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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】酸化物単結晶の熱処理方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 33/02 20060101AFI20220628BHJP
   C30B 29/30 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
C30B33/02
C30B29/30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018099524
(22)【出願日】2018-05-24
(65)【公開番号】P2019202915
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095223
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 章三
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】大保 安宏
【審査官】篠原 法子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-227799(JP,A)
【文献】特開昭57-003800(JP,A)
【文献】特開昭54-005900(JP,A)
【文献】特開平07-187898(JP,A)
【文献】特開2017-193453(JP,A)
【文献】特開平09-295899(JP,A)
【文献】特開2002-198762(JP,A)
【文献】特開2006-342029(JP,A)
【文献】特開2005-330122(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101956236(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き上げ法により育成された酸化物単結晶インゴットをセラミック製の容器に収容し、加熱炉内に設置された平坦状炉床台に上記容器を載置して容器内の酸化物単結晶インゴットを熱処理する酸化物単結晶の熱処理方法において、
上記酸化物単結晶インゴットと同一材料で構成された塊径2mm以上10mm未満の小塊群が内底面に敷き詰められかつ該小塊群を介し酸化物単結晶インゴットが収容される内側容器と、該内側容器の外径より大きい内径を有しかつ内側容器に収容された酸化物単結晶インゴットの外周面を囲むように配置される外側筒体とで、上記セラミック製の容器を構成し、かつ、
上記平坦状炉床台と、該炉床台に載置される内側容器並びに外側筒体との間に板状スペーサを介在させ、該板状スペーサに内側容器外底面の中央部へ加熱炉内の加熱空気を給排する通気口を形成して、露出する内側容器外底面に加熱炉内の加熱された空気を供給すると共に、上記内側容器と外側筒体との隙間から加熱された空気を外側筒体内に供給して酸化物単結晶インゴットを熱処理することを特徴とする酸化物単結晶の熱処理方法。
【請求項2】
板状スペーサが上記容器と同一のセラミック材料で構成されることを特徴とする請求項1に記載の酸化物単結晶の熱処理方法。
【請求項3】
上記板状スペーサと接する内側容器外底面の面積が該外底面全面積の10%以上50%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物単結晶の熱処理方法。
【請求項4】
露出する上記内側容器外底面の中央部に加熱された空気を給排する2箇所以上の通気口が対称的に形成されるように複数の板材で上記板状スペーサを構成することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の酸化物単結晶の熱処理方法。
【請求項5】
上記板状スペーサの厚さが10mm以上に設定されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の酸化物単結晶の熱処理方法。
【請求項6】
上記酸化物単結晶がタンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶で構成されることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の酸化物単結晶の熱処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョクラルスキー法(以下、Cz法と略記する)等の引き上げ法により育成した酸化物単結晶インゴットをセラミック製容器に収容し、該セラミック製容器を加熱炉内の平坦状炉床台に載置した状態で酸化物単結晶インゴットを熱処理して酸化物単結晶インゴットの「熱歪み」を緩和する方法に係り、特に、処理する酸化物単結晶インゴットが大型化しても(すなわち、インゴットの直径が大きくなっても)熱処理の不均一やセラミック製容器の破損等が回避される酸化物単結晶の熱処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンタル酸リチウム(以下、LTと略記する)単結晶やニオブ酸リチウム(以下、LNと略記する)単結晶等の酸化物単結晶は一般的にCz法等の引き上げ法を用いて育成されている。Cz法は、坩堝内の原料融液に種結晶を接触させ、該種結晶を回転させながら引き上げることで種結晶と同一方位の単結晶を育成する方法である。Cz法では成長界面が固化することで結晶成長が進むため、先に固化した部分と成長界面との間には温度勾配が生じる。そして、温度勾配を生じることで、育成が完了した結晶には温度差に起因した「熱歪み」が導入される。
