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特許7095323乗車券発行装置、乗車券発行方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】乗車券発行装置、乗車券発行方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07B 5/00 20060101AFI20220628BHJP
   G07B 1/00 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G07B5/00 D
G07B1/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018045570
(22)【出願日】2018-03-13
(65)【公開番号】P2019159794
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】島川 智行
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-150981(JP,A)
【文献】特開平04-308989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 1/00 - 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発駅から着駅までの乗車経路を示す線図を取得する線図取得部と、
前記線図取得部によって取得された前記線図と所定の記憶部に記憶された路線情報とに基づいて、前記線図に応じた実在の駅間経路を特定する経路特定部と、
前記経路特定部によって特定された駅間経路の乗車券を発行する券発行部と、を備え
前記経路特定部は、
前記線図と前記路線情報とに基づいて前記線図と合致する第1の経路を決定し、前記第1の経路が異なる鉄道事業者の路線間を乗り継ぐ経路を含む場合に、異なる路線間を跨いて利用可能な連絡乗車券を発行可能か否かを判定し、前記連絡乗車券を発行可能と判定した場合に、前記第1の経路を前記駅間経路と特定する乗車券発行装置。
【請求項2】
前記経路特定部は、
前記連絡乗車券を発行不可と判定した場合に、前記線図と前記路線情報とに基づいて前記連絡乗車券を発行可能な他の第2の経路を検索し、前記第2の経路を前記駅間経路と特定する、請求項に記載の乗車券発行装置。
【請求項3】
前記乗車経路の乗車券の購入を希望する購入希望者の個人情報を取得する個人情報取得部を更に備え、
前記経路特定部は、
前記線図と前記路線情報と前記個人情報とに基づいて、前記個人情報に適合する経由駅を含む前記第2の経路を検索する、請求項に記載の乗車券発行装置。
【請求項4】
前記線図は、前記乗車経路の乗車券の購入を希望する購入希望者が作成したものである、請求項1からのいずれかに記載の乗車券発行装置。
【請求項5】
前記線図取得部は、
前記線図が描かれた乗車券購入用紙の画像を読み取り、読取画像から前記線図を取得する、請求項1からのいずれかに記載の乗車券発行装置。
【請求項6】
発駅から着駅までの乗車経路を示す線図を取得する線図取得ステップと、
前記線図取得ステップで取得された前記線図と所定の記憶部に記憶された路線情報とに基づいて、前記線図に応じた実在の駅間経路を特定する経路特定ステップと、
前記経路特定ステップで特定された駅間経路の乗車券を発行する券発行ステップと、を備え
前記経路特定ステップは、
前記線図と前記路線情報とに基づいて前記線図と合致する第1の経路を決定し、前記第1の経路が異なる鉄道事業者の路線間を乗り継ぐ経路を含む場合に、異なる路線間を跨いて利用可能な連絡乗車券を発行可能か否かを判定し、前記連絡乗車券を発行可能と判定した場合に、前記第1の経路を前記駅間経路と特定する乗車券発行方法。
【請求項7】
請求項に記載の乗車券発行方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道などの交通機関で用いられる定期乗車券などの乗車券を発行する乗車券発行装置、乗車券発行方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指定された発駅と着駅(目的駅)とを結ぶ移動経路を特定して、特定された移動経路で使用できる定期乗車券(以下「定期券」と略称する。)を発行可能な乗車券発行装置が知られている。前記乗車券発行装置では、発駅と着駅とが指定されると、二駅間を結ぶ複数の移動経路が抽出され、その中から所望する移動経路が選択されると、当該移動経路が購入対象の乗車経路に設定され、その後、定期券が発行される。
【0003】
