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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】搬送機器
(51)【国際特許分類】
   B65G 23/02 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
B65G23/02 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017115051
(22)【出願日】2017-06-12
(65)【公開番号】P2019001558
(43)【公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-05-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509112844
【氏名又は名称】日本クッカリー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591109094
【氏名又は名称】アサヒ装設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今田 ロドリゴ
(72)【発明者】
【氏名】駒津 光昭
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-122416(JP,A)
【文献】実公昭46-004509(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を加熱調理する加熱装置に食品を搬送する搬送機器であって、
コンベヤと、シート部材と、伸縮部材とを有し、
前記シート部材が前記伸縮部材によって前記コンベヤに固定されており、
前記コンベヤは、搬送方向に垂直な複数のバーを有するバーコンベヤであることを特徴とする搬送機器。
【請求項2】
前記シート部材は、前記シート部材の幅方向の両端部にハトメを複数有しており、
前記ハトメに前記伸縮部材が設けられている請求項1に記載の搬送機器。
【請求項3】
前記伸縮部材が設けられている前記ハトメの両隣の前記ハトメの少なくとも一方は、前記伸縮部材が設けられていない請求項2に記載の搬送機器。
【請求項4】
複数の前記ハトメが前記シート部材の長さ方向に設けられている最大間隔は、複数の前記ハトメが前記シート部材の長さ方向に設けられている最小間隔の10倍以上30倍以下である請求項2または3に記載の搬送機器。
【請求項5】
前記コンベヤは、前記コンベヤの幅方向の両端部に穴を複数有しており、
前記穴に前記伸縮部材が設けられている請求項1~4のいずれか一項に記載の搬送機器。
【請求項6】
前記ハトメの数は、前記穴の数よりも少ない請求項5に記載の搬送機器。
【請求項7】
前記ハトメの内径は、前記穴の内径よりも小さい請求項5または6に記載の搬送機器。
【請求項8】
前記シート部材の長さ方向に設けられている複数の前記ハトメの最小間隔は、前記コンベヤの長さ方向に設けられている複数の前記穴の間隔よりも小さい請求項5~7のいずれか一項に記載の搬送機器。
【請求項9】
前記シート部材の長さ方向に設けられている複数の前記ハトメの最大間隔は、前記コンベヤの長さ方向に設けられている複数の前記穴の間隔よりも大きい請求項5~8のいずれか一項に記載の搬送機器。
【請求項10】
前記伸縮部材の長さは、前記シート部材の長さ方向に設けられている複数の前記ハトメの最小間隔よりも大きい請求項2~9のいずれか一項に記載の搬送機器。
【請求項11】
前記伸縮部材の外径は、前記穴の内径よりも大きい請求項5~10のいずれか一項に記載の搬送機器。
【請求項12】
前記シート部材は、前記シート部材の端部に補強布が設けられており、
前記補強布に前記ハトメが設けられている請求項2~11のいずれか一項に記載の搬送機器。
【請求項13】
前記コンベヤに、複数の前記シート部材が固定されている請求項1~12のいずれか一項に記載の搬送機器。
【請求項14】
前記シート部材の長さ方向の端部が、前記バーに固定されている請求項1~13のいずれか一項に記載の搬送機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送機器に関するものであり、詳細にはコンベヤを有する搬送機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食店や学校の調理場、食品加工工場等において、食品を大量に加熱調理する際に用いる加熱装置に、食品を搬送する搬送機器が使用されている。一般的な搬送機器としては、無端コンベヤの全周にシートを取り付けた搬送機器が知られている(例えば、特許文献1~2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-155662号公報
