(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】雨具
(51)【国際特許分類】
A41D 3/04 20060101AFI20220630BHJP
A45F 3/00 20060101ALI20220630BHJP
A45C 7/02 20060101ALI20220630BHJP
A41D 3/06 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
A41D3/04 G
A45F3/00 520
A45C7/02 Z
A41D3/06 A
(21)【出願番号】P 2021162047
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】P 2021149711
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】721008958
【氏名又は名称】山川 達郎
(72)【発明者】
【氏名】山川 達郎
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-148131(JP,A)
【文献】特開2013-083029(JP,A)
【文献】登録実用新案第3001838(JP,U)
【文献】登録実用新案第3194912(JP,U)
【文献】実開昭55-075619(JP,U)
【文献】特開2008-136654(JP,A)
【文献】国際公開第2019/231545(WO,A1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0420922(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 3/04-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レインコートと
、
前記レインコートを収納する収納袋と、
を備え、
前記収納袋は、
上向きに開口した袋本体と、
前記開口を覆う蓋部と、
リュックの肩ひもや斜め掛けバッグの肩ひもに、取り付けられる取付部と、
前記
蓋部の内側に雨具用のズボンを収容するズボン収容部と、
を有し、
前記レインコートの背部の内側と前記収納袋の内側とが取り付けられており、
前記取付部は、前記リュックや斜め掛けバッグに面する前記収納袋の外面に設けられている、ことを特徴とする、雨具。
【請求項2】
前記収納袋は、前記背部の上部に着脱可能であることを特徴とする、請求項1に記載の雨具。
【請求項3】
前記取付部は伸縮可能であることを特徴とする、請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の雨具。
【請求項4】
前記収納袋は、
前記袋本体の下部に設けられた帯状の面ファスナーと、
前記袋本体の上部に設けられたリング状の面ファスナーかけと、
を備え、
前記面ファスナーかけは、前記面ファスナーを挿通可能であり、
前記面ファスナーは、前記面ファスナーかけを経由して止められることを特徴とする、請求項1に記載の雨具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨具に関することである。
【背景技術】
【0002】
ハイキング時における天候変化や、近年多くみられる短時間のゲリラ豪雨、通学時に降ってくる雨などに、リュックなどの荷物に仕舞い込んだ雨具を、取り出して着衣するまでに時間を有し、自身を含めて背負っている荷物を濡らすことが見受けられる。また斜め掛けバックについては、比較的コンパクトなものが多く、雨具を別で持つ必要があった。
【0003】
特許文献1はランドセルを背負った状態のまま雨衣を着ることができると共に、ランドセルカバーと一体となった袋内に雨衣が収納されているが、取り付ける場所がランドセルの吊りカンとし、ランドセル専用カバーが一体となっているものであり、特許文献1はランドセル専用と特定している。
【0004】
特許文献2は、ランドセルの上に雨具収納袋を取り付けるものであるが、収納袋と雨具は脱着可能として、収納袋は小物入れにできるとしているが、取り出した雨具の置き忘れが、少なからずあると推測する。また取り出した雨具を収納袋に対して、収納すべき雨具の姿勢が定まらないため、適当に仕舞い込むと、着衣面が濡れる場合がある。
【0005】
