(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】電子制御される抵抗器
(51)【国際特許分類】
H03H 7/25 20060101AFI20220705BHJP
H03M 1/12 20060101ALI20220705BHJP
H03M 1/66 20060101ALI20220705BHJP
H03H 11/46 20060101ALI20220705BHJP
H03H 11/54 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
H03H7/25
H03M1/12 C
H03M1/66 C
H03H11/46 B
H03H11/54
(21)【出願番号】P 2021538214
(86)(22)【出願日】2019-04-10
(86)【国際出願番号】 RU2019000233
(87)【国際公開番号】W WO2020209745
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-10-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517058657
【氏名又は名称】クローズド-アップ ジョイント-ストック カンパニー ドライブ
【氏名又は名称原語表記】CLOSED-UP JOINT-STOCK COMPANY DRIVE
【住所又は居所原語表記】Academic Lavrentyev av., 2/2 Novosibirsk, 630090 Russia
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ロマノフ,ユーリー・イゴレヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】マレツキー,スタニスラフ・ウラジーミロヴィチ
【審査官】橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-368562(JP,A)
【文献】特開2010-041159(JP,A)
【文献】特開昭51-114049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 7/25
H03M 1/12
H03M 1/66
H03H 11/46
H03H 11/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧変換器(101)と、
機器抵抗器(105)と、
減算器(103)と、
を備え、
前記電圧変換器(101)は、
第1の入力(109)、第2の入力(111)、および、第3の入力(113)を有し、
前記
電圧変換器(101)の第1の入力(109)は、第1の制御電圧源に接続するための端子(104)に接続され、
前記
電圧変換器(101)の第3の入力(113)は、高電位電圧端子(10)に接続され、
前記減算器(103)の第1の入力(117)が、前記電圧変換器(
101)の出力(115)に接続され、
前記減算器(103)の第2の入力(119)が、前記機器抵抗器(105)の第1の端子(121)に接続され、前記機器抵抗器(105)の第2の端子が、低電位端子(12)に接続される、
電子制御される抵抗器(ECR)(1)であって、
前記電圧変換器(101)
の第2の入力(111)は、第2の制御電圧源に接続するための端子(106)に接続され、
前記電子制御される抵抗器(ECR)(1)は、実行要素(107)をさらに備え、
前記実行要素(107)の第1の端子(125)が、前記機器抵抗器(105)
の第1の端子(121)に接続され、
前記実行要素(107)の第2の端子(127)が、前記減算器(103)の出力(123)に接続され、
前記実行要素(107)の第3の端子(129)が、前記高電位
電圧端子(10)に接続され、
前記電圧変換器(101)は、前記高電位
電圧端子(10)における電圧を、前記
電圧変換器(101)の第2の入力(111)における電圧で乗算し、前記
電圧変換器(101)の第1の入力(109)における電圧で除算して、前記電圧変換器(101)
の出力(115)における中間電圧信号を生み出すように適合させられ、以て、前記
電子制御される抵抗器(ECR)の抵抗を調節することが、前記中間電圧信号と、前記減算器(103)に付与される前記機器抵抗器(105)上の電圧降下との間の差の関数の形で、前記減算器(103)により利用可能になり、前記電圧降下は、前記機器抵抗器および前記実行要素を通って流れる電流によりもたらされる、
ことを特徴とする、
電子制御される抵抗器(ECR)(1)。
【請求項2】
前記電圧変換器(101)が、
互いに並列に接続される
第1の対数増幅器(603)、第2の対数増幅器(602)、および、第3の対数増幅器(601)と、
加算器(604)と、
追加的な減算器(605)と、
指数変換器(606)と、
を備え、
前記第1の対数増幅器(603)の入力が、前記電圧変換器(101)の
第3の入力(113)を通して前記高電位
電圧端子(10)に接続され、
前記第2の対数増幅器(602)が、前記電圧変換器(101)の
第2の入力(111)に接続され、
前記第3の対数増幅器(601)が、前記電圧変換器(101)の
第1の入力(109)に接続され、
前記第1の対数増幅器(603)および前記第2の対数増幅器(602)の出力が、前記加算器(604)の入力に接続され、
前記加算器(604)の出力が、前記追加的な減算器(605)の非反転入力に接続され、
前記第3の対数増幅器(601)の出力が、前記追加的な減算器(605)の反転入力に接続され、
前記追加的な減算器(605)の出力が、前記指数変換器(606)の入力に接続され、
前記指数変換器(606)の出力が、前記電圧変換器(101)
の出力(115)を含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電子制御される抵抗器(ECR)(1)。
【請求項3】
前記電圧変換器(101)が、
デジタルコンピューティングユニット(235)と、
アナログ-デジタル変換器(233)と、
デジタル-アナログ変換器(237)と、
を備え、
前記アナログ-デジタル変換器(233)の入力が、前記電圧変換器(101)
の第3の入力(113)に接続され、
前記アナログ-デジタル変換器(233)の出力が、前記デジタルコンピューティングユニット(235)の入力に接続され、
前記デジタルコンピューティングユニット(235)の第2の入力が、前記電圧変換器(101)
の第2の入力(111)に接続され、
前記デジタルコンピューティングユニット(235)の第3の入力が、前記電圧変換器(101)
の第1の入力(109)に接続され、
前記デジタルコンピューティングユニット(235)の出力が、前記デジタル-アナログ変換器(237)の入力に接続され、
前記デジタル-アナログ変換器(237)の出力が、前記電圧変換器(101)
の出力(115)
であり、
前記電圧変換器(101)
の第1の入力(109)はデジタルバスであり、
前記電圧変換器(101)
の第2の入力(111)もデジタルバスである
ことを特徴とする、
