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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】無線電力伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/23 20160101AFI20220705BHJP
   H02J 50/27 20160101ALI20220705BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20220705BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20220705BHJP
【FI】
H02J50/23
H02J50/27
H02J50/40
H02J50/80
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021506799
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2019010835
(87)【国際公開番号】W WO2020188631
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 充夫
(72)【発明者】
【氏名】野坂 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小端 順二
(72)【発明者】
【氏名】村井 彬人
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174704(JP,A)
【文献】特開2018-182809(JP,A)
【文献】特開2012-191721(JP,A)
【文献】特開2018-117511(JP,A)
【文献】特開2011-188733(JP,A)
【文献】特表2017-529053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送電装置及び少なくとも1つの無線受電装置を含み、前記無線送電装置から前記無線受電装置に電力を無線伝送する無線電力伝送システムであって、
前記無線受電装置に関連付けられたイベントの発生を示すトリガに応じて、前記無線送電装置から前記無線受電装置に伝送されて前記無線受電装置によって利用可能な電力に対応する測定値を増大させるように、前記無線送電装置及び前記無線受電装置の少なくとも一方の動作パラメータを変化させ
予め決められた時間に実行される前記無線受電装置に関連付けられたイベントから予め決められた時間長だけ先行して、前記無線送電装置から前記無線受電装置に伝送されて前記無線受電装置によって利用可能な電力に対応する測定値を増大させるように、前記無線送電装置及び前記無線受電装置の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる、
無線電力伝送システム。
【請求項2】
前記無線送電装置及び前記無線受電装置の少なくとも一方の動作パラメータを、前記無線電力伝送システムの電波伝搬環境について予め学習された初期値から変化させる、
請求項記載の無線電力伝送システム。
【請求項3】
前記無線送電装置は、可変な指向性パターンを有するアンテナ装置を備え、
前記動作パラメータは前記アンテナ装置の指向性パターンを含む、
請求項1又は2に記載の無線電力伝送システム。
【請求項4】
前記無線受電装置は、可変な指向性パターンを有するアンテナ装置を備え、
前記動作パラメータは前記アンテナ装置の指向性パターンを含む、
請求項1又は2に記載の無線電力伝送システム。
【請求項5】
前記無線受電装置は、可変なインピーダンスを有する整合回路を備え、
前記動作パラメータは前記整合回路のインピーダンスを含む、
請求項1又は2に記載の無線電力伝送システム。
【請求項6】
前記無線受電装置は、可変な昇圧比又は降圧比を有する電力変換回路を備え、
前記動作パラメータは前記電力変換回路の昇圧比又は降圧比を含む、
請求項1又は2に記載の無線電力伝送システム。
【請求項7】
前記無線受電装置は、テスト信号を無線送信する信号送信回路を備え、
前記無線送電装置は、前記テスト信号を無線受信し、前記テスト信号の受信信号強度を測定する信号受信回路を備え、
前記無線電力伝送システムは、前記測定値として前記テスト信号の受信信号強度を増大させるように、前記無線送電装置及び前記無線受電装置の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる、
請求項1~のうちの1つに記載の無線電力伝送システム。
【請求項8】
前記無線送電装置は、テスト信号を無線送信する信号送信回路を備え、
前記無線受電装置は、前記テスト信号を無線受信し、前記テスト信号の受信信号強度を測定する信号受信回路を備え、
前記無線電力伝送システムは、前記測定値として前記テスト信号の受信信号強度を増大させるように、前記無線送電装置及び前記無線受電装置の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる、
請求項1~のうちの1つに記載の無線電力伝送システム。
【請求項9】
前記無線受電装置は負荷装置を備え、
前記無線電力伝送システムは、前記測定値として前記負荷装置に供給される電力を増大させるように、前記無線送電装置及び前記無線受電装置の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる、
請求項1~のうちの1つに記載の無線電力伝送システム。
