(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20220614BHJP
B66B 11/02 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
B66B3/00 K
B66B11/02 N
B66B11/02 P
(21)【出願番号】P 2021022152
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【氏名又は名称】福屋 好泰
(74)【代理人】
【識別番号】100176016
【氏名又は名称】森 優
(74)【代理人】
【識別番号】100182121
【氏名又は名称】三宅 紘子
(72)【発明者】
【氏名】物部 愛
(72)【発明者】
【氏名】藤田 捺未
(72)【発明者】
【氏名】北村 美和子
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-143684(JP,A)
【文献】特開2018-2427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
B66B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごの行先階の登録操作を行う機能を有する第1行先階操作部と、前記行先階の登録操作を行う機能を有し前記第1行先階操作部を介して登録操作を行う場合よりも前記行先階における前記乗りかごの戸開時間が延長されるように設定された第2行先階操作部とを含むエレベータであって、
前記行先階を表示するための表示部と、
前記第1行先階操作部を介して登録操作が行われた前記行先階と、前記第2行先階操作部を介して登録操作が行われた前記行先階とを判別可能な態様で前記表示部に表示させる制御部と、を備えることを特徴とする、
エレベータ。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2行先階操作部を介して登録操作が行われた前記行先階における前記乗りかごの戸開時間が延長されることを示唆する態様で前記表示部に前記行先階を表示させる、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2行先階操作部を介して前記行先階の登録操作が行われた場合に、前記第2行先階操作部を介して登録操作が行われた前記行先階を示す数字と関連付けた態様で所定の利用者を模したマークを前記表示部に表示させる、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2行先階操作部を介して登録操作が行われた前記行先階に停止する場合には、前記乗りかごの戸開時間が延長される旨のメッセージを前記表示部に表示させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1行先階操作部を介して登録操作を受け付けた前記行先階に対して前記第2行先階操作部を介して登録操作がなされた場合には、前記第1行先階操作部を介して行われた前記行先階の登録操作に代えて前記第2行先階操作部を介して行われた前記行先階の登録操作を受け付ける、
請求項1から4のいずれか1項に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに関し、特に、エレベータの行先階表示に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車椅子利用者がエレベータを利用する場合には、補助者が車椅子を押す、或いは、車椅子利用者が車椅子を自走させるなどして車椅子を前進または後退させることにより乗りかごに乗降する必要がある。このため、一般利用者よりも乗りかごに乗降するために時間を要する場合が多い。また、車椅子利用者の他、身体障害者や小さな子供連れの利用者など一般利用者よりも乗りかごの乗降に時間を要する利用者がエレベータを利用する場合もある。
【0003】
このような事情から、一般利用者が利用する際に行先階の登録操作を行うための一般利用者用操作盤の他に、車椅子利用者など一般利用者よりも乗降に時間を要する利用者が利用することを想定した延長機能付き操作盤が設置されたエレベータもある。
【0004】
この延長機能付き操作盤を介して登録操作が行われた行先階では、例えば、かご扉の戸閉速度が低速となる、或いは、かご扉が完全に戸開した状態となる時間が一般利用者用操作盤を介して登録操作を行った場合よりも延長されることによりかご扉が戸開し始めてから完全に戸閉するまでの時間、すなわち、戸開時間が延長されるように設定されている。
