(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】画像データ処理装置、画像データ処理システム、画像データ処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20220712BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220712BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220712BHJP
【FI】
H04N7/18 U
H04N5/232 190
H04N5/232 290
G06T7/00 660Z
H04N7/18 D
H04N5/232 300
(21)【出願番号】P 2018198962
(22)【出願日】2018-10-23
【審査請求日】2020-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100122286
【氏名又は名称】仲倉 幸典
(72)【発明者】
【氏名】藤本 慎也
(72)【発明者】
【氏名】戎野 聡一
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-80220(JP,A)
【文献】特開2016-158156(JP,A)
【文献】特開2006-140757(JP,A)
【文献】特許第6400260(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 5/222-5/257
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人を含む画像データを処理する画像データ処理装置であって、
上記画像データに含まれる人の手を検出する、手検出部と、
上記画像データにおいて、上記検出された手の周りを取り囲む境界ボックス領域を、非処理領域として決定する、非処理領域決定部と、
上記画像データ内の上記非処理領域の内容を視認可能とし、上記画像データ内の上記非処理領域以外の処理領域の内容を視認できないように、上記画像データを加工する、画像加工部とを、備え
、
上記画像データにおいて、上記人の顔が含まれているか否かを判断する、顔認識部を、さらに備えており、
上記画像加工部は、上記顔認識部が、上記顔が含まれていないと判断したときのみ、上記画像データの上記加工を行う、
画像データ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像データ処理装置において、
上記非処理領域決定部は、
上記画像データ内における、上記人が作業を行う作業エリアを示す位置情報を、取得し、
上記境界ボックス領域と上記位置情報とを用いて、上記非処理領域を決定する、
ことを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像データ処理装置において、
上記加工前の上記画像データを消去する、データ消去処理部と、
上記加工後の加工画像データを格納する、データ格納部とを、さらに備える、
ことを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像データ処理装置において、
上記画像データは、固定された撮像装置の撮像により生成され、上記手検出部へ供給される、ことを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像データ処理装置において、
上記画像データは、指示信号と、関連付けられており、
上記画像加工部は、上記指示信号と関連付けられている上記画像データのみに対して、上記加工を行う、
ことを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項6】
請求項3に記載の画像データ処理装置において、
上記画像データは、指示信号と、関連付けられており、
上記データ格納部は、上記指示信号と関連付けられている上記画像データから生成された、上記加工画像データのみを格納する、
ことを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項7】
人を含む画像データを処理する画像データ処理システムであって、
人を含む画像を撮像することにより、画像データを生成する、撮像装置と、
画像データ処理装置とを、備え、
上記画像データ処理装置は、
上記画像データに含まれる人の手を検出する、手検出部と、
上記画像データにおいて、上記検出された手の周りを取り囲む境界ボックス領域を、非処理領域として決定する、非処理領域決定部と、
上記画像データ内の上記非処理領域の内容を視認可能とし、上記画像データ内の上記非処理領域以外の処理領域の内容を視認できないように、上記画像データを加工する、画像加工部とを、備え、
上記画像データにおいて、上記人の顔が含まれているか否かを判断する、顔認識部を、さらに備えており、
上記画像加工部は、上記顔認識部が、上記顔が含まれていないと判断したときのみ、上記画像データの上記加工を行う、
画像データ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像データ処理装置、画像データ処理システム、画像データ処理方法、およびプログラムに関し、より詳しくは、たとえば、人を含む画像データにおいて、当該人を含む人物のプライバシーを保護することが可能な、画像データ処理装置、画像データ処理システム、画像データ処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像された個人のプライバシーを保護する技術が存する。たとえば、画像データに人が含まれている場合、当該人の顔を検出し、検出した顔に対して、プライバシー保護対策が施されている。なお、特許文献1(特開2017-188771号公報)には、顔に対するプライバシー保護対策が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、顔を画像データから検出し、当該顔を保護する技術では、次のような問題を有する。つまり、たとえば、画像データ(動画データ)内の人が動いている場合、顔認識できず、顔の検出が失敗することがある。また、画像データ内に、複数の人が含まれる場合において、何れかの人に関して、顔の検出が失敗することがある。このような場合、加工後の画像データに、検出失敗した顔が残ってしまい、プライバシー保護が達成されないという問題が生じる。
【0005】
そこで、この発明の課題は、画像データにおいて、より確実にプライバシー保護を行うことができる、画像データ処理装置、画像データ処理システム、画像データ処理方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明に係る画像データ処理装置は、
人を含む画像データを処理する画像データ処理装置であって、
上記画像データに含まれる人の手を検出する、手検出部と、
上記画像データにおいて、上記検出された手の周りを取り囲む境界ボックス領域を、非処理領域として設定する、非処理領域決定部と、
上記画像データ内の上記非処理領域の内容を視認可能とし、上記画像データ内の上記非処理領域以外の処理領域の内容を視認できないように、上記画像データを加工する、画像加工部とを、備える、ことを特徴とする。
