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特許7102943有機ビヒクルの製造方法、及び、導電性ペーストの製造方法、並びに、積層セラミックコンデンサの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】有機ビヒクルの製造方法、及び、導電性ペーストの製造方法、並びに、積層セラミックコンデンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/20 20060101AFI20220712BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20220712BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20220712BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
C08J3/20 Z CEP
C08J3/20 CEX
H01G4/30 517
H01G4/30 311D
H01G4/30 311Z
H01B13/00 Z
C08G18/40 063
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018101739
(22)【出願日】2018-05-28
(65)【公開番号】P2019206623
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185018
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐美 亜矢
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】宮内 恭子
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/107811(WO,A1)
【文献】特開2016-135122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/20
H01G 4/30
H01B 13/00
C08G 18/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース系樹脂と、アセタール系樹脂と、結合剤と、第1の有機溶剤とを混合することと、
前記混合して得られた混合物を、80℃以上の温度、4時間以下で熱処理することと、を備え、
前記結合剤は、前記セルロース系樹脂、及びアセタール系樹脂が有する水酸基と反応可能な官能基を分子内に2つ以上有し、
前記官能基は、イソシアネート基及びアミノ基のいずれか一方、又は、両方であり、
前記熱処理後の混合物に含まれる樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が、前記セルロース系樹脂、及び前記アセタール系樹脂のそれぞれの重量平均分子量よりも大きい、
導電性ペーストに用いられる有機ビヒクルの製造方法。
【請求項2】
前記セルロース系樹脂の水酸基価が70mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である、請求項1に記載の有機ビヒクルの製造方法。
【請求項3】
前記アセタール系樹脂の水酸基価が90mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である、請求項1又は請求項2に記載の有機ビヒクルの製造方法。
【請求項4】
前記セルロース系樹脂の重量平均分子量が20000以上300000以下であり、前記アセタール系樹脂の重量平均分子量が20000以上200000以下である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の有機ビヒクルの製造方法。
【請求項5】
前記セルロース系樹脂を、前記混合物中の樹脂全体に対して、20質量%以上80質量以下含有し、前記アセタール系樹脂を、前記混合物中の樹脂全量に対して、80質量%以上20質量%以下含有する、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の有機ビヒクルの製造方法。
【請求項6】
前記結合剤は、ジイソシアネート化合物である、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の有機ビヒクルの製造方法。
【請求項7】
前記結合剤を、前記混合物中の樹脂全体100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下含有する、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の有機ビヒクルの製造方法。
【請求項8】
第1の有機溶剤は、メチルイソブチルケトン、及び1,4-ジオキサンのうち少なくとも1種である、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の有機ビヒクルの製造方法。
【請求項9】
前記熱処理後の混合物に、第2の有機溶剤を混合して、前記第1の有機溶剤と置換することと、を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の有機ビヒクルの製造方法。
【請求項10】
前記第2の有機溶剤は、前記第1の有機溶剤より高い沸点を有する、請求項9に記載の有機ビヒクルの製造方法。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の製造方法で得られた有機ビヒクルと、導電性粉末とを混合すること、を備える、導電性ペーストの製造方法。
【請求項12】
導電性粉末は、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Cu及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属粉末を含む、請求項11に記載の導電性ペーストの製造方法。
【請求項13】
前記有機ビヒクルと、前記導電性粉末と、セラミック粉末とを混合すること、を備える、請求項11又は請求項12に記載の導電性ペーストの製造方法。
【請求項14】
前記セラミック粉末は、ペロブスカイト型酸化物を含む、請求項11~請求項13のいずれか一項に記載の導電性ペーストの製造方法。
【請求項15】
誘電体層と、内部電極層とが交互に積層した積層体を備える積層セラミックコンデンサの製造方法であって、
請求項11~請求項14のいずれか一項に記載の製造方法により得られた導電性ペーストと、グリーンシートとを交互に積層して、圧着、焼成させて積層体を得ることと、を備え、
前記グリーンシートは、前記アセタール系樹脂を含む、
積層セラミックコンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ビヒクルの製造方法、及び、導電性ペーストの製造方法、並びに、積層セラミックコンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やデジタル機器などの電子機器の小型化および高性能化に伴い、積層セラミックコンデンサなどを含む電子部品についても小型化および高容量化が望まれている。積層セラミックコンデンサは、複数の誘電体層と複数の内部電極層とが交互に積層した構造を有し、これらの誘電体層及び内部電極層を薄膜化することにより、小型化及び高容量化を図ることができる。