請求項1に記載の電子制御される抵抗器(ECR)(1)。
【請求項4】
前記実行要素(107)は、少なくとも1つのFE
Tを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子制御される抵抗器(ECR)(1)。
【請求項5】
前記実行要素(107)は、少なくとも1つのMOSFETを含むことを特徴とする、請求項4に記載の電子制御される抵抗器(ECR)(1)。
【請求項6】
前記実行要素(107)は、少なくとも1つのバイポーラトランジス
タを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子制御される抵抗器(ECR)(1)。
【請求項7】
前記実行要素(107)は、少なくとも1つの絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含むことを特徴とする、請求項6に記載の電子制御される抵抗器(ECR)(1)。
【請求項8】
前記実行要素(107)は、少なくとも1つの真空管を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子制御される抵抗器(ECR)(1)。
【請求項9】
電子制御される抵抗器(ECR)(1)を制御するための回路であって、
電圧変換器(101)と、
減算器(103)と
を備え、
前記電圧変換器(101)は、
第1の入力(109)、第2の入力(111)、および、第3の入力(113)を有し、
前記
電圧変換器(101)の第1の入力(109)は、第1の制御電圧の源に接続するためのものであり、
前記
電圧変換器(101)の第3の入力(113)は、前記電子制御される抵抗器(ECR)(1)の高電位電圧端子(10)に接続するためのものであり、
前記減算器(103)の第1の入力(117)が、前記電圧変換器(
101)の出力(115)に接続され、
前記減算器(103)の第2の入力(119)が、前記電子制御される抵抗器(ECR)(1)の機器抵抗器(105)の第1の端子(121)に接続するためのものである、
前記電子制御される抵抗器(ECR)(1)を制御するための回路において、
前記電圧変換器(101)
の第2の入力(111)は、第2の制御電圧の源に接続するためのものであり、
前記減算器(103)の出力(123)は、前記電子制御される抵抗器(ECR)(1)の実行要素
(107)の制御入力に接続するためのものであり、
前記電圧変換器(101)は、前記電子制御される抵抗器(ECR)(1)の前記高電位
電圧端子(10)における電圧を、前記
電圧変換器(101)の第2の入力(111)における電圧で乗算し、前記
電圧変換器(101)の第1の入力(109)における電圧で除算して、前記電圧変換器(101)
の出力(115)における中間電圧信号を生み出すように適合させられ、以て、前記電子制御される抵抗器(ECR)(1)の抵抗を調節することが、前記中間電圧信号と、前記減算器(103)に付与される前記電子制御される抵抗器(ECR)(1)の前記機器抵抗器(105)上の電圧降下との間の差の関数の形で、前記減算器(103)により利用可能になり、前記電圧降下は、前記電子制御される抵抗器(ECR)(1)の前記機器抵抗器(105)および前記実行要素(107)を通って流れる電流によりもたらされる
ことを特徴とする、
前記電子制御される抵抗器(ECR)(1)を制御するための回路。
【請求項10】
前記電圧変換器(101)が、
互いに並列に接続される
第1の対数増幅器(603)、第2の対数増幅器(602)、および、第3の対数増幅器(601)と、
加算器(604)と、
追加的な減算器(605)と、
指数変換器(606)と、
を含み、
前記第1の対数増幅器(603)の入力が、前記電圧変換器(101)の
第3の入力(113)を通して前記高電位
電圧端子(10)に接続するためのものであり、
前記第2の対数増幅器(602)の入力が、前記電圧変換器(101)の
第2の入力(111)に接続され、
前記第3の対数増幅器(601)の入力が、前記電圧変換器(101)の
第1の入力(109)に接続され、
前記第1の対数増幅器(603)および前記第2の対数増幅器(602)の出力が、前記加算器(604)の入力に接続され、
前記加算器(604)の出力が、前記追加的な減算器(605)の非反転入力に接続され、
前記第3の対数増幅器(601)の出力が、前記追加的な減算器(605)の反転入力に接続され、
前記追加的な減算器(605)の出力が、前記指数変換器(606)の入力に接続され、
前記指数変換器(606)の出力が、前記電圧変換器(101)
の出力(115)を含む、
ことを特徴とする、
請求項
9に記載の前記電子制御される抵抗器(ECR)(1)を制御するための回路。
【請求項11】
前記電圧変換器(101)が、
デジタルコンピューティングユニット(235)と、
アナログ-デジタル変換器(233)と、
デジタル-アナログ変換器(237)と、
を備え、
前記アナログ-デジタル変換器(233)の入力が、前記電圧変換器(101)
の第3の入力(113)に接続され、
前記デジタルコンピューティングユニット(235)の第1の入力が、前記アナログ-デジタル変換器(233)の出力に接続され、
前記デジタルコンピューティングユニット(235)の第2の入力が、前記電圧変換器(101)
の第2の入力(111)に接続され、
前記デジタルコンピューティングユニット(235)の第3の入力が、前記電圧変換器(101)
の第1の入力(109)に接続され、
前記デジタル-アナログ変換器(237)の入力が、前記デジタルコンピューティングユニット(235)の出力に接続され、
前記デジタル-アナログ変換器(237)の出力が、前記電圧変換器(101)
の出力(115)
であり、
前記電圧変換器(101)
の第1の入力(109)はデジタルバスであり、
前記電圧変換器(101)
の第2の入力(111)もデジタルバスである
ことを特徴とする、
請求項
9に記載の前記電子制御される抵抗器(ECR)(1)を制御するための回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気工学および電子工学に関し、電子手段を使用して電気回路の一部分の抵抗の変化を制御することを意図される。
【背景技術】
【0002】
電圧制御される可変抵抗器
(ECR)の使用によって、電気回路の一部分の抵抗を電子制御するための手段が、当技術分野において知られている。それらの設計のうちの1つ、具体的には、電界効果トランジスタ(FET)を含むECRが、Electronic Circuits: Handbook for Design and Application(電子回路:設計および応用のためのハンドブック)、U.Tietzeら、Springer、1978、
図5.19において説明されている。制御電圧が、FETのゲートにより表されるECRの入力に直接的に付与される。制御電圧が変動する際、FETチャネルの抵抗も変動する。このようにして、電気回路の一部分の抵抗の制御(および、結果として、その電気回路内の望まれる電気信号の電圧、電流、および電力の制御)が履行される。
【0003】
この設計および本発明の共通の特徴は、3つの端子を伴うMOSFETである。
