(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】タグ通信システム、携帯端末および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20220621BHJP
H04B 1/59 20060101ALI20220621BHJP
G06K 7/00 20060101ALI20220621BHJP
G06K 17/00 20060101ALI20220621BHJP
G06K 19/14 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
G06K7/10 104
H04B1/59
G06K7/00 004
G06K7/10 148
G06K7/10 300
G06K17/00 022
G06K19/14
(21)【出願番号】P 2018241600
(22)【出願日】2018-12-25
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】本嶋 弘明
(72)【発明者】
【氏名】野上 英克
(72)【発明者】
【氏名】片岡 新
(72)【発明者】
【氏名】川上 健太
【審査官】松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-268747(JP,A)
【文献】特開2005-128868(JP,A)
【文献】特開2007-035033(JP,A)
【文献】特開2008-171222(JP,A)
【文献】特開2009-003489(JP,A)
【文献】特開2008-117071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00-7/14
G06K 17/00
G06K 19/00-19/18
H04B 1/59
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のRFID(radio frequency identifier)タグと無線通信を行うタグ通信装置と、
前記タグ通信装置と無線通信を行う携帯端末とを備え、
前記携帯端末は、
複数のRFIDタグのうちの1つのRFIDタグを撮像することで、該RFIDタグに表示されているRFIDタグのタグID(identification)を光学的に読み取る撮像装置と、
読み取られた前記タグIDを前記タグ通信装置に送信する第3通信部と、
前記撮像装置により撮像された前記RFIDタグの画像を表示する表示部と、
を備え、
前記タグ通信装置は、
前記撮像装置から読み取られた前記タグIDを受信する第1通信部と、
該タグIDに対応する前記RFIDタグに対してデータの読み取りまたは書き込みを行う第2通信部と、
を備えるタグ通信システム。
【請求項2】
前記第3通信部は、前記タグ通信装置から、該タグIDに対応する前記RFIDタグから読み取られたデータを受信し、
前記表示部は、前記タグ通信装置から受信された前記データを更に表示する、請求項1に記載のタグ通信システム。
【請求項3】
前記第3通信部は、前記タグ通信装置から、該タグIDに対応する前記RFIDタグから読み取られたデータを受信し、
前記携帯端末は、
参照データを予め記憶している記憶部と、
前記タグ通信装置から受信された前記データを、前記参照データと照合し、照合結果を報知する報知部とを備える、
請求項1に記載のタグ通信システム。
【請求項4】
前記撮像装置は、前記RFIDタグに表示されているコードを撮像することで、前記コードに含まれる前記タグIDを光学的に読み取る、
請求項1から3のいずれか一項に記載のタグ通信システム。
【請求項5】
複数のRFIDタグのうちの1つのRFIDタグを撮像することで、該RFIDタグに表示されているRFIDタグのタグIDを光学的に読み取る撮像部と、
読み取られた前記タグIDを、前記複数のRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置に送信し、かつ、
前記タグ通信装置から、該タグIDに対応する前記RFIDタグから読み取られたデータを受信する通信部と、
前記撮像部により撮像された前記RFIDタグの画像を表示する表示部と、
を備える、携帯端末。
【請求項6】
前記表示部は、前記タグ通信装置から受信された前記データを
更に表示する、
請求項5に記載の携帯端末。
【請求項7】
複数のRFIDタグのうちの1つのRFIDタグを撮像することで、該RFIDタグに表示されているRFIDタグのタグIDを光学的に読み取る撮像ステップと、
読み取られた前記タグIDを、前記複数のRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置に送信する送信ステップと、
前記タグ通信装置から、該タグIDに対応する前記RFIDタグから読み取られたデータを受信する受信ステップと、
