(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】ニードルピッチ調節可能なミシン
(51)【国際特許分類】
D05B 55/00 20060101AFI20220704BHJP
D05B 3/02 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
D05B55/00
D05B3/02 P
(21)【出願番号】P 2020206883
(22)【出願日】2020-12-14
【審査請求日】2020-12-14
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504337671
【氏名又は名称】啓翔股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 旭輝
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03339507(US,A)
【文献】特開2013-048716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B1/00-97/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上軸と針棒とを有し、前記上軸が回転して前記針棒を動かして上下に移動させることができることで、前記針棒の下端に位置する2本のニードルが前記針棒と同期移動するミシンヘッドと、
ニードルピッチ駆動機構と、
前記針棒に穿設される調整棒と、前記調整棒と前記2本のニードルとの間に位置する調整ユニットと、を有し、前記調整棒が前記ニードルピッチ駆動機構によって動かされて回転でき、前記調整ユニットが回転運動を行う前記調整棒を介して少なくとも1つの前記ニードルを動かして横方向運動させることができることで、前記2本のニードルが互いに接近し、又は離れることが可能であるニードルピッチ調整機構と、
を備え
、
前記調整ユニットは前記調整棒に連結されるギアと、一方の前記ニードルに連結される第1ラックと、を有し、前記ギアが前記調整棒によって動かされて回転し、前記第1ラックが前記ギアに噛み合わされて、前記第1ラックが一方の前記ニードルを動かして前記針棒と交差する第1方向に横移動させることができる
ことを特徴とする、ニードルピッチ調節可能なミシン。
【請求項2】
前記針棒が上下に移動する過程で、前記ニードルピッチ駆動機構は同時に前記調整棒を回転駆動することができる
ことを特徴とする、請求項1に記載のニードルピッチ調節可能なミシン。
【請求項3】
前記ミシンヘッドに回転動力を発生できるミシンヘッド回転機構が取り付けられ、前記ミシンヘッド回転機構が前記ミシンヘッドを回転駆動して、前記ニードルピッチ調整機構と前記ニードルピッチ駆動機構との両者を前記ミシンヘッドと同期回転させることができる
ことを特徴とする、請求項1に記載のニードルピッチ調節可能なミシン。
【請求項4】
前記ギアが前記第1ラックと対向する一側に第2ラックに噛み合わされ、前記第2ラックが他方の前記ニードルに連結されて、前記ギアが回転する場合、前記第1ラックが一方の前記ニードルを動かして前記第1方向に横方向直線移動させ、前記第2ラックが同時に他方の前記ニードルを動かして前記第1方向と逆である第2方向に横方向直線移動させる
ことを特徴とする、請求項1に記載のニードルピッチ調節可能なミシン。
【請求項5】
前記ニードルピッチ駆動機構は前記針棒から離れるニードルピッチ駆動源と、前記ニードルピッチ駆動源に連結されるニードルピッチ伝動ユニットと、を有し、前記ニードルピッチ伝動ユニットと前記調整棒との間にニードルピッチ同期ユニットが設けられており、前記調整棒が前記ニードルピッチ伝動ユニットに対して軸方向移動できるようにし、前記ニードルピッチ同期ユニットが前記ニードルピッチ伝動ユニットと前記調整棒との両者を同期回転させることができる
ことを特徴とする、請求項1に記載のニードルピッチ調節可能なミシン。
【請求項6】
前記ニードルピッチ同期ユニットはニードルピッチ同期溝とニードルピッチ同期ボスと、を有し、前記ニードルピッチ同期溝が前記ニードルピッチ伝動ユニットと前記調整棒との両者の一方に形成され、前記ニードルピッチ同期ボスが前記ニードルピッチ伝動ユニットと前記調整棒との両者の他方に形成され、前記ニードルピッチ同期溝に穿設されて、前記調整棒が上下に移動する過程で、前記ニードルピッチ同期ボスが、前記ニードルピッチ同期溝の内部を上下に往復移動する
ことを特徴とする、請求項5に記載のニードルピッチ調節可能なミシン。
【請求項7】
回転できる外釜と、前記外釜の一側に位置し、一方の前記ニードルに位置する1対の針孔を有する針板と、をそれぞれ有する2つの釜土台と、
それぞれの前記釜土台の外釜を動かして同時に回転させることができる外釜駆動機構と、
前記2本のニードルが互いに接近し、又は離れる場合、同期して少なくとも1つの釜土台を動かして第1方向に移動させて、前記2つの針孔間の距離が前記2本のニードル間の距離と同様であるようにすることができるピッチ駆動機構と、
をさらに備える
ことを特徴とする、請求項1に記載のニードルピッチ調節可能なミシン。
【請求項8】
前記2つの釜土台、外釜駆動機構及びピッチ駆動機構の四者が全て自由に回転できる可動ベースに連結され、前記可動ベースに回転動力を発生できる釜土台駆動機構が取り付けられ、前記釜土台駆動機構が前記可動ベースを介して同時に前記2つの釜土台、外釜駆動機構及びピッチ駆動機構の四者を動かして同時に回転させることができる
ことを特徴とする、請求項7に記載のニードルピッチ調節可能なミシン。
【請求項9】
前記ピッチ駆動機構は移動できる第1移動ブロックと、回転できる第1伝動ロッドと、を有し、前記第1移動ブロックが一方の前記釜土台に連結され、前記第1伝動ロッドとの間に回転運動を直線運動に変更できる第1スクリューユニットが設けられており、前記第1伝動ロッドが第1回転方向に伝動して、前記第1移動ブロックが前記第1スクリューユニットを介して一方の前記釜土台を動かして移動させる
ことを特徴とする、請求項7に記載のニードルピッチ調節可能なミシン。
【請求項10】
