(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】メイン制御部の異常診断システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02H 7/18 20060101AFI20220705BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
H02H7/18
G01R31/00
(21)【出願番号】P 2020500708
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(86)【国際出願番号】 KR2018015064
(87)【国際公開番号】W WO2019124813
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-01-21
(31)【優先権主張番号】10-2017-0176203
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ドンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、リャン ウク
(72)【発明者】
【氏名】リー、セウンヒュン
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-003742(JP,A)
【文献】特開2007-252175(JP,A)
【文献】特開2012-210081(JP,A)
【文献】特開2013-162635(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0161024(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/18
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上のバッテリーと各々連結された一つ以上のバッテリー管理モジュールを制御する一つ以上のメイン制御部、
前記一つ以上のメイン制御部と前記一つ以上のバッテリー管理モジュールとの間の通信を行うインターフェースIC、および
前記一つ以上のメイン制御部と通信し、前記インターフェースICと通信し、前記一つ以上のメイン制御部および前記インターフェースICの異常を診断する補助制御部を含み、
前記インターフェースICは、前記一つ以上のバッテリーの情報を、前記一つ以上のバッテリー管理モジュールから受信して、前記一つ以上のメイン制御部に送信し、
前記補助制御部は、
前記一つ以上のメイン制御部が正常状態であると判断した場合、前記一つ以上のメイン制御部に既に設定された基準電圧を前記インターフェースICに印加される電圧の状態が過電圧または低電圧状態であるかを診断するための基準となる比較値として設定させ、
前記インターフェースICが正常であるか異常であるかを診断するために、設定された前記比較値と異なる電圧を出力する電圧源と前記インターフェースICを連結または短絡させることにより前記インターフェースICに電圧を印加し、印加された前記電圧
が設定された前記比較値
を超過する場合に前記インターフェースICから出力される
故障発生信号の出力有無に基づいて
、前記インターフェースICが正常であるか異常であるかを診断する、異常診断システム。
【請求項2】
前記補助制御部は、
UART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter)通信方式を利用して前記一つ以上のメイン制御部と通信する、請求項1に記載の異常診断システム。
【請求項3】
前記異常診断システムは、
前記既に設定された基準電圧の大きさおよび設定された前記比較値を超過する大きさの電圧を出力する前記電圧源、および
前記電圧源と前記インターフェースICを連結または短絡させるスイッチ部をさらに含む、請求項1または2に記載の異常診断システム。
【請求項4】
前記補助制御部は、
前記スイッチ部の導通状態を制御して前記電圧源から出力される電圧を前記インターフェースICに印加させ、前記インターフェースICから出力される前記
故障発生信号の出力有無を確認し、前記
故障発生信号の出力有無に基づいて前記インターフェースICが正常であるか異常であるかを診断する、請求項3に記載の異常診断システム。
【請求項5】
前記バッテリー管理モジュールは、前記基準電圧と前記一つ以上のバッテリーから取得した電圧値との比較に基づいて、前記一つ以上のバッテリーにおいて過電圧または低電圧異常が発生したことを診断し、
前記メイン制御部は、
前記一つ以上のバッテリーにおいて過電圧または低電圧異常と診断されるべき値に既に設定された基準電圧の大きさを変更し、
前記補助制御部は、
変更された前記基準電圧と前記一つ以上のバッテリーから取得した電圧値との比較に基づいて出力される前記一つ以上のバッテリー管理モジュールからの
エラー信号の出力有無を確認し、前記
エラー信号の出力有無に基づいて前記一つ以上のメイン制御部が正常であるか異常であるかを診断する、請求項1から4のいずれか一項に記載の異常診断システム。
【請求項6】
前記補助制御部は、