【0003】
育成した結晶に上記「熱歪み」が導入されると、その後の加工工程でクラックを生じさせることから、Cz法で育成された酸化物単結晶については融点以下の温度でアニール処理(熱処理)を行い、上記「熱歪み」を緩和している。アニール処理は、結晶全体を均一な温度にすることが好ましく、特に、Cz法による単結晶育成では直径の変化が大きい結晶肩部と結晶直胴部の境界付近に大きな「熱歪み」が導入されているため、アニール処理において結晶肩部と結晶直胴部の温度差を可能な限り小さくすることが好ましい。
【0004】
LT(融点:約1650℃)やLN(融点:約1250℃)の単結晶は1000℃を越える温度でアニール処理を行うことから、一般的に抵抗加熱式のヒータを備えた電気炉が選択される。電気炉の発熱体はアニール温度に応じて二珪化モリブデンや炭化ケイ素が選択されるが、これ等の発熱体に限定されるものではない。
【0005】
アニール処理では、結晶全体を均一な温度で長時間保持し、再び温度差が生じないように徐冷しながら室温まで戻すことで「熱歪み」を緩和し、その後の加工工程におけるクラックを防いでおり、高温下で温度を均一に保持することが必要となる。
【0006】
ところで、結晶肩部と結晶直胴部を有する上記酸化物単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)は、セラミック製容器に上記インゴットを収容し、かつ、インゴット全体を容器で覆った状態にして熱処理がなされるが、酸化物単結晶インゴットとセラミック製容器が接触した部分のインゴットにクラックを生じることがあった。この原因は、酸化物単結晶インゴットにおける接触部位の熱的不均一および酸化物単結晶インゴットの自重による応力の不均一に起因すると考えられている。
【0007】
そこで、特許文献1において、図5に示すように上部が開放されかつ酸化物単結晶インゴットと同一材料で構成された塊径2mm以上10mm未満の小塊5群が敷き詰められた内底面を有する筒形の下側部材9と、該下側部材9の内底面に小塊5群を介し収容された酸化物単結晶インゴット1全体が覆われる内壁面と天壁面を有しかつ下側部材9に嵌合される筒形の上側部材8とでセラミック製容器を構成し、酸化物単結晶インゴットが収容されたセラミック製容器を電気炉(図示せず)の平坦状炉床台6に直接載置した状態で熱処理して酸化物単結晶インゴットの「熱歪み」を緩和させる方法が提案され、また、図6に示すように上部が開放されかつ酸化物単結晶インゴットと同一材料で構成された塊径2mm以上10mm未満の小塊5群が敷き詰められた内底面を有する筒形の下側部材12と、中側部材11および上側部材10を嵌合させてセラミック製容器を構成し、図5と同様、酸化物単結晶インゴットの「熱歪み」を緩和させる方法が提案されている。
【0008】
そして、特許文献1で提案された酸化物単結晶の熱処理方法によれば、上記小塊5群は酸化物単結晶で構成される従来の粉末に較べて塊径が著しく大きいため、高温条件下におけるリチウム(Li)成分(LTやLN単結晶を構成する成分)の揮散が起こり難くかつ小塊5の表面積も小さいことから、セラミック製容器と小塊5が直接接触しても容器と小塊5間の反応が起こり難く、かつ、小塊5の塊径が10mm未満であるためセラミック製容器内に収容した酸化物単結晶インゴットが熱処理中に倒れることもない。このため、安価なセラミック製容器内に酸化物単結晶インゴットを安定して収容でき、かつ、酸化物単結晶インゴット全体をセラミック製容器で覆うことによりインゴットの加熱ムラやセラミック製容器の劣化を生じさせることなく酸化物単結晶インゴットの「熱歪み」が緩和される方法であった。
【0009】
ところで、近年のスマートホン等の普及に伴い、移動体通信機器用の表面弾性波フィルター(以下、SAWフィルターと略記する)市場は拡大を続けており、SAWフィルターの材料となる上記LTやLN等の単結晶基板の需要も伸びている。そして、SAWフィルター製造プロセスのコストダウンを図るため、LTやLN等の酸化物単結晶基板サイズも、従来のφ3インチから、φ4インチ、φ6インチへと大面積化が進み、育成される酸化物単結晶インゴットが大型化(すなわち、インゴット直径が大きくなっている)している。そして、従来の酸化物単結晶サイズでは問題にならなかったが、育成される酸化物単結晶インゴットの大型化に伴い、上記インゴットに対する熱処理の不均一やセラミック製容器の破損(容器底面のクラック)等の問題が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2017―193453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