【0005】
しかしながら、例えば、車椅子利用者が登録操作を行う前に訪問予定の行先階が既に他の利用者によって停止予定階として行先階登録されているような場合もある。このような場合には既に登録されている停止予定階が一般利用者用操作盤および延長機能付き操作盤のいずれを介して登録操作がなされたものか車椅子利用者は確認することができない。そのため、かご扉の戸開時間が延長されるのかどうか確認できない状態で訪問予定の行先階で乗りかごを降りる場合も起こり得るため車椅子利用者など一般利用者よりも乗りかごの乗降に時間を要する利用者にとって不便な場合もある。
【0006】
この点に関し、特許文献1には、乗りかごの昇降方向や現在位置とともに、操作盤を介して登録操作が行われた行先階などをまとめて表示することにより、利用者が乗りかごの停止予定階などを確認しやすくしたエレベータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載のエレベータでは、停止予定階(行先階)が一般利用者用操作盤(第1行先階操作部)または延長機能付き操作盤(第2行先階操作部)のどちらから行われた操作によって登録されているのか確認できないため、上記行先階で戸開時間が延長されるのか否かを利用者が予め把握することができないという問題がある。
【0009】
本発明は、停止予定階における乗りかごの戸開時間が異なる長さとなるように各々設定された行先階操作部を備えるエレベータにおいて、停止予定階で乗りかごの戸開時間が延長されるのか否か利用者が予め把握することができるエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のエレベータは、乗りかごの行先階の登録操作を行う機能を有する第1行先階操作部と、行先階の登録操作を行う機能を有し第1行先階操作部を介して登録操作を行う場合よりも行先階における乗りかごの戸開時間が延長されるように設定された第2行先階操作部とを含むエレベータであり、行先階を表示するための表示部と、第1行先階操作部を介して登録操作が行われた行先階と、第2行先階操作部を介して登録操作が行われた行先階とを判別可能な態様で表示部に表示させる制御部と、を備えるものである。
【0011】
本発明のエレベータにおいて、制御部は、第2行先階操作部を介して登録操作が行われた行先階における乗りかごの戸開時間が延長されることを示唆する態様で表示部に行先階を表示させてもよい。
【0012】
また、本発明のエレベータにおいて、第2行先階操作部を介して行先階の登録操作が行われた場合に、第2行先階操作部を介して登録操作が行われた行先階を示す数字と関連付けた態様で所定の利用者を模したマークを表示部に表示させてもよい。
【0013】
また、本発明のエレベータにおいて、制御部は、第2行先階操作部を介して登録操作が行われた行先階に停止する場合には、乗りかごの戸開時間が延長される旨のメッセージを表示部に表示させてもよい。
【0014】
また、本発明のエレベータにおいて、制御部は、第1行先階操作部を介して登録操作を受け付けた行先階に対して第2行先階操作部を介して登録操作がなされた場合には、第1行先階操作部を介して行われた行先階の登録操作に代えて第2行先階操作部を介して行われた行先階の登録操作を受け付けてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るエレベータによれば、第1行先階操作部を介して登録操作を受け付けた行先階と、第2行先階操作部を介して登録操作が行われた行先階とを判別可能な態様で表示することができる。これにより、行先階で乗りかごの戸開時間が延長されるのか否かを予め利用者が把握すること可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るエレベータの全体構成図である。
【
図2】
図1に含まれる乗りかご内に設置された一般利用者用操作盤および延長機能付き操作盤の配置構成を示す図である。
【
図3】
図2に含まれる一般利用者用操作盤の全体構成と同操作盤の一部構成を拡大して示す図である。
【
図4】
図4(a)は、
図3に含まれる表示部に行先階の個数が5つの場合に表示される案内表示を示す図である。
図4(b)は、
図4(a)と同様に、行先階の個数が2つの場合に表示部に表示される案内表示を示す図である。
図4(c)は、
図4(a)と同様に、行先階の個数が7つの場合に表示部に表示される案内表示を示す図である。
【
図5】
図2に含まれる延長機能付き操作盤の構成を示す図である。
【