前記一つ以上のバッテリー管理モジュールから出力される前記
エラー信号を前記一つ以上のメイン制御部に転送し、
前記一つ以上のメイン制御部は、
前記
エラー信号の転送を受けた場合、過電圧または低電圧異常と診断されるべき前記値に変更された前記基準電圧を、初期に設定された値に再設定する、請求項5に記載の異常診断システム。
【請求項7】
前記一つ以上のメイン制御部、前記補助制御部、前記インターフェースICおよび前記一つ以上のバッテリー管理モジュールは、デイジーチェーン(Daisy Chain)結線方式で連結される、請求項1から6のいずれか一項に記載の異常診断システム。
【請求項8】
一つ以上のメイン制御部が、一つ以上のバッテリーと各々連結された一つ以上のバッテリー管理モジュールを制御するステップ、
補助制御部が、近距離通信を介して前記一つ以上のメイン制御部の異常を診断するステップ、および
インターフェースICを介して、前記一つ以上のメイン制御部および前記補助制御部と前記一つ以上のバッテリー管理モジュール間の通信を行うステップを含み、
前記通信を行うステップは、前記一つ以上のバッテリーの情報を、前記一つ以上のバッテリー管理モジュールから受信して、前記一つ以上のメイン制御部に送信するステップを含み、
前記診断するステップは、
前記一つ以上のメイン制御部が正常状態であると判断した場合、前記一つ以上のメイン制御部に既に設定された基準電圧を前記インターフェースICに印加される電圧の状態が過電圧または低電圧状態であるかを診断するための基準となる比較値として設定させ、
前記インターフェースICが正常であるか異常であるかを診断するために、設定された前記比較値と異なる電圧を出力する電圧源と前記インターフェースICを連結または短絡させることにより前記インターフェースICに電圧を印加し、印加された前記電圧
が設定された前記比較値
を超過する場合に前記インターフェースICから出力される
故障発生信号の出力有無に基づいて
、前記インターフェースICが正常であるか異常であるかを診断するステップを含む、異常診断方法。
【請求項9】
前記補助制御部は、
UART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter)通信方式を利用して前記一つ以上のメイン制御部と通信する、請求項8に記載の異常診断方法。
【請求項10】
前記異常診断方法は、
前記電圧源が前記既に設定された基準電圧の大きさおよび設定された前記比較値を超過する大きさの電圧を出力するステップ、および
スイッチ部が前記電圧源と前記インターフェースICを連結または短絡させるステップをさらに含む、請求項8または9に記載の異常診断方法。
【請求項11】
前記診断するステップは、
前記スイッチ部の導通状態を制御して前記電圧源から出力される電圧を前記インターフェースICに印加させ、前記インターフェースICから出力される前記
故障発生信号の出力有無を確認し、前記
故障発生信号の出力有無に基づいて前記インターフェースICが正常であるか異常であるかを診断する、請求項10に記載の異常診断方法。
【請求項12】
前記異常診断方法は、
前記バッテリー管理モジュールが、前記基準電圧と前記一つ以上のバッテリーから取得した電圧値との比較に基づいて、前記一つ以上のバッテリーにおいて過電圧または低電圧異常が発生したことを診断するステップをさらに含み、
前記制御するステップは、
前記一つ以上のバッテリーにおいて過電圧または低電圧異常と診断されるべき値に既に設定された基準電圧の大きさを変更するステップを含み、
前記診断するステップは、
変更された前記基準電圧と前記一つ以上のバッテリーから取得した電圧値との比較に基づいて出力される前記一つ以上のバッテリー管理モジュールからの
エラー信号の出力有無を確認し、前記
エラー信号の出力有無に基づいて前記一つ以上のメイン制御部が正常であるか異常であるかを診断するステップをさらに含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の異常診断方法。
【請求項13】
前記診断するステップは、
前記一つ以上のバッテリー管理モジュールから出力される前記
エラー信号を前記一つ以上のメイン制御部に転送するステップ、および
前記一つ以上のメイン制御部が前記
エラー信号の転送を受けた場合、過電圧または低電圧異常と診断されるべき前記値に変更された前記基準電圧を、初期に設定された値に再設定するステップをさらに含む、請求項12に記載の異常診断方法。
【請求項14】
前記一つ以上のメイン制御部、前記補助制御部、前記インターフェースICおよび前記一つ以上のバッテリー管理モジュールは、デイジーチェーン(Daisy Chain)結線方式で連結される、請求項8から13のいずれか一項に記載の異常診断方法。
【請求項15】
一つ以上のバッテリーと各々連結された一つ以上のバッテリー管理モジュールを制御する一つ以上のメイン制御部、
前記一つ以上のメイン制御部と前記一つ以上のバッテリー管理モジュールとの間の通信を行うインターフェースIC、および
前記一つ以上のメイン制御部と通信し、前記インターフェースICと通信し、前記インターフェースICの異常を診断する補助制御部を含み、