酸化物単結晶のアニール処理(熱処理)において、育成される酸化物単結晶が大型化する(すなわち単結晶の直径が大きくなる)と容器底面にクラックが発生する問題があり、この原因は、大型化した酸化物単結晶に合わせてセラミック製容器も大きくなったため、セラミック製容器の底面における中心部と外周部に温度差が生じるためと考えられる。
【0012】
そして、容器底面における中心部と外周部に温度差が生じ始めると、酸化物単結晶への熱処理が不均一になるため酸化物単結晶にクラックが発生し易くなり、容器底面にもクラックが発生して酸化物単結晶の保持が困難になる。
【0013】
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、処理する酸化物単結晶(酸化物単結晶インゴット)が大型化しても熱処理の不均一やセラミック製容器の破損等が回避される酸化物単結晶の熱処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため本発明者が鋭意研究を継続した結果、特許文献1で採用されているセラミック製容器の嵌合方法を変更し、かつ、加熱炉内の平坦状炉床台にセラミック製容器を直接載置させない方法に変更したところ、処理する酸化物単結晶(酸化物単結晶インゴット)が大型化しても熱処理の不均一やセラミック製容器の破損等が回避できることを発見するに至った。本発明はこのような技術的発見に基づき完成されたものである。
【0015】
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
引き上げ法により育成された酸化物単結晶インゴットをセラミック製の容器に収容し、加熱炉内に設置された平坦状炉床台に上記容器を載置して容器内の酸化物単結晶インゴットを熱処理する酸化物単結晶の熱処理方法において、
上記酸化物単結晶インゴットと同一材料で構成された塊径2mm以上10mm未満の小塊群が内底面に敷き詰められかつ該小塊群を介し酸化物単結晶インゴットが収容される内側容器と、該内側容器の外径より大きい内径を有しかつ内側容器に収容された酸化物単結晶インゴットの外周面を囲むように配置される外側筒体とで、上記セラミック製の容器を構成し、かつ、
上記平坦状炉床台と、該炉床台に載置される内側容器並びに外側筒体との間に板状スペーサを介在させ、該板状スペーサに内側容器外底面の中央部へ加熱炉内の加熱空気を給排する通気口を形成して、露出する内側容器外底面に加熱炉内の加熱された空気を供給すると共に、上記内側容器と外側筒体との隙間から加熱された空気を外側筒体内に供給して酸化物単結晶インゴットを熱処理することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明に係る第2の発明は、
第1の発明に記載の酸化物単結晶の熱処理方法において、
板状スペーサが上記容器と同一のセラミック材料で構成されることを特徴とし、
第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載の酸化物単結晶の熱処理方法において、
上記板状スペーサと接する内側容器外底面の面積が該外底面全面積の10%以上50%以下であることを特徴とする。
【0017】
次に、本発明に係る第4の発明は、
第1の発明~第3の発明のいずれかに記載の酸化物単結晶の熱処理方法において、
露出する上記内側容器外底面の中央部に加熱された空気を給排する2箇所以上の通気口が対称的に形成されるように複数の板材で上記板状スペーサを構成することを特徴とし、
第5の発明は、
第1の発明~第4の発明のいずれかに記載の酸化物単結晶の熱処理方法において、
上記板状スペーサの厚さが10mm以上に設定されていることを特徴とし、
また、第6の発明は、
第1の発明~第5の発明のいずれかに記載の酸化物単結晶の熱処理方法において、
上記酸化物単結晶がタンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶で構成されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
引き上げ法で育成された酸化物単結晶インゴットをセラミック製容器に収容し、該セラミック製容器を加熱炉内の平坦状炉床台に載置して酸化物単結晶インゴットを熱処理する本発明に係る熱処理方法は、
酸化物単結晶インゴットと同一材料で構成された塊径2mm以上10mm未満の小塊群が内底面に敷き詰められかつ該小塊群を介し酸化物単結晶インゴットが収容される内側容器と、該内側容器の外径より大きい内径を有しかつ内側容器に収容された酸化物単結晶インゴットの外周面を囲むように配置される外側筒体とで上記セラミック製容器を構成し、かつ、上記平坦状炉床台と、該炉床台に載置される内側容器並びに外側筒体との間に板状スペーサを介在させ、該板状スペーサに内側容器外底面の中央部へ加熱炉内の加熱空気を給排する通気口を形成して、露出する内側容器外底面に加熱炉内の加熱された空気を供給すると共に、上記内側容器と外側筒体との隙間から加熱された空気を外側筒体内に供給して酸化物単結晶インゴットを熱処理することを特徴としている。
