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特許7093214インプリント装置の管理方法、インプリント装置、平坦化層形成装置の管理方法、および、物品製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】インプリント装置の管理方法、インプリント装置、平坦化層形成装置の管理方法、および、物品製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20220622BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
B29C59/02 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018071042
(22)【出願日】2018-04-02
(65)【公開番号】P2019186257
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】愛知 進太郎
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-118057(JP,A)
【文献】特開2014-110367(JP,A)
【文献】特開2010-028023(JP,A)
【文献】特開2007-311722(JP,A)
【文献】特開2015-233100(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0276919(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B29C 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールドを用いて基板の上にインプリント材の層を形成するインプリント処理を行う処理部と、該処理部を収納するチャンバと、前記チャンバの内部を流動する気体に含まれる化学的不純物を除去するケミカルフィルタとを有するインプリント装置を管理する管理方法であって、
前記インプリント処理の実行中、前記チャンバに設けられた気体の供給口から前記処理部に向けて気体を導く導風板に取り付けられた前記チャンバ内の留置部に、テスト基板を置する留置工程と、
前記留置工程の後、前記処理部により前記テスト基板に対して前記インプリント処理を実行して前記テスト基板の上にインプリント材の層を形成する形成工程と、
前記形成工程で前記テスト基板の上に形成された前記層の検査を行う検査工程と、
前記検査工程で得られた検査結果に基づいて前記ケミカルフィルタの交換の要否を判定する判定工程と、
を有することを特徴とする管理方法。
【請求項2】
前記形成工程におけるインプリント処理は、パターンのないブランクモールドを用いて行われ、
前記検査工程は、前記形成工程で前記ブランクモールドを用いたインプリント処理によって前記テスト基板の上に形成された前記層を撮像することを含み、
前記判定工程は、前記検査工程で撮像された画像に基づいて前記層の欠陥を評価することにより前記ケミカルフィルタの交換の要否を判定する
ことを特徴とする請求項1記載の管理方法。
【請求項3】
前記判定工程は、前記画像に基づいて検出された欠陥の数が所定数以上である場合、または、少なくとも1つの欠陥の大きさが所定寸法以上である場合に、前記ケミカルフィルタの交換が必要であると判定することを特徴とする請求項に記載の管理方法。
【請求項4】
前記判定工程で得られた判定結果をユーザに通知する工程を更に有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の管理方法。
【請求項5】
前記管理方法における各工程を繰り返し実施し、前記欠陥の数または前記欠陥の大きさの増加傾向に基づいて、前記ケミカルフィルタの交換時期の予測を行うことを特徴とする請求項に記載の管理方法。
【請求項6】
前記留置部は、前記供給口から供給される気体によって形成される気流に沿って前記処理部と並んだ位置に設けられることを特徴とする請求項に記載の管理方法。
【請求項7】
モールドを用いて基板の上にインプリント材の層を形成するインプリント処理を行う処理部と、
前記処理部を収納するチャンバと、
前記チャンバの内部を流動する気体に含まれる化学的不純物を除去するケミカルフィルタと、
前記チャンバに設けられた気体の供給口と前記処理部との間の位置に設けられ、前記ケミカルフィルタの交換の要否を判定するためのテスト基板を前記インプリント処理の実行中に留置するための留置部と