知られている解決策の不利な点は、制御電圧と、電子制御される抵抗器ECRの抵抗(すなわち、FETチャネルの抵抗)との間の近似的に線形の依存性が認められる、FETのソースとドレインとの間の電圧の狭い範囲;抵抗値をセットすることの十分な正確性を達成することを可能にしない、制御特性の値における広がり;温度範囲にわたって安定的な特性を有することを可能としない、制御特性の温度依存性;FETのソースとドレインとの間の電圧からの抵抗値の依存性である。
【0004】
さらには(ロシア国特許第2658681号明細書、G05F 1/59、2018年6月26日公表)知られているのが、ECRが、MOSトランジスタと、MOSトランジスタに並列に接続され、それにより架橋されている、定格Rbrの抵抗器と、制御電圧変換器と、減算器とを備える、設計である。
【0005】
制御電圧が変化する際、MOSトランジスタチャネルの抵抗、およびそれに応じて、(MOSトランジスタが完全に開いているときにMOSトランジスタが事実上ゼロに閉じられるときのRbrからの)ECRの抵抗もそうである。そのことに起因して、電気回路の一部分の抵抗の制御が行われる。
【0006】
提案される設計、および、従来技術の共通の特徴は、
- 制御電圧の変換器、
- 減算器、
- 3つの端子を伴うMOSトランジスタであって、トランジスタのゲートが減算器の出力に接続される、MOSトランジスタ
である。
【0007】
従来技術装置は、とりわけ、周囲温度などの不安定化因子により影響を及ぼされる場合に、電気回路の一部分の抵抗を制御することの不十分な正確性という難があるように見受けられる。
【0008】
従来型の設計が、1976年10月7日付の特開昭51-114049号公報において開示されており、その文献において、ECRは、ダーリントントランジスタおよび機器抵抗器の直列回路、ならびに、電圧変換器であって、その入力のうちの1つにおいて、ECRの高電位端子から電圧を受ける、電圧変換器を含み、デジタルコードが、ECRの制御入力に送り出される。電圧変換器の出力は、減算器を経てダーリントントランジスタの制御入力に接続され、減算器の反転端子が、測定抵抗器に接続される。この解決策によれば、電圧変換器の機能は、デジタルコードにより表される制御信号を、ECRの高電位端子における電圧に加算することである。それゆえに、ECRの安定的な抵抗を、そのECRの高電位端子において、相対的に広い電圧範囲内で維持することは不可能になる。さらには、この解決策は、アナログ電圧によってECRを制御することを可能としない。
【0009】
別の従来技術解決策が、1988年3月23日付の欧州特許出願公開0260346号明細書において開示されており、その文献において、ECRは、MOSトランジスタおよび機器抵抗器の直列回路、ならびに、減算器、および、電圧変換器であって、その制御入力においてデジタルコードを受信する、電圧変換器を含み、MOSトランジスタを制御するために使用される信号は、ECRの高電位端子と、測定抵抗器電圧とデジタルコードとを合計することにより得られる制御信号との間の電圧差を表す。
【0010】
この解決策の主な欠点は、不安定化因子のもとでのECRの低い抵抗安定性である。さらには、この解決策は、アナログ電圧によってECRを制御することを可能としない。
さらに別の従来型の解決策が、2017年6月21日付の欧州特許出願公開3182243号明細書において開示されており、その文献において、ECRは、MOSトランジスタおよび機器抵抗器の直列回路、ならびに減算器を含み、機器抵抗器からの信号が、減算器の反転端子に付与され、制御抵抗器信号からの信号が、減算器の非反転端子に送り出される。
【0011】
しかしながら、この解決策は、アナログ電圧またはデジタルコードのいずれかによってECRを制御することを可能としない。ここでは、この制御は、制御抵抗器の抵抗値によって実現され、そのことは、この解決策の適用可能性を著しく制限する。
【0012】
ソ連発明者の証明書ソ連国特許発明第1807554号明細書、H03G 3/30、1993年4月7日公表において開示される装置が、本発明の最も近い類似物(原型)であると考えられる。
【0013】
原型は、2つの基準抵抗器と、2つの精密乗算器とを、かくして、抵抗の所与の値をセットすることの精密性を高めるために備えるECRを含む。チップ525ПС3、または、AD534などのそのチップの類似物は、装置において、電圧変換器として機能する精密アナログ乗算器として使用される。ECRの抵抗は、機器抵抗器として働く基準抵抗器の好まれる値に比例し、電圧変換器の入力における制御電圧の変化に反比例して変動することがある。
【0014】
原型、および、提案される設計の共通の特徴は、
- 制御電圧の第1の源に、および、共通電線に接続するための端子、ならびに、ECRを電気回路に接続するための高電位および低電位端子、
- 電圧変換器であって、その第1の入力が、第1の制御電圧の源に接続されることになるECRの端子に接続され、その第3の入力が、ECRの高電位端子に接続される、電圧変換器、
- 減算器、
- 機器抵抗器、
- 電圧変換器の出力への減算器の入力のうちの一方の接続、
- 機器抵抗器の第1の端子への減算器の他方の入力の接続、
- 共通電線に接続するための端子へのECRの低電位端子の接続
である。
【0015】
しかしながら、原型において、機器抵抗器を経る電流は、(525ПС3、または、同じことであるが、AD534によれば)制限抵抗器を通って共通電線に流れる。現実の実践において、結果として、制限抵抗器の抵抗への電子制御される抵抗器の抵抗の依存性が実在し、この構成要素を無視することは、機器抵抗器の値が制限抵抗器の値の多数倍である場合に可能であるのみである。それゆえに、現実の実践において高頻度で必要とされるECRの十分に低い抵抗を達成することは、原型において不可能である。加えて、ECR抵抗の小さい値を達成することは、制御電圧からの、その抵抗の反対依存性により制限され、抵抗の小さい値をもたらすように、制御電圧は、非実用的なほどに大であるべきである。他方では、制御電圧からの抵抗の正依存性を有することは、原型において不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】ロシア国特許第2658681号明細書
【文献】ソ連国特許発明第1807554号明細書
【文献】特開昭51-114049号公報
【文献】欧州特許出願公開0260346号明細書
【文献】欧州特許出願公開3182243号明細書
【非特許文献】
【0017】
【文献】Electronic Circuits: Handbook for Design and Application
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、所望される抵抗値の細かなセッティングを可能にし、一方で、広い範囲にわたる温度変化を含む不安定化因子に対する耐性を維持する、好ましくは低いオーミックECRを提供することにより、従来技術の不利な点を克服することである。
【0019】
