(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/008 20060101AFI20220623BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20220623BHJP
A61B 1/005 20060101ALI20220623BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
A61B1/008 510
A61B1/00 711
A61B1/005 522
G02B23/24 A
(21)【出願番号】P 2020565044
(86)(22)【出願日】2019-01-07
(86)【国際出願番号】 JP2019000095
(87)【国際公開番号】W WO2020144731
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 頼望也
(72)【発明者】
【氏名】小板橋 正信
(72)【発明者】
【氏名】岡本 康弘
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/117865(WO,A1)
【文献】特開2005-279119(JP,A)
【文献】特開2001-87220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に挿入される挿入部と、
前記挿入部が延出する長手方向の基端側に設けられ、操作者によって把持されるとともに前記挿入部の操作を行う操作部と、
前記操作部内に設けられ、前記挿入部の特定部位への動力を伝達する動力伝達部と、
前記動力伝達部に接続され該動力伝達部に前記動力を伝達する動力中継部と、
前記動力中継部に対して隣接して取り付けられているとともに、前記動力伝達部の第1の動力伝達軸方向と非平行な第2の動力伝達軸方向において、前記動力中継部に前記動力を付与する動力発生部と、
前記動力発生部に対して前記動力中継部を付勢するか、前記動力中継部に対して前記動力発生部を付勢するかのいずれか
を行う弾性部材と、
前記操作部から前記長手方向とは異なる方向であって前記第2の動力伝達軸方向に平行に延出するケーブルと、
を具備し、
前記動力発生部は、装着後、前記ケーブルの延出方向に沿って配置されるように取り付けられることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記動力発生部から前記動力中継部に付与される前記動力は回動力であり、
前記弾性部材は、前記付勢に伴い、前記動力発生部と前記動力中継部との内、一方を他方に対して密に接続させて前記動力発生部の前記回動力を前記動力中継部に付与させることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記動力中継部と前記動力発生部とは、互いに係合するカム溝とカム突起の内、互いに異なるいずれかを具備していることを特徴とする請求項
2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記動力中継部は、中継部回動軸と、該中継部回動軸の外周に被覆されるとともに前記中継部回動軸に対して前記第2の動力伝達軸方向に同軸かつ非回動な中継部保持枠とを具備し、
前記動力発生部は、発生部回動軸と、該発生部回動軸の外周に被覆されるとともに前記発生部回動軸に対して前記第2の動力伝達軸方向に同軸かつ非回動な発生部保持枠とを具備し、
前記中継部保持枠と前記発生部保持枠とに、前記カム溝と前記カム突起とのいずれかが互いに異なるよう形成されており、
前記カム溝に前記カム突起が嵌入した状態において、前記中継部保持枠と前記発生部保持枠とは、前記中継部回動軸及び前記発生部回動軸とは独立して相対的に回動することを特徴とする請求項
3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記中継部回動軸と前記発生部回動軸との互いの接続部位に、前記弾性部材の付勢によって嵌合する凹凸いずれかが、互いに異なるよう形成されていることを特徴とする請求項
4に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記第2の動力伝達軸方向において、前記動力発生部に対して前記動力中継部を付勢するか、前記動力中継部に対して前記動力発生部を付勢するかのいずれかを行うことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記弾性部材は、前記動力発生部を支持する第1のケーシング内または前記動力中継部を支持する第2のケーシング内に取り付けられていることを特徴とする請求項
1に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記操作部に、該操作部から前記長手方向に交わる方向に突出するとともに前記挿入部の前記特定部位または他の特定部位を操作するノブが設けられており、
前記動力中継部は、前記長手方向に交わる方向において、前記操作部に対して前記ノブとは反対側に沿って位置していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記ノブは、前記他の特定部位を操作するものであり、
前記ノブの操作に伴う前記他の特定部位の動作と、前記動力発生部から前記動力中継部、前記動力伝達部を介して前記動力が伝達された前記特定部位の動作とは異なることを特徴とする請求項
8に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記挿入部の前記他の特定部位は、前記ノブの操作に応じて複数方向に湾曲動作するように構成された前記挿入部の前記長手方向の先端側に設けられた第1湾曲部であり、
前記挿入部の前記特定部位は、前記第1湾曲部の前記長手方向の基端に連設された第2湾曲部であり、
前記動力発生部は、前記第2湾曲部が少なくとも1つの方向に湾曲するための駆動力を、前記動力伝達部の長尺部材を介して前記操作部から前記第2湾曲部に伝達することを特徴とする請求項