前記撮像ステップで撮像された前記RFIDタグの画像を表示装置に表示する表示ステップとを、携帯端末に実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタグ通信システム、携帯端末および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency Identification)技術とは、RFIDタグと無線で通信し、当該RFIDタグの情報を読み出したり、当該RFIDタグに情報を書き込んだりする技術であり、様々な産業分野で利用されている。その一例として、生産ライン上の物品に対する応用が挙げられる。すなわち、生産ライン上の各物品にRFIDタグを装着し、当該RFIDタグに格納されている情報に基づいて、各種生産工程の進捗を監視・管理することが行われている。
【0003】
このような応用例においては、複数のRFIDタグの中から特定のRFIDタグに対して操作を行う必要が生じる。特許文献1は、簡単な構成により各RFIDタグの位置を特定することが可能なタグ通信装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記のような従来技術では、電磁波の反射によって生じるマルチパスの影響のために、RFIDタグの位置特定が不正確になる可能性がある。その結果、特定の位置に存在しない、意図しないRFIDタグに対して操作(データのリード/ライト)をしてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明の一態様は、意図しないRFIDタグに対してデータのリード/ライトを防止することにより、特定のRFIDタグとの通信を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るタグ通信システムは、複数のRFID(radio frequency identifier)タグと無線通信を行うタグ通信装置と、前記複数のRFIDタグのうちの1つのRFIDタグを撮像することで、該RFIDタグに表示されているRFIDタグのタグID(identification)を光学的に読み取る撮像装置と、を含み、前記タグ通信装置は、前記撮像装置から読み取られた前記タグIDを受信する第1通信部と、該タグIDに対応する前記RFIDタグに対してデータの読み取りまたは書き込みを行う第2通信部とを備える。
【0008】
前記構成によれば、前記複数のRFIDタグのうちの、1つのRFIDタグのみを撮像するような、撮像範囲が狭い前記撮像装置によりタグIDを撮像することにより、前記複数のRFIDタグのうちの1つのRFIDタグのタグIDを読み込む。その後、該タグIDに対応するRFIDタグに対してデータの読み取りを行うことにより、意図しないIDタグに対してリード/ライトを防止することにより、特定のIDタグとの通信を実現できる。
【0009】
一実施形態において、前記タグ通信システムは、携帯端末を含み、前記携帯端末は、前記撮像装置と、読み取られた前記タグIDを前記タグ通信装置に送信する第3通信部とを備える。
【0010】
前記構成によれば、撮像装置として携帯端末を利用することができる。それ故、複数の、携帯型リーダ/ライタを用意する必要がないため、システムの実装が容易である。
【0011】
一実施形態において、前記タグ通信システムに備えられる前記携帯端末は、撮像された前記RFIDタグの画像を表示する表示部を備える。
【0012】
前記構成によれば、利用者は、撮像された前記RFIDタグの画像を目視で確認できる。
【0013】
一実施形態において、前記タグ通信システムに備えられる前記タグ通信装置から、該タグIDに対応する前記RFIDタグから読み取られたデータを受信し、前記携帯端末は、前記タグ通信装置から受信された前記データを表示する表示部を備える。
【0014】
前記構成によれば、利用者は、意図するタグIDに対応する前記RFIDタグから読み取られたデータを目視で確認できる。
【0015】
一実施形態において、前記第3通信部は、前記タグ通信装置から、該タグIDに対応する前記RFIDタグから読み取られたデータを受信し、前記携帯端末は、参照データを予め記憶している記憶部と、前記タグ通信装置から受信された前記データを、前記参照データと照合し、照合結果を報知する報知部とを備える。
【0016】
前記構成によれば、利用者は、RFIDタグが備えられている対象物の管理を適切に行うことができる。具体例を挙げると、RFIDタグが付されて納品された物品(物品を示すデータを有する)が、納品予定リスト(参照データ)に記載の物品と一致するか、照合できる。
【0017】
一実施形態において、前記タグ通信システムに備えられる前記タグ通信装置は、前記撮像装置を備える。
【0018】
前記構成によれば、利用者は、RFIDタグが備えられている対象物の管理を適切に行うことができる。具体例を挙げると、生産ライン上の各物品に装着されたRFIDタグを、当該RFIDタグに格納されている情報に基づいて、各種生産工程の進捗を監視・管理できる。
【0019】