前記ピッチ駆動機構は他方の前記釜土台に連結される第2移動ブロックと、間隔を置いて前記第1伝動ロッドに配列される第2伝動ロッドとをさらに有し、前記第2移動ブロックと前記第2伝動ロッドとの間に回転運動を直線運動に変更できる第2スクリューユニットが設けられており、前記第2伝動ロッドと第1伝動ロッドとの間に回転方向を変えることができる変換ユニットが設けられており、前記第1伝動ロッドが前記第1回転方向に回転する場合、前記第2伝動ロッドは前記変換ユニットを介して前記第1回転方向と逆である第2回転方向に回転し、さらに前記第1移動ブロックと前記第2移動ブロックとの両者を反対の方向に向けて移動させることを特徴とする、請求項9に記載のニードルピッチ調節可能なミシン
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本針ミシンに関し、特に縫製作業を行う過程で2本のニードル間の距離を変更することができるニードルピッチ調節可能なミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンの自動化及び高速化の発展に伴い、工業用ミシンは、労力の節約及び生産能力の向上に加えて、現在、各種の異なる目的に対し、対応する機能が開発されている機種、例えば1本針模様縫いミシン(X-Y軸で自動的に移動する材料を駆動し、縫製経路を任意に変更できる)、1本針回転ヘッド模様縫いミシン(各縫製方向におけるステッチの一致性をさらに保持できる)、又は2本針回転ヘッド模様縫いミシン(2本の等距離の曲線のステッチを同時に縫うことができる)をさらに含んでいる。
【0003】
しかし、2本針の平行なステッチで被縫製物が美しく見える好ましい効果を発生することができ、さらに生活中の種々の服飾の何れにも2本針縫いの応用が見られる。
図1A及び
図1Bを参照する。2本針回転ヘッド模様ミシン80は2本針コンピュータミシンであり、その上にヘッド部回転ユニット81を有し、ヘッド部回転ユニット81の下に台座回転ユニット82とX-Y軸送りユニット83とが設けられている。なかでも、ヘッド部回転ユニット81が針棒84を回転駆動できることで、針棒84の末端に取り付けられる針止め85は、互いに間隔を置いて設けられた2つのニードル86を同期して動かして回転させることができる。針棒84が回転する場合、台座回転ユニット82は、同時に針板87と台座(図示せず)とを動かして回転させて、針板87の2つの針孔871がそれぞれ、継続的に一対一で一方のニードル86に合わせることができる。また、X-Y軸送りユニット83は治具を介して被縫製物を動かして図面中のX軸方向とY軸方向に移動させる。これにより、ヘッド部回転ユニット81、台座回転ユニット82及びX-Y軸送りユニット83の三者が互いに合わせて被縫製物において平行で並列する2本のステッチを縫製形成することができ、さらに従来の手動操作の2本針ミシンに取って代わることが可能であり、さらに物品縫製の作業効率を向上することができる。
【0004】
しかし、被縫製物の種類が多く、なかでも、厚いものもあれば、薄いものもあり、そして、材質が柔らかいものもあれば、材質が硬いものもある。異なる生地の条件によって使用する必要のあるニードルピッチ及び縫い目が異なっている。一般的には、2本針回転ヘッド模様ミシン80で厚さの厚い被縫製物又は材質の硬い被縫製物を縫う場合、2本のニードル86間の距離を増加しなければならない。逆に、2本針回転ヘッド模様ミシン80で厚さの薄い被縫製物又は材質の柔らかい被縫製物を縫う場合、2本のニードル86間の距離を減少しなければならない。したがって、2本針回転ヘッド模様ミシン80で生地の条件が異なる被縫製物を縫う場合、オペレータは2本針回転ヘッド模様ミシン80の運転を停止した状態で手動で針止め85と針板87を交換しなければならない。さらに、2本針回転ヘッド模様ミシン80で別の被縫製物を縫う場合、オペレータは時間をかけて針止め85と針板87を交換する必要があり、さらに生産効率を向上しにくいことが分かった。
【発明の概要】
【0005】
本発明の主な目的は、針棒と2本のニードルとの間に追加するニードルピッチ調整機構を改善して、少なくとも1本のニードルを横移動させることができるようにし、2本のニードルが互いに接近し、又は離れることで2本のニードル間の距離を変更することができ、さらに単一のミシンがニードルピッチ調整機構を介して2本のニードル間の距離を変更し、ニードルピッチの条件が異なる被縫製物に対して縫製作業を行うことができることにより、ミシンの生産効率を向上できるだけでなく、オペレータが時間をかけて針止めと針板を交換する必要があることも防止できることである。
【0006】
本発明の副次的な目的は、ミシンで被縫製物に対して2本のステッチを縫う過程で、少なくとも1本のニードルが直線移動を行って2本のニードル間の距離を変更することができ、ミシンヘッドも同時に回転し、さらに縫製の過程で2本のニードルの相対距離及び角度位置を自在に制御できることにより、ミシンは複数種の縫われる図柄に用いることができるだけでなく、縫われる図柄の美観性を向上することもできることである。
【0007】
本発明の更に別の目的は、針棒が上下に移動する過程で、少なくとも1本のニードルが同時に横移動して2本のニードル間の距離を変更できることで、ミシンは同一の被縫製物において幅の異なる複数組の平行なステッチの図柄を縫い出し、又は同一組の二重線の縫製経路で幅の異なるステッチに変形することができることである。
【0008】
前記目的を実現するために、本発明に係るニードルピッチ調節可能なミシンは、ミシンヘッドと、ニードルピッチ調整機構と、ニードルピッチ駆動機構と、を有する。前記ミシンヘッドは上軸と針棒とを有し、前記上軸が回転して前記針棒を動かして上下に移動させることができることで、前記針棒の下端に位置する2本のニードルが前記針棒と同期移動する。前記ニードルピッチ調整機構は前記針棒に穿設される調整棒と、前記調整棒と前記2本のニードルとの間に位置する調整ユニットと、を有し、前記調整棒が前記ニードルピッチ駆動機構によって動かされて回転でき、前記調整ユニットが回転運動を行う前記調整棒を介して少なくとも1つの前記ニードルを動かして横方向運動させることができることで、前記2本のニードルが互いに接近し、又は離れることが可能である。
【0009】