【請求項10】
前記無線受電装置は負荷装置を備え、
前記無線受電装置は、前記負荷装置をオフしているときに前記測定値を取得し、前記測定値がしきい値以上であるときに前記負荷装置をオンする、
請求項1~のうちの1つに記載の無線電力伝送システム。
【請求項11】
前記無線受電装置は、予め決められた物理量を測定するセンサを備え、前記センサによって測定された物理量を前記無線送電装置に無線送信する、
請求項1~10のうちの1つに記載の無線電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線送電装置及び無線受電装置を含む無線電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複数のセンサを含むセンサネットワークにおいて各センサに電力を供給するために、無線送電装置及び無線受電装置を含む無線電力伝送システムが構築される。
【0003】
人又は物品の移動に起因して、無線送電装置及び/又は無線受電装置の周囲の電波伝搬環境が常に変化している場合、電波伝搬環境の変化に応じて無線送電装置又は無線受電装置の動作パラメータを調整する必要がある。
【0004】
特許文献1は、周辺状況に応じて送電出力を増大させる送電装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-102087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の無線受電装置を互いに異なる複数の位置に配置する場合、無線受電装置の位置に応じて、又は、送電(又は通信)を行っている時間に応じて、異なる減衰量で電波が減衰し、これにより電波の到達範囲が小さくなり、送電(又は通信)の中断が生じるおそれがある。動作パラメータを調整しないのであれば、電波伝搬環境が最悪の条件であっても送電(又は通信)を実施可能であるように、すなわち、電波の到達範囲が小さくても送電(又は通信)を実施可能であるように、無線送電装置及び無線受電装置を配置しなければならない。従って、送電又は通信の中断が生じにくいように、電波伝搬環境の変化に応じて無線送電装置又は無線受電装置の動作パラメータを調整することが求められる。
【0007】
本開示の目的は、送電又は通信の中断が生じにくいように、電波伝搬環境の変化に応じて無線送電装置又は無線受電装置の動作パラメータを調整することができる無線電力伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の側面に係る無線電力伝送システムによれば、
無線送電装置及び少なくとも1つの無線受電装置を含み、前記無線送電装置から前記無線受電装置に電力を無線伝送する無線電力伝送システムであって、
前記無線受電装置に関連付けられたイベントの発生を示すトリガに応じて、前記無線送電装置から前記無線受電装置に伝送されて前記無線受電装置によって利用可能な電力に対応する測定値を増大させるように、前記無線送電装置及び前記無線受電装置の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0009】
この構成を備えたことにより、送電又は通信の中断が生じにくいように、電波伝搬環境の変化に応じて無線送電装置又は無線受電装置の動作パラメータを調整することができる。
【0010】
本開示の側面に係る無線電力伝送システムによれば、
予め決められた時間に実行される前記無線受電装置に関連付けられたイベントから予め決められた時間長だけ先行して、前記無線送電装置から前記無線受電装置に伝送されて前記無線受電装置によって利用可能な電力に対応する測定値を増大させるように、前記無線送電装置及び前記無線受電装置の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0011】
この構成を備えたことにより、無線受電装置に関連付けられたイベントの直前に無線送電装置又は無線受電装置の動作パラメータを調整することにより、送電又は通信の中断が生じにくいように、電波伝搬環境の変化に追従することができる。
【0012】
本開示の側面に係る無線電力伝送システムによれば、
前記無線送電装置及び前記無線受電装置の少なくとも一方の動作パラメータを、前記無線電力伝送システムの電波伝搬環境について予め学習された初期値から変化させる。
【0013】
この構成を備えたことにより、適応化を任意の初期値から開始する場合よりも、無線電力伝送システムをより安定的に動作させることができる。
【0014】
本開示の側面に係る無線電力伝送システムによれば、
前記無線送電装置は、可変な指向性パターンを有するアンテナ装置を備え、
前記動作パラメータは前記アンテナ装置の指向性パターンを含む。
【0015】
この構成を備えたことにより、動作パラメータとしてアンテナ装置の指向性パターンを変化させることができる。
【0016】
本開示の側面に係る無線電力伝送システムによれば、
前記無線受電装置は、可変な指向性パターンを有するアンテナ装置を備え、
前記動作パラメータは前記アンテナ装置の指向性パターンを含む。
【0017】
この構成を備えたことにより、動作パラメータとしてアンテナ装置の指向性パターンを変化させることができる。
【0018】
本開示の側面に係る無線電力伝送システムによれば、
前記無線受電装置は、可変なインピーダンスを有する整合回路を備え、
前記動作パラメータは前記整合回路のインピーダンスを含む。
【0019】
この構成を備えたことにより、動作パラメータとして整合回路のインピーダンスを変化させることができる。
【0020】
本開示の側面に係る無線電力伝送システムによれば、