前記チャンバの内部に設けられ、前記供給口から前記処理部に向けて気体を導く導風板と、を有し、
前記留置部が前記導風板に取り付けられている、
とを特徴とするインプリント装置。
【請求項8】
前記留置部は、前記テスト基板の下面の外周部を支持する複数の支持部材を有し、
前記複数の支持部材は、前記供給口から前記チャンバの内部に供給される気体の流動を阻害しないように配置されて前記導風板に取り付けられる
ことを特徴とする請求項に記載のインプリント装置。
【請求項9】
前記基板の上にインプリント材を供給するインプリント材供給部を更に有し、
前記留置部は、前記供給口から前記チャンバの内部に供給される気体によって形成される気流に関して前記インプリント材供給部より上流の位置に配置される
ことを特徴とする請求項7または8に記載のインプリント装置。
【請求項10】
平面プレートを用いて基板の上に平坦化層を形成する形成処理を行う処理部と、該処理部を収納するチャンバと、前記チャンバの内部を流動する気体に含まれる化学的不純物を除去するケミカルフィルタとを有する平坦化層形成装置を管理する管理方法であって、
前記形成処理の実行中、前記チャンバに設けられた気体の供給口から前記処理部に向けて気体を導く導風板に取り付けられた前記チャンバ内の留置部に、テスト基板を置する留置工程と、
前記留置工程の後、前記処理部により前記テスト基板に対して前記形成処理を実行して前記テスト基板の上に平坦化層を形成する形成工程と、
前記形成工程で前記テスト基板の上に形成された前記平坦化層の検査を行う検査工程と、
前記検査工程で得られた検査結果に基づいて前記ケミカルフィルタの交換の要否を判定する判定工程と、
を有することを特徴とする管理方法。
【請求項11】
インプリント装置を用いて基板にパターンを形成する形成工程と、
前記形成工程で前記パターンが形成された前記基板の処理を行う処理工程と、
を有し、前記処理工程で前記処理が行われた前記基板から物品を製造する物品製造方法であって、
前記インプリント装置は、
モールドを用いて基板の上にインプリント材の層を形成するインプリント処理を行う処理部と、
前記処理部を収納するチャンバと、
前記チャンバの内部を流動する気体に含まれる化学的不純物を除去するケミカルフィルタと、
前記チャンバに設けられた気体の供給口と前記処理部との間の位置に設けられ、前記ケミカルフィルタの交換の要否を判定するためのテスト基板を前記インプリント処理の実行中に留置するための留置部と
前記チャンバの内部に設けられ、前記供給口から前記処理部に向けて気体を導く導風板と、を有し、
前記留置部が前記導風板に取り付けられている、
とを特徴とする物品製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント装置の管理方法、インプリント装置、平坦化層形成装置の管理方法、および、物品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の物品を製造するためのリソグラフィ技術の一つとして、型を用いて基板の上にインプリント材のパターンを形成するインプリント技術が実用化されつつある。インプリント技術においては、光を用いてインプリント材を硬化させる光硬化法が提案されている。この方法では、基板上のインプリント材に型を接触させた状態でインプリント材に光を照射することでインプリント材を硬化させ、その硬化したインプリント材から型を分離する。
【0003】
このようなインプリント処理が行われる空間はクリーンチャンバに収められ、クリーンチャンバの内部は、ケミカルフィルタを用いてケミカルが除去された空調で管理されている。ケミカルフィルタは、使用によりケミカル除去性能が落ち寿命を迎える。ケミカル除去性能が落ちたままケミカルフィルタを交換せずに使用し続けた場合、基板表面がケミカル汚染されることで、インプリント材の流動性が阻害され、基板と型との間に均一にインプリント材が充填されず、パターン欠陥を生じうる。
【0004】
したがって、ケミカルフィルタは、適切な時期に交換をする必要がある。交換を定期的に行う場合には、寿命に達する前に交換することになり、無駄を生じる。そこで、ケミカル濃度を測定しその測定結果に基づいて交換時期を判断することが考えられる(例えば特許文献1)。しかしこの場合、一般にはサンプルガスを捕集して分析することになるが、分析するまでに長い時間を要し、分析にかかるコストが増大する。そのため、露光装置においては、レンズやミラー等の光学部品の曇りを定期的に計測し、その計測結果に基づいて交換時期を判断することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-280640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、インプリント装置においては、インプリント材を硬化させるために使用される光源の波長は、KrfレーザーやArfレーザーと比べて波長が長く、エネルギーが小さい。そのため、光学部品へ曇りが発生しにくく、曇りの計測によりケミカルフィルタの劣化を判断することは困難である。