【文献】特開2014-90904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1~2に記載されているような構造の搬送機器では、食品の搬送中にコンベヤに取り付けられたシートが蛇行することによって、シートが他物に接触し、シートが傷みやすいという問題があった。また、食品の加熱時にコンベヤに使用されている金属が膨張することにより、コンベヤに取り付けられたシートも引き伸ばされて荷重が加わり、シートが破損しやすいという問題もあった。
【0005】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンベヤに取り付けられたシートが破損しにくい搬送機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の搬送機器は、コンベヤと、シート部材と、伸縮部材とを有し、シート部材が伸縮部材によってコンベヤに固定されていることを特徴とするものである。
【0007】
上記の搬送機器において、シート部材は、シート部材の幅方向の両端部にハトメを複数有しており、ハトメに伸縮部材が設けられていることが好ましい。
【0008】
上記の搬送機器において、伸縮部材が設けられているハトメの両隣のハトメの少なくとも一方は、伸縮部材が設けられていないことが好ましい。
【0009】
上記の搬送機器において、複数のハトメがシート部材の長さ方向に設けられている最大間隔は、複数のハトメがシート部材の長さ方向に設けられている最小間隔の10倍以上30倍以下であることが好ましい。
【0010】
上記の搬送機器において、コンベヤは、コンベヤの幅方向の両端部に穴を複数有しており、穴に伸縮部材が設けられていることが好ましい。
【0011】
上記の搬送機器において、ハトメの数は、穴の数よりも少ないことが好ましい。
【0012】
上記の搬送機器において、ハトメの内径は、穴の内径よりも小さいことが好ましい。
【0013】
上記の搬送機器において、シート部材の長さ方向に設けられている複数のハトメの最小間隔は、コンベヤの長さ方向に設けられている複数の穴の間隔よりも小さいことが好ましい。
【0014】
上記の搬送機器において、シート部材の長さ方向に設けられている複数のハトメの最大間隔は、コンベヤの長さ方向に設けられている複数の穴の間隔よりも大きいことが好ましい。
【0015】
上記の搬送機器において、伸縮部材の長さは、シート部材の長さ方向に設けられている複数のハトメの最小間隔よりも大きいことが好ましい。
【0016】
上記の搬送機器において、伸縮部材の外径は、穴の内径よりも大きいことが好ましい。
【0017】
上記の搬送機器において、シート部材は、シート部材の端部に補強布が設けられており、補強布にハトメが設けられていることが好ましい。
【0018】
上記の搬送機器において、コンベヤに、複数のシート部材が固定されていることが好ましい。
【0019】
上記の搬送機器において、コンベヤは、搬送方向に垂直な複数のバーを有するバーコンベヤであることが好ましい。
【0020】
上記の搬送機器において、シート部材の長さ方向の端部が、バーに固定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の搬送機器は、コンベヤと、シート部材と、伸縮部材とを有し、シート部材が伸縮部材によってコンベヤに固定されていることを特徴とする。搬送機器がこのような構成であることにより、シート部材の蛇行やコンベヤの金属膨張によるシート部材の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態における搬送機器の平面図を表す。
図2】本発明の実施の形態における搬送機器の伸縮部材付近の拡大平面図を表す。
図3】本発明の実施の形態における伸縮部材の正面図および下面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0024】
本発明に係る搬送機器は、コンベヤと、シート部材と、伸縮部材とを有し、シート部材が伸縮部材によってコンベヤに固定されていることを特徴とするものである。
【0025】
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態における搬送機器1は、コンベヤ10と、シート部材20と、伸縮部材30とを有している。シート部材20は、コンベヤ10の上面に伸縮部材30によって固定されている。なお、図1および図2において、コンベヤ10の幅方向およびシート部材20の幅方向は紙面の上下方向に相当し、コンベヤ10の長さ方向およびシート部材20の長さ方向は紙面の左右方向に相当する。また、図1において、搬送機器1の搬送方向は紙面の右から左への方向とする。
【0026】
コンベヤ10へのシート部材20の固定が伸縮部材30によって行われていることにより、シート部材20の破損を防ぐことができる。詳細には、伸縮部材30が伸縮することによって、シート部材20の幅方向に加わる応力を伸縮部材30が吸収してシート部材20の蛇行を防ぐことができ、蛇行によるシート部材20の破損を防止できる。また、コンベヤ10の金属部品の熱膨張により、シート部材20の幅方向および長さ方向に加わる応力についても、伸縮部材30が吸収し、シート部材20の破損を防ぐことができる。
