(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】剥離装置、及びそれを備えたラミネート装置
(51)【国際特許分類】
B65H 41/00 20060101AFI20220705BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
B65H41/00 B
H05K3/28 F
H05K3/28 Z
(21)【出願番号】P 2018113450
(22)【出願日】2018-06-14
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田仲 理
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-089018(JP,A)
【文献】特開平10-087158(JP,A)
【文献】特開2012-006218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 41/00
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板の製造工程で使用される
レジスト層/保護フィルムの二層構造のドライフィルムから前記保護フィルム
を剥離する剥離装置であって、少なくとも、
基板を搬送するための搬送機構と、
前記基板の表裏両面に形成された
前記レジスト層/保護フィルムの二層構造のドライフィルム
から前記保護フィルムのそれぞれに粘着テープを貼付する機構と、
前記粘着テープを端緒として前記保護フィルムを剥離する剥離機構と、を備え、
前記剥離機構により前記保護フィルムを剥離する前に、前記保護フィルムの、前記基板の側端部より外側の近傍に、前記基板の搬送方向と平行な方向に切り込み部を形成する機構と、を備えることを特徴とする剥離装置。
【請求項2】
前記粘着テープを貼付する機構、及び前記切り込み部を形成する機構、並びに前記剥離機構を、前記基板の両面側に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の剥離装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の剥離装置を備え、
さらに前記基板上に、
保護フィルム/レジスト層/保護フィルムの三層構造のドライフィルム
から前記保護フィルム
の片側を剥離してラミネートする機構と、
前記剥離した片側の保護フィルムを巻き取る機構と、
を備えることを特徴とするラミネート装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の製造工程等で用いられるドライフィルムタイプの材料を基板の表裏両面にラミネート加工した後、ドライフィルムに貼付されている保護フィルムを表裏同時に剥離する剥離装置、及び、その剥離装置を備えたラミネート装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板には、板状の絶縁性基板の表裏両面に銅箔、銅めっき等の導体層からなる配線回路を形成した両面プリント配線板の形態がある。プリント配線板の製造工程では、フォトリソグラフィ技術、エッチング技術、及びめっき技術が多く用いられ、この工程には導体層のエッチング用レジスト、めっき用レジストなどのプロセス用レジストが用いられている。また、プリント配線板の最表(裏)面には、形成後の配線層を覆う様にレジスト(ソルダーレジスト)が用いられる。
【0003】
前記のプロセス用レジスト、ソルダーレジストはポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックフィルム上に、流動しないように調製されたレジスト層を所定の膜厚で形成してプラスチックフィルムとの二層構造とする。その後、形成したレジスト層の表面にも別のプラスチックフィルム(保護フィルム)を貼って保護した三層構造とし、この三層構造を円筒状のコアロールに巻き取り、ロール状にして供給される。
【0004】
前記の三層構造では、レジストを塗布したプラスチックフィルムと塗布したレジスト層を保護する保護フィルムはそれぞれレジスト層の両面に存在するが、どちらも同じ材質、厚みのプラスチックフィルムを用いることが多い。この三層構造をプロセスで使用する場合、前記の両面のプラスチックフィルムは、それぞれ、基板へのラミネート前後に適宜のタイミングで剥離され、区別する必要がないため、本発明では両者とも保護フィルムと呼称する。また、前記のレジスト層/保護フィルムの二層構造、または保護フィルム/レジスト層/保護フィルムの三層構造をまとめてドライフィルムと呼称する。