図6】延長機能付き操作盤を介して行先階の登録操作が行われた場合の制御装置における登録受付処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】一般利用者用操作盤の表示部に表示される案内表示の第1変形例に係る戸開時間が延長される旨のメッセージが表示された表示態様を示す図である。
【
図8】
図8(a)は、延長機能付き操作盤を介して登録操作が行われた行先階がある場合に一般利用者用操作盤の表示部に表示される案内表示の第2変形例を示す図である。
図8(b)は、延長機能付き操作盤を介して登録操作が行われた行先階がある場合に一般利用者用操作盤の表示部に表示される案内表示の第3変形例を示す図である。
図8(c)は、延長機能付き操作盤を介して登録操作が行われた行先階がある場合に一般利用者用操作盤の表示部に表示される案内表示の第4変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態であるエレベータ10について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、図中に示す「X」は駆動シーブ16Aの軸方向と直交する方向と略平行をなす水平方向Xを示し、「Y」は略鉛直方向である上下方向「Y」を示し、「Z」は駆動シーブ16Aの軸方向と略平行をなす水平方向Zを示すものとする。
【0018】
図1に示すように、エレベータ10は、昇降路12の最上部に機械室14を有するトラクション式エレベータであって、例えば、病院や介護施設など公共の建物に設置される。機械室14に設置された巻上機16の駆動シーブ16A及びそらせ車16Bには主ロープ19が掛け渡されている。そして、この主ロープ19の一端側に乗りかご20が連結され、他端側にカウンターウェイトWが連結されている。
【0019】
また、機械室14には、エレベータ10の運転を統括的に制御する制御装置15が備えられている。制御装置15は、乗りかご20内に設置されている一般利用者用操作盤(後段にて詳述)や延長機能付き操作盤(後段にて詳述)、各階の乗場26に設置されている呼び釦(不図示)を介して行われる行先階の登録操作に基づいて巻上機16の駆動を制御し乗りかご20を昇降させる。
【0020】
巻上機16のモータ(不図示)からの回転動力が、動力伝達機構(不図示)を介して駆動シーブ16Aに伝達され、駆動シーブ16Aが回転駆動されるとこれに伴って主ロープ19が走行し、主ロープ19に吊り下げられた乗りかご20が、ガイドレール(不図示)に案内されて昇降路12を上下方向Yに沿って移動する。
【0021】
エレベータ10が設置された建物には、異なる階毎に乗場26A,26B,26C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は適宜「乗場26」と表記)が設けられており、エレベータ10の運転中、乗りかご20は、現在、着床している階の乗場(
図1では、乗場26A)から、次の行先階の乗場(例えば、乗場26C)までの昇降移動を繰り返す。
【0022】
図2は、乗りかご20のかご内の様子を示す斜視図である。
図2に示すように、乗りかご20は左右両開き式のかご扉22A,22Bが正面側の乗降口22に設置されている。かご扉22A,22Bは、制御装置15を介して開閉動作が制御される。また、かご扉22A,22Bに隣接する袖壁20-1には、一般利用者用操作盤(第1行先階操作部)30が設置されている。乗りかご20の左右両側面を構成する側壁20-2,20-3には、各々延長機能付き操作盤(第2行先階操作部)50,51が設置されている。
【0023】
各延長機能付き操作盤50,51は、車椅子利用者や、視覚障害者など一般利用者よりも乗降に時間を要する利用者が使用することを想定して設置されている操作盤である。このため、両操作盤50,51は、車椅子利用者が操作を行いやすいよう、やや低い位置に、横長となるように設けられている。本実施形態では、乗りかご20内に延長機能付き操作盤50,51を2つ備えているが、同操作盤を1つだけ備えてもよいし、3つ以上備えてもよい。
【0024】
ここで、
図3は、一般利用者用操作盤30の構成と同操作盤30の一部構成を拡大して示す図である。
図3に示すように、一般利用者用操作盤30は、中央部に行先階操作領域32が設けられており、同領域32の直上方に上述した制御装置15によって表示内容が制御される表示部34が設けられている。表示部34は、液晶パネルなどで構成される。また、行先階操作領域32の直下方には、かご扉22A,22B(