従来技術において達成されることが不可能と考えられる技術的結果は、ECRの定格の抵抗の値の範囲を、主にその抵抗の小さい値の側に広げることにある。ECRが配される電気回路の一部分の抵抗の値は、技術的実現形態を考慮に入れると、可能な限り低くあり得るものであり、一方で、不安定化因子に対する高い耐性が維持される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によるECRは、制御電圧の第1の源に接続するための端子、共通電線に接続するための端子、ならびに、ECRを電気回路内へと組み込むための高電位端子および低電位端子を設けられる。ECRは、電圧変換器と、機器抵抗器と、減算器とを備える。電圧変換器は、3つの入力を有する。第1の入力が、制御電圧の第1の源に接続するための端子に接続され、第3の入力が、ECRの高電位端子に接続され、減算器の第1の入力が、電圧変換器の出力に接続され、減算器の第2の入力が、機器抵抗器の第1の端子に接続され、低電位端子は、共通電線に接続するための端子に接続される。
【0021】
上記の目的は、このECRにおいて、そのECRに、実行要素、および、制御電圧の第2の源に接続するための追加的な端子を設けることにより達成される。実行要素の第1の端子が、機器抵抗器の第1の端子に接続され、実行要素の第2の端子が、減算器の出力に接続され、実行要素の第3の端子が、高電位端子に接続される。機器抵抗器の第2の端子が、低電位端子に接続され、電圧変換器の第2の入力が、制御電圧の第2の源に接続するための追加的な端子に接続される。
【0022】
電圧変換器は、1つの制御電圧の値の、別の制御電圧の値に対する比率と、高電位電圧とを乗算して、中間電圧信号を生成するように適合させられる。かくして、電圧減算器は、中間電圧信号と、実行要素および機器抵抗器を通って流れる電流に起因して機器抵抗器から感知される電圧降下信号との間の差の関数の形で、電子制御される抵抗器の抵抗を調節することができるようになる。
【0023】
提案されるECRのさらに別の特徴は、電圧変換器が、互いに並列な3つの対数増幅器と、加算器と、追加的な減算器とを含むことができ、3つの対数増幅器のうちの第1のものの入力が、高電位端子に接続され、3つの対数増幅器のうちの第2のものの入力が、制御電圧のうちの1つの源に接続され、3つの対数増幅器のうちの第3のものの入力が、制御電圧のうちの別のものの源に接続され、第1および第2の対数増幅器の出力が、加算器の入力に接続され、加算器の出力が、追加的な減算器の非反転入力に接続され、第3の対数増幅器の出力が、追加的な減算器の反転入力に接続され、追加的な減算器の出力が、指数変換器の入力に接続され、指数変換器の出力が、電圧変換器の出力であるということである。
【0024】
本発明のさらに別の特徴は、電圧変換器が、デジタルコンピューティングユニットと、アナログ-デジタル変換器と、デジタル-アナログ変換器とを備えるということにある。アナログ-デジタル変換器の入力が、電圧変換器の第3の入力に接続され、アナログ-デジタル変換器の出力が、デジタルコンピューティングユニットの1つの入力に接続され、対して、デジタルコンピューティングユニットの別の入力が、電圧変換器の第2の入力に接続される。デジタルコンピューティングユニットの出力が、デジタル-アナログ変換器の入力に接続され、デジタル-アナログ変換器の出力が、電圧変換器の出力に接続される。電圧変換器の第1の入力は、制御電圧の第1の源に接続するための電子制御される抵抗器の端子に接続される、少なくとも単一ビットのデジタルデータバスを含み、電圧変換器の第3の入力は、制御電圧の第2の源に接続するための電子制御される抵抗器の端子に接続される、少なくとも単一ビットのデジタルデータバスを含む。
【0025】
さらには、電子制御される抵抗器の実行要素は、少なくとも1つのFET、特にMOSFETを含むことができる。
代替案として、電子制御される抵抗器の実行要素は、少なくとも1つのバイポーラトランジスタ、特に絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含むことができる。
【0026】
さらに代替案として、電子制御される抵抗器の実行要素は、少なくとも1つの電子管を含むことができる。
上記で説明された設計は、提案されるECR抵抗器を装置において使用することを、その抵抗器が、制御電圧からの正または逆依存性の両方に基づいて、および、両方の可変制御電圧からの依存性に基づいて、抵抗を制御するように要求される場合に、可能にする。さらには、大きい電流を通過させることができる実行要素を使用することに起因して、原型においてのように、機器抵抗器の好まれる大きい値のみではなく、さらには、機器抵抗器の、および結果として、ECRの好まれる小さい値を得ることが可能になる。
【0027】
さらには、本発明の範囲の中で特許保護のために提示されるのが、ECRを制御するための制御回路であり、制御回路は、電圧変換器と、減算器とを備える。電圧変換器は、第1、第2、および第3の入力を有する。第1の入力は、変換器を第1の制御電圧の源に接続するためのものであり、電圧変換器の第2の入力は、第2の制御電圧の源に接続するためのものであり、第3の入力は、高電位電圧の源に接続するためのものである。減算器の第1の入力が、電圧変換器の出力に接続され、減算器の第2の入力が、ECRの機器抵抗器の第1の端子に接続され、対して、減算器の出力が、ECRの実行要素の制御入力に接続される。電圧変換器は、1つの制御電圧の値の、別の制御電圧の値に対する比率と、高電位電圧とを乗算して、中間電圧信号を生成するように適合させられる。かくして、電圧減算器は、中間電圧信号と、実行要素および機器抵抗器を通って流れる電流に起因して機器抵抗器から感知される電圧降下信号との間の差の関数の形で、電子制御される抵抗器の抵抗を調節することができる。
【0028】
制御回路の電圧変換器は、互いに並列に接続される3つの対数増幅器と、加算器と、追加的な減算器と、指数変換器とを備えることができる。対数増幅器の入力は、電圧コネクタの入力である。第1の対数増幅器の入力が、高電位電圧の源に接続され、第2の対数増幅器の入力が、制御電圧のうちの一方の源に接続され、対して、第3の対数増幅器の入力が、制御電圧のうちの他方の源に接続される。第1および第2の対数増幅器の出力が、加算器の入力に接続される。加算器の出力が、追加的な減算器の非反転入力に接続され、対して、第3の対数増幅器の出力が、追加的な減算器の反転入力に接続され、追加的な減算器の出力が、指数変換器の入力に接続され、指数変換器の出力が、電圧変換器の出力である。
【0029】
代替案として、制御回路の電圧変換器は、デジタルコンピューティングユニットと、アナログ-デジタル変換器と、デジタル-アナログ変換器とを備えることができる。アナログ-デジタル変換器の入力が、電圧変換器の第3の入力に接続される。デジタルコンピューティングユニットの入力に付与されるのが、アナログ-デジタル変換器の出力からの信号、および、電圧変換器の入力からの制御電圧であり、入力の各々は、デジタルバスを呈する。デジタル-アナログ変換器の入力が、デジタルコンピューティングユニットの出力に接続され、デジタル-アナログ変換器の出力が、電圧変換器の出力に接続される。
【0030】