前記無線受電装置は、可変な昇圧比又は降圧比を有する電力変換回路を備え、
前記動作パラメータは前記電力変換回路の昇圧比又は降圧比を含む。
【0021】
この構成を備えたことにより、動作パラメータは電力変換回路の昇圧比又は降圧比を変化させることができる。
【0022】
本開示の側面に係る無線電力伝送システムによれば、
前記無線受電装置は、テスト信号を無線送信する信号送信回路を備え、
前記無線送電装置は、前記テスト信号を無線受信し、前記テスト信号の受信信号強度を測定する信号受信回路を備え、
前記無線電力伝送システムは、前記測定値として前記テスト信号の受信信号強度を増大させるように、前記無線送電装置及び前記無線受電装置の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0023】
この構成を備えたことにより、無線受電装置によって利用可能な電力に対応する測定値としてテスト信号の受信信号強度を用いることができる。
【0024】
本開示の側面に係る無線電力伝送システムによれば、
前記無線送電装置は、テスト信号を無線送信する信号送信回路を備え、
前記無線受電装置は、前記テスト信号を無線受信し、前記テスト信号の受信信号強度を測定する信号受信回路を備え、
前記無線電力伝送システムは、前記測定値として前記テスト信号の受信信号強度を増大させるように、前記無線送電装置及び前記無線受電装置の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0025】
この構成を備えたことにより、無線受電装置によって利用可能な電力に対応する測定値としてテスト信号の受信信号強度を用いることができる。
【0026】
本開示の側面に係る無線電力伝送システムによれば、
前記無線受電装置は負荷装置を備え、
前記無線電力伝送システムは、前記測定値として前記負荷装置に供給される電力を増大させるように、前記無線送電装置及び前記無線受電装置の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0027】
この構成を備えたことにより、無線受電装置によって利用可能な電力に対応する測定値として負荷装置に供給される電力を用いることができる。
【0028】
本開示の側面に係る無線電力伝送システムによれば、
前記無線受電装置は負荷装置を備え、
前記無線受電装置は、前記負荷装置をオフしているときに前記測定値を取得し、前記測定値がしきい値以上であるときに前記負荷装置をオンする。
【0029】
この構成を備えたことにより、受電装置の感度を向上することができる。
【0030】
本開示の側面に係る無線電力伝送システムによれば、
前記無線受電装置は、予め決められた物理量を測定するセンサを備え、前記センサによって測定された物理量を前記無線送電装置に無線送信する。
【0031】
この構成を備えたことにより、例えば複数のセンサを含むセンサネットワークにおいて各センサに電力を供給することができる。
【発明の効果】
【0032】
本開示の側面に係る無線電力伝送システムによれば、送電又は通信の中断が生じにくいように、電波伝搬環境の変化に応じて無線送電装置又は無線受電装置の動作パラメータを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施形態に係る無線電力伝送システムを含むシステムの構成を示す概略図である。
図2図1の送電装置1の構成を示すブロック図である。
図3図1の受電装置2の構成を示すブロック図である。
図4図1の無線電力伝送システムの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図5図1の送電装置1又は受電装置2の動作パラメータの初期値の選択に応じた適応化を説明するための図である。
図6図1の受電装置2のセンサ23のオン/オフに応じた適応化を説明するための図である。
図7】実施形態の第1の変形例に係る無線電力伝送システムの受電装置2Aの構成を示す概略図である。
図8】実施形態の第2の変形例に係る無線電力伝送システムの送電装置1Bの構成を示す概略図である。
図9】実施形態の第2の変形例に係る無線電力伝送システムの受電装置2Bの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本開示の一側面に係る実施形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。各図面において、同じ符号は同様の構成要素を示す。
【0035】
[適用例]
図1は、実施形態に係る無線電力伝送システムを含むシステムの構成を示す概略図である。図1の無線電力伝送システムは、送電装置1及び受電装置2-1~2-3を含み、送電装置1から受電装置2-1~2-3に電力を無線伝送する。
【0036】
本明細書では、受電装置2-1~2-3をまとめて「受電装置2」ともいう。また、本明細書では、送電装置1を「無線送電装置」ともいい、受電装置2を「無線受電装置」ともいう。
【0037】
図1の例では、送電装置1及び受電装置2-1~2-3は、パレット4及びワーク5を搬送するベルトコンベア3を備えた工場又は倉庫に設けられる。パレット4及びワーク5は、ベルトコンベア3によって、予め決められた時間において予め決められた位置p1~p3に到着しているように移動される。位置p1~p3において、ワーク5に対して予め決められた作業のイベント(例えば、溶接などの加工工程)がそれぞれ実行される。受電装置2-1~2-3は、位置p1~p3の近傍にそれぞれ設けられ、位置p1~p3において実行されるイベントにそれぞれ関連付けられる。受電装置2は、このイベントに関連付けられた予め決められた物理量を測定するセンサ23を備える。