図2参照)を戸開させるための戸開釦36と、かご扉22A,22Bを戸閉させるための戸閉釦38とが各々設けられている。一般利用者用操作盤30には表示部34と行先階操作領域32の間に、故障時などに外部の管理センターなどに連絡するための非常通報釦EM1が設けられる。また、
図3に破線で示すように、一般利用者用操作盤30には各種音声案内を行うためのスピーカSPも内蔵されている。
【0025】
図3に示すように、行先階操作領域32には、押釦41A,41B,41C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は「押釦41」と表記)が上下方向Yに沿って配置される。各押釦41は、各階の乗場26に対応しており、正面視において円状の外観形状を有する。本実施形態では、1階から8階が行先階となる構成になっており、例えば、押釦41Bは、2階を行先階として決定するための操作を受け付ける役割を有する。
【0026】
各押釦41には、
図3に示すように、押釦41A,41B,41C,…の正面側に行先階を示す数字の形を模した階数表示部43A,43B,43C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は「階数表示部43」と表記)が設けられており、各押釦41内部に設けられた不図示のランプが点灯することによって階数表示部43が点灯するように構成される。そして、各押釦41を押すことにより行先階の登録が制御装置15に受け付けられると、制御装置15を介して階数表示部43が点灯するように制御される。
【0027】
また、各押釦41の縁部分には、階数表示部43と同様に、行先階の登録が制御装置15に受け付けられると制御装置15によって点灯するように制御されるリング状の点灯部44A,44B,44C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は「点灯部44」と表記)が設けられている。
【0028】
なお、
図3では、ハッチングを付すことにより各階数表示部43および各点灯部44のうち、3階,4階,5階,7階,8階に対応する階数表示部および点灯部が各々点灯した状態を示している。
【0029】
続いて、
図4(a)を用いて、上述した一般利用者用操作盤30の表示部34に表示される案内表示の態様について説明を行う。
図4(a)は
図3に含まれる表示部34に表示される案内表示の表示態様を示すものである。なお、
図4(a)では、周囲と異なる背景色で表示される部分にハッチングを付して示している。
【0030】
図4(a)に示すように、表示部34には、乗りかご20の現在位置や昇降方向、日付などの情報を表示する上部表示エリア34-1と、各操作盤30,50,51などを介して行われた登録操作が制御装置15に受け付けられた行先階(以下、「停止予定階」と適宜表記する)などを表示する下部表示エリア34-2とが設けられている。
【0031】
図4(a)に示すように、下部表示エリア34-2では、全ての停止予定階、すなわち、一般利用者用操作盤30および延長機能付き操作盤50,51を介して登録操作が行われた行先階が停止予定階順に並んだ状態で一覧表示される。また、制御装置15は、停止予定階に乗りかご20が到着したタイミングや、新たな行先階登録を受け付けたタイミングなど停止予定階に変更が生じたタイミングで、適宜、表示部34の下部表示エリア34-2における停止予定階の表示を更新する。停止予定階は、
図4(a)に示すように、表示すべき行先階の個数が4つ以上6つ以下の場合は同じ大きさの四角枠を横方向に3つずつ並べた状態で、上下2段で表示され、同四角枠内に停止予定階の階数を示す数字が各々表示される。
【0032】
また、下部表示エリア34-2において、延長機能付き操作盤50,51を介して登録を受け付けた行先階(以下、「戸開延長登録階」と簡略的に適宜表現する)では、行先階を示す数字を囲む四角枠内に車椅子マークMが表示される。この車椅子マークMは、車椅子利用者(所定の利用者)を模したマークであり、戸開時間、すなわち、乗りかご20のかご扉22A,22Bが戸開し始めてから完全に戸閉するまでの時間が延長される戸開延長モード(後段にて詳述)が実行されることを示唆する役割を有する。
【0033】
このように戸開延長登録階を示す数字と同じ四角枠内に車椅子マークMを表示することで戸開延長登録階と関連付けて表示することにより、両操作盤50、51が車椅子利用者や身障害者など一般利用者よりも乗降に時間を要する利用者向けの操作盤であることを示すことができる。これにより、両操作盤50,51が車椅子利用者など乗降に時間を要する利用者向けの操作盤であると認識しやすくなるため、不必要に一般利用者が両操作盤50,51を介して行先階の登録操作を行ってしまうということを抑制できる。