9に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記動力発生部は、前記動力中継部に対して着脱自在である構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部の特定部位に動力を与える動力発生部が取り付けられた内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡は、医療分野及び工業用分野において広く利用されている。内視鏡は、細長い挿入部を被検体内に挿入することにより、被検体内の被検部位の観察や処置等を行うことができる。
【0003】
また、内視鏡の挿入部の長手方向の先端側(以下、単に先端側と称す)に、特定部位、例えば複数方向に湾曲自在な湾曲部が設けられた構成が周知である。
【0004】
湾曲部は、管路内の屈曲部における挿入部の進行性を向上させる他、挿入部において、湾曲部よりも先端側に位置する先端部に設けられた観察光学系の観察方向を可変させる。
【0005】
湾曲部は、内視鏡の操作部において、上述した長手方向に交わる方向における一方側に突出して設けられたノブが操作者によって回動操作されることにより、例えば上下左右の4方向のいずれかに湾曲自在となるよう構成されている。
【0006】
具体的には、ノブを回動させると、動力伝達部が動作することにより湾曲部が湾曲されるよう構成されている。
【0007】
より具体的には、操作部内に設けられたノブとともに回動するプーリが回動し、該プーリに巻回されるとともに、長手方向の先端(以下、単に先端と称す)が湾曲部に固定されたチェーン、ワイヤ等の長尺部材が牽引されることによって、湾曲部が湾曲されるよう構成されている。
【0008】
尚、ノブは、操作部の把持領域が操作者の左手の腹、小指、薬指、中指で把持され、左手の人指し指と親指とにより操作部から延出されるユニバーサルコードの固定部側が該固定部側を挟むよう把持された状態において、左手の親指によって回動操作される。
【0009】
ここで、内視鏡の挿入部を被検体内に挿入する際は、操作者は、右手で挿入部を把持して挿入部を被検体内の深部に右手で押し込む操作を行うとともに、左手で上述したように操作部を把持して、操作部に設けられた上述したノブや各種スイッチ操作を行う。
【0010】
しかしながら、手の小さい操作者や、不慣れな操作者においては、左手の親指のみで上述したように長尺部材を牽引するためのノブの回動操作が、操作力量が大きく行い難いといった問題があった。
【0011】
このような問題に鑑み、日本国特許第3222190号公報には、ノブの回動操作力量を小さくするため、ノブの回動操作をスイッチ操作に伴う電動機構にて行う構成が開示されている。
【0012】
具体的には、日本国特許第3222190号公報には、ノブの外周にホイールが被覆され、該ホイールが操作者のスイッチ操作に伴って操作部に装着された動力発生部により電動にて回動されることにより、ノブの回動を電動機構にて行う動力伝達機構の構成が開示されている。
【0013】
しかしながら、上述した日本国特許第3222190号公報における動力伝達機構の構成では、ノブの外周に被覆するホイールが別途必要となる。
【0014】
また、操作部に対してホイールを回動させる動力発生部がノブを覆うように装着されることから、操作部においてノブが設けられた部位周辺が大型化してしまうといった問題があった。
【0015】
さらに、動力発生部のケーシングは、ホイールよりも大きいことから、操作部の重量バランスが悪くなってしまい、操作者が操作部を把持し続け難くなってしまうといった問題もあった。
【0016】
尚、以上の問題は、湾曲部が第1湾曲部、第2湾曲部から構成され、各湾曲部の少なくとも一方を湾曲部毎の動力伝達機構から伝達された動力によって湾曲させる場合においても同様である。
【0017】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、操作部における重量バランスが最適な位置に動力発生部が動力伝達部に動力を確実に付与できるよう取り付けられるとともに、動力伝達機構の小型化を図った構成を具備する内視鏡を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため本発明の一態様による内視鏡は、被検体内に挿入される挿入部と、前記挿入部が延出する長手方向の基端側に設けられ、操作者によって把持されるとともに前記挿入部の操作を行う操作部と、前記操作部内に設けられ、前記挿入部の特定部位への動力を伝達する動力伝達部と、前記動力伝達部に接続され該動力伝達部に前記動力を伝達する動力中継部と、前記動力中継部に対して隣接して取り付けられているとともに、前記動力伝達部の第1の動力伝達軸方向と非平行な第2の動力伝達軸方向において、前記動力中継部に前記動力を付与する動力発生部と、前記動力発生部に対して前記動力中継部を付勢するか、前記動力中継部に対して前記動力発生部を付勢するかのいずれかを行う弾性部材と、前記操作部から前記長手方向とは異なる方向であって前記第2の動力伝達軸方向に平行に延出するケーブルと、を具備し、前記動力発生部は、装着後、前記ケーブルの延出方向に沿って配置されるように取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】
図1の内視鏡の操作部を、操作者の左手で把持した状態を示す図
【
図3】
図1の内視鏡から、動力中継部の第2のケーシング及び操作部における操作子領域の外装の一部を取り外した状態にて示す部分斜視図
【
図4】
図3の動力発生部、動力中継部、動力伝達部における動力伝達構成を概略的に示す図
【
図5】
図1中のV-V線に沿う動力中継部及び動力発生部の断面図
【
図6】
図5の動力中継部の第2のケーシング、中継部保持枠、中継部回動軸を、
図5中のVI方向からみた斜視図
【
図7】
図5の動力発生部の第1のケーシング、発生部保持枠、発生部回動軸を、
図5中のVII方向からみた斜視図
【
図8】
図5のVIII線で囲った部位を拡大して示す断面図
【
図9】
図8の動力中継部に動力発生部が装着される際に、動力中継部の弾性部材が押圧された状態を示す断面図
【
図11】
図10中のXI-XI線に沿う動力中継部及び動力発生部の断面図
【
図13】
図12の動力中継部に動力発生部が装着される際に、動力発生部の弾性部材が押圧された状態を示す断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(第1実施の形態)
【0022】
図1は、本実施の形態の内視鏡を示す部分斜視図、
図2は、
図1の内視鏡の操作部を、操作者の左手で把持した状態を示す図である。
【0023】