前記インターフェースICは、前記一つ以上のバッテリーの情報を、前記一つ以上のバッテリー管理モジュールから受信して、前記一つ以上のメイン制御部に送信し、
前記補助制御部は、
前記インターフェースICが正常であるか異常であるかを診断するために、前記インターフェースICに設定された前記インターフェースICに印加される電圧の状態が過電圧または低電圧状態であるかを診断するための基準となる比較値と異なる電圧を、電圧源と前記インターフェースICを連結または短絡させることにより前記インターフェースICに印加し、前記インターフェースICに設定された前記比較値
を印加された前記電圧
が超過する場合に前記インターフェースICから出力される
故障発生信号の出力有無に基づいて
、前記インターフェースICが正常であるか異常であるかを診断する、異常診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2017年12月20日付の韓国特許出願第10-2017-0176203号に基づいた優先権の利益を主張し、該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、メイン制御部の異常診断システムおよび方法に関し、より具体的には、一つ以上のバッテリー管理モジュールおよびバッテリー管理モジュールを制御するメイン制御部を含むバッテリー管理システムにおいて、メイン制御部の異常動作を診断するための補助制御部をさらに備えることによって、より安定的にバッテリー管理システムを駆動できるメイン制御部の異常診断システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車需要が高くなるにつれて自動車産業が発展しており、自動車普及率が世帯当たりに1台を越えている。このような自動車産業の発展により、自動車は、単に移動するための手段だけでなく、電装化されて顧客に便宜装置などの様々な機能を提供しており、自動車の生産原価における電子部品は「10年40%から20年50%」に次第に多くの比重を占めると展望されている。しかし、最近、自動車の急激な電装化により、電子エラーに応じた自動車事故の危険性が高くなっており、実際に電装部品のソフトウェア問題のために電装部品が誤作動を引き起こして発生した事故が急増している。このような問題を解決するために、車両を構成する電気電子システムの機能安全性を確保し、車両の構成要素の機能問題によって事故が発生するのを防止するための努力をしている。
【0004】
新たに登場したグローバル技術標準ISO 26262は、2011年11月15日ドイツ自動車工業協会(VDA)が主導し、国際標準化機構(ISO)で新しく制定した機能安全国際標準である。ISO 26262は、車両用電装部品システムに適用されることによって、より安全な電装部品システムを提供し、車両に対する信頼度を高めることができる。より具体的には、主な内容は、重量3500kg以下の乗用車(商用車は除外)に設けられる電装部品システムの中でも安全に関わる部品は必ずこの標準に従って製作されならなければならないが、電装部品であっても安全に関わらなければ標準に該当されない。特に、ASIL(Automotive Safety Integrity Level)は、ISO 26262のアイテムやエレメントに必要な要求事項を明示する四つのレベルのうちの一つであり、過度な残存危険を防止するために適用される安全手段である。ASILは、厳格さの程度が最も高いレベルの場合にはDで表示し、最も低いレベルの場合にはAで表示し、開発プロセスが始まる時に決定される。このようなASILレベルを満たさない製品は、使用できないかまたは安全性が落ちる製品として認識されて、顧客に信頼感を与えることができない。
【0005】
最近、環境問題が台頭するにつれて、環境に優しい車である電気自動車に対する需要が高くなっており、電装部品システムに対する依存度が高い電気自動車はこのようなASILレベルを満たすために持続的に技術開発が行われている。特にバッテリーは電気自動車における最も重要な構成要素であると言えるため、バッテリーと関連した電装部品システムは高いレベルのASILを要求する。したがって、バッテリーの異常有無を判断し、バッテリーの異常発生時に、それを制御して負荷を保護する電装部品システムに対する開発が活発に行われている。
【0006】
一方、従来のバッテリー管理システムに含まれたバッテリーモニタリングシステムがASIL Dを満たすにしても、それを制御するためのマイクロコントローラユニット(Micro Controller Unit;MCU)のレベルがASIL Dを満たし難いため、2個のMCU(Main MCUおよびSafety MCU)を利用した。
【0007】