提案される設計の本質が、付随する図面を参照してさらに解説される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明による電子制御される抵抗器のアナログ実現形態の可能な変形例のうちの1つを提示する図である。
【
図2】本発明による電子制御される抵抗器のデジタル実現形態の可能な変形例のうちの1つを例示する図である。
【
図3】
図1において示される電子制御される抵抗器の修正形態を示す図である。
【
図4】
図2において示される電子制御される抵抗器の修正形態を示す図である。
【
図5】電子制御される抵抗器の抵抗に対する制御電圧応答特性を例示する図である。
【
図6】電圧変換器の可能な実現形態のうちの1つを示す図である。
【
図7】電圧変換器の可能な実現形態のうちの別の1つを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明のより良好な理解の目的のために、後に続く定義が紹介される。
電圧変換器 - 制御電圧を中間信号へと変換するように適合させられる電気回路の構成要素であり、中間信号の値は、制御電圧の源からの信号のセット比率と同等に(等しく)セットされ得る。電圧変換器は、アナログIC、マイクロプロセッサ、プログラムされたロジックアレイ、その他を含むが、ただしそれらに制限されない、様々な実現形態を有することができる。
【0033】
実行要素 - 3つの端子を設けられる電気回路の構成要素であり、端子のうちの1つは、制御入力である。実行要素は、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ(絶縁ゲートを伴うものを含む)、電子管、その他を使用するものを含むが、ただしそれらに制限されない、様々な実現形態を有することができる。
【0034】
図1および2において提示されるのは、電圧変換器101と、減算器103(例えば、演算増幅器を含む)と、機器抵抗器105と、実行要素107とを備える、電子制御される抵抗器(ECR)1である。電圧変換器101の第1および第2の入力109および111が、それぞれ、制御電圧の第1および第2の源(示されない)に接続されることを定められた、ECR1の端子104および106に接続される。第3の入力113が、ECR1の高電位端子10に接続され、変換器101の出力115が、中間信号を減算器103に供給する役目をする。電源電圧が、ECR1の端子102に達し、対して、端子108が、共通電線に接続される。
電圧変換器101および減算器103が、ECRを制御するための制御回路110を構成する。減算器103の第1の(非反転)入力117が、電圧変換器101の出力115に接続され、減算器103の第2の(反転)入力119が、
制御回路110の入力122を経て、機器抵抗器105の第1の端子121に接続され、減算器103の出力123が、
制御回路110の出力124を経て、制御信号を、例えば3つの端子を有する実行要素107に供給する役目をする。実行要素107の第1の端子125が、例えば、機器抵抗器105の第1の端子に接続され、実行要素107の制御入力である第2の端子127が、減算器103の出力123に接続され、対して、実行要素107の第3の端子129が、例えば、ECR1の高電位端子10に接続される。
【0035】
さらには、機器抵抗器105の第2の端子131が、ECR1の低電位端子12に、および、端子108に接続される。高電位10および低電位12の端子は、ECR1を電気回路(示されない)内へと接続する役目をする。
【0036】
デジタル実現形態(
図2)において、
ECR1は、電圧変換器
101を備え、その電圧変換器は、アナログ-デジタル変換器233と、デジタルコンピューティングユニット235と、デジタル-アナログ変換器237とを備える。アナログ-デジタル変換器233の入力が、電圧変換器
101の端子
113に接続される。デジタルコンピューティングユニット235の入力に達しているのが、電圧変換器
101の入力
109および
111からのデジタル形式での制御電圧、ならびに、アナログ-デジタル変換器233の出力からの信号である。デジタル-
アナログ変換器237は、その変換器の入力により、デジタルコンピューティングユニット235の出力に、および、その変換器の出力により、電圧変換器
101の出力
115に接続される。
【0037】
上記で論考された様式で設計されるECRは、後に続く関係式によって変動する、ECRの(そのECRの高電位端子と低電位端子との間の)制御される抵抗を有することを可能にする。
【0038】
R0=UC1*R/UC2 (1)
すなわち、ECRの抵抗の値R0は、実行要素に直列に接続される機器抵抗器の好まれる値Rに比例し、比例因子は、第2の制御電圧の値UC2に対する第1の制御電圧の値UC1の商に等しい。そのことに起因して、提案されるECRは、抵抗が、制御電圧からの、その抵抗の正依存性に従って制御されるべきである場合の装置においてのみではなく、さらには、依存性が逆である場合、または、両方の可変制御電圧からの依存性が生起する場合に用いられ得る。
【0039】
原型とは相違するように、機器抵抗器の好まれる大きい値のみが得られ得る場合、提案されるECRは、大である電流を通過させることができる実行要素を使用することに起因して、さらには、機器抵抗器の好まれる小さい値、および結果として、ECRの抵抗の小さい値を得ることができる。
【0040】
図1によれば、ECR1は、後に続くように動作する。電源電圧U
CCが、ECR1の端子102および108に付与され、第1のU
C1および第2のU
C2の制御電圧が、ECR1の端子104および106に、ならびにそれぞれ、電圧変換器101の入力109および111に付与される。同時に、ECR1の高電位端子10から電圧変換器101の第3の入力113に達しているのが、ECR1の高電位10および低電位12の端子の間の電位差に対応する電圧U
1である。
【0041】
電圧変換器101は、電圧変換器101の出力115において形成されているのが、1つの制御電圧、例えば第2のものの値を、別の制御電圧、例えば第1のもので割った商との、ECR1の高電位端子10における電圧U1の積に等しい値を有する中間信号Sであるような手立てで、電圧UC1、UC2、およびU1を変換する。信号は、次の関係式により例示される。
【0042】
S=U
1*U
C2/U
C1 (2)
電圧変換器101は、任意の知られている手立てで、
ならびに、例えば、
T.V MirinaおよびN.V.Mirin、Functional electronic units of measuring and diagnostic systems(測定および診断システムの機能的電子ユニット)、M.,Flinta、2012、228、図11.3において説明される設計によって現実化され得る。
【0043】
特に、対数化および指数(逆)変換、ならびに、
図6において示されるそれぞれの図式を使用して、変換器101を実現することが可能である。そこでは、601,602、および603-関数U
out=Ln(U
in)を遂行する
対数増幅器であり、ここで、U
outおよびU
inは、それぞれ、
対数増幅器の出力および入力電圧であり、604-関数U
out=U
in1+U
in2を現実化する加算器であり、605は、関数U
out=U
in1-U
in2を遂行する追加的な減算器であり、ここで、U