特許文献3の雨具一体型バックについては、雨具一体型バックを自身の腰に付けた状態で雨衣を取り出すことができるが、リュックなどを背負った状態での雨衣の着衣を目的としておらず、荷物を背負ったハイキングや小学生等の通学には不向きである。また、着衣するためには、収納袋を前に持ってきて、雨具本体を取り出し、後ろに回して着衣するものである。またトイレなどで自身の腰から収納袋を取り外す必要がある場面で荷物の点数(リュックなどと特許文献3)が増えてしまうことで、置き忘れることもあると推測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6744960号公報
【文献】特開2019-180954号公報
【文献】登録実用新案第3195906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記文献によれば、肩かけ可能な様々なタイプの鞄に用いることは困難であり、ズボンの収納は想定していない。また、雨具本体を収納する時に着衣面が濡れてしまうことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
レインコートと、前記レインコートの背部の内側に配され、当該レインコートを収納する収納袋と、を備え、前記収納袋は、その内部に雨具用のズボンを収容するズボン収容部と、リュックの肩ひもや斜め掛けバックの肩ひもに、取り付けられる取付部と、を有する。
【0009】
前記収納袋は、前記背部の上部に着脱可能である。
【0010】
前記収納袋は、上向きに開口した袋本体と、前記開口を覆う蓋部と、を備え、前記ズボン収容部は前記蓋部の内側に設けられている。
【0011】
前記取付部は伸縮可能である。
【0012】
前記収納袋は、前記袋本体の下部に設けられた帯状の面ファスナーと、前記袋本体の上部に設けられたリング状の面ファスナーかけと、を備え、前記面ファスナーかけは、前記面ファスナーを挿通可能であり、前記面ファスナーは、前記面ファスナーかけを経由して止められる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、肩かけ可能な様々なタイプの鞄に用いることができ、収納袋の蓋部の内側には収納袋があるので、雨具用のズボンを収納できる。また、レインコートを収納する時に、着衣面が濡れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の雨具の全体図と収納工程の斜視図である。
【
図2】(1)収納袋の開口部の斜視図である。(2)収納袋から取り出したズボンの平面図である。
【
図3】(3)収納袋と雨具の接続の斜視図である。(4)収納袋の接続部とリュックの上部フックの斜視図である。
【
図4】(A)リュックに対応した上記雨具(収納状態)の斜視図である。(B)斜め掛けバックに対応した上記雨具(収納状態)の斜視図である。(C)雨具をリュックに取り付けた側面図である。(D)雨具を斜め掛けバックに取り付けた背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すように、本実施例の雨具100は、レインコート1と、収納袋4と、を備えている。
【0016】
レインコート1は、頭巾部11、背面部12、前面部13、袖部14を有しており、前面部13において、不図示のフックや線ファスナー、ボタンなどで留められるようになっている。前面部13への留め具の形状については前記レインコート1の使用目的により異なる。例えば軽装を重視したハイキングや自転車をメインとした正面から当たる雨の対応や、低学年にも留められやすい形状などを表す。
【0017】
レインコート1の素材は雨や水分を通さない。例えばビニールなど水や水分を通さないもので形成されている。また、使用目的によって耐水圧などが異なるので材質の限定はしない。
【0018】
収納袋4の素材は雨や水分を通さない。例えばビニールなど水や水分を通さないもので形成されている。また、使用目的によって耐水圧などが異なるので材質の限定はしない。前記収納袋4の形状はレインコート1のサイズにより異なるが、係止させる線ファスナー6と、を少なくとも備えている。
【0019】
雨具100は、収納袋4を備えている。当該収納袋4は、レインコート1の内側において、背面部12の上方に配置されている。
【0020】
収納袋4は、上向きに開口した袋本体40と、当該開口を覆う蓋部41と、を備えている。
【0021】
袋本体40は、折り畳まれたレインコート1を収容可能なサイズであり、前面部42,側面部43,背面部44、及び底部45を有する略方形に形成されている。
【0022】
蓋部41は、袋本体40の開口を覆うように略方形に形成されている。
【0023】
袋本体40の背面部44の一辺(背面部44における開口端部の一辺)に、蓋部41の一辺が接合されている。当該袋本体40の内側において、蓋部41との接合箇所の近傍が上記レインコート1に取り付けられている。