【0007】
本明細書で、「画像データ」とは、典型的には動画データを指すが、静止画データであってもよい。
【0008】
「人」とは、典型的には手作業を行う人を指すが、手を使う遊戯、手品などを行う人であってもよい。
【0009】
「手の周りを取り囲む境界ボックス領域」とは、実質的に手のみを目的として取り囲む領域を意味する。このような「境界ボックス領域」は、予め定められた閉形状(例えば、矩形)をもち、手が占める領域に応じたサイズと位置をもつように設定される。
【0010】
本明細書で、「非処理領域」は、上記手の周りを取り囲む境界ボックス領域のほか、例えば上記人が使う作業エリア(例えば、作業台に相当する領域)などを含んでいてもよい。
【0011】
この発明の画像データ処理装置では、手検出部は、画像データに含まれる人の手を検出する。非処理領域決定部は、上記画像データにおいて、上記手検出部によって検出された手の周りを取り囲むように予め定められた閉形状とサイズをもつ境界ボックス領域を、非処理領域として決定する。ここで、境界ボックス領域とは、実質的に手のみを目的として取り囲む領域を意味する。したがって、非処理領域(境界ボックス領域を含む)には、人の顔は含まれない。画像加工部は、上記画像データ内の上記非処理領域の内容を視認可能とし、上記画像データ内の上記非処理領域以外の処理領域の内容を視認できないように、上記画像データを加工する。これにより、加工後の画像データでは、実質的に上記非処理領域をなす境界ボックス領域に含まれた手のみが視認可能となる。他方、上記非処理領域以外の処理領域に含まれた内容(例えば、人の顔)は、視認できない状態になる。つまり、当該画像データ処理装置によれば、より確実にプライバシー保護を行うことが、可能となる。
【0012】
なお、人が手を顔の前にかざすような動作をしたときは、上記非処理領域をなす境界ボックス領域内で手の背景として顔の一部が含まれる(写る)かも知れない。しかしながら、プライバシー保護の観点からは、そのような画像(顔の一部)は問題とはならない(写っても支障が無い)と考えられる。また、人が、自身の胴体の前で手を配置し、動作をしたときは、上記非処理領域をなす境界ボックス領域内で手の背景として当該胴体の一部が含まれる(写る)かも知れない。しかしながら、プライバシー保護の観点からは、そのような画像(胴体の一部)は問題とはならない(写っても支障が無い)と考えられる。
【0013】
一実施形態の画像データ処理装置では、
上記非処理領域決定部は、
上記画像データ内における、上記人が作業を行う作業エリアを示すエリア情報を、取得し、
上記境界ボックス領域と上記エリア情報とを用いて、上記非処理領域を決定する、ことを特徴とする。
【0014】
この一実施形態の画像データ処理装置では、非処理領域に、作業エリアをも含めることができる。よって、画像加工部による加工が施された加工画像データにおいて、人の手のみならず、作業エリアも視認可能とすることができる。よって、当該加工画像データを参照することにより、人の作業の内容を認識することが容易となる。
【0015】
一実施形態の画像データ処理装置では、
上記加工前の上記画像データを消去する、データ消去処理部と、
上記加工後の加工画像データを格納する、データ格納部とを、さらに備える、ことを特徴とする。
【0016】
この一実施形態の画像データ処理装置では、データ消去処理部は、加工前の元画像データを消去している。よって、人の顔等を含む当該元画像データが保存されることもなく、プライバシー保護が確立される。また、データ格納部は、プライバシー保護対策が施されたが加工画像データを保存するので、必要なデータは確保され得る。
【0017】
一実施形態の画像データ処理装置では、
上記画像データは、固定された撮像装置の撮像により生成され、上記手検出部へ供給される、ことを特徴とする。
【0018】
この一実施形態の画像データ処理装置では、画像データは、固定された撮像装置によって生成され、上記手検出部へ供給される。したがって、上記手検出部への画像データの供給が容易になる。
【0019】
一実施形態の画像データ処理装置では、
上記画像データは、指示信号と、関連付けられており、
上記画像加工部は、上記指示信号と関連付けられている上記画像データのみに対して、上記加工を行う、ことを特徴とする。
【0020】
この一実施形態の画像データ処理装置では、画像加工部は、指示信号と関連付けられている画像データのみに対して、上記加工を行う。これにより、加工の必要性がある画像データのみに、当該指示信号を関連付けることで、すべての画像データに対する加工を行う必要がなくなる。よって、画像データ処理装置の負荷を、抑制することができる。
【0021】
一実施形態の画像データ処理装置では、
上記画像データは、指示信号と、関連付けられており、
上記データ格納部は、上記指示信号と関連付けられている上記画像データから生成された、上記加工画像データのみを格納する、ことを特徴とする。
【0022】
この一実施形態の画像データ処理装置では、データ格納部は、指示信号と関連付けられている画像データから生成された、加工画像データのみを格納する。これにより、保存の必要性がある画像データのみに、当該指示信号を関連付けることで、すべての加工画像データを保存する必要がなくなる。よって、データ格納部の容量を節約することができる。
【0023】
一実施形態の画像データ処理装置では、
上記画像データにおいて、上記人の顔が含まれているか否かを判断する、顔認識部を、さらに備えており、
上記画像加工部は、上記顔認識部が、上記顔が含まれていないと判断したときのみ、上記画像データの上記加工を行う、ことを特徴とする。
【0024】
この一実施形態の画像データ処理装置では、画像データにおいて、人の顔が認識されないと判断したときのみ、画像加工部は、上記画像データの上記加工を行う。したがって、さらにプライバシー保護を図ることが可能となる。
【0025】
別の局面では、この開示の画像データ処理システムは、
人を含む画像データを処理する画像データ処理システムであって、
人を含む画像を撮像することにより、画像データを生成する、撮像装置と、
画像データ処理装置とを、備え、
上記画像データ処理装置は、
上記画像データに含まれる人の手を検出する、手検出部と、
上記画像データにおいて、上記検出された手の周りを取り囲む境界ボックス領域を、非処理領域として決定する、非処理領域決定部と、
上記画像データ内の上記非処理領域の内容を視認可能とし、上記画像データ内の上記非処理領域以外の処理領域の内容を視認できないように、上記画像データを加工する、画像加工部とを、備える。
【0026】
この発明の画像データ処理システムでは、撮像装置が、人を含む画像を撮像することにより、画像データを生成する。画像データ処理装置の手検出部は、上記画像データに含まれる人の手を検出する。非処理領域決定部は、上記画像データにおいて、上記手検出部によって検出された手の周りを取り囲むように予め定められた閉形状とサイズをもつ境界ボックス領域を、非処理領域として決定する。ここで、境界ボックス領域とは、実質的に手のみを目的として取り囲む領域を意味する。したがって、非処理領域(境界ボックス領域を含む)には、人の顔は含まれない。画像加工部は、上記画像データ内の上記非処理領域の内容を視認可能とし、上記画像データ内の上記非処理領域以外の処理領域の内容を視認できないように、上記画像データを加工する。これにより、加工後の画像データでは、実質的に上記非処理領域をなす境界ボックス領域に含まれた手のみが視認可能となる。他方、上記非処理領域以外の処理領域に含まれた内容(例えば、人の顔)は、視認できない状態になる。つまり、当該画像データ処理装置によれば、より確実にプライバシー保護を行うことが、可能となる。