しかし、このような方式は、ASIL BレベルのMCUがASIL Dを有したバッテリーモニタリングシステムを制御しなければならないため、制御動作の限界があり、システムの信頼度が低いという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するために導き出されたものであり、本発明の目的は、バッテリーモニタリングシステムを制御するためのメイン制御部の他に補助制御部をさらに備え、バッテリー管理モジュール、メイン制御部およびインターフェースICから出力される信号に基づいてメイン制御部およびインターフェースICの異常を診断することによって、ASIL Dレベルのバッテリーモニタリングシステムを制御可能なASILレベルを満たすメイン制御部を提供することができるメイン制御部の異常診断システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によるメイン制御部の異常診断システムは、一つ以上のバッテリーと各々連結された一つ以上のバッテリー管理モジュールを制御する一つ以上のメイン制御部、近距離通信を介して前記一つ以上のメイン制御部の異常を診断する補助制御部、および前記一つ以上のメイン制御部および前記補助制御部と前記一つ以上のバッテリー管理モジュール間の通信を行うインターフェースICを含み、前記補助制御部は、前記一つ以上のメイン制御部が正常状態である場合、前記一つ以上のメイン制御部に既に設定された基準電圧を前記インターフェースICの比較値に設定し、前記インターフェースICに印加される電圧と設定された前記比較値に基づいて前記インターフェースICの異常を診断する。
【0010】
一つの実施形態において、前記補助制御部は、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter)通信方式を利用して前記一つ以上のメイン制御部と通信してもよい。
【0011】
一つの実施形態において、前記メイン制御部の異常診断システムは、前記既に設定された基準電圧の大きさおよび設定された前記比較値を超過する大きさの電圧を出力する電圧源、および前記電圧源と前記インターフェースICを連結または短絡させるスイッチ部をさらに含んでもよい。
【0012】
一つの実施形態において、前記補助制御部は、前記スイッチ部の導通状態を制御して前記電圧源から出力される電圧を前記インターフェースICに印加させ、印加された前記電圧に基づいて前記インターフェースICからの故障発生信号の出力有無を確認し、前記故障発生信号の出力有無に基づいて前記一つ以上のメイン制御部の異常を診断してもよい。
【0013】
一つの実施形態において、前記メイン制御部は、前記一つ以上のバッテリーにおいて過電圧または低電圧異常が診断されるように既に設定された基準電圧の大きさを変更し、前記補助制御部は、変更された前記基準電圧に基づいて前記一つ以上のバッテリー管理モジュールからの故障発生信号の出力有無を確認し、前記故障発生信号の出力有無に基づいて前記一つ以上のメイン制御部の異常を診断してもよい。
【0014】
一つの実施形態において、前記補助制御部は、前記一つ以上のバッテリー管理モジュールから出力される前記故障発生信号を前記一つ以上のメイン制御部に転送し、前記一つ以上のメイン制御部は、前記故障発生信号の転送を受けた場合、変更された前記基準電圧の大きさを初期に設定された値に再設定してもよい。
【0015】
一つの実施形態において、前記一つ以上のメイン制御部、前記補助制御部、前記インターフェースICおよび前記一つ以上のバッテリー管理モジュールは、デイジーチェーン(Daisy Chain)結線方式で連結されてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によるメイン制御部の異常診断方法は、一つ以上のメイン制御部が、一つ以上のバッテリーと各々連結された一つ以上のバッテリー管理モジュールを制御するステップ、補助制御部が、近距離通信を介して前記一つ以上のメイン制御部の異常を診断するステップ、およびインターフェースICを介して、前記一つ以上のメイン制御部および前記補助制御部と前記一つ以上のバッテリー管理モジュール間の通信を行うステップを含み、前記診断するステップは、前記一つ以上のメイン制御部が正常状態である場合、前記一つ以上のメイン制御部に既に設定された基準電圧を前記インターフェースICの比較値に設定し、前記インターフェースICに印加される電圧と設定された前記比較値を比較して前記インターフェースICの異常を診断するステップを含む。
【0017】
一つの実施形態において、前記補助制御部は、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter)通信方式を利用して前記一つ以上のメイン制御部と通信してもよい。
【0018】
一つの実施形態において、前記メイン制御部の異常診断方法は、電圧源が前記既に設定された基準電圧の大きさおよび設定された前記比較値を超過する大きさの電圧を出力するステップ、およびスイッチ部が前記電圧源と前記インターフェースICを連結または短絡させるステップをさらに含んでもよい。
【0019】
一つの実施形態において、前記診断するステップは、前記スイッチ部の導通状態を制御して前記電圧源から出力される電圧を前記インターフェースICに印加させ、印加された前記電圧に基づいて前記インターフェースICからの故障発生信号の出力有無を確認し、前記故障発生信号の出力有無に基づいて前記一つ以上のメイン制御部の異常を診断してもよい。
【0020】
一つの実施形態において、前記制御するステップは、前記一つ以上のバッテリーにおいて過電圧または低電圧異常が診断されるように既に設定された基準電圧の大きさを変更するステップを含み、前記診断するステップは、変更された前記基準電圧に基づいて前記一つ以上のバッテリー管理モジュールからの故障発生信号の出力有無を確認し、前記故障発生信号の出力有無に基づいて前記一つ以上のメイン制御部の異常を診断するステップをさらに含んでもよい。