【0003】
積層セラミックコンデンサは、例えば、次のように製造される。まず、チタン酸バリウム(BaTiO)などのセラミック粉末及びバインダー樹脂を含有するグリーンシート(誘電体グリーンシート)の表面上に、導電性粉末、バインダー樹脂、有機溶剤などを内部電極用の導電性ペーストを、所定の電極パターンで印刷したものを、多層に積み重ねることにより、内部電極用ペーストとグリーンシートとを交互に積層した積層体を得る。次に、この積層体を加熱圧着して一体化し、圧着体を形成する。この圧着体を切断し、酸化性雰囲気または不活性雰囲気中にて脱バインダー処理を行った後、焼成を行い、複数の内部電極層と複数の誘電体層とが交互に積層した構造を有する焼成チップを得る。次いで、焼成チップの両端部に外部電極用ペーストを塗布し、焼成後、外部電極表面にニッケルメッキなどを施して、積層セラミックコンデンサが得られる。
【0004】
ところで、従来の導電性ペーストは、例えば、バインダー樹脂として、セルロース系樹脂(例、エチルセルロース)を用い、有機溶剤として、例えば、ターピネオールなどを用いて製造される。しかし、このような導電性ペーストを用いて、上記の圧着体を製造する場合、内部電極層と誘電体層との密着性が不良となり、層間剥離が生じることがあった。
【0005】
そこで、導電性ペーストに用いるバインダー樹脂として、セルロース系樹脂と、グリーンシートに一般的に用いられているアセタール系樹脂(例、ポリビニルブチラール)とを組み合わせることにより内部電極層)と誘電体との密着性が向上することがいくつか報告されている。
【0006】
例えば、特許文献1では、少なくとも導電性金属粒子、共材、樹脂、有機溶剤、及び有機添加剤を含有する積層セラミックコンデンサ内部電極用の導電性ペーストであって、樹脂として少なくともポリビニルブチラールを含む、導電性ペーストが記載されている。そして、上記特許文献1の実施例には、導電性ペーストの材料として、ターピネオール(有機溶剤)に、エチルセルロースとポリビニルブチラールとを加えて得られた樹脂バインダーが記載されている。
【0007】
また、特許文献2では、ニッケル粉末、セラミック粉末、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、有機溶剤及びアニオン系界面活性剤を含有する内部電極用ペーストであって、アセタール系樹脂は、ペースト全量に対して、1質量%以上2.5質量%以下含有される内部電極用ペーストが記載されている。
【0008】
さらに、特許文献3では、セルロース誘導体と、ポリビニルアセタールと、上記セルロース誘導体および上記ポリビニルアセタールが有する水酸基と反応工程のいて反応可能な官能基を分子内に2以上有する結合剤とを、準備する準備工程と、上記セルロース誘導体と、上記ポリビニルアセタールと、特定の量の上記結合剤とを、混合し、上記水酸基と上記官能基とを結合させる反応工程とを、有するバインダー樹脂の製造方法が記載されている。上記特許文献3によれば、塗付用ペーストに好適なバインダー樹脂を得ることができ、該バインダー樹脂を含むペーストから形成された塗付膜の平滑性や緻密性などの膜質を向上させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2004-200450号公報
【文献】特開2017-143202号広報
【文献】国際公開2015/107811号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、本発明者の検討によれば、上記特許文献1~3に記載の技術では、バインダー樹脂として用いられる、セルロース系樹脂とアセタール系樹脂との相溶性が十分ではなく、その結果、導電性ペーストに含まれる導電性粉末等の分散性が不十分となる場合があることを見出した。さらに、上記特許文献3に記載のバインダー樹脂の製造方法では、結合剤を介した樹脂同士の結合により、ある程度の相溶性の向上が確認されるものの、長時間の反応や複数の工程を必要とし、さらなる相溶性の向上、生産性の向上が求められる。
【0011】
本発明は、このような状況に鑑み、セルロース系樹脂とアセタール系樹脂との相溶性が向上したバインダー樹脂を生産性高く、容易に製造する方法を提供することを目的とする。また、このバインダー樹脂の製造方法を用いて、生産性高く、導電性ペースト、及び積層セラミックコンデンサを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、セルロース系樹脂と、アセタール系樹脂と、結合剤と、第1の有機溶剤とを混合することと、混合して得られた混合物を、80℃以上の温度、4時間以下で熱処理することと、を備え、結合剤は、セルロース系樹脂、及びアセタール系樹脂が有する水酸基と反応可能なイソシアネート基及びアミノ基を分子内に2つ以上有し、熱処理後の混合物に含まれる樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が、セルロース系樹脂、及びアセタール系樹脂のそれぞれの重量平均分子量 よりも大きい、有機ビヒクルの製造方法が提供される。
【0013】
また、セルロース系樹脂の水酸基価が70mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。また、アセタール系樹脂の水酸基価が90mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。また、セルロース系樹脂の重量平均分子量が20000以上300000以下であり、アセタール系樹脂の重量平均分子量が20000以上200000以下であることが好ましい。また、セルロース系樹脂を、混合物中の樹脂全体に対して、20質量%以上80質量以下含有し、アセタール系樹脂を、混合物中の樹脂全量に対して、80質量%以上20質量%以下含有することが好ましい。また、結合剤は、ジイソシアネート化合物であることが好ましい。また、結合剤を、混合物中の樹脂全体100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下含有することが好ましい。また、第1の有機溶剤は、メチルイソブチルケトン、及び1,4-ジオキサンのうち少なくとも1種であることが好ましい。また、熱処理後の混合物に、第2の有機溶剤を混合して、第1の有機溶剤と置換することと、を備えることが好ましい。また、第2の有機溶剤は、第1の有機溶剤より高い沸点を有することが好ましい。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、上記の製造方法で得られた有機ビヒクルと、導電性粉末とを混合すること、を備える、導電性ペーストの製造方法が提供される。
【0015】
また、導電性粉末は、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Cu及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属粉末を含むことが好ましい。また、有機ビヒクルと、導電性粉末と、セラミック粉末とを混合すること、を備えることが好ましい。また、セラミック粉末は、ペロブスカイト型酸化物を含むことが好ましい。
【0016】