【0005】
ドライフィルムから保護フィルムを剥がす工程の手順には、概ね二つの段階がある。第一段階は密着しているレジスト層と保護フィルムをドライフィルムの端部で分離し、第二段階では第一段階で分離した保護フィルムを把持したまま引っ張ることで連続的に保護フィルムを剥離する。この剥離工程のうち、第一段階の剥離は、保護フィルムとレジスト層を分離するように操作する難度が高い。また、ドライフィルムを基板へラミネートした後の剥離では個々の基板ごとに保護フィルム剥離する必要がある。
【0006】
こうした背景から、プリント配線板の製造に用いられる保護フィルムや、液晶表示パネルの偏光板に貼り合せられた保護フィルムの剥離は機械化がなされている。例えば特許文献1、及び特許文献2には粘着テープを用いた保護フィルム剥離装置が開示されている。
【0007】
図7は、一般的な保護フィルム剥離装置の主要部の構成と機能を例示する(a)模式平面図、(b)模式側面図である。レジスト層に貼着した保護フィルムの先端部に固定具をつけた後、図示しない把持機構にて把持し、固定具を移動させると、剥離ロールの回転に伴い保護フィルムが剥離していく。(b)では固定具を垂直方向に移動させる例を示したが、(c)のように、固定具を粘着テープとし、剥離ロールに設けたチャック機構に粘着テープを把持させることで、剥離ロールの回転により剥離していくことも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第2502547号公報
【文献】国際公開第2011/121646号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、両面プリント配線板の製造工程では、基板の両面にラミネート加工した後の保護フィルムの剥離を、
図8に示すような従来の両面方式の剥離装置で行うと、剥離工程中に基板の側端部から保護フィルム(ここではPETフィルム)が裂けてしまい、基板に貼り付いた状態で保護フィルムの一部が残ってしまうことがある(
図8(c)、(c’)参照)。基板に保護フィルムが残った状態で露光や現像等の後工程に被処理基板を投入すると、レジスト層は本来の形状に作製できず、品質不良が発生してしまう問題がある。
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するためのものであり、その目的とするところは、基板の表裏両面にラミネート加工したドライフィルムの保護フィルムを同時に剥離しても、保護フィルムの一部が残ってしまうことがない剥離装置、及びそれを備えたラミネート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、プリント配線板の製造工程で使用されるレジスト層/保護フィルムの二層構造のドライフィルムから前記保護フィルムを剥離する剥離装置であって、少なくとも、基板を搬送するための搬送機構と、前記基板の表裏両面に形成された前記レジスト層/保護フィルムの二層構造のドライフィルムから前記保護フィルムのそれぞれに粘着テープを貼付する機構と、前記粘着テープを端緒として前記保護フィルムを剥離する剥離機構と、を備え、前記剥離機構により前記保護フィルムを剥離する前に、前記保護フィルムの、前記基板の側端部より外側の近傍に、前記基板の搬送方向と平行な方向に切り込み部を形成する機構と、を備えることを特徴とする剥離装置としたものである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記粘着テープを貼付する機構、及び前記切り込み部を形成する機構、並びに前記剥離機構を、前記基板の両面側に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の剥離装置としたものである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の剥離装置を備え、さらに前記基板上に、保護フィルム/レジスト層/保護フィルムの三層構造のドライフィルムから前記保護フィルムの片側を剥離してラミネートする機構と、前記剥離した片側の保護フィルムを巻き取る機構と、を備えることを特徴とするラミネート装置としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の剥離装置、及びラミネート装置によれば、プリント配線板の製造工程において、基板の表裏両面の保護フィルムの剥離中に保護フィルムが裂けてしまい、基板に貼り付いた状態で保護フィルムの一部が残ってしまうことがない剥離装置、及びそれを備えたラミネート装置が得られる。