【0038】
送電装置1及び受電装置2の少なくとも一方は可変な動作パラメータを有する。動作パラメータを変化させることにより、送電装置1から受電装置2に伝送されて受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値が変化する。図1の無線電力伝送システムは、受電装置2に関連付けられたイベントの発生を示すトリガに応じて、受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値を増大させるように、送電装置1及び受電装置2の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0039】
受電装置2に関連付けられたイベントは、予め決められた時間(ある瞬間又はある時間区間)に実行されてもよい。この場合、受電装置2に関連付けられたイベントの発生を示すトリガは、例えば、予め決められた時間に実行される受電装置2に関連付けられたイベントから予め決められた時間長だけ先行して、送電装置1及び受電装置2の少なくとも一方により自動的に発生される。これにより、図1の無線電力伝送システムは、予め決められた時間に実行される受電装置2に関連付けられたイベントから予め決められた時間長だけ先行して、受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値を増大させるように、送電装置1及び受電装置2の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0040】
実施形態に係る無線電力伝送システムは、受電装置2に関連付けられたイベントの直前に送電装置1又は受電装置2の動作パラメータを調整することにより、送電又は通信の中断が生じにくいように、電波伝搬環境の変化に追従することができる。
【0041】
[構成例]
図2は、図1の送電装置1の構成を示すブロック図である。送電装置1は、送電制御回路10、電源装置11、送電回路12、信号送信回路13、アンテナ制御回路14、信号受信回路15、サーキュレータ16、及びアンテナ装置ANT1を備える。
【0042】
送電制御回路10は、送電装置1の全体の動作を制御する。
【0043】
電源装置11は、受電装置2に送電される電力を供給する。
【0044】
送電回路12は、受電装置2に送電する。
【0045】
信号送信回路13は、受電装置2に無線信号を送信する。信号受信回路15は、受電装置2から無線信号を受信する。
【0046】
アンテナ装置ANT1は、可変な指向性を有する。アンテナ装置ANT1は、例えば、複数のアンテナ素子を備えるアレイアンテナであり、各アンテナ素子によって送受信される信号の振幅及び位相を個別に調整することにより、その指向性が変化する。アンテナ制御回路14は、送電制御回路10の制御下で、アンテナ装置ANT1の指向性を制御する。
【0047】
サーキュレータ16は、アンテナ装置ANT1を介して受電装置2に送られる電力及び信号と、アンテナ装置ANT1を介して受電装置2から受信された信号とを合成及び分離する。
【0048】
図3は、図1の受電装置2の構成を示すブロック図である。受電装置2は、受電制御回路20、電力変換回路21、バッテリ22、センサ23、整合回路24、サーキュレータ25、信号送信回路26、信号受信回路27、受電回路28、アンテナ装置ANT2、及びスイッチSWを備える。
【0049】
受電制御回路20は、受電装置2の全体の動作を制御する。
【0050】
アンテナ装置ANT2は、予め決められた指向性又は無指向性を有する。
【0051】
整合回路24は、受電制御回路20の制御下で、可変なインピーダンスを有する。
【0052】
サーキュレータ25は、アンテナ装置ANT2を介して送電装置1から送られた電力及び信号と、アンテナ装置ANT2を介して送電装置1に送られる信号とを合成及び分離する。
【0053】
信号送信回路26は、送電装置1に無線信号を送信する。信号受信回路27は、送電装置1から無線信号を受信する。
【0054】
受電回路28は、送電装置1から受電する。
【0055】
電力変換回路21は、受電制御回路20の制御下で、送電装置1から送電された電力を可変な電圧で昇圧又は降圧する。バッテリ22は、送電装置1から送電されて電力変換回路21によって昇圧又は降圧された電力を蓄える。
【0056】
センサ23は、予め決められた物理量を測定する。センサ23は、受電制御回路20の制御下でオン/オフするスイッチSWを介して、受電制御回路20に接続される。スイッチSWがオンであるとき、バッテリ22からセンサ23に電力が供給され、センサ232によって測定された物理量は受電制御回路20に送られる。センサ23によって測定された物理量は送電装置1に無線送信される。
【0057】
動作パラメータとして、アンテナ装置ANT1の指向性パターンと、整合回路24のインピーダンスと、電力変換回路21の昇圧比又は降圧比とのうちの少なくとも1つを変化させることにより、送電装置1から受電装置2に伝送されて受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値が変化する。
【0058】