この種の乗車券発行装置の一例として、経由駅の選択を繰り返すことにより、二駅間を結ぶ複数の移動経路から特定の移動経路に徐々に絞り込む経路特定装置が公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-135059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、都市圏の鉄道網は、複数の路線が複雑に接続しており、各路線の接続駅において互いに乗り換えたり乗り継いだりできるようになっている。このような複雑な鉄道網においては、購入を希望する乗車経路が複数の路線を跨ぐ場合、操作者は乗車券の購入時に発駅と着駅のみならず、複数の経由駅を入力する必要がある。この場合、操作者は、乗車券発行装置に表示される駅名リストから所望する駅を選択して入力することになるが、乗車券発行装置の画面において、多数の路線から乗り継ぐ路線を選択したり、路線毎に経由駅を選択する作業が繁雑である。また、鉄道の利用者(購入者)が希望する経由駅が路線の乗り換えや乗り継ぎが可能な駅であるかどうかを把握していない場合、経由駅の入力ミスが生じ、発券操作のやり直しが生じるおそれがある。また、利用者の希望を聞いて駅員が発券操作を行う場合、希望する乗車経路の購入ができない場合にその理由を利用者に説明したり、他に希望する経由駅を伺ったり、代替経路を提案したりする必要が生じ、駅務負担が増大する。
【0006】
本発明の目的は、発着駅や経由駅を一つ一つ選択して入力することなく、利用者が希望する乗車経路を特定して発券することが可能な乗車券発行装置、乗車券発行方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る乗車券発行装置は、発駅から着駅までの乗車経路を示す線図を取得する線図取得部と、前記線図取得部によって取得された前記線図と所定の記憶部に記憶された路線情報とに基づいて、前記線図に応じた実在の駅間経路を特定する経路特定部と、前記経路特定部によって特定された駅間経路の乗車券を発行する券発行部と、を備える。
【0008】
本発明の他の局面に係る乗車券発行方法は、発駅から着駅までの乗車経路を示す線図を取得する線図取得ステップと、前記線図取得ステップで取得された前記線図と所定の記憶部に記憶された路線情報とに基づいて、前記線図に応じた実在の駅間経路を特定する経路特定ステップと、前記経路特定ステップで特定された駅間経路の乗車券を発行する券発行ステップと、を備える。
【0009】
本発明は、前記乗車券発行方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム、又は、このようなプログラムを非一時的に記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として捉えることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発着駅や経由駅を一つ一つ選択して入力することなく、利用者が希望する乗車経路を特定して発券することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る乗車券発行装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、乗車券発行装置で用いられる定期乗車券購入申込書の一例を示す図である。
図3図3は、図2の定期乗車券購入申込書の利用区間枠の拡大図である。
図4図4は、定期券購入時に書き込まれる利用区間枠の記入内容の一例である。
図5図5は、定期券購入時に書き込まれる利用区間枠の記入内容の他の一例である。
図6図6は、乗車券発行装置の記憶部に格納されている駅情報の一例を示す図である。
図7図7は、乗車券発行装置の制御部によって実行される乗車券発行処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[乗車券発行装置10]
図1は、本発明の実施形態に係る乗車券発行装置10の構成を示すブロック図である。乗車券発行装置10は、鉄道事業者が運営する各駅に設置される所謂券売機であり、操作者によって操作されることにより、鉄道の利用者が所望する乗車経路(乗車区間)の乗車券を発行することが可能に構成されている。駅構内に設置される券売機としては、改札口の出口の近傍に設置される利用者用の券売機と、駅務室内に設置される駅員が操作するための駅員用の券売機とがあるが、本実施形態の乗車券発行装置10は、乗車券を発行する機能において両券売機のいずれにも適用することができる。
【0014】
乗車券発行装置10は、LAN等のネットワークを介して、駅内に設置された駅サーバー(不図示)や自動改札機(不図示)などの駅務機器と互いに通信可能に接続されており、これらの駅務機器ともに駅務システムを構成している。
【0015】
図1に示すように、乗車券発行装置10は、大別して、制御ユニット11と、記憶部12と、操作入力部13と、表示部14と、通信部15と、申込書読取部16(本発明の線図取得部、個人情報取得部の一例)と、発券部17(本発明の券発行部の一例)とを備えている。
【0016】
通信部15は、乗車券発行装置10を有線又は無線で前記ネットワークに接続し、前記ネットワークを介して駅サーバーや他の駅務機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0017】