好ましい実施態様において、前記ニードルピッチ調節可能なミシンは2つの釜土台と、外釜駆動機構と、ピッチ駆動機構とをさらに備える。それぞれの前記釜土台は、回転できる外釜と、前記外釜の一側に位置し、一方の前記ニードルに位置する1対の針孔を有する針板とを有し、前記外釜駆動機構はそれぞれの前記釜土台の外釜を動かして同時に回転させることができる。なかでも、前記2本のニードルが互いに接近し、又は離れる場合、前記ピッチ駆動機構は同期して少なくとも1つの釜土台を動かして横移動させることができて、前記2つの針孔間の距離が前記2本のニードル間の距離と同様であるようにする。
【0010】
好ましい実施態様において、前記調整ユニットは前記調整棒に連結されるギアと、一方の前記ニードルに連結される第1ラックと、を有し、前記ギアが前記調整棒によって動かされて回転し、前記第1ラックが前記ギアに噛み合わされて、前記第1ラックが一方の前記ニードルを動かして前記針棒と交差する第1方向に横移動させることができる。
【0011】
前記ピッチ駆動機構は移動できる第1移動ブロックと、回転できる第1伝動ロッドと、を有し、前記第1移動ブロックが一方の前記釜土台に連結され、前記第1伝動ロッドとの間に回転運動を直線運動に変更できる第1スクリューユニットが設けられており、前記第1伝動ロッドが第1回転方向に伝動して、前記第1移動ブロックが前記第1スクリューユニットを介して一方の前記釜土台を動かして移動させる。
【0012】
別の好ましい実施態様において、前記ギアが前記第1ラックと対向する一側に第2ラックに噛み合わされ、前記第2ラックが他方の前記ニードルに連結されて、前記ギアが回転する場合、前記第1ラックが一方の前記ニードルを動かして前記第1方向に横方向直線移動させ、前記第2ラックが同時に他方の前記ニードルを動かして前記第1方向と逆である第2方向に横方向直線移動させる。
【0013】
なお、前記ピッチ駆動機構は他方の前記釜土台に連結される第2移動ブロックと、間隔を置いて前記第1伝動ロッドに配列される第2伝動ロッドとをさらに有し、前記第2移動ブロックと前記第2伝動ロッドとの間に回転運動を直線運動に変更できる第2スクリューユニットが設けられており、前記第2伝動ロッドと前記第1伝動ロッドとの間に回転方向を変えることができる変換ユニットが設けられており、前記第1伝動ロッドが前記第1回転方向に回転する場合、前記第2伝動ロッドは前記変換ユニットを介して前記第1回転方向と逆である第2回転方向に回転し、さらに前記第1移動ブロックと第2移動ブロックとの両者を反対の方向に向けて移動させる。
【0014】
前記2つの実施例において、前記針棒が上下に移動する過程で、前記ニードルピッチ駆動機構は同時に前記調整棒を回転駆動することができる。なかでも、前記ミシンヘッドに回転動力を発生できるミシンヘッド回転機構が取り付けられ、前記ミシンヘッド回転機構が前記ミシンヘッドを回転駆動して、前記ニードルピッチ調整機構と前記ニードルピッチ駆動機構との両者を前記ミシンヘッドと同期回転させることができる。また、前記2つの釜土台、外釜駆動機構及びピッチ駆動機構の四者が全て自由に回転できる可動ベースに連結され、前記可動ベースに回転動力を発生できる釜土台駆動機構が取り付けられ、前記釜土台駆動機構が前記可動ベースを介して同時に前記2つの釜土台、外釜駆動機構及びピッチ駆動機構の四者を動かして同時に回転させることができる。
【0015】
しかし、前記ニードルピッチ駆動機構は前記針棒から離れるニードルピッチ駆動源と、前記ニードルピッチ駆動源に連結されるニードルピッチ伝動ユニットと、を有し、前記ニードルピッチ伝動ユニットと調整棒との間にニードルピッチ同期ユニットが設けられており、前記調整棒が前記ニードルピッチ伝動ユニットに対して軸方向移動できるようにし、前記ニードルピッチ同期ユニットが前記ニードルピッチ伝動ユニットと調整棒との両者を同期回転させることができる。好ましい実施態様において、前記ニードルピッチ同期ユニットはニードルピッチ同期溝とニードルピッチ同期ボスと、を有し、前記ニードルピッチ同期溝が前記ニードルピッチ伝動ユニットと調整棒との両者の一方に形成され、前記ニードルピッチ同期ボスが前記ニードルピッチ伝動ユニットと調整棒との両者の他方に形成され、前記ニードルピッチ同期溝に穿設されて、前記調整棒が上下に移動する過程で、前記ニードルピッチ同期ボスが、前記ニードルピッチ同期溝の内部に上下に往復移動する。
【0016】
なお、前記外釜駆動機構は回転できる外釜回転軸を有する。前記外釜回転軸と前記釜土台との間に、外釜同期ユニットが設けられており、前記釜土台が前記外釜回転軸に対して移動でき、前記外釜同期ユニットが前記外釜と外釜回転軸との両者を同期回転させることができる。この実施例において、前記外釜同期ユニットは、スプライン軸とスプラインスリーブとを有する。前記スプライン軸とスプラインスリーブとの両者の一方が前記外釜回転軸に形成され、他方が前記釜土台に形成される。前記スプライン軸が前記スプラインスリーブの内部に位置して、前記釜土台が移動する時に、いつでも前記スプライン軸とスプラインスリーブとの間の相対的軸方向位置を変更することができる。
【0017】
本発明は、針棒と2本のニードルとの間に回転運動を直線運動に変換できる調整ユニットが設けられていることで、ニードルピッチ駆動機構が調整棒を回転駆動する場合、少なくとも1つのニードルが調整ユニットを介して移動して2本のニードル間の距離を変更することができることにより、本願のニードルピッチ調節可能なミシンは針止めを交換しないまま、ニードルピッチ駆動機構を介して2本のニードル間の距離を変更することができ、ニードルピッチの条件が異なる被縫製物に対して縫製作業を行うことができ、さらにミシンの生産効率を向上できるだけでなく、オペレータが時間をかけて針止めと針板を交換する必要があることも防止できることを特徴とする。
【0018】
なお、ニードルピッチ駆動機構のニードルピッチ伝動ユニットと針棒のとの間にニードルピッチ同期ユニットが設けられており、調整棒がニードルピッチ伝動ユニットに対して軸方向移動することができ、ニードルピッチ同期ユニットはニードルピッチ伝動ユニットと調整棒との両者が同期回転できることを確保することができる。これにより、針棒が上下に移動する過程で、調整棒が同時に回転して2本のニードル間の距離を変更できて、ミシンが同一の被縫製物において幅の異なる2本のステッチを縫い出すことができる。
【0019】