図1に示すように、内視鏡1は、被検体内に挿入される挿入部2と、該挿入部2の長手方向Nの基端側(以下、単に基端側と称す)に設けられ、操作者によって把持及び操作される操作部6とを具備している。
【0024】
また、内視鏡1は、操作部6から延出されたケーブルであるユニバーサルコード7と、該ユニバーサルコード7の延出端に設けられた図示しないコネクタとを具備している。
【0025】
尚、コネクタが、既知の図示しない光源装置やビデオプロセッサ等に接続自在なことにより、内視鏡1は、周辺装置に接続自在となっている。
【0026】
挿入部2は、先端側から順に、内部に図示しない撮像ユニットを具備する先端部3と、湾曲部4と、可撓管部5とを具備して主要部が構成されている。
【0027】
湾曲部4は、本実施の形態においては、先端側に位置する他の特定部位である第1湾曲部4aと、該第1湾曲部4aの長手方向Nの基端(以下、単に基端と称す)に連設された特定部位である第2湾曲部4bとから構成されている。
【0028】
尚、湾曲部4は、第1湾曲部4aのみから構成されていても構わないが、以下、湾曲部4は、第1湾曲部4aと第2湾曲部4bとから構成されている場合を例に挙げて説明する。
【0029】
操作部6は、先端側から順に、把持領域6aと、該把持領域6aの基端に連設された操作子領域6cとから構成されており、既知の折れ止め20を介して可撓管部5の基端に連設されている。
【0030】
把持領域6aは、
図2に示すように、操作者の左手Lの腹、及び中指LN、薬指LM、小指LKによって把持される領域(把持部)となっている。
【0031】
また、把持領域6aは、先端側に、図示しない処置具を操作部6及び挿入部2内に設けられた図示しない処置具挿通路に挿抜するための処置具挿通口25が設けられている。
尚、
図1において、処置具挿通口25の数は2つであるが、当然、1つであっても構わない。
【0032】
操作子領域6cに、湾曲操作ノブ11、12、固定ノブ13、固定レバー14、電動湾曲操作レバー19等、操作者が操作を行うための各種操作子が設けられている。
【0033】
湾曲操作ノブ11、12は、例えば操作者の左手Lの親指LOによる回動操作に伴い、挿入部2及び操作部6内に設けられた図示しない既知の動力伝達部を介して、第1湾曲部4aを、例えば上下左右の4方向に湾曲操作するものである。
【0034】
また、固定ノブ13は、例えば親指LOによる回動操作に伴い、湾曲操作ノブ12の回動位置を固定するものである。さらに、固定レバー14は、例えば親指LOによる回動操作に伴い、湾曲操作ノブ11の回動位置を固定するものである。
【0035】
電動湾曲操作レバー19は、例えば親指LOによる回動操作に伴い、後述する動力発生部50(
図2参照)を駆動させ、後述する動力中継部80(
図2参照)を介して動力発生部50の動力を後述する動力伝達部40(
図4参照)に伝達させる。このことにより、電動湾曲操作レバー19は、第2湾曲部4bを、少なくとも1方向に湾曲操作するものとなっている。
【0036】
よって、湾曲操作ノブ11、12によって行われる第1湾曲部4aの湾曲動作と、電動湾曲操作レバー19によって行われる動力発生部50から動力中継部80、動力伝達部40を介して動力が伝達される第2湾曲部4bの湾曲動作とは異なる。
【0037】
尚、第2湾曲部4bの湾曲操作は、上述した電動湾曲操作レバー19に限らず、動力発生部50の駆動指示を出来るものであれば、操作部6に設けられたノブやスイッチボタン、または、内視鏡1や、内視鏡1に接続される周辺装置に接続されたフットスイッチ等、どのようなもので行っても構わない。
【0038】
また、上述とは反対に、湾曲操作ノブ11、12を用いて第2湾曲部4bの湾曲操作を行っても構わないし、電動湾曲操作レバー19を用いて第1湾曲部4aの湾曲操作を行っても構わない。
【0039】
また、湾曲操作ノブ11、12、固定ノブ13、固定レバー14、電動湾曲操作レバー19は、
図1に示すように、長手方向Nに交わる方向Jにおいて、操作子領域6cの外表面における面6caから該面6caから方向Jに離間する側となる第1の側J1に突出するよう設けられている。
【0040】
また、操作子領域6cの外表面において、面6caと隣り合う面、具体的には、
図1に示すように、処置具挿通口25が設けられた面と同じ方向側の面6ccに、例えば、撮像ユニットによって撮像された画像の静止を指示するフリーズスイッチボタン35、吸引操作用スイッチボタン36、送気送水操作用スイッチボタン37が設けられている。
【0041】
フリーズスイッチボタン35、吸引操作用スイッチボタン36、送気送水操作用スイッチボタン37は、操作部6が
図2に示すように操作者によって把持された場合、人差し指LHまたは中指LNによって操作される。
【0042】
尚、スイッチボタン35~37の上述した機能は、あくまでも一例であり、上述した機能に限定されないことは勿論である。
【0043】
さらに、操作子領域6cの外表面において、面6ca及び面6ccに隣接するとともに、上述したスイッチボタン35~37が設けられた位置よりも長手方向Nにおける挿入部2から離間する遠位側の面6cdに、スイッチボックス30が設けられている。
【0044】
スイッチボックス30の長手方向Nにおける頂部に、例えば内視鏡1の電源をオンオフする電源スイッチボタン31が設けられている。
【0045】
また、スイッチボックス30のスイッチボタン35~37が設けられた面と同じ側の面に、例えば測光方式を変更するアイリススイッチボタン32が設けられている。
【0046】
さらに、スイッチボックス30のアイリススイッチボタン32に対向する面に、例えば撮像ユニットによって撮像された画像の録画を指示するレリーズスイッチボタン33が設けられている。
【0047】
尚、スイッチボタン33は、
図2に示すように操作部6が把持された場合、例えば左手Lの親指LOによって操作される。
【0048】
また、スイッチボタン31、32は、
図2に示すように操作部6が把持された場合、例えば左手Lの人指し指LHによって操作される。尚、スイッチボタン32は、親指LOによって操作されても構わない。
【0049】
尚、スイッチボタン31~33の上述した機能は、あくまでも一例であり、上述した機能に限定されないことは勿論である。
【0050】
また、操作子領域6cの外表面における、面6cc、面6cdに隣接するとともに、方向Jにおいて面6caに対向する面6cbにおいて、方向Jにおいて第1の側J1とは反対側となる第2の側J2に突出するよう、ユニバーサルコード7の折れ止め7kが、操作子領域6c内から第2の側J2に突出するよう設けられた後述するフレーム120(