【0034】
また、車椅子マークMを付して表示されている停止予定階に停止したときに戸開時間が延長されることにより、同マークMの表示されている停止予定階、すなわち、延長機能付き操作盤50,51から登録操作を行った行先階では戸開時間が延長されるということを利用者が認識しやすくなるという効果もある。
【0035】
本実施形態では、延長機能付き操作盤50,51を介して登録操作を行った場合に車椅子マークMを表示しているが、同マークM以外に、例えば、杖をつく老人を模したマークや、脚を骨折した人が松葉杖をついている姿を模したマーク、妊婦を模したマーク、小さな子供と母親が手を繋いているマークなど、延長機能付き操作盤50,51の利用者として想定される他の利用者を模したマークを用いてもよい。なお、上記他の利用者を模したマークを用いる場合には、後段にて詳述する延長機能付き操作盤50,51の登録受付表示部68にも上記他の利用者を模したマークと同一のマークを車椅子マークMの代わりに表示するのが好ましい。
【0036】
さらに、
図4(a)において、ハッチングを付して示すように、戸開延長登録階を示す数字を囲む四角枠内を周囲と異なる背景色(本実施形態では、一例として青色)で表示するようにしてもよい。これにより、延長機能付き操作盤50,51を介して登録を受け付けた行先階(
図4(a)では、一例として3階および7階)と、一般利用者用操作盤30を介して登録を受け付けた行先階とを判別可能な状態で表示できる。
【0037】
ここで、
図4(b)は停止予定階の個数が3つ以下の場合における表示部34の表示態様を同図(a)と同様に示すものであり、同様に、
図4(c)は、停止予定階の個数が7つ以上の場合における表示部34の表示態様を示すものである。
図4(b)および
図4(c)では、
図4(a)と同様に、周囲と異なる背景色で表示される部分にハッチングを付して示している。
【0038】
図4(b)に示すように、表示すべき停止予定階の個数が3つ以下の場合は同じ大きさの四角枠が横方向に3つ並んだ状態で表示され、同四角枠内に停止予定階の階数を示す数字が各々表示される。そして、
図4(c)に示すように、表示すべき停止予定階の個数が7つ以上の場合には、
図4(a)や
図4(b)の場合よりもやや小さい四角枠が横方向に4つずつ並んだ状態で、上下2段で表示され、各四角枠内に行先の階数を示す数字が各々表示される。
【0039】
図4(b)および
図4(c)に示すように、表示すべき行先階の個数が3つ以下、あるいは、7つ以上の場合においても、
図4(a)の場合と同様に、戸開延長登録階には車椅子マークMが各々表示される。
【0040】
本実施形態では、戸開時間が延長されることを示唆するために戸開延長登録階を示す数字を囲む四角枠内に、車椅子マークMを表示するとともに周囲と異なる背景色で表示しているが、車椅子マークMを表示せずに、背景色のみ周囲と異なる色(一例として、後段にて詳述するマーク表示部69の地色と同色)で表示させるようにしてもよい。この場合にも、延長機能付き操作盤50,51を介して行われた登録操作と、一般利用者用操作盤30を介して行われた登録操作とを判別することができる。
【0041】
図5は、延長機能付き操作盤51の構成を示す図である。
図5では、ハッチングを付して点灯領域を示している。ここで、各延長機能付き操作盤50,51の構成は同一であるため、以下の説明では、主に延長機能付き操作盤51について説明を行い、延長機能付き操作盤50については適宜説明を省略する。
【0042】
図5に示すように、延長機能付き操作盤51は、上述した一般利用者用操作盤30と同様に行先階の登録操作を行う機能を有する。そして、延長機能付き操作盤51を介して登録操作を行った行先階、すなわち、戸開延長登録階が制御装置15に登録されると、同戸開延長登録階に乗りかご20が停止したときにかご扉22A,22Bの戸開時間が延長される戸開延長モードが制御装置15によって実行される。
【0043】
戸開延長モードは、一般利用者用操作盤30を介して登録操作を行った場合よりもかご扉22A,22Bの戸開時間、すなわち、かご扉22A,22Bが戸開し始めてから完全に戸閉するまでの時間が長くなるように設定されたモードである。この戸開延長モードには、一般利用者用操作盤30を介して登録操作が行われる場合よりも、かご扉22A,22Bの戸閉速度が低速となることにより戸開時間が延長されるモードや、かご扉22A,22Bが完全に戸開した状態となる時間を長く設定することにより戸開時間が延長されるモードが含まれる。
【0044】