受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値を推定するために、受電装置2の信号送信回路26は、テスト信号を無線送信してもよく、送電装置1の信号受信回路15は、テスト信号を無線受信し、テスト信号の受信信号強度を測定してもよい。送電装置1の信号受信回路15は、テスト信号の受信信号強度をそのまま測定してもよく、増幅されたテスト信号の受信信号強度を測定してもよく、テスト信号の受信信号強度に代えてテスト信号の電力を測定してもよい。この場合、無線電力伝送システムは、受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値としてテスト信号の受信信号強度を増大させるように、送電装置1及び受電装置2の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0059】
送電装置1の信号送信回路13は、テスト信号を無線送信してもよく、受電装置2の信号受信回路27は、テスト信号を無線受信し、テスト信号の受信信号強度を測定してもよい。受電装置2の信号受信回路27は、テスト信号の受信信号強度をそのまま測定してもよく、増幅されたテスト信号の受信信号強度を測定してもよく、テスト信号の受信信号強度に代えてテスト信号の電力を測定してもよい。この場合もまた、無線電力伝送システムは、受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値としてテスト信号の受信信号強度を増大させるように、送電装置1及び受電装置2の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0060】
テスト信号は、所定のフォーマットを有する通信信号であってもよく、CW(continuous wave)波であってもよい。また、テスト信号は、送電装置1又は受電装置2によって発生されるコマンド信号に応答して送信されてもよく、コマンド信号なしに定期的に送信されてもよい。
【0061】
受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値を推定するために、受電装置2の負荷装置、例えば、電力変換回路21、バッテリ22、又はセンサ23に供給される電力を測定してもよい。この場合、無線電力伝送システムは、受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値として負荷装置に供給される電力を増大させるように、送電装置1及び受電装置2の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0062】
[動作例]
図4は、図1の無線電力伝送システムの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0063】
パレット4及びワーク5が位置p1~p3の近傍にないとき、センサ23はワーク5に対するイベントに関連付けられた物理量を測定しない。従って、この場合、送電装置から受電装置2への送電は不要であり、また、送電装置1及び受電装置2の間の通信は不要である。一方、パレット4及びワーク5が位置p1~p3の近傍にあるとき、送電装置から受電装置2へ送電し、センサ23はワーク5に対するイベントに関連付けられた物理量を測定し、受電装置2は、センサ23によって測定された物理量を送電装置1に送信する。このため、図1の無線電力伝送システムは、ワーク5に対するイベントから予め決められた時間長だけ先行して、受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値を増大させるように、送電装置1及び受電装置2の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0064】
図4の例では、パレット4及びワーク5は、ベルトコンベア3によって、時刻t3において、例えば図1の位置p1に到着しているように移動される。
【0065】
時刻t3に実行されるワーク5に対するイベントから予め決められた時間長だけ先行する時刻t1において、電波伝搬環境の変化に応じて送電装置1又は受電装置2の動作パラメータが調整(適応化)される。例えば、送電装置1は、外部装置からの制御信号に応じて、動作パラメータの適応化を開始し、送電装置1及び受電装置2の間でテスト信号などを送受信する。時刻t1は、例えば、数十ミリ秒から数秒にわたって時刻t3に先行する。適応化は、任意の初期値から開始されてもよく、以前の周期に設定された動作パラメータから開始されてもよい。動作パラメータの初期値は、例えば、受電装置2によって利用可能な電力を最大化又は最適化するように、無線電力伝送システムの電波伝搬環境について予め学習(ティーチング)されてもよい。適応化は、このような予め学習された初期値から開始されてもよい。これにより、適応化を任意の初期値から開始する場合よりも、無線電力伝送システムをより安定的に動作させることができる。
【0066】
時刻t2において動作パラメータの適応化が完了すると、送電装置1は、CW(continuous wave)波を受電装置2に送信することにより送電する。送電装置1は、利用可能な最大電力で送電を開始してもよい。
【0067】
時刻t2~t3の時間区間において受電装置2の動作に十分な電力が供給されると、受電装置2は、センサ23を用いて、ワーク5に対するイベントに関連付けられた物理量を測定し、送電装置1は、センサ23によって測定された物理量を受電装置2から読み出す。
【0068】
時刻t4において、センサ23によって測定された物理量の読み出しが完了すると、送電装置1及び受電装置2の間の通信は終了される。
【0069】
図4の例では、パレット4及びワーク5は、ベルトコンベア3によって、時刻t13において、例えば図1の位置p1に再び到着しているように移動される。同じ位置p1であっても、時刻t3と時刻t13の間において電波伝搬環境が変化し、受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値が変化する可能性がある。従って、時刻t11~t14において、時刻t1~t4の場合と同様に、動作パラメータの適応化、送電、物理量の測定及び読み出しが再び実行される。