【0027】
以下、コンベヤ10、シート部材20、および伸縮部材30の詳細について、それぞれ説明する。
【0028】
コンベヤ10の種類は、例えば、搬送方向に垂直な複数のバーを有するバーコンベヤ、金網を有するネットコンベア、チェーンを有するチェーンコンベヤ等が挙げられるが、特に限定されない。中でも、バーコンベヤであることが好ましい。コンベヤ10がバーコンベヤであることにより、シート部材20を弛みなく取り付けすることが容易となる。
【0029】
コンベヤ10への伸縮部材30の取り付け方法は特に限定されず、例えば、コンベヤ10の任意の部分に伸縮部材30を引っ掛ける、伸縮部材30を溶接または接着する、伸縮部材30を接続する部材を設ける等の方法が挙げられる。中でも、コンベヤ10は、コンベヤ10の幅方向の両端部に穴11を複数有しており、この穴11に伸縮部材30が設けられていることが好ましい。コンベヤ10が幅方向の両端部に穴11を有していることにより、穴11に伸縮部材30を取り付けてコンベヤ10にシート部材20を固定することが容易となり、また、コンベヤ10へのシート部材20の固定が確実なものとなる。
【0030】
図1および図2において、穴11は、コンベヤ10を構成する複数のバー12の両端部に設けられた、バー12を接続するためのチェーンジョイント13に設けられている。穴11がこのような位置に設けられていることにより、コンベヤ10へのシート部材20の固定が容易となる。なお、穴11の設けられている位置はこれに限定されるものではなく、コンベヤ10の種類や形状等に応じて適宜選択することができる。
【0031】
穴11の形状は、例えば、円形、楕円形、多角形等が挙げられるが、特に限定されない。中でも、円形であることが好ましい。穴11の形状がこのようになっていることにより、穴11に設けられる伸縮部材30の伸縮を妨げにくく、シート部材20に加わる応力を伸縮部材30が十分に吸収することが可能となる。
【0032】
穴11の数は特に限定されないが、コンベヤ10の幅方向の両端部に穴11が少なくとも1つずつ設けられ、複数であることが好ましい。穴11がこのように設けられていることにより、シート部材20の幅方向に加わる荷重を伸縮部材30が十分に吸収することができる。また、コンベヤ10の幅方向の両端部のそれぞれに、穴11が複数設けられていれば、シート部材20をコンベヤ10の所望の部分に取り付けることが可能となる。そのため、穴11は、コンベヤ10の幅方向の両端部のそれぞれに複数設けられていることがより好ましい。なお、コンベヤ10の幅方向の一方端部に設けられている穴11の数は、他方端部に設けられている穴11の数と同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。コンベヤ10の幅方向の両端部のそれぞれに設けられている穴11の数が同じであれば、コンベヤ10にシート部材20をバランスよく取り付けることができる。
【0033】
シート部材20を構成する材料は特に限定されず、ガラス繊維や合成繊維の織物、編物、不織布に耐熱性樹脂をコーティングしたものであってもよく、耐熱性樹脂製のフィルムを貼り合わせたものであってもよい。合成繊維としては、例えば、アラミド繊維、フッ素繊維、炭素繊維等が挙げられる。耐熱性樹脂としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーンゴム等が挙げられる。中でも、シート部材20を構成する材料は、ガラス繊維にフッ素樹脂をコーティングしたものであることが好ましい。シート部材20を構成する材料がこのようになっていることにより、シート部材20の耐久性を高めることができる。
【0034】
シート部材20への伸縮部材30の取り付け方法は特に限定されず、例えば、シート部材20の任意の部分に伸縮部材30の端部を引っ掛ける、伸縮部材30を接着する、伸縮部材30を接続する部材を設ける等の方法が挙げられる。中でも、シート部材20は、シート部材20の幅方向の両端部にハトメ21を複数有しており、ハトメ21に伸縮部材30が設けられていることが好ましい。シート部材20がこのようになっていることにより、ハトメ21に伸縮部材30を取り付けてコンベヤ10にシート部材20を固定することが容易となり、また、コンベヤ10へのシート部材20の固定が確実なものとなる。
【0035】
ハトメ21の形状は、例えば、円形、楕円形等が挙げられるが、特に限定されない。中でも、円形であることが好ましい。穴11の形状がこのようになっていることにより、穴11に設けられる伸縮部材30の伸縮を妨げにくく、シート部材20に加わる応力を伸縮部材30が十分に吸収することが可能となる。
【0036】