【0021】
一つの実施形態において、前記診断するステップは、前記一つ以上のバッテリー管理モジュールから出力される前記故障発生信号を前記一つ以上のメイン制御部に転送するステップ、および前記一つ以上のメイン制御部が前記故障発生信号の転送を受けた場合、変更された前記基準電圧の大きさを初期に設定された値に再設定するステップをさらに含んでもよい。
【0022】
一つの実施形態において、前記一つ以上のメイン制御部、前記補助制御部、前記インターフェースICおよび前記一つ以上のバッテリー管理モジュールは、デイジーチェーン(Daisy Chain)結線方式で連結されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、バッテリー管理システムに含まれたバッテリーモニタリングシステムを制御するためのメイン制御部の他に補助制御部をさらに備え、バッテリー管理モジュールおよびメイン制御部から出力される信号に基づいてメイン制御部の異常を診断することによって、ASIL Dレベルのバッテリーモニタリングシステムを制御可能なASILレベルを満たすメイン制御部を提供できるという利点がある。
【0024】
また、本発明は、メイン制御部が正常状態である場合、メイン制御部において既に設定した基準電圧をインターフェースICの比較値に設定し、インターフェースICに印加された電圧と比較値を比較してインターフェースICの異常を診断することによって、メイン制御部とバッテリー管理モジュールの間に信号の送受信過程で問題が発生するのを防止できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態によるメイン制御部の異常診断システム100を概略的に示す図である。
【0026】
【
図2】本発明の一実施形態によるメイン制御部の異常診断システム100を用いてメイン制御部130の異常を診断する一連の過程を説明するためのフローチャートである。
【0027】
【
図3】本発明の一実施形態によるメイン制御部の異常診断システム100を用いてインターフェースIC 120の異常を診断する一連の過程を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では本発明の理解を助けるために好ましい実施形態を提示する。但し、下記の実施形態は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、本実施形態によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態によるメイン制御部の異常診断システム100を概略的に示す図である。
【0030】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態によるメイン制御部の異常診断システム100は、バッテリー管理モジュール110、インターフェースIC 120、メイン制御部130および補助制御部140を含んで構成されることができる。
【0031】
ここで、
図1に示されたメイン制御部の異常診断システム100は、一実施形態によるものであって、その構成要素が
図1に示された実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて付加、変更または削除されてもよい。例えば、他の一つの実施形態において、一つのバッテリー管理モジュール110が複数のバッテリー10を管理することができる。
【0032】
先ず、一つ以上のバッテリー管理モジュール110は、一つ以上のバッテリー10と各々連結されることができ、一つ以上のバッテリー10の状態をモニタリングし診断することができる。例えば、一つ以上のバッテリー管理モジュール110は、各々連結された一つ以上のバッテリー10から温度、電流、電圧、充電状態(State of Charge;SoC)および老化度(State of Health;SoH)のいずれか一つ以上の情報を取得することができる。
【0033】
また、一つ以上のバッテリー管理モジュール110は、一つ以上のバッテリー10から取得した情報に基づいて、一つ以上のバッテリー10の状態を診断することができる。例えば、バッテリーの過電圧を診断するために、既に設定された基準電圧が4.5Vである時、バッテリー10から取得した電圧値が5.0Vである場合、一つ以上のバッテリー管理モジュール110は、該バッテリー10に過電圧異常が発生したことを診断することができる。
【0034】
一つの実施形態において、一つ以上のバッテリー管理モジュール110は、一つ以上のバッテリー10に異常が発生した場合、故障発生信号を出力することができる。
【0035】
ここで、故障発生信号は、一つ以上のバッテリー10に異常および故障が発生した場合、故障が発生したバッテリー10と連結されたバッテリー管理モジュール110から出力する信号を意味する。例えば、バッテリー管理モジュール110が後述のメイン制御部130において設定した基準電圧の大きさに基づいてバッテリー10の電圧を測定した結果、バッテリー10の電圧が過電圧状態であると診断された場合、バッテリー管理モジュール110はエラー(Fault)信号を出力することができる。この時、故障発生信号はエラー信号である。