操作入力部13は、操作者の操作を受け付ける押しボタンやスイッチ、又はタッチパネルなどのユーザーインターフェースである。操作者が、操作入力部13を操作することにより、乗車券発行装置10に対して後述の定期乗車券購入申込書30(図2参照、本発明の乗車券購入用紙の一例)に記載の情報や種々の情報を入力することができる。操作入力部13には、操作者により操作されるキーボタンとして、OKボタン、キャンセルボタン、次候補選択ボタンなどが設けられている。
【0018】
表示部14は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどディスプレイ装置である。表示部14の表示面には、操作入力部13としてのタッチパネルが装着されている。表示部14の画面には、操作者に示すべき情報、例えば、鉄道路線における発着駅間の経路(以下「駅間経路」とも称する場合がある。)が表示される。
【0019】
申込書読取部16は、利用者が購入を希望する発駅から着駅(目的駅)までの乗車経路を示す線図経路(本発明の線図の一例)を取得するよう構成されている。ここで、前記線図経路は、購入を希望する利用者が発駅から着駅までの乗車経路を手入力によって描いた線状の図である。前記線図経路は、利用者が定期券を購入する際に用いる紙媒体の定期乗車券購入申込書30(以下「申込用紙30」と称する。)に利用者(購入希望者)によって描かれる。つまり、利用者は、申込用紙30に前記線図経路を作成する。
【0020】
ここで、図2は、申込用紙30の一例を示す図である。図2に示すように、申込用紙30の左側には、利用者の氏名、性別、年齢、生年月日、住所、電話番号、勤務先又は学校名などの個人情報を記入する記入枠が設けられている。また、購入予定の定期券の使用開始日、有効期間を記入する記入枠が設けられている。また、通勤又は通学の種別を記入する記入枠、連絡定期券を希望するか否かを記入する記入枠が設けられている。申込用紙30では、性別、通勤又は通学の種別、連絡定期券を希望するか否かを記入する枠として、チェックボックス31,32,33が用いられている。
【0021】
また、申込用紙30の右側には、購入を希望する乗車経路の前記線図経路を記入するための利用区間枠35が設けられている。利用区間枠35には、乗車券発行装置10で定期券の発行が可能な主要な路線を示す路線図36が予め印刷されている。
【0022】
図3は、申込用紙30の利用区間枠35の拡大図である。図3に示すように、利用区間枠35には、4つの鉄道事業者(A~D鉄道)の各路線a~dの主要部を含む路線図36が印刷されている。図3において、路線aは実線、路線bは破線、路線cは点線、路線dは一点鎖線で示されている。なお、各鉄道の路線a~dは架空のものである。
【0023】
路線図36において、路線間で接続していない単独駅は上下に長い略楕円形状のマークで示しており、路線が接続する乗り換え又は乗り継ぎ可能な接続駅は円形状のマークで示している。また、路線aに属する駅にはA1~A14の符号を付しており、路線bに属する駅にはB1,B2,・・・の符号を付しており、路線cに属する駅にはC1,C2,・・・の符号を付しており、路線dに属する駅にはD1,D2,・・・の符号を付している。また、路線aと路線bの接続駅にはA鉄道の駅符号を付し、路線bと路線cの接続駅にはB鉄道線の駅符号を付し、路線cと路線dの接続駅にはc鉄道線の駅符号を付している。
【0024】
利用者は、定期券の購入の際に、上述の個人情報や使用開始日、有効期間、各チェックボックス31~33の記入とともに、購入を希望する乗車経路を利用区間枠35に記入する。このとき、利用者は、路線図36に重ねるように乗車経路を記入する。具体的には、利用者は、例えば、駅A2から駅C8までの乗車経路を所望する場合に、図4に示すような線図経路37Aを利用区間枠35に描く。ここで、線図経路37Aは、路線図36上の駅A2及び駅C8それぞれのマークをペンなどによって黒塗りし、これらの間を所望する経路に沿って線を引くようにして描かれた手書きの線図(手書き経路図)である。この線図経路37Aが示す乗車経路は、路線aの駅A2を発駅とし、駅A3から駅A5に至り、駅A5で路線cに乗り換えて駅C6に至り、駅C6で路線cに乗り換えて駅C8に至る経路であり、線図経路37Aは、各駅を線が通るように描かれる。
【0025】
また、利用者は、例えば、駅A2から駅C8までの乗車経路を所望する場合に、線図経路37Aとは異なる経路の線図経路37B(図5参照)を利用区間枠35に描くこともできる。ここで、線図経路37Bは、路線図36上の駅A2及び駅C8それぞれのマークをペンなどによって黒塗りし、これらの間を所望する経路に沿って線を引くようにして描かれた手書きの線図(手書き経路図)である。この線図経路37Bが示す乗車経路は、路線aの駅A2を発駅とし、駅A3から駅A7に至り、駅A7で路線bに乗り換えて駅B6に至り、駅B6で路線cに乗り換えて駅C8に至る経路であり、線図経路37Bは、各駅を線が通るように描かれる。