【0007】
本発明は、例えば、インプリント装置におけるケミカルフィルタの交換の要否の判定を高精度に行うために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によれば、モールドを用いて基板の上にインプリント材の層を形成するインプリント処理を行う処理部と、前記処理部を収納するチャンバと、前記チャンバの内部を流動する気体に含まれる化学的不純物を除去するケミカルフィルタと、前記チャンバに設けられた気体の供給口と前記処理部との間の位置に設けられ、前記ケミカルフィルタの交換の要否を判定するためのテスト基板を前記インプリント処理の実行中に留置するための留置部と、前記チャンバの内部に設けられ、前記供給口から前記処理部に向けて気体を導く導風板と、を有し、前記留置部が前記導風板に取り付けられている、ことを特徴とするインプリント装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、インプリント装置におけるケミカルフィルタの交換の要否の判定を高精度に行うために有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図。
図2】留置部の構成例を示す図。
図3】基板上に未充填欠陥が発生する過程を模式的に示す図。
図4】実施形態におけるインプリント装置の管理方法のフローチャート。
図5】第2実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図。
図6】第3実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図。
図7】従来の平坦化層形成装置による処理を説明する図。
図8】実施形態における平坦化層形成装置による処理を説明する図。
図9】実施形態における物品製造方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の実施の具体例を示すにすぎないものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下の実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の課題解決のために必須のものであるとは限らない。
【0012】
はじめに、実施形態に係るインプリント装置の概要について説明する。インプリント装置は、基板上に供給されたインプリント材を型と接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギーを与えることにより、型の凹凸パターンが転写された硬化物のパターンを形成する装置である。
【0013】
インプリント材としては、硬化用のエネルギーが与えられることにより硬化する硬化性組成物(未硬化状態の樹脂と呼ぶこともある)が用いられる。硬化用のエネルギーとしては、電磁波、熱等が用いられうる。電磁波は、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される光、例えば、赤外線、可視光線、紫外線などでありうる。硬化性組成物は、光の照射により、あるいは、加熱により硬化する組成物でありうる。これらのうち、光の照射により硬化する光硬化性組成物は、少なくとも重合性化合物と光重合開始剤とを含有するが、必要に応じて非重合性化合物または溶剤を更に含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分などの群から選択される少なくとも一種である。インプリント材は、インプリント材供給部により、液滴状、或いは複数の液滴が繋がってできた島状又は膜状となって基板上に配置されうる。インプリント材の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下でありうる。基板の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、金属、半導体、樹脂等が用いられうる。必要に応じて、基板の表面に、基板とは別の材料からなる部材が設けられてもよい。