一実施形態において、前記タグ通信システムに備えられている前記撮像装置は、前記RFIDタグに表示されているコードを撮像することで、前記コードに含まれる前記タグIDを光学的に読み取る。
【0020】
前記構成によれば、特定のIDタグとの通信を可能にし、かつ、利用者の意図するRFIDタグの画像を目視で確認できる。
【0021】
同じく前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る携帯端末は、複数のRFIDタグのうちの1つのRFIDタグを撮像することで、該RFIDタグに表示されているRFIDタグのタグIDを光学的に読み取る撮像部と、読み取られた前記タグIDを、前記複数のRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置に送信し、かつ、前記タグ通信装置から、該タグIDに対応する前記RFIDタグから読み取られたデータを受信する通信部とを備える。
【0022】
前記構成によれば、特定のIDタグとの通信が可能な携帯端末を実現できる。
【0023】
一実施形態において、前記携帯端末は、タグ通信装置から受信された前記データを表示する表示部を備える。
【0024】
前記構成によれば、特定のIDタグとの通信を可能にし、かつ、利用者の意図するRFIDタグの画像を目視で確認できる携帯端末を実現できる。
【0025】
なお、前記タグ通信システムは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記各手段として動作させることにより前記タグ通信システムをコンピュータにて実現させるタグ通信システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0026】
なお、本明細書でいう「RFID(radio frequency identifier)タグ」とは、内蔵メモリに格納されている情報を、電磁波を用いて非接触で読み書きする情報媒体を一般に指す。RFIDタグの情報を読み書きする際に用いられるのが、タグ通信装置(リーダ/ライタ)である。RFIDタグは、「RFタグ」「電子タグ」「ICタグ」「無線タグ」などの呼称が用いられる場合がある。また、本明細書におけるRFIDタグには、パッシブタグおよびアクティブタグの両方が含まれ、また主に人間が携行する非接触ICカードも含まれる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様によれば、意図しないIDタグに対してデータのリード/ライトを防止することにより、特定のIDタグとの通信を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一側面に係る実施の形態におけるタグ通信装置を含むタグ通信システムの一例を、模式的に表すものである。
【
図2】本発明の一側面に係る実施の形態におけるタグ通信システムの、タグ通信装置の通信可能範囲と、撮像装置の撮像領域との関係を図示する模式図である。
【
図3】本発明の一側面に係る実施の形態における携帯端末の処理例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一側面に係る実施の形態におけるタグ通信装置の処理例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一側面に係る実施の形態における、タグ通信装置の要部の構成例を表すブロック図である。
【
図6】本発明の一側面に係る実施の形態におけるタグ通信システムの、タグ通信装置の通信可能範囲と、撮像装置の撮像領域との関係を図示する模式図である。
【
図7】本発明の一側面に係る実施の形態における携帯端末、タグIDおよびタグ通信装置の間の通信を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
【0030】
§1 適用例
図1は、本実施形態におけるタグ通信装置100を含むタグ通信システムの一例を、模式的に表すものである。
図1を用いて、本発明が適用される場面の一例について説明する。本実施形態に係るタグ通信システム1は、タグ通信装置100、携帯端末400およびRFIDタグ200を含む。携帯端末400は、例えばスマートフォンであってもよい。
【0031】
タグ通信装置100は、RFIDタグ200に対して、無線通信により操作を行う(この無線通信は、第1交信部120、第2交信部210を介する)。タグ通信装置100がRFIDタグ200に対して行う操作の例としては、RFIDタグ200の第2記憶部240に格納されている情報の読み書きが挙げられる。
【0032】
また、タグ通信装置100は、携帯端末400に対して、無線通信によりデータの送受信を行う(この無線通信は、第1通信部430、第2通信部110を介する。)
図2は、本発明の一側面に係る実施の形態におけるタグ通信システムの、タグ通信装置の通信可能範囲と、撮像装置の撮像領域との関係を図示する模式図である。タグ通信装置100の第1交信部120による交信可能範囲には、複数のRFIDタグ200a~200cが含まれ得る。