これにより、剥離装置やラミネート装置の異常停止頻度の低減、及び露光や現像等の後工程に被処理基板が投入されることによる品質不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の剥離装置の構成を示す平面図及び機器構成図である。
【
図3】本発明の剥離装置により、保護フィルムに切り込み部を形成する直前の様態を示す(a)模式平面図、(b)模式前面図である。
【
図4】本発明の剥離装置により、保護フィルムに切り込み部を形成した後の様態を示す(a)模式平面図、(b)模式前面図である。
【
図5】本発明のラミネート装置の構成を示す平面図及び機器構成図である。
【
図6】本発明のラミネート装置のラミネートユニットの主要部の構成と機能を例示する模式側面図である。
【
図7】従来の剥離装置の主要部の構成と機能を例示する(a)模式平面図、(b)(c)は模式側面図である。
【
図8】従来の剥離装置において、剥離工程中に基板の側端部から保護フィルムが裂け、基板に貼り付いた状態で保護フィルムの一部が残ってしまう様態を例示する(a)(b)(c)模式平面図、(a’)(b’)(c’)は模式前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る剥離装置、及びそれを備えたラミネート装置について図面を用いて説明する。同一の構成要素については便宜上の理由がない限り同一の符号を付け、重複する説明は省略する。各図面において、見易さのため構成要素の厚さや比率は誇張されていることがある。また、本発明はその主旨を逸脱しない範囲で、以下の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲によって制限される。
【0017】
本発明の実施形態に係る剥離装置、及びそれを備えたラミネート装置は、配線回路形成工程における、保護フィルム/エッチング用レジスト/導体層を形成した基板/エッチング用レジスト/保護フィルムの構成、またはソルダーレジスト工程における、保護フィルム/ソルダーレジスト/配線回路を形成した基板/ソルダーレジスト/保護フィルムの構成のいずれに対しても適用できるが、以下では主に、ソルダーレジスト工程における、保護フィルム/ソルダーレジスト/配線回路を形成した基板/ソルダーレジスト/保護フィルムの構成に対して使用する場合を代表的に説明する。
【0018】
以下、「配線回路を形成した基板」については、単に「基板」と呼称・図示し、保護フィルムとしては主としてPETフィルムを代表例として説明する。また、基板の表裏面に、ドライフィルム(保護フィルム付きレジスト層)をラミネートした後、透明性の保護フィルムを付けたままの基板、あるいは保護フィルムを剥離した後の基板を、単に「基板」と呼称する場合がある。
【0019】
<本発明の剥離装置>
図1は本発明の剥離装置の構成を示す平面図及び機器構成図である。本発明の剥離装置は基板投入部A、基板搬送機構B、保護フィルム剥離ユニットD、基板受け取り部Fからなる。
【0020】
[基板投入部A]
基板を投入する部分であり、本実施形態では1枚ずつ基板をセットして搬送機構へ送る。また、基板投入部Aには図示しない基板を搬送する駆動ロール、基板搬送の指示が出るまで基板が搬送されないように保持するストッパー、基板の搬送機構に対して所定の位置にセットし、斜めに投入されないようにするためのガイドを設ける。
【0021】
[基板搬送機構B]
搬送機構としては、コンベアなどが好適に用いられる。また、基板は基板の搬送方向との平行をとるため、適宜搬送方向を調整する機構としてガイド治具を備えている。これ以外にも基板の外形を検知して、基板の横方向からピストンで押し込む機構などを備えてもよい。また、基板の移動距離を取得する機構としては、例えば搬送機構に備えた基板搬送用のローラに取り付けたロータリーエンコーダーを用いる。基板の移動距離を知るために、画像により特定図形の移動距離を認識して距離とする方法や光電管を適宜の位置に配置してもよい。