ハトメ21の内径D1は特に限定されないが、穴11の内径D2よりも小さいことが好ましい。ハトメ21の内径がこのようになっていることにより、伸縮部材30を穴11とハトメ21に取り付けてシート部材20をコンベヤ10に固定した際に、伸縮部材30が安定しやすく、シート部材20の張り具合を適切なものとすることができる。
【0037】
ハトメ21の内径D1は、穴11の内径D2の50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。ハトメ21の内径D1の下限値をこのように設定することにより、ハトメ21への伸縮部材30の付け外しがしやすくなる。また、ハトメ21の内径D1は、穴11の内径D2の95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、85%以下であることがさらに好ましい。ハトメ21の内径D1の上限値をこのように設定することにより、コンベヤ10に固定するシート部材20の位置や張力の調節を細かく行えるようになる。
【0038】
ハトメ21を構成する材料は特に限定されず、例えば、アルミ、鉄、ステンレス等の金属や、ポリカーボネート、フッ素樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、金属であることが好ましい。ハトメ21を構成する材料が金属であることにより、ハトメ21の強度および耐熱性を高めることができる。
【0039】
ハトメ21の数は複数であればよく、特に限定されないが、穴11の数よりも少ないことが好ましい。ハトメ21の数がこのようになっていることにより、シート部材20の強度を十分なものとすることができる。なお、シート部材20の幅方向の一方端部に設けられているハトメ21の数は、他方端部に設けられているハトメ21の数と同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。シート部材20の幅方向の両端部のそれぞれに設けられているハトメ21の数が同じであれば、コンベヤ10にシート部材20をバランスよく取り付けることができる。
【0040】
ハトメ21の数は、穴11の数の1/10以上であることが好ましく、1/8以上であることがより好ましく、1/6以上であることがさらに好ましい。ハトメ21の数の下限値をこのように設定することにより、コンベヤ10に固定するシート部材20の位置や張り具合を調整しやすくなる。また、ハトメ21の数は、穴11の数の1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましく、1/4以下であることがさらに好ましい、ハトメ21の数の上限値をこのように設定することにより、シート部材20に十分な強度を持たせることができる。
【0041】
伸縮部材30が設けられているハトメ21の両隣のハトメ21の少なくとも一方は、伸縮部材30が設けられていないことが好ましい。すなわち、シート部材20の幅方向の端部に設けられている複数のハトメ21において、伸縮部材30が設けられているハトメ21が隣接している数は2つ以下であることが好ましい。このようになっていることにより、シート部材20が伸縮部材30によって過度に引っ張られることを防止でき、シート部材20の破損を防ぐことが可能となる。
【0042】
複数のハトメ21がシート部材20の長さ方向に配置されている間隔は、一定であってもよいが、不定であることが好ましい。複数のハトメ21の配置されている間隔が不定であることにより、シート部材20の強度は維持しつつ、シート部材の位置や張力の調節を行いやすくすることができる。
【0043】
複数のハトメ21がシート部材20の長さ方向に設けられている最大間隔L2は、複数のハトメ21がシート部材20の長さ方向に設けられている最小間隔L1の10倍以上であることが好ましく、12倍以上であることがより好ましく、15倍以上であることがさらに好ましい。複数のハトメ21の最小間隔L1と最大間隔L2との比率の下限値をこのように設定することにより、シート部材20の強度を十分にすることができる。また、複数のハトメ21がシート部材20の長さ方向に設けられている最大間隔L2は、複数のハトメ21がシート部材20の長さ方向に設けられている最小間隔L1の30倍以下であることが好ましく、28倍以下であることがより好ましく、25倍以下であることがさらに好ましい。複数のハトメ21の最小間隔L1と最大間隔L2との比率の上限値をこのように設定することにより、コンベヤ10に配置するシート部材20の位置や張り具合を微調整しやすくなる。
【0044】
シート部材20の長さ方向に設けられている複数のハトメ21の最小間隔L1は、コンベヤ10の長さ方向に設けられている複数の穴11の間隔L3よりも小さいことが好ましい。ハトメ21の最小間隔L1がこのようになっていることにより、シート部材20の位置や張力を適切なものに調節することが容易となる。
【0045】