基板は、例えば、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、石英ガラスでありうる。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るインプリント装置10の構成を示す図である。なお、本明細書および添付図面では、基板Wの表面に平行な方向をXY平面とするXYZ座標系において方向を示す。また、本実施形態において、インプリント装置10は、インプリント材の硬化法として、紫外線の照射によってインプリント材を硬化させる光硬化法を採用するものとする。ただしこれに限定されるものではなく、例えば熱硬化性のインプリント材を用い、熱の印加によってインプリント材を硬化させる熱硬化法を採用することもできる。
【0015】
パターンが形成された型であるモールドMは、モールド搬送系(不図示)により搬送され、モールドヘッド11により保持される。モールドヘッド11は、モールドMを保持してZ軸方向に駆動する駆動機構を有する。モールドヘッド11は更に、モールドMを保持してZ軸以外の方向に駆動する駆動機構を有していてもよい。モールドMは例えば矩形形状の外形を有し、紫外線を透過する材料(石英など)で構成される。基板Wは、単結晶シリコンウエハやSOI(Silicon on Insulator)ウエハ、ガラスウエハ、マスクなども含みうる。
【0016】
基板W1は、搬送装置26によって装置内にロードされ、ステージ12により保持される。ステージ12は、ステージ可動領域13内で可動である。ディスペンサ41は、基板の上に未硬化状態のインプリント材を供給するインプリント材供給部である。
【0017】
硬化部5は、モールドヘッド11およびモールドMを介して基板W1上のインプリント材に紫外線を照射してインプリント材を硬化させる。処理部Pは、モールドヘッド11およびステージ12を含み、インプリント処理を行う。インプリント処理は、モールドを用いて基板の上にインプリント材のパターンを形成する処理である。より具体的には、インプリント処理は、ディスペンサ41により基板の上に未硬化状態のインプリント材を供給し、該インプリント材にモールドを接触させ、その状態でインプリント材を硬化させ、硬化したインプリント材からモールドを分離させる処理を含む。
【0018】
処理部Pは、チャンバCに収納されている。空調機能によってチャンバCの内部には清浄な気体が常時供給されるようになっている。図1の例では、チャンバCに形成されている供給口には吹き出し部14が設けられている。不図示のパーティクルフィルタによってパーティクルが除去された気体が吹き出し部14からチャンバCの内部に吹き出される。気体は、送風機15によって給気経路16内を移動し吹き出し部14から吹き出される。給気経路16には、気体を冷却する冷却器17と、気体に含まれる化学的不純物を除去するケミカルフィルタ18と、気体を加熱する加熱器19とが配置されている。例えば、加熱器19の下流側には不図示の温度センサが配置され、加熱器19は、温度センサにより検知された温度が目標温度になるように制御されうる。
【0019】
排気部20はチャンバCの内部を流動した気体をチャンバCの外部に排出する。排気部20は、例えば、吹き出し部14と対向するように配置される。排気部20から排出された気体は排気経路21を介して送風機15の吸い込み口に戻される。排気部20と送風機15との間の排気経路21の途中には第2ケミカルフィルタ22を通過した外部の空気が合流する合流部が設けられており、これによりケミカル成分が除去された外部の空気が送風機15へ吸い込まれる。
【0020】
なお、給気経路16における冷却器17、ケミカルフィルタ18、および加熱器19の配置順序は適宜に変更可能である。冷却器17は排気経路21に配置されてもよい。また、加熱器19に関しては、直列に複数配置してもよい。なお、この図1の例では、循環経路を構成しているが、チャンバC内に吹き出す空調空気をすべて外気より吸い込む構成としてもよい。ケミカルフィルタ18は、チャンバCの内部を流動する気体に含まれる化学的不純物を除去するものであり、その機能を発揮するかぎり、気体の流動経路のどこに配置されてもよく、給気経路16ではなくチャンバCの内部に設けられてもよい。
【0021】