【0026】
本実施形態では、申込書読取部16は、前記線図経路が描かれた申込用紙30の記入面の画像を読み取るための撮像部161を含む。撮像部161は、申込用紙30の記入面の画像を撮像してデジタルの画像データとして出力するCCDやCMOSなどの撮像素子を含むデジタルカメラである。申込書読取部16は、CPUなどを含む演算回を備えており、前記演算回路は、撮像部161によって読み取られた画像データ(読取画像)から申込用紙30に記載されている各種情報を取得する。具体的には、申込書読取部16は、申込用紙30に記入された性別や年齢などを含む前記個人情報、通勤又は通学の種別、連絡定期券を希望するか否かなどの各種情報を取得し、また、画像データのうち利用区間枠35の画像から前記線図経路を取得する。申込書読取部16によって取得された情報は、記憶部12或いはRAM113に記憶され、制御部110によって実行される後述の乗車券発行処理(図7参照)に用いられる。
【0027】
なお、申込書読取部16は、前記演算回路を備えた構成に限られない。例えば、撮像部161のみを有し、撮像部161によって撮像された画像データが制御ユニット11の制御部110に送られ、制御部110が、撮像部161によって読み取られた画像データから申込用紙30に記載されている各種情報を取得してもよい。
【0028】
発券部17は、制御部110によって購入対象の経路(購入経路)に設定された乗車経路の定期券を発行(発券)する。発行される定期券は、磁気券であってもよく、また、ICカード形式の定期券であってもよい。
【0029】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などを含む不揮発性の記憶媒体である。記憶部12には、制御ユニット11の制御部110に各種処理を実行させるための制御プログラムや、制御部110によって実行される後述の乗車券発行処理(図7参照)に用いられる各種データなどが記憶される。
【0030】
なお、本実施形態では、記憶部12が乗車券発行装置10に設けられた構成を例示するが、例えば、記憶部12内の各種情報の一部又は全部が、前記ネットワークを介してデータ通信可能な駅サーバーやネットワーク接続可能な記憶装置などの外部装置に記憶されていてもよい。この場合、乗車券発行装置10は、必要に応じて、前記外部装置から各種データを読み出す。
【0031】
また、記憶部12には、記憶領域としての路線情報格納部121(本発明の記憶部の一例)と、駅情報格納部122と、が設けられている。
【0032】
路線情報格納部121には、乗車券発行装置10において乗車券の発行が可能な路線に関する情報(以下「路線情報」と称する。)が格納されている。前記路線情報は、後述の乗車券発行処理(図7参照)に用いられる。
【0033】
前記路線情報は、複数の鉄道事業者が運営する複数の路線の路線図、各路線に属する駅の名称や所在地、駅間の距離、駅間の乗車料金、路線における車両の運行情報(例えば、各駅間の運行に要する所用時間、運行時刻など)、路線間の相互乗り入れの可否、路線間の乗り換えや乗り継ぎが可能な駅の情報などを含む。
【0034】
また、前記路線情報は、鉄道事業者の異なる路線を跨ぐ駅間経路において連絡定期券などの連絡乗車券が発行可能か否かを判別するための情報(以下「連絡可否情報」と称する。)も含む。
【0035】
本実施形態の乗車券発行装置10において、利用者が購入を希望する乗車経路が、鉄道事業者の異なる路線を跨ぐ経路であっても、利用者は、各鉄道事業者の乗車券を一枚にまとめた連絡乗車券を購入可能である。なお、連絡乗車券の具体例としては、複数の路線を跨ぐ経路において各事業者の定期券が一つにまとめられた連絡定期券や、普通乗車券(所謂普通切符)が一つにまとめられた連絡切符などがある。
【0036】
近年の都市圏における鉄道網は、複数の路線が複雑に接続しており、各路線の接続駅において互いに乗り換えたり乗り継いだりできるようになっている。従来のように鉄道事業者ごとに乗車券を個別に発券することは、利用者にとって不親切である。そのため、鉄道事業者の異なる路線を跨ぐ乗車経路であっても、乗車券発行装置10は、一つの乗車券で乗り降り可能な前記連絡乗車券を発行する。
【0037】
ただし、鉄道事業者間において発券システムの統合化が進んでいない場合、或いはそもそも連絡乗車券の発行の合意に至っていない場合は、そもそも、乗車券発行装置10はこれらの鉄道事業が運営する路線を跨ぐ乗車経路の連絡乗車券を発行することができない。このため、本実施形態では、乗車券発行装置10において、利用者が購入を希望する乗車経路が入力された場合に、その乗車経路で利用できる前記連絡乗車券を発行できるかどうかを判定する必要がある。この判定に利用するために、路線情報格納部121には、前記路線情報として前記連絡可否情報が予め記憶されている。
【0038】