本発明の第3の態様によれば、誘電体層と、内部電極層とが交互に積層した積層体を備える積層セラミックコンデンサであって、上記の製造方法により得られた導電性ペーストと、グリーンシートとを交互に積層して、圧着させて積層体を得ることと、を備え、前記グリーンシートは、アセタール系樹脂を含む、積層セラミックコンデンサの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、セルロース系樹脂とアセタール系樹脂との相溶性が上したバインダー樹脂を生産性高く製造することができる。また、上記バインダー樹脂の製造方法を用い、生産性高く導電性ペースト、及び積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態に係る有機ビヒクルの製造方法の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る有機ビヒクルの製造方法の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る導電性ペーストの製造方法の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る積層セラミックコンデンサの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。また、図面においては、各構成をわかりやすくするために、一部を強調して、あるいは一部を簡略化して表しており、実際の構成または形状、縮尺等が異なっている場合がある。なお、本発明は、下記の実施形態に制限されるものではない。また、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
【0020】
1.有機ビヒクルの製造方法
図1は、本実施形態の有機ビヒクルの製造方法の一例を示す図である。本実施形態の有機ビヒクルの製造方法は、図1に示すように、セルロース系樹脂と、アセタール系樹脂と、結合剤と、第1の有機溶剤とを混合すること(ステップS10)と、その混合により得られた混合物を熱処理すること(ステップS20)と、を備える。以下、各工程について詳細を説明する。
【0021】
[混合工程(ステップS10)]
まず、セルロース系樹脂と、アセタール系樹脂と、結合剤と、第1の有機溶剤とを混合する。本実施形態の製造方法では、セルロース系樹脂およびアセタール系樹脂の少なくとも一部が、後の熱処理工程(ステップS20)において、結合剤を介して、化学的に結合(例、ウレタン結合など)し、これらの樹脂よりも大きな重量平均分子量を有する樹脂が得られる。このように樹脂の少なくとも一部が化学的に結合することにより、セルロース系樹脂と、アセタール系樹脂との相溶性が向上すると考えられる。以下、各材料について説明する。
【0022】
[セルロース系樹脂]
セルロース系樹脂としては、特に限定されず、バインダー樹脂として用いられる公知のセルロース系樹脂(セルロース誘導体)を用いることができる。セルロース系樹脂としては、例えば、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、アセチルセルロースなどが挙げられる。中でも、溶剤への溶解性、燃焼分解性、印刷品質の観点などから、エチルセルロースが好ましい。なお、セルロース系樹脂は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
【0023】
(水酸基価)
セルロース系樹脂は、水酸基を有する。セルロース系樹脂の水酸基価は、特に限定されないが、好ましくは70mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であり、より好ましくは70KOH/g以上95mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは75KOH/g以上95mgKOH/g以下である。セルロース系樹脂の水酸基価が上記範囲である場合、アセタール系樹脂と好適に結合して、樹脂同士の相溶性が改善され、かつ、導電性ペーストに好適に用いることができる。なお、水酸基価は、JIS K 0070 に準拠して測定される値であり、試料1g中の水酸基に相当する水酸化カリウムのmg数を示す値である。
【0024】
(重量平均分子量Mw)
セルロース系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されず、例えば、20000以上300000以下であり、好ましくは、200000以上250000以下であり、より好ましくは210000以上250000以下である。重量平均分子量(Mw)が上記範囲である場合、導電性ペーストに用いた際に、導電性粉末等の分散性に優れ、好適なペースト粘度とすることができる。なお、セルロース系樹脂の重量平均分子量(Mw)が200000以下である場合、熱処理(ステップS20)後に得られる樹脂の重量平均分子量の増加が観察されないことがある。このような場合、後述するアセタール系樹脂の重量平均分子量等を適宜調整することにより、セルロース系樹脂とアセタール系樹脂とを結合させ、熱処理後(ステップS20)後に得られる樹脂の重量平均分子量を増加させることができる。
【0025】
[アセタール系樹脂]
アセタール系樹脂としては、特に限定されず、バインダー樹脂として用いられる公知のアセタール系樹脂を用いることができる。アセタール系樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラールなどが挙げられる。アセタール系樹脂を用いた場合、グリーンシートとの接着性を向上させることができる。なお、アセタール系樹脂は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
【0026】
(水酸基価)
アセタール系樹脂は、水酸基を有する。アセタール系樹脂の水酸基価は、特に限定されないが、好ましくは70mgKOH/g以上100mgKOHmg/g以下であり、より好ましくは90mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である。アセタール系樹脂の水酸基価が上記範囲である場合、アセタール系樹脂と好適に結合して、相溶性が改善され、かつ、内部電極用の導電性ペーストとして用いられた場合、誘電体層との接着性に優れる。なお、水酸基価は、JIS K 0070に準拠して測定される値であり、試料1g中の水酸基に相当する水酸化カリウムのmg数を示す値である。
【0027】
(重量平均分子量Mw)
アセタール系樹脂の重量平均分子量Mwは、特に限定されず、例えば、20000以上200000以下であり、好ましくは、150000以上200000以下であり、より好ましくは150000以上180000以下である。重量平均分子量Mwが上記範囲である場合、導電性ペーストに用いた際に、導電性粉末等の分散性に優れ、好適なペースト粘度とすることができる。
【0028】
[結合剤]
結合剤は、前記セルロース系樹脂、及びアセタール系樹脂が有する水酸基と結合可能な官能基を2つ以上有するものであれば、特に限定されないが、反応性の観点から、イソシアネート基及びアミノ基のいずれか一方、又は、両方を有する化合物が好ましく、イソシアネート基を有する化合物が好ましい。なお、結合剤は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