なお、ミシンヘッドがミシンヘッド回転機構によって動かされて回転できることで、ニードルピッチ調節可能なミシンが被縫製物に対して2本のステッチを縫う過程で、ニードルピッチ駆動機構は調整棒を回転駆動して、2本のニードル間の距離を変更できるだけでなく、ミシンヘッド回転機構は同時にミシンヘッドを回転駆動することができ、さらに縫製過程で2本のニードルの相対距離及び角度位置を自在に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】
図1Aは従来の2本針回転ヘッド模様ミシンの斜視図である。
【
図1B】
図1Bは従来の2本針ミシンにおける2本のニードルが針止めを介して針棒に連結される様子を示す概略図である。
【
図2】
図2は本発明に係るニードルピッチ調節可能なミシンの斜視図である。
【
図3】
図3は本発明に係るミシンヘッド回転機構、ニードルピッチ調整機構及びニードルピッチ駆動機構が全てミシンヘッドに取り付けられる様子を示す概略図である。
【
図4】
図4は針棒駆動ユニット、針棒ユニット及び押さえユニットの三者がミシンヘッドの内部に位置する様子を示す概略図である。
【
図5A】
図5Aはニードルピッチ調整機構が針棒ユニットに設けられる様子を示す概略図である。
【
図5B】
図5Bはニードルピッチ調整機構が針棒ユニットに設けられる様子を示す分解図である。
【
図6】
図6はニードルピッチ駆動機構が針棒に取り付けられる様子を示す概略図である。
【
図7A】
図7Aは調整棒が針棒によって動かされて上下に移動することを示す概略図である。
【
図7B】
図7Bはニードルピッチ同期ボスがニードルピッチ同期溝において往復移動することを示す概略図である。
【
図8A】
図8Aは2本のニードル間の距離を増加することを示す概略図である。
【
図8B】
図8Bは2本のニードル間の距離を増加することを示す概略図である。
【
図8C】
図8Cは2本のニードル間の距離を短縮することを示す概略図である。
【
図8D】
図8Dは2本のニードル間の距離を短縮することを示す概略図である。
【
図9】
図9は釜土台駆動機構、外釜駆動機構及びピッチ駆動機構が全て可動ベースに取り付けられる様子を示す概略図である。
【
図10】
図10は2つの釜土台が可動ベースの内部に位置することを示す概略図である。
【
図14】
図14は第1外釜と第2外釜との両者が回転することを示す概略図である。
【
図16】
図16は第2の好ましい実施態様においてニードルピッチ調整機構が針棒ユニットに組み付けられる様子を示す概略図である。
【
図17A】
図17Aは2つのラックが同時に移動して2本のニードル間の距離を増加することを示す概略図である。
【
図17B】
図17Bは2つのラックが同時に移動して2本のニードル間の距離を短縮することを示す概略図である。
【
図19】
図19は第2の好ましい実施態様におけるピッチ駆動機構の概略図である。
【
図21】
図21は第3の好ましい実施態様において針具駆動機構が調整棒に組み付けられる様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の構造、使用及びその特徴をより一層明確で具体的に認識及び理解するために、好ましい実施態様を挙げて、図面を参照しながら以下のように詳しく説明する。
【0022】
図2及び
図3を参照する。第1の好ましい実施態様において、本発明に係るニードルピッチ調節可能なミシン1は、ミシンヘッド11と、支柱12と、ベース13との三部分が設けられているミシン本体10を有する。
図3及び
図4を参照する。ミシンヘッド11の内部には、針棒駆動ユニット14と、針棒ユニット15と、内押さえユニット16とが設けられているとともに、ミシンヘッド回転機構20と、ニードルピッチ調整機構30と、ニードルピッチ駆動機構40とが取り付けられている。
【0023】
図3及び
図4を参照する。針棒駆動ユニット14は、ミシンヘッド11に固定される針棒駆動源141と、ミシンヘッド11に対して回転できる上軸142とを有する。針棒駆動源141が、ミシンヘッド11の外部に位置する第1針棒ベルト車143に組み付けられ、第1針棒ベルト車143に針棒伝動ベルト144が設けられており、上軸142に連結される第2針棒ベルト車145に連結されることで、針棒駆動源141は第1針棒ベルト車143、針棒伝動ベルト144及び第2針棒ベルト車145を介して上軸142を回転駆動することができる。なかでも、上軸142は第2針棒ベルト車145から離れる一端に、針棒ユニット15に連結されるクランク軸連接棒146が設けられている。
【0024】
図4及び
図5を参照する。針棒ユニット15は垂直に設けられる中空の形態を呈する針棒151を有する。針棒151が針棒駆動ユニット14のクランク軸連接棒146に連結されることで、針棒駆動ユニット14の上軸142が針棒駆動源141によって動かされて針棒151を上下に移動させることができる。なかでも、針棒151の下端にニードルベース152が取り付けられ、針棒151がニードルベース152の一側に互いに並列する2つのニードル153が設けられている。図示するように、ニードル153の一方が第1ニードル153aとされ、他方が第2ニードル153bとされる。この実施例において、第1ニードル153aがニードルベース152に形成される長溝孔152aに穿設される。なかでも、第1ニードル153aの軸心が間隔を置いて針棒151の軸心に配列され、かつ第1ニードル153aはニードルベース152に対して変位を行うことができ、第2ニードル153bはニードルベース152に固定され、ニードルベース152に対して変位を行うことができず、かつ第2ニードル153bの軸心が針棒151の軸心と揃える。また、内押さえユニット16は針棒151に平行に設けられる内押さえ161を有する。内押さえ161が内押さえ伝動ユニット162を介して上軸142に連結されることで、針棒駆動源141が上軸142を回転駆動する場合、内押さえ伝動ユニット162は内押さえ161を動かして上下に移動させることができる。
【0025】
図3を参照する。ミシンヘッド11がミシンヘッド回転機構20を介して支柱12に連結され、ミシンヘッド回転機構20は支柱12に固定されるミシンヘッドギヤケース21と、ミシンヘッドギヤケース21に組み付けられるミシンヘッド駆動源22とを有する。図示するように、ミシンヘッドギヤケース21は、中空の形態を呈するミシンヘッド回転柱23を介してミシンヘッド11の上に連結され、ミシンヘッド駆動源22は、ミシンヘッドギヤケース21を介してミシンヘッド11を動かして針棒151を軸心に回転させることができることで、ミシンヘッド11は支柱12に対して回転できる。ミシンヘッド11が回転する場合、針棒151、ニードルピッチ調整機構30及びニードルピッチ駆動機構40は全てミシンヘッド11と同期回転する。