【0019】
そして、本発明に係る熱処理方法によれば、露出する内側容器外底面に加熱炉内の加熱空気が供給されるため、内側容器外底面の中心部と周辺部を均等に加熱することが可能となり、かつ、上記内側容器と外側筒体との隙間から加熱炉内の加熱空気が外側筒体内に供給されるため、内側容器と外側筒体とで構成されるセラミック製容器内に収容された酸化物単結晶インゴットを均一に熱処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例1に係る酸化物単結晶の熱処理方法を示す説明図。
図2】本発明の実施例2に係る酸化物単結晶の熱処理方法を示す説明図。
図3】4枚の円弧状板材で構成される板状スペーサと該板状スペーサを介在させた状態で平坦状炉床台に載置される内側容器と外側筒体で構成される実施例1に係るセラミック製容器の底面図。
図4】平面C文字形状を有する1枚のセラミック製板材で構成される板状スペーサと該板状スペーサを介在させた状態で平坦状炉床台に載置される内側容器と外側筒体で構成される実施例5に係るセラミック製容器の底面図。
図5】特許文献1の下側部材と上側部材とで構成されるセラミック製容器を用いた酸化物単結晶の熱処理方法を示す説明図。
図6】特許文献1の下側部材と中側部材および上側部材とで構成されるセラミック製容器を用いた酸化物単結晶の熱処理方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
(1)本発明に係る酸化物単結晶の熱処理方法
本発明に係る酸化物単結晶の熱処理方法は、上述したように引き上げ法により育成された酸化物単結晶インゴットをセラミック製の容器に収容し、加熱炉内に設置された平坦状炉床台に上記容器を載置して容器内の酸化物単結晶インゴットを熱処理する酸化物単結晶の熱処理方法において、上記酸化物単結晶インゴットと同一材料で構成された塊径2mm以上10mm未満の小塊群が内底面に敷き詰められかつ該小塊群を介し酸化物単結晶インゴットが収容される内側容器と、該内側容器の外径より大きい内径を有しかつ内側容器に収容された酸化物単結晶インゴットの外周面を囲むように配置される外側筒体とで上記セラミック製の容器を構成し、かつ、上記平坦状炉床台と、該炉床台に載置される内側容器並びに外側筒体との間に板状スペーサを介在させ、該板状スペーサに内側容器外底面の中央部へ加熱炉内の加熱空気を給排する通気口を形成して、露出する内側容器外底面に加熱炉内の加熱された空気を供給すると共に、上記内側容器と外側筒体との隙間から加熱された空気を外側筒体内に供給して酸化物単結晶インゴットを熱処理することを特徴とするものである。
【0023】
(2)セラミック製容器
内側容器と外側筒体とで構成されるセラミック製容器の材料は特に限定されるものではなく、アニール温度や形状に応じて任意に選択することができる。例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)やジルコニア(酸化ジルコニウム)、および、マグネシア、ムライト、炭化ケイ素等から選択された1種類以上の材料を用いることができる。
【0024】
内側容器と外側筒体とで構成されるセラミック製容器の形状は、酸化物単結晶インゴットの直径Dに対して、直径若しくは内接円が1.2D~2.0Dとなるような円形や多角形とすることにより、電気炉への充填率を損なうこと無く、セラミック製容器と酸化物単結晶インゴットが直接接することを防ぐことができる。また、酸化物単結晶インゴットの全長Hに対して外側筒体の高さを1.1H~1.5Hとすることにより、内側容器に収容された酸化物単結晶インゴットの外周面が外側筒体で囲まれた状態となるため酸化物単結晶インゴットの加熱ムラを防ぐことができる。
【0025】
尚、アニール処理(熱処理)の際、熱処理用加熱炉の発熱体からの熱線が、直接、酸化物単結晶インゴットに照射されないようにするため、内側容器に収容された酸化物単結晶インゴットの外周面が上記外側筒体で囲まれた状態にすることを要する。
【0026】
また、上記内側容器の外径より外側筒体の内径が大きいことを要する。内側容器と外側筒体との隙間から熱処理用加熱炉内の加熱された空気を上記外側筒体内に供給して酸化物単結晶インゴットの熱処理を行うためである。
【0027】
(3)板状スペーサ
熱処理用加熱炉内の平坦状炉床台と、該炉床台に載置される内側容器並びに外側筒体との間に介在させる板状スペーサの材料は特に限定されるものではなく、アニール温度や形状に応じて任意に選択することができる。例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)やジルコニア(酸化ジルコニウム)、および、マグネシア、ムライト、炭化ケイ素等から選択された1種類以上の材料を用いることができるが、上記セラミック製容器と同一素材がより好ましい。
【0028】
また、板状スペーサを構成する板材の形状は特に限定されるものではなく、使用状況に応じて形状を適宜選択することができる。例えば、正方形、長方形、丸形、扇形等から形状を選択できる。