【0029】
イソシアネート基(-NCO基)を有する化合物としては、ジイソシアネート化合物が好ましい。ジイソシアネート化合物としては、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0030】
アミノ基(-NH基)を有する化合物としては、ジアミン系化合物が好ましい。アミン系化合物としては、p-フェニニレンジアミン、カダベリンなどが挙げられる。
【0031】
(第1の有機溶剤)
第1の有機溶剤は、特に限定されず、後述する熱処理工程(ステップS20)において、樹脂と結合剤とが反応できるものであれば、公知の有機溶剤を用いることができる。ただし、結合剤との反応を抑制するため、OH基を有しない有機溶剤を使用する。第1の有機溶剤は、安定した反応を行うという観点から、沸点が80℃以上であることが好ましく、90℃以上以上であることが好ましい。また、後述するように、導電性ペースト用の有機ビヒクルとして用いる場合、第2の有機溶剤との置換を容易に行うという観点から、沸点が150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
【0032】
第1の有機溶剤としては、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられ、中でも、1,4-ジオキサン、トルエン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましく、反応性、取り扱い性等の観点から、1,4-ジオキサン、メチルイソブチルケトンがより好ましい。なお、第1の有機溶剤は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
【0033】
(混合割合)
セルロース系樹脂の混合割合は、特に限定されず、要求される特性に応じて、適宜、調整することができるが、混合する樹脂全体100質量部に対して、例えば、20質量部以上80質量部以下であってもよく、30質量部以上70質量部以下であってもよく、40質量部以上60質量部以下であってもよい。
【0034】
アセタール系樹脂の混合割合は、特に限定されず、要求される特性に応じて、適宜、調整することができるが、混合する樹脂全体100質量部に対して、例えば、20質量部以上80質量部以下であってもよく、30質量部以上70質量部以下であってもよく、40質量部以上60質量部以下であってもよい。
【0035】
結合剤の混合割合は、混合する樹脂全体を100質量部とした場合、好ましくは0.1質量部以上3質量以下であり、より好ましくは0.1質量部以上2質量部以下である。結合剤の混合割合が上記範囲である場合、樹脂同士を効率よく反応させることができる。
【0036】
第1の有機溶剤の混合割合は、混合する樹脂全体を100質量部とした場合、好ましくは500質量部以上2000質量部以下であり、より好ましくは600質量以上2000質量部以下、さらに好ましくは600質量部以上1500質量部以下である。第1の有機溶剤の混合割合が上記範囲である場合、樹脂同士を効率よく反応させることができる。
【0037】
(混合方法)
混合方法は、特に限定されず、上記のセルロース系樹脂、アセタール系樹脂、分散剤が第1の有機溶剤中に十分に均一に分散されるように、混合できればよい。なお、混合の順番は特に限定されず、例えば、セルロース系樹脂、及び、アセタール系樹脂を第1の有溶剤に添加した後、分散剤を混合してもよい。また、セルロース系樹脂とアセタール系樹脂と第1の有機溶剤を別々に第1の有機溶剤に分散させた後、これらを混合し、第1の有機溶剤中にセルロース系樹脂及びアセタール系樹脂を含む混合物を得た後、この混合物に分散剤を添加してもよい。また、結合剤を第1の有機溶剤に添加した混合物を得た後、この混合物に、第1の有機溶剤に分散させたセルロース系樹脂、第1の有機溶剤に分散させたアセタール系樹脂を添加してもよい。
【0038】
[熱処理工程(ステップS20)]
次いで、上記の混合して得られた混合物を、80℃以上の温度、4時間以下で熱処理する(ステップS20)。熱処理することにより、セルロース系樹脂及びアセタール系樹脂の少なくとも一部が結合剤を介して、化学的に結合(例、ウレタン結合など)し、熱処理工程(ステップS20)後に得られる樹脂の相溶性が向上すると考えられる。
【0039】
(熱処理の温度)
熱処理の温度は、80℃以上であり、好ましくは80℃以上100℃以下、より好ましくは85℃以上95℃以下の範囲である。熱処理の温度が上記範囲である場合、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、および結合剤の間の反応が好適に促進され、相溶性が改善されたバインダー樹脂を短時間で安定した品質で得ることができ、生産性が向上する。また、このバインダー樹脂を用いた導電性ペーストは、分散性に優れる。
【0040】
一方、熱処理の温度が80℃未満である場合、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、および結合剤の間の反応速度が低下し、生産性が低下するとももに、長時間の反応により、反応条件にバラつきが生じ易くなる。
【0041】
(熱処理の時間)
熱処理の時間は、10時間以下であり、生産性の観点から、好ましくは4時間以上であり、より好ましくは0.5時間以上4時間以下であり、さらに好ましくは0.5時間以上3時間以下である。熱処理の時間が上記範囲である場合、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、および結合剤の間の反応が好適に促進され、相溶性が改善され、かつ、非常に高い生産性で、導電性ペーストに用いた場合分散性に優れるバインダー樹脂を得ることができる。
【0042】
一方、熱処理の時間が10時間を超える場合、生産性が低下するとともに、溶剤の揮発等により、反応条件のバラつきが生じやすくなり、得られるバインダー樹脂の品質が低下することがある。
【0043】
なお、熱処理による、セルロース系樹脂及びアセタール系樹脂の少なくとも一部と、結合剤との反応は、結合剤がイソシアネート基を有する場合、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)により、混合物中のイソシアネート基の消費をモニタリングすることにより確認することができる。また、水酸基とイソシアネート基との結合により形成されるウレタン結合は、例えば、13C-NMRにより、ウレタン結合に由来する結合(-C=O)を検出することにより確認することができる。
【0044】
[溶剤置換工程(ステップS30)]
また、本実施形態の有機ビヒクルの製造方法は、図2に示すように、熱処理工程(ステップS20)の後の混合物に、第2の有機溶剤を混合して、第1の有機溶剤と置換すること(溶剤置換工程;ステップS30)とを備えてもよい。以下、溶剤置換工程(ステップS30)について詳細を説明する。
【0045】
まず、上述した熱処理工程(ステップS20)後に得られた混合物に第2の有機溶剤を混合する。熱処理後の混合物には、樹脂成分(結合剤を介して化学的に結合した樹脂、並びに、任意に単独のセルロース系樹脂、及び、単独のアセタール系樹脂)と、第1の有機溶剤とが含まれる。第1の有機溶剤を第2の有機溶剤で置換することにより、導電性ペーストに好適に使用できる、有機ビヒクルを得ることができる。