【0070】
無線電力伝送システムを工場又は倉庫などに最初に設置するとき、例えば、以下の作業が行われる。
【0071】
工場又は倉庫などにおいて、1つの送電装置1と、複数の受電装置2とを設置する。送電装置1は、複数の受電装置2の位置の中心に向けて配置される。各受電装置2の識別情報を送電装置1に登録する。各受電装置2は治具に取り付けられる。各受電装置2のアンテナ装置ANT2が指向性を有する場合、各受電装置2は、アンテナ装置ANT2のビームを送電装置1に向けて配置される。
【0072】
次いで、溶接工程の開始時及び終了時を想定し、ワーク5を固定した状態で送電装置1及び受電装置2を動作させ、センサ23によって測定された物理量を送電装置1が受電装置2から読み出せることを確認する。この時点では、送電装置1のアンテナ装置ANT1の指向性を制御しない。この後の試運転において受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値が不十分である場合に、電波が受電装置2に届いていないのか、送電装置1又は受電装置2が故障しているのかを区別できるように、この時点において送電装置1及び受電装置2の動作を確認する。
【0073】
次いで、ワーク5を着座位置まで動作させ、送電装置1のアンテナ装置ANT1の指向性を制御し、受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値が予め決められたしきい値以上であるか否かを確認する。受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値がしきい値以上であれば、センサ23によって測定された物理量を送電装置1が受電装置2から読み出すことができる。受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値がしきい値以上である場合、受電装置2の重み条件をティーチングし、そうでない場合、受電装置2のアンテナ装置ANT2の位置を調整する。
【0074】
次いで、センサ23によりワーク5を検出できるか否かを確認する。センサ23によりワーク5を検出できる場合、ワーク5を着座位置まで動作させ、送電装置1のアンテナ装置ANT1の指向性を制御し、受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値が予め決められたしきい値以上であるか否かを確認する。受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値がしきい値以上である場合、受電装置2の重み条件をティーチングし、そうでない場合、受電装置2のアンテナ装置ANT2の位置を調整する。また、溶接工程の開始時及び終了時を想定し、ワーク5を固定した状態で送電装置1及び受電装置2を動作させ、送電装置1のアンテナ装置ANT1の指向性を制御し、受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値が予め決められたしきい値以上であるか否かを確認する。受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値がしきい値以上である場合、受電装置2の重み条件をティーチングし、そうでない場合、受電装置2のアンテナ装置ANT2の位置を調整する。
【0075】
一方、センサ23によりワーク5を検出できない場合、ワーク5を検出可能であり、かつ、ワーク5がぶつかりにくくなるように、受電装置2のセンサ23の位置を微調整する。
【0076】
無線電力伝送システムを工場又は倉庫などにおいて実際に運用するとき、例えば、以下の作業が行われる。
【0077】
例えば溶接工程にワーク5を搬入し、ワーク5を治具に設置する。受電装置2は、ワーク5の搬入及び設置が完了したことを示す設置完了トリガーを送電装置1に送信する。
【0078】
送電装置1が設置完了トリガーを検出した後、ワーク5の着座を検出する。すべての受電装置2がワーク5の着座を検出したとき、着座完了トリガーを溶接工程に送り、溶接工程に進む。受電装置2のうちのいずれかがワーク5の着座に失敗したことを検出したとき、作業員がワーク5の着座状態を目視で確認する。受電装置2のうちのいずれかで通信エラーが発生したとき、保守作業を実行する。設置完了トリガーの前には、ワーク5の着座を検出することは不要である。着座完了トリガーの後に、ワーク5の着座の検出を続けることは不要である。ここで、ワーク5の着座を検出してから1秒以内では、ワーク5の周辺の2~3mの範囲内が静的な状態にあると仮定する。ただし、ワーク5から2~3mよりも離れた場所では、別の工程が実行されている可能性がある。
【0079】
ワーク5の着座が確認されたとき、溶接を開始し、溶接が完了したとき、ワーク5を次に工程に搬出する。
【0080】
図5は、図1の送電装置1又は受電装置2の動作パラメータの初期値の選択に応じた適応化を説明するための図である。送電装置1の動作パラメータ(アンテナ装置ANT1の指向性)の適応化は、送電装置1から受電装置2に送信された要求信号に応答して受電装置2から送電装置1に返信されたテスト信号に基づいて行われる。そのため、動作パラメータの初期値が設定されているときに受電装置2の受電電力が受電装置2の感度(例えば-7.5dBm)より小さい場合、受電装置2は要求信号を受信できないのでテスト信号を送信することができず、動作パラメータを適応化することができない。従って、事前に、周囲の電波伝搬環境に応じて、アンテナ装置ANT1の初期重みティーチングを実行し、ティーチング後のアンテナ装置ANT1の初期重みを利用して動作パラメータを適応化する。これにより、受電装置2の受電電力を受電装置2の感度よりも増大させやすくなり、受電装置2から送電装置1に返信されたテスト信号に基づいて動作パラメータを適応化することができる。