前記連絡可否情報の一例として、鉄道事業者の異なる路線間での連絡が認められているかいないかを示す情報が挙げられる。例えば、路線bと路線cとを乗り継ぐ経路で連絡乗車券の発行が認められていない場合は、その経路が前記連絡乗車券を発行できない経路であることを示す情報(連絡不可情報)が路線情報格納部121に記憶されている。また、前記連絡乗車券が、路線a、路線b、及び路線dの相互間、又は路線a、路線c、及び路線dの相互間で発行が可能である場合は、そのことを示す情報(連絡可能情報)が路線情報格納部121に記憶されている。また、前記連絡可否情報の他の一例として、連絡乗車券の発行の認められていない異なる路線間を乗り継ぐ乗継駅を示す情報が挙げられる。例えば、路線bと路線cとを乗り継ぐ経路で連絡乗車券の発行が認められていない場合は、前記連絡可否情報として、図3に示す駅B2及び駅B6を示す情報(連絡不可駅情報)が路線情報格納部121に記憶されている。
【0039】
駅情報格納部122には、路線a~dに属する各駅に関する駅情報が格納されている。前記駅情報は、後述の乗車券発行処理(図7参照)に用いられる。
【0040】
前記駅情報は、利用者のタイプ別に定められた駅に対する嗜好度を含む。前記嗜好度は、利用者がその駅周辺の施設や環境などを好んでいる程度を示す目安であり、例えば、10段階の評価値で示される。前記嗜好度は、例えば、学生及び就労者ごとに定められており、また、学生及び就労者それぞれにおいて男性又は女性、年代に分けて定められており、テーブルデータ形式で駅情報格納部122に格納されている。
【0041】
図6は、前記駅情報の一例を示すテーブル図である。例えば、駅A5の周辺が、若い女性に人気のあるアパレルショップやカフェなどが多く集まる環境である場合は、女子学生及び20代の女性就労者の嗜好度の評価が最も高く、男性は比較的低い。また、駅A9の周辺が、パーソナルコンピュータやゲーム機器、電気機器、ソフトウェアなどを取り扱う販売店が集中する環境である場合は、男子学生及び20代の男性就労者の嗜好度の評価値(数値)が最も高く、女性は比較的低い。このように、乗車券発行装置10において乗車券の発行が可能な全ての路線の全ての駅それぞれに対して、利用者のタイプ別に前記嗜好度が定められている。
【0042】
制御ユニット11は、乗車券発行装置10の動作を統括的に制御する。制御ユニット11は、CPU111、ROM112、及びRAM113などの制御デバイスで構成された制御部110を有する。ROM112は、CPU111に各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムや、後述の乗車券発行処理を実行するための制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。RAM113は、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、CPU111が実行する各種の処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。制御部110は、ROM112又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムをCPU111で実行することにより乗車券発行装置10を制御する。
【0043】
制御部110は、CPU111がROM112に記憶されている制御プログラムにしたがった乗車券発行処理を実行することにより、本発明の経路特定部として機能する。具体的には、制御部110は、申込書読取部16によって取得された前記線図経路と、路線情報格納部121に記憶された前記路線情報と基づいて、前記線図経路に応じた実在の駅間経路を特定する。
【0044】
[乗車券発行処理]
以下、図7のフローチャートを用いて、制御部110によって実行される乗車券発行処理の手順とともに、本発明の乗車券発行方法の一例について説明する。図7において、S11,S12,・・・は処理手順の番号(ステップ番号)を示す。以下の説明においては、図4に示す線図経路37A又は図5に示す線図経路37Bを含み、定期券タイプとして通勤が記入され、連絡定期券を希望するチェックが記入され、性別として女性が記入され、年齢として25歳が記入された申込用紙30が申込書読取部16によって読み取られる場合の処理例について説明する。また、以下の説明においては、上述したように路線a、路線b、及び路線dの相互間、又は路線a、路線c、及び路線dの相互間で連絡定期券の発行が可能であり、路線bと路線cとの間では連絡定期券の発行が認められておらず、前記連絡可否情報(前記連絡可能情報、前記連絡不可情報、前記連絡不可駅情報報)が路線情報格納部121内に記憶されているものとする。
【0045】
なお、以下では、定期券を発券するための乗車券発行処理を例示するが、当該乗車券発行処理は、定期券のみならず、乗車切符などの通常の乗車券を発券する場合にも適用可能である。
【0046】
定期券を発行するために操作者が乗車券発行装置10を操作して、申込書読取部16の撮像部161に申込用紙30の記入面を読み取らせると、ステップS11において、申込書読取部16によって、読み取られた画像データから前記線図経路や購入希望者の個人情報などを含む各種情報が取得される。ステップS11は、本発明の線図取得ステップの一例である。