図3参照)に固定されている。
【0051】
このことにより、ユニバーサルコード7は、折れ止め7kの端部がフレーム120に固定された状態において、方向Jに略直交する方向Sに沿って延出されている。
【0052】
さらに、面6cbに対するユニバーサルコード7の折れ止め7kの固定位置から、第2の側J2に突出するように、操作部6の一部を構成する動力中継部80が方向Jに沿って操作子領域6cに対し第1の側J1とは反対側に設けられている。
【0053】
また、動力が伝達されるよう、動力発生部50が動力中継部80に隣接して取付けられている。尚、動力発生部50は、動力中継部80に対して後述のカム機構等を介することによって着脱自在な構造を有していてもよい。動力発生部50は、動力中継部80に装着された際、
図1に示すように、ユニバーサルコード7の延出方向である方向Sに沿って配置される。
【0054】
次に、動力伝達部40、動力中継部80、動力発生部50の詳しい構成について、
図3~
図9を用いて示す。
【0055】
図3は、
図1の内視鏡から、動力中継部の第2のケーシング及び操作部における操作子領域の外装の一部を取り外した状態にて示す部分斜視図、
図4は、
図3の動力発生部、動力中継部、動力伝達部における動力伝達構成を概略的に示す図である。
【0056】
また、
図5は、
図1中のV-V線に沿う動力中継部及び動力発生部の断面図、
図6は、
図5の動力中継部の第2のケーシング、中継部保持枠、中継部回動軸を、
図5中のVI方向からみた斜視図、
図7は、
図5の動力発生部の第1のケーシング、発生部保持枠、発生部回動軸を、
図5中のVII方向からみた斜視図である。
【0057】
さらに、
図8は、
図5のVIII線で囲った部位を拡大して示す断面図、
図9は、
図8の動力中継部に動力発生部が装着される際に、動力中継部の弾性部材が押圧された状態を示す断面図である。
【0058】
動力伝達部40は、操作部6、挿入部2内に設けられており、第2湾曲部4bへ動力を伝達するものである。
【0059】
具体的には、
図4に示すように、動力伝達部40は、操作部6の操作子領域6c内に設けられたプーリ42と、該プーリ42に巻回されるとともに操作部6及び挿入部2内に設けられたワイヤ、チェーン等の、例えば2本の長尺部材43と、傘歯車41と、軸41jとを具備して主要部が構成されている。尚、長尺部材43は、1本から構成されていても構わない。
【0060】
2本の長尺部材43の長手方向Nの先端は、第2湾曲部4bの先端にそれぞれ固定されており、2本の長尺部材43は、長手方向Nと略平行な第1の動力伝達軸方向N'にそれぞれ移動自在となっている。
【0061】
よって、プーリ42が一方向に回転されると、一方の長尺部材43が第1の動力伝達軸方向N'における後方N'1側に牽引されることにより、第2湾曲部4bは一方向に湾曲する。
【0062】
また、プーリ42が他方向に回転されると、他方の長尺部材43が第1の動力伝達軸方向N'における後方N'1側に牽引されることにより、第2湾曲部4bは他方向に湾曲する。
【0063】
軸41jは、方向Jにおける第1の側J1の端部がプーリ42に接続されており、第2の側J2の端部が傘歯車41に接続されている。
【0064】
よって、傘歯車41が回動すると、該回動力は、軸41jを介してプーリ42に伝達される。即ち、傘歯車41の回動に伴い、プーリ42は一方向または他方向に回転自在となっている。
【0065】
動力中継部80は、動力伝達部40に接続され、該動力伝達部40に動力である回動力を伝達する。
【0066】
具体的には、動力中継部80は、弾性部材82と、平歯車83と、該平歯車83を軸支する中継部回動軸83jと、アイドラ歯車84と、該アイドラ歯車84を軸支する軸84jと、平歯車85と、傘歯車86と、傘歯車86及び平歯車85を軸支する軸85jと、中継部保持枠87と、ギヤボックス90とをそれぞれ第2のケーシング81内に具備して主要部が構成されている。
【0067】
傘歯車86は、平歯車85と同一の軸85jによって軸支されており、傘歯車41に噛合されている。このことにより、傘歯車86は、軸85jの回動力を傘歯車41に伝達する機能を有している。
【0068】
尚、軸85jは、
図3に示すように、例えば操作子領域6c内から第2の側J2に突出するよう設けられたフレーム120に対して回動自在となるよう軸支されている。
【0069】
平歯車85は、軸84jに軸支されたアイドラ歯車84と噛合している。尚、軸84jもフレーム120に対して回動自在となるよう軸支されている。
【0070】
よって、平歯車85は、アイドラ歯車84から回動力が伝達されることにより、軸85jを回動させる機能を有している。
【0071】
アイドラ歯車84は、平歯車85に対して、方向Jにおいて第2の側J2に配置されており、平歯車85及び平歯車83に噛合している。アイドラ歯車84は、平歯車83の回動力を、平歯車85に伝達するものである。
【0072】
尚、方向Jにおいて動力中継部80を小さくするため、アイドラ歯車84を設けずに、平歯車83が直接平歯車85に噛合され、平歯車83の回動力を直接平歯車85に伝達しても構わない。
【0073】
平歯車83は、
図5に示すように、第2のケーシング81内において、ギヤボックス90内に設けられており、アイドラ歯車84に対して、方向Jにおいて第2の側J2に配置されてアイドラ歯車84に噛合している。
【0074】
また、平歯車83は、方向Sに略平行かつ、第1の動力伝達軸方向N'に非平行な第2の動力伝達軸方向S'に沿って位置する中継部回動軸83jに回動自在に軸支されている。
【0075】
平歯車83は、中継部回動軸83jから伝達された回動力をアイドラ歯車84に伝達するものである。
【0076】
即ち、
図3、
図4に示すように、中継部回動軸83jが回動されると、平歯車83が回動し、回動力は方向Jに沿ってアイドラ歯車84、平歯車85、軸85jに伝達され、傘歯車86が回動する。
【0077】
その後、傘歯車86に噛合する傘歯車41が回動されることにより回動方向が変換され、軸41jが回動され、プーリ42が回動する。
【0078】
その結果、2本の長尺部材43のいずれかが回動により牽引され、第2湾曲部4bは、本実施の形態においては、2方向のいずれかに湾曲する。
【0079】
