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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】高圧タンク
(51)【国際特許分類】
   F17C 1/16 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
F17C1/16
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018120291
(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公開番号】P2020002965
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 孝明
(72)【発明者】
【氏名】草場 幸助
(72)【発明者】
【氏名】澤井 統
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-141947(JP,A)
【文献】特開平03-095075(JP,A)
【文献】特開2008-137737(JP,A)
【文献】特開2019-151072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定外径の筒状胴部を有する容器本体と、
前記筒状胴部の外面にシート状の繊維強化部材が複数周に亘って巻き付けられた補強層と、
前記繊維強化部材の所定厚の一周目の終端部の径方向内側に設けられた、前記終端部を前記筒状胴部の外径位置よりも径方向外側の位置で支持する支持部と、
を備え
前記支持部は、前記繊維強化部材に一体形成され、前記繊維強化部材の前記所定厚の巻き始め部が軸方向両端部間で空かれることにより形成され、前記一周目の始端に対して反巻き付け方向側に連設する、高圧タンク。
【請求項2】
前記支持部は、外面の径方向位置が反巻き付け方向側から巻き付け方向側にかけて徐々に径方向外側となり、巻き付け方向端の径方向高さが前記所定厚となるように形成された、軸方向に延在する部位である、請求項1に記載の高圧タンク
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池自動車や天然ガス自動車などに用いられるガスを貯蔵する高圧タンクが知られている(例えば、特許文献1)。高圧タンクは、ガスが貯蔵される容器本体と、その容器本体を補強する補強層と、を備えている。補強層は、高圧タンクの耐圧を高めるために、容器本体の外面に繊維強化部材が巻き付けられた層である。容器本体は、円筒状に形成された筒状胴部と、筒状胴部の軸方向両側それぞれに形成されたドーム部と、を有している。補強層としては、容器本体の筒状胴部の外面側に形成されるフープ層がある。フープ層は、容器本体の筒状胴部に一枚の所定厚の繊維強化シートが複数周に亘って巻き付けられることにより形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-141947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器本体の筒状胴部に一枚の繊維強化シートが複数周に亘って巻き付けられると、繊維強化シートの一周目の終端部から二周目の始端部に亘る部分に、繊維強化シートの所定厚分だけ段差が生じ、繊維強化シートがクランク状に鋭く屈曲する。かかる段差や屈曲は、繊維強化シートの二周目の終端部から三周目の始端部に亘る部分などを含む、一周目から二周目への亘り部分の径方向外側にも同様に生じる。このため、容器本体内の圧力が高圧になったときに繊維強化シートの屈曲部分に応力が集中して繊維の耐久性の低下が生じ易くなる。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、容器本体の筒状胴部に複数周に亘って巻き付けられるシート状の繊維強化部材の屈曲を解消させることが可能な高圧タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定外径の筒状胴部を有する容器本体と、前記筒状胴部の外面にシート状の繊維強化部材が複数周に亘って巻き付けられた補強層と、前記繊維強化部材の所定厚の一周目の終端部の径方向内側に設けられた、前記終端部を前記筒状胴部の外径位置よりも径方向外側の位置で支持する支持部と、を備える、高圧タンクである。
【0007】
この構成によれば、支持部が、シート状の繊維強化部材の一周目の終端部を容器本体の筒状胴部の外面よりも径方向外側の位置で支持する。かかる構造では、支持部の存在により、繊維強化部材の一周目の終端部がその一周目の始端部よりも径方向外側に位置し、その一周目の終端部の内面の径方向位置がその一周目の始端部の外面の径方向位置に近づく。このため、上記の支持部が設けられない構造に比べて、繊維強化部材の一周目の終端部と二周目の始端部との段差を小さくすることができるので、繊維強化部材の一周目の終端部から二周目の始端部に亘る部分を、クランク状に屈曲させることなく滑らかに湾曲させることができる。繊維強化部材の一周目から二周目に亘る部分の形状が滑らかに連続したものとなれば、その亘り部分に対する径方向外側の亘り部分の形状も同様に滑らかになる。従って、シート状の繊維強化部材の屈曲を解消させることができ、これにより、タンク内圧の上昇に伴って容器本体が径方向外方へ膨らんだときにも、応力集中を生じ難くして繊維の耐久性低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る高圧タンクの構造を模式的に表した図である。