【0029】
尚、板状スペーサと接する内側容器外底面の面積が大きい場合、露出する内側容器外底面の面積が小さくなるため、加熱空気による内側容器外底面の加熱効果が低下する。このため、板状スペーサと接する内側容器外底面の面積は、外底面全面積の10%以上50%以下であることが好ましい。
【0030】
また、露出する上記内側容器外底面の中央部へ、加熱炉内の加熱空気を給排する通気口(空隙)の数については、加熱空気の給排が効率的になされるように2箇所以上が好ましく、より好ましくは2箇所以上の通気口が上下左右対称に形成されるとよい。
【0031】
また、板状スペーサの厚さについては、酸化物単結晶インゴットが収容された内側容器の荷重に対し十分な耐性を有するように10mm以上とすることが好ましく、かつ、板状スペーサが複数の板材で構成される場合には各板材の厚さを同一にすることが望ましい。
【0032】
(4)内側容器内底面に敷き詰める小塊群
上記酸化物単結晶インゴットと同一材料で構成される小塊は、LT(LiTaO3)やLN(LiNbO3)の単結晶を砕いて製造される塊径が2mm以上10mm未満である酸化物単結晶の塊を意味している。
【0033】
塊径が2mm以上10mm未満である酸化物単結晶の小塊は、酸化物単結晶で構成される従来の粉末に較べて塊径が著しく大きいため、高温条件下におけるリチウム(Li)成分(LTやLN単結晶を構成する成分)の揮散が起こり難くかつ小塊の表面積も小さいことから、セラミック製容器と小塊が直接接触しても容器と小塊間の反応が起こり難く(すなわち、セラミック製容器との反応性に乏しいことから容器の化学的劣化が抑制される)、かつ、小塊の塊径が10mm未満であるため内側容器内に収容した酸化物単結晶インゴットが熱処理中に倒れることもない。
【0034】
上記塊径が2mm未満の場合、小塊の表面積が増大して内側容器との反応性が増大してしまう。また、小塊の塊径が10mm以上の場合、酸化物単結晶インゴットの載置が不安定となり、熱処理中に酸化物単結晶インゴットが倒れてしまってクラック不良の原因となる。
【0035】
(5)酸化物単結晶
酸化物単結晶の熱処理方法を前提とした酸化物単結晶であり、タンタル酸リチウム(LT:LiTaO3)およびニオブ酸リチウム(LN:LiNbO3)が挙げられる。
【実施例
【0036】
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明に係る技術的構成がこれ等実施例の構成に限定されるものではない。
【0037】
[実施例1]
本実施例で使用されるセラミック製容器は、図1に示すように、上部が開放されかつ小塊5群が敷き詰められる内底面を有する外径φ260mm、高さ45mm、容器厚5mmの内側容器3と、該内側容器3の外径より大きい内径を有しかつ内側容器3の内底面に小塊5群を介し収容されるLT単結晶インゴット(6インチ径)1の外周面を囲むようにして配置される内径φ280mm、高さ280mm、筒厚5mmの外側筒体2とで構成されている。
【0038】
また、内側容器3と外側筒体2とで構成されるセラミック製容器は、抵抗加熱式のヒータを備えた電気炉(図示せず)内の平坦状炉床台6に板状スペーサ4を介在させた状態で載置され、これにより内側容器3の外底面が露出して電気炉内の加熱された空気(以下、加熱空気と称する)に上記外底面が曝されるようになっている。
【0039】
尚、セラミック製容器の材質はアルミナ(酸化アルミニウム)とした。また、板状スペーサ4は、図3に示すように4枚の円弧状板材で構成され、その材質はセラミック製容器と同一で、かつ、円弧状板材の厚さは10mmとした。また、上記小塊5は、LT単結晶と同一材料で構成され、LT単結晶を粉砕し、目開き10mmの篩いで粗大な単結晶を除去し、かつ、目開き2mmの篩いで微細な結晶粉を除去して塊径が2mm~10mm程度の小塊群を得た後、小塊群層の厚さが30mmとなるように上記内側容器3の内底面に敷き詰められている。また、図3中、符号dは、外側筒体2の内径と内側容器3の外径差による隙間を示している。
【0040】
そして、セラミック製容器を構成する内側容器3と外側筒体2が共に板状スペーサ4に載置できるように、該板状スペーサ4を構成する4枚の円弧状板材を図3に示すように平坦状炉床台(図示せず)上に配置し、かつ、小塊5群が内底面に敷き詰められた内側容器3を4枚の円弧状板材上に載置し、小塊5群を介して内側容器3の内底面にLT単結晶インゴット1を収容した後、該LT単結晶インゴット1の外周面を囲むように外側筒体2を4枚の円弧状板材上に載置した。
【0041】
この際、4枚の円弧状板材で構成される板状スペーサ4と接する内側容器3外底面の面積が該外底面全面積の10%となるように調整し、かつ、内側容器3外底面の外周部に対し4枚の円弧状板材を上下左右対称となるように配置することで、上記内側容器3外底面に加熱空気を給排する4個の通気口(空隙)が上下左右対称に形成されている。
【0042】
そして、抵抗加熱式のヒータを備えた上記電気炉内において、温度1400℃で40時間のアニール処理(熱処理)を実施した。
【0043】