【0027】
別の局面では、この開示の画像データ処理方法は、
人を含む画像データを処理する画像データ処理方法であって、
画像データに含まれる人の手を検出し、
上記画像データにおいて、上記検出された手の周りを取り囲む境界ボックス領域を、非処理領域として決定し、
上記画像データ内の上記非処理領域の内容を視認可能とし、上記画像データ内の上記非処理領域以外の処理領域の内容を視認できないように、上記画像データを加工する。
【0028】
この発明の画像データ処理方法では、画像データに含まれる人の手を検出する。当該画像データにおいて、検出された手の周りを取り囲むように予め定められた閉形状とサイズをもつ境界ボックス領域を、非処理領域として決定する。ここで、境界ボックス領域とは、実質的に手のみを目的として取り囲む領域を意味する。したがって、非処理領域(境界ボックス領域を含む)には、人の顔は含まれない。また、上記画像データ内の上記非処理領域の内容を視認可能とし、上記画像データ内の上記非処理領域以外の処理領域の内容を視認できないように、上記画像データを加工する。これにより、加工後の画像データでは、実質的に上記非処理領域をなす境界ボックス領域に含まれた手のみが視認可能となる。他方、上記非処理領域以外の処理領域に含まれた内容(例えば、人の顔)は、視認できない状態になる。つまり、当該画像データ処理装置によれば、より確実にプライバシー保護を行うことが、可能となる。
【0029】
さらに別の局面では、この開示のプログラムは、画像データ処理方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0030】
この開示のプログラムをコンピュータに実行させることによって、上記画像データ処理方法を実施することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上より明らかなように、この開示の、画像データ処理、画像データ処理システム、および画像データ処理方法によれば、より確実にプライバシー保護を行うことが、可能となる。また、この開示のプログラムをコンピュータに実行させることによって、上記画像データ処理方法を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】第1実施形態に係る画像データ処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1の画像データ処理システムに含まれた画像データ処理装置のブロック構成を示す図である。
【
図3】
図1の画像データ処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図4】上記画像データ処理装置によって処理される画像データの一例を示す図である。
【
図5】
図4の画像データにおいて、境界ボックス領域が設定される様子を示す図である。
【
図6】
図4の画像データにおいて、境界ボックス領域および作業エリア領域が設定される様子を示す図である。
【
図7】
図4の画像データにおいて、作業エリア領域のみが設定される様子を示す図である。
【
図8】
図4の画像データを加工して得られた加工画像データの一例を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る画像データ処理システムの概略構成を示す図である。
【
図10】
図9の画像データ処理システムに含まれたデータ一時格納装置に、画像データが格納されている様子を示す図である。
【
図11】上記画像データと指示信号とが関連付けられている様子を示す図である。
【
図12】
図9の画像データ処理システムの動作の一部を説明するフローチャートである。
【
図13】
図9の画像データ処理システムの動作の別の一部を説明するフローチャートである。
【
図14】
図9の画像データ処理システムに含まれた画像データ処理装置の概略構成を示す図である。
【
図15】上記画像データ処理装置の動作の一部を説明するフローチャートである。
【
図16】上記画像データ処理装置によって処理される画像データの一例を示す図である。
【
図17】
図16の画像データに含まれる顔に対して、加工を施した様子を示す図である。
【
図18】顔検出されない場合の画像データの例を示す図である。
【
図19】
図18の画像データにおいて、境界ボックス領域および作業エリア領域が設定される様子を示す図である。
【
図20】
図18の画像データを加工して得られた加工画像データの一例を示す図である。
【
図21】画像データにおいて、複数の境界ボックス領域が設定される様子を示す図である。
【
図22】外部記録装置を備える、画像データ処理システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
<第1実施形態>
(画像データ処理システムの概略構成)
図1は、この発明の第1実施形態に係る画像データ処理システム100の概略構成を示している。
【0035】
図1に示すように、画像データ処理システム100は、撮像装置10および画像データ処理装置20を、備えている。また、画像データ処理システム100は、作業エリア30および通信網50をも、備えている。
【0036】
本実施の形態では、人40は、たとえば、作業を行う作業者である。当該人40は、作業エリア(この例では、作業台)30の前に位置している。そして、人40は、作業エリア30において、所定の手作業を行う。ここで、一例として、当該所定の手作業は、装置の組み立て作業などである。
【0037】
撮像装置10は、人40を含む画像を撮像し、当該撮像により、画像データを生成する。より具体的には、撮像装置10は、人40および作業エリア30を含む画像を撮像し、当該撮像により、画像データ(この例では、動画データを指す。以下同様。)を生成する。本実施の形態では、撮像装置10は、固定されている。つまり、画像データは、固定された撮像装置10の撮像により生成される。なお、撮像装置10は、固定されておらず、移動可能であってもよい。撮像装置10と作業エリア30とは、対応している。よって、当該撮像装置10は、当該対応している作業エリア30と、当該作業エリア30において作業を行っている人40とを、撮像する。
【0038】
撮像装置10は、被写体を撮像し、撮像結果をデジタルデータとして生成できるものであればよい。たとえば、撮像装置10は、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含む、カメラを採用することができる。
【0039】
本実施の形態では、撮像装置10は、画像データ処理装置20と、通信可能に接続されている。
図1に示す例では、撮像装置10は、画像データ処理装置20と、通信網50を介して、接続されている。よって、通信網50を介して、撮像装置10と画像データ処理装置20との間で、データの送受信を行うことができる。たとえば、撮像装置10は、生成された画像データを、画像データ処理装置20へ、送信することができる。通信網50としては、有線通信または無線通信を採用することができる。