【0036】
インターフェースIC 120は、一つ以上のバッテリー管理モジュール110と後述の一つ以上のメイン制御部130および補助制御部140と通信を行うことができる。例えば、インターフェースIC 120は、一つ以上のバッテリー管理モジュール110およびメイン制御部130間の通信を行い、一つ以上のバッテリー管理モジュール110から取得された一つ以上のバッテリー10の情報、バッテリー10に異常が発生したか否かに関する情報を後述のメイン制御部130に送信することができる。また、インターフェースIC 120は、後述のメイン制御部130から出力される制御信号を受信して一つ以上のバッテリー管理モジュール110に送信することができる。このために、インターフェースIC 120は、通信ブロック(Communication block)およびセンシングブロック(Sensing block)を含むことができる。
【0037】
一つの実施形態において、インターフェースIC 120は、比較値を設定することができる。
【0038】
ここで、比較値は、インターフェースIC 120に印加される電圧の状態が過電圧または低電圧状態であるかを診断するために設定した基準となる電圧値であり、インターフェースIC 120の異常を診断するために設定した基準となる値を意味する。例えば、後述の補助制御部140は、インターフェースIC 120の異常を診断するための比較値を4.5Vに設定することができ、インターフェースIC 120に4.5Vを超過する電圧が印加される場合、インターフェースIC 120は故障発生信号を出力することができる。その後、後述の補助制御部140は、インターフェースIC 120から出力される故障発生信号に基づいてインターフェースIC 120の異常を診断することができる。
【0039】
メイン制御部130は、一つ以上のバッテリー10と各々連結された一つ以上のバッテリー管理モジュール110を制御することができる。例えば、メイン制御部130は一つ以上のバッテリー管理モジュール110のスイッチング動作を制御するための制御信号を出力することができ、制御信号に基づいて制御信号を受信した一つ以上のバッテリー管理モジュール110がスイッチング動作を行うことができる。
【0040】
また、メイン制御部130は、一つ以上のバッテリー管理モジュール110が実行する動作を選択することができ、選択した動作を実行するように制御信号を出力することができる。例えば、メイン制御部130は、バッテリー10から出力される電力遮断、バッテリー10の温度測定、バッテリー10の電圧測定およびバッテリー10の異常診断動作のいずれか一つ以上を選択し、選択した動作が開始されるように制御することができる。
【0041】
一つの実施形態において、メイン制御部130はバッテリー管理システム内に含まれた一つ以上のシステムを各々制御することができ、このために一つ以上のメイン制御部130で構成されることができる。例えば、メイン制御部130は、バッテリーモニタリングシステム、バッテリー分離システム、通信システム、バッテリーバランスシステムおよびバッテリー保護システムを各々制御するために複数のメイン制御部130が備えられてもよい。
【0042】
一つの実施形態において、メイン制御部130は、基準電圧を設定することができる。
【0043】
ここで、基準電圧は、メイン制御部130が一つ以上のバッテリー10の過電圧または低電圧異常を診断するために設定した基準となる電圧値を意味する。例えば、メイン制御部130は、過電圧異常を診断するための基準電圧の大きさを4.5V、低電圧異常を診断するための基準電圧の大きさを2.0Vに設定することができる。その後、一つ以上のバッテリー10から測定された電圧の大きさが4.5V超過の場合または2.0V未満の場合、メイン制御部130は、測定された電圧の大きさと基準電圧の大きさを比較することによって、バッテリー10の状態を過電圧または低電圧状態に診断することができる。
【0044】
補助制御部140は、近距離通信を介してメイン制御部130と通信することができる。例えば、補助制御部140は、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter)通信方式を利用してメイン制御部130と通信することができる。
【0045】
一つの実施形態において、メイン制御部130、補助制御部140、インターフェースIC 120および一つ以上のバッテリー管理モジュール110は、デイジーチェーン(Daisy Chain)結線方式で連結されることができる。例えば、メイン制御部130、補助制御部140、インターフェースIC 120および一つ以上のバッテリー管理モジュール110は、
図1に示すように、相互間の制御信号および情報を送受信するための通信デイジーチェーンライン(Communication Daisy chain)および故障発生信号を送受信するための故障信号デイジーチェーンライン(Fault Daisy chain)を介して連結されることができる。
【0046】