尚、各歯車41、86、85、84、83は樹脂から構成されていると噛合部への定期的な注油が不要となる他、回動に伴う噛合音が静かになるといったメリットがある。
【0080】
また、上述したように、回動力伝達方向の変換のため、傘歯車を用いていることによっても、回動に伴う噛合音が静かになるといったメリットがある。
【0081】
さらに、平歯車85、アイドラ歯車84、平歯車83の各歯車の歯数をそれぞれ異なる非整数とすれば、互いの噛合の際、同じ歯が噛み合う回数が減ることから、歯の摩耗を低減することができる。
【0082】
また、中継部回動軸83jから軸85jへの回動力の伝達に、平歯車85、アイドラ歯車84、平歯車83といった3つの方向Jに並列された平歯車を用いることにより、これら3つの平歯車にて回動速度を適正な速度に減速させることができる。
【0083】
また、本実施の形態においては、中継部回動軸83jの回動力を、軸85jに伝達するため、3つの歯車83~85といった平歯車列を用いているが、これに限らず、歯付きベルトやチェーン等を用いても構わない。
【0084】
中継部回動軸83jは、方向Sにおける一方S1側の端部に、弾性部材82に接触自在なボール88が設けられているとともに、方向Sにおける他方S2側の端部外周に、断面略コの字型を有するキャップ部材92が被覆されて固定されている。
【0085】
キャップ部材92は、
図6に示すように、他方S2側の端面に、一方S1側に向かって凹む凹部92hが形成されている。
【0086】
また、凹部92hの底面に、平面形状が十字状を有する十字凹部92pが形成されている。尚、凹部92pの十字平面形状はあくまでも一例であり、例えば楕円の平面形状を有していても構わない。
【0087】
また、キャップ部材92の外周に、Oリング93を介して中継部回動軸83jに対して方向Sに同軸状となるよう中継部保持枠87が被覆されている。
【0088】
尚、中継部保持枠87は、第2のケーシング81の内周面に固定されている。よって、中継部保持枠87は、中継部回動軸83jの回動に伴い中継部回動軸83jの周方向Cに回動してしまうことがない。
【0089】
また、中継部回動軸83j及びキャップ部材92は、中継部保持枠87に対して、Oリング93に接触した状態において周方向Cに回動自在なばかりか方向Sの一方S1側及び他方S2側に移動自在となっている。
【0090】
さらに、中継部保持枠87は、内周面におけるキャップ部材92の外周に対向する位置に、互いに対向する2つのカム突起87pを有している。
【0091】
また、動力発生部50を動力中継部80に取付けるにあたっては、
図5、
図8に示すように、後述するカム筒54を中継部保持枠87内に、方向Sに沿って嵌入されるように取付けを行う。
【0092】
弾性部材82は、例えば板バネやコイルバネから構成されている。また、弾性部材82は、第2のケーシング81内にボール88に対向するよう、溶接、ネジ止め、接着等により固定されている。
【0093】
さらに、弾性部材82は、方向Sにおける他方S2側へのボール88の付勢に伴い、動力発生部50に対して動力中継部80を密に接続させて、動力発生部50の回動力を動力中継部80に確実に付与させる。尚、弾性部材82の詳しい作用は、後述する。
【0094】
動力発生部50は、方向Sに沿って、動力中継部80に動力を付与する。具体的には、動力発生部50は、ケーブル52の端部と、ギヤヘッド53と、発生部保持枠であるカム筒54と、モータ57と、エンコーダ58と、基板59と、モータ保持部材60と、キャップ部材61と、カム筒保持部材62とをそれぞれ第1のケーシング51内に具備して主要部が構成されている。
【0095】
ギヤヘッド53、モータ57、エンコーダ58は、方向Sに沿って一体的に接続されており、第1のケーシング51に対して固定されたモータ保持部材60によって保持されている。
【0096】
また、モータ57に対してケーブル52から基板59を介して電力が付与されることにより、ギヤヘッド53のギヤヘッド軸53jは、回動自在となっている。尚、ケーブル52は、ユニバーサルコード7に対して、クリップ止めされていても構わない。
【0097】
尚、ギヤヘッド軸53jは、ギヤヘッド53、モータ57、エンコーダ58よりも小径に形成されている。
【0098】
さらに、モータ保持部材60に、カム筒保持部材62が固定されており、カム筒保持部材62に、ギヤヘッド軸53jの外周を被覆するとともに、ギヤヘッド軸53jに対して方向Sに同軸なカム筒54が、周方向Cに非回動となるよう保持されている。
【0099】
また、動力発生部50を動力中継部80に取付けるにあたっては、
図7に示すカム筒54の外周に、カム突起87pが周方向Cに沿って
図9に示すように嵌入されるカム溝54mが、周方向Cに沿って2つ、互いに対向する位置に形成されている。
【0100】
よって、中継部保持枠87内に対しカム筒54が方向Sに沿って挿抜され、中継部保持枠87とカム筒54との周方向Cへの相対的な回動に伴ってカム溝54mに対してカム突起87pが嵌入、脱却されることにより、動力中継部80に動力発生部50は装脱される。
【0101】
具体的には、一方、動力中継部80に対して動力発生部50を装着する際は、中継部保持枠87内に対しカム筒54を一方S1側に移動させて嵌入させる。この際、カム溝54mの嵌入口54maに対してカム突起87pが嵌入する。
【0102】
その後、動力発生部50を周方向Cにおける時計周りに回転させると、カム溝54m内を、該カム溝54mの周方向Cにおける端部54mbに当接するまでカム突起87pは移動する。その結果、動力中継部80に動力発生部50が装着される。
【0103】
他方、動力中継部80から動力発生部50を脱却する際は、中継部保持枠87内に対しカム筒54を周方向Cにおける反時計周りに回転させると、カム溝54m内を、周方向Cにおいて装着時とは反対方向にカム突起87pは嵌入口54maまで移動する。
【0104】
その後、動力発生部50を他方S2側に移動させると、カム溝54mからカム突起87pが抜けるとともに、中継部保持枠87内からカム筒54が他方S2側に脱却され、動力中継部80から動力発生部50が脱却される。
【0105】
尚、動力中継部80に対する動力発生部50の装脱は、上述とは反対に、カム筒54の外周に設けられたカム突起が、中継部保持枠87に形成されたカム溝に対して嵌入、脱却されることにより行われても構わない。
【0106】
ギヤヘッド軸53jは、方向Sにおける一方S1側の端部外周に、断面略コの字型を有するキャップ部材61が被覆されて固定されている。