アニール処理(熱処理)完了後における内側容器3と外側筒体2の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところ、クラックや劣化は確認されず、内側容器3に収容されたLT単結晶インゴット1にもクラックは確認されなかった。また、内側容器3と外側筒体2とで構成されたセラミック製容器と上記平坦状炉床台6間に介在させた4枚の円弧状板材(セラミック製板状スペーサ4)は、LT単結晶インゴット1が収容された内側容器3の荷重に対し耐性を有していることも確認された。
【0044】
そして、上述した条件と同一の条件でLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を10回繰り返したところ、10本の良品を得ることができた。
【0045】
更に、10回繰り返した後における内側容器3と外側筒体2の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところクラックや劣化は確認されず、また、4枚の円弧状板材においても破損等は確認されなかった。
【0046】
[実施例2]
上端側が閉止された図2に示す外側筒体7を適用した以外は実施例1と同様にしてLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を行い、アニール処理(熱処理)完了後における内側容器3と外側筒体7の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところ、クラックや劣化は確認されず、内側容器3に収容されたLT単結晶インゴット1にもクラックは確認されなかった。また、内側容器3と外側筒体7とで構成されたセラミック製容器と上記平坦状炉床台6間に介在させた4枚の円弧状板材(セラミック製板状スペーサ4)は、LT単結晶インゴット1が収容された内側容器3の荷重に対し耐性を有していることも確認された。
【0047】
そして、実施例1と同様にしてLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を10回繰り返したところ、実施例1と同様、10本の良品を得ることができた。
【0048】
また、10回繰り返した後における内側容器3と外側筒体7の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところクラックや劣化は確認されず、また、4枚の円弧状板材においても破損等は確認されなかった。
【0049】
[実施例3]
4枚の円弧状板材で構成される板状スペーサ4と接する内側容器3外底面の面積が該外底面全面積の50%となるように調整した以外は実施例1と同様にしてLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を行い、アニール処理(熱処理)完了後における内側容器3と外側筒体2の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところ、クラックや劣化は確認されず、内側容器3に収容されたLT単結晶インゴット1にもクラックは確認されなかった。また、内側容器3と外側筒体2とで構成されたセラミック製容器と上記平坦状炉床台6間に介在させた4枚の円弧状板材(セラミック製板状スペーサ4)は、LT単結晶インゴット1が収容された内側容器3の荷重に対し耐性を有していることも確認された。
【0050】
そして、実施例1と同様にしてLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を10回繰り返したところ、実施例1と同様、10本の良品を得ることができた。
【0051】
また、10回繰り返した後における内側容器3と外側筒体2の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところクラックや劣化は確認されず、また、4枚の円弧状板材においても破損等は確認されなかった。
【0052】
[実施例4]
4枚の円弧状板材で構成される板状スペーサ4と接する内側容器3外底面の面積が該外底面全面積の60%となるように調整した以外は実施例1と同様にしてLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を行い、アニール処理(熱処理)完了後における内側容器3と外側筒体2の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところ、クラックや劣化は確認されず、内側容器3に収容されたLT単結晶インゴット1にもクラックは確認されなかった。また、内側容器3と外側筒体2とで構成されたセラミック製容器と上記平坦状炉床台6間に介在させた4枚の円弧状板材(セラミック製板状スペーサ4)は、LT単結晶インゴット1が収容された内側容器3の荷重に対し耐性を有していることも確認された。
【0053】
