、他方向(出口方向)からチャンネルを出て行くことを可能とする、壁流フィルター基板(wall-flow filter substrate)を含む。
【0073】
アンモニア酸化触媒は、システムからの任意のスリップしたアンモニアを除去するために、触媒製品の下流に供給され得る。具体的な実施形態において、AMOX触媒は、白金、パラジウム、ロジウム又はそれらの組合せ等の白金族金属を含み得る。さらに具体的な実施形態において、AMOX触媒は、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを含有するウォッシュコートを含み得る。
【0074】
そのようなAMOX触媒は、SCR触媒を含む排ガス処理システムにおいて有用である。同一出願人による米国特許番号5,516,497に記載された通り(この全体の内容は、参照により取り込まれる)、酸素、窒素酸化物、及びアンモニアを含有するガス流は、連続して第一及び第二の触媒を通過され、第一の触媒は窒素酸化物の還元に有利に働き、第二の触媒は過剰なアンモニアの酸化又は他の分解に有利に働く。米国特許番号5,516,497に記載された通り、第一の触媒は、ゼオライトを含むSCR触媒であり得、第二の触媒は、ゼオライトを含むAMOX触媒であり得る。
【0075】
AMOX及び/又はSCR触媒組成物は、フロースルー(flow through)、又は壁流フィルター上にコーティングされ得る。壁流基板が利用される場合、結果として生じるシステムはガス状汚染物質と共に、粒子状物質を除去することが出来るだろう。壁流フィルター基板は、コージライト、チタン酸アルミニウム、又は炭化ケイ素等の、当技術分野で一般に知られる材料から作製され得る。壁流基板上の触媒組成物の負荷量は、多孔性、及び壁厚等の基板特性に依存し、典型的にはフロースルー基板上の負荷量より低いことが理解されるだろう。
【0076】
金属のイオン交換:
窒素酸化物のSCRを促進するため、適切な金属が、ゼオライト材料中へ交換される。適切な金属は、限定されないが、銅、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、セリウム、白金、パラジウム、ロジウム及びそれらの組合せを含む。具体的な実施形態において、鉄が、ゼオライト中へイオン交換される。金属はゼオライトの製造の後に交換され得る。一以上の実施形態によれば、適合したコロイド(tailored colloid)が、構造指向剤、シリカ源、アルミナ源及び金属イオン(例えば、銅)源を含むように、金属の少なくとも一部が、適合したコロイド中に含まれ得る。
【0077】
窒素酸化物のSCRのさらなる促進のため、適切なアルカリ土類又はアルカリ金属が、銅で促進化した分子ふるい材料中へ交換される。適切なアルカリ土類又はアルカリ金属は、限定されないが、バリウム、マグネシウム、ベリリウム、カルシウム、ストロンチウム、ラジウム、及びそれらの組合せを含む。具体的な実施形態において、アルカリ土類又はアルカリ金属成分は、バリウム、マグネシウム、カルシウム、及びそれらの組合せから選択される。特に具体的な実施形態において、バリウムが銅で促進化した分子ふるい中へ交換される。金属は、分子ふるいの製造の後、交換され得る。
【0078】
金属チャバザイトを形成するためのアルカリ金属又はNH4-チャバザイト中への鉄交換:
鉄は、アルカリ金属又はNH4の8員環小孔分子ふるい中へイオン交換される。具体的な実施形態において、鉄は、アルカリ金属又はNH4-チャバザイト中へイオン交換され、Fe-チャバザイトを形成する。本発明の実施形態によれば、本発明の分子ふるい材料(ゼオライト材料又は非ゼオライト材料であり得る)が、触媒プロセスに、例えば、触媒及び/又は触媒担体として、さらに具体的には触媒として使用される。一般に、本発明の分子ふるい材料は、任意の考えられる触媒プロセスであり、少なくとも1種の有機化合物、さらに具体的には少なくとも1個の炭素-炭素及び/又は炭素-酸素及び/又は炭素-窒素結合を含む有機化合物、さらに具体的には少なくとも1個の炭素-炭素及び/又は炭素-酸素結合を含む有機化合物、さらにいっそう具体的には少なくとも1個の炭素-炭素結合を含む有機化合物の変換を伴うプロセスにおいて使用され得る。本発明の特に具体的な実施形態において、分子ふるい材料は、メタノールからオレフィンへの(MTO)反応、エチレンからプロピレンへの(ETP)反応、並びにメタノール及びエチレンの共反応(CME)の任意の一以上の反応における触媒及び/又は触媒担体として使用される。そのプロセスは、化合物を本発明の実施形態に従う触媒と接触させることを伴う。
【0079】
本発明のさらなる実施形態によれば、本発明の分子ふるい材料は、少なくとも1個の窒素-酸素結合を含む少なくとも1種の化合物の変換を伴う触媒プロセスにおいて使用される。本発明の一以上の実施形態によれば、分子ふるい材料は、窒素酸化物NOxの選択的還元のための選択的触媒還元(SCR)において;NH3の酸化のために、特にディーゼルシステムにおけるNH3スリップの酸化のため;N2Oの分解のために、触媒及び/又は触媒担体として使用される。用語窒素酸化物、NOxは、本発明に関連して使用される場合、窒素の酸化物、特に酸化二窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、三酸化二窒素(N2O3)、二酸化窒素(NO2)、四酸化二窒素(N2O4)、五酸化二窒素(N2O5)、過酸化窒素(NO3)を指定する。本発明の特に具体的な実施形態によれば、少なくとも1個の窒素-酸素結合を含む少なくとも1種の化合物の変換を伴う触媒プロセスにおいて使用される分子ふるい材料は、Feを含む。プロセスは、化合物を本発明の実施形態に従う触媒と接触させることにより遂行され得る。