【0047】
次に、制御部110は、ステップS11で取得した前記線図経路と路線情報格納部121内の前記路線情報とに基づいて、前記線図経路に合致する初期候補経路(本発明の第1の経路の一例)を求める(S12)。例えば、制御部110は、前記線図経路と前記路線情報に含まれる路線図とを照合し、前記線図経路と一致する実在の経路を前記初期候補経路に決定する。具体的には、制御部110は、前記線図経路と前記路線図との照合の結果、一致率(一致度)が最も大きい経路を「一致する経路」と判定する。ステップS12は、本発明の経路特定ステップの一例である。
【0048】
例えば、ステップS11において線図経路37A(図4参照)が取得されると、線図経路37Aと前記路線図との照合の結果、前記初期候補経路として図4に示す経路R1が求められる。ここで、前記経路R1は、駅A2を発駅とし、駅A3から駅A5に至り、駅A5で路線cに乗り換えて駅C6に至り、駅C6で路線cに乗り換えて駅C8に至る経路である。また、ステップS11において線図経路37B(図5参照)が取得されると、線図経路37Bと前記路線図との照合の結果、前記初期候補経路として図5に示す経路R2が求められる。ここで、前記経路R2は、駅A2を発駅とし、駅A3から駅A7に至り、駅A7で路線bに乗り換えて駅B6に至り、駅B6で路線cに乗り換えて駅C8に至る経路である。
【0049】
次のステップS13では、制御部110は、前記初期候補経路を表示部14の画面に表示する。これにより、操作者は、購入を希望する乗車経路と前記初期候補経路とが一致しているかどうかを確認することができる。前記初期候補経路の画面表示後に、操作者によって操作入力部13のOKボタンが押し操作されると(S14のYes)、処理はステップS18に進む。一方、操作者によって操作入力部13のキャンセルボタンが押し操作されると(S15のYes)、定期券の発券をすることなく一連の処理が終了する。一方、操作者によって操作入力部13の次候補選択ボタンが押し操作されると(S16のYes)、ステップS17において、制御部110は、一致率が次点の候補経路を求め、その候補経路を表示部14の画面に表示する。以降、ステップS14においてOKボタンの押し操作又はステップS15においてキャンセルボンタンの押し操作がなされるまで、ステップS13からステップS17の処理が繰り返し行われる。
【0050】
ステップS14でOKボタンが操作されると、次のステップS18(乗換有無判定ステップ)では、制御部110は、前記初期候補経路に乗り換えがあるかどうかを判定する。ステップS18において、乗り換えがないと判定された場合は、前記初期候補経路が同一路線又は相互乗り入れを行っている路線間における直通経路であることを意味する。つまり、ステップS18の判定処理は、前記初期候補経路が直通経路であるか否かを判定する処理である。ステップS18において乗り換えがないと判定されると、制御部110は、ステップS27において、前記初期候補経路を購入対象の経路(購入経路)に設定し、次のステップS28において、その購入経路の普通の定期券を発券部17に発券させる。ステップS28は、本発明の券発行ステップの一例である。
【0051】
ステップS18において、前記初期候補経路に乗り換えがあると判定された場合は、次のステップS19(乗継有無判定ステップ)では、制御部110は、前記初期候補経路に乗り継ぎがあるかどうかを判定する。ここで、前記乗り継ぎとは、鉄道事業者の異なる路線間を共通の駅又は互いに隣接する駅(乗継駅)において一方の路線から他方の路線に乗り換えることをいう。ステップS19において、乗り継ぎがないと判定された場合は、前記初期候補経路が同一路線の経路であることを意味する。つまり、ステップS19の判定処理は、前記初期候補経路が同一路線の経路であるか否かを判定する処理である。ステップS19において乗り継ぎがないと判定されると、制御部110は、前記初期候補経路を購入経路に設定し(S27)、その購入経路の普通の定期券を発券部17に発券させる(S28)。
【0052】
ステップS19において、前記初期候補経路に乗り継ぎあると判定された場合は、次のステップS20(連絡可否判定ステップ)では、制御部110は、前記初期候補経路が、異なる路線間で使用可能な連絡定期券を発行可能な経路(以下「連絡可能経路」と称する。)であるか否かを判定する。具体的には、制御部110は、路線情報格納部121内の前記路線情報に含まれる前記連絡可否情報(前記連絡可能情報、前記連絡不可情報、前記連絡不可駅情報報)に基づいて、前記初期候補経路が前記連絡可能経路であるか否かを判定する。例えば、制御部110は、前記初期候補経路から鉄道会社の異なる路線間の乗継駅を抽出し、抽出した乗継駅に前記連絡不可駅情報により示される連絡不可能な乗継駅(例えば駅B2又は駅B6)が含まれているか否かを判定する。そして、制御部110は、抽出した乗継駅に連絡不可能な乗継駅を含むと判定した場合に、前記初期候補経路を連絡定期券を発行できない経路(以下「連絡不可経路」と称する。)と判定する。また、制御部110は、抽出した乗継駅に連絡不可能な乗継駅を含まないと判定した場合に、前記初期候補経路を前記連絡可能経路と判定する。