図5に示すように、延長機能付き操作盤51には、行先階操作領域62が中央部に設けられている。この行先階操作領域62には、上述した各押釦41と同一の構成を各々備える押釦61A,61B,61C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は「押釦61」と表記)が水平方向Xに沿って配置される。
【0045】
各押釦61は、各階の乗場26に対応しており、上述した階数表示部43と同一の構成を含む階数表示部63と、点灯部44と同一の構成を含む点灯部64を備える。なお、
図5では、一例として3階および7階に対応する階数表示部63および点灯部64が点灯している状態を示している。
【0046】
また、行先階操作領域62の直上方には、乗りかご20の昇降方向や現在位置を示す液晶パネルなどで構成された表示部66が設けられている。そして、正面視において、表示部66の右隣には、登録受付表示部68が設けられている。
【0047】
図5に示すように、登録受付表示部68には、中心部に略四角形状を呈するマーク表示部69が設けられている。このマーク表示部69は、例えば、シール、換言すると糊付きのフィルムや紙を登録受付表示部68に貼り付けて構成してもよい。また、マーク表示部69の地色は予め設定された色(例えば、青色)で構成され、中央部に車椅子マークMが例えば白色で表示される。
【0048】
なお、上述した一般利用者用操作盤30の下部表示エリア34-2に表示される戸開延長登録階を示す数字を囲む四角枠内の背景色(
図4(a)~
図4(c)に示すハッチング部分参照)を、マーク表示部69の地色と同じ色としてもよい。これにより、延長機能付き操作盤50,51を介して登録を受け付けた行先階と、一般利用者用操作盤30を介して登録を受け付けた行先階とをより判別しやすい状態で表示することが可能となる。
【0049】
また、延長機能付き操作盤51の各押釦61の色、すなわち、各押釦61の階数表示部63を除く表面の色を、上述したマーク表示部69の地色と同じ色としてもよい。これにより、マーク表示部69の地色と各押釦61の色に共通性を持たせることができる。この結果、延長機能付き操作盤50,51が車椅子利用者など特定の利用者向けの操作盤であるということを利用者によりアピールしやすくなる。
【0050】
さらに、登録受付表示部68には、マーク表示部69を取り囲む四角枠状に形成される四角枠点灯部68Aと、同点灯部68Aおよびマーク表示部69との間に配置された「開延長」の文字を模して構成された文字点灯部68Bと、が含まれる。両点灯部68A,68Bは、延長機能付き操作盤51の各押釦61や延長機能付き操作盤50の各押釦61と同様の機能を有する押釦を介して行われた行先階の登録操作を制御装置15が受け付けると、制御装置15を介して点灯するように制御される。
【0051】
これにより、延長機能付き操作盤50,51を介して利用者が行先階の登録操作を行ったときに、同操作が受け付けられていることを利用者に報知することができる。
【0052】
本実施形態において、延長機能付き操作盤51に設けられた押釦61における階数表示部63以外の点灯部、すなわち、点灯部64(
図5参照)の点灯色を延長機能付き操作盤51のマーク表示部69に表示された車椅子マークMの背景色と同色(例えば、青色)としてもよい。これにより、延長機能付き操作盤50,51を介して行われた登録操作と、一般利用者等操作盤30を介して行われた登録操作をさらに判別しやすくさせることができる。
【0053】
また、行先階操作領域62の直下方には、一般利用者用操作盤30と同様に、非常通報釦EM2や、戸開釦72、戸閉釦74が設けられている。
【0054】
ここで、上述した両操作盤30,51の点灯表示機能の相違する部分について説明を行う。一般利用者用操作盤30は、同操作盤30および延長機能付き操作盤51を介して行われた行先階の登録操作が制御装置15に受け付けられると、これに連動して登録操作が受け付けられた行先階に対応する押釦41(
図3参照)の各点灯部44,46(
図3参照)が各々点灯するように構成されている。このように、制御装置15に受け付けられた全ての行先階の登録操作に対応して各押釦41が点灯することで、全ての停止予定階を確認できるように構成されている。
【0055】
一方、延長機能付き操作盤51は、
図5に示すように、両操作盤50,51を介して行われた行先階の登録操作が制御装置15に受け付けられると、これに連動して登録操作が受け付けられた行先階に対応する押釦61の階数表示部63および点灯部64を点灯させるとともに、登録受付表示部68の両点灯部68A,68Bが点灯していない場合には点灯させる。このように、延長機能付き操作盤51では、両操作盤50,51を介して登録操作が行われた戸開延長登録階のみ点灯するように構成される。