実施形態において、チャンバCの内部には、インプリント処理の実行中にテスト基板W2を留置する留置部24が設けられている。留置部24は、例えば、ステージ可動領域13の外部で、吹き出し部14と処理部Pとの間の位置に設けられる。さらに、留置部24は、吹き出し部14からの気体によって形成される気流に沿って処理部Pと並んだ位置に設けられるとよい。これにより、留置部24に留置されるテスト基板W2に沿って流れる気体の風速を、処理部Pのステージ12によって保持された基板W1に沿って流れる気体の風速と概ね同等にすることができる。また、留置部24は、吹き出し部14から吹き出される気体によって形成される気流に関してディスペンサ41より上流の位置に配置されるとよい。ディスペンサ41より下流の位置に留置部24を配置した場合には、ディスペンサ41からのインプリント材のミストが気流に乗って留置部24におけるテスト基板W2に付着するおそれがあるからである。
【0022】
一例において、チャンバCの内部には、吹き出し部14から吹き出された気体を処理部Pのインプリント空間に導く導風板23が設けられている。留置部24はこの導風板23に設けられてもよい。図2は、導風板23に設けられた留置部24の構成例を示す図であり、テスト基板W2の下面側からみた斜視図である。導風板23には、テスト基板W2の下面の外周部を支持して吊り下げる複数の支持部材25が取り付けられる。複数の支持部材25は、テスト基板W2に当たる気体の流動を阻害しないように配置される。例えば、テスト基板W2の出し入れ方向が気流に沿う方向となるように複数の支持部材25が配置されるとよい。
【0023】
搬送装置26は、ステージ12に対する基板W1のロード/アンロードを行うとともに、留置部24に対するテスト基板W2のロード/アンロードを行うことができる。基板収納部27は、未処理または処理済みの基板およびテスト基板を収納する。搬送装置26は基板収納部27内の基板にアクセス可能に構成されている。
【0024】
検査部6は、テスト基板W2の上に形成されたインプリント材のパターンの欠陥を検査する。検査部6は、例えば、検査対象の基板を走査させながら照明光を当てることによって基板全面に照明光を照射して基板全面を撮像する。欠陥箇所に照明光が当たると光が散乱するので、その散乱が反映された撮像画像を分析することで欠陥の箇所や大きさを評価することができる。なお、検査部6は、インプリント装置10から独立した装置として、インプリント装置10の外部に配置されてもよい。
【0025】
制御部7は、インプリント装置10における上記した各部を制御し、インプリント装置10の動作を司る。また、制御部7が、検査部6から転送された撮像画像を処理して欠陥の箇所や大きさを評価することもできる。制御部7は、ASIC等の専用プロセッサによって構成されてもよいし、CPUやメモリを含む汎用コンピュータによって構成されてもよい。
【0026】
本実施形態におけるインプリント装置10の構成は、概ね以上のとおりである。インプリント装置10の使用により、ケミカルフィルタ18のケミカル除去性能は低下する。ケミカルフィルタ18のケミカル除去性能が低下したことによりテスト基板W2の表面がケミカル汚染されていた場合、インプリント材未充填による欠陥(未充填欠陥)が発生する。図3は、テストモールド(ブランクモールド)でインプリント処理を行った際に、基板上に未充填欠陥が発生する過程を模式的に示す図である。ケミカルフィルタ18のケミカル除去性能が低下すると、基板上にケミカル物質が付着する。(a)は、インプリント材に溶解しないケミカル物質32が基板上に存在している状態でディスペンサ41によりインプリント材31が供給された場面を示している。図中、模式的にケミカル物質が粒で離散的に示されているが、実際には基板表層に均等に付着する。(b)は、テストモールド(例えば、パターンのないブランクモールド)と基板上のインプリント材とを接触させている途中の状態を示している。パターンのないブランクモールドでインプリント材を押すことにより、インプリント材31は均等に広がる。このとき、ケミカル物質32はインプリント材31に溶解しないため、インプリント材31により押されて移動し、集められる。(c)は、テストモールドと基板上のインプリント材との接触によってインプリント材の充填が完了した状態を示している。インプリント材に溶解しないケミカル物質が集まることで、インプリント材の充填が阻害されて未充填欠陥33が発生する。基板表面へのケミカル物質32の付着量が多いほど、インプリント材の充填阻害の影響が大きくなり、結果として未充填欠陥33が大きくなる傾向がある。したがって、ケミカルフィルタ18の状態を評価して、適切な時期に交換をする必要がある。
【0027】
図4は、実施形態におけるインプリント装置の管理方法のフローチャートである。この管理方法は例えば制御部7によって制御されうる。以下に示すように、この管理方法は、量産用の基板処理工程と並行して行うことができるものである。
【0028】
