(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】マンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B66B 23/12 20060101AFI20220706BHJP
B66B 23/02 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
B66B23/12 F
B66B23/02 Z
(21)【出願番号】P 2020178582
(22)【出願日】2020-10-26
【審査請求日】2020-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 清秀
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅昭
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-359367(JP,A)
【文献】特開2002-348081(JP,A)
【文献】特開2001-163562(JP,A)
【文献】特開2003-146569(JP,A)
【文献】特開2002-167149(JP,A)
【文献】特開2013-126912(JP,A)
【文献】特開2006-225148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が乗る踏面部と、回転可能な転動体と、を有する複数のステップと、
前記転動体を案内する案内部と、
少なくとも一つの前記ステップに取り付けられ、前記転動体を回転させる駆動源と、を備えるマンコンベヤであって、
前記複数のステップのうち、隣接する第1及び第2ステップ同士が当たることを抑制する抑制手段を備え、
前記抑制手段は、第1端部が前記第1ステップに回転可能に接続され且つ第2端部が前記第2ステップに回転可能に接続される
一つのリンクを備え
、
前記一つのリンクは、前記第1ステップ及び前記第2ステップの同じ位置に回転可能に接続される、マンコンベヤ。
【請求項2】
前記転動体は、横方向を軸にして回転可能であり、
前記第2ステップの前記踏面部の先端部は、前記第1及び第2ステップが搬送路に位置しているときに、前記第1ステップと前記横方向視にて重なる、請求項1に記載のマンコンベヤ。
【請求項3】
人が乗る踏面部と、
第1横方向を軸として回転可能な
複数の転動体と、を有する複数のステップと、
前記転動体を案内する案内部と、
少なくとも一つの前記ステップに取り付けられ、前記転動体を回転させる駆動源と、を備えるマンコンベヤであって、
前記複数のステップのうち、隣接する第1及び第2ステップ同士が当たることを抑制する抑制手段を備え、
前記抑制手段は、第1端部が前記第1ステップに回転可能に接続される第1リンクと、第1端部が前記第1リンクの第2端部に回転可能に接続され且つ第2端部が前記第2ステップに回転可能に接続される第2リンクと、前記第1リンクの前記第1端部と前記第2リンクの前記第2端部とが第1設定距離よりも近づくことを規制する第1規制部と、を備え
、
前記複数の転動体は、前記第1横方向と交差する方向で離れる第1及び第2転動体を含み、
前記第1リンクの前記第1端部の回転中心は、前記第1ステップの第2転動体の回転中心と同じであり、前記第2リンクの前記第2端部の回転中心は、前記第2ステップの第1転動体の回転中心と同じである、マンコンベヤ。
【請求項4】
前記抑制手段は、前記第1リンクの前記第1端部と前記第2リンクの前記第2端部とが第2設定距離よりも離れることを規制する第2規制部をさらに備える、請求項3に記載のマンコンベヤ。
【請求項5】
人が乗る踏面部と、回転可能な転動体と、を有する複数のステップと、
前記転動体を案内する案内部と、
少なくとも一つの前記ステップに取り付けられ、前記転動体を回転させる駆動源と、を備えるマンコンベヤであって、
前記複数のステップのうち、隣接する第1及び第2ステップ同士が当たることを抑制する抑制手段を備え、
前記抑制手段は、第1端部が前記第1ステップに回転可能に接続され且つ第2端部が前記第2ステップに回転可能に接続されるリンク機構と、前記第1及び第2ステップ
のそれぞれに設けられ、互いに反発する磁石