【0056】
図6は、延長機能付き操作盤50,51を介して行先階の登録操作が行われた場合に、制御装置15が登録操作を受け付けるときの制御処理の流れを示すフローチャートである。なお、両操作盤50,51を介して行先階の登録操作を行う場合の制御処理の流れは略同一であるため、以下の説明では延長機能付き操作盤51を介して行先階の登録操作が行われた場合についてのみ説明を行い、延長機能付き操作盤50については適宜説明を省略する。
【0057】
図6に示すように、制御装置15は、延長機能付き操作盤51を介して行先階の登録操作が行われると(ステップS1:YES)、登録操作が行われた行先階が登録可能な行先階であるか否かを判断する(ステップS2)。ここで、登録可能な行先階には、例えば、延長機能付き操作盤51を介して既に登録操作が受け付けられている行先階や、乗りかご20が停止(着床)している状態の場合には乗りかご20の停止階、乗りかご20が停止しないように予め設定されている不停止階などに該当しない行先階が含まれる。
【0058】
図6に示すように、制御装置15は、一般利用者用操作盤30を介して既に登録操作が受け付けられた行先階に該当しない場合は(ステップS3:NO)、延長機能付き操作盤51を介して登録操作が行われた行先階の登録を受け付ける(ステップS5)。一方、制御装置15は、延長機能付き操作盤51を介して登録操作がなされた行先階が一般利用者用操作盤30を介して既に登録操作が受け付けられた行先階である場合には(ステップS3:YES)、既に受け付けている登録操作を取り消して延長機能付き操作盤51からの登録操作を受け付ける(ステップS4)。このように、一般利用者用操作盤30よりも延長機能付き操作盤51からの登録操作を優先的に受け付けることにより、既に同操作盤30を介して登録操作が行われている行先階においても同行先階に乗りかご20が停止したときに戸開延長モードを実行することが可能となる。
【0059】
そして、制御装置15は、一般利用者用操作盤30の表示部34に表示される案内表示(
図4(a)参照)を更新し、ステップS4またはステップS5で登録を受け付けた戸開延長登録階を車椅子マークMとともに表示部34の下部表示エリア34-2に追加表示させる(ステップS6)。また、制御装置15は、各操作盤30,51の行先階に対応する押釦41,61における階数表示部43,63および点灯部44,64を点灯させる(ステップS7)。この際、制御装置15は、延長機能付き操作盤50における上記階数表示部63および上記点灯部64と同一の機能を有する階数表示部および点灯部についても点灯させる(ステップS7)。
【0060】
次に、制御装置15は、延長機能付き操作盤51の登録受付表示部68の両点灯部68A,68Bが点灯していない場合には両点灯部68A,68Bを点灯させる(ステップS8:NO,ステップS9)。また、制御装置15は、延長機能付き操作盤50の両点灯部68A,68Bと同一の機能を有する各点灯部についても点灯していない場合には点灯させ、一連の制御処理を終了する(ステップS8:NO,ステップS9)。
【0061】
本実施形態のエレベータ10によれば、一般利用者用操作盤30を介して登録操作が行われた行先階と、延長機能付き操作盤50,51を介して登録操作が行われた行先階(戸開延長登録階)とを判別可能な態様で表示することができる。
【0062】
これにより、乗りかご20のかご扉22A,22Bの戸開時間が行先階で延長されるのか否かを行先階に乗りかご20が到着する前に予め利用者が把握することが可能となる。この結果、利用者の利便性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態のエレベータ10によれば、各操作盤30,50,51のうち延長機能付き操作盤50,51を介して登録操作が行われた行先階、すなわち、戸開延長登録階で戸開延長モードが実行されることを示唆するために車椅子マークMとともに戸開延長登録階を表示部34に表示させる。これにより、延長機能付き操作盤50,51を介して行先階の登録操作を行うと乗りかご20の戸開時間が延長されるということを利用者が認識しやすくなる。この結果、戸開時間を延長する必要が無い場合に、延長機能付き操作盤50,51を介して行先階の登録操作を一般利用者などが不必要に行ってしまうことを抑制できる。
【0064】
上記実施形態では、制御装置15は、戸開延長登録階を判別可能な態様で一般利用者用操作盤30の表示部34に案内表示を表示させることにより同戸開延長登録階で戸開時間が延長されることを利用者に報知しているが、本発明はこれに限定されるものではない。ここで、