【0040】
(画像データ処理装置の概略構成)
次に、画像データ処理装置20の概略構成を、具体的に説明する。
図2は、本実施形態に係る画像データ処理装置20のブロック構成を示している。
【0041】
図2に示すように、本実施の形態に係る画像データ処理装置20は、データ取得部21、表示部22、操作部23、情報格納部24、制御部(プロセッサまたは電気回路)25、およびデータ格納部26を、備えている。画像データ処理装置20内において、データ取得部21、表示部22、操作部23、情報格納部24、およびデータ格納部26は、制御部25と、通信可能に接続されている。これにより、制御部25は、データ取得部21、表示部22、操作部23、情報格納部24、およびデータ格納部26を制御し、各部21,22,23,24,26は、所定の動作を実施する。
【0042】
データ取得部21は、各種データを、外部端末との間で送受信する。たとえば、本実施の形態に係るデータ取得部21は、通信網50を介して、撮像装置10と接続されている。したがって、データ取得部21は、撮像装置10で生成された画像データを、通信網50を介して、受信する。なお、データ取得部21は、外部装置取付け口21aを有していてもよい(
図2参照)。当該外部装置取付け口21aに、USBメモリ装置等を取り付けることにより、データ取得部21は、当該USB(Universal Serial Bus)メモリ装置から、所望の画像データ等を、受け取ることができる。
【0043】
表示部22は、各種画像を表示する、モニタである。たとえば、表示部22として、液晶モニタ等を採用することができる。
【0044】
操作部23は、ユーザからの、所定の操作を受け付ける部分である。たとえば、当該操作部23は、マウスおよびキーボードなどから、構成される。ここで、表示部22として、タッチパネル式のモニタを採用した場合には、表示部22は、表示機能だけでなく、操作部23としての機能をも有する。
【0045】
情報格納部24は、各種データを記憶する。当該情報格納部24は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を含む、メモリである。たとえば、情報格納部24には、各種プログラムが格納されている。また、情報格納部24は、後述する境界ボックス領域を規定するための各種情報(形状など)が、当該情報の変更が可能なように、格納されている。また、情報格納部24には、画像データ内における、人40が作業を行う作業エリア30を示す位置情報(位置、サイズ、形状など)が、当該情報の変更が可能なように、格納されている。
【0046】
たとえば、ユーザは、表示部22および操作部23等を介して、境界ボックス(bounding box)領域を規定するための各種情報を、情報格納部24に格納(設定)する。また、ユーザは、操作部23に対して操作を施すことにより、情報格納部24に格納(設定)されている、情報、データ、およびプログラム等を、変更することができる。また、この例では、表示部22および操作部23等を利用した、GUI(Graphical User Interface)技術などにより、ユーザは、作業エリア30を示す位置情報を、情報格納部24に、予め設定する。
【0047】
制御部25は、この例では、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)を含んでいる。たとえば、制御部25は、情報格納部24に格納されている各プログラムおよび各データを読み込む。また、制御部25は、読み込んだプログラムに従い、各部21,22,23,24,26を制御し、所定の動作(機能)を実行させる。また、制御部25は、読み込んだプログラムに従い、当該制御部25内(プログラムによって構成される各ブロック25a,25b,25c,25d)において、所定の演算、解析、処理等を実施する。
【0048】
図2に示すように、本実施の形態に係る制御部25は、手検出部25a、非処理領域決定部25b、画像加工部25c、およびデータ消去処理部25dを有する。各ブロック25a,25b,25c,25dは、バス25Lを介して、接続されている。
【0049】
手検出部25aには、データ取得部21で取得した画像データが、供給される。前述したように、当該画像データは、たとえば、固定された撮像装置10の撮像により、生成される。手検出部25aは、公知の手認識技術によって、受信した画像データに含まれる人40の手を検出する。
【0050】
非処理領域決定部25bは、画像データにおいて、検出された手の周りを取り囲む境界ボックス領域を、非処理領域として決定する。具体的な決定の仕方については、後述の
図3の動作フローによって説明する。
【0051】
画像加工部25cは、非処理領域決定部25bにおいて決定された非処理領域を含む、画像データを取得する。ここで、当該画像データにおいて、非処理領域以外の領域は、処理領域である。つまり、画像加工部25cは、非処理領域と処理領域とが決定された、画像データを取得する。そして、画像加工部25cは、画像データ内の非処理領域の内容を視認可能とし、画像データ内の処理領域の内容を視認できないように、画像データを加工する。
【0052】
データ消去処理部25dは、画像加工部25cにおける加工前の画像データを、消去することができる。データ消去処理部25dが上記消去処理を実施した場合には、データ取得部21が取得した加工前の画像データは、消去され、画像加工部25cが加工した加工画像データのみが、画像データ処理装置20内(または画像データ処理システム内)に残る。
【0053】
データ格納部26は、メモリであり、制御部25(より具体的には、画像加工部25c)で加工された加工画像データなどを、格納する。ここで、データ格納部26は、すべての加工画像データを、格納してもよい。または、データ格納部26は、後述する指示信号と関連付けられている画像データから生成された、加工画像データのみを格納してもよい。また、以下の説明では、データ格納部26は、加工画像データを格納する場合に言及する。しかし、データ格納部26は、加工前の画像データを、一時的に格納してもよい。
【0054】
(画像データ処理システムの動作)
次に、画像データ処理システム100の動作について、フローチャートを用いて説明する。
図3は、画像データ処理システム100(主に画像データ処理装置20)の動作を示す、フローチャートである。
【0055】
図1において、撮像装置10は、作業中の人40と、当該作業を行っている作業エリア30とを、撮像する(ステップS1)。また、撮像装置10は、当該撮像により、画像データを生成する(ステップS1)。
図4は、撮像装置10で生成された画像データの一例を示す図である。
図4に示すように、画像データGD1には、人40と作業エリア30とが、含まれている。また、人40の手40aも撮像されている。
【0056】
次に、撮像装置10は、生成した画像データを、通信網50を介して、画像データ処理装置20へ送信する(ステップS2)。以下、画像データ処理装置20の各動作を、具体的に説明する。
【0057】
