(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】表札
(51)【国際特許分類】
G09F 7/00 20060101AFI20220711BHJP
G09F 7/18 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
G09F7/00 A
G09F7/18 Q
(21)【出願番号】P 2018085029
(22)【出願日】2018-04-26
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】和田 明日香
(72)【発明者】
【氏名】松田 光佑
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-097142(JP,A)
【文献】特開平11-219139(JP,A)
【文献】実開平05-071416(JP,U)
【文献】実開昭56-064065(JP,U)
【文献】特開2013-109263(JP,A)
【文献】特開2001-005416(JP,A)
【文献】特開平08-328482(JP,A)
【文献】米国特許第6519882(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 7/00
7/18
13/00 - 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性材料からなる
板状の表札であって、
正面に配置され、表記が施された表記部と、
正面に配置され、装飾が施された装飾部と、
背面に配置され、前記表札を
ネジ状の固定具により被取付部に取り付けるための取付部と、を有し、
ネジ状の前記固定具は、前記表札の正面側に露出せずに背面から正面に向けて前記表札の内部に侵入した状態で前記表札の背面において前記取付部を介して前記表札を前記被取付部に固定し、
前記表札の正面視において、前記固定具が前記装飾部によって遮蔽される、表札。
【請求項2】
前記装飾部は、透光性を有しており、
前記表札には、前記装飾部の下地としてシボ加工が施されている、請求項1に記載の表札。
【請求項3】
前記装飾部は、帯状に形成される、請求項1
または2に記載の表札。
【請求項4】
前記装飾部は、前記表札の両側面に配置され、
前記表札の側面視において、前記固定具が前記装飾部によって遮蔽される、請求項1
~3のいずれかに記載の表札。
【請求項5】
前記装飾部は、前記表札の底面に配置され、
前記表札の底面視において、前記固定具が前記装飾部によって遮蔽される、請求項1~
4いずれかに記載の表札。
【請求項6】
前記装飾部は、前記表札の背面に配置される、請求項1~
5のいずれかに記載の表札。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表札に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入居者の姓名や名称などを表記した表札は、一般に、玄関脇や門柱の外壁など建物の比較的に目立つ場所に取り付けられる。表札に用いる材料としては、石材、木材のほか、種々の有機材料及び無機材料等が挙げられるが、最近では意匠性の向上を目的として、透光性基材を用いた表札が使用されている。
【0003】
また上記の透光性基材を用いた表札においては、例えば夜間において周囲に備えた照明器具からの発光を受けると、表札内部を明るい光が透過できることで、表面に記された入居者の姓名や名称などの表示が強調され、視認性が向上する。
【0004】
表札の取り付けにおいては通常、取り付けの容易性などからネジ等の固定具を用いて取り付けがなされる。非透光性の表札においては通常表記側の外観を損ねないよう、表札の裏側に固定具を配置し、固定具が表記側から視認できないようにする(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら透光性の表札においては、表札の被取付面側に固定具を配置しても固定具が表記側から視認できてしまうため、固定具の露出を許容するか、固定具そのものに意匠性を持たせる工夫が必要であった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5788552号公報
【文献】特開2010-224073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、透光性表札の正面視において、前記固定具が前記装飾部によって遮蔽されることで、優れた意匠性および視認性を備える表札を提供することを目的とする。
【0008】
(1)透光性材料(例えば、後述の透光性基材1)からなる表札(例えば、後述の表札10)であって、正面に配置され、表記が施された表記部(例えば、後述の表記部2)と、正面に配置され、装飾が施された装飾部(例えば、後述の装飾部20)と、背面に配置され、前記表札を固定具(例えば、後述の固定具3)により被取付部(例えば、後述の被取付部5)に取り付けるための取付部(例えば、後述の取付部4)と、を有し、前記表札の正面視において、前記固定具が前記装飾部によって遮蔽される表札を提供する。
【0009】