【0026】
図5A及び
図5Bを参照する。ニードルピッチ調整機構30は、縦方向に配列される調整棒31と、調整棒31に連結される調整ユニット32とを有する。調整棒31が針棒ユニット15の針棒151に穿設され、かつ針棒151に対して回転できる。なお、調整ユニット32が針棒ユニット15のニードルベース152に設けられることで、ニードルピッチ調整機構30は、調整棒31と針棒ユニット15の2本のニードル153との間に位置する。この実施例において、調整ユニット32は回転運動を直線運動に変換でき、調整棒31の末端に固定されるギア321と、ギア321に噛み合わされる第1ラック322と、を有する。なかでも、ギア321と第1ラック322との両者は全てニードルベース152の内部に位置し、ギア321の外径が針棒151の孔径よりも大きい。また、第1ラック322は、針棒ユニット15の針棒151と交差しており、針棒ユニット15の第1ニードル153aに連結される。
【0027】
図6を参照する。ニードルピッチ駆動機構40は、回転動力を発生できるニードルピッチ駆動源41と、ニードルピッチ駆動源41に連結されるニードルピッチ伝動ユニット42と、を有する。ニードルピッチ駆動源41は、ミシン本体10のミシンヘッド11に固定連結され、同時に針棒ユニット15の針棒151から離れる。ニードルピッチ伝動ユニット42は、ニードルピッチ駆動源41に連結される第1ニードルピッチベルト車421と、ニードルの調整棒31に嵌設される第2ニードルピッチベルト車422と、を有する。なかでも、第1ニードルピッチベルト車421は、第1ニードルピッチ伝動ベルト423を介してミシンヘッド11に枢着される中継ホイールユニット424に連結され、第2ニードルピッチベルト車422の上に、ミシンヘッド回転柱23の下に位置する連結ベース425が取り付けられ、かつ第2ニードルピッチベルト車422は、第2ニードルピッチ伝動ベルト426を介して中継ホイールユニット424に連結される。図示するように、連結ベース425とニードルピッチ調整機構30の調整棒31との間にニードルピッチ同期ユニット427が設けられており、調整棒31が第2ニードルピッチベルト車422に対して上下に移動できるようにする。この実施例において、ニードルピッチ同期ユニット427は、さらに、第2ニードルピッチベルト車422と調整棒31との両者を同期回転させることができる。
【0028】
図示するように、ニードルピッチ同期ユニット427はニードルピッチ同期溝427aと、ニードルピッチ同期ボス427bと、を有する。なかでも、ニードルピッチ同期溝427aがニードルピッチ伝動ユニット42の連結ベース425に形成され、ニードルピッチ調整機構30の調整棒31に平行に設けられ、ニードルピッチ同期ボス427bが調整棒31の側面に連結されるローラーとされる。なかでも、ニードルピッチ同期ボス427bがニードルピッチ同期溝427aに穿設され、線接触の方式でニードルピッチ同期溝427aの壁面に接触するが、ニードルピッチ同期溝427aが連結ベース425に形成されることと、ニードルピッチ同期ボス427bが調整棒31に形成されることは単なる説明の便宜のためのものである。即ち、調整棒31にニードルピッチ同期溝427aが凹設形成されてもよく、連結ベース425にローラーとされるニードルピッチ同期ボス427bが取り付けられてもよい。
【0029】
図7を参照する。ニードルピッチ調節可能なミシン1が縫製作業を行う場合、針棒駆動ユニット14の針棒駆動源141は針棒駆動ユニット14の上軸142を回転駆動し、回転する上軸142が針棒駆動ユニット14のクランク軸連接棒146を介して針棒ユニット15の針棒151を動かして上下に移動させることができると同時に、針棒ユニット15のニードルベース152が調整ユニット32のギア321が上下に変位することを制限する。これにより、針棒151が上下に移動する場合、調整棒31は針棒151と同期して上下に移動する。しかし、調整棒31が上下に移動する場合、ニードルピッチ駆動機構40の連結ベース425と調整棒31との間にニードルピッチ駆動機構40のニードルピッチ同期ユニット427が設けられているので、調整棒31はニードルピッチ伝動ユニット42の第2ニードルピッチベルト車422に対して上下に移動でき、同時に針棒151が針棒ユニット15のニードルベース152とニードルピッチ調整機構30の調整ユニット32を介して針棒ユニット15の2本のニードル153を動かして上下に移動させる。なお、調整棒31が移動する過程で、ニードルピッチ同期ユニット427のニードルピッチ同期ボス427bは、ニードルピッチ同期ユニット427のニードルピッチ同期溝427a内に往復して上下に移動し、さらにニードルピッチ同期ボス427bはいつでもニードルピッチ同期溝427aとの間の相対的位置を変えることができる。
【0030】
図8A及び
図8Bを参照する。ニードルピッチ調節可能なミシン1が2本のニードル153間の距離を調整する場合、ニードルピッチ駆動機構40のニードルピッチ駆動源41はニードルピッチ伝動ユニット42の第1ニードルピッチベルト車421を回転駆動して、第1ニードルピッチベルト車421が第1ニードルピッチ伝動ベルト423、中継ホイールユニット424及び第2ニードルピッチ伝動ベルト426を介して回転動力を第2ニードルピッチベルト車422まで伝達し、さらに第2ニードルピッチベルト車422を回転させる。この場合、ニードルピッチ同期ユニット427のニードルピッチ同期ボス427bがニードルピッチ同期ユニット427のニードルピッチ同期溝427aの内部に穿設されるため、第2ニードルピッチベルト車422がニードルピッチ同期ユニット427を介してニードルピッチ調整機構30の調整棒31を動かして針棒151に対して反時計回りに回転させ、さらにニードルピッチ調整機構30のギア321を針棒151を軸心に同時に反時計回りに回転させることができることにより、ニードルピッチ調整機構30の第1ラック322が上軸142と平行である第1方向F1に横方向直線移動する。このことで、針棒ユニット15の第1ニードル153aが針棒ユニット15の第2ニードル153bから離れて第1ニードル153aと第2ニードル153bとの両者間の距離を増加する。