【0081】
図6は、図1の受電装置2のセンサ23のオン/オフに応じた適応化を説明するための図である。ティーチング後のアンテナ装置ANT1の初期重みを利用して動作パラメータを適応化する場合でも、受電装置2の受電電力が受電装置2の感度を下回っている場合がある。そのため、受電装置2は、スイッチSWを用いて、センサ23をオフしているときに測定値を取得し、受電装置2によって利用可能な電力に対応する測定値がしきい値以上であるときにセンサ23をオンする。これにより、受電装置2の受電電力を受電装置2の感度よりも増大させやすくなり、受電装置2から送電装置1に返信されたテスト信号に基づいて動作パラメータを適応化することができる。
【0082】
[効果]
このように、実施形態に係る無線電力伝送システムは、受電装置2に関連付けられたイベントの直前に送電装置1又は受電装置2の動作パラメータを調整することにより、送電又は通信の中断が生じにくいように、電波伝搬環境の変化に追従することができる。
【0083】
送電装置1又は受電装置2の動作パラメータが電波伝搬環境の変化に追従するので、送電装置1から受電装置2に高効率で電力を無線伝送することができる。
【0084】
例えば、工場又は倉庫において複数のセンサを互いに異なる複数の位置に配置する場合であっても、受電装置2の位置にかかわらず、また、送電又は通信を行っている時間にかかわらず、送電又は通信の中断を生じにくくすることができる。
【0085】
[変形例]
図7は、実施形態の第1の変形例に係る無線電力伝送システムの受電装置2Aの構成を示す概略図である。受電装置2Aは、図3のアンテナ装置ANT2及び受電制御回路20に代えて、アンテナ装置ANT2A及び受電制御回路20Aを備える。また、受電装置2Aは、アンテナ制御回路29をさらに備える。アンテナ装置ANT2Aは、可変な指向性を有する。アンテナ制御回路29は、受電制御回路20Aの制御下で、アンテナ装置ANT2Aの指向性を制御する。
【0086】
受電装置2Aの動作パラメータとして、アンテナ装置ANT2Aの指向性パターンを変化させてもよい。これにより、送電装置1から受電装置2Aに伝送されて受電装置2Aによって利用可能な電力に対応する測定値が変化する。
【0087】
受電装置が可変な指向性を有するアンテナ装置を備える場合、送電装置は、予め決められた指向性又は無指向性を有するアンテナ装置を備えてもよい。
【0088】
図8は、実施形態の第2の変形例に係る無線電力伝送システムの送電装置1Bの構成を示す概略図である。送電装置1Bは、図2のアンテナ装置ANT1、アンテナ制御回路14、及びサーキュレータ16に代えて、アンテナ装置ANT11,ANT12及びアンテナ制御回路14Bを備える。送信及び受信のために1つのアンテナ装置ANT1を共用するのではなく、別個のアンテナ装置ANT11,ANT12を用いてもよい。アンテナ制御回路14Bは、送電制御回路10の制御下で、アンテナ装置ANT11,ANT12の指向性を制御する。
【0089】
図9は、実施形態の第2の変形例に係る無線電力伝送システムの受電装置2Bの構成を示す概略図である。受電装置2Bは、図3のアンテナ装置ANT2、受電制御回路20、及び整合回路24に代えて、アンテナ装置ANT21,ANT22、受電制御回路20B、及び整合回路24a,24bを備える。送信及び受信のために1つのアンテナ装置ANT2を共用するのではなく、別個のアンテナ装置ANT21,ANT22を用いてもよい。整合回路24a,24bは、受電制御回路20Bの制御下で、可変なインピーダンスを有する。
【0090】
図2の送電装置1、図3の受電装置2、図7の受電装置2A、図8の送電装置1B、及び図9の受電装置2Bは、任意に組み合わされてもよい。
【0091】
図9の受電装置2Bもまた、可変な指向性をそれぞれ有する2つのアンテナ装置を備えてもよい。
【0092】
受電装置2等は、センサ23に代えて、又はセンサ23に加えて、他の任意の負荷装置を備えてもよい。他の負荷装置は、例えば、照明装置であってもよく、他の装置を制御するスイッチ又はリレーであってもよく、他の装置に信号を出力する信号処理回路であってもよい。この場合、受電装置は、センサ23の検出結果をトリガとして、他の負荷装置を制御してもよい。
【0093】
[まとめ]
本開示の各側面に係る無線電力伝送システムは、以下のように表現されてもよい。
【0094】
本開示の第1の側面に係る無線電力伝送システムは、
無線送電装置(1)及び少なくとも1つの無線受電装置(2)を含み、前記無線送電装置(1)から前記無線受電装置(2)に電力を無線伝送する無線電力伝送システムであって、
前記無線受電装置(2)に関連付けられたイベントの発生を示すトリガに応じて、前記無線送電装置(1)から前記無線受電装置(2)に伝送されて前記無線受電装置(2)によって利用可能な電力に対応する測定値を増大させるように、前記無線送電装置(1)及び前記無線受電装置(2)の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0095】
本開示の第2の側面に係る無線電力伝送システムによれば、第1の側面に係る無線電力伝送システムにおいて、