データ取得部21は、撮像装置10により撮像された画像データを、取得(受信)する(ステップS3)。次に、制御部25内の非処理領域決定部25bは、画像データ内における、作業エリア30を示す位置情報(位置、サイズ、形状など)を、情報格納部24から、取得する(ステップS4)。
【0058】
制御部25内の手検出部25aは、データ取得部21から画像データを取得する。ここで、手検出部25aは、
図4に例示した画像データGD1を、取得したとする。手検出部25aは、画像データGD1に含まれる人40の手40aを、検出する(ステップS5)。より具体的には、手検出部25aは、取得した画像データGD1内に、人40の手40aが含まれている否かを、判断する(ステップS5)。ここで、公知の、SSD(Single Shot Multibox Detector)技術、YOLO(You Only Look Once)技術、または骨格推定技術を利用することにより、手検出部25aは、画像データGD1から、人40の手40aを検出することができる。この検出によって、手検出部25aは、画像データGD1に含まれた手40aの位置、サイズを取得する。
【0059】
手検出部25aが、画像データにおいて、人40の手40aを検出したとする(ステップS5の「YES」)。この場合には、非処理領域決定部25bは、境界ボックス領域を規定するための各種情報(形状など)を、情報格納部24から、取得する(ステップS6)。そして、非処理領域決定部25bは、後述するステップS7へと進む。
【0060】
他方、手検出部25aが、画像データにおいて、人40の手40aを検出しなかったとする(ステップS5の「NO」)。この場合には、非処理領域決定部25bは、ステップS6を実施せず、後述するステップS7へと進む。
【0061】
上述したように、ステップS6において、非処理領域決定部25bは、境界ボックス領域を規定するための各種情報(形状など)を、情報格納部24から、取得する。よって、ステップS4およびステップS6により、非処理領域決定部25bは、境界ボックス領域を規定する情報および作業エリア30を示す位置情報を、有する。
【0062】
ステップS7において、非処理領域決定部25bは、非処理領域を決定する。たとえば、ステップS6が実施された(ステップS5で「YES」)場合には、非処理領域決定部25bは、手検出部25aの手40aの検出結果と、境界ボックス領域に関する情報とを用いて、画像データにおいて、境界ボックス領域を設定する。たとえば、画像データ処理装置20は、
図4に例示した画像データGD1を、取得したとする。この場合、非処理領域決定部25bは、画像データGD1において、情報格納部24から読込んだ形状をもち、かつ、画像データGD1に含まれた手の位置、サイズに応じて手40aの周りを取り囲む境界ボックス領域R1を設定する(
図5参照)。
【0063】
さらに、非処理領域決定部25bは、作業エリア30を示す位置情報を用いて、画像データにおいて、作業エリア領域を設定する。たとえば、画像データ処理装置20は、
図4に例示した画像データGD1を、取得したとする。この場合、非処理領域決定部25bは、作業エリア30を示す位置情報を用いて、画像データGD1において、作業エリア領域R2を設定する(
図6参照)。
図6に例示するように、非処理領域決定部25bは、画像データGD1において、上記境界ボックス領域R1に加えて、作業エリア30を取り囲む作業エリア領域R2を、非処理領域として決定する。
【0064】
このように、ステップS6が実施された(ステップS5で「YES」)場合には、境界ボックス領域を規定する情報および作業エリア30を示す位置情報を用いて、非処理領域(境界ボックス領域R1+作業エリア領域R2)を決定する。
【0065】
なお、
図5,6の例では、境界ボックス領域R1および作業エリア領域R2は、矩形状の閉じた領域である。しかしながら、各領域R1,R2の形状は、閉じた形状であれば、任意の形状を採用できる。たとえば、各領域R1,R2の形状として、楕円形状や、より複雑な多角形形状を採用してもよい。
【0066】
また、
図5,6に示すように、境界ボックス領域R1内には、人40の手40aが含まれている。しかしながら、境界ボックス領域R1内には、人40の顔は含まれていない。つまり、画像データGD1において、境界ボックス領域R1内に、人40の手40aは含まれるが、人40の顔は含まれないように、情報格納部24において、境界ボックス領域を規定する情報が、格納(設定)される。
【0067】
また、
図6に示すように、作業エリア領域R2内には、人40が作業を行っている、作業エリア30が含まれている。つまり、画像データGD1において、作業エリア領域R2内に、当該作業エリア30が含まれるように、情報格納部24において、作業エリア30を示す位置情報が、格納(設定)される。
【0068】
ここで、上記の例では、非処理領域決定部25bは、画像データGD1内において、境界ボックス領域R1および作業エリア領域R2を、非処理領域として、決定している。しかしながら、非処理領域決定部25bは、画像データGD1内において、境界ボックス領域R1のみを、非処理領域として、決定してもよい。
【0069】
次に、上記と異なり、ステップS6が実施されなかった(ステップS5で「NO」)場合の、ステップS7の動作を説明する。この場合には、非処理領域決定部25bは、画像データGD1において、境界ボックス領域R1の設定を行わない。つまり、非処理領域決定部25bは、作業エリア30を示す位置情報を用いて、画像データGD1において、作業エリア領域R2のみを設定する(
図7参照)。この場合、非処理領域決定部25bは、画像データGD1内において、作業エリア領域R2のみを、非処理領域として、決定する。
【0070】
ステップS7の後、画像加工部25cは、データ取得部21が取得した画像データ(加工前画像データ)を、取得する。さらに、画像加工部25cは、非処理領域決定部25bから、決定された非処理領域を、取得する。画像加工部25cは、画像データに対して、次のような加工処理を施し、加工後の画像データである加工画像データを生成する(ステップS8)。具体的に、画像加工部25cは、画像データ内の上記非処理領域以外の処理領域の内容を視認できないようにブランク(この例では、白領域)にして、当該画像データを加工する(ステップS8)。そして、画像加工部25cは、画像データ内の上記非処理領域に対しては、上記加工を施さない(ステップS8)。これにより、加工画像データにおいて、上記非処理領域の内容は視認できるが、上記処理領域の内容は視認できない。
【0071】
図8は、境界ボックス領域R1および作業エリア領域R2が、非処理領域として、決定された場合の加工画像データの一例を示す図である。画像データGD1の領域R1,R2(非処理領域)に対して、画像加工部25cは、上記加工処理を実施しない。したがって、
図8に示すように、加工画像データGD2を、表示部22等に表示させた場合、領域R1,R2で囲まれた内容(手40aおよび作業エリア30等)は、ユーザにより視認できる。他方、画像データGD1の領域R1,R2以外の領域(処理領域)に対して、画像加工部25cは、上記加工処理を実施する。したがって、
図8に示すように、加工画像データGD2を、表示部22等に表示させた場合、領域R1,R2以外の領域R3に含まれる内容(人40の顔など)は、ユーザにより視認できない。なお、