【0022】
[保護フィルム剥離ユニットD]
基板の表裏面にラミネートしたドライフィルムから保護フィルムを剥離するため、以下のD1~D4の機構から構成される。
【0023】
(切り込み処理機構D1)
図示しない制御部からの指示により、例えばロータリーカッターの刃を基板の両側の側端部から外側にはみ出ている保護フィルムの一部に切り込みを入れる。切り込みはロータリーカッターの他にプラスチックフィルムが切れるものであれば、ブレード刃などを用いることも可能である。またロータリーカッターの刃を駆動する機構としては、例えばエアシリンダを用いる。
【0024】
(粘着テープ貼付機構D2)
粘着テープを予め設定した長さに引き出し、自動で切断するとともに、反対側の端部を基板上の保護フィルムの先頭部分に押し付け貼り付ける機能を有する。
【0025】
(粘着テープ引っ張り機構D3)
基板から突出した前記粘着テープの部分を把持する機構と、基板の進行方向とは離れる方向に前記突出した部分を掴んだまま移動させる機能を備え、保護フィルムが剥離したら、保護フィルム回収部D4に投入する位置へ移動させる機能を備える。
【0026】
(保護フィルム回収部D4)
剥離した保護フィルムを回収するために、例えば箱状の筐体を備える。剥離した保護フィルムを回収する方法としては、ロールで巻き取る方法を用いてもよい。
【0027】
保護フィルム剥離ユニットDには、図示しない基板の到達を検知する位置センサを設ける。位置センサとしては、例えば光学センサを用いることで、搬送されてくる基板の先頭部が所定の位置に到達したことを後述の制御部にて認識することができる。位置センサは光学センサに限らず、エリアカメラを用い映像情報から基板の位置を判断することも可能である。
【0028】
図1の構成には図示しない制御部が含まれ、後述の
図2で説明する動作フローに基づき、剥離装置の基板投入部A、基板搬送機構B、保護フィルム剥離ユニットD、基板受け取り部Fからの動作情報を受信し、各機構に動作指示を出力し、ラミネートした基板から保護フィルムを剥離する動作を制御する。制御部には例えばFAコンピュータを用いる。
【0029】
次に
図2により本発明の剥離装置の動作フローを説明する。
S1:保護フィルムを剥離する基板を基板投入部にセットする。処理する基板が基板投入部A(
図1参照)にあることを示す信号を制御部に送る。
S2:搬送駆動系に搬送の動作指示を出す。制御部は図示しない入力手段を有していて、動作指示が入力される。
S3:基板の先頭部が所定の位置に到達したことを位置センサで検知するまで、カッターを、切り込みを入れない位置で保持する。カッターは、例えば切り込み位置から切り込みしない位置までの間を移動するエアシリンダに取り付ける。
S4:基板の先頭部が所定の位置に到達したことを位置センサが検出するとカッターを切り込み位置に移動して保持する。
S5:基板の移動距離を初期化して切り込みを開始する。また、切り込み開始後の
移動距離算出を開始する。移動距離は基板搬送機構B(
図1参照)に設けたロータリーエンコーダーで搬送部の状況を制御部に送信し、距離を算出する。
S6:基板の移動距離が切り込み長さに相当する所定の距離となるまでカッターを切り込み位置に保持する。
S7:基板の移動距離が切り込み長さに相当する所定の距離となったら、カッターを切り込みを入れない位置に移動(切り込み終了)して保持する。
S8:表裏面の保護フィルムの先頭部分に粘着テープを貼り付ける。粘着テープ貼付機構D2(
図1参照)は、S4と同様の位置センサを備え、基板端が所定の位置に来たときに粘着テープを保護フィルムの先頭部分の所定の位置に貼り付ける動作を行う。
S9:引っ張り機構で粘着テープ部を把持して保護フィルムを剥がす。粘着テープの先端部の来る位置に粘着テープ把持機構を設置しておき、粘着テープの先端部が到達すると把持し、把持機構ごとに移動する手段にて保護フィルムを剥離する。
S10:剥離した保護フィルムを保護フィルム回収部に移送する。S9において、把持機構の移動距離が予め規定された距離となったら、把持機構を保護フィルム回収部に移送し、保護フィルム回収部に収容する。
S11:保護フィルムを剥離した基板を基板受け取り部に収容する。
【0030】
図3は、
図2のS4で保護フィルム(PETフィルム1)に切り込み部を形成する直前の様態を示す(a)模式平面図、(b)模式前面図である。切り込み処理部はロータリーカッターを備えており、