【0033】
一般的なタグ通信装置は、通信可能範囲(交信可能範囲)にある複数のRFIDタグの全てについて、データの送受信を行う。もしくは、一般的なタグ通信装置は、特定のRFIDタグのタグIDを指定することで、当該RFIDタグとのみデータの送受信を行う。特定のRFIDタグに対してデータの送受信を行う場合、当該RFIDタグのタグIDが既知である必要がある。各RFIDタグ200a~200cのタグIDが不明である状況下では、一般的なタグ通信装置は、利用者が意図しないRFIDタグに対してデータの送受信を行う可能性がある。たとえタグ通信装置がハンディタイプ(通信可能範囲が狭い)のものであっても、複数のRFIDタグが近接していれば同様の問題が生じる。
【0034】
本実施形態では、複数のRFIDタグ200a~200cの表面に、コード250a~250cが表示されている。各コード250a~250cは、対応するRFIDタグ200a~200cのタグIDを情報として含んでいる。
【0035】
例えば、利用者は、携帯端末400の撮像装置410を用いて特定のRFIDタグ200bを撮像する。携帯端末400は、撮像したコード250bからRFIDタグ200bのタグIDを抽出し、タグIDをタグ通信装置100に送信する。タグ通信装置100は、受信したRFIDタグ200bのタグIDを指定して、RFIDタグ200bに対してデータの送受信を行う。タグ通信装置100は、RFIDタグ200bから受信したデータを携帯端末400に送信する。これにより、利用者は、複数のRFIDタグ200a~200cの中から、所望のRFIDタグ200bに記憶されていたデータを得ることができる。
【0036】
§2 構成例
[タグ通信装置のハードウェア構成例]
図1を用いて、本実施形態に係るタグ通信装置のハードウェア構成の一例について説明する。
図1の例では、本実施形態に係るタグ通信装置100は、第2通信部110(第1通信部)、第1交信部120(第2通信部)および第2制御部130を備えている。
【0037】
第1交信部120は、RFIDタグ200との間において、電磁波による通信を行う。第1交信部120は、交信制御部132(後述)から受け取った情報を電磁波として外部に送信し、また、外部から受信した電磁波を情報に変換して交信制御部132に送る。第1交信部120は、具体的には、アンテナ、共振回路、変復調回路、RF回路などにより構成されている。
【0038】
第2通信部110は、携帯端末400との間において、無線通信を行う。第2通信部110は、第1通信部430(後述)から受信したデータを情報に変換して第2通信制御部131に送る。第2通信部110は、具体的には、アンテナ、共振回路、変復調回路、RF回路などにより構成されている。第1交信部120による通信と、第2通信部110による通信とは、互いに方式が異なる。
【0039】
第2制御部130は、タグ通信装置100内で実行される処理を、統括的に制御する。第2制御部130は、例えばコンピュータによって構成されている。例えば、タグ通信装置100が行う処理の制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。
【0040】
第2制御部130に含まれる機能ブロックに関しては、後述する。
【0041】
[タグ通信装置の第2制御部の構成例]
第2制御部130は、第2通信制御部131および交信制御部132を含んでいる。
【0042】
第2通信制御部131は、第2通信部110の動作を制御し、第2通信部110との間で情報をやり取りする機能ブロックである。第2通信制御部131は、第2通信部110に受信させた電磁波から得られる情報を他の機能ブロックに送る。また、第2通信制御部131は、他の機能ブロックから受け取った情報を第2通信部110に送り、電磁波に変換して送信させる。
【0043】
交信制御部132は、RFIDタグ200に送信する情報を生成したり、RFIDタグ200から受信した情報を処理したりする機能ブロックである。
【0044】
[携帯端末のハードウェア構成例]
図1を用いて、本実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成の一例について説明する。
図1の例では、実施形態に係る携帯端末400は、撮像装置410、第1通信部430(第3通信部)、第1記憶部440、第1制御部450、表示部460および報知部470を備えている。
【0045】
撮像装置410は、複数のRFIDタグのうちの1つのRFIDタグを撮像することで、該RFIDタグ200に表示されているRFIDタグのタグID(コード250)を光学的に読み取る。撮像装置410から読み取られた前記タグIDは、撮像制御部452に送られる。撮像装置410は、具体的には、各種のカメラなどにより構成されている。
【0046】