と、を備える、マンコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、マンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンコンベヤは、回転可能な転動体を有する複数のステップと、転動体を案内する案内部と、ステップに取り付けられ、転動体を回転させる駆動源とを備えている(例えば、特許文献1及び2)。これにより、機械室に駆動源を備えることなく、それぞれのステップを走行させることができる。
【0003】
特許文献1に係るマンコンベヤにおいては、ステップが、隣接するステップの距離を検出する複数のセンサを備えており、電気的な制御によって、隣接するステップ同士が当たることを抑制している。しかしながら、例えば、センサが汚れて誤作動した場合には、隣接するステップ同士が当たる虞があるため、電気的な制御ではなく、機械的な構造によって、隣接するステップ同士が当たることを抑制できるマンコンベヤが要望されている。
【0004】
そこで、特許文献2に係るマンコンベヤは、複数のステップに接続されるローラチェーンと、機械室に配置され、隣接するステップ同士が当たることを抑制するために、ローラチェーンにテンションを与えるテンションキャリッジとを備えている。しかしながら、例えば、テンションキャリッジのような装置を機械室に配置することなく、また、例えば、ローラチェーンのテンションを調整するような作業が必要なく、隣接するステップ同士が当たることを抑制することができるマンコンベヤが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-348081号公報
【文献】特開2001-163562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、課題は、従来にない機構によって、隣接するステップ同士が当たることを抑制することができるマンコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
マンコンベヤは、人が乗る踏面部と回転可能な転動体とを有する複数のステップと、前記転動体を案内する案内部と、少なくとも一つの前記ステップに取り付けられ、前記転動体を回転させる駆動源と、を備えるマンコンベヤであって、前記複数のステップのうち、隣接する第1及び第2ステップ同士が当たることを抑制する抑制手段を備え、前記抑制手段は、第1端部が前記第1ステップに回転可能に接続され且つ第2端部が前記第2ステップに回転可能に接続されるリンクを備える。
【0008】
また、マンコンベヤにおいては、前記転動体は、横方向を軸にして回転可能であり、前記第2ステップの前記踏面部の先端部は、前記第1及び第2ステップが搬送路に位置しているときに、前記第1ステップと前記横方向視にて重なる、という構成でもよい。
【0009】
また、マンコンベヤは、人が乗る踏面部と回転可能な転動体とを有する複数のステップと、前記転動体を案内する案内部と、少なくとも一つの前記ステップに取り付けられ、前記転動体を回転させる駆動源と、を備えるマンコンベヤであって、前記複数のステップのうち、隣接する第1及び第2ステップ同士が当たることを抑制する抑制手段を備え、前記抑制手段は、第1端部が前記第1ステップに回転可能に接続される第1リンクと、第1端部が前記第1リンクの第2端部に回転可能に接続され且つ第2端部が前記第2ステップに回転可能に接続される第2リンクと、前記第1リンクの前記第1端部と前記第2リンクの前記第2端部とが第1設定距離よりも近づくことを規制する第1規制部と、を備える。
【0010】
また、マンコンベヤにおいては、前記抑制手段は、前記第1リンクの前記第1端部と前記第2リンクの前記第2端部とが第2設定距離よりも離れることを規制する第2規制部をさらに備える、という構成でもよい。
【0011】
また、マンコンベヤは、人が乗る踏面部と回転可能な転動体とを有する複数のステップと、前記転動体を案内する案内部と、少なくとも一つの前記ステップに取り付けられ、前記転動体を回転させる駆動源と、を備えるマンコンベヤであって、前記複数のステップのうち、隣接する第1及び第2ステップ同士が当たることを抑制する抑制手段を備え、前記第1及び第2ステップは、前記抑制手段を構成するために、互いに反発する磁石をそれぞれ備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るマンコンベヤの概要図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