図3(a)、(b)に示すように、まずPETフィルム1の先頭部分の、基板の左右の側端部より外側の近傍にロータリーカッターの刃を当接させる。
【0031】
次に、基板の裏面(下面)側のPETフィルム1を貫通する程度までロータリーカッターの刃を基板と垂直方向に降下させ、基板を搬送させると、基板の両面側のPETフィルム1に、基板の搬送方向と平行な方向に切り込み部が形成される。切り込み部を形成した後にはロータリーカッターの刃を上昇させ、PETフィルム1から離隔させる。
【0032】
図4は、本発明の剥離装置により、保護フィルム(PETフィルム1)に切り込み部を形成した後の様態を示す(a)模式平面図、(b)模式前面図である。保護フィルムの剥離前の保護フィルムの切り込み長さとしては、概ね5cm以上であれば、保護フィルムが途中から裂けて基板上に残ることなく、好適に保護フィルムを剥離することができる。
【0033】
しかしながら、搬送系によっては、基板搬送の平行の精度次第で、切り込みを入れる距離を長くすると、基板の有効部分にロータリーカッターの刃が入り、基板表面を傷つけるという不具合が出る場合がある。このため、切り込み量はなるべく少なくすることで、不具合の発生頻度を低くできる。このような状態にできる切り込み長さとしては、5~10cmが好適である。
【0034】
片側の保護フィルムを剥離した一対のドライフィルムを基板の両面にラミネートした後、ドライフィルムからもう一方の保護フィルムを上記のように剥がすタイミングは加工方法ごとに異なっており、露光などの工程が完了してから保護フィルムを剥がす場合と、両面ラミネート直後に保護フィルムを剥がす場合とがある。
【0035】
<本発明のラミネート装置>
図5は本発明のラミネート装置の構成を示す平面図及び機器構成図である。
図5のラミネート装置は両面ラミネート直後に残りの側の保護フィルムを剥がす例であり、
図1の剥離装置の剥離ユニットDの前に、基板にラミネート加工をするためのラミネートユニットCを備えている。また、本発明のラミネート装置は保護フィルムの剥離後、基板の表面を撮像してラミネートした基板の表面状態や異物の有無を調べる表面検査ユニットEを備えている。
【0036】
図6は、本発明のラミネート装置のラミネートユニットC(
図5参照)の主要部の構成と機能を例示する模式側面図である。本発明のラミネート装置による両面同時ラミネート工程は例えば以下のように行う。
【0037】
(ドライフィルムのセット)
三層構造のドライフィルム(
図6(a))の片側の保護フィルム2をレジスト層から分離し(
図6(b))、分離した保護フィルム2を巻き取るために、図示しない保護フィルム巻き取り系にセットする。
【0038】
(ラミネート)
次に、
図6(c)に示すように、片側の保護フィルム2を分離した一対のドライフィルムで基板を挟み、基板が移動して保護フィルム2が剥離して巻き取られるのと同時に、一対のラミネートロールで押圧して接着させ、ラミネートする。この後、ラミネート基板は、本発明の剥離装置が備える保護フィルム剥離ユニットD(
図5参照)に移送され、レジスト層上に残ったもう一方の保護フィルム1が剥離される。
【0039】
(表面検査以降)
剥離ユニットDの後段に備えた、基板の表面画像を用いる表面検査ユニットE(
図5参照)により、保護フィルムの剥離残りの有無を確認すると同時に、ラミネートされたレジスト表面の検査も行い、次の露光工程、或いは現像工程に基板を投入する。
【0040】
以上説明したように、本発明の剥離装置では、保護フィルムを剥離する前に、保護フィルムの、基板の側端部より外側の近傍に、予め切り込み部を形成する。切り込みを形成することで、表裏面のレジスト層が直接接着した部分が破断され、保護フィルムと基板側面の間に空間部が生じる。このため、表裏の保護フィルムを引っ張る張力が、表面、裏面の保護フィルムを個々に引っ張ることが可能となるので、表面側、裏面側の張力の引っ張り合いによる保護フィルムのちぎれと裂けを防止することが可能となる。
【0041】
また、切り込みの方向は基板の搬送方向と平行な方向であり、剥離機構が保護フィルムを剥離する方向も基板を搬送する方向と平行な方向であるので、テープと連動して保護フィルムを引っ張っても斜め方向からの張力を受けず、保護フィルムの「切れ」は基板搬送方向と平行な方向に連続的に進み、保護フィルムに裂けを発生させることなく剥離することが可能になる。