【0080】
したがって、本発明はまた、適切な還元条件下で、NOxを含有する流を、本発明に従う分子ふるい材料を含有する触媒と接触させることによって、窒素酸化物NOxを選択的に還元する方法に;適切な酸化条件化で、NH3を含有する流を本発明に従うLEV型骨格構造を有する分子ふるい材料を含有する触媒と接触させることによって、NH3を酸化する、特にディーゼルシステムにおけるNH3スリップを酸化する方法に;適切な分解条件下で、N2Oを含有する流を分子ふるい材料を含有する触媒と接触させることよって、N2Oを分解する方法に;適切な条件下で、排ガス流を、分子ふるい材料を含有する触媒と接触させることによって、予混合圧縮着火(HCCI)エンジン等の高度排ガスシステムにおける排ガスを制御する方法に;分子ふるい材料を添加剤として使用する流動式接触分解FCCプロセスに;適切な変換条件下で、有機化合物を分子ふるい材料を含有する触媒と接触させることによって、有機化合物を変換する方法に;分子ふるい材料を含有する触媒が使用される、「固定汚染源」プロセスにも関連する。
【0081】
それにより、本発明の実施形態はまた、窒素酸化物NOxを選択的に還元する方法であって、窒素酸化物NOxを含有し、具体的にはアンモニア及び/又は尿素も含有するガス流が、例えば、成形触媒、具体的には分子ふるい材料が適切な耐熱性担体上に、さらにいっそう具体的には「ハニカム」担体上に被着される成形触媒としての形態等の、本発明に従う分子ふるい材料、又は本発明に従って得られる若しくは得られた分子ふるい材料と接触される方法にも関連する。
【0082】
本発明の実施形態に従って得られる又は得られた分子ふるい材料を含む触媒を使用して還元される窒素酸化物は、任意のプロセスによって、例えば排ガス流として得られ得る。とりわけ、アジピン酸、硝酸、ヒドロキシルアミン誘導体、カプロラクタム、グリオキサール、メチルグリオキサール、グリオキシル酸を製造するプロセスにおいて、又は窒素含有物質を燃焼するプロセスにおいて得られるような排ガス流が、言及され得る。
【0083】
具体的な実施形態において、分子ふるい材料、又は本発明の実施形態に従って得られる若しくは得られた分子ふるい材料は、成形触媒として、さらにいっそう具体的には、分子ふるい材料が適切な耐熱性担体上に、さらにいっそう具体的には「ハニカム」担体上に被着される成形触媒として、窒素酸化物NOxの選択的還元のために、すなわち窒素酸化物の選択的触媒還元のために使用される。特に、本発明の実施形態に従う分子ふるい材料が、触媒活性材料として使用される窒素酸化物の選択的還元は、アンモニア又は尿素の存在下で実行される。アンモニアは、固定式発電所用に選択される還元剤であるが、尿素は、移動型のSCRシステム用に選択される還元剤である。典型的に、SCRシステムは、エンジン及び車両設計中に組み込まれ、また、典型的に以下の主要要素:本発明の実施形態に従う分子ふるい材料を含有するSCR触媒;尿素貯蔵タンク;尿素ポンプ;尿素注入系(urea dosing system);尿素インジェクター/ノズル;及びそれぞれの制御装置(control unit)を含む。
【0084】
さらに具体的な実施形態は、内燃機関、特に、化学量論の燃焼に要求される量を超えて空気を有する燃焼条件、すなわち希薄運転モードで作動するディーゼルエンジンの排ガスからの窒素酸化物NOxの除去のための本発明に従う分子ふるい材料、又は本発明に従って得られる若しくは得られた分子ふるい材料を含む触媒の使用に関連する。
【0085】
したがって、本発明の実施形態はまた、内燃機関、特に、化学量論の燃焼に要求される量を超えて空気を有する燃焼条件、すなわち希薄な条件で作動するディーゼルエンジンの排ガスからの窒素酸化物NOxを除去する方法であって、本発明に従う分子ふるい材料、又は本発明に従って得られる若しくは得られた分子ふるい材料を含有する触媒が、触媒活性材料として使用される方法にも関連する。
【0086】
したがって、本発明の実施形態は、本発明の鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいの使用、特に触媒の分野における、及び/又は排ガスの処理であり、前記排ガス処理が工業及び自動車の排ガス処理を含む、排ガス処理における使用に関連する。これらの及び他の応用において、本発明の鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいは、例として、分子ふるい、触媒、及び/又は触媒担体として使用され得る。
【0087】
ここで、以下の実施例を参照して本発明を説明する。本発明のいくつかの例示の実施形態を記載する前に、本発明は、以下の記載で説明される構成又はプロセス工程の詳細によって限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態、及び種々の方法で実施又は実行することが可能である。
