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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】石突
(51)【国際特許分類】
   A45B 9/04 20060101AFI20220707BHJP
   A45B 25/28 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
A45B9/04 Z
A45B25/28
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018029409
(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公開番号】P2019141371
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-02-05
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】518062314
【氏名又は名称】成 伯龍
(72)【発明者】
【氏名】成 伯龍
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3000702(JP,U)
【文献】特開平05-031261(JP,A)
【文献】特開2004-229950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 9/04
A45B 25/28
A45B 9/00
A45B 11/00
A45B 23/00
A45B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
前記孔部は、前記仕切り部材に形成され、
前記装飾体は、前記仕切り部材の下側の区画内の前記孔部の下方に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の石突。
【請求項3】
前記装飾体は、水車又はししおどしを模したものであることを特徴とする、請求項2に記載の石突。
【請求項4】
前記孔部は、前記仕切り部材の面積の10%以下の断面積を有することを特徴とする、請求項3に記載の石突。
【請求項5】
前記装飾体は、少なくとも1の前記仕切り部材の上側及び下側の区画に跨って配置され、
前記孔部は、前記装飾体に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の石突。
【請求項6】
前記装飾体は、小便小僧を模したものであることを特徴とする、請求項5に記載の石突。
【請求項7】
前記管状部材の上面の開口を塞ぐ着脱可能な保護キャップを備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の石突。
【請求項8】
前記管状部材の底面を雨傘に固定する固定部材を備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の石突。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨傘の頂部に取り付けられる石突に関する。
【背景技術】
【0002】
雨傘の頂部に取り付けられた石突を利用して、装飾が行われることがある。特許文献1には、傘保持部の頂部に設けられた凸状被覆部に点滅状態又は点灯状態で光るヒモ状照明部を螺旋状に配置した装飾傘が開示されている。この装飾傘は、ヒモ状照明部に電力を供給する電源を要する。
【0003】
これに対して、雨水の落下を利用して力を発生させることが考えられる。特許文献2には、傘の先端部分に固定される羽根車及びその上方に設けられる雨受け皿を備え、雨受け皿に溜まった雨水が羽根車に落ちることで羽根車が回転する傘の装飾具が開示されている。この装飾具は、雨水の落下を利用して雨傘に装飾効果を施すが、比較的大きな面積の雨受け皿によって多くの雨水を受けて使用するものであり、雨水が必ずしも十分に流入しない石突の装飾に用いるには困難がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】登録実用新案第3046671号公報
【文献】登録実用新案第3000702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、石突内での雨水の流れを制御することにより、雨水を利用した装飾効果が得られる石突を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の石突は、
雨傘の頂部に取り付けられる石突であって、
上面の少なくとも一部及び底面側の少なくとも一部がそれぞれ開口する、少なくとも一部が透明である管状部材と、
前記管状部材の内部空間を区画に分割する1又は2以上の仕切り部材と、
前記管状部材の内部に設けられた装飾体と、