第1通信部430は、タグ通信装置100と無線通信によりデータの送受信を行う。第1通信部430は、第1通信制御部454から受け取った情報を電磁波として外部に送信し、また、外部から受信した電磁波を情報に変換して第1通信制御部454に送る。第1通信部430は、具体的には、アンテナ、共振回路、変復調回路、RF回路などにより構成されている。第1通信部430は、例えば、近距離無線通信(Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標))によって無線通信を行う。第1通信部430と第2通信部110は、アクセスポイント等を介在させて通信を行ってもよい。
【0047】
第1制御部450は、携帯端末400内で実行される処理を、統括的に制御する。携帯端末400が行う処理の制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。このプログラムは、(i)リムーバブルメディアに記録されているものを読み込んで使用する形態であってもよいし、(ii)ハードディスクなどにインストールされたものを読み込んで使用する形態であってもよいし、あるいは、(iii)外部I/Fを介して前記プログラムをダウンロードし、ハードディスクなどにインストールして実行する形態であってもよい。
【0048】
第1制御部450に含まれる機能ブロックに関しては、後述する。
【0049】
表示部460は、撮像装置410により撮像されたRFIDタグ200の画像や、第2通信部110から受信されたデータを表示する。表示部460は、具体的には、表示画面を有するディスプレイなどにより構成されている。
【0050】
報知部470は、前記タグ情報を読み取り、タグ通信装置100から受信された前記データを、参照データ(後述)と照合し、照合結果を利用者に報知する。報知部470は、音声によって利用者に報知してもよいし、表示によって報知してもよい。後者の場合、表示部460は、報知部470を兼ねていてもよい。
【0051】
[携帯端末の第1制御部450の構成例]
第1制御部450は、第1通信制御部454、撮像制御部452、表示制御部453および報知制御部451を含んでいる。
【0052】
撮像制御部452は、撮像装置410(撮像部)の動作を制御し、撮像装置410との間で情報をやり取りする機能ブロックである。撮像制御部452は、撮像装置410から撮像された画像の画像データを受信する。撮像制御部452は、画像データに含まれるコード250から、タグIDを抽出する。撮像制御部452は、画像データを表示制御部453に出力する。撮像制御部452は、抽出されたタグIDを第1通信制御部454に出力する。
【0053】
第1通信制御部454は、第1通信部430の動作を制御し、第1通信部430との間で情報をやり取りする機能ブロックである。第1通信制御部454は、第1通信部430に受信させた電磁波から得られる情報を他の機能ブロックに送る。それとともに、第1通信制御部454は、他の機能ブロックから受け取った情報を第1通信部430に送り、電磁波に変換して送信させる。
【0054】
表示制御部453は、表示部460の機能を制御し、表示部460との間で情報をやり取りする機能ブロックである。表示制御部453は、撮像装置410により撮像されたRFIDタグ200の画像データを表示部460に送り、表示部460に画像を表示させる。また、表示制御部453は、第2通信部110から受信されたデータを表示部460に送り、表示部460にデータを表示させる。
【0055】
報知制御部451は、報知部470の機能を制御し、報知部470との間で情報をやり取りする機能ブロックである。報知制御部451は、タグ通信装置100から受信された前記データを、参照データ(後述)と照合し、照合結果を報知部470に送る。報知制御部451は、報知部470に照合結果を報知させる。
【0056】
[RFIDタグのハードウェア構成例]
図1を用いて、本実施形態に係るRFIDタグのハードウェア構成の一例について説明する。
図1には、RFIDタグ200の要部の構成例を表すブロック図が描かれている。同図に示されている通り、RFIDタグ200は、コード250、第2交信部210、第3制御部230および第2記憶部240を備えている。
【0057】
コード250は、RFIDタグ200に表示されているコードである。例えば、コード250は、RFIDタグ200の表面に印刷されている。コード250は、撮像装置で光学読み取り可能である。コード250は、例えば、縦方向と横方向の2次元に情報をもつ二次元コードであってもよい。また、コード250は、一次元のバーコードであってもよい。コード250は、当該RFIDタグのタグIDの情報を含む。
【0058】
第2交信部210は、タグ通信装置100との間において、電磁波による通信を行う。第2交信部210は、第3制御部230から受け取った情報を電磁波として外部に送信し、また、外部から受信した電磁波を情報に変換して第3制御部230に送る。また、RFIDタグ200が電池を有さないパッシブ型RFIDタグである場合には、第2交信部210は、第3制御部230を動作させる電力を受け取る役割をも担う。第2交信部210は、具体的には、アンテナ、共振回路、A/D(Analog to Digital)変換回路、D/A(Digital to Analog)変換回路、変復調回路、RF回路などにより構成される。