シート部材20の長さ方向に設けられている複数のハトメ21の最小間隔L1は、コンベヤ10の長さ方向に設けられている複数の穴11の間隔L3の50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。複数のハトメ21の最小間隔L1と複数の穴11の間隔L3との比率の下限値をこのように設定することにより、シート部材20の強度を十分なものとすることができる。また、シート部材20の長さ方向に設けられている複数のハトメ21の最小間隔L1は、コンベヤ10の長さ方向に設けられている複数の穴11の間隔L3の95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、85%以下であることがさらに好ましい。複数のハトメ21の最小間隔L1と複数の穴11の間隔L3との比率の上限値をこのように設定することにより、シート部材20の位置や張り具合の微調節が行いやすくなる。
【0046】
シート部材20の長さ方向に設けられている複数のハトメ21の最大間隔L2は、コンベヤ10の長さ方向に設けられている複数の穴11の間隔L3よりも大きいことが好ましい。ハトメ21の最大間隔L2がこのようになっていることにより、シート部材20の強度を十分なものとすることができる。
【0047】
シート部材20の長さ方向に設けられている複数のハトメ21の最大間隔L2は、コンベヤ10の長さ方向に設けられている複数の穴11の間隔L3の5倍以上であることが好ましく、7倍以上であることがより好ましく、10倍以上であることがさらに好ましい。複数のハトメ21の最大間隔L2と複数の穴11の間隔L3との比率の下限値をこのように設定することにより、シート部材20の強度を十分なものとすることができる。また、シート部材20の長さ方向に設けられている複数のハトメ21の最大間隔L2は、コンベヤ10の長さ方向に設けられている複数の穴11の間隔L3の20倍以下であることが好ましく、18倍以下であることがより好ましく、16倍以下であることがさらに好ましい。複数のハトメ21の最大間隔L2と複数の穴11の間隔L3との比率の上限値をこのように設定することにより、シート部材20の位置や張り具合の微調節が行いやすくなる。
【0048】
シート部材20は、シート部材20の端部に補強布22が設けられており、補強布22にハトメ21が設けられていることが好ましい。詳細には、シート部材20の幅方向の端部に補強布22が設けられており、この補強布22が設けられている部分に複数のハトメ21が配置されていることが好ましい。シート部材20がこのようになっていることにより、シート部材20にハトメ21を設けることによるシート部材20の強度の低下を抑えることができる。
【0049】
補強布22をシート部材20の端部に設ける方法としては、例えば、縫製、熱溶着や高周波溶着、接着剤による接着等が挙げられる。中でも、溶着が好ましい。補強布22とシート部材20とがこのような方法により接合されていることにより、補強布22を強固にシート部材20へ接合することが可能となる。
【0050】
補強布22を構成する材料は、シート部材20を構成する材料として挙げたものを使用することができる。補強布22を構成する材料とシート部材20を構成する材料は、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。補強布22を構成する材料とシート部材20を構成する材料が同じであれば、補強布22とシート部材20との接合強度を高めることができる。補強布22を構成する材料とシート部材20を構成する材料が異なるものであり、例えば、補強布22を構成する材料の強度がシート部材20を構成する材料の強度よりも高いものであれば、シート部材20の幅方向の端部の強度をより高めることができる。
【0051】
シート部材20の長さ方向の端部23がバー12に固定されていることが好ましい。すなわち、シート部材20の長さ方向の端部23をバー12に固定することにより、シート部材20の長さ方向の端部23をコンベヤ10に固定されていることが好ましい。シート部材20の長さ方向の端部23がこのように固定されていることにより、シート部材20をコンベヤ10へ強固に固定することができ、搬送機器1の作動中にシート部材20がコンベヤ10から外れることを防ぐことができる。
【0052】
搬送機器1の搬送方向の先頭側のシート部材20の長さ方向の端部23がバー12に固定されていることが好ましい。シート部材20がこのように固定されていることにより、シート部材20の搬送方向の先頭側の端部23は強固に固定することができ、その他の部分は伸縮部材30によってシート部材20に加わる応力を逃がしながら固定することができる。
【0053】
シート部材20の長さ方向の端部23をバー12に固定する方法は、例えば、シート部材20の長さ方向の端部23が輪状となるように溶着等をして、この輪状部にバー12を挿通することや、シート部材20の長さ方向の端部23にリング状の部材を取り付けて、このリング状部材にバー12を固定すること等が挙げられる。中でも、シート部材20の長さ方向の端部23に溶着を施して輪状部を形成し、輪状部にバー12を配置することが好ましい。このようにシート部材20を固定することにより、シート部材20の強度を保ったまま、シート部材20をバー12に取り付けることができる。