図2】第1実施形態の高圧タンクにおいて容器本体の筒状胴部の外面にシート状の繊維強化部材が巻き付けられる状態を表した斜視図である。
図3】第1実施形態の高圧タンクを図1に示す直線III-IIIで切断した際の断面図及び要部拡大図である。
図4】第1実施形態の高圧タンクが備える容器本体の筒状胴部の要部の断面図である。
図5】第1実施形態の高圧タンクが備える容器本体の全体斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る高圧タンクが備える部品の全体斜視図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る高圧タンクの要部断面図である。
図8】第3実施形態を変形した変形形態の高圧タンクが備える繊維強化部材の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る高圧タンクの具体的な実施形態について図面を用いて説明する。
【0010】
[第1実施形態]
図1図5を用いて、第1実施形態の高圧タンク1について説明する。高圧タンク1は、例えば水素ガスや天然ガスなどを高圧で充填する耐圧容器である。高圧タンク1は、例えば自動車などに搭載される。高圧タンク1は、図1に示す如く、容器本体10と、補強層30と、を備えている。
【0011】
容器本体10は、高圧タンク1の内壁層をなす中空のライナである。容器本体10は、部位として、筒状胴部11と、ドーム部12と、を有している。筒状胴部11は、円筒状に形成された部位である。筒状胴部11は、断面円形に形成されており、一定の外径を有している。ドーム部12は、半球状に形成される部位である。ドーム部12は、筒状胴部11の軸方向両端部それぞれに一体的に設けられている。すなわち、容器本体10は、筒状胴部11と2つのドーム部12とが互いに一体化されて形成されている。容器本体10の内部空間には、ガスが充填される。以下、高圧タンク1や容器本体10の軸が延びる方向を、適宜、軸方向Aと称す。
【0012】
容器本体10は、部品として、ライナ部20と、口金21と、を有している。すなわち、容器本体10は、ライナ部20と口金21とが組み付けられることにより構成される。ライナ部20及び口金21は、互いに組み付けられた状態で上記の筒状胴部11及びドーム部12を形成する。
【0013】
ライナ部20は、少なくとも筒状胴部11を形成するような形状(すなわち、略円筒状)に形成されている。尚、ライナ部20は、ドーム部12の少なくとも一部を含むように形成されていてもよい。ライナ部20は、ガスバリア性を有する材料(例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂,その他の硬質樹脂など)により形成されている。尚、ライナ部20は、例えばアルミニウムなどの材料により形成された金属ライナであってもよい。
【0014】
ライナ部20の軸方向両端部にはそれぞれ、開口22が設けられている。開口22は、半球状のドーム部12の頂点を中心にして略円形に形成されている。開口22には、口金21が嵌入されている。口金21は、ライナ部20の軸方向両端部それぞれに固定されている。ライナ部20への口金21の固定は、両者の螺合または嵌め合いにより或いはインサート成形により行われる。口金21は、略円筒状に形成されており、ボス部23及びフランジ部24を有している。口金21のボス部23の先端側は、ドーム部12の頂点から軸方向Aの外方へ突出している。口金21は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金などの金属により形成されている。口金21には、バルブ(図示せず)が螺合により取り付けられている。
【0015】
補強層30は、高圧タンク1の外壁層をなし、容器本体10の外面を覆う補強部材である。補強層30は、樹脂を含浸した高強度繊維からなる。この高強度繊維は、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などである。また、この高強度繊維に含浸される樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂である。尚、この樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂などの熱可塑性樹脂であってもよい。補強層30は、容器本体10の外面を覆った状態で、高強度繊維に含浸されている樹脂が硬化されることによりその容器本体10の外面側に固着される。
【0016】