るステップの正面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るステップの平面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るマンコンベヤの制御ブロック図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係るマンコンベヤの要部正面図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係るマンコンベヤの要部正面図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係るマンコンベヤの要部正面図である。
【
図8】
図8は、他の実施形態に係るマンコンベヤの要部正面図である。
【
図9】
図9は、同実施形態に係るマンコンベヤの要部正面図である。
【
図10】
図10は、さらに他の実施形態に係るマンコンベヤの要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
以下、マンコンベヤにおける第1の実施形態について、
図1~
図7を参照しながら説明する。なお、各図(
図8~
図10も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0014】
図1に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、躯体に設置される構造体1aと、人を搬送する複数のステップ2と、構造体1aに固定され、複数のステップ2を案内する案内部3とを備えている。また、マンコンベヤ1は、例えば、ステップ2を第1方向D1で挟むように配置される一対の欄干部1b,1b(
図1においては、一つのみを図示している)を備えている。
【0015】
各図において、第1方向D1は、水平方向と平行な方向である第1横方向D1であり、第2方向D2は、水平方向と平行な方向であって、且つ、第1横方向D1と直交する第2横方向D2であり、第3方向D3は、第1横方向D1及び第2横方向D2と直交する上下方向D3である
【0016】
本実施形態に係るマンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。
【0017】
欄干部1bは、例えば、本実施形態のように、無端回転する環状の手摺ベルト1cと、手摺ベルト1cを支持する欄干本体1dとを備えていてもよい。なお、欄干部1bは、例えば、手摺ベルト1cに駆動を与えるために、手摺駆動源(図示していない)を備えていてもよい。
【0018】
図2及び
図3に示すように、ステップ2は、例えば、剛性を有するステップ本体2aと、第1横方向D1を軸として回転可能となるように、ステップ本体2aに回転可能に接続される複数の転動体2b,2cとを備えている。ステップ本体2aは、例えば、人が乗る踏面部2dと、円弧状に形成される蹴上部2eとを備えている。
【0019】
なお、
図2及び
図3(
図5~
図10も同様)において、第2横方向D2及び上下方向D3は、ステップ2が搬送路に位置している状態の方向D2,D3を示している。なお、搬送路とは、人がステップ2の踏面部2dに乗れる領域のことであり、換言すると、搬送路とは、ステップ2の踏面部2dが露出している領域のことである。
【0020】
複数の転動体2b,2cは、例えば、第1横方向D1でステップ本体2aを挟むように配置される一対の第1転動体2b,2bと一対の第2転動体2c,2cとを備え、第1転動体2bと第2転動体2cとは、第1横方向D1と交差する方向で離れている。そして、案内部3は、例えば、第1転動体2bを案内する第1案内部3aと、第2転動体2cを案内する第2案内部3bとを備えている。
【0021】
図3に示すように、マンコンベヤ1は、転動体2b,2cを回転させる駆動部4を備えている。駆動部4は、例えば、駆動源4aと、駆動源4aの駆動を転動体2b,2cに伝達する伝達部4bとを備えている。特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、ステップ2は、転動体2b,2cが各端部に固定される軸部2f,2fを備え、伝達部4bは、駆動源4aの駆動により軸部2f,2fを回転させる巻き掛け伝動機構を備える、という構成でもよい。
【0022】