【0059】
第3制御部230は、RFIDタグ200内で実行される処理を、統括的に制御する。第3制御部230は、論理演算回路、およびレジスタなどを備える。
【0060】
また、第3制御部230は、タグ通信装置100から第2交信部210を介して受信した情報に基づいて、タグ通信装置100から受信した情報を第2記憶部240に格納する。さらに、第3制御部230は、第2記憶部240に格納されている情報を読み出して、第2交信部210を介してタグ通信装置100に送信する。
【0061】
第2記憶部240は、ROM(Read Only Memory)、SRAM(Static RAM)、またはFeRAM(強誘電体メモリ)などの半導体メモリによって構成される。第2記憶部240に格納されている情報としては、タグID、ならびに各種データが挙げられる。
【0062】
図2に基づいて、タグ通信装置100(第1交信部120)の通信可能範囲と、撮像装置410(撮像部)の撮像領域との関係を説明する。
【0063】
図2において、タグ通信装置100(第1交信部120)は、RFIDタグ200a~200cのうち、通信可能範囲4内に存在する、RFIDタグ200a~200cと通信が可能である。一方、撮像装置410(撮像部)は、通信可能範囲4の中の一部である該装置の撮像領域3内にあるRFIDタグ200b(コード250b)のみを撮像する。
【0064】
上述のような撮像範囲を有する撮像装置410を利用することにより、携帯端末400は、タグ通信装置100における第1交信部120の通信可能範囲4の中でも、撮像領域3に含まれる位置にあるRFIDタグ200bに対応するタグID(コード250b)を取得することができる。このようにして、タグ通信システム1は、利用者が読み取りを意図する特定のRFIDタグ200bのタグIDを特定し、特定のRFIDタグ200bのデータを読み取り可能とする。
【0065】
§3 動作例
[携帯端末の処理例]
図3は、本発明の一側面に係る実施の形態における携帯端末の処理例を示すフローチャートである。また、
図7は、本発明の一側面に係る実施の形態における携帯端末、タグIDおよびタグ通信装置の間の通信を説明するタイミングチャートである。
図3のフロー図および
図7のタイミングチャートに基づいて、携帯端末400の処理例を説明する。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な範囲で変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップを省略、置換および追加することができる。
【0066】
例えば、利用者は、携帯端末400の撮像装置410を用いて特定のRFIDタグ200bを撮像する(
図3のS11および
図7の「タグID撮像」)。具体的には、特定のRFIDタグ200bに表示されているコード250(タグIDを含む)を撮像する。撮像制御部452は、撮像装置410から撮像された画像の画像データを受信する。撮像制御部452は、画像データに含まれるコード250から、タグIDを抽出する(S12)。なお、前記タグIDは、撮像装置410の撮像範囲内にあるRFIDタグ200のタグIDである。撮像制御部452により表示制御部453に出力された前記画像データは、表示部460に表示される(S13)。表示部460にRFIDタグ200を含む画像を表示することで、利用者は、携帯端末400が意図したRFIDタグ200と通信しようとしているか、確認することができる。
【0067】
抽出されたタグIDは、撮像制御部452により、第1通信制御部454に出力される。第1通信制御部454は、タグIDに対応するRFIDタグ200に対して通信する指示(RFIDタグ200からデータを読み取るまたはRFIDタグ200にデータを書き込む指示)を、第1通信部430を介して、タグ通信装置100に送信する(
図3のS14および
図7の「データ問い合わせ」)。出力されたタグIDは、第1通信部430を介して、タグ通信装置100の第2通信部110へ送られる。なお、データを書き込む指示には、書き込むデータも含まれる。
【0068】
RFIDタグ200に対して通信する指示を第1通信部430が受信すると、タグ通信装置100は、タグIDに対応するRFIDタグ200と通信を行う。例えば、データを読み取る指示を受けた場合、タグ通信装置100は、RFIDタグ200が記憶しているデータを取得する。タグ通信装置100は、返答として、携帯端末400にRFIDタグ200から取得したデータを送信する。または、タグ通信装置100は、RFIDタグ200へのデータの書き込みが完了したことを示す返答を携帯端末400に返す。なお、タグIDに対応するRFIDタグ200がタグ通信装置100の通信可能範囲内に存在しない場合、タグ通信装置100は、RFIDタグ200が通信可能範囲内に存在しない旨を、携帯端末400に返答する。
【0069】