補強層30は、フープ層と、ヘリカル層と、を有している。フープ層は、繊維が容器本体10の軸方向Aに対して略垂直に延びている層のことである。このフープ層は、容器本体10の筒状胴部11の外面側に形成され、主に筒状胴部11を巻き締めるために設けられる。また、ヘリカル層は、繊維が容器本体10の軸方向Aに対して傾斜しつつ螺旋状に延びている層のことである。このヘリカル層は、容器本体10の軸方向Aに対して繊維が傾斜する角度が比較的小さい低角度ヘリカル層であって、容器本体10の筒状胴部11及びドーム部12の双方の外面側に形成され、主にドーム部12を巻き締めるために設けられている。尚、補強層30として、更に、上記の低角度ヘリカル層よりも軸方向Aに対する傾斜角度が大きい高角度ヘリカル層が形成されていてもよい。
【0017】
補強層30のフープ層は、図2及び図3に示す如く、繊維強化シート31により形成される。繊維強化シート31は、一枚のシート状に形成された部材である。繊維強化シート31は、容器本体10の外面側に巻き付けられる前に予めシート状に形成される。繊維強化シート31は、一方向に配向した繊維が複数本平行に並ぶように構成されている。尚、本明細書において、繊維とは、一本の繊維を意味するだけでなく、複数本の繊維が束ねられた繊維束を意味することもあるものとする。また、シート状とは、繊維が延びる方向に延在するだけでなく、その繊維方向に直交する方向にも延在することであって、例えば帯状を含んでよい。繊維強化シート31の繊維の引張強度は、6.5GPa程度である。
【0018】
繊維強化シート31は、容器本体10の筒状胴部11の軸方向長さと略同じ軸方向長さを有している。繊維強化シート31は、容器本体10の筒状胴部11の外面に巻き付けられることでその筒状胴部11を円筒状に覆う。繊維強化シート31は、筒状胴部11を覆ったときにその繊維方向が容器本体10の軸方向Aに対して直交する方向(すなわち、周方向)となるように形成配置される。繊維強化シート31は、容器本体10の筒状胴部11に複数周に亘って巻き付けられてその径方向外側に積層される。
【0019】
補強層30のヘリカル層は、帯状に形成された部材により形成される。この部材は、繊維強化シート31によるフープ層の形成が完了した後、そのフープ層の外面に巻き付けられる。繊維強化シート31が所定複数周に亘って巻き付けられることによりフープ層が形成されかつそのフープ層の外面に所定部材が巻き付けられると、補強層30が形成される。
【0020】
高圧タンク1は、また、支持部40を備えている。支持部40は、フープ層をなす繊維強化シート31の巻き始めの一周目の終端部(すなわち、一周目のうち二周目へ亘る部分)31-1eを容器本体10の一定外径の筒状胴部11の外径位置11aよりも径方向外側の位置で支持する部位である。支持部40は、その繊維強化シート31の終端部31-1eの径方向内側に設けられている。
【0021】
支持部40は、図4及び図5に示す如く、容器本体10に一体形成されている。支持部40は、筒状胴部11の外径位置11aから径方向外側に突出するように設けられている。支持部40は、断面が略三角形状となるように形成されている。具体的には、支持部40は、支持部40の外面の径方向位置が、繊維強化シート31が巻き付けられる巻付方向とは反対方向である反巻付方向側からその巻付方向側にかけて徐々に径方向外側となり、巻付方向端の径方向高さが繊維強化シート31の巻き付け前の厚さTとなるように形成されている。また、支持部40は、反巻付方向端の径方向高さが略ゼロとなるように形成されている。支持部40は、軸方向に柱状に延在している。
【0022】
支持部40は、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eに接する外面部41と、巻付方向端において径方向に立設して周方向に向いた立壁部42と、を有している。外面部41は、断面直線状又は断面湾曲状に形成されている。外面部41の形状は、その外面部41に当接する繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eが滑らかに二周目の始端部31-2sに繋がるように設定されている。すなわち、外面部41の形状は、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eと二周目の始端部31-2sとが連続する亘り部分が大きくクランクせず、その亘り部分に180°に近い所定角度よりも小さい角部が形成されないように設定されている。立壁部42は、繊維強化シート31の巻き始め(すなわち、一周目の始端部31-1s)の周方向端面に対向するように形成されている。支持部40における巻付方向端かつ径方向外端の角部(すなわち、外面部41と立壁部42とが交わる角部)43は、丸みを帯びた円弧状に形成されている。
【0023】
高圧タンク1の製造は、以下の手順で行われる。具体的には、まず、図2に示す如く、補強層30のフープ層をなす一枚の繊維強化シート31と容器本体10とが軸方向Aに延びる軸を中心にして相対的に回転されることにより、繊維強化シート31が容器本体10の筒状胴部11の外面に巻き付けられる。この巻き付けは、繊維強化シート31の巻き始めである一周目の始端部31-1sの周方向端面が筒状胴部11の支持部40の立壁部42に周方向に対向された状態で開始される。そして、巻き付けは、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eが、径方向内側で支持部40の外面部41に支持されながら、二周目の始端部31-2sに亘るように行われ、以後、複数周に亘って連続して行われる。
【0024】