なお、駆動部4は、少なくとも一つのステップ2に取り付けられていればよく、例えば、全てのステップ2に取り付けられていてもよく、また、例えば、所定の間隔のステップ2に取り付けられていてもよい。また、駆動源4aは、例えば、電動機(モータ)とすることができる。なお、駆動源4aは、欄干部1bの手摺駆動源とは、異なる駆動源である。
【0023】
また、マンコンベヤ1は、例えば、駆動源4aに給電するために、駆動源4aと電気的に接続される電源部5を備えている。特に限定されないが、電源部5は、例えば、本実施形態のように、駆動源4aと電気的に接続される蓄電池5aを備えており、蓄電池5aは、構造体1a(
図1参照)に固定されている給電部からワイヤレス電力伝送によって給電される、という構成でもよい。
【0024】
また、例えば、転動体2b,2cが、駆動源4aの駆動ではなくステップ2の重力によって、回転するときに、駆動源4aは、発電機となって電力(回生エネルギー)を発生し、蓄電池5aは、当該電力を蓄える、という構成でもよい。なお、電源部5は、例えば、給電レールに接することによって、給電される、という構成(上記特許文献2(特開2001-163562号公報)参照)でもよい。
【0025】
また、マンコンベヤ1は、例えば、本実施形態のように、ステップ2の走行状態を検出する検出部6と、ステップ2の走行を制御するために、駆動源4aの制御を行う処理部7とを備えていてもよい。検出部6は、例えば、転動体2b,2cの回転を検出するエンコーダとすることができる。
【0026】
処理部7は、
図4に示すように、例えば、データを取得する取得部7aと、データを記憶する記憶部7bと、データを演算する演算部7cと、マンコンベヤ1を制御する制御部7dとを備えている。そして、本実施形態においては、取得部7aは、検出部6からデータを取得し、演算部7cは、取得したデータに基づいて、ステップ2の走行速度を演算し、制御部7dは、演算した速度に基づいて、駆動源4aを制御する。これにより、ステップ2の走行速度を設定速度とすることができる。
【0027】
なお、処理部7は、例えば、一つの装置が各部7a~7dの全部を有し、駆動源4aが取り付けられるステップ2にそれぞれ取り付けられる、という構成でもよい。また、処理部7は、例えば、各部7a~7dのうち、一部を有する第1の装置と、他部を有する第2の装置とを備え、第1の装置は、駆動源4aが取り付けられるステップ2にそれぞれ取り付けられ、第2の装置は、それぞれの第1の装置と無線通信可能に構造体1aに取り付けられる、という構成でもよい。
【0028】
ところで、
図5に示すように、マンコンベヤ1は、隣接するステップ2,2同士が当たることを抑制する抑制手段8を備えている。抑制手段8は、隣接するステップ2,2にそれぞれ回転可能に接続される一つのリンク8aを備えている。具体的には、リンク8aの第1端部8bは、一方のステップ2に回転可能に接続され、リンク8aの第2端部8cは、他方のステップ2に回転可能に接続されている。
【0029】
そして、リンク8aは、隣接するステップ2,2の同じ位置に回転可能に接続されていることが好ましい。例えば、本実施形態のように、リンク8aは、ステップ2の第1転動体2bの軸部2fに回転可能に接続されている、即ち、リンク8aの各端部8b,8cの回転中心は、第1転動体2bの回転中心と同じである、という構成としてもよい。
【0030】
なお、リンク8aは、例えば、変形しないように、剛性を有している。そして、リンク8aは、例えば、本実施形態のように、直線状に延びるように、長尺に形成されていてもよい。また、リンク8aは、例えば、本実施形態のように、第1転動体2bよりも、第1横方向D1の外側に配置されていてもよい。
【0031】
そして、
図6及び
図7に示すように、リンク8aによって、隣接するステップ2,2間の距離を一定にすることができる。具体的には、ステップ2のうち、リンク8aに接続される位置2f,2f間(即ち、リンク8aの各端部8b,8cの回転中心間)の距離を不変にすることができる。これにより、隣接するステップ2,2間の距離がリンク8aによって確保されるため、隣接するステップ2,2同士が当たることを抑制することができる。
【0032】
したがって、例えば、電気的な制御ではなく、機械的な構造によって、隣接するステップ2,2同士が当たることを抑制することができる。しかも、例えば、テンションキャリッジのような装置を機械室に配置することなく、且つ、ローラチェーンのテンションを調整するような作業が必要なく、隣接するステップ2,2同士が当たることを抑制することができる。