【0046】
第2の有機溶剤は、導電性ペーストに用いる有機溶剤として適した溶剤であればよく、公知の有機溶剤を用いることができる。また、第2の有機溶剤は、第1の有機溶剤よりも高い沸点を有することが好ましい。第2の有機溶剤が高い沸点を有する場合、後述する溶剤置換が容易に行うことができ、かつ、導電性ペーストを印刷する工程において、適度な粘度を保持することができる。
【0047】
第2の有機溶剤の沸点は、例えば、100℃以上300℃以下であり、150℃以上300℃以下が好ましく、180℃以上250℃以下がより好ましい。第2の有溶剤の沸点が上記範囲である場合、電子部品の導電性材料として用いる場合、乾燥速度が適度な範囲となり、導電性ペーストの印刷性がより向上する。なお、沸点が100℃より低い場合、乾燥性が高く、印刷工程にて乾燥が進行し、粘度が高くなりやすい傾向がある。一方、沸点が300℃以上の場合、乾燥性が悪く、乾燥工程で溶剤が残留しやすい傾向がある。
【0048】
第2の有機溶剤は、通常、導電ペースト用溶剤として用いられる溶剤であり、特に限定されない。その中でも、テルペンアルコール系、脂肪族炭化水素系等の有機溶剤を用いることが好ましい。例えば、ターピネオール、ジヒドロターピネオールなどのテルペン系溶剤、ジヒドロターピニルアセテート、イソボニルアセテート、イソボルニルプロピネート、イソボルニルブチレート、イソボルニルイソブチレートなどが挙げられる。また、脂肪族炭化水素系の有機溶剤としては、例えば、n-デカン、n-ドデカン、ミネラルスピリット等が挙げられる。有機溶剤は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
【0049】
次いで、混合物中の第1の有機溶剤を除去することにより、第1の有機溶剤と第2の有機溶剤とを置換する。第1の有機溶剤を除去する方法は、特に限定されず、公知の溶剤置換法を用いることができる。例えば、第2の有機溶剤を混合して得られた混合物を加熱したり、減圧したりして、脱気することにより、第1の有機溶剤を除去してもよい。また、反応終了後の樹脂と第1の有機溶剤の混合物に直接第2の有機溶剤を所定量添加した後、第1の有機溶剤を除去可能な温度まで加温して、蒸発させ、第1の有機溶剤を除去してもよい。
【0050】
[樹脂の特性]
(ゲル浸透クロマトグラフィー測定)
熱処理工程(ステップS20)後の混合物に含まれる樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定において、セルロース系樹脂、及びアセタール系樹脂のそれぞれの重量平均分子量よりも、重量平均分子量が大きいことが好ましい。重量平均分子量の増加は、セルロース系樹脂及びアセタール系樹脂の少なくとも一部が結合剤を介して、化学的に結合していることを示すと考えられる。なお、GPC測定は、標準ポリマーとしてポリスチレン、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて行った。
【0051】
なお、得られるクロマトグラムにおいて、測定されるピークは、好ましくは1つであるが、2以上のピークを有してもよい。2以上のピークを有する場合、例えば、セルロース系樹脂単独、及び/又は、アセタール系樹脂単独の場合のピークトップ分子量に相当する部位と、これらの樹脂のピークトップ分子量よりも大きな部位とに2以上のピークを有してもよい。
【0052】
熱処理後の混合物に含まれる樹脂の重量平均分子量は、例えば、セルロース系樹脂の重量平均分子量に対して1.05倍以上1.50以下であり、好ましくは1.05以上1.40以下であり、アセタール系樹脂の重量平均分子量に対しては1.40倍以上2.00以下であり、好ましくは1.40倍以上1.80倍以下である。重量平均分子量が上記範囲である場合、セルロース系樹脂、及びアセタール系樹脂の有する水酸基と結合剤とが適度に反応し、導電性ペーストのバインダー樹脂として用いた場合、導電性粉末、セラミック粉末等の分散性が向上し、かつ、グリーンシートとの接着性にも優れる。
【0053】
また、熱処理後の混合物に含まれる樹脂は、ウレタン結合を有することが好ましい。ウレタン結合は、セルロース系樹脂、及びアセタール系樹脂の有する水酸基と、結合剤の有する官能基とが反応して形成される。なお、ウレタン結合は、例えば、13C-NMRにより検出することができる。
【0054】
(透過率)
熱処理後の混合物に含まれる樹脂は、セルロース系樹脂、及びアセタール系樹脂を有機溶剤に混合したのみの場合の透過率に対して、透過率が好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上上昇する。透過率は、樹脂の相溶性の指標の一つであり、透過率が高い程、樹脂の相溶性が向上することを示す。なお、透過率は、ガラスに試料(熱処理後の混合物、又は、対照となる樹脂混合物)を塗付し、140℃で乾燥後に得られた膜に対して、分光光度計(日本分光株式会社製 紫外可視近赤外分光光度計V-670)を用いて400~800nmの波長に対する透過率を測定する。なお、この際得られた600nmの透過率を得られた樹脂の透過率と定義した。なお、膜厚は9~12μmとする。なお、得られた樹脂の600nmの透過率は、例えば、80%以上であることが好ましい。また、得られた樹脂の600nmの透過率の上限は、特に限定されないが、90%以下であってもよい。
【0055】
2.導電性ペーストの製造方法
図3は、本実施形態に係る導電性ペーストの製造方法の一例を示す図である。本実施形態の導電性ペーストの製造方法は、図3に示すように、上述の方法により得られた有機ビヒクルと、導電性粉末とを混合すること(ステップS40)、を備える。
【0056】
[混合工程(ペースト混合工程;ステップS40)]
本実施形態に係る導電性ペースト(以下、単に「導電性ペースト」とも記載する)は、導電性粉末と、上記有機ビヒクルと、および上記以外の有機溶剤と、任意成分としてセラミック粉末と、を混合して得られる。以下、各成分について説明する。
【0057】
(導電性粉末)
導電性粉末は、特に限定されず、例えば、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Cu、およびこれらの合金から選ばれる1種以上の粉末を用いることができる。これらの中でも、導電性、耐食性及びコストの観点から、Ni、またはその合金の粉末が好ましい。Ni合金としては、例えば、Mn、Cr、Co、Al、Fe、Cu、Zn、Ag、Au、PtおよびPdからなる群より選択される少なくとも1種以上の元素とNiとの合金を用いることができる。Ni合金におけるNiの含有量は、例えば、50質量%以上、好ましくは80質量%以上である。また、Ni粉末は、脱バインダー処理の際、バインダー樹脂の部分的な熱分解による急激なガス発生を抑制するために、数百ppm程度のSを含んでもよい。
【0058】
導電性粉末の平均粒径は、好ましくは0.05μm以上1.0μm以下であり、より好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。導電性粉末の平均粒径が上記範囲である場合、薄膜化した積層セラミックコンデンサの内部電極用ペーストとして好適に用いることができ、例えば、乾燥膜の平滑性及び乾燥膜密度が向上する。平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から求められる値であり、粒度分布における積算値50%の粒径をいう。