その後、補強層30のヘリカル層をなす部材がフープ層の外面に巻き付けられる。このように補強層30の形成が完了すると、補強層30の樹脂成分が加熱により固化されて、その補強層30が容器本体10の外面に固着される。これにより、高圧タンク1は、容器本体10の外面に補強層30が巻き締められた状態に製造される。
【0025】
上記の高圧タンク1の構造においては、容器本体10に一体形成された支持部40が、一定外径の筒状胴部11の外径位置11aから径方向外側に突出しており、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eをその筒状胴部11の外径位置11aよりも径方向外側の位置で支持する。すなわち、支持部40は、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eと容器本体10の筒状胴部11の一定外径の外面との間の空隙Sを埋める。この場合には、支持部40の存在により、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eが、その一周目の始端部31-1sよりも径方向外側に位置し、その一周目の終端部31-1eの内面の径方向位置がその一周目の始端部31-1sの外面の径方向位置に近づく。
【0026】
このため、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eと二周目の始端部31-2sとが連続する亘り部分でその一周目の終端部31-1eとその二周目の始端部31-2sとの段差を小さくすることができる。この段差が小さくなれば、段差が大きい構造とは異なり、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eから二周目の始端部31-2sに亘る部分を、クランク状に屈曲させることなく滑らかに湾曲させることができる。
【0027】
繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eから二周目の始端部31-2sに亘る部分の形状が滑らかに連続したものとなれば、繊維強化シート31の二周目の終端部31-2eから三周目の始端部31-3sに亘る部分を含む、その一周目から二周目への亘り部分に対する径方向外側の亘り部分の形状も同様に滑らかになる。従って、容器本体10の筒状胴部11に複数周に亘って巻き付けられる繊維強化シート31の屈曲を解消させることができる。このため、タンク内圧の上昇に伴って容器本体10が径方向外方へ膨らんだときの繊維強化シート31ひいては補強層30での応力集中を生じ難くして、繊維の耐久性低下を抑制することができ、これにより、高圧タンク1の耐圧を上げること、或いは、補強層30の薄肉化や高圧タンク1のコンパクト化を図ることができる。
【0028】
また、高圧タンク1において、支持部40における角部43は、上記の如く、丸みを帯びた円弧状に形成されている。このため、繊維強化シート31が支持部40の角部43に当接した際にその繊維強化シート31の繊維の耐久性の低下が生じ易くなるのを防止することができる。
【0029】
[第2実施形態]
図6を用いて、第2実施形態の高圧タンク1について説明する。第2実施形態の高圧タンク1は、第1実施形態の高圧タンク1とは異なり、支持部40に相当する支持部が容器本体10及び繊維強化シート31とは別体で形成された構造を有している。尚、第2実施形態において、第1実施形態の構成と同一の構成部分については、同一の符号を付す。
【0030】
高圧タンク1は、容器本体10と、補強層30と、支持部材100と、を備えている。容器本体10の筒状胴部11は、円筒状に形成されており、一定の外径を有している。補強層30のフープ層は、厚さTの繊維強化シート31により形成されている。支持部材100は、容器本体10及び繊維強化シート31とは別体に形成されている。支持部材100は、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eを容器本体10の一定外径の筒状胴部11の外径位置11aよりも径方向外側の位置で支持する部材である。支持部材100は、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eと容器本体10の筒状胴部11の外面との間に配置される。支持部材100は、筒状胴部11の外径位置11aから径方向外側に突出するように設けられている。
【0031】
支持部材100は、図6に示す如く、断面が略三角形状となるように形成されている。具体的には、支持部材100は、支持部材100の外面の径方向位置が、繊維強化シート31が巻き付けられる巻付方向とは反対方向である反巻付方向側からその巻付方向側にかけて徐々に径方向外側となり、巻付方向端の径方向高さが繊維強化シート31の巻き付け前の厚さTとなるように形成されている。また、支持部材100は、反巻付方向端の径方向高さが略ゼロとなるように形成されている。支持部材100は、軸方向に柱状に延在している。支持部材100は、容器本体10の筒状胴部11の外面に接着などにより固定される。
【0032】