図7は、表示部34に表示される案内表示の第1変形例に係る表示態様を示す図であり、この表示態様では下部表示エリア34-2に戸開時間が延長される旨の文字メッセージが表示される。例えば、
図7に示すように、戸開時間が延長される旨の文字メッセージを乗りかご20が戸開延長登録階に到着する直前から同戸開延長登録階で乗りかご20のかご扉22A,22Bが戸閉するまでの間だけ
図4(a)に示す停止予定階が一覧表示された案内表示の代わりに一時的に表示させてもよい。この際、上記メッセージとともに車椅子マークMを表示するようにしてもよい。また、同時に、制御装置15は、
図5に示す延長機能付き操作盤51の四角枠点灯部68Aと文字点灯部68Bとを点滅表示させるようにしてもよい。
【0065】
上記構成により、利用者に対して戸開時間が延長されることをより分かりやすく報知することが可能となる。
【0066】
なお、制御装置15は、上記メッセージを表示部34に表示するとともにスピーカSP(
図3参照)を介して戸開時間が延長される旨を案内する案内音声を放送させるようにしてもよい。
【0067】
上記実施形態では、一般利用者用操作盤30の表示部34において、下部表示エリア34-2に延長機能付き操作盤50,51から登録操作を受け付けた行先階を示す数字を囲む四角枠内に車椅子マークMを表示することにより戸開延長登録階であることが判別可能な表示態様としている。しかしながら、車椅子マークMの表示態様はこれに限定されず、例えば、
図8(a)~
図8(c)に各々示す第2~第4変形例に係る案内表示の表示態様でもよい。なお、
図8(a)~
図8(c)において、ハッチングを付して周囲と異なる色で表示される領域を示している。
【0068】
図8(a)は、戸開延長登録階がある場合に、下部表示エリア34-2に表示される行先階の左側に四角枠で囲まれた車椅子マークMを表示し、そして、車椅子マークMを囲む四角枠内と戸開延長登録階を示す数字(一例として、3階および7階の場合を図示)を囲む四角枠内を同じ背景色で表示させる表示態様を示している。
【0069】
図8(b)は、
図8(a)と同様に、下部表示エリア34-2に行先階を表示し、各行先階のうち戸開延長登録階(一例として、3階および7階の場合を図示)を示す数字部分と車椅子マークMを囲む四角枠内とを同じ色で表示する表示態様を示している。
【0070】
また、
図8(c)は、下部表示エリア34-2に各行先階を横一列で表示し、このうち戸開延長登録階(一例として、3階および7階の場合を図示)を示す数字の下に各々車椅子マークMを表示し、同マークMを囲む四角枠内と各戸開延長登録階を示す数字部分とを同じ色で各々表示する表示態様を示している。
【0071】
上記実施形態では、第1行先階操作部および第2行先階操作部を各々一般利用者用操作盤30と延長機能付き操作盤51で構成した例を挙げて説明しているが、両操作盤30,51のうちいずれか一方、あるいは、双方をタッチパネルなどに映像として表示させて行先階の登録操作を行うようにしてもよい。
【0072】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0073】
10 エレベータ
15 制御装置(制御部)
20 乗りかご
22 乗降口
22A,22B かご扉
30 一般利用者用操作盤(第1行先階操作部)
34 表示部
41,41A,41B,41C 押釦
43,43A,43B,43C 階数表示部
44,44A,44B,44C 点灯部
50,51 延長機能付き操作盤(第2行先階操作部)
61,61A,61B,61C 押釦
63 階数表示部
64 点灯部
66 表示部
68 登録受付表示部
68A 四角枠点灯部
68B 文字点灯部
69 マーク表示部
S1~S9 ステップ
X,Z 水平方向
Y 上下方向
【要約】
【課題】停止予定階における乗りかごの戸開時間が異なる長さとなるように各々設定された行先階操作部を備えるエレベータにおいて、停止予定階で乗りかごの戸開時間が延長されるのか否か利用者が予め把握することができるエレベータを提供する。
【解決手段】エレベータ10は、一般利用者用操作盤30と、一般利用者用操作盤30のよりも戸開時間が延長されるように設定された延長機能付き操作盤50,51とを備え、行先階を表示する表示部34(
図3参照)と、一般利用者用操作盤30を介して登録操作が行われた行先階と延長機能付き操作盤50,51を介して登録操作がなされた行先階とを判別可能な態様で表示部34に表示させる制御装置15(
図1参照)とを備える。
【選択図】
図2