(2) (1)の発明において、前記装飾部は、帯状に形成されていてもよい。
【0010】
(3) (1)または(2)の発明において、前記装飾部は、前記表札の両側面に配置され、前記表札の側面視において、前記固定具が前記装飾部によって遮蔽されていてもよい。
【0011】
(4) (1)~(3)のいずれかの発明において、前記装飾部は、前記表札の底面に配置され、前記表札の底面視において、前記固定具が前記装飾部によって遮蔽されていてもよい。
【0012】
(5) (1)~(4)のいずれかの発明において、前記装飾部は、前記表札の前記背面にも形成されていてもよい。
【0013】
(6) (1)~(5)のいずれかの発明において、前記表札の少なくとも一部にシボ加工が施されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、透光性の表札において、優れた意匠性と表記の視認性を両立する表札を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る表札を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る表札を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る表札を示す背面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る表札を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、これを改良・変形したものも含まれる。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る表札を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係る表札を示す正面図である。
表札10は透光性基材1から構成される、板状の表札である。直方体形状である表札10は、
図1および2に示すように、正面(表記面11)側に入居者の姓名や名称などの表記がなされる表記部2および装飾部20を備え、読み手から表記部2に記載の情報を視認されるようにするとともに、背面(取付面12)側は玄関脇や門柱の外壁などの取付対象の被取付面5に向くように取り付けられる。
【0018】
図3は、本実施形態に係る表札を示す背面図である。
図4は、本実施形態に係る表札を示す側面図である。
図3に示すように、表札10は取付面12における任意の箇所に形成される取付部4を有する。
図4に示すように、固定具3は表札10の取付面12側に配置され、取付部4を介して表札10を被取付面5に固定することができる。固定具3は、その一部が表札10内部へ侵入することはあっても、表記面11側へは露出しない。
【0019】
表札10の表記面11には、少なくとも表札19の正面視において、固定具3が遮蔽される範囲に、装飾部20が備えられる。装飾部20は透光性基材1上に加工を施すことで形成される。
【0020】
透光性基材1としては特に限定されないが、アクリル板などの樹脂材や、板ガラスの他に、フュージングガラス等で構成することができる。フュージングガラスとは、透明ガラスの上に色つきガラスを重ね、電気炉内で熱融着させたものである。
【0021】
表記部2には、通常入居者の姓名や名称などが記載されるが、意匠性や利便性の観点から、例えば絵や文字列等、任意の記載が可能である。
【0022】
固定具3としては形状、材質ともに特に限定されるものではないが、例えば金属、セラミックスおよびその他の材料からなるネジ等であれば、種々の材質および形状の被取付面5に簡易に取り付けられ、接着剤による固定と比較して耐久性にも優れる。なお、本発明の表札10の固定具3は接着剤であってもよいが、固定具3の非視認性を高めるという目的を鑑み、本発明は表札10を一見した際に視認性の高い固定具である、ネジ等の固定具3を用いる表札10に適用されることがより好ましい。
【0023】
取付部4は、表札10の形状や材料等に応じて、取付面12側の任意の箇所に設定できる。表札10全体としての意匠性の観点からは狭い範囲に設定することが好ましく、取付の安定性を損なわない範囲で設定され、例えば表札10の下部に設けられる。
【0024】
装飾部20は少なくとも、装飾部20が形成されていない表札10の表記面11において、表札の正面視10において、固定具3が装飾部20によって遮蔽される範囲上に形成される。これにより、表札10の正面視において、固定具3が視認されにくくなり、表札10の意匠性が向上する。
【0025】
ここで、上記の「遮蔽される」とは、観察者と固定具3の間に装飾部20が介在することによって、観察者からの固定具3の視認性が低下することを指す。この遮蔽効果をもって表札10の意匠性が向上するものであれば、必ずしも固定具3が完全に視認されなくともよい。
【0026】
なお、上記の固定具3が装飾部20によって遮蔽される範囲とは、必ずしも固定具3の像が表記面11に垂直に投影される範囲のみを指すものではなく、通常の使用状況下において表札10を表記面11側から見る角度範囲も考慮して設定される。即ち通常装飾部20は、固定具3の像が表記面11に垂直に投影される範囲よりも上下左右に広く形成される。