支持部材100は、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eに接する外面部101と、巻付方向端において径方向に立設して周方向に向いた立壁部102と、容器本体10の筒状胴部11の外面に接する内面部103と、を有している。外面部101は、断面直線状又は断面湾曲状に形成されている。外面部101の形状は、その外面部101に当接する繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eが滑らかに二周目の始端部31-2sに繋がるように設定されている。立壁部102は、繊維強化シート31の巻き始め(すなわち、一周目の始端部31-1s)の周方向端面に対向するように形成されている。内面部103は、断面円弧状に形成されており、筒状胴部11の外径に合致した内径を有している。支持部材100における巻付方向端かつ径方向外端の角部(すなわち、外面部101と立壁部102とが交わる角部)104は、丸みを帯びた円弧状に形成されている。
【0033】
高圧タンク1の製造は、以下の手順で行われる。具体的には、まず、補強層30のフープ層をなす一枚の繊維強化シート31と容器本体10とが軸方向Aに延びる軸を中心にして相対的に回転されることにより、繊維強化シート31が容器本体10の筒状胴部11の外面に巻き付けられる。この巻き付けは、筒状胴部11の任意周方向位置の外面に内面部103が接着されて支持部材100が固定された後、その支持部材100の立壁部102に繊維強化シート31の一周目の始端部31-1sの周方向端面が周方向に対向された状態で開始される。そして、巻き付けは、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eが、径方向内側で支持部材100の外面部101に支持されながら、二周目の始端部31-2sに亘るように行われ、以後、複数周に亘って連続して行われる。
【0034】
その後、補強層30のヘリカル層をなす部材がフープ層の外面に巻き付けられる。このように補強層30の形成が完了すると、補強層30の樹脂成分が加熱により固化されて、その補強層30が容器本体10の外面に固着される。これにより、高圧タンク1は、容器本体10の外面に補強層30が巻き締められた状態に製造される。
【0035】
上記の高圧タンク1の構造においては、支持部材100が容器本体10の筒状胴部11の一定外径の外面から径方向外側に突出しており、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eをその筒状胴部11の外径位置11aよりも径方向外側の位置で支持する。すなわち、支持部材100は、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eと容器本体10の筒状胴部11の一定外径の外面との間の空隙Sを埋める。この場合には、支持部材100の存在により、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eが、その一周目の始端部31-1sよりも径方向外側に位置し、その一周目の終端部31-1eの内面の径方向位置がその一周目の始端部31-1sの外面の径方向位置に近づくので、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0036】
また、高圧タンク1において、支持部材100における角部104は、上記の如く、丸みを帯びた円弧状に形成されている。このため、繊維強化シート31が支持部材100の角部104に当接した際にその繊維強化シート31の繊維の耐久性の低下が生じ易くなるのを防止することができる。
【0037】
尚、上記の第2実施形態においては、一定外径の筒状胴部11の外面への繊維強化シート31の巻き付けは、筒状胴部11の任意周方向位置の外面に内面部103が接着されて支持部材100が固定された後に開始される。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。上記の巻き付けは、筒状胴部11の任意周方向位置の外面に繊維強化シート31の一周目の始端部31-1sが配置された状態で開始されると共に、その開始後にその始端部31-1sの周方向端面に立壁部102が周方向に対向するように支持部材100が配置固定され、その配置固定後に上記の巻き付けが複数周に亘って連続して実行されるものであってもよい。
【0038】
[第3実施形態]
図7及び図8を用いて、第3実施形態の高圧タンク1について説明する。第3実施形態の高圧タンク1は、第1実施形態の高圧タンク1や第2実施形態の高圧タンク1とは異なり、支持部40に相当する支持部が繊維強化シート31に一体形成された構造を有している。尚、第3実施形態において、第1実施形態の構成と同一の構成部分については、同一の符号を付す。
【0039】
高圧タンク1は、容器本体10と、補強層30と、支持部200と、を備えている。容器本体10の筒状胴部11は、円筒状に形成されており、一定の外径を有している。補強層30のフープ層は、繊維強化シート31により形成されている。支持部200は、フープ層をなす繊維強化シート31の所定厚Tの一周目の終端部(すなわち、一周目のうち二周目へ亘る部分)31-1eを容器本体10の一定外径の筒状胴部11の外径位置よりも径方向外側の位置で支持する部位である。支持部200は、その繊維強化シート31の終端部31-1eの径方向内側に設けられている。