図8C及び
図8Dを参照する。逆に、ニードルピッチ駆動源41が調整棒31を動かして時計回りに回転させる場合、ギア321は針棒151を軸心に時計回りに回転して第1ラック322を動かして第1方向F1と逆である第2方向F2に横方向直線移動させることで、第1ニードル153aが第2ニードル153bに接近して第1ニードル153aと第2ニードル153bとの両者間の距離を短縮する。これにより、針棒151が上軸142によって動かされて上下に移動する過程で、ニードルピッチ駆動源41はいつでも調整棒31を回転駆動することができる。好ましい実施態様において、針棒151が同時に移動及び回転を行う場合、ミシンヘッド回転機構20は同時にミシン本体10のミシンヘッド11を回転駆動することができる。
【0031】
図2を再び参照する。ミシン本体10の支柱12がミシン本体10のベース13に連結され、ベース13が支柱12から離れる一端に可動ベース17が設けられており、可動ベース17の内部に2つの釜土台18が設けられており、さらに釜土台駆動機構50、外釜駆動機構60及びピッチ駆動機構70が連結される。
図9及び
図10を参照する。一方の釜土台18が可動ベース17に可動的に組み付けられる第1釜土台181とされ、他方の釜土台18が可動ベース17に固定される第2釜土台182とされる。なかでも、第1釜土台181は可動ベースに可動的に連結される第1連結フレーム181aと、第1連結フレーム181aに組み付けられる第1針板181bとを有する。第1連結フレーム181aが垂直に設けられる第1釜軸181cに枢着され、第1釜軸181cの上端が第1連結フレーム181aと第1針板181bとの間に位置する第1外釜181dに連結され、第1釜軸181cの他端に、運転駆動される第1傘歯車対181eが連結される。また、第1針板181bは、第1連結フレーム181aの上に位置し、可動ベース17に露出し、第1針板181bに第1ニードル153aに位置する1対の第1針孔181b1が設けられている。この実施例において、第2釜土台182は、第2連結フレーム182aと、第2針板182bと、第2釜軸182cと、第2外釜182dと、第2傘歯車対182eとを有し、かつ第2釜土台182の構造形態が第1釜土台181と同様であるので、第2連結フレーム182a、第2針板182b、第2釜軸182c、第2外釜182d及び第2傘歯車対182eの五者間の連結関係は第1釜土台181と同様である。なかでも、第2針板182bは第1針板181bのように可動ベース17に露出し、第2ニードル153bに位置する1対の第2針孔182b1が設けられている。
【0032】
図9を参照する。ベース13の可動ベース17は釜土台駆動機構50を介してベース13に連結される。なかでも、釜土台駆動機構50は、釜土台18に固定される台座ギヤケース51と、台座ギヤケース51に組み付けられる釜土台駆動源52とを有する。図示するように、台座ギヤケース51の上に、可動ベース17を連結するように、回転柱53が設けられている。釜土台駆動源52が台座ギヤケース51を介して可動ベース17を動かして釜土台回転柱53を軸心に回転させることができて、可動ベース17をベース13に対して回転させることができる。可動ベース17が回転する場合、外釜駆動機構60とピッチ駆動機構70との両者はミシンヘッド11と同期回転する。この実施例において、ミシン本体10のミシンヘッド11が回転する場合、釜土台駆動機構50は同時に可動ベース17を動かして同期回転させる。
【0033】
図11を参照する。外釜駆動機構60は、回転動力を発生できる外釜駆動源61と、外釜駆動源61に組み付けられる外釜伝動ユニット62とを有する。外釜駆動源61は可動ベース17に固定され、外釜伝動ユニット62は外釜駆動源61に連結される第1外釜ベルト車621と、可動ベース17に枢着される第2外釜ベルト車622とを有する。なかでも、第1外釜ベルト車621と第2外釜ベルト車622との両者が共同で外釜伝動ベルト623に組み付けられ、第2外釜ベルト車622が水平に設けられる外釜回転軸624に組み付けられ、外釜回転軸624が第1傘歯車対181eに形成される第1穿設孔181e1と、第2傘歯車対182eに形成される第2穿設孔182e1とを貫通する。
【0034】
図12を参照する。外釜駆動機構60の外釜回転軸624と第1釜土台181の第1傘歯車対181eとの間に、第1釜土台181が外釜回転軸624の軸方向に対して移動できるように、第1外釜同期ユニット625が設けられている。この実施例において、第1外釜同期ユニット625は、さらに、外釜回転軸624と第1釜土台181の第1外釜181dとの両者を同期回転させることができる。図示するように、第1外釜同期ユニット625は、第1スプラインスリーブ625aと第1スプライン軸625bとを有する。第1スプラインスリーブ625aが第1傘歯車対181eの第1穿設孔181e1に形成され、第1スプライン軸625bが外釜回転軸624の外周に形成される。
【0035】
図13を参照する。ピッチ駆動機構70は、回転動力を発生できるピッチ駆動源71と、ピッチ駆動源71に連結されるピッチ伝動ユニット72と、を有する。ピッチ駆動源71が外釜駆動機構60の外釜駆動源61から離れ、可動ベース17に連結されることで、ピッチ駆動源71と外釜駆動源61とはそれぞれ可動ベース17の対向する両側に位置する。ピッチ伝動ユニット72は、ピッチ駆動源71に連結される第1ピッチベルト車721と、可動ベース17に枢着される第2ピッチベルト車722とを有する。なかでも、第1ピッチベルト車721がピッチ伝動ベルト723を介して第2ピッチベルト車722に連結され、第2ピッチベルト車722が水平に設けられる第1伝動ロッド724に連結され、第1伝動ロッド724が外釜駆動機構60の外釜回転軸624と平行であり、第1釜土台181に連結される第1移動ブロック725に穿設される。
図15Bに示すように、第1伝動ロッド724と第1移動ブロック725との間に、回転運動を直線運動に変換できる第1スクリューユニット726が設けられている。この実施例において、第1スクリューユニット726は第1伝動ロッド724に形成される第1雄ねじ726aと、第1雄ねじ726aに螺嵌される第1雌ねじ726bと、を有し、第1雌ねじ726bが第1移動ブロック725に形成される第1内孔725aに設けられる。
【0036】