補助制御部140は、メイン制御部130の異常を診断することができる。
【0047】
一つの実施形態において、メイン制御部130は、一つ以上のバッテリー10において過電圧または低電圧異常が診断されるように既に設定された基準電圧の大きさを変更することができ、補助制御部140は、変更された基準電圧に基づいて一つ以上のバッテリー管理モジュール110からの故障発生信号の出力有無を確認し、故障発生信号の出力有無に基づいてメイン制御部130の異常を診断することができる。
【0048】
例えば、メイン制御部130は、初期に設定されたバッテリー10の過電圧基準電圧および低電圧基準電圧が4.5Vおよび2.0である場合、メイン制御部130は、既に設定された基準電圧をバッテリー10が正常状態である時の電圧である3.5Vおよび3.0Vに変更することができる。メイン制御部130により変更された基準電圧は一つ以上のバッテリー管理モジュール110に伝達され、一つ以上のバッテリー管理モジュール110は変更された基準電圧に基づいて一つ以上のバッテリー10の異常を診断することができる。この時、変更された基準電圧はバッテリー10が正常状態である時の電圧に設定されているため、全てのバッテリー10から異常が検出され、バッテリー管理モジュール110は故障発生信号を出力するようになる。その後、補助制御部140は、一つ以上のバッテリー管理モジュール110から故障発生信号が出力される場合、メイン制御部130が正常状態であると診断することができ、一つ以上のバッテリー管理モジュール110から伝達を受けた故障発生信号をメイン制御部130に転送することができる。
【0049】
一つの実施形態において、補助制御部140から故障発生信号の転送を受けた場合、メイン制御部130は、変更された基準電圧の大きさを初期に設定された基準電圧の大きさに再設定することができる。
【0050】
一つの実施形態において、補助制御部140は、メイン制御部130に異常が発生した場合、メイン制御部130に異常発生信号を送信することができる。
【0051】
ここで、異常発生信号は、メイン制御部130に異常が発生したことを知らせるための信号を意味する。例えば、異常発生信号は、メイン制御部130の発生した異常動作の種類および発生時間などの情報を含む信号およびメイン制御部130の点検を要請する点検要請信号であってもよい。
【0052】
一つの実施形態において、補助制御部140は、メイン制御部130に送信した異常発生信号に対する応答として、メイン制御部130から応答信号を受信するが、応答信号を受信しなかった場合、メイン制御部130の動作を停止させることができる。例えば、基準電圧の大きさを変更してバッテリー10の状態を診断したが、全て正常に診断されて故障発生信号が出力されない場合、補助制御部140は、メイン制御部130に異常が発生したと診断することができる。この時、補助制御部140は、メイン制御部130に異常発生信号を送信し、異常発生信号を受信したメイン制御部130は、自己点検または別の故障検出回路を介して故障を点検することができる。この時、仮に異常が発生していないと判断される場合、メイン制御部130は、正常状態であることを示す応答信号を補助制御部140に送信することによって、メイン制御部130の発生した異常動作に対して真偽を確認させることができる。しかし、メイン制御部130に故障が発生して異常動作に対して真偽を確認することができず、それに対する応答信号を送信することができない場合、補助制御部140は、メイン制御部130を故障状態であると判断し、メイン制御部130の動作を停止させることによって、故障したメイン制御部130により発生しうる2次被害を防止ことができる。
【0053】
一つの実施形態において、補助制御部140は、一つ以上のバッテリー10とメイン制御部130間の導通状態を変更するスイッチング部(図示せず)の動作を制御して一つ以上のバッテリー10とメイン制御部130を短絡させることによって、メイン制御部130に供給される電力を遮断して動作を停止させることができる。
【0054】
一つの実施形態において、補助制御部140は、インターフェースIC 120に電圧を印加し、印加された電圧とインターフェースIC 120に設定された比較値に基づいてインターフェースIC 120の異常を診断することができる。このために、本発明の一実施形態によるメイン制御部の異常診断システム100は、電圧源150およびスイッチ部160をさらに含むことができる。
【0055】
電圧源150は、メイン制御部130に既に設定された基準電圧の大きさおよびインターフェースIC 120に設定された前記比較値を超過する大きさの電圧を出力することができる。例えば、メイン制御部130に既に設定された基準電圧の大きさおよびインターフェースIC 120に設定された前記比較値が4.5Vである場合、電圧源150は4.6Vの電圧を出力することができる。
【0056】
スイッチ部160は、電圧源150とインターフェースIC 120を連結または短絡させることができる。
【0057】
一つの実施形態において、補助制御部140は、インターフェースIC 120の異常を診断しようとする場合、スイッチ部160の導通状態を制御して、電圧源150から出力される電圧をインターフェースIC 120に印加することができる。