【0059】
導電性粉末の混合量は、導電性ペースト全量に対して、好ましくは30質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは40質量%以上65質量%以下である。導電性粉末の含有量が上記範囲である場合、導電性及び分散性に優れる。
【0060】
(有機ビヒクル)
有機ビヒクルは、上述した製造方法により得られた有機ビヒクルを用いることができる。有機ビヒクルの詳細は、上記と同様であるため、記載を省略する。なお、有機ビヒクルは、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述した以外の他の樹脂を少量混合してもよい。
【0061】
導電性ペースト中の樹脂全体の含有量は、特に限定されるものではなく、任意に選択することができる。樹脂全体の含有量は、例えば、ニッケル粉末の含有量を100質量部に対して、樹脂全体の含有量が1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。樹脂全体の含有量の下限が1質量部以上である場合、導電性ペースト中の有機溶剤がグリーンシート側に浸透することを抑制し、シートアタックをより確実に抑制することができる。上記樹脂全体の含有量の上限が10質量部以下である場合、導電性ペーストの脱バインダー特性を特に高めることができる。
【0062】
(セラミック粉末)
また、ペースト混合工程(ステップS40)においては、上記材料以外にセラミック粉末を混合してもよい。セラミック粉末としては、特に限定されず、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極用ペーストである場合、適用する積層セラミックコンデンサの種類により適宜、公知のセラミック粉末が選択される。セラミック粉末としては、例えば、Ba及びTiを含むペロブスカイト型酸化物が挙げられ、好ましくはチタン酸バリウム(BaTiO3)である。なお、セラミック粉末は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
【0063】
セラミック粉末としては、チタン酸バリウムを主成分とし、酸化物を副成分として含むセラミック粉末を用いてもよい。酸化物としては、Mn、Cr、Si、Ca、Ba、Mg、V、W、Ta、Nbおよび希土類元素から選ばれる1種類以上からなる酸化物が挙げられる。
【0064】
また、セラミック粉末としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)のBa原子やTi原子を他の原子、例えば、Sn、Pb、Zrなどで置換したペロブスカイト型酸化物強誘電体のセラミック粉末を挙げることもできる。
【0065】
内部電極用の導電性ペースト中のセラミック粉末としては、積層セラミックコンデンサのグリーンシートを構成する誘電体セラミック粉末と同一組成の粉末を用いてもよい。これにより、焼結工程における誘電体層と内部電極層との界面での収縮のミスマッチによるクラック発生が抑制される。このようなセラミック粉末としては、上記のBa及びTiを含むペロブスカイト型酸化物以外に、例えば、ZnO、フェライト、PZT、BaO、Al、Bi、R(希土類元素)、TiO、Ndなどの酸化物が挙げられる。
【0066】
セラミック粉末の平均粒径は、例えば、0.01μm以上0.5μm以下であり、好ましくは0.01μm以上0.3μm以下である。セラミック粉末の平均粒径が上記範囲であることにより、内部電極用ペーストとして用いた場合、十分に細く薄い均一な内部電極を形成することができる。平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から求められる値であり、粒度分布における積算値50%の粒径をいう。
【0067】
セラミック粉末の混合量は、導電性粉末100質量部に対して、好ましくは1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは3質量部以上30質量部以下である。
【0068】
セラミック粉末の混合量は、導電性ペースト全量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上20質量%以下である。
【0069】
(有機溶剤)
また、ペースト混合工程(ステップS40)においては、さらに、第3の有機溶剤を混合してもよい。第3の有機溶剤を混合することにより、例えば、導電性ペーストの粘度を好適な範囲に調整することができる。粘度調整用の有機溶剤は、特に限定されず、従来公知の溶剤を適宜選択して用いることができる。また、粘度調整用の有機溶剤は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。なお、有機溶剤の沸点は、例えば、100℃を超えることが好ましい。溶剤の沸点が100℃以下の場合、ペースト製造時に蒸発する恐れがある。
【0070】
第3の有機溶剤としては、例えば、ターピネオール、ジヒドロターピネオールなどのテルペン系溶剤、ジヒドロターピニルアセテート、イソボニルアセテート、イソボルニルプロピネート、イソボルニルブチレート、イソボルニルイソブチレートなどが挙げられる。
【0071】
また、任意に、第3の有機溶剤よりも沸点の低い第4の有機溶剤を混合してもよい。積層セラミックコンデンサの作製工程において、導電性ペーストは、印刷装置を用いて連続的に複数枚のグリーンシートに内部電極パターンとして印刷される。この際、導電性ペーストの乾燥速度が速い場合、内部電極パターンを印刷している間に、導電性ペースト内の有機溶剤が失われ、導電性ペーストの粘度が増加し、内部電極パターンの印刷が困難になることがある。沸点の異なる2種類以上の有機溶剤を組み合わせることにより、乾燥速度を好適な範囲に容易に調製することができ、かつ上記のような印刷中に導電性ペーストの粘度が増加することを抑制できる。また、第4の有機溶剤は、第3の有機溶剤よりも粘度が低いことが好ましい。
【0072】
第4の有機溶剤としては、例えば、飽和脂肪族系炭化水素溶剤、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが好ましい例として挙げられる。飽和脂肪族系炭化水素溶剤としては、飽和炭化水素を主成分として含有する溶剤を好ましく用いることができ、特にトリデカン、ノナン、シクロヘキサンを含有する溶剤をより好ましく用いることができる。また、トリデカン、ノナン、シクロヘキサンを主成分として含有する溶剤を特に好ましく用いることができる。ここでいう主成分とは、体積比で90vol%以上含まれていることを意味している。
【0073】
有機溶剤(全体)の混合量は、特に限定されるものではなく、導電性ペーストの粘度等に応じて任意に選択することができる。有機溶剤(全体)の含有量は、例えば、ニッケル粉末100質量部に対して、60質量部以上100質量部以下であることが好ましく、40質量部以上80質量部以下であることがより好ましい。
【0074】
(その他の成分)
本実施形態に係る導電性ペーストは、上記した成分以外の、従来公知の添加成分、例えば、分散剤などを含んでもよい。
【0075】
(導電性ペーストの混合方法)