第1通信部430は、タグ通信装置100から前記返答があるまで待機する(S15)。該返答を第1通信部430が受信し(S15でYES)、かつ、RFIDタグ200がタグ通信装置100の通信可能範囲内であった場合(S16でYES)、携帯端末400の第1通信制御部454は、前記タグIDに対応するRFIDタグ200から読み取られたデータを、第1通信部430を介してタグ通信装置100から受信する(
図3のS17および
図7の「データ送信」)。第1通信制御部454は、受信したデータを表示制御部453および報知制御部451に出力する。その後、該データを表示部460に表示するよう、表示制御部453が表示部460を制御する(S18)。また、例えば、報知制御部451は、受信したデータと、携帯端末400の第1記憶部440に予め記憶されている参照データ(の一部)とが、一致しているか照合する(S19)。照合結果は、報知部470により利用者に報知される(S20)。
【0070】
例えば、RFIDタグ200は、納入された品物に添付されており、品物の中身の情報をデータとして記憶している。携帯端末400には、納入予定の品物のリストが参照データとして予め記憶されている。データを表示部460の表示画面に表示することで、利用者は納入された品物の中身を認識することができる。照合結果を利用者に報知することで、利用者は納入予定の品物が納入されたのか、納入されていない品物があるかを確認することができる。
【0071】
S16において、タグ通信装置100の通信可能範囲内にRFIDタグ200が存在しなかった場合(S16でNO)、タグ通信装置100は、通信可能範囲内にRFIDタグ200が存在しない旨を携帯端末400に通知する。第1通信制御部454は、該通知を表示制御部453に出力する。表示制御部453は、通信可能範囲内にRFIDタグ200が存在しない旨を表示部460の表示画面に表示する(S21)。
【0072】
[タグ通信装置の処理例]
図4は、本発明の一側面に係る実施の形態におけるタグ通信装置の処理例を示すフローチャートである。
図4のフロー図に基づいて、タグ通信装置100の処理例を説明する。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な範囲で変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップを省略、置換および追加することができる。
【0073】
まず、タグ通信装置100は、RFIDタグ200に対して通信する指示(RFIDタグ200からデータを読み取るまたはRFIDタグ200にデータを書き込む指示)を、携帯端末400から受信するまで待機する(S32)。通信する指示は、該RFIDタグ200のタグIDを含む。例えば、第2通信制御部131は、第2通信部110を介して、データを読み取る指示を受信すると(S32でYES)、データを読み取る指示を交信制御部132に出力する。交信制御部132は、第1交信部120を介して、タグIDを指定してRFIDタグ200にデータリードコマンドを送信する(S33)。
【0074】
通信可能範囲内に存在するRFIDタグ200は、データリードコマンドを受信する。具体的には、RFIDタグ200の第3制御部230は、第2交信部210を介して、データリードコマンドを受信する。第3制御部230は、データリードコマンドで指定されるタグIDが自身のタグIDと異なれば返信せず、自身のタグIDと一致すれば第2記憶部240からデータを読み出す。第3制御部230は、読み出したデータを、第2交信部210を介してタグ通信装置100に送信する(
図3のS35、
図7のリードデータ)。
【0075】
タグ通信装置100の交信制御部132は、所定期間内にタグIDに対応するRFIDタグ200からの返信がなければ、タグIDに対応するRFIDタグ200が通信可能範囲内にないと判断する(S34でNo)。この場合、第2通信制御部131は、第2通信部110を介して、タグIDに対応するRFIDタグ200が通信可能範囲内に存在しないことを携帯端末400に通知する。
【0076】
タグ通信装置100の交信制御部132は、所定期間内にタグIDに対応するRFIDタグ200から返信があると(S34でYes)、データをRFIDタグ200から受信する(読み取る)(S35)。交信制御部132は、第2通信制御部131にデータを出力する。第2通信制御部131は、読み出されたデータを、第2通信部110を介して携帯端末400に送信する(
図3のS36、
図7のデータ送信)。
【0077】
なお、RFIDタグ200にデータを書き込む場合、タグ通信装置100は、データライトコマンド(データを含む)をRFIDタグ200に送信する。データの書き込みが完了すると、タグ通信装置100は、携帯端末400に書き込みが完了したことを通知する。
【0078】
§4 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、前記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、前記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略する。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0079】