はじめに、S1で、搬送装置26により、テスト基板W2がチャンバC内にロードされ、留置部24に送り込まれ、テスト基板W2が留置部24に支持される。ここで、テスト基板W2の上には密着層が予め塗布されているものとする。なお、密着層とは、基板の上にパターンを形成するためのインプリント材を供給する前に、予め基板表面上に形成される最表面層を言い、基板表面の平滑性を向上させる層等も含みうる。
【0029】
次に、以下に説明するように量産用の基板に対するインプリント処理が実行される。S2で、モールドMが不図示のモールド搬送系によりチャンバC内にロードされ、モールドヘッド11により保持される。次に、S3で、搬送装置26により、基板収納部27から量産用の基板W1が取り出されてチャンバC内にロードされてステージ12上に載置され、これにより基板W1がステージ12によって保持される。次に、S4で、基板W1に対してインプリント処理が実施される。基板W1に複数のショット領域が形成されている場合には、複数のショット領域のそれぞれに対してインプリント処理が実施される。その後、搬送装置26により、インプリント処理済みの基板W1がチャンバCからアンロードされて基板収納部27に収納される。S3~S5の工程は、複数の基板に対して繰り返し実行されうる。
【0030】
上記したS2~S5の工程のうち少なくともS4のインプリント処理の実行中、S6で、テスト基板W2は留置部24に保持されチャンバC内に留置されている。テスト基板W2がチャンバC内に留置されている間、S3~S5の工程が、複数の基板に対して繰り返し実行されてもよい。こうしてテスト基板W2は、インプリント処理が行われる量産用の基板W1と同じ環境に晒されることになる。前述したように、このとき、ケミカルフィルタ18のケミカル除去性能が低下していると、量産用の基板W1およびテスト基板W2の表面がケミカル汚染され、インプリント材未充填による欠陥を引き起こす可能性が高まる。
【0031】
予定された全ての基板に対する一連のインプリント処理が終了した後、S7で、モールドMがモールドヘッド11から取り外されて、チャンバCからアンロードされる。次に、S8で、テストモールドがチャンバC内にロードされモールドヘッド11に取り付けられる。テストモールドは、例えば、パターンのないブランクモールドでありうる。さらに、S9で、搬送装置26により、留置部24に載置されていたテスト基板W2がステージ12上に搬送され、これによりテスト基板W2がステージ12によって保持される。次に、S10で、テスト基板W2に対してテストモールドを用いたインプリント処理(ダミーインプリント)が実施される。テスト基板W2に複数のショット領域が形成されている場合には、複数のショット領域のそれぞれに対してダミーインプリントが実施される。
【0032】
その後、S11で、基板W2を保持したステージ12が検査部6の検査位置へと移動され、検査部6による欠陥検査が行われる。前述のように、検査部6は、例えば、テスト基板W2を走査させながら照明光を当てることによってテスト基板W2の全面に照明光を照射してテスト基板W2を撮像する。検査部6によって撮像された画像は制御部7に転送される。制御部7は、検査部6から提供された検査結果としての画像を処理してケミカルフィルタの交換の要否を判定する。制御部7は、例えば、画像から検出された欠陥の数、および、欠陥の寸法を評価項目として評価を行いうる。例えば、欠陥の数が所定数未満で、かつ、欠陥の大きさが所定寸法未満である場合は、判定基準を満たすものとして(S12でYES)、ケミカルフィルタ18の交換は不要と判定する(S13)。一方、欠陥の数が所定数以上、または、少なくとも1つの欠陥の大きさが所定寸法以上である場合は、判定基準を満たさないとして(S12でNO)、ケミカルフィルタ18の交換が必要と判定する(S14)。
【0033】
なお、S13またはS14の判定結果は、ユーザに通知されるとよい。例えば、不図示の操作画面等に判定結果が表示される。要交換の通知を行うことにより、ケミカルフィルタ18の交換を行うことをユーザに促すことができる。また、上記のような評価工程を定期的に実施し、欠陥の数や欠陥の大きさの増加傾向に基づいてケミカルフィルタの交換時期を予測することができる。
【0034】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係るインプリント装置10の構成を示す図である。図1と同じ構成要素には同じ参照符号を付しそれらの説明は省略する。
【0035】
図1では、留置部24がチャンバCの内部に設けられていたが、図5では、留置部28がチャンバCの外部に設けられている。図5のインプリント装置10は、給気経路16から分岐する給気経路36を有し、この給気経路36の先端が、留置部28の供給口に設けられた吹き出し部30に接続されている。