【0054】
伸縮部材30の種類は特に限定されず、スプリング、丸ゴム紐や平ゴム紐等の伸縮性を有する紐状部材等が挙げられる。中でも、スプリングであることが好ましい。伸縮部材30がこのようになっていることにより、伸縮部材30の耐久性を高めることが可能となる。
【0055】
伸縮部材30を構成する材料は特に限定されず、伸縮部材30がスプリングである場合には、例えば、ステンレス、硬鋼線、ピアノ線等が挙げられる。中でも、ステンレスであることが好ましい。伸縮部材30を構成する材料がこのようになっていることにより、伸縮部材30の耐久性を高めることができる。また、伸縮部材30が伸縮性を有する紐状部材である場合には、例えば、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、天然ゴム等が挙げられる。中でも、合成ゴムであることが好ましい。伸縮部材30を構成する材料がこのようになっていることにより、伸縮部材30の耐久性を向上させることが可能となる。
【0056】
図3に示すように、伸縮部材30の形状は、バネ部31を有しており、バネ部31の両端部にフック32を有している、引きバネ形状であることが好ましい。伸縮部材30の形状がこのようになっていることにより、伸縮部材30をコンベヤ10の穴11およびシート部材20のハトメ21に取り付けることが容易となり、また、搬送機器1の作動中に伸縮部材30が穴11やハトメ21から外れにくくすることができる。
【0057】
伸縮部材30の長さL4は、シート部材20の長さ方向に設けられている複数のハトメ21の最小間隔L1よりも大きいことが好ましい。伸縮部材30の長さL4がこのようになっていることにより、シート部材20に加わる応力を伸縮部材30が十分に吸収することが可能となる。
【0058】
伸縮部材30の長さL4は、シート部材20の長さ方向に設けられている複数のハトメ21の最小間隔L1の1.2倍以上であることが好ましく、1.3倍以上であることがより好ましく、1.4倍以上であることがさらに好ましい。伸縮部材30の長さL4と複数のハトメ21の最小間隔L1との比率の下限値をこのように設定することにより、シート部材20に加わる応力を伸縮部材が十分に吸収することができる。また、伸縮部材30の長さL4は、シート部材20の長さ方向に設けられている複数のハトメ21の最小間隔L1の2.0倍以下であることが好ましく、1.9倍以下であることがより好ましく、1.8倍以下であることがさらに好ましい。伸縮部材30の長さL4と複数のハトメ21の最小間隔L1との比率の上限値をこのように設定することにより、シート部材20の張り具合を適切なものとすることができる。
【0059】
伸縮部材30の外径D3は、穴11の内径D2よりも大きいことが好ましい。伸縮部材30の外径D3がこのようになっていることにより、シート部材20に適度な張力を与え、シート部材20を弛みなくコンベヤ10に取り付けることが可能となる。
【0060】
伸縮部材30の外径D3は、穴11の内径D2の1.1倍以上であることが好ましく、1.3倍以上であることがより好ましく、1.5倍以上であることがさらに好ましい。伸縮部30の外径D3と穴11の内径D2との比率の下限値をこのように設定することにより、シート部材20に与える張力を適切なものとすることができる。また、伸縮部材30の外径D3は、穴11の内径D2の3倍以下であることが好ましく、2.8倍以下であることがより好ましく、2.5倍以下であることがさらに好ましい。伸縮部材30の外径D3と穴11の内径D2との比率の上限値をこのように設定することにより、シート部材20に過度な張力を加えることがなく、シート部材20が破損しにくくなる。
【0061】
搬送機器1は、コンベヤ10に1つのシート部材20が固定されていてもよく、複数のシート部材20が固定されていてもよい。中でも、コンベヤ10に複数のシート部材20が固定されていることが好ましい。搬送機器1がこのように構成されていることにより、コンベヤ10に設けられているシート部材20の中で、破損等の異常があるシート部材20だけを取り外して交換や修理をすることが可能となり、搬送機器1にかかるコストの低減を図ることができる。
【0062】
以上のように、本発明の搬送機器は、コンベヤと、シート部材と、伸縮部材とを有し、シート部材が伸縮部材によってコンベヤに固定されていることを特徴とする。このような構成であることにより、シート部材の蛇行やコンベヤの金属膨張によるシート部材の破損を防止することができる。
【符号の説明】
【0063】
1:搬送機器
10:コンベヤ
11:穴
12:バー
13:チェーンジョイント
20:シート部材
21:ハトメ
22:補強布
23:シート部材の長さ方向の端部
30:伸縮部材
31:バネ部
32:フック
L1:ハトメの最小間隔
L2:ハトメの最大間隔
L3:穴の間隔
L4:伸縮部材の長さ
D1:ハトメの内径
D2:穴の内径
D3:伸縮部材の外径
図1
図2
図3