図7に例示する画像データに対して、ステップS8の加工処理が施された場合、作業エリア領域R2以外の処理領域に対して、ステップS8の加工が実施され、作業エリア領域R2には、ステップS8の加工は実施されない。よって、ステップS8により、領域R2に含まれる内容のみが視認可能となり、領域R2以外の領域が視認できなくなる。
【0072】
次に、
図3に例示するフローチャートでは、データ消去処理部25dは、画像データ処理装置20が取得した画像データ(加工前の画像データ)を、削除する(ステップS9)。そして、制御部25は、加工画像データを、データ格納部26に格納する(ステップS10)。
【0073】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る画像データ処理システム100(画像データ処理装置20)では、手検出部25aは、画像データに含まれる人40の手40aを検出する。非処理領域決定部25bは、上記画像データにおいて、検出された手40aの周りを取り囲むように予め定められた境界ボックス領域R1を、非処理領域として決定する。そして、画像加工部25cは、画像データ内の非処理領域の内容を視認可能とし、画像データ内の非処理領域以外の処理領域の内容を視認できないように、画像データを加工する。
【0074】
したがって、当該画像データ処理システム100(画像データ処理装置20)により、加工画像データでは、実質的に非処理領域をなす境界ボックス領域R1に含まれた手のみが視認可能となる。他方、非処理領域以外の処理領域に含まれた内容(例えば、人の顔)は、視認できない状態になる。つまり、当該画像データ処理システム100(画像データ処理装置20)により、より確実にプライバシー保護を行うことが、可能となる。
【0075】
また、当該画像データ処理システム100(画像データ処理装置20)では、非処理領域決定部25bは、画像データ内における、人40が作業を行う作業エリア30を示すエリア情報を、取得している。さらに、非処理領域決定部25bは、境界ボックス領域R1とエリア情報とを用いて、非処理領域を決定している。
【0076】
したがって、当該画像データ処理システム100(画像データ処理装置20)では、非処理領域に、作業エリアをも含めることができる。よって、画像加工部25cによる加工が施された加工画像データにおいて、人40の手40aのみならず、作業エリア30も視認可能とすることができる。よって、当該加工画像データを参照することにより、人40の作業の内容を認識することが容易となる。
【0077】
また、当該画像データ処理システム100(画像データ処理装置20)では、加工前の画像データを消去する、データ消去処理部25dと、加工画像データを格納する、データ格納部26とを、さらに備えている。
【0078】
したがって、当該画像データ処理システム100(画像データ処理装置20)により、人40の顔等を含む元画像データが保存されることもなく、プライバシー保護が確立される。また、データ格納部26は、プライバシー保護対策が施されたが加工画像データを保存するので、必要なデータは確保され得る。
【0079】
また、上述したように、撮像装置10は、固定されていてもよい。撮像装置10が固定されることにより、画像データ内における、作業エリア30の位置は不変となる。したがって、作業エリア30の位置特定が簡便化される。
【0080】
<第2実施形態>
(構成)
本実施の形態では、画像データ処理装置20が取得する画像データに、指示信号が、関係付けされている。
図9は、本実施の形態に係る画像データ処理システム200の概略構成を示している。
【0081】
図1と
図9との比較から分かるように、本実施の形態に係る画像データ処理システム200は、第1実施形態に係る画像データ処理システム100に、データ一時格納装置60が、設けられている。なお、データ一時格納装置60以外の概略構成は、画像データ処理システム100と画像データ処理システム200とで間で、同じである。したがって、ここでは、異なる構成部分について、説明を行い、第1実施形態と同じ構成については、説明を省略する。
【0082】
図9に示すように、データ一時格納装置60は、一例として、撮像装置10と画像データ処理装置20との間に、配設されている。また、データ一時格納装置60は、通信網50を介して、撮像装置10および画像データ処理装置20と、通信可能に、接続されている。したがって、データ一時格納装置60は、撮像装置10で生成された画像データを、受信することができる。さらに、データ一時格納装置60は、当該データ一時格納装置60に格納されているデータ等を、画像データ処理装置20に送信することができる。
【0083】
データ一時格納装置60には、所定の期間内に撮像された画像データが、一時的に格納される。ここで、各画像データは、時系列(つまり、撮像装置10により撮像された順)に、データ一時格納装置60内に、記録される。なお、この例では、一時格納された画像データは、予め定められた時間が経過すると、古い画像データから、順次、削除される。
【0084】
図10は、データ一時格納装置60内に、画像データが格納されている様子を、概念的示している。
図10に示すように、データ一時格納装置60は、メモリ60Mを有する。メモリ60M内には、時系列に格納されている画像データが、例示されている。
【0085】
図10の例では、時間に関して次の関係が成立している。つまり、時間Ta<時間Tb<時間Ti<時間Tj<時間Tk<時間Tl<時間Tm<時間Ty<時間Tz。したがって、
図10の例では、メモリ60M内において、
図10の上から下に進むにつれて、画像データが時系列に配置されている。また、
図10の例では、画像データGDaは、時間Taに撮像されことを示す。同様に、たとえば、画像データGDbは、時間Tbに撮像されことを示し、画像データGDjは、時間Tjに撮像されことを示し、画像データGDzは、時間Tzに撮像されことを示す。したがって、たとえば、画像データGDaは、画像データGDbより、時間的に前に撮像生成され、画像データGDiは、画像データGDjより、時間的に前に撮像生成され、画像データGDjは、画像データGDkより、時間的に前に撮像生成され、画像データGDkは、画像データGDlより、時間的に前に撮像生成される。
【0086】
たとえば、作業エリア30を含む設備内において、設備の異常が検知されたとする。この場合、当該異常を示す異常信号が、データ一時格納装置60へ送信される。または、撮像装置10等を介して、人40を撮像している場合において、人40の作業内容が、通常の作業ルーチンと異なることを、監視装置が検知したとする。この場合、当該監視装置は、異常を示す異常信号を、データ一時格納装置60へ送信する。なお、送信される信号の種類は、異常信号でなくてもよい。また、そのような信号がデータ一時格納装置60に送信されるきっかけとなる事象は、ユーザにより、任意に設定できる。
【0087】
たとえば、時間Tkのタイミングで、上記異常信号が、データ一時格納装置60へ送信されたとする。この場合、データ一時格納装置60は、時間Tkを含む所定の期間内に、撮像生成された、1以上の画像データと、指示信号Sgとを、関連付ける。ここで、指示信号Sgは、上記異常信号等の受信を機に、データ一時格納装置60で生成される信号であり、画像データ処理装置20における所定の判断の際に、利用される。また、上記所定の期間(上述から分かるように、当該所定の期間は、上記異常信号等の信号が送信された時間を含む)は、ユーザにより、データ一時格納装置60に対して、任意に設定される。