図14を参照する。針棒ユニット15の針棒151が上下に移動する場合、外釜駆動機構60の外釜駆動源61は同期回転して、外釜伝動ユニット62の第1外釜ベルト車621を回転駆動し、さらに第1外釜ベルト車621が外釜伝動ベルト623を介して回転動力を第2外釜ベルト車622まで伝達する。この場合、第1外釜同期ユニット625の第1スプライン軸625bが第1外釜同期ユニット625の第1スプラインスリーブ625aの内部に穿設されるため、外釜回転軸624は、第1釜土台181の第1傘歯車対181eを介して第1外釜181dを動かして第1釜軸181cを軸心に回転させることができる。第1外釜181dが回転する場合、外釜回転軸624は、同時に第2釜土台182の第2傘歯車対182eを介して第2外釜182dを動かして第2釜軸182cを軸心に同方向回転させる。
【0037】
図15A、
図15B及び
図15Cを参照する。ニードルピッチ調節可能なミシン1が第1針孔181b1と第2針孔182b1との両者間の距離を調整する場合、ピッチ駆動機構70のピッチ駆動源71は同時にピッチ伝動ユニット72の第1ピッチベルト車721を動かして反時計回りに回転させる。第1ピッチベルト車721がピッチ伝動ベルト723を介して反時計回り回転動力を第2ピッチベルト車722まで伝達して、ピッチ伝動ユニット72の第1伝動ロッド724が第1伝動ロッド724のピッチ回転バーを軸心に第1回転方向F3に回転し、ピッチ伝動ユニット72の第1移動ブロック725が第1スクリューユニット726を介して第1方向F1に移動して、第1釜土台181が第2釜土台182から離れて第1針孔181b1と第2針孔182b1との両者間の距離を増加する。さらに2本のニードル153間の距離が第1針孔181b1と第2針孔182b1との両者間の距離と同様であってもよい。逆に、
図15D、
図15E及び
図15Fを参照する。ピッチ駆動源71がピッチ伝動ユニット72を介して第1伝動ロッド724を動かして第1回転方向F3と逆である第2回転方向F4に回転させる場合、第1移動ブロック725が、第1スクリューユニット726を介して第2方向F2に移動することで、第1釜土台181が第2釜土台182に接近して第1針孔181b1と第2針孔182b1との両者間の距離を短縮させる。
【0038】
この実施例において、外釜駆動機構60が第1釜土台181の第1外釜181dと第2釜土台182の第2外釜182dを回転駆動する場合、ピッチ駆動機構70は、第1外釜同期ユニット625を介して同時に第1釜土台181を動かして移動させて第1針孔181b1と第2針孔182b1との間の距離を変更することができる。これにより、第1外釜181dが同時に移動及び回転を行う場合、釜土台駆動機構50は同時にミシン本体10の可動ベース17を回転駆動することができる。
【0039】
第2の好ましい実施態様において、第1の好ましい実施態様との差異はミシン本体10の針棒ユニット15、ベース13の第2釜土台182、ニードルピッチ調整機構30、外釜駆動機構60及びピッチ駆動機構70であり、他の機構の構造形態は全て第1の好ましい実施態様と同様である。さらに、この実施例において重複する説明を省略する。
図16を参照する。針棒ユニット15の第2ニードル153bが第1ニードル153aのように、ニードルベース152の長溝孔152aに穿設され、ニードルピッチ調整機構30が余分に第2ラック323を有することで、ニードルピッチ調整機構30はギア321、第1ラック322及び第2ラック323から構成される。図示するように、第2ラック323がギア321に噛み合わされ、第2ニードル153bに連結される。なかでも、第1ラック322、第2ラック323の両者がそれぞれギア321の対向する両側に位置する。この実施例において、第1ニードル153a、第2ニードル153bの両者が対称的に針棒151の軸心に設けられる。
【0040】
図17Aを参照する。ニードルピッチ調節可能なミシン1が2本のニードル153間の距離を調整する場合、ニードルピッチ駆動機構40のニードルピッチ駆動源41はニードルピッチ伝動ユニット42を介してニードルピッチ調整機構30の調整棒31を動かして反時計回りに回転させ、さらにニードルピッチ調整機構30のギア321を針棒151を軸心に同時に反時計回りに回転させることにより、ニードルピッチ調整機構30の第1ラック322が第1方向F1に横方向直線移動する。同時に、ニードルピッチ調整機構30の第2ラック323が第2方向F2に横方向直線移動させることで、第1ニードル153aと第2ニードル153bとの両者が同時に反対方向に移動して第1ニードル153aと第2ニードル153bとの両者間の距離を増加する。逆に、
図17Bを参照する。ニードルピッチ駆動源41が針棒151を動かして時計回りに回転させる場合、ギア321が第1ラック322を動かして第2方向F2に横方向直線移動させ、同時にギア321も第2ラック323を動かして第1方向F1に横方向直線移動させることで、第1ニードル153aと第2ニードル153bとの両者が互いに接近して第1ニードル153aと第2ニードル153bとの両者間の距離を短縮させる。
【0041】
図18を参照する。外釜駆動機構60は外釜回転軸624と第2釜土台182の第2傘歯車対182eとの間に、機能が第1外釜同期ユニット625と同様な第2外釜同期ユニット626が設けられており、第2釜土台182が外釜回転軸624に対して移動でき、さらに釜土台18の第2釜土台182が可動ベース17に対して移動できるようにする。この実施例において、第1外釜同期ユニット625と第2外釜同期ユニット626との両者の機能が同様であるので、第2外釜同期ユニット626は外釜回転軸624と第2釜土台182の第2外釜182dとの両者を同期回転させることもできる。図示するように、第2外釜同期ユニット626は第2スプラインスリーブ626aと、第2スプライン軸626bとを有する。第2スプラインスリーブ626aが第2傘歯車対182eの第2穿設孔182e1に形成され、第2スプライン軸626bが外釜回転軸624の外周に形成される。
【0042】
図19を参照する。ピッチ駆動機構70の第1伝動ロッド724が、回転方向を変えることができる変換ユニット727に組み付けられ、変換ユニット727が第1伝動ロッド724に組み付けられる第1変換ギア727aと、第1変換ギア727aに噛み合わされる第2変換ギア727bとを有する。第2変換ギア727bが第1伝動ロッド724と平行である第2伝動ロッド728に組み付けられる。なかでも、第2伝動ロッド728が第2釜土台182に連結される第2移動ブロック729に穿設される。