を備え、前記仕切り部材及び前記装飾体の少なくとも一方に前記上側及び下側の区画を繋ぐ孔部が形成されることを特徴とする。
【0007】
この特徴によれば、雨水が、管状部材の上面の開口から入って上側の区画に溜まり、仕切り部材又は装飾体の孔部を通って下側の区画に流れ、底面側の開口から排出される雨水の流れにより装飾効果を得ることができる。
【0008】
ここで、「上面」「底面側」と、「上面」には「側」がつかず、「底面」には「側」がつくが、「上面」は円筒状の石突の上面のみを言い、「底面側」は円筒状の石突の底面及び側面のうち底面に接する箇所を合わせたものを言う。
【0009】
本発明の石突は、
前記孔部は、前記仕切り部材に形成され、
前記装飾体は、前記仕切り部材の下側の区画内の前記孔部の下方に配置されることを特徴とする。
【0010】
この特徴によれば、管状部材の上側の区画に溜まった雨水が、仕切り部材の孔部を通って下側の区画内に配置された装飾体上に落ちるように、雨水の流れを制御することができる。
【0011】
本発明の石突は、
前記装飾体は、水車又はししおどしを模したものであることを特徴とする。
【0012】
この特徴によれば、装飾体が雨水の落下を受けて動作することができる。
【0013】
本発明の石突は、
前記孔部は、前記仕切り部材の面積の10%以下の断面積を有することを特徴とする。
【0014】
この特徴によれば、装飾体を動作させるのに必要な量の雨水を、仕切り部材の孔部を通って装飾体上に落とすことができる。
【0015】
本発明の石突は、
前記装飾体は、少なくとも1の前記仕切り部材の上側及び下側の区画に跨って配置され、
前記孔部は、前記装飾体に形成されることを特徴とする。
【0016】
この特徴によれば、管状部材の上側の区画に溜まった雨水が、管状部材の上側及び下側の区画を跨って配置される装飾体の孔部を通って下側の区画内に落ちるように、雨水の流れを制御することができる。
【0017】
本発明の石突は、
前記装飾体は、小便小僧を模したものであることを特徴とする。
【0018】
この特徴によれば、孔部を通った雨水が、装飾効果を有するように流れる装飾体が実現される。
【0019】
本発明の石突は、
前記管状部材の上面の開口を塞ぐ着脱可能な保護キャップをさらに備えることを特徴とする。
【0020】
この特徴によれば、石突を下にして傘を持つ時に、保護キャップで管状部材の上面の開口を塞ぐことで石突の内部を保護することができる。
【0021】
本発明の石突は、
前記管状部材の底面を雨傘に固定する固定部材をさらに備えることを特徴とする。
【0022】
この特徴によれば、固定部材を用いて石突を雨傘に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の石突によれば、雨傘に取り付けて雨天時に使用することで、雨水を利用した装飾効果を雨傘に施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、石突の構成を示す図である。
図2図2は、石突に固定部材を設けた構成を示す図である。
図3図3は、石突に別の固定部材を設けた構成を示す図である。
図4図4は、石突を雨傘に取り付けた状態を示す図である。
図5図5は、保護キャップを設けた石突を示す図である。
図6図6は、石突に別の装飾体を設けた構成を示す図である。
図7図7は、石突に別の装飾体を設けた構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、石突1の構成を示す。石突1は、雨傘の頂部に取り付けられて雨傘を装飾する装飾具であり、管状部材2、仕切り部材5、及び装飾体6を備える。
【0027】
管状部材2は、装飾体6を内部に収容する容器である。管状部材2は、外側から内部の装飾体6を視認できるよう少なくとも一部(本実施例では全体)が透明な例えばポリカーボネートのような熱可塑性樹脂等の素材から、上面の少なくとも一部(本実施例では上面のすべて)が開口する管状に形成されている。管状部材2の底面側の少なくとも一部(本実施例では図面右下)が開口して、開口4aが形成されている。
【0028】
仕切り部材5は、管状部材2内に設けられてその内部空間を上側及び下側の区画3,4に分割する部材である。仕切り部材5は、例えば管状部材2と同様の素材を用いて板状に成形され、管状部材2の中ほど(幾分下方)の高さに水平に固定される。
【0029】
装飾体6は、管状部材2の内部に設けられて雨傘を装飾するフィギュアである。本実施例では、一例として、小便小僧を模したフィギュアとする。装飾体6に、小便小僧のおよそ背中から股間に貫通する孔部6aが形成されている。装飾体6は、小便小僧のおよそ胴部の周りで仕切り部材5の中央を上下に貫通し、小便小僧の脚部を管状部材2の底面に当接して、管状部材2内に固定される。それにより、装飾体6は、管状部材2の上側及び下側の区画3,4を跨って配置され、孔部6aの背中側及び股間側の端部がそれぞれ上側及び下側の区画3,4に配される。
【0030】