【0088】
たとえば、ユーザは、当該所定の期間として、異常信号を受信した時間、その直前の時間、およびその直後の時間を、データ一時格納装置60に対して設定したとする。また、時間Tkのタイミングで、上記異常信号が、データ一時格納装置60へ送信されたとする。この場合、時間Tkの直前の時間は、時間Tjであり、時間Tkの直後の時間は、時間Tlである。したがって、上記所定の期間の設定例の場合には、所定の期間は、時間Tj、時間k、および時間Tlから、構成される。よって、所定の期間内に撮像生成された画像データは、画像データGDi、画像データGDk、および画像データGDlとなる。これにより、
図11に示すように、データ一時格納装置60は、画像データGDjと指示信号Sgとを関連付け、画像データGDkと指示信号Sgとを関連付け、画像データGDlと指示信号Sgとを関連付ける。
【0089】
ここで、画像データと関連付けられる指示信号Sgとして、「フラグ」を採用してもよい。この場合、
図11の例では、データ一時格納装置60は、画像データGDi,GDk,GDlの各々に対して、フラグを立てる。
【0090】
(動作)
次に、本実施の形態に係る画像データ処理システム200の動作について、説明する。
図12は、画像データ処理システム200の動作を示す、フローチャートである。
【0091】
第1実施形態で説明したように、撮像装置10は、人40と作業エリア30とを含む被写体を、撮像し、画像データを生成する。ここで、本実施の形態では、撮像装置10は、生成された画像データを、データ一時格納装置60へと送信する。そして、上述したように、データ一時格納装置60は、受信した画像データを、時系列に、メモリ60Mに記録する(ステップS21)。なお、ここでの説明では、
図11に示す、画像データおよび指示信号Sgが、メモリ60Mに記録されているとする。
【0092】
次に、
図11を参照して、データ一時格納装置60は、メモリ60M内に記録されている画像データGDa~GDzを、時系列に、画像データ処理装置20へ送信する(ステップS22)。ここで、画像データに、指示信号Sgが関連づけられているときには、データ一時格納装置60は、画像データと、当該画像データに関連付けられている指示信号Sgとを、一緒に送信する。
【0093】
画像データ処理装置20が、画像データを受信すると、当該画像データ処理装置20は、受信した画像データに、指示信号Sgが関連付けられているか否かを、判断する(ステップS23)。
【0094】
たとえば、画像データ処理装置20は、
図11に示した画像データGDaを、受信したとする。ここで、
図11から分かるように、画像データGDaには、指示信号Sgが関連付けされていない。この場合、ステップS23において、画像データ処理装置20は、画像データGDaは、指示信号Sgと関連付けされていないと判断する(ステップS23で「NO」)。よって、画像データ処理装置20は、受信した画像データGDaを削除する(ステップS24)。
【0095】
他方、たとえば、画像データ処理装置20は、
図11に示した画像データGDjを、受信したとする。ここで、
図11から分かるように、画像データGDjには、指示信号Sgが関連付けられている。この場合、ステップS23において、画像データ処理装置20は、画像データGDjは、指示信号Sgと関連付けされていると判断する(ステップS23で「YES」)。そして、ステップS23で「YES」の場合には、画像データ処理装置20は、
図3で示したステップS4へ進み、その後、
図3のステップS4以降の各動作を実行する。したがって、本実施の形態では、
図2で示した画像加工部25cは、指示信号Sgと関連付けられている画像データのみに対して、ステップS8の加工を行う。
【0096】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る画像データ処理装置200(画像データ処理装置20)では、画像データは、指示信号Sgと、関連付けられている。そして画像加工部25cは、指示信号Sgと関連付けられている画像データのみに対して、上記加工を行う。
【0097】
したがって、画像データ処理装置200(画像データ処理装置20)により、加工の必要性がある画像データのみに、当該指示信号Sgを関連付けることで、すべての画像データに対する加工を行う必要がなくなる。よって、画像データ処理装置20の負荷を、抑制することができる。
【0098】
<第3実施形態>
第2実施形態では、画像データ処理装置20は、受信した画像データが、指示信号Sgと関連付けられているか否かを判断していた。そして、第2実施形態では、指示信号Sgの有無の判断結果に応じて、受信した画像データを削除するか、受信した画像データに対して、
図3のステップS4以降の動作を実施するかを、判断していた。
【0099】
本実施の形態では、指示信号Sgの有無の判断結果に応じて、第1実施形態で説明した加工画像データを、格納するか否かの判断を行う。なお、本実施の形態に係る画像データ処理システムの構成例は、
図9に示したものと同じである。以下、本実施の形態に係る画像データ処理システム200の動作について、説明する。
図13は、本実施の形態に係る画像データ処理システム200の動作を示す、フローチャートである。
【0100】
(動作)
本実施の形態においても、
図11に例示する態様で、画像データが、データ一時格納装置60に格納されているとする。データ一時格納装置60が、画像データを、時系列に、画像データ処理装置20へ送信する。すると、画像データ処理装置20は、
図3で示したステップS3~ステップS9の動作を実施する。ここで、画像データ処理装置20が、指示信号Sgと関連付けられている画像データを受信したとする。この場合、ステップS3~ステップS9の間、画像データ処理装置20は、画像データと指示信号Sgとの関連付け、および当該画像データから生成される加工画像データと指示信号Sgとの関連付けを、維持する。
【0101】
本実施の形態では、
図3のステップS9の後、画像データ処理装置20は、加工画像データに、指示信号Sgが関連付けられているか否かを、判断する(ステップS31)。なお、第1実施形態で説明したように、加工画像データとは、
図3のステップS8の加工処理が施された画像データである。
【0102】
たとえば、画像データ処理装置20は、
図11に示した画像データGDaを、受信したとする。ここで、
図11から分かるように、画像データGDaには、指示信号Sgが関連付けされていない。したがって、当該画像データGDaから生成される加工画像データにおいても、指示信号Sgが関連付けされていない。この場合、ステップS31において、画像データ処理装置20は、画像データGDaから生成された加工画像データは、指示信号Sgと関連付けされていないと判断する(ステップS31で「NO」)。よって、画像データ処理装置20は、当該加工画像データを削除する(ステップS33)。
【0103】
他方、たとえば、画像データ処理装置20は、
図11に示した画像データGDjを、受信したとする。ここで、