in1およびU
in2は、それぞれ、減算器605の非反転および反転入力における信号であり、606は、関数U
out=exp(U
in)を履行する指数変換器である。
【0044】
受け入れられる指定内容(designations)を考慮に入れると、電圧変換器101は、後に続くように動作する。
制御電圧UC1およびUC2は、それぞれ、対数増幅器601および602の入力に達し、ECR1の高電位端子10からの電圧U1は、電圧変換器101の第3の入力113を通って、対数増幅器603の入力に達する。対数変換の結果において、信号Ln(UC1)が、対数増幅器601の出力から生成され、信号Ln(UC2)が、対数増幅器602の出力から生成され、信号Ln(U1)が、対数増幅器603の出力から生成される。そのような手立てで得られる入力信号の対数は、対数増幅器601の出力から、追加的な減算器605の反転入力に、ならびに、対数増幅器602および603の出力から、加算器604を経て、追加的な減算器605の非反転入力に付与される。そのことに起因して、信号Ln(U1)+Ln(UC2)-Ln(UC1)が、追加的な減算器605の出力において生成される。指数変換器606における変換の後、信号が、その指数変換器の出力において生成され、信号は、次式の、電圧変換器101の出力信号である。
【0045】
S=U1*UC2/UC1 (2)
上記の様式で形成される中間信号は、電圧変換器101の出力115から、減算器103の第1の非反転入力117に達し、機器抵抗器105の第1の端子121から、減算器103の第2の反転入力119に達しているのが、電圧U2である。U2の値は、実行要素107の電流I0により引き起こされる、抵抗器105をまたぐ電圧における降下に等しい。I0は、ECR1の高電位10および低電位12の端子の間の電位差U1に起因して、後に続く回路:高電位端子10 - 実行要素107 - 実行要素107と直列に接続される機器抵抗器107 - 低電位端子12内を流れる。
【0046】
結果として、電圧U2の値は、次の関係式により表現される。
U2=I0*R (3)
ここで、Rは、機器抵抗器の好まれる値であり、その値は、技術的実現形態を考慮に入れると、可能な限り小さく選定され得る。
【0047】
減算器103の出力123から、実行要素107の制御入力に付与されるのが、減算器103の第1の非反転入力117における中間信号Sと、減算器103の第2の反転入力119における電圧U2との間の差に比例する電圧である。中間信号Sの値が電圧U2の値より大きいならば、実行要素107の制御端子127における電圧が、実行要素107を開き、その実行要素を通る電流I0は増大し、そのことは、電圧U2の増大を結果的に生じさせる。このプロセスは、電圧U2の値が中間信号Sの値に等しくなるまで継続することになる。
【0048】
他方では、中間信号Sの値が電圧U2の値未満であるならば、実行要素107の制御端子127における電圧は、実行要素107を閉じていることになり、その実行要素を通る電流I0は減少し、そのことは、電圧U2の減少を結果的に生じさせる。このプロセスは、電圧U2の値が中間信号Sの値に等しくなるまで継続することになる。
【0049】
ここに、実行要素107、機器抵抗器105、および減算器103を取り巻くフィードバックの存在に起因して、比率
S≒U2 (4)
が、提案される設計において常に甘受されることになり、または、(2)および(3)からのSおよびU2に対するそれぞれの値を適用すると、次式となる。
【0050】
UC2*U1/UC1=I0*R (5)
比率(4)は、広い範囲の温度変動を含む様々な不安定化因子にさらされることからは安定的に振る舞い、そのことは、フィードバックの深さにより確実にされる。
【0051】
ECR1の高電位10および低電位12の端子の間の抵抗R0の値が、電圧U1を、直列に接続される実行要素107および機器抵抗器105を通って流れる電流I0で割った商に等しいということ、すなわち、
RO=U1/I0 (6)
を勘考することにより、比率(1):RO=UC1*R/UC2が、(5)および(6)から導出され得る。
【0052】
そのことから、電圧変換器101の出力における中間信号を
S=UC1*U1/UC2
として形成すること、この信号を、減算器103の第1の非反転入力117にさらに付与すること、機器抵抗器をまたぐ電圧U2=I0*Rを、減算器103の第2の反転入力119に付与すること、および、上記で論考されたフィードバックに起因して等式S≒U2を確実にすることの手段により、ECR1の抵抗R0の値が、実行要素と直列に接続される機器抵抗器の好まれる値Rに比例するようにされ、比例因子は、第2の制御電圧の値に対する第1の制御電圧の値の比率に等しいということになる。
【0053】
さらには、比率(6)から、実行要素により提供される十分に大きいI0において、R0の小さい、および極度に小さい値を得ることが実現可能であるということになっている。
【0054】
それゆえに、電気回路の一部分の抵抗を制御するために使用されるのが、UC1および/またはUC2の値の変動であり、そのことにより、正比例、または逆比例、または組み合わされた機能のいずれかが、ECRに課される要件に依存して達成され得る。
【0055】
制御電圧からのECRの正比例依存性は、UC2の値が、何らかの技術的に実現可能な手立てで固定された様態にされ、UC1の値のみが変動させられるならば達成され得る。
制御電圧からのECRの逆比例依存性は、UC1の値が、何らかの技術的に実現可能な手立てで固定された様態にされ、UC2の値のみが変動させられるならば達成され得る。
【0056】
組み合わせ機能は、U
C1およびU
C2の両方が、あらかじめセットされた規則によって変動する場合に達成され得る。
図2による
ECR(第2のデジタル実現形態)は、後に続くように動作する。
【0057】
電源電圧UCCが、電子制御される抵抗器の端子102および108に付与され、対して、第1および第2のデジタル制御電圧UC1-1およびUC2-1が、それぞれ、端子104および106に付与される。端子104および106は、それぞれ、端子109および109に接続されるので、第1および第2のデジタル制御電圧UC1-1およびUC2-1は、電圧変換器101の端子109および109に達する。同時に、ECRの高電位10および低電位12の端子の間の電位差に対応する電圧U1が、高電位端子10から電圧変換器101の第3の入力113に付与される。
【0058】
電圧変換器
101のアナログ-デジタル変換器233において履行されるのが、アナログ電圧U
1の、その電圧のデジタル形式U
1-1への変換である。結果的に生じるデジタルコードが、デジタル制御電圧U
C1-1およびU
C2-1と一緒に、デジタルコンピューティングユニット235の入力に、そのユニットのそれぞれの出力における中間信号S
1を形成するような手立てで変換されるために達する。まさに
図1において示される実現形態においてのように、S
1の値は、第2の制御電圧の値を第1の制御電圧の値で割った商との、高電位端子における電圧のデジタル値U
1-1の積に等しく、後に続く比率により定義される。
【0059】
S
1=U
1-1*U
C2-1/U