【0053】
ステップS20において、前記初期候補経路が前記連絡可能経路と判定された場合は、前記初期候補経路を購入経路に設定し(S27)、その購入経路の前記連絡定期券を発券部17に発券させる(S28)。例えば、ステップS11において線図経路37A(図4参照)が取得される場合、前記初期候補経路は前記経路R1(図4参照)であり、この経路R1は前記連絡定期券を発行可能な経路である。そのため、制御部110は、ステップS20のYes側からステップS27に進み、ステップS28において前記連絡定期券を発行する。
【0054】
一方、ステップS20において、前記初期候補経路が前記連絡不可経路と判定されると、制御部110は、次のステップS21において、前記初期候補経路とは異なる推奨経路(本発明の第2の経路の一例)を検索する推奨経路検索処理を行う。前記推奨経路は、前記初期候補経路と発駅及び着駅を共通とするが、前記初期候補経路とは異なる他の経路であり、前記初期候補経路に代替される連絡可能経路である。
【0055】
本実施形態では、制御部110は、連絡定期券を希望するチェックが記入された申込用紙30(図2参照)の記入面の画像を読み取り、前記チェックが含まれていると判定した場合に、ステップS20の判定処理後にステップS21の推奨経路検索処理を自動的に実行する。一方、前記記入面の画像に連絡定期券を希望するチェックが含まれていないと判定した場合は、制御部110は、前記初期候補経路が前記連絡不可経路であることを示す情報とともに、前記推奨経路の提案を希望するか否かを問うメッセージを表示部14の画面に表示する。そして、操作者による操作入力部13の操作によって、前記推奨経路の提案を希望する旨の指示が入力されると、ステップS21の推奨経路検索処理を実行する。
【0056】
本実施形態では、例えば、ステップS11において線図経路37B(図5参照)が取得される場合、前記初期候補経路は前記経路R2(図5参照)であり、この経路R2は前記連絡定期券を発行できない経路である。そのため、制御部110は、ステップS20のNo側からステップS21に進み、ステップS21において前記推奨経路検索処理を実行する。
【0057】
ステップS21において、制御部110は、ステップS11で取得した前記線図経路と路線情報格納部121内の前記路線情報とに基づいて、前記連絡定期券を発行可能な前記推奨経路を検索する。ステップS21は、本発明の経路特定ステップの他の一例である。
【0058】
制御部110は、前記初期候補経路が前記経路R2である場合に、発駅A2から着駅C8に至る複数の連絡可能経路から一つ又は複数の経路を前記推奨経路として選択する。この場合、制御部110は、前記複数の連絡可能経路から一つの経路をランダムに選択するものであってもよいが、後述する所定の選択条件を満たした経路を選択することが好ましい。具体的には、制御部110は、前記複数の連絡可能経路から、駅B6を乗継駅としない経路であって、前記経路R2の経由駅(以下「共有駅」と称する。)を最も多く含む経路21(図5参照)を前記推奨経路として選択する。また、制御部110は、前記複数の連絡可能経路から、前記経路R2の発駅A2から着駅C8までに含まれる経由駅の数が最も少ない経路R22(図5参照)を前記推奨経路として選択してもよい。また、制御部110は、前記複数の連絡可能経路から、定期券の費用が最も安い経路を前記推奨経路として選択してもよい。つまり、制御部110は、前記共有駅の数、前記経由駅の数、前記費用などに関する上述した各条件(選択条件)を満たす経路を前記複数の連絡可能経路から選択する。
【0059】
前記共有駅の数、前記経由駅の数、前記費用それぞれについての各選択条件には、優先順位(優先度)が定められていてもよい。この場合、制御部110は、前記優先順位の選択条件を満たす経路を優先して前記推奨経路に決定する。例えば、前記共有駅の数を最も多く含むことを選択条件とする場合は、最初に、当該条件を満たす前記経路21が前記推奨経路に決定される。このように決定された推奨経路は、操作者が当初希望していた乗車経路に最も近似する経路と推定できる。
【0060】
次のステップS22では、制御部110は、前記推奨経路を表示部14の画面に表示する。これにより、操作者は、当初希望していた乗車経路に近似する連絡可能経路の情報を画面上で確認することができる。なお、前記推奨経路の画面表示後に、操作者によって操作入力部13のOKボタンが押し操作されると(S23のYes)、処理はステップS27に進む。一方、操作者によって操作入力部13のキャンセルボタンが押し操作されると(S24のYes)、定期券の発券をすることなく一連の処理が終了する。一方、操作者によって操作入力部13の次候補選択ボタンが押し操作されると(S25のYes)、ステップS26において、制御部110は、前記優先順位が下位の選択条件を満たす経路を前記推奨経路に変更し、変更後の前記推奨経路を表示部14の画面に表示する。以降、ステップS23においてOKボタンの押し操作又はステップS24においてキャンセルボンタンの押し操作がなされるまで、ステップS22からステップS26の処理が繰り返し行われる。