【0036】
また、留置部28の吹き出し部30と対向する側には、排気部35が設けられている。排気部35に接続された排気経路37は排気経路21と合流する。これにより、排気部35から排出された気体は排気経路37および排気経路21を介して送風機15の吸い込み口に戻される。
【0037】
ここで、留置部28内の環境は、チャンバC内の環境と同等であることが望まれる。したがって、留置部28の吹き出し部30から吹き出される気体の風速V2は、チャンバCの吹き出し部14から吹き出される気体の風速V1と同等になるように調節される。風速V1とV2を同等にすることで、チャンバC内のインプリント空間の環境と同等の環境でテスト基板W2を留置することができ、第1実施形態と同じ評価方法でケミカルフィルタの状態を判断することができる。
【0038】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係るインプリント装置10の構成を示す図である。図1と同じ構成要素には同じ参照符号を付しそれらの説明は省略する。
【0039】
図1では、留置部24がチャンバCの内部に設けられていたが、図6では、そのような留置部は設けられていない。この場合、テストモールドM2(ブランクモールド)をモールドヘッド11にセットし、テスト基板W2をステージ12に保持させる。この状態で、インプリント処理に関して想定される所定時間留置する。その後、図3のS10以降の処理を実施してケミカルフィルタ18の状態の評価を行う。
【0040】
本実施形態によれば、量産用の基板処理工程中にテスト基板を留置しておくことはできないが、留置部24を別途設けることなくケミカルフィルタ18の状態を評価することができる。
【0041】
<第4実施形態>
第4実施形態は、基板の上に平坦化層を形成する形成処理を行う平坦化層形成装置に関する。平坦化層形成装置では、パターンが形成されていない型(平面テンプレート)を用いて、基板の上に平坦化層を形成する。基板上の下地パターンは、前の工程で形成されたパターン起因の凹凸プロファイルを有しており、特に近年のメモリ素子の多層構造化に伴いプロセス基板は100nm前後の段差を持つものも出てきている。基板全体の緩やかなうねりに起因する段差は、フォト工程で使われているスキャン露光装置のフォーカス追従機能によって補正可能である。しかし、露光装置の露光スリット面積内に収まってしまうピッチの細かい凹凸は、そのまま露光装置のDOF(Depth Of Focus)を消費してしまう。基板の下地パターンを平滑化する従来手法としてSOC(Spin On Carbon), CMP(Chemical Mechanical Polishing)のような平坦化層を形成する手法が用いられている。しかし従来技術では十分な平坦化性能が得られない問題があり、今後多層化による下地の凹凸差は更に増加する傾向にある。
【0042】
この問題を解決するために、本実施形態の平坦化層形成装置は、基板に予め塗布された未硬化のレジストに対して平面テンプレート(平面プレート)を押し当てて基板面内の局所平面化を行う。本実施形態において、平坦化層形成装置の構成は、図1に示したインプリント装置10と概ね同様とすることができる。ただし平坦化層形成装置では、モールドMの替わりに、基板Wと同じかそれより大きい面積の平面プレートを使用し、基板Wの上のレジスト層の全面に接触させる。モールドヘッド11は、そのような平面プレートを保持するように構成される。
【0043】
図7は、従来の平坦化層形成装置による処理を説明する図である。図7(a)は、処理前の基板Wを示している。斜線の部分は基板W上に形成されたパターンである。図7(b)は、基板上にレジストが供給された後で、平面プレートを接触させる前の状態を示している。このレジストの供給パターンは、基板全面で凹凸がないという前提の下で計算されている。図7(c)は、平面プレートが基板上のレジストと完全に接触した状態を示している。図7(d)は、レジストに光を照射してレジストを硬化させた後、平面プレートを引き離した状態を示している。
【0044】
実際の基板はパターンの段差のみでなく、基板全面で凹凸を持っているため、その凹凸の影響により、平面プレートがレジストと接触するタイミングが異なる。最初に接触した位置では、接触直後からレジストの移動が始まり、レジストの厚みが想定した厚みより薄くなる(図7(d)のL11)。また、最後に接触した位置では、レジストの移動の始まりが遅く、周辺から流入するレジストが加わるため、その領域では想定した厚みより厚くなる(図7(d)のL12)。