予め決められた時間に実行される前記無線受電装置(2)に関連付けられたイベントから予め決められた時間長だけ先行して、前記無線送電装置(1)から前記無線受電装置(2)に伝送されて前記無線受電装置(2)によって利用可能な電力に対応する測定値を増大させるように、前記無線送電装置(1)及び前記無線受電装置(2)の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0096】
本開示の第3の側面に係る無線電力伝送システムによれば、第1又は第2の側面に係る無線電力伝送システムにおいて、
前記無線送電装置(1)及び前記無線受電装置(2)の少なくとも一方の動作パラメータを、前記無線電力伝送システムの電波伝搬環境について予め学習された初期値から変化させる。
【0097】
本開示の第4の側面に係る無線電力伝送システムによれば、第1~第3のうちの1つの側面に係る無線電力伝送システムにおいて、
前記無線送電装置(1)は、可変な指向性パターンを有するアンテナ装置(ANT1)を備え、
前記動作パラメータは前記アンテナ装置(ANT1)の指向性パターンを含む。
【0098】
本開示の第5の側面に係る無線電力伝送システムによれば、第1~第3のうちの1つの側面に係る無線電力伝送システムにおいて、
前記無線受電装置(2)は、可変な指向性パターンを有するアンテナ装置(ANT2A)を備え、
前記動作パラメータは前記アンテナ装置(ANT2A)の指向性パターンを含む。
【0099】
本開示の第6の側面に係る無線電力伝送システムによれば、第1~第3のうちの1つの側面に係る無線電力伝送システムにおいて、
前記無線受電装置(2)は、可変なインピーダンスを有する整合回路(24)を備え、
前記動作パラメータは前記整合回路(24)のインピーダンスを含む。
【0100】
本開示の第7の側面に係る無線電力伝送システムによれば、第1~第3のうちの1つの側面に係る無線電力伝送システムにおいて、
前記無線受電装置(2)は、可変な昇圧比又は降圧比を有する電力変換回路(21)を備え、
前記動作パラメータは前記電力変換回路(21)の昇圧比又は降圧比を含む。
【0101】
本開示の第8の側面に係る無線電力伝送システムによれば、第1~第7のうちの1つの側面に係る無線電力伝送システムにおいて、
前記無線受電装置(2)は、テスト信号を無線送信する信号送信回路(26)を備え、
前記無線送電装置(1)は、前記テスト信号を無線受信し、前記テスト信号の受信信号強度を測定する信号受信回路(15)を備え、
前記無線電力伝送システムは、前記測定値として前記テスト信号の受信信号強度を増大させるように、前記無線送電装置(1)及び前記無線受電装置(2)の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0102】
本開示の第9の側面に係る無線電力伝送システムによれば、第1~第7のうちの1つの側面に係る無線電力伝送システムにおいて、
前記無線送電装置(1)は、テスト信号を無線送信する信号送信回路(13)を備え、
前記無線受電装置(2)は、前記テスト信号を無線受信し、前記テスト信号の受信信号強度を測定する信号受信回路(27)を備え、
前記無線電力伝送システムは、前記測定値として前記テスト信号の受信信号強度を増大させるように、前記無線送電装置(1)及び前記無線受電装置(2)の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0103】
本開示の第10の側面に係る無線電力伝送システムによれば、第1~第9のうちの1つの側面に係る無線電力伝送システムにおいて、
前記無線受電装置(2)は負荷装置を備え、
前記無線電力伝送システムは、前記測定値として前記負荷装置に供給される電力を増大させるように、前記無線送電装置(1)及び前記無線受電装置(2)の少なくとも一方の動作パラメータを変化させる。
【0104】
本開示の第11の側面に係る無線電力伝送システムによれば、第1~第10のうちの1つの側面に係る無線電力伝送システムにおいて、
前記無線受電装置(2)は負荷装置を備え、
前記無線受電装置(2)は、前記負荷装置をオフしているときに前記測定値を取得し、前記測定値がしきい値以上であるときに前記負荷装置をオンする。
【0105】
本開示の第12の側面に係る無線電力伝送システムによれば、第1~第11のうちの1つの側面に係る無線電力伝送システムにおいて、
前記無線受電装置(2)は、予め決められた物理量を測定するセンサ(23)を備え、前記センサ(23)によって測定された物理量を前記無線送電装置(1)に無線送信する。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本開示の側面に係る無線電力伝送システムは、例えば複数のセンサを含むセンサネットワークにおいて各センサに電力を供給するために利用可能である。
【符号の説明】
【0107】
1,1B…送電装置、
2,2A,2B,2-1~2-3…受電装置、
3…ベルトコンベア、
4…パレット、
5…ワーク、
10…送電制御回路、
11…電源装置、
12…送電回路、
13…信号送信回路、
14…アンテナ制御回路、
15…信号受信回路、
16…サーキュレータ、
20,20A,20B…受電制御回路、
21…電力変換回路、
22…バッテリ、
23…センサ、
24…整合回路、
25…サーキュレータ、
26…信号送信回路、
27…信号受信回路、
28…受電回路、
29…アンテナ制御回路、
ANT1,ANT2,ANT2A,ANT11~ANT22…アンテナ装置、
SW…スイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9