【0061】
ステップS23でOKボタンが操作されると、次のステップS27では、制御部110は、前記推奨経路を購入経路に設定し、その購入経路の前記連絡定期券を発券部17に発券させる(S28)。
【0062】
以上説明したように、本実施形態に係る乗車券発行装置10では、上述したように、前記線図経路に合致する初期候補経路が求められ(S12)、その初期候補経路が購入経路に設定される(S27)。また、操作者が発券を希望する乗車経路が前記連絡可能経路ではない場合に前記乗車経路とは別の前記推奨経路が検索され(S21)、その推奨経路が購入経路に設定される(S27)。
【0063】
これにより、乗車券発行装置10において、発着駅や経由駅を一つ一つ選択して入力することなく、操作者が発券を希望する乗車経路を特定して発券することが可能である。その結果、乗車券発行装置10において、操作者は、多数の路線から乗り継ぐ路線を選択したり、路線毎に経由駅を選択する煩雑な作業を行う必要がなくなる。また、操作者が希望する乗車経路の経由駅が、路線の乗り換えや乗り継ぎが可能な駅であるかどうかを把握していなくても、希望する乗車経路又はそれに近似する乗車経路を容易に購入経路に設定することができる。このため、従来装置に比べて、経由駅などの入力ミスを防止でき、発券操作のやり直しなどを減少させることができる。また、利用者の希望を聞いて駅員が発券操作を行う場合でも、利用者が当初希望していた乗車経路の定期券の購入ができない場合にその理由を利用者に説明したり、他に希望する経由駅を伺ったり、代替経路を提案したりする作業を軽減することができ、駅務負担が低減する。
【0064】
なお、上述の実施形態では、申込用紙30から前記線図経路や購入希望者の個人情報を取得する処理例を例示したが、本発明はこの構成に限られない。例えば、図3に示す路線図36図2に示す各記入項目を表示部14に表示させ、操作入力部13のタッチパネルを介してタッチペンによる記入や線引きを受け付けることにより、前記線図経路や購入希望者の個人情報を取得する構成にも本発明は適用可能である。
【0065】
なお、上述の実施形態では、前記乗車券発行処理のステップS21において、ステップS11で取得した前記線図経路と路線情報格納部121内の前記路線情報とに基づいて、前記推奨経路を検索する推奨経路検索処理を例示した。しかしながら、前記推奨経路検索処理は、前記線図経路、前記路線情報、及びステップS11で取得された購入希望者の個人情報に基づいて、前記個人情報に適合する経由駅を含む前記推奨経路を検索するものであってもよい。
【0066】
例えば、ステップS11において、購入希望者の個人情報として、性別が女性であること、年齢が25歳であること、定期券タイプが通勤であること、が取得されると、制御部110は、駅情報格納部122内の前記駅情報(図6に示す情報)を参照して、25歳の女性就労者の嗜好度の評価値(数値)が最も高い駅A5を抽出する嗜好駅抽出処理を行い、発駅A2から着駅C8に至る複数の連絡可能経路から駅A5を含む経路R22を前記推奨経路として選択する。また、前記嗜好駅抽出処理は、例えば、前記個人情報として、男性就労者や男子学生の情報が取得された場合は、これらの者の嗜好度の評価値(数値)が最も高い駅A10を抽出する。
【0067】
なお、前記嗜好駅抽出処理は、前記複数の連絡可能経路の各経由駅のうち、乗り換え又は乗り継ぎを行う経由駅を抽出対象とし、その抽出対象から前記嗜好度の評価値の最も高い駅を抽出してもよい。また、前記嗜好駅抽出処理は、例えば、前記複数の連絡可能経路の各経由駅の嗜好度の評価値の平均値が最も高い駅、或いは、乗り換え又は乗り継ぎを行う経由駅の嗜好度の評価値の平均値が最も高い駅を抽出してもよい。
【0068】
このように前記推奨経路が選択されるため、購入希望者の嗜好度に合致する駅を含む連絡可能経路が連絡定期券の購入経路として設定される。これにより、当初希望していた乗車経路を変更せざるを得ない状況になっても、操作者は、経路変更作業をすることなく、購入希望者の希望に合致する経路を購入経路に設定することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 :乗車券発行装置
11 :制御ユニット
12 :記憶部
16 :申込書読取部
17 :発券部
30 :定期乗車券購入申込書(申込用紙)
35 :利用区間枠
36 :路線図
37A :線図経路
37B :線図経路
110 :制御部
111 :CPU
112 :ROM
113 :RAM
121 :路線情報格納部
122 :駅情報格納部
161 :撮像部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7