【0033】
なお、リンク8aは、隣接するステップ2,2同士が離れ過ぎることを抑制する機能も有している。そして、ステップ2が搬送路に位置しているときに、案内部3(
図1~
図3参照)とリンク8aとが協働することによって、
図5に示すように、一方のステップ2の踏面部2dの先端部は、他方のステップ2と第1横方向D1視にて、必ず重なっている。
【0034】
例えば、図示していないが、ステップ2の踏面部2dの先端部は、隣接するステップ2へ向けて凹凸状に形成され、ステップ2の蹴上部2eは、隣接するステップ2へ向けて凹凸状に形成され、一方のステップ2の踏面部2dの先端部は、他方のステップ2の蹴上部2eと、第1横方向D1視にて、重なっている、という構成でもよい。これにより、搬送路において、隣接するステップ2,2間に隙間が形成されることを抑制することができる。
【0035】
以上より、本実施形態のように、マンコンベヤ1は、人が乗る踏面部2dと回転可能な転動体2b,2cとを有する複数のステップ2と、前記転動体2b,2cを案内する案内部3と、少なくとも一つの前記ステップ2に取り付けられ、前記転動体2b,2cを回転させる駆動源4aと、を備えるマンコンベヤ1であって、前記複数のステップ2のうち、隣接する第1及び第2ステップ2,2同士が当たることを抑制する抑制手段8を備え、前記抑制手段8は、第1端部8bが前記第1ステップ2に回転可能に接続され且つ第2端部8cが前記第2ステップ2に回転可能に接続されるリンク8aを備える、という構成が好ましい。
【0036】
斯かる構成によれば、リンク8aの第1端部8bは、第1ステップ2に回転可能に接続されており、リンク8aの第2端部8cは、第2ステップ2に回転可能に接続されている。これにより、第1ステップ2と第2ステップ2との距離がリンク8aによって確保されるため、隣接するステップ2,2同士が当たることを抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ1においては、前記転動体2b,2cは、横方向D1を軸にして回転可能であり、前記第2ステップ2の前記踏面部2dの先端部は、前記第1及び第2ステップ2,2が搬送路に位置しているときに、前記第1ステップ2と前記横方向D1視にて重なる、という構成が好ましい。
【0038】
斯かる構成によれば、第1及び第2ステップ2,2が搬送路に位置しているときに、第2ステップ2の踏面部2dの先端部が、第1ステップ2と横方向D1視にて重なるため、搬送路において、隣接するステップ2,2間に隙間が形成されることを抑制することができる。
【0039】
なお、マンコンベヤ1は、上記した第1実施形態に係るマンコンベヤ1の構成及び作用に限定されるものではない。例えば、上記した第1実施形態に係るマンコンベヤ1に対して、以下のような変更が行われてもよい。
【0040】
上記第1実施形態に係るマンコンベヤ1においては、第2ステップ2の踏面部2dの先端部は、第1及び第2ステップ2,2が搬送路に位置しているときに、第1ステップ2と第1横方向D1視にて重なる、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第2ステップ2の踏面部2dの先端部は、第1及び第2ステップ2,2が搬送路に位置しているときに、第1ステップ2と第1横方向D1視にて離れる、という構成でもよい。
【0041】
<第2実施形態>
次に、マンコンベヤ1における第2の実施形態について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。なお、
図8及び
図9において、
図1~
図7の符号と同一の符号を付した部分は、第1実施形態と略同様の構成又は略同様の機能(作用)を有する要素を表し、その説明は、繰り返さない。
【0042】
図8及び
図9に示すように、本実施形態に係るマンコンベヤ1は、第1実施形態に係るマンコンベヤ1と、抑制手段9の構成で異なっている。そこで、以下、抑制手段9の構成について説明する。
【0043】
図8及び
図9に示すように、抑制手段9は、隣接するステップ2,2を接続する第1及び第2リンク9a,9bを備えている。そして、第1リンク9aの第1端部9cは、一方のステップ2に回転可能に接続され、第1リンク9aの第2端部9dは、第2リンク9bの第1端部9eに回転可能に接続され、第2リンク9bの第2端部9fは、他方のステップ2に回転可能に接続されている。