【0024】
袋本体40の開口端部及び、蓋部41の周縁部には線ファスナーが設けており、線ファスナーを操作することで、袋本体40の開口に対して、蓋部41が覆うように取り付けられる。
【0025】
図2に示すように、袋本体40の内側には雨具用のズボンを収容するズボン収容部8が設けられている。当該ズボン収容部8は袋本体40の蓋部41の裏側に設けられている。本実施形態のズボン収容部8は、折り畳まれたズボンが差し込まれるようにポケット状に形成されており、線ファスナーやスナップボタンによって開閉可能になっている。なお、雨具用のズボンは、本実施形態のレインコートと同様の素材により形成されている。
【0026】
また、
図3に示すように、袋本体40には連結部材7が設けられている。連結部材7は、リュックやかばん等に取り付けられた雨具100が脱落することを防止する部材であり、袋本体40から延びる紐状部と、紐状部の先端に取り付けられた引っ掛け部と、から構成されている。紐状部は、金属製であっても構わない。また、引っ掛け部は、リュックの上部に設けられた吊り下げ紐に対して引っ掛けられる部分である。例えば、図に示すようにリュックの上部に設けられた輪っかに引っ掛けられる。
【0027】
レインコート1の背部12の内側に上記収納袋4が取り付けられる。レインコート1に対する収納袋4の取付態様は、
図3(3)に基づいて後述する。
【0028】
収納袋4にはリュックの上部フックに取り付けられる接続部7と、を備えている。リュックに対する接続部6の取付接態様は、
図3(4)に基づいて後述する。
【0029】
本実施例の収納袋4は、その背面部44の外面において、その真ん中の位置に取付部3を有している。取付部3は、リュックa1の肩ひもb1や、斜め掛けバックa2の肩掛け紐b2に取り付けられる部分である。取付部3の態様については、
図4に基づいて後述する。
【0030】
以下、本実施例の雨具100の使用方法を説明する。雨具100を収納する場合には、レインコート1の前面部13を閉じた状態とし、当該前面部13に袖部14を重ねるように配置する。そして、レインコート1の下端部から、順次、ロール状に丸めてロール状のレインコート1を形成する。なお、レインコート1の下端部から、順次、折りたたんで、折り畳まれたレインコート1を形成してもよい。
【0031】
ロール状のレインコート1(折り畳まれたレインコート1)を形成すると、当該レインコート1を収納袋4の袋本体40に収め、当該袋本体40の開口を蓋部41で覆い、線ファスナーを操作することで、蓋部41で袋本体40を閉じる。これにより、レインコート1が収納袋4に収納されることとなる。
【0032】
収納袋は、面ファスナー5を備えている。
【0033】
面ファスナー5は、収納袋の膨張を抑えるために用いられる。具体的には、面ファスナー5は、帯状であり、袋本体の下部に設けられている。
【0034】
面ファスナー5は、一端部が袋本体40に縫い付け等により取り付けられている。
【0035】
面ファスナー5の一端部には、フック状に起毛されたメス部が設けられており、面ファスナー5の他端部にはループ状に起毛されたオス部が設けられている。また、収納袋4は、面ファスナーかけ2を有している。
【0036】
面ファスナーかけ2は、例えばリング状の金属部材であり、収納袋の上部(本実施形態では蓋部)に設けられている。
【0037】
当該面ファスナーかけ2に面ファスナー5が挿通されて、収納面ファスナー5が折り返され、面ファスナー5のオス部とメス部が接続される。これにより、収納袋の膨張が抑えられる。
【0038】
収納袋4のコンプレッション機能である面ファスナー5は、雨具のサイズと仕様により有無とする。例えば小学生などの低学年にはコンプレッション機能の扱いが難しく、容易に取り外しが出来ることを優先にする場合には、収納袋4の開閉はスナップボタンまたは線ファスナー6のみとする。
【0039】
レインコート1を収納するとき、収納袋4が雨具の背部の内側にあるため、必然的に濡れた面が内側に折り畳まれることになる。
【0040】
以下、
図2に基づいて蓋部41の内側にあるズボン収容部8の取付態様を説明する。
図2(1)に示すように、蓋部41の内側にあるズボン収容部8と、を備えている。前記ズボン用収納袋の開閉は線ファスナー又は不図示であるスナップボタンとし、前記ズボン用収納袋8にズボン本体9を収納することができる。
【0041】
また、
図2(2)に示すように、ズボン本体9については、レインコート1と同様の生地として、収納を考慮したデザインとする。
【0042】
以下、
図3に基づいてレインコート1に対する収納袋4の取付態様を説明する。