図5は、本発明の一側面に係る実施の形態における、タグ通信装置の要部の構成例を表すブロック図である。§2で説明したタグ通信システム1について、タグ通信装置100のハードウェア構成例では、撮像装置410が携帯端末400に備えられている。しかしタグ通信システム5では、
図5のように、例えば、タグ通信装置500が、撮像装置560を備えていてもよい。
【0080】
タグ通信システム5は、タグ通信装置500およびRFIDタグ200を含む。タグ通信装置500は、撮像装置560、第2制御部530、第2通信部110および第1交信部120を備える。第2制御部530は、第2通信制御部131、交信制御部132、および撮像制御部550を備える。第2通信制御部131は、サーバ(図示せず)と通信可能であってもよい。
【0081】
また、RFIDタグ200の構成例は、上述の[RFIDのハードウェア構成例]において説明したRFIDタグ200と同じものであるため、説明を省略する。
【0082】
図6は、本発明の一側面に係る実施の形態におけるタグ通信システムの、タグ通信装置の通信可能範囲と、撮像装置の撮像領域との関係を図示する模式図である。
図6に基づいて、タグ通信装置500を用いた場合の、タグ通信装置500の通信可能範囲と、撮像装置560の撮像領域3との関係を説明する。
【0083】
図6において、タグ通信装置500は、生産ライン2上に存在するRFIDタグ200a~200cのうち、通信可能範囲4内にある、RFIDタグ200a~200cと通信が可能である。生産ライン2は例えばベルトコンベアである。製造される品物に添付されたRFIDタグ200は、品物と共にベルトコンベアによって搬送される。一方、撮像装置560は、通信可能範囲4の中の一部である該装置の撮像領域3内にあるRFIDタグ200b(コード250b)のみを撮像する。
【0084】
例えば、撮像制御部550は、撮像装置560に所定間隔で撮像を行わせる。撮像制御部550は、撮像された画像にコード250が含まれていれば、コード250からタグIDを抽出し、交信制御部132にタグIDを出力する。交信制御部132は、第1交信部120を介して、タグIDを指定してRFIDタグ200にデータリードコマンド(またはデータライトコマンド)を送信する。
【0085】
交信制御部132は、第1交信部120を介して、RFIDタグ200からデータを受信する。第2通信制御部131は、交信制御部132からデータを受信し、第2通信部110を介して、サーバにデータを送信してもよい。
【0086】
上述のような撮像範囲を有する撮像装置560を利用することにより、タグ通信装置500は、タグ通信装置500における通信可能範囲4の中でも、撮像領域3に含まれる位置にあるRFIDタグ200bのデータを取得することができる。このようにして、タグ通信システム5は、タグ通信システム1と同様に、利用者が読み取りを意図する特定のRFIDタグ200bのタグIDを特定し、特定のRFIDタグ200bのデータを読み取り可能とする。
【0087】
〔ソフトウェアによる実現例〕
タグ通信装置100およびRFIDタグ200の制御ブロック(特に第2制御部130、第2通信制御部131、交信制御部132、および第3制御部230)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0088】
後者の場合、タグ通信装置100およびRFIDタグ200は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えているとともに、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、前記コンピュータにおいて、前記プロセッサが前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)などの他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、前記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波など)を介して、前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現されうる。
【0089】
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1、5 タグ通信システム
100、500 タグ通信装置
110、510 第2通信部
120、520 第1交信部
130 第2制御部
131 第2通信制御部
132 交信制御部
200、200a、200b、200c RFIDタグ
250、250a、250b、200c コード
400 携帯端末
410、560 撮像装置
430 第1通信部
460 表示部
470 報知部