【0058】
例えば、補助制御部140がスイッチ部160の導通状態を制御して電圧源150から出力される電圧をインターフェースIC 120に印加させる場合、インターフェースIC 120に設定された比較値4.5Vより大きい4.6Vの電圧がインターフェースIC 120に印加されることができる。この時、インターフェースIC 120は、設定された比較値と印加された電圧値を比較することができ、印加を受けた電圧値が設定された比較値より大きい場合、故障発生信号を出力することができる。補助制御部140は、インターフェースIC 120から故障発生信号が出力されるか否かを確認することができ、故障発生信号が出力される場合、インターフェースIC 120の状態を正常状態に診断することができる。
【0059】
ここで、インターフェースIC 120に印加される電圧値は常に比較値より大きいため、インターフェースIC 120が正常状態である場合、常に故障発生信号を出力しなければならない。仮にインターフェースIC 120から故障発生信号を出力しない場合、補助制御部140は、インターフェースIC 120に故障が発生したと診断することができる。以下では、
図2および3を参照して、本発明の一実施形態によるメイン制御部の異常診断方法について説明する。
【0060】
図2は、本発明の一実施形態によるメイン制御部の異常診断システム100を用いてメイン制御部130の異常を診断する一連の過程を説明するためのフローチャートである。
【0061】
図2を参照すれば、メイン制御部は、一つ以上のバッテリーにおいて過電圧または低電圧異常が診断されるように既に設定された基準電圧の大きさを変更する(S110)。S110ステップで変更された基準電圧に基づいて、一つ以上のバッテリー管理モジュールは、一つ以上のバッテリーの状態を診断する(S120)。S120ステップで一つ以上のバッテリーに異常が発生する場合、異常が発生したバッテリーと連結されたバッテリー管理モジュールは故障発生信号を出力し、補助制御部は一つ以上のバッテリー管理モジュールから故障発生信号を出力するか否かを確認する(S130)。ここで、故障発生信号が出力される場合、メイン制御部は、変更された基準電圧の大きさを初期に設定された基準電圧の大きさに再設定する(S140)。
【0062】
仮に一つ以上のバッテリー管理モジュールから故障発生信号が出力されない場合、補助制御部は、メイン制御部に異常発生信号を送信し、送信した異常発生信号に基づいてメイン制御部から応答信号を受信する(S150)。S150ステップでメイン制御部から応答信号を受信できない場合、補助制御部は、メイン制御部の動作を制御して動作を停止させる(S160)。
【0063】
図3は、本発明の一実施形態によるメイン制御部の異常診断システム100を用いてインターフェースIC 120の異常を診断する一連の過程を説明するためのフローチャートである。
【0064】
図3を参照すれば、先ず、メイン制御部が正常状態に診断される場合、メイン制御部において既に設定した基準電圧をインターフェースICの比較値に設定する(S210)。補助制御部は、スイッチ部の導通状態を制御して電圧源から出力される電圧をインターフェースICに印加し(S220)、インターフェースICは、設定された比較値と印加を受けた電圧の大きさを比較する。
【0065】
ここで、印加を受けた電圧の大きさが比較値を超過する場合、インターフェースICは故障発生信号を出力する(S240)。補助制御部は、インターフェースICから故障発生信号が出力されるか否かを確認し(S250)、S240ステップで故障発生信号が出力されたと判断される場合、インターフェースICを正常状態に診断する(S260)。その後、S210ステップに戻り、S210ステップ~S260ステップを繰り返し実行する。
【0066】
仮に印加を受けた電圧の大きさが比較値を超過しない場合、インターフェースICが故障発生信号を出力しない(S270)。S250ステップと同様に、補助制御部は、インターフェースICから故障発生信号が出力されるか否かを確認し(S280)、S270ステップで故障発生信号が出力されなかったと判断される場合、インターフェースICを異常状態に診断する(S290)。
【0067】
前述したメイン制御部の異常診断システム100を用いたメイン制御部の異常診断方法およびインターフェースICの異常診断方法は、図面に提示されたフローチャートを参照して説明された。簡単に説明するために、前記方法は一連のブロックで図示し説明されたが、本発明は前記ブロックの順に限定されず、幾つかのブロックは他のブロックと本明細書で図示し記述されたものとは互いに異なる順にまたは同時になされてもよく、同一または類似した結果を達成する様々な他の分枝、流れ経路およびブロックの順が実現されてもよい。また、本明細書にて記述される方法の実現のために示された全てのブロックが要求されなくてもよい。
【0068】
以上では本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該技術分野の熟練した当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることを理解することができるであろう。