図20Bに示すように、第2伝動ロッド728と第2移動ブロック729との間に、機能が第1スクリューユニット726と同様な第2スクリューユニット730が設けられており、回転運動を直線運動に変換できるようにする。第2スクリューユニット730は、第2伝動ロッド728に形成される第2雄ねじ730aと、第2雄ねじ730aに螺嵌される第2雌ねじ730bと、を有し、第2雌ねじ730bが第2移動ブロック729に形成される第2内孔729aに設けられる。
【0043】
図20A、
図20B及び
図20Cを参照する。ニードルピッチ調節可能なミシン1が第1針孔181b1と第2針孔182b1との両者間の距離を調整する場合、ピッチ駆動機構70のピッチ駆動源71はピッチ伝動ユニット72の第1伝動ロッド724を動かして第1回転方向F3に回転させる。同時に、ピッチ伝動ユニット72の第2伝動ロッド728が変換ユニット727を介して第2回転方向F4に回転することで、第1伝動ロッド724と第2伝動ロッド728との両者がそれぞれ逆方向に回転する。これにより、ピッチ伝動ユニット72の第1移動ブロック725が第1スクリューユニット726を介して第1方向F1に移動して、第1釜土台181が第1針板181bを動かして第1方向F1に移動させる。ピッチ伝動ユニット72の第2移動ブロック729が第2スクリューユニット730を介して同時に第2方向F2に移動させて、第2釜土台182が第2針板182bを動かして第2方向F2に移動させ、さらに第1針孔181b1と第2針孔182b1との両者間の距離を増加させる。逆に、
図20D、
図20E及び
図20Fを参照する。ピッチ駆動源71が第1伝動ロッド724を動かして第2回転方向F4に回転させ、同時に第2伝動ロッド728が変換ユニット727を介して第1回転方向F3に回転することで、第1移動ブロック725が第1釜土台181を動かして第2方向F2に移動させ、第2移動ブロック729が第2釜土台182を動かして第1方向F1に移動させて、第1針孔181b1と第2針孔182b1との両者間の距離を短縮させる。
【0044】
図21を参照する。第3の好ましい実施態様において、第1の好ましい実施態様との差異はニードルピッチ駆動機構40の構造形態であり、他の機構の構造形態が第1の好ましい実施態様と同様である。この実施例において、ニードルピッチ駆動機構40は軸方向にスライドできるニードルピッチ同期ユニット427のみがニードルピッチ駆動源41に連結されることで構成され、ニードルピッチ駆動源41が直接調整棒31の軸心に取り付けられて調整棒31を回転駆動する。これにより、針棒駆動ユニット14の針棒駆動源141が針棒151を動かして上下に移動させる場合、ニードルピッチ駆動源41は同時に調整棒31を回転駆動することができる。
【0045】
以上に挙げられた実施態様は、単なる本発明の説明の便宜のためのものであり、制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱することなく行った種々の簡単な変形及び修飾は、全て以下の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0046】
1 ニードルピッチ調節可能なミシン
10 ミシン本体
11 ミシンヘッド
12 支柱
13 ベース
14 針棒駆動ユニット
141 針棒駆動源
142 上軸
143 第1針棒ベルト車
144 針棒伝動ベルト
145 第2針棒ベルト車
146 クランク軸連接棒
15 針棒ユニット
151 針棒
152 ニードルベース
152a 長溝孔
153 ニードル
153a 第1ニードル
153b 第2ニードル
16 内押さえユニット
161 内押さえ
162 内押さえ伝動ユニット
17 可動ベース
18 釜土台
181 第1釜土台
181a 第1連結フレーム
181b 第1針板
181b1 第1針孔
181c 第1釜軸
181d 第1外釜
181e 第1傘歯車対
181e1 第1穿設孔
182 第2釜土台
182a 第2連結フレーム
182b 第2針板
182b1 第2針孔
182c 第2釜軸
182d 第2外釜
182e 第2傘歯車対
182e1 第2穿設孔
20 ミシンヘッド回転機構
21 ミシンヘッドギヤケース
22 ミシンヘッド駆動源
23 ミシンヘッド回転柱
30 ニードルピッチ調整機構
31 調整棒
32 調整ユニット
321 ギア
322 第1ラック
323 第2ラック
40 ニードルピッチ駆動機構
41 ニードルピッチ駆動源
42 ニードルピッチ伝動ユニット
421 第1ニードルピッチベルト車
422 第2ニードルピッチベルト車
423 第1ニードルピッチ伝動ベルト
424 中継ホイールユニット
425 連結ベース
426 第2ニードルピッチ伝動ベルト
427 ニードルピッチ同期ユニット
427a ニードルピッチ同期溝
427b ニードルピッチ同期ボス
50 釜土台駆動機構
51 台座ギヤケース
52 釜土台駆動源
53 釜土台回転柱
60 外釜駆動機構
61 外釜駆動源
62 外釜伝動ユニット
621 第1外釜ベルト車
622 第2外釜ベルト車
623 外釜伝動ベルト
624 外釜回転軸
625 第1外釜同期ユニット
625a 第1スプラインスリーブ
625b 第1スプライン軸
626 第2外釜同期ユニット
626a 第2スプラインスリーブ
626b 第2スプライン軸
70 ピッチ駆動機構
71 ピッチ駆動源
72 ピッチ伝動ユニット
721 第1ピッチベルト車
722 第2ピッチベルト車
723 ピッチ伝動ベルト
724 第1伝動ロッド
725 第1移動ブロック
725a 第1内孔
726 第1スクリューユニット
726a 第1雄ねじ
726b 第1雌ねじ
727 変換ユニット
727a 第1変換ギア
727b 第2変換ギア
728 第2伝動ロッド
729 第2移動ブロック
729a 第2内孔
730 第2スクリューユニット
730a 第2雄ねじ
730b 第2雌ねじ
F1 第1方向
F2 第2方向
F3 第1回転方向
F4 第2回転方向
80 2本針回転ヘッド模様ミシン
81 ヘッド部回転ユニット
82 台座回転ユニット
83 X-Y軸送りユニット
84 針棒
85 針止め
86 ニードル
87 針板
871 針孔