導電性ペーストの混合方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、上記の各成分を、3本ロールミル、ボールミル、ミキサーなどで攪拌・混練することにより導電性ペーストを得ることができる。その際、導電性粉末表面に予め分散剤を塗布すると、導電性粉末が凝集することなく十分にほぐれて、その表面に分散剤が行きわたるようになり、均一な導電性ペーストを得やすい。また、予め、バインダー樹脂を有機溶剤の一部に溶解させて、有機ビヒクルを作製した後、ペースト調整用の有機溶剤へ、導電性粉末、セラミック粉末、分散剤、及び、有機ビヒクルを添加した後、攪拌・混練し、導電性ペーストを作製してもよい。
【0076】
3.積層セラミックコンデンサの製造方法
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法は、上記の製造方法により得られた導電性ペーストと、グリーンシートとを交互に積層した後、圧着、焼成して積層体を得ることと、を備える。また、グリーンシートは、アセタール系樹脂を含むことが好ましい。
【0077】
図4は、本実施形態の製造方法により得られる積層セラミックコンデンサ1の一例を示す断面図である。積層セラミックコンデンサ1は、複数の誘電体層12、及び、複数の内部電極層11を交互に積層した積層体10を備える。積層セラミックコンデンサ1の製造工程は、まず、グリーンシートから形成される複数の誘電体層12と、上記した導電性ペーストから形成される複数の内部電極層11とを、圧着により交互に積層させた圧着体を得た後、圧着体を焼成して一体化することにより、積層セラミックコンデンサ本体となる積層セラミック焼成体(積層体10)が製造される。その後、上記積層セラミック焼成体(積層体10)の両端部に一対の外部電極20を形成することにより、積層セラミックコンデンサ1が製造される。以下、各製造工程について説明する。
【0078】
まず、未焼成のセラミックシートであるグリーンシートを用意する。グリーンシートとしては、例えば、チタン酸バリウム等の所定のセラミック粉末(原料粉末)に、ポリビニルブチラール等のバインダー樹脂とターピネオール等の有機溶剤とを加えて得た誘電体層用ペーストを、PETフィルム等の支持フィルム上にシート状に塗布し、乾燥させて有機溶剤を除去したもの等が挙げられる。なお、グリーンシートから形成される誘電体層12の厚みは、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサの小型化の要請の観点から、0.05μm以上3μm以下が好ましい。
【0079】
次いで、このグリーンシートの片面に、スクリーン印刷法等の公知の方法によって、上述の導電性ペーストを印刷して塗布し、導電性ペーストから形成される内部電極層11を形成したものを複数枚、用意する。なお、導電性ペーストから形成される内部電極層11の厚みは、当該内部電極層11の薄層化の要請の観点から、1μm以下とすることが好ましい。
【0080】
次いで、支持フィルムから、グリーンシートを剥離するとともに、グリーンシートから形成される誘電体層12とその片面に形成された導電性ペーストから形成される内部電極層11とが交互に配置されるように、加熱・加圧処理により積層して、圧着体を得る。なお、圧着体の両面に、導電性ペーストを塗布していない保護用のグリーンシートを配置する構成としても良い。
【0081】
次いで、圧着体を所定サイズに切断してグリーンチップを形成した後、当該グリーンチップに対して脱バインダー処理を施し、還元雰囲気下において焼成することにより、積層セラミック焼成体(積層体10)を製造する。なお、脱バインダー処理における雰囲気は、大気またはNガス雰囲気にすることが好ましい。脱バインダー処理を行う際の温度は、例えば200℃以上400℃以下である。また、脱バインダー処理を行う際の、上記温度の保持時間を0.5時間以上24時間以下とすることが好ましい。また、焼成は、内部電極層11に用いる金属の酸化を抑制するために還元雰囲気で行われ、また、積層体10の焼成を行う際の温度は、例えば、1000℃以上1350℃以下であり、焼成を行う際の、温度の保持時間は、例えば、0.5時間以上8時間以下である。
【0082】
グリーンチップの焼成を行うことにより、グリーンチップ中のバインダー樹脂が除去されるとともに、セラミック粉末(原料粉末)が焼成されて、セラッミック製の誘電体層12が形成される。また、内部電極層11中の有機ビヒクルが除去されるとともに、導電性粉末が焼結もしくは溶融、一体化されて、内部電極が形成され、誘電体層12と内部電極層11とが複数枚、交互に積層された積層セラミック焼成体が形成される。なお、酸素を誘電体層の内部に取り込んで電気的特性を高めるとともに、内部電極の再酸化を抑制するとの観点から、焼成後のグリーンチップに対して、アニール処理を施してもよい。
【0083】
そして、作製した積層セラミック焼成体(積層体10)に対して、一対の外部電極20を設けることにより、積層セラミックコンデンサ1が製造される。例えば、外部電極20は、外部電極層21及びメッキ層22を備える。外部電極層21は、内部電極層11と電気的に接続する。なお、外部電極20は、外部電極層21及びメッキ層22以外の層を備えてもよい。また、外部電極20は、メッキ層22を備えなくてもよい。外部電極20(外部電極層21、メッキ層22)の材料としては、例えば、銅やニッケル、またはこれらの合金が好適に使用できる。
【実施例
【0084】
以下、実施例を参照しながら本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0085】
(1)試験1
[評価方法]
(透過率)
得られた試料(熱処理後の樹脂混合物、又は、対照となる樹脂混合物)をガラスに塗付し、140℃で乾燥して、膜厚9~12μmの範囲の乾燥膜を得た。得られた乾燥膜に対して、分光光度計(日本分光株式会社製 紫外可視近赤外分光光度計V-670)を用いて400~800nmの波長に対する透過率を測定し、波長600nmの透過率を得られた試料の透過率として定義した。
【0086】
(重量平均分子量Mw)
得られた試料について、標準ポリマーとしてポリスチレン、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行った。
なお、GPC測定に用いた装置及び条件は以下のとおりであった。
装置:Waters製 ACQUITY ACQUITY ACQUITY UPLC H-class
カラム:Waters製 XT900+XT450+XT200
検出器:RI検(示差屈折計)
分離液:テトラヒドロフラン(THF)
流量:1mL/分
カラム温度:140℃
標準試料:ポリスチレン
【0087】
[実施例1]
(有機ビヒクルの製造)
セルロース系樹脂としてエチルセルロース(水酸基価:81mgKOH/g、重量平均分子量Mw:230000)50質量部と、アセタール系樹脂としてポリビニルブチラール(水酸基価:90mgKOH/g、重量平均分子量Mw:170000)50質量部と、結合剤としてトルエンジイソシアネート0.25質量部と、第1の有機溶剤として1,4-ジオキサン667質量部とを混合し、混合物を得た。得られた混合物を90℃、2時間、撹拌しながら熱処理をした。
【0088】
次いで、熱処理後の混合物に第2の有機溶剤としてターピネオール500質量部を添加した後、120℃で加熱して、主に1,4-ジオキサンのみを蒸発させることにより除去し、有機ビヒクルを得た。得られた有機ビヒクル中の樹脂について、透過率(波長:600nm)と重量平均分子量Mwの評価を行った。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