【0107】
キャップ部材61は、
図7に示すように、ギヤヘッド軸53jの一方S1側の端面において、一方S1側に向かうに従い先細りとなるテーパ面を4つ有する平面十字状の十字凸部61tを有している。
【0108】
尚、凸部61tの十字平面形状は、あくまでも一例であり、真円以外の凹部92pと同じ形状であれば、どのような形状であっても構わない。即ち、凹部92pと周方向Cに嵌合できる形状であれば、凸部61tはどのような形状であっても構わない。
【0109】
また、上述した本実施の形態においては、キャップ部材61に十字凸部61tが形成され、キャップ部材92に十字凹部92pが形成されている場合を例に挙げて示している。これに限らず、互いに嵌合できるのであれば、キャップ部材61に十字凹部が形成され、キャップ部材92に十字凸部が形成されていても構わない。
【0110】
また、キャップ部材61の外周に、カム筒保持部材62が、Oリング55を介して被覆されており、カム筒保持部材62の一部に対して、カム筒54は、弾性部材63を介してフローティングされている。
【0111】
この弾性部材63により、カム筒54は、カム筒保持部材62及びモータ保持部材60並びに第1のケーシング51に対してフローティングされる。
【0112】
十字凸部61tは、動力中継部80に動力発生部50が装着されるにあたり、中継部保持枠87内にカム筒54が方向Sに沿って一方S1側に向かって嵌入され、中継部保持枠87とカム筒54との周方向Cへの相対的な回転に伴ってカム溝54mに対してカム突起87pが嵌入された際、ギヤヘッド軸53jと中継部回動軸83jとは同軸となることから、十字凹部92pに嵌合する。
【0113】
尚、十字凸部61tに一方S1側に向かうに従い先細りになる4つのテーパ面が形成されているのは、十字凹部92pに対する十字凸部61tの嵌合の際に、十字凸部61tの軸中心を、十字凹部92pの軸中心に寄せることにより嵌合精度を向上させるためである。
【0114】
また、十字凹部92pに対する十字凸部61tの嵌合は、ギヤヘッド軸53jの回動後に密となる。これは、十字凹部92pに対する十字凸部61tの周方向Cへの回動に伴い、周方向Cにおける凹凸の接触によって周方向Cにおける間隙がなくなるためである。
【0115】
さらに、十字凹部92pに対する十字凸部61tの嵌合は、
図8、
図9に示すように、動力中継部80に動力発生部50が装着された際、具体的には、中継部保持枠87内にカム筒54が方向Sにおける一方S1側に向かって嵌入された際、ギヤヘッド軸53jがキャップ部材61を介してキャップ部材92、中継部回動軸83jを一方S1側に押圧し、ボール88が弾性部材82を一方S1側に押圧した際の、弾性部材82の他方S2側への反力により、中継部回動軸83j、キャップ部材92を介して十字凹部92pを十字凸部61tに対して他方S2側に付勢することにより行われる。
【0116】
即ち、弾性部材82は、方向Sにおいて、十字凹部92pに対して十字凸部61tが正しく嵌合するまで中継部回動軸83jの変位を吸収する。
【0117】
その結果、ギヤヘッド軸53jが回動されると、十字凹部92pへの十字凸部61tの嵌合により、ギヤヘッド軸53jの回動力は、キャップ部材61、92を介して中継部回動軸83jに伝達される。
【0118】
よって、平歯車83が回動するため、回動力は、アイドラ歯車84、平歯車85を介して軸85jに伝達され、傘歯車86、41、軸41jを介してプーリ42に伝達される。
【0119】
即ち、動力発生部50は、第2湾曲部4bが少なくとも1つの方向に湾曲するための駆動力を、プーリ42に巻回された長尺部材43を介して第2湾曲部4bに伝達させる。
【0120】
尚、その他の内視鏡1の構成は周知であるため、その説明は省略する。
【0121】
このように、本実施の形態においては、第2湾曲部4bを湾曲させるための駆動力を発生させる動力発生部50は、操作子領域6cにおいて、方向Jにおける第2の側J2に配置され、さらに、方向S及びユニバーサルコード7に沿って配置されていると示した。
【0122】
このことによれば、
図2に示すように操作者が左手Lにて操作部6を把持した際、操作子領域6cにおける方向Jの第2の側J2に動力発生部50が設けられていることから、動力発生部50の重心が操作子領域6cに近付くため、重量バランスが良い。
【0123】
さらに、動作発生部50の配置方向Sが、長手方向Nと異なることにより、動力発生部50の重心が操作子領域6cに近付くため、重量バランスが良くなる。
【0124】
また、方向Jにおけるノブ11、12側に動力発生部50が設けられていないことから、人指し指LHとの間に折れ止め7kを挟んでいる親指LOによりノブ11~13、レバー14、40の操作性が低下してしまうことがなく、良好なアクセス性を確保することができる。
【0125】
また、操作者の左手Lの人指し指LHにて、各種スイッチボタン31~33、35~37のいずれかのスイッチ操作を行う際に、第2の側J2に設けられていることにより動力発生部50が邪魔になることがない。即ち、従来よりも各種スイッチボタン31~33、35~37に対する人指し指Hのアクセス性が向上する。
【0126】
さらに、上述した本実施の形態においては、動力伝達部40に動力を伝達するとともにユニバーサルコード7に沿って配置される動力発生部50が、操作部6、即ち動力中継部80に対して方向Sに取り付けられると示した。
【0127】
また、動力発生部50の動力を動力伝達部40に伝達する機構は、動力発生部50にはなく、動力伝達部40、動力中継部80側に集約されていると示した。
【0128】
このことによれば、動力発生部50の部品点数を削減することができ、動力伝達機構は、内視鏡1側、即ち操作部6側に集約できる。このため、動力発生部50に故障が発生したとしても動力発生部50のみを動力中継部80から取り外して交換すれば良くなることから、修理性が向上する。
【0129】
また、従来のように、動力発生部50の動力を動力伝達部40に伝達するため、ノブ11、12に、ホイールを装着する必要がないことから、その分だけ、動力伝達機構を小型化することができる。
【0130】
さらに、ノブ11、12への動力発生部50に装着により、操作部6において方向Jにおける第1の側J1側が極端に重くなり重量バランスが悪くなってしまうことがない。
【0131】