【実施例】
【0088】
[触媒試料の調製]
[実施例1:Fe-CHA試料の調製]
鉄は、pH約4、約2時間、約60℃でのFeイオン交換を通して、ナトリウムCHA中へ取り込ませる。その後、混合物は脱イオン水で洗浄し、ろ過し、真空/空気乾燥する。試料を、1(実施例1A)、2(実施例1B)、3(実施例1C)、5(実施例1D)、及び10(実施例1E)質量%のFe負荷量を狙って調製した。ウォッシュコートを、目標45質量%固形分スラリーを生成するように、水とFeゼオライトを混合することによって調製した。スラリーは均質である。粒径を検査し、D90が12ミクロン未満であることを確保する。バインダーとして、約5%ZrO2を、酢酸ジルコニウム溶液として添加する。
【0089】
スラリーを400cpsi(セル/平方インチ)のセル密度、及び6milの壁厚を有する、1”D×3”L多孔性セラミックコア上へコーティングした。コーティングしたコアを、110℃で、3時間乾燥し、約450℃で1時間か焼した。コーティングプロセスを1回繰り返して、2~3g/in3のウォッシュコート負荷量を得た。
【0090】
[実施例2:現場で(in situ)Fe-交換されたCHA]
別法として、現場法が、鉄で促進化した8員環小孔分子ふるいを調製するために使用され得る。例えば、適切な濃度のFe塩溶液が、水素又はアンモニウム型のSSZ-13の混合スラリーに滴加される。混合物を一晩回転させ(roll)、適切な粒径に粉状化(mill)し、実施例1に記載したようにハニカム基板上にウォッシュコートコーティングした。実施例2は、1質量%の鉄を含有した。
【0091】
[実施例3:試験(testing)]
窒素酸化物選択的触媒還元(SCR)効率及び選択性を、500ppmのNO、500ppmのNH3、10%O2、5%H2O、残余のN2を含有する供給ガス混合物を、1”D×3”L触媒コアを含有する定常状態の反応器へ加えることで測定した。反応は、80,000hr-1の空間速度で、200℃~600℃の温度範囲をわたって行なった。
【0092】
触媒の熱水安定性を、10%H2Oの存在下で、750℃で5時間、触媒コアの熱水時効を行ない、続いて、未処理の触媒コアでのSCR評価のために上記で説明した同様なプロセスによって窒素酸化物のSCR効率及び選択性を測定することによって、測定した。
【0093】
図1は、それぞれ1質量%の鉄を有する、実施例2と対比した実施例1Aについて、NO
x変換を示す。
【0094】
表1は、その結果を示す。
【0095】
【0096】
結果は、Fe-SSZ13の安定した高温性能が、>400℃で観察されることを示す。従来型の液体イオン交換されたFe-SSZ13は、低温でより高い性能を示す。
【0097】
[実施例4:種々のFe負荷量の試験]
図2は、それぞれ、1、2及び3質量%の鉄を含有する実施例1A、1B及び1Cについて、NO
x変換を比較する。結果は、Fe-負荷量で、高温性能が向上することを示す。
【0098】
[実施例5:種々の負荷量のさらなる試験]
実施例1B(2質量%)、1C(3質量%)、1D(5質量%)、及び1E(10質量%)のFe負荷量を、触媒を出るNO
x濃度及びN
2O濃度(又はN
2O生産(N
2O make))について試験した。N
2Oは温室効果ガスであり、触媒を出るN
2Oは可能な限り低いことが望まれる。
図3は、NO
x変換の結果を示す。5%及び10%を含む試料は、350℃~600℃の領域の高温だけでなく、200℃~350℃の領域の低温で、有意により良好なNO
x変換を示した。550℃で、10%Fe負荷量の試料のNO
x変換は、数パーセントより高い水準であった。
【0099】
図4は、5%以上のFeを含む実施例1D及び1Eについて、N
2Oにおける還元における劇的な向上を示す。
【0100】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「ある実施形態」、「一以上の実施形態」又は「実施形態(an embodiment)」への言及は、その実施形態に関連して記載した特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して、様々な箇所における「一以上の実施形態において」、「ある実施形態において」、「一実施形態において」、「実施形態において(in an embodiment)」 等の状況は、必ずしも本発明の同一の実施形態に言及するものではない。また、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、一以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせられ得る。
【0101】
本明細書において、本発明は、特定の実施形態に言及して記載されているが、これらの実施形態は、単に、本発明の本質及び応用の実例となるものであることが理解されるべきである。種々の変更及び変形が、本発明の精神及び範囲から逸脱すること無しに、本発明の方法及び装置に行なわれることは、当業者に明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内にある変更及び変形を含むことが意図される。