そして、実施例1と同様にしてLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を10回繰り返したところ、8本の良品を得ることができたが、2本のLT単結晶インゴットについては、若干、クラックが確認された。尚、実施例1に較べ、若干、処理効果に劣っている原因は、板状スペーサ4と接する内側容器3外底面の面積が該外底面全面積の60%と大きいため、実施例1に較べて露出する内側容器3外底面の面積が減少した分、加熱空気による外底面の加熱効果が低下したためと考えられる。
【0054】
また、10回繰り返した後における内側容器3と外側筒体2の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところ、若干、クラックが確認されたが、円弧状板材の破損等は確認されなかった。
【0055】
[実施例5]
内側容器3と外側筒体2とで構成されるセラミック製容器と上記平坦状炉床台6間に介在されるセラミック製板状スペーサ4が、図4に示すような単一通気口(空隙)を形成する平面C文字形状を有する1枚のセラミック製板材で構成されている以外は実施例1と同様にしてLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を行い、アニール処理(熱処理)完了後における内側容器3と外側筒体2の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところ、若干、クラックや劣化が確認されたが、内側容器3に収容されたLT単結晶インゴット1にクラックは確認されなかった。また、内側容器3と外側筒体2とで構成されたセラミック製容器と平坦状炉床台6間に介在させた平面C文字形状を有するセラミック製板状スペーサ4は、LT単結晶インゴット1が収容された内側容器3の荷重に対し耐性を有していることも確認された。
【0056】
そして、実施例1と同様にしてLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を10回繰り返したところ、6本の良品を得ることができたが、4本のLT単結晶インゴットについては、クラックが確認された。尚、実施例1に較べ、処理効果に劣る原因は、平面C文字形状を有するセラミック製板状スペーサ4が適用されたことで通気口(空隙)が単一となり、単一の通気口(空隙)から内側容器3外底面に給排される加熱空気が減少した分、外底面の加熱効果が低下し、かつ、内側容器3と外側筒体2との隙間から外側筒体2内へ供給される加熱空気も減少したためと考えられる。
【0057】
また、10回繰り返した後における内側容器3と外側筒体2の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところ、クラックと放射状の破損が一部に確認されたが、平面C文字形状を有するセラミック製板状スペーサ4の破損等は確認されなかった。
【0058】
[実施例6]
上記セラミック製板状スペーサ4を構成する各円弧状板材の厚さを5mmとした以外は実施例1と同様にしてLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を行い、アニール処理(熱処理)完了後における内側容器3と外側筒体2の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところ、クラックや劣化は確認されず、内側容器3に収容されたLT単結晶インゴット1にもクラックは確認されなかった。但し、内側容器3と外側筒体2とで構成されたセラミック製容器と平坦状炉床台6間に介在させた4枚の円弧状板材(セラミック製板状スペーサ4)は、厚さが5mmと薄い分、LT単結晶インゴット1を収容した内側容器3の荷重に対する耐性が、若干、劣っていることも確認された。
【0059】
そして、実施例1と同様にしてLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を10回繰り返したところ、実施例1と同様、10本の良品を得ることができた。
【0060】
また、10回繰り返した後における内側容器3と外側筒体2の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところクラックや劣化は確認されなかったが、4枚の円弧状板材に関しては破損等が確認された。
【0061】
[比較例1]
比較例1で使用されるセラミック製容器は、図5に示すように、上部が開放されかつ実施例1と同一の小塊5群が敷き詰められる内底面を有する筒形下側部材9と、該下側部材9に収容されたLT単結晶インゴット1全体を覆う内壁面と天壁面を有しかつ上記下側部材9に嵌合される筒形上側部材8とで構成され、これ等下側部材9と上側部材8の材質は、実施例1と同一のアルミナ(酸化アルミニウム)が用いられている。また、上記下側部材9の形状は、1辺が200mm、高さが100mmで、かつ、上部が開放された角型の箱状構造体で構成されており、上記上側部材8の形状も下側部材9と同一になっている。
【0062】
そして、下側部材9の内底面に小塊5群層の厚さが30mmとなるように敷き詰め、かつ、小塊5群層上に直径160mmのLT単結晶インゴット1を図5に示すように載置した後、下側部材9と同一形状の上記上側部材8を下側部材9に嵌合させてLT単結晶インゴット1全体がセラミック製容器で覆われた状態とした。