【0040】
支持部200は、繊維強化シート31に一体形成されている。支持部200は、繊維強化シート31の所定厚Tの一周目の始端部31-1sに対して反巻付方向側に連設している。すなわち、繊維強化シート31は、巻き始め端側に設けられた支持部200を有すると共に、その支持部200に対して巻付方向側に連設した所定厚Tの通常シート部201を有している。
【0041】
支持部200は、断面が略三角形状となるように形成されている。具体的には、支持部200は、支持部200の外面の径方向位置が、繊維強化シート31が巻き付けられる巻付方向とは反対方向である反巻付方向側からその巻付方向側にかけて徐々に径方向外側となり、巻付方向端の径方向高さが繊維強化シート31の巻き付け前の厚さTとなるように形成されている。また、支持部200は、反巻付方向端の径方向高さが略ゼロとなるように形成されている。支持部200は、軸方向に柱状に延在している。
【0042】
支持部200は、図7に示す如く、通常シート部201に対して傾斜した形状に形成されている。この支持部200の形成は、所定厚Tに製造された繊維強化シート31の巻き始め部(すなわち、その反巻付方向端部)が斜めに切断されることにより行われる。支持部200の外面は、断面直線状又は断面湾曲状に形成されている。支持部200の外面形状は、その支持部200に当接する繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eが滑らかに二周目の始端部31-2sに繋がるように設定されている。
【0043】
高圧タンク1の製造は、以下の手順で行われる。具体的には、まず、補強層30のフープ層をなす一枚の繊維強化シート31と容器本体10とが軸方向Aに延びる軸を中心にして相対的に回転されることにより、繊維強化シート31が容器本体10の筒状胴部11の外面に巻き付けられる。この巻き付けは、筒状胴部11の任意周方向位置の外面に繊維強化シート31の巻き始めである支持部200が当接された状態で開始される。そして、巻き付けは、繊維強化シート31の所定厚Tの一周目の終端部31-1eが、繊維強化シート31の支持部200の外面に支持されながら、二周目の始端部31-2sに亘るように行われ、以後、複数周に亘って連続して行われる。
【0044】
その後、補強層30のヘリカル層をなす部材がフープ層の外面に巻き付けられる。このように補強層30の形成が完了すると、補強層30の樹脂成分が加熱により固化されて、その補強層30が容器本体10の外面に固着される。これにより、高圧タンク1は、容器本体10の外面に補強層30が巻き締められた状態に製造される。
【0045】
上記の高圧タンク1の構造においては、繊維強化シート31に一体形成された支持部200が、容器本体10の筒状胴部11の一定外径の外面から径方向外側に突出しており、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eをその筒状胴部11の外径位置11aよりも径方向外側の位置で支持する。すなわち、支持部200は、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eと容器本体10の筒状胴部11の一定外径の外面との間の空隙Sを埋める。この場合には、支持部200の存在により、繊維強化シート31の一周目の終端部31-1eが、その一周目の始端部31-1sよりも径方向外側に位置し、その一周目の終端部31-1eの内面の径方向位置がその一周目の始端部31-1sの外面の径方向位置に近づくので、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
尚、上記の第3実施形態においては、繊維強化シート31に一体形成される支持部200が、繊維強化シート31の所定厚Tの巻き始め部(すなわち、反巻付方向端部)が斜めに切断されることにより形成される。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。支持部200は、例えば、図8に示す如く、繊維強化シート31の所定厚Tの巻き始め部が軸方向両端間で他の部位に比べて空かれることにより形成されるものであってよい。尚、この支持部200の形成は、繊維強化シート31の巻き始め端側ほど多量に空かれ、その巻き始め端から離間する位置ほど空かれる量が少量であるように行われるものであってよい。
【0047】
ところで、上記の実施形態1-3においては、シート状の一枚の繊維強化シート31が容器本体10の筒状胴部11の外面に複数周に亘って巻き付けられるものとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。二以上の帯状の繊維強化部材が軸方向に並んで配置されつつ、各繊維強化部材がそれぞれ容器本体10の筒状胴部11の外面に複数周に亘って巻き付けられるものであってもよい。
【0048】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1:高圧タンク、10:容器本体、11:筒状胴部、12:ドーム部、30:補強層、31:繊維強化シート、40,200:支持部、41:外面部、42:立壁部、100:支持部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8