図3(3)に示すように、本実施形態では、レインコート1の背面の内側にスナップボタン15を備え、収納袋4の内側の背面部にスナップボタン10を備え、それらを合わせ接続する。これにより、レインコート1は収納袋4に対して着脱可能となっている。レインコート1の着脱態様はスナップボタンに限定されず、面ファスナーによって着脱されても構わない。また、レインコート1に係止部を設け、当該係止部に係止される被係止部を収納袋4に設けて着脱可能としても構わない。また、不図示であるが、ハイキングなど軽量を追求する場合は、スナップボタンを用いらずに一緒に縫い付けて、防水テープで防水処理をすることも想定する。
【0043】
基本となるスナップボタン仕様については、収納袋4又はレインコート1の、どちらかに不具合が起きた時に、スナップボタン10・15から取り出すことで、不具合がある方のみを交換することができる。よって環境汚染の節減に役たつことができる。
【0044】
また、収納袋4は接続部7と、を備えている。
図3(4)に示すように、接続部7は収納袋4の底部45の外側に設けられており、リュックの肩ひもに収納袋4を固定するとき、接続部7を用いて、リュック上部にあるフックcに引掛けることで、肩ひもからの、ずり下がりを抑えることができる。
【0045】
以下、
図4に基づいて取付部3を説明する。
図4(A)に示すようにバックルで留められることが可能な帯状体に形成されている。例えば、(C)に示すようにリュクa1に取り付けられる取付部3はバックル3Aが設けられ、リュックa1の両肩ひもb1を通して取り付けられる。帯状体の両端部に設けられたバックル3Aが結合されることで、リュックa1の肩ひもb1に取り付けられる。
【0046】
また収納袋4とバックル3Aと、を繋ぐベルト3Bは、
図4(A)に示すように、アジャスター3Cを用いて、ベルト3Bの長さの調整が可能である。そのことにより、様々なリュックの形状や、背負う人の体格による肩幅の違いに対応できる。具体的には、帯状体であるベルト3Bには、折返し部が設けられており、折返しの長さを調節することで、ベルト3Bが伸縮可能となっている。また、ベルト3Bは、伸縮ゴムによって伸縮可能であっても構わない。
【0047】
図4(B)に示すように、取付部の別の態様は、一対の帯状体であり、斜め掛けバックa2を肩にかける場所によって、面ファスナー3Dのどちらか片方で取り付けることになる。例えば(D)に示すように、右肩に斜め掛けバックa2を掛ける場合は、面ファスナー32のみ付ける。不図示であるが、左肩に斜め掛けバックa2を掛ける場合は面ファスナー31のみ付ける。
【0048】
図5は本発明の一実施例のレインコート1装着・脱着状況の図である。
この図に示すように、リュックa1や斜め掛けバックa2などの肩ひもに収納袋4と一体型のレインコート1を付けることにより、リュックa1や斜め掛けバックa2などの荷物入れに影響が及ばない。
【0049】
リュックa1や斜め掛けバックa2などから取り外すことなく収納袋4からレインコート1を取り出して着用することができる。前記収納袋4についている面ファスナー5を面ファスナーかけ2から外し、前記収納袋4の線ファスナー6を開けた後、前記レインコート1を出す。
【0050】
レインコート1は、重力で足元まで下りてくる。
【0051】
広げられたレインコート1はリュックa1や斜め掛けバックa2などを背負ったまま、一緒に覆い被せて着ることが出来る。
【0052】
リュックa1や斜め掛けバックa2のデザインにより、腰付近まで荷物位置が下がっている場合でも、肩ひもを通して雨具を自身の肩まで寄せてから、着用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 レインコート
2 面ファスナーかけ
3 取付部
4 収納袋
5 面ファスナー
6 線ファスナー
7 接続部
8 ズボン収容部
9 ズボン本体
10 スナップボタン
100 雨具
a 1 リュックなど
a 2 斜め掛けバックなど
b1 リュック用肩ひも
b2 斜め掛けバック用肩ひも
【要約】
【課題】
リュックや斜め掛けバックなどの荷物に影響が出ないように、雨具本体と一体となった収納袋を、肩ひもに取り付けられ、着衣する時は肩ひもから取り外すことなく、背負っている荷物と共に、素早く着衣することが可能で、収納する時は雨具本体の着衣面を濡らさないことを提供する。
【解決手段】
レインコートと、前記レインコートの背部の内側に配され、当該レインコートを収納する収納袋と、を備え、前記収納袋は、その内部に雨具用のズボンを収容するズボン収容部と、リュックの肩ひもや斜め掛けバックの肩ひもに、取り付けられる取付部と、を有することを特徴とする雨具。
【選択図】
図1