C1-1 (7)
代替案として、電圧変換器
101は、
図7において示されるように、マイクロプロセッサを使用して作製され得る。
図7において指定されるのは、入出力ユニット701、算術論理ユニット702、ランダムアクセスメモリ703、読み出し専用メモリ704である。
図2におけるように、233はアナログ-デジタル変換器であり、237はデジタル-アナログ変換器である。
【0060】
上記で述べられた様式で作製および指定されて、電圧変換器
101は、後に続くように動作する。
第1のU
C1-1および第2のU
C2-1のデジタル制御電圧は、入出力ユニット701の入力に達する。
ECR(
図2)の高電位端子10からの電圧U
1は、電圧変換器
101の入力
113に達し、次いで、アナログ-デジタル変換器233におけるデジタル形式への変換の後、さらには、デジタル電圧U
1-1として、入出力ユニット701に付与される。入出力ユニット701は、デジタル電圧U
C1-1、U
C2-1、およびU
1-1を算術論理ユニット702に伝達し、その算術論理ユニットは、読み出し専用メモリ704において保存されるプログラムによって、デジタル形式での中間信号S
1
S
1=U
1-1*U
C2-1/U
C1-1
を算出して、算出の中間結果をランダムアクセスメモリ703と交換する。算術論理ユニット702から、得られるデジタル中間信号S
1が入出力ユニット701に達し、後者は、その信号をデジタル-アナログ変換器237の入力に伝達する。デジタル-アナログ変換器237は、デジタル信号S
1を、関係式(2)によって、そのデジタル信号のアナログ形式Sへと転換する。
【0061】
第1のアナログ実現形態と同様に、上記で論考された手立てで形成される中間信号Sは、電圧変換器101の出力115から、減算器103の第1の(非反転)入力117に達する。減算器103の第2の(反転)入力119に付与されるのが、機器抵抗器105の第1の端子121から達する電圧U2である。U2の値は、実行要素107の電流I0により生み出される、機器抵抗器105における電圧降下に等しい。ECRの高電位端子10と低電位端子12との間の電位における差U1に起因して、電流I0は、高電位端子10と、実行要素107と、後者と直列に接続される機器抵抗器105と、低電位端子12とを備える回路を通って流れる。
【0062】
図1において示される実現形態において生起する同じ様式で、U
2の値は、次式の比率により表現され得る。
U
2=I
0*R (3)
ここで、Rは、機器抵抗器の好まれる値であり、その値は、工学実現形態が可能とするのと同じほど小さく選定され得る。
【0063】
減算器103の第1の(非反転)入力117における中間信号Sと、減算器103の第2の(反転)入力119における電圧U2との間の差に比例する、結果的に生じる電圧が、減算器103の出力123から、実行要素107の制御端子127に付与される。中間信号Sの値が電圧U2の値より大きいならば、実行要素107の制御端子127における電圧が、実行要素107を開き、その実行要素を通る電流I0は増大し、そのことは、電圧U2の増大を結果的に生じさせる。このプロセスは、電圧U2の値が中間信号Sの値に等しくなるまで継続することになる。
【0064】
他方では、中間信号Sの値が電圧U2の値未満であるならば、実行要素107の制御端子127における電圧は、実行要素107を閉じていることになり、その実行要素を通る電流I0は減少し、そのことは、電圧U2の減少を結果的に生じさせる。このプロセスは、電圧U2の値が中間信号Sの値に等しくなるまで継続することになる。
【0065】
ここに、実行要素107、機器抵抗器105、および減算器103を取り巻くフィードバックの存在に起因して、
図1により例示される実現形態と同様の比率
S≒U
2 (4)
が、
図2において示されるようなECR2において常に甘受されることになる。(2)および(3)からのSおよびU
2に対するそれぞれの値を適用すると、次式となる。
【0066】
U
C2-1・U
1/U
C1-1=I
0・R (5)
フィードバックの深さにより確実にされて、比率(4)は、広い範囲の温度変動を含む様々な不安定化因子にさらされることからは安定的に振る舞う。
図1において示されるバージョンに関係付けられるのと同じ手立てを推論するとき、比率(1)が、再び次式のように得られ得る。
【0067】
R
0=U
C1-1・R/U
C2-1
ここで、制御電圧は、デジタル形式で提示される。
上記から、電圧変換器
101が、アナログ-デジタル変換器、デジタルコンピューティングユニット、およびデジタル-アナログ変換器の、それらの間の上記で述べられた接続を伴う集合体を備えるとき、
図1において示される変形例と同様に、ECRの抵抗を制御することが可能になり、その抵抗は、実行要素と直列に接続される機器抵抗器の好まれる値に比例することになり、比例因子は、第2の制御電圧の値に対する第1の制御電圧の値の比率に等しいことになるということになる。
【0068】
それゆえに、電気回路の一部分の抵抗を制御するために、そのことにより、正比例機能、または逆比例機能、または組み合わされた機能のいずれかを、ECRに課される要件に依存して達成するために使用されるのが、UC1-1および/またはUC2-1の値の変動である。
【0069】
制御電圧からのECRの正比例依存性は、UC2-1の値が、何らかの技術的に実現可能な手立てで固定された様態にされ、UC1-1の値のみが変動させられるならば達成され得る。
【0070】
制御電圧からのECRの逆比例依存性は、UC1-1の値が、何らかの技術的に実現可能な手立てで固定された様態にされ、UC2-1の値のみが変動させられるならば達成され得る。
【0071】
組み合わせ機能は、UC1-1およびUC2-1の両方が、あらかじめセットされた規則によって変動する場合に達成され得る。
上記から、提案されるECRにより確実にされる技術的結果は、ECRの抵抗の好まれる値の値の範囲を、主にその抵抗の小さい値の側に広げることにあるということになる。不安定化因子に対する高い耐性を維持する一方で、ECRが配される電気回路の一部分の抵抗の値は、技術的実現形態を考慮に入れると、可能な限り低くあり得る。
【0072】
ECRを実現するとき、電圧変換器101の技術的現実化の様々なバージョンが使用され得るということが、当業者により理解される。例えば、乗算および除算演算は、任意の順序:
- 最初に遂行されるのがU
1*U
C2演算であり、次いで、結果がU
C1で除算される、または、
- 最初に遂行されるのがU
1/U
C1演算であり、次いで、結果がU
C2で乗算される、または、
- 演算U
C2/U
C1が始まりにおいて遂行され、結果にU
1を乗算することが後に続く、
- または、演算U
C1*U
1/U
C2が、例えば、
E.A.Kolombet、Microelectronic devices for processing analog signals(アナログ信号を処理するためのマイクロ電子デバイス)、M.,Radio and Svyaz’、1991、62、図3.1において示されるように、並列に遂行される。
【0073】
乗算は、例えば、