【0044】
例えば、本実施形態のように、第1リンク9aの第1端部9cは、ステップ2の第2転動体2cの軸部2fに回転可能に接続されている、即ち、第1リンク9aの第1端部9cの回転中心は、第2転動体2cの回転中心と同じである、という構成としてもよい。また、例えば、本実施形態のように、第2リンク9bの第2端部9fは、ステップ2の第1転動体2bの軸部2fに回転可能に接続されている、即ち、第2リンク9bの第2端部9fの回転中心は、第1転動体2bの回転中心と同じである、という構成としてもよい。
【0045】
第1及び第2リンク9a,9bは、例えば、変形しないように、剛性を有している。そして、第1及び第2リンク9a,9bは、例えば、本実施形態のように、直線状に延びるように、長尺に形成されていてもよい。なお、第1リンク9aの各端部9c,9dの回転中心間の距離は、例えば、本実施形態のように、第2リンク9bの各端部9e,9fの回転中心間の距離と、同じでもよい。
【0046】
また、第1及び第2リンク9a,9bは、例えば、本実施形態のように、第1横方向D1において、第1転動体2bと第2転動体2cとの間に配置されていてもよい。具体的には、第1及び第2リンク9a,9bは、第2転動体2cよりも、第1横方向D1の外側に配置され、且つ、第1転動体2bよりも、第1横方向D1の内側に配置されている、という構成でもよい。なお、第1リンク9aは、例えば、本実施形態のように、第2リンク9bよりも、第1横方向D1の内側に配置されていてもよい。
【0047】
そして、抑制手段9は、第1リンク9aの第1端部9cと第2リンク9bの第2端部9fとが第1設定距離よりも近づくことを規制する第1規制部9gと、第1リンク9aの第1端部9cと第2リンク9bの第2端部9fとが第2設定距離よりも離れることを規制する第2規制部9hとを備えている。なお、第2設定距離は、第1設定距離よりも、大きい。
【0048】
第1規制部9gの構成は、特に限定されないが、第1規制部9gは、例えば、本実施形態のように、第2リンク9bに当たるように、第1リンク9aから突出していてもよい。そして、
図8に示すように、第1リンク9aの第1端部9cと第2リンク9bの第2端部9fとが第1設定距離となったときに、第1規制部9gは、第2リンク9bの側縁に当たる。
【0049】
これにより、第1リンク9aの第1端部9cと第2リンク9bの第2端部9fとが、第1規制部9gによって、第1設定距離よりも近づくことを規制されるため、隣接するステップ2,2間の距離が確保される。これにより、隣接するステップ2,2同士が当たることを抑制することができる。
【0050】
したがって、例えば、電気的な制御ではなく、機械的な構造によって、隣接するステップ2,2同士が当たることを抑制することができる。しかも、例えば、テンションキャリッジのような装置を機械室に配置することなく、且つ、ローラチェーンのテンションを調整するような作業が必要なく、隣接するステップ2,2同士が当たることを抑制することができる。
【0051】
また、第2規制部9hの構成は、特に限定されないが、第2規制部9hは、例えば、本実施形態のように、第2リンク9bに当たるように、第1リンク9aから突出していてもよい。そして、
図9に示すように、第1リンク9aの第1端部9cと第2リンク9bの第2端部9fとが第2設定距離となったときに、第2規制部9hは、第2リンク9bの側縁に当たる。
【0052】
これにより、第1リンク9aの第1端部9cと第2リンク9bの第2端部9fとが、第2規制部9hによって、第2設定距離よりも離れることを規制されるため、隣接するステップ2,2が離れ過ぎることを抑制することができる。したがって、隣接するステップ2,2同士間の隙間が大きくなることを抑制することができる。その結果、例えば、搬送路において、隣接するステップ2,2間に隙間が形成されることを抑制することもできる。
【0053】
なお、第1リンク9aの第1端部9cと第2リンク9bの第2端部9fとの距離が第2設定距離になったときに、第1リンク9aと第2リンク9bとの交差角度は、例えば、90°以下であることが好ましい。なお、第1リンク9aと第2リンク9bとの交差角度とは、第1リンク9aの各端部9c,9dの回転中心を結ぶ仮想直線と、第2リンク9bの各端部9e,9fの回転中心を結ぶ仮想直線とが交差する角度である。
【0054】