雨水は、管状部材2の上面の開口3aから入って仕切り部材5により区画された上側の区画3に溜まり、管状部材2の上側及び下側の区画3,4を跨って配置される装飾体6の孔部6aを通って下側の区画4に流れ、すなわち小便小僧のように装飾体6が雨水を底面側の区画4に落とし、底面側の開口4aから排出される。この雨水の流れにより装飾効果を得ることができる。
【0031】
なお、石突1に、管状部材2の底面を雨傘に固定するための固定部材を設けてもよい。図2及び図3は、それぞれ、石突1に固定部材8,9を設けた構成を示す。図4に、石突1を雨傘10の頂部に取り付けた状態を示す。固定部材8は、雄ねじ状に成形され、基端を管状部材2の底面に当接して固定され、先端を雨傘の頂部にねじ込むことで石突1を雨傘10の頂部に取り付けることができる。固定部材9は、雌ねじ状に成形され、基端を管状部材2の底面に当接して固定され、先端を雨傘の頂部に嵌め込むことで石突1を雨傘10の頂部に取り付けることができる。
【0032】
また、管状部材2の上面の開口3aを塞ぐ着脱可能な保護キャップ15を設けてもよい。図5に、保護キャップ15を設けた石突1を示す。保護キャップ15は、一例としてゴム等の弾性を有する素材を用いて下端が先細る形状に成形され、下端を開口3aに差し込むことで管状部材2の開口3aを塞ぐことができる。それにより、不使用時に、保護キャップ15で管状部材2の上面の開口3aを塞ぐことで石突1,11の内部を保護することができる。
【実施例2】
【0033】
図6に、石突11の構成を示す。石突11は、管状部材2、仕切り部材12、及び装飾体13を備える。ここで、管状部材2は、実施例1と同様に構成されている。
【0034】
仕切り部材12は、実施例1と同様に構成される。ただし、仕切り部材12に、管状部材2の上側及び下側の区画3,4を繋ぐ孔部12aが形成されている。孔部12aは、例えば、仕切り部材12の面積の10%以下の断面積を有するものとする。より具体的には、管状部材2の直径約3cmに対して、孔部12aの直径を5mmとする。それにより、後述する装飾体13を動作させるのに必要な量の雨水を、仕切り部材12の孔部12aを通って装飾体13上に落とすことができる。
【0035】
石突に流入する雨水の量は、降水量と石突の径によって定まるが、さして多量ではない。そこで、断面積の小さな孔部に雨水を集中させて、装飾体13を動作させるのに必要な流量を確保する。
【0036】
装飾体13は、ししおどしを模したフィギュアとする。装飾体13は、管状部材2の下側の区画4内に、仕切り部材12の孔部12aの下方にししおどしの先端を位置して、配置される。それにより、管状部材2の上側の区画3に溜まった雨水が、仕切り部材12の孔部12aを通って下側の区画4内に配置された装飾体13上に落ち、装飾体13が雨水を受けて動作する(すなわち、ししおどしの先端が降りて雨水を落とす)ことができる。雨水は、底面側の開口4aから排出される。
【実施例3】
【0037】
図7に、石突11の構成を示す。石突11は、管状部材2、仕切り部材12、及び装飾体14を備える。ここで、管状部材2は、実施例2と同様に構成されている。仕切り部材12は、実施例2と同様に構成されている。
【0038】
装飾体14は、水車を模したフィギュアとする。装飾体14は、管状部材2の下側の区画4内に、仕切り部材12の孔部12aの下方に水車を位置して、配置される。それにより、管状部材2の上側の区画3に溜まった雨水が、仕切り部材12の孔部12aを通って下側の区画4内に配置された装飾体14上に落ち、装飾体14が雨水を受けて動作する(すなわち、水車が回転する)ことができる。雨水は、底面側の開口4aから排出される。
【0039】
以上、実施例1~3で詳細に説明したように、本発明の石突1は、上面の少なくとも一部及び底面側の少なくとも一部がそれぞれ開口する、少なくとも一部が透明である管状部材2、管状部材2の内部区画を上側及び下側の区画3,4に分割する仕切り部材5、及び管状部材2の内部に設けられた装飾体6を備え、仕切り部材5及び装飾体6の少なくとも一方に上側及び下側の区画3,4を繋ぐ孔部6aが形成される。これにより、石突内での雨水の流れを制御することができ、雨水を利用した装飾効果が得られる石突を提供することができる。
【0040】
なお、1枚のみの仕切り部材を有するものとして説明したが、2枚以上の仕切り部材を有してもよい。この場合、2以上の装飾体を有するものとすることが考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
石突内での雨水の流れを制御することにより、雨水を利用した装飾効果が得られる石突である。多くの雨傘生産者による利用が考えられる。
【符号の説明】
【0042】
1 石突
2 管状部材
3 区画
3a 開口
4 区画
4a 開口
5 仕切り部材
6 装飾体
6a 孔部
8 固定部材
9 固定部材
10 雨傘
11 石突
12 仕切り部材
12a 孔部
13 装飾体
14 装飾体
15 保護キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7