【0045】
図8は、本実施形態における平坦化層形成装置による処理を説明する図である。図8(a)は、基板上にレジストを供給し、平面プレート503を接触させる前の状態を示しており、図7(b)と同様である。このレジストの供給パターンは、基板全面での凹凸情報を考慮して計算されたものである。図8(b)は、平面プレート503が基板上のレジストと完全に接触した状態を示している。図8(c)は、レジストに光を照射してレジストを硬化させた後、平面プレート503を引き離した状態を示している。
【0046】
上記したように、実際の基板はパターンの段差のみでなく、基板全面で凹凸をもっているため、その凹凸の影響により、平面プレート503がレジストと接触するタイミングが異なる。本実施形態では、最初に接触した位置では、接触直後からレジストの移動が始まるが、その程度に応じてレジストを多く配置している。また、最後に接触した位置では、レジストの移動の始まりが遅く、周辺から流入するレジストが加わるが、その程度に応じてレジストの量を減らしている。このような対処により、基板全面で均一な厚みの平坦化層を形成することができる。
【0047】
以上説明したような平坦化層形成装置においても、第1実施形態で説明したようなケミカルフィルタの状態の評価方法を実施することが可能である。
【0048】
<物品製造方法の実施形態>
インプリント装置を用いて形成した硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは各種物品を製造する際に一時的に、用いられる。物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型等である。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMのような、揮発性或いは不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAのような半導体素子等が挙げられる。型としては、インプリント用のモールド等が挙げられる。
【0049】
硬化物のパターンは、上記物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストマスクとして一時的に用いられる。基板の加工工程においてエッチング又はイオン注入等が行われた後、レジストマスクは除去される。
【0050】
次に、物品製造方法について説明する。図9の工程SAでは、絶縁体等の被加工材2zが表面に形成されたシリコン基板等の基板1zを用意し、続いて、インクジェット法等により、被加工材2zの表面にインプリント材3zを付与する。ここでは、複数の液滴状になったインプリント材3zが基板上に付与された様子を示している。
【0051】
図9の工程SBでは、インプリント用の型4zを、その凹凸パターンが形成された側を基板上のインプリント材3zに向け、対向させる。図9の工程SCでは、インプリント材3zが付与された基板1zと型4zとを接触させ、圧力を加える。インプリント材3zは型4zと被加工材2zとの隙間に充填される。この状態で硬化用のエネルギーとして光を型4zを介して照射すると、インプリント材3zは硬化する。
【0052】
図9の工程SDでは、インプリント材3zを硬化させた後、型4zと基板1zを引き離すと、基板1z上にインプリント材3zの硬化物のパターンが形成される。この硬化物のパターンは、型の凹部が硬化物の凸部に、型の凸部が硬化物の凹部に対応した形状になっており、即ち、インプリント材3zに型4zの凹凸パターンが転写されたことになる。
【0053】
図9の工程SEでは、硬化物のパターンを耐エッチング型としてエッチングを行うと、被加工材2zの表面のうち、硬化物が無いか或いは薄く残存した部分が除去され、溝5zとなる。図9の工程SFでは、硬化物のパターンを除去すると、被加工材2zの表面に溝5zが形成された物品を得ることができる。ここでは硬化物のパターンを除去したが、加工後も除去せずに、例えば、半導体素子等に含まれる層間絶縁用の膜、つまり、物品の構成部材として利用してもよい。
【符号の説明】
【0054】
10:インプリント装置、11:モールドヘッド、12:ステージ、14:吹き出し部、15:送風機、17:冷却器、18:ケミカルフィルタ、19:加熱器、20:排気部:23:導風板、24:留置部、41:ディスペンサ、C:チャンバ、P:処理部
図1
図2
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図7
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