以上より、本実施形態のように、マンコンベヤ1は、人が乗る踏面部2dと回転可能な転動体2b,2cとを有する複数のステップ2と、前記転動体2b,2cを案内する案内部3と、少なくとも一つの前記ステップ2に取り付けられ、前記転動体2b,2cを回転させる駆動源4aと、を備えるマンコンベヤ1であって、前記複数のステップ2のうち、隣接する第1及び第2ステップ2,2同士が当たることを抑制する抑制手段9を備え、前記抑制手段9は、第1端部9cが前記第1ステップ2に回転可能に接続される第1リンク9aと、第1端部9eが前記第1リンク9aの第2端部9dに回転可能に接続され且つ第2端部9fが前記第2ステップ2に回転可能に接続される第2リンク9bと、前記第1リンク9aの前記第1端部9cと前記第2リンク9bの前記第2端部9fとが第1設定距離よりも近づくことを規制する第1規制部9gと、を備える、という構成が好ましい。
【0055】
斯かる構成によれば、第1リンク9aの第1端部9cと第2リンク9bの第2端部9fとが、第1規制部9gによって、第1設定距離よりも近づくことを規制されるため、第1ステップ2と第2ステップ2との距離が確保される。これにより、隣接するステップ2,2同士が当たることを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ1においては、前記抑制手段9は、前記第1リンク9aの前記第1端部9cと前記第2リンク9bの前記第2端部9fとが第2設定距離よりも離れることを規制する第2規制部9hをさらに備える、という構成が好ましい。
【0057】
斯かる構成によれば、第1リンク9aの第1端部9cと第2リンク9bの第2端部9fとが、第2規制部9hによって、第2設定距離よりも離れることを規制されるため、第1ステップ2と第2ステップ2とが離れ過ぎることを抑制することができる。これにより、隣接するステップ2,2同士間の隙間が大きくなることを抑制することができる。
【0058】
なお、マンコンベヤ1は、上記した第2実施形態に係るマンコンベヤ1の構成及び作用に限定されるものではない。例えば、上記した第2実施形態に係るマンコンベヤ1に対して、以下のような変更が行われてもよい。
【0059】
上記第2実施形態に係るマンコンベヤ1においては、抑制手段9は、第2規制部9hを備えている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、抑制手段9は、第2規制部9hを備えておらず、第1リンク9aと第2リンク9bとが直線状となるように、第1リンク9aの第1端部9cと第2リンク9bの第2端部9fとが離れることができる、という構成でもよい。
【0060】
<第3実施形態>
次に、マンコンベヤ1における第3の実施形態について、
図10を参照しながら説明する。なお、
図10において、
図1~
図7の符号と同一の符号を付した部分は、第1実施形態と略同様の構成又は略同様の機能(作用)を有する要素を表し、その説明は、繰り返さない。
【0061】
図10に示すように、本実施形態に係るマンコンベヤ1は、第1実施形態に係るマンコンベヤ1と、抑制手段10の構成で異なっている。そこで、以下、抑制手段10の構成について説明する。
【0062】
図10に示すように、隣接するステップ2,2は、互いに反発する第1及び第2磁石10a,10bをそれぞれ備えている。そして、抑制手段10は、隣接するステップ2,2の第1及び第2磁石10a,10bによって構成されている。
【0063】
ステップ2の第1磁石10aと、隣接するステップ2の第2磁石10bとは、対面するようにそれぞれ配置されている。特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、第1磁石10aは、踏面部2dの先端部に配置されており、第2磁石10bは、蹴上部2eの円弧状に亘って配置されている、という構成でもよい。
【0064】
このように、隣接するステップ2,2が、互いに反発する第1及び第2磁石10a,10bをそれぞれ備えているため、隣接するステップ2,2間に、互いに離れる方向の磁力が加えられる。これにより、隣接するステップ2,2同士が当たることを抑制することができる。
【0065】
したがって、例えば、電気的な制御ではなく、機械的な構造によって、隣接するステップ2,2同士が当たることを抑制することができる。しかも、例えば、テンションキャリッジのような装置を機械室に配置することなく、且つ、ローラチェーンのテンションを調整するような作業が必要なく、隣接するステップ2,2同士が当たることを抑制することができる。