【0089】
[実施例2]
結合剤の混合割合を0.52質量部とした以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
【0090】
[実施例3]
結合剤の混合割合を1.03質量部とした以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
【0091】
[実施例4]
セルロース系樹脂としてエチルセルロース(水酸基価:80mgKOH/g、重量平均分子量Mw:220000)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
【0092】
[実施例5]
結合剤としてヘキサメチレンジイソシアネートを用いた以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
【0093】
[実施例6]
結合剤としてジフェニルメタンジイソシアネートを用い、第1の有機溶剤としてメチルエチルケトンを用いた以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
【0094】
[実施例7]
第1の有機溶剤としてメチルイソブチルケトンを用いた以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
【0095】
[比較例1]
結合剤としてヘキサメチレンジイソシアネートを用い、アセタール系樹脂としてポリビニルブチラール(数平均分子量Mn:53000)を用い、得られた混合物を60℃、24時間で熱処理した以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
【0096】
[比較例2]
得られた混合物を60℃、24時間で熱処理した以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
【0097】
[比較例3]
結合剤としてヘキサメチレンジイソシアネート0.5質量部を用い、得られた混合物を60℃、24時間で熱処理した以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
【0098】
[比較例4]
セルロース系樹脂としてエチルセルロース(水酸基価:79mgKOH/g、重量平均分子量Mw:29000)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
【0099】
[比較例5]
セルロース系樹脂としてエチルセルロース(水酸基価:80mgKOH/g、重量平均分子量Mw:160000)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
【0100】
[比較例6]
結合剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で有機ビヒクルを製造し、評価した。有機ビヒクルの製造条件、及び、透過率(波長:600nm)の評価結果を表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
[評価結果]
実施例で得られた有機ビヒクルは、波長600nmにおける透過率が80%以上であり、混合したセルロース系樹脂とアセタール系樹脂の相溶性が向上したことが確認された。また、実施例1~7で得られた有機ビヒクル中の樹脂についてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行ったところ、重量平均分子量Mwが280000であり、重量平均分子量が、原料として用いたセルロース系樹脂、及びアセタール系樹脂のそれぞれの重量平均分子量よりも大きくなっていることが確認された。また、波長600nmの透過率の増加と、重量平均分子量の増加とが相関することが確認された。また、実施例1で得られた有機ビヒクル中の樹脂について13C-NMR測定を行ったところ、ウレタン結合に由来するピークが検出された。
【0103】
一方、熱処理の温度を80℃以下とした比較例1で得られた有機ビヒクルでは、熱処理を24時間行ったにも関わらず、得られた樹脂の透過率が80%未満であった。また、結合剤の種類を変更した比較例2や結合剤の量を増加した比較例3の有機ビヒクルでも、比較例1と同様に、得られた樹脂の透過率が80%未満であった。
【0104】
また、重量平均分子量(Mw)が29000であるセルロース系樹脂を用いた比較例4では、得られた有機ビヒクルの粘度が低く、評価用の乾燥膜を得ることができず、熱処理後に得られた樹脂の重量平均分子量の増加も観察されなかった。また、重量平均分子量(Mw)が160000であるセルロース系樹脂を用いた比較例5では、得られた樹脂の透過率が70%であり、熱処理後に得られた樹脂の重量平均分子量の増加が観察されなかった。結合剤を添加せずに、熱処理を行った比較例6では、得られた樹脂の透過率が72%であり、熱処理後に得られた樹脂の重量平均分子量の増加が観察されなかった。
【0105】
(2)試験2
次に、上記の実施例5及び比較例6の有機ビヒクルを用いて導電性ペーストを作製し、その分散性について、以下の方法で評価した。
【0106】
[評価方法]
(表面粗さ)
得られた導電性ペーストをガラス基板に幅20mm長さ30mm厚み0.01mmで印刷した後、乾燥、焼成工程を経て導体を形成した。得られた導体に対して、表面粗さ計(キーエンス社製 レーザー顕微鏡)を用いて、2μm範囲の粗さを計測した。表面粗さが小さい程、表面が平滑であることを示し、導電性ペーストの分散性が良好であると評価できる。
【0107】
[実施例8]
導電性粉末として、平均粒径0.2μmのNi粉末を50質量%、有機ビヒクルとして実施例5の有機ビヒクルを45質量%、添加剤として高分子分散剤(日本ルーブリゾール社製、商品名:SOLSPERSE36000)を1質量%、粘度調整用に有機溶剤としてミネラルスピリットA(JXTGエネルギー株式会社製)を4質量%用いて、3本ロールにて混合撹拌して評価用の導電性ペーストを得た。
【0108】
得られた導電性ペーストを印刷機にてアルミナ基板に印刷し、乾燥、焼結を行い評価用の導体を作製し、その表面粗さを計測した。評価結果を表2に示す。
【0109】
[比較例7]
有機ビヒクルとして比較例6の有機ビヒクルを用いた以外は、実施例8と同様にして導電性ペースト作製し、その後、印刷、乾燥、焼結を行い評価用の導体を作製し、その表面粗さを計測した。評価結果を表2に示す。
【0110】
【表2】
【0111】
[評価結果]
実施例5の有機ビヒクルを用いた実施例8の導電性ペーストは、含有樹脂同士が結合し、透過率も高い有機ビヒクルを用いているため、表面粗さが0.1μmと非常に平滑であることが確認され、分散性に優れることが示された。
【0112】
一方、比較例6の有機ビヒクルを用いた比較例7の導電性ペーストは、透過率の低い有機ビヒクルを用いているため、ペースト内で含有樹脂などの凝集が解消されず、表面粗さも0.13μmと平滑性に劣ることが確認され、分散性に劣ることが示された。
【符号の説明】
【0113】
1 積層セラミックコンデンサ
10 積層体
11 内部電極層
12 誘電体層
20 外部電極
21 外部電極層
22 メッキ層
図1
図2
図3
図4