A.V.MikushinおよびV.I.Sedinin、Electronic units and systems design(電子ユニットおよびシステム設計)、SibGUTI、Novosibirsk、2017、116、図3.13.における「Analog multipliers(アナログ乗算器)」において、または、
T.V.MirinaおよびN.V.Mirin、Functional electronic units of measuring and diagnostic systems(測定および診断システムの機能的電子ユニット)、M.,Flinta、2012、228、図11.7における「Analog signal multiplier(アナログ信号乗算器)」において開示されるような、多くの手立てで遂行され得る。具体的には、一般に使用されるのは、
- バイポーラトランジスタを使用するリング乗算器(IC AD530、AD534、AD834、および多くの他のもの)、
- パルス乗算器、
- 対数乗算器、
- 可変勾配乗算器、その他
である。
【0074】
除算が、さらには、
- 乗算器がフィードバック抵抗器と直列で含まれる、従来型の増幅器-インバータの手段により、
- 可変勾配方法を使用して、
- 対数をとることの方法を使用して、その他で、
(例えば、
E.A.Kolombet、Microelectronic devices for processing analog signals(アナログ信号を処理するためのマイクロ電子デバイス)、M.,Radio and Svyaz’、1991、67、図3.6.における「Analog signal divider(アナログ信号除算器)」において開示されるような多くの手立てで実現され得る。
【0075】
制御信号がデジタル形式で達する場合、電圧変換器
101は、上記で論考され、
図2により例示されるように、デジタルコンピューティングユニットを使用して実現され得る。この事例において、乗算および除算は、任意の適したマイクロプロセッサによってソフトウェアを使用することにより遂行され得る。さらには、乗算および除算は、コンビナトリアル乗算器/除算器またはプログラマブルロジックデバイス(PLD)などのハードウェアにより遂行され得る。
【0076】
当業者は、さらには、実行要素107が、MOSもしくはバイポーラトランジスタ、または電子管、その他を含むことができるということを理解する。
本発明を実現する装置のすべての他の要素は、よく知られており、技術文献において論考されている。
【0077】
上記で論考された例は、本発明の範囲を制限することを意図されない。
例えば、機器抵抗器の好まれる値の範囲は、数オームから数ミリオームに至るまでから選定され得る。
【0078】
実行要素107(207)を過渡状態に対して保護するために、
図3(
図4)において示される追加的な抵抗器R
s337(437)の並列接続が使用され得る。抵抗器R
sの端子333(433)および335(435)は、それぞれ、実行要素107の端子129および125に接続される。
【0079】
図1により例示されるECRは、例えば、チップまたはチップ組立体またはマイクロプレートであって、その端子が102,104,106,108,10,12である、チップまたはチップ組立体またはマイクロプレートとして作製され得る(
図1)。
【0080】
図1において示されるECRは、さらには、例えば、チップまたはチップ組立体またはマイクロプレートであって、その端子が
102,104,106,108,10,12,123、および121であり、実行要素107が、その端子125,127,129により、それぞれ、端子121,123,10に接続される、チップまたはチップ組立体またはマイクロプレートとして作製され得る(
図1)。
【0081】
図2において提示されるECRは、例えば、チップまたはチップ組立体またはマイクロプレートであって、その端子が
102,104,106,108,10,12である、チップまたはチップ組立体またはマイクロプレートとして作製され得るものであり、端子
104および
106は、I
2C、SPI、インクリメント-デクリメントなどの、シリアルインターフェイスまたはパラレルインターフェイスに準拠する端子の群を含むことができる。
【0082】
図2において描写されるECRは、さらには、例えば、チップまたはチップ組立体またはマイクロプレートであって、その端子が
102,104,106,108,10,12,123、および121である、チップまたはチップ組立体またはマイクロプレートとして作製され得るものであり、端子
104および
106は、I
2C、SPI、インクリメント-デクリメントなどの、シリアルインターフェイスまたはパラレルインターフェイスに準拠する端子の群を含むことができ、対して、実行要素107が、端子125,127,129により、それぞれの端子121,123、および10に接続され得る。
【0083】
本発明のECRの機能性は、従来技術の機能性より実質的に広く、なぜならば、その機能性は、制御電圧への正依存性および逆依存性の様態の両方で、ならびに、両方の可変制御電圧への依存性の様態で、抵抗を制御することが必要とされる場合に、装置において使用され得る低オーミックECRを、主に、ただしそれに制限されないが、現実化することを可能にするからである。そのことによって、抵抗を制御することが、アナログ制御電圧またはデジタル制御コードのいずれかを使用することにより実現され得るものであり、対して、ECRを通って流れる電流は、10A以上にまで届くことがある。
【0084】
電池充電デバイス、2次電源ユニットに対する力率補正デバイス、同期モータ、その他が、そのような装置の例である。
それゆえに、提案される解決策は、DCおよびAC電気回路の一部分の抵抗を制御するために、ならびにゆえに、所望される信号の電圧、電流、および電力を制御するために、電子工学および電気工学の様々な分野において広く使用されるように、最も良好に配される。
【0085】
現実のECRは、(デジタル図式を使用する)第2の選択案によって作製された。そのECRは、U
C2-1の固定された値において試験され、対して、第1の制御電圧U
C1-1が変動した。
図5は、U
C1-1からのECRの抵抗R
0の依存性を例示する。その
図5は、ECRの抵抗の測定された値、R
0 measが、U
1の値が何であれ、U
C1-1の値に正比例であり、高度に線形であるということを示す(参考のために、算出された値、R
0 calcもまた示される)。そこでは、R
0 measの値は、0.02Vに等しいU
C1-1における1.045オームから、0.85Vに等しいU
C1-1における40オームまでの範囲において明示される。R
0のそれほどに小さい値を確実にする、当技術分野において知られている、および、電気回路の一部分の抵抗を制御するために使用される、他の装置はない。
【0086】
提供される例は本発明の範囲を制限しないということが理解される。例えば、上記で開示された一部の要素のハードウェア部分は、別段に明確に指示されない限り、一部の他の要素のハードウェア部分と異なる、または部分的に一致する、または完全に一致することがある。さらには、一部の要素のハードウェア部分は、別段に明確に指示されない限り、一部の他の要素の様々な部分内へと配されることがある。