また、動力中継部80を用いる構成のため、即ち、動力伝達部40に動力発生部50から直接動力を伝達する構成ではないことから、プーリ42を基準とした各歯車の相対位置(角度、軸振れ)精度の確保が容易になる。また、噛合する各歯車に対する歯当たりのバラツキを防止できる他、静音で歯が摩耗し難い動力伝達構成を提供することができる。
【0132】
また、上述した本実施の形態においては、中継部保持枠87内に対しカム筒54が方向Sに沿って挿抜され、中継部保持枠87とカム筒54との周方向Cへの相対的な回動に伴ってカム溝54mに対してカム突起87pが嵌入、脱却されることにより、動力中継部80に動力発生部50は装脱されると示した。
【0133】
このことによれば、動力中継部80に対する動力発生部50の装脱操作に、方向Sにおける移動、周方向Cへの回動といった2操作だけで済むことから装脱が容易となる。
【0134】
さらに、装脱に1操作ではなく、2操作が必要になるため、意図せず動力発生部50が脱却されてしまい難く、簡単な構成にて動力発生部50が装脱自在な構成を有していることから、装脱部位の大径化を防止することができる。
【0135】
さらに、上述した本実施の形態においては、動力中継部80に対して動力発生部50が装着された際、カム溝54mにカム突起87pが嵌入されることによって、ギヤヘッド軸53jと中継部回動軸83jとは同軸となると示した。
【0136】
また、ギヤヘッド軸53jの回動力は、十字凸部61tが十字凹部92pに嵌合されることにより、中継部回動軸83jに伝達されると示した。
【0137】
また、弾性部材82によって中継部回動軸83jが他方S2側に押圧されることにより、十字凸部61tと十字凹部92pとの嵌合が確実になされると示した。
【0138】
このことによれば、動力中継部80に対して動力発生部50が装着された際、カム溝54mにカム突起87pを嵌入させるだけで、別途工具を持ち無くても中継部回動軸83jとギヤヘッド軸53jの軸合わせを精度良く容易に行うことができる。
【0139】
また、弾性部材82による押圧によって、十字凸部61tと十字凹部92pの取り付けガタを無くすことができる。
【0140】
よって、ギヤヘッド軸53jを回動させた際に、即座に十字凸部61tと十字凹部92pとを密に嵌合させることができ、確実に無駄なく、ギヤヘッド軸53jの回動力を中継部回動軸83jに伝達することができる。
【0141】
加えて、嵌合後も十字凸部61t十字凹部92pとの嵌合がユニバーサルコード7の振動等により緩んでしまうことを確実に防止することができる。
【0142】
以上から、操作部6における重量バランスが最適な位置に動力発生部50が動力伝達部40に動力を確実に付与できるよう取り付けられるとともに、動力伝達機構の小型化を図った構成を具備する内視鏡1を提供することができる。
【0143】
(第2実施の形態)
【0144】
図10は、本実施の形態の内視鏡を示す部分斜視図、
図11は、
図10中のXI-XI線に沿う動力中継部及び動力発生部の断面図、
図12は、
図11のXII線で囲った部位を拡大して示す断面図、
図13は、
図12の動力中継部に動力発生部が装着される際に、動力発生部の弾性部材が押圧された状態を示す断面図である。
【0145】
この第2実施の形態の内視鏡用の構成は、上述した
図1~
図9に示した第1実施の形態の内視鏡の構成と比して、弾性部材が動力発生部内に設けられている点が異なる。
【0146】
よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0147】
図10に示すように、操作部6の操作子領域6cにおける面6cbに対するユニバーサルコード7の折れ止め7kの固定位置から、第2の側J2に突出するように、操作部6の一部を構成する動力中継部180が方向Jに沿って操作子領域6cに対し第1の側J1とは反対側に設けられている。
【0148】
また、また、動力が伝達されるよう、動力発生部150が動力中継部180に隣接して取付けられている。尚、動力発生部150は、動力中継部180に対して後述のカム機構等を介することによって着脱自在な構造を有していてもよい。動力発生部150は、動力中継部180に装着された際、
図10に示すように、方向Sに沿って配置される。
【0149】
動力中継部180は、動力伝達部40に接続され、該動力伝達部40に動力である回動力を伝達するものである。
【0150】
具体的には、動力中継部180は、平歯車83と、アイドラ歯車84と、該アイドラ歯車84を軸支する軸84jと、傘歯車86と、平歯車85と、傘歯車86及び平歯車85を軸支する軸85jと、中継部保持枠87と、平歯車83を軸支する中継部回動軸183jと、ギヤボックス90とをそれぞれ第2のケーシング181内に具備して主要部が構成されている。
【0151】
平歯車83は、方向Sに略平行かつ、第1の動力伝達軸方向N'に非平行な第2の動力伝達軸方向S'に沿って位置する中継部回動軸183jに回動自在に軸支されている。
【0152】
平歯車83は、中継部回動軸183jから伝達された回動力をアイドラ歯車84に伝達するものである。
【0153】
即ち、中継部回動軸183jが回動されると、平歯車83が回動し、回動力は方向Jに沿ってアイドラ歯車84、平歯車85、軸85jに伝達され、傘歯車86が回動する。
【0154】
その後、傘歯車86に噛合する傘歯車41が回動されることにより回動方向が変換され、軸41jが回動され、プーリ42が回動する。
【0155】
その結果、2本の長尺部材43のいずれかが回動により牽引され、第2湾曲部4bは、本実施の形態においては、2方向のいずれかに湾曲する。
【0156】
中継部回動軸183jは、方向Sにおける他方S2側の端部外周に、上述したキャップ部材92が被覆されて固定されている。
【0157】
また、キャップ部材92の外周に、Oリング93を介して中継部回動軸183jに対して方向Sに同軸状となるよう中継部保持枠87が被覆されている。
【0158】
尚、中継部保持枠87は、第2のケーシング181の内周面に固定されている。よって、中継部保持枠87は、中継部回動軸183jの回動に伴い周方向Cに回動してしまうことがない。
【0159】
また、中継部回動軸183j及びキャップ部材92は、中継部保持枠87に対して、Oリング93に接触した状態において周方向Cに回動自在なばかりか方向Sの一方S1側及び他方S2側に移動自在となっている。
【0160】
また、動力中継部180に動力発生部150が装着された際、中継部保持枠87内に、後述するカム筒154が、