【0027】
さらに装飾部20は、上記以外の箇所にも形成されてもよい。これにより、例えば上記の固定具3が透けて視認される箇所を含めて帯状等の形状に形成することで、装飾による意匠の幅が広がり、さらに意匠性が向上する。
【0028】
また、装飾部20は、表札10の側面および底面にも形成されていてもよい。これにより、表札10の側面視または底面視において、表札10内部に侵入した固定具3の一部は遮蔽され、より意匠性が向上する。さらに、特に夜間において、被取付面3上部に照明が備えられていれば、表札10に上部から入射する光を、表札10の表記面、側面および底面に形成された装飾部20により内部で反射させることで、表札10を明るく見せ、表記部2の視認性を向上させることができる。
【0029】
また、装飾部20は、表札10の取付面12側にも形成されていてもよい。これにより、上記の表札内部での光の反射による視認性の向上効果が増幅される。この装飾は、表札10上に施されてもよいし、被取付面に施されていてもよい。
【0030】
装飾部20における装飾加工法としては特に限定されず、塗装、印刷、転写やフィルムの貼り付け等の方法あるいはこれらを組み合わせて装飾することができる。また装飾は例えば複数層に重ねて行ってもよく、希望する意匠デザインに合わせて任意の手法が選択される。
【0031】
さらに上記の装飾部20は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、透光性を有していてもよい。これにより、透光性の表札10において、全体として統一感のある洗練されたデザインが実現され、意匠性が向上する。
【0032】
また、表札10は、少なくとも一部にシボ加工がなされていてもよい。これにより、表札10内部に入射した光が、シボ加工により形成された表面の凹凸部で乱反射し、表札10をより明るく見せることができるため、表記部2の視認性がさらに向上する。
【0033】
また上記の装飾部20が透光性を有する場合において、装飾部20の下地にシボ加工がなされていることで表札10の透明性が低下するため、取付面12側に配置され、または表札内部に侵入した固定具3はより視認しにくくなり、装飾部20に適用できる装飾加工の幅が拡張される。
【0034】
なお、ここまでは一般的に用いられる直方体形状の表札について説明したが、本発明の表札10は例えば丸みを帯びた形状等、他の形状のものであってもよく、表記部2が形成される側を正面側として、上述の正面、背面、側面および底面に対応する箇所に装飾部20を形成することで同様の効果が発揮される。
【0035】
以下、本発明の一実施形態に係る表札10の効果について、詳細に説明する。
【0036】
本発明の一実施形態に係る表札10は透光性基材1によって構成される板状の表札であり、表記面11に表記部2および装飾部20を備えるとともに、取付面12の下部にある2箇所の取付部4を介してネジ状の固定具3により門柱の被取付面5に取り付けられる。装飾部20は、表記面2下部に帯状に形成されているほか、側面下部、底面全面、および取付面12全面に形成されている。さらに装飾部20は、固定具3が透けて見えない程度に透光性を有している。また、表札10はその全面にシボ加工が施されている。
【0037】
表札10は透光性を有しているが、訪問者が表記面11側より見た際に、固定具3は表記面11に形成される装飾部20に遮蔽される。これにより、透光性の表札10は意匠性を損なうことなく、高い美観を備えることが可能である。
【0038】
また装飾部20は、表札10の正面視において固定具3を遮蔽する範囲だけでなく、表記面2下部に帯状に形成されている。これにより、装飾による意匠の幅が広がり、さらに意匠性が向上する。
【0039】
また装飾部20は、同様に両側面下部にも形成されており、表札10の側面視において固定具3は装飾部20により遮蔽される。これにより、さらに意匠性が向上する。
【0040】
また装飾部20は、同様に底面にも形成されており、表札10の底面視において固定具3は装飾部20により遮蔽される。これにより、さらに意匠性が向上する。
【0041】
また、門柱の被取付面5の上部には図示しない照明が備えられており、例えば夜間等に表札10を上部より照らすことで、表札10の視認性を向上させている。透光性を有する表札10は、その上面より内部に照明からの光を透過させることができる。ここで、表札10の上面以外の各面には装飾部20が形成されており、上面から入射した光は表札内部で反射するため、表札10をさらに明るく見せることができる。これにより、表札10における表記部2が強調され、表記部2の視認性が向上する。さらに、装飾部20がわずかに透光性を備えることにより、上述の効果を発揮しつつ、表札10全体として統一感のある洗練されたデザインが実現され、意匠性が向上する。
【0042】
加えて、表札10の表面にはシボ加工が施されており、前述の光はこの微細な凹凸においても乱反射するため、前述の表札10を明るく見せる効果が増幅される。これにより、表記部2の視認性がさらに向上する。
【符号の説明】
【0043】
1 …透光性基材
2 …表記部
3 …固定具
4 …取付部
5 …被取付面
10…表札
11…表記面
12…取付面
20…装飾部