【0066】
なお、本実施形態においては、隣接するステップ2,2は、接続されておらず、それぞれ自由である。それに対して、駆動部4及び処理部7の少なくとも一部が全てのステップ2に取り付けられるため、ステップ2の走行速度が、隣接するステップ2の走行速度に基づいて制御されることによって、隣接するステップ2,2同士の間隔が大きくなることを抑制することができる。それに加えて、必要な個数のステップ2,2を設置することによって、隣接するステップ2,2同士の間隔が大きくなることを抑制することができる。
【0067】
以上より、本実施形態のように、マンコンベヤ1は、人が乗る踏面部2dと回転可能な転動体2b,2cとを有する複数のステップ2と、前記転動体2b,2cを案内する案内部3と、少なくとも一つの前記ステップ2に取り付けられ、前記転動体2b,2cを回転させる駆動源4aと、を備えるマンコンベヤ1であって、前記複数のステップ2のうち、隣接する第1及び第2ステップ2,2同士が当たることを抑制する抑制手段10を備え、前記第1及び第2ステップ2,2は、前記抑制手段10を構成するために、互いに反発する磁石10a,10bをそれぞれ備える、という構成が好ましい。
【0068】
斯かる構成によれば、第1及び第2ステップ2,2が、互いに反発する磁石10a,10bをそれぞれ備えているため、第1ステップ2と第2ステップ2とに、互いに離れる方向の磁力が加えられる。これにより、隣接するステップ2,2同士が当たることを抑制することができる。
【0069】
なお、マンコンベヤ1は、上記した第3実施形態に係るマンコンベヤ1の構成及び作用に限定されるものではない。例えば、上記した第3実施形態に係るマンコンベヤ1に対して、以下のような変更が行われてもよい。
【0070】
上記第3実施形態に係るマンコンベヤ1においては、隣接するステップ2,2は、接続されておらず、それぞれ自由である、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、隣接するステップ2,2は、接続手段によって、接続されている、という構成でもよい。接続手段として、例えば、複数のリンクからなるリンク機構、チェーン、ロープ等が挙げられる。なお、斯かる構成においては、駆動部4は、例えば、少なくとも一つのステップ2に取り付けられていればよい。
【0071】
なお、マンコンベヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記した複数の実施形態の各構成や各方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る各構成や各方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0072】
例えば、マンコンベヤ1は、転動体2b,2cが案内部3(3a,3b)に対して滑ることを抑制するために、転動体2b,2cの外周部は、転動体2b,2cの他部よりも、案内部3(3a,3b)に対して摩擦係数の大きい材質(例えば、ゴム)で形成されていてもよい。また、例えば、転動体2b,2cの外周部と、案内部3(3a,3b)の案内面とは、それぞれ噛み合うように凹凸状に形成されていてもよい。即ち、転動体2b,2cがピニオンであり、案内部3(3a,3b)がラックである、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…マンコンベヤ、1a…構造体、1b…欄干部、1c…手摺ベルト、1d…欄干本体、2…ステップ、2a…ステップ本体、2b…第1転動体、2c…第2転動体、2d…踏面部、2e…蹴上部、2f…軸部、3…案内部、3a…第1案内部、3b…第2案内部、4…駆動部、4a…駆動源、4b…伝達部、5…電源部、5a…蓄電池、6…検出部、7…処理部、7a…取得部、7b…記憶部、7c…演算部、7d…制御部、8…抑制手段、8a…リンク、8b…第1端部、8c…第2端部、9…抑制手段、9a…第1リンク、9b…第2リンク、9c…第1端部、9d…第2端部、9e…第1端部、9f…第2端部、9g…第1規制部、9h…第2規制部、10…抑制手段、10a…第1磁石、10b…第2磁石、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向