図11~
図13に示すように方向Sに沿って嵌入される。
【0161】
動力発生部150は、方向Sに沿って、動力中継部180に動力を付与するものである。具体的には、動力発生部150は、ケーブル52の端部と、ギヤヘッド53と、モータ57と、エンコーダ58と、基板59と、キャップ部材61と、発生部保持枠であるカム筒154と、モータ保持部材160と、カム筒保持部材162と、膜状の水密部材163と、弾性部材200と、ばね保持部材210と、弾性体220とをそれぞれ第1のケーシング151内に具備して主要部が構成されている。
【0162】
ギヤヘッド53、モータ57、エンコーダ58は、方向Sに沿って一体的に接続されており、第1のケーシング151に対して固定されたモータ保持部材160によって保持されている。
【0163】
さらに、モータ保持部材160に、カム筒保持部材162が固定されており、カム筒保持部材162に、ギヤヘッド軸53jの外周を被覆するとともに、ギヤヘッド軸53jに対して方向Sに同軸なカム筒154が、周方向Cに非回動となるよう保持されている。
【0164】
また、カム筒154の内周面に、カム筒保持部材162の外周面に当接する膜状の水密部材163が周方向Cに沿って周状に設けられている。
【0165】
水密部材163は、
図13に示すように、動力中継部180に対する動力発生部150の装着の際、カム筒154によりカム筒保持部材162が他方S2側に押圧され、カム筒保持部材162が他方S2側に移動してしまったとしても、カム筒保持部材162の移動に追従して他方S2側に変形することにより、第1のケーシング151内に対するカム筒154側からの水密を維持するものである。このことにより、動力発生部150の耐久性が向上する。
【0166】
さらに、方向Sにおけるカム筒154と第1のケーシング151との間に、方向Sにおいてカム筒154に対して第1のケーシング151をフローティングさせる弾性体220が設けられている。
【0167】
また、第1のケーシング151内において、方向Sにおけるモータ保持部材160と該第1のケーシング151に対して固定されたバネ保持部材210との間に、弾性部材200が方向Sに沿って位置している。
【0168】
弾性部材200は、例えばコイルバネから構成されており、方向Sにおける一方S1側へのモータ保持部材160の付勢に伴い、動力中継部80に対して動力発生部50を密に接続させて、動力発生部50の回動力を動力中継部80に確実に付与させるものである。
【0169】
また、図示しないが、本実施の形態においてもカム筒154の外周に、動力発生部150が動力中継部180に装着された際、カム突起87pが周方向Cに沿って嵌入されるカム溝が、周方向Cに沿って2つ、互いに対向する位置に形成されている。
【0170】
よって、中継部保持枠87内に対しカム筒154が方向Sに沿って挿抜され、中継部保持枠87とカム筒154との周方向Cへの相対的な回動に伴ってカム溝に対してカム突起87pが嵌入、脱却されることにより、動力中継部180に動力発生部150は装脱される。
【0171】
尚、動力中継部180に対する動力発生部150のカム溝、カム突起87pを用いた具体的な装脱構成及び装着の際の十字凹部92pに対する十字凸部61tの具体的な嵌合構成は、上述した第1実施の形態と同じであるため、その説明は省略する。
【0172】
しかしながら、本実施の形態においては、十字凹部92pに対する十字凸部61tの嵌合は、
図12に示すように、動力中継部180に動力発生部150が装着された際、具体的には、中継部保持枠87内にカム筒154が方向Sにおける一方S1側に向かって嵌入された際、ギヤヘッド53、モータ57、エンコーダ58とともに、カム筒154、該カム筒154を保持するカム筒保持部材162、モータ保持部材160が、ばね保持部材210に対して弾性部材200を他方S2側に押圧する。
【0173】
その後、弾性部材200の反力により、モータ保持部材160、カム筒保持部材162を介してカム筒154とともにギヤヘッド53、モータ57、エンコーダ58が、一方S1側に、中継部保持枠87に対して押圧される。
【0174】
その結果、十字凹部92pに対して、十字凸部61tが一方S1側に付勢され密に嵌合、接続される。
【0175】
即ち、弾性部材200は、方向Sにおいて、十字凹部92pに対して十字凸部61tが正しく嵌合するまでカム筒154の変位を吸収する。
【0176】
その結果、ギヤヘッド軸53jが回動されると、十字凹部92pへの十字凸部61tの嵌合により、ギヤヘッド軸53jの回動力は、キャップ部材61、92を介して中継部回動軸183jに伝達される。
【0177】
よって、平歯車83が回動するため、回動力は、アイドラ歯車84、平歯車85を介して軸85jに伝達され、傘歯車86、41、軸41jを介してプーリ42に伝達される。
【0178】
即ち、動力発生部150は、第2湾曲部4bが少なくとも1つの方向に湾曲するための駆動力を、プーリ42に巻回された長尺部材43を介して第2湾曲部4bに伝達させる。
【0179】
尚、その他の内視鏡1の構成は、上述した第1実施の形態と同じである。
【0180】
このように、本実施の形態においては、動力発生部150が動力中継部180に装着された際、動力中継部180に動力発生部150を付勢することにより、十字凹部92pへ十字凸部61tを密に嵌合させる弾性部材200が、動力発生部150内に設けられていると示した。
【0181】
このことによれば、動力中継部180内に弾性部材を設けなくて良いことから、
図1、
図10に示すように、方向Sにおける動力中継部180の長さを短くすることができる(Sa<Sb)。よって、操作者により把持領域6cの把持性がより向上する。
【0182】
尚、その他の効果は、上述した第1実施の形態と同じである。
【0183】
また、上述した第1、第2実施の形態においては、動力発生部50、150は、動力中継部80、180、動力伝達部40を介して、第2湾曲部4bを湾曲させる際の駆動力を伝達すると示した。
【0184】
これに限らず、例えば、ノブ11、12の操作により、第1湾曲部4aを湾曲させる際の駆動力を伝達させる構成にも適用可能なことは勿論である。
【0185】
さらには、挿入部2に設けられた第2湾曲部4b以外の他の特定部位、例えば先端部3に設けられた回動体を電動駆動させる際の駆動力を伝達させる構成に用いても本実施の形態と同様の効果を得ることができるということは云うまでもない。