【0063】
そして、図5に示すようにLT単結晶インゴット1が収容されたセラミック製容器を、電気炉(図示せず)内の平坦状炉床台6にセラミック製板状スペーサを介さずに直接載置した後、温度1400℃で40時間のアニール処理(熱処理)を行い、アニール処理(熱処理)完了後における下側部材9の外観、および、下側部材9の内底面を調べたところ、上記内底面の中央部にクラックと部分破損が確認され、下側部材9に収容されたLT単結晶インゴット1にも、若干、クラックが確認された。更に、熱処理されるLT単結晶インゴット1の直径が大きくなるに従い、下側部材9における内底面の破損やLT単結晶インゴット1におけるクラックの発生が顕著になることも確認された。
【0064】
尚、図5のセラミック製容器に代えて、図6に示す下側部材12、中側部材11、および、上側部材10で構成されるセラミック製容器を適用し、かつ、電気炉(図示せず)内の平坦状炉床台6にセラミック製板状スペーサを介さずに上記セラミック製容器を直接載置した場合も同様であった。
【0065】
[比較例2]
抵抗加熱式のヒータを備えた電気炉(図示せず)内の平坦状炉床台6に、板状スペーサ4を介さずに実施例1と同一構造のセラミック製容器(LT単結晶インゴット1が収容されている)が直接載置された以外は実施例1と同様にしてLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を実施した。
【0066】
そして、アニール処理(熱処理)完了後における内側容器3と外側筒体2の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところ、内側容器3の内底面にクラックが発生し、放射状に破損していることが確認された。また、内側容器3に収容されたLT単結晶インゴット1にクラックは確認されなかったが、内側容器3の破損した内底面から小塊5の一部が流出したことで、LT単結晶インゴット1が傾いていた。
【0067】
更に、上述した条件と同一の条件でLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を3回実施したが、3回共、内側容器3の内底面にクラックが発生していた。また、3回中の2回はLT単結晶インゴットにクラックが確認された。
【0068】
[比較例3]
抵抗加熱式のヒータを備えた電気炉(図示せず)内の平坦状炉床台6に、板状スペーサ4を介さずに実施例2と同一構造のセラミック製容器(LT単結晶インゴット1が収容されている)が直接載置された以外は実施例2と同様にしてLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を実施した。
【0069】
そして、アニール処理(熱処理)完了後における内側容器3と外側筒体7の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところ、内側容器3の内底面にクラックが発生し、放射状に破損していることが確認された。また、内側容器3に収容されたLT単結晶インゴット1にクラックは確認されなかったが、内側容器3の破損した内底面から小塊5の一部が流出したことで、LT単結晶インゴット1が傾いていた。
【0070】
[比較例4]
内側容器3と外側筒体2とで構成されるセラミック製容器と上記平坦状炉床台6間に介在されるセラミック製板状スペーサ4が、本体内部に空隙があるリング状セラミック製板材で構成されている以外は実施例1と同様にしてLT単結晶インゴットのアニール処理(熱処理)を実施した。
【0071】
そして、アニール処理(熱処理)完了後における内側容器3と外側筒体2の外観、および、内側容器3の内底面を調べたところ、内側容器3の内底面にクラックが発生し、放射状に破損していることが確認された。また、内側容器3に収容されたLT単結晶インゴット1にもクラックが確認された。
【0072】
リング状セラミック製板材を適用した場合、内側容器3の外底面へ加熱空気を給排する通気口(空隙)が無くなることから、上記外底面と外側筒体2内への加熱空気の供給が著しく減少するため、内側容器3の内底面とLT単結晶インゴットに上記クラックが発生していると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る酸化物単結晶の熱処理方法によれば、酸化物単結晶が収容された容器外底面の中心部と周辺部を均等に加熱できるため、タンタル酸リチウム単結晶やニオブ酸リチウム単結晶インゴットの熱歪みを緩和させる熱処理方法に用いられる産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0074】
d 外側筒体2の内径と内側容器3の外径差による隙間
1 LT単結晶インゴット(酸化物単結晶)
2 外側筒体
3 内側容器
4 板状スペーサ
5 小塊
6 平坦状炉床台
7 上端側が閉止された外側筒体
8 上側部材
9 下側部材
10 上側部材
11 中側部材
12 下側部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6