図11から分かるように、画像データGDjには、指示信号Sgが関連付けられている。したがって、当該画像データGDjから生成される加工画像データにおいても、指示信号Sgが関連付けられている。この場合、ステップS31において、画像データ処理装置20は、画像データGDjは、指示信号Sgと関連付けされていると判断する(ステップS31で「YES」)。そして、ステップS31で「YES」の場合には、画像データ処理装置20は、画像データGDjから生成される加工画像データを、
図2で示したデータ格納部26に、格納する(ステップS32)。したがって、本実施の形態では、
図2で示したデータ格納部26は、指示信号と関連付けられている画像データから生成された、加工画像データのみを、格納する。
【0104】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る画像データ処理装置200(画像データ処理装置20)では、画像データは、指示信号Sgと、関連付けられている。そして、データ格納部26は、指示信号Sgと関連付けられている画像データから生成された、加工画像データのみを格納する。
【0105】
したがって、本実施の形態に係る画像データ処理装置200(画像データ処理装置20)により、保存の必要性がある画像データのみに、当該指示信号Sgを関連付けることで、すべての加工画像データを保存する必要がなくなる。よって、データ格納部26の容量を節約することができる。
【0106】
<第4実施形態>
本実施の形態では、第1実施形態で説明した動作(
図3参照)において、人40の顔を検出する動作が追加されている。
【0107】
(構成)
図14は、本実施の形態に係る画像データ処理装置20Aのブロック構成を示している。本実施の形態では、
図1,9に示した画像データ処理システムにおいて、
図2に示した画像データ処理装置20の代わりに、
図14に示す画像データ処理装置20Aが、配設される。
図2と
図14との比較から分かるように、画像データ処理装置20Aには、顔認識部25eが配設されている。当該顔認識部25e以外の構成は、画像データ処理装置20と画像データ処理装置20Aとの間で同じである。したがって、ここでは、異なる構成部分について、説明を行い、第1実施形態と同じ構成については、説明を省略する。
【0108】
図14に示すように、画像データ処理装置20A内の制御部25Aには、顔認識部25eが配設されている。したがって、本実施の形態に係る制御部25Aは、手検出部25a、非処理領域決定部25b、画像加工部25c、データ消去処理部25d、および顔認識部25eを有する。各ブロック25a,25b,25c,25d,25eは、バス25Lを介して、接続されている。
【0109】
顔認識部25eは、公知の顔認識技術によって、画像データ処理装置20Aが取得した画像データにおいて、人40の顔が含まれているか否かを判断する。さらに、本実施の形態では、画像加工部25cは、顔認識部25eが、画像データに顔が含まれていないと判断したときのみ、
図3のステップS8で説明した、画像データの加工を行う。また、画像加工部25cは、画像データに顔が含まれていると判断したとき、ステップS8とは異なる加工処理を、画像データに施し、加工画像データを生成する。
(動作)
図15は、本実施の形態に係る画像データ処理装置20Aの動作を説明する、フローチャートである。以下、
図3,14,15を用いて、画像データ処理装置20Aの動作を、説明する。
【0110】
図3で示したステップS3の後、画像データ処理装置20Aの顔認識部25eは、データ取得部21で取得した画像データを、受け取る。そして、顔認識部25eは、受信した画像データにおいて、人40の顔が含まれているか否かを判断する(ステップS41)。たとえば、目、口、鼻など、人の顔の特徴を検出することによって、顔認識部25eは、人40の顔40kを、認識する。
【0111】
顔認識部25eが、画像データ内に人40の顔が含まれていると、判断したとする(ステップS41の「YES」)。たとえば、顔認識部25eが、
図16に示すような画像データGD5を、受け取ったとする。ここで、画像データGD5内において、人40の顔40kは、認識可能に含まれている。この場合、画像加工部25cは、画像データGD5内で認識された顔40kを含む領域を、視認できないようにブランク(この例では、黒領域)にして、当該画像データGD5を加工する(ステップS42)。
【0112】
図17は、ステップS42の加工により生成された、加工画像データGD6を例示する図である。つまり、
図16に示した画像データGD5に対して、ステップS42の加工処理が施されることにより、
図17に示す加工画像データGD6が生成される。
図17に示すように、加工画像データGD6において、人40の顔40kの位置に、加工処理40mが施されている。当該加工処理40mにより、加工画像データGD6において、人40の顔40kは、視認することができない。
【0113】
ステップS42の加工処理後、画像データ処理装置20Aは、
図3で示したステップS9へと進む。たとえば、
図16で示した画像データGD5から、
図17で示した加工画像データGD6が生成された場合には、データ消去処理部25dは、加工前の画像データGD5を削除する(ステップS9)。その後、ステップS10において、データ格納部26は、
図17で示した加工画像データGD6を、格納する。
【0114】
他方、顔認識部25eが、画像データ内に人40の顔が含まれていないと、判断したとする(ステップS41の「NO」)。たとえば、顔認識部25eが、
図18に示すような画像データGD7を、受け取ったとする。ここで、画像データGD7内の人40は、頭を下げ、下を向いて作業しているので、画像データGD7内において、人40の顔を認識できない。この場合、画像データ処理装置20Aは、
図3のステップS4と進み、ステップS4~ステップS10の動作を、実施する。
【0115】
たとえば、
図18に示した画像データGD7に対して、ステップS4~S7の処理が施されると、手検出部25aにおける人40の手40aの検出結果に応じて、非処理領域決定部25bは、領域R1および領域R2を、非処理領域として、決定する。第1実施形態で説明したように、領域R1は、人40の手40aを取り囲んでいる。また、領域R2は、作業エリア30に対応している。
【0116】
図19で示した画像データGD7に対して、画像加工部25cが、ステップS8で説明した加工を行うと、画像加工部25cは、
図20で示す加工画像データGD8を生成する。
図20に示すように、領域R1,R2(非処理領域)以外の処理領域の内容が、視認できないように加工されている。また、当該非処理領域に対しては、加工が実施されないので、当該非処理領域内の内容は、視認できる。
【0117】
図18で示した画像データGD7から、
図20で示した加工画像データGD8が生成された場合には、データ消去処理部25dは、加工前の画像データGD7を削除する(ステップS9)。その後、ステップS10において、データ格納部26は、
図20で示した加工画像データGD8を、格納する。
【0118】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る画像データ処理システム(画像データ処理装置20A)では、画像データにおいて、人40の顔40kが含まれているか否かを判断する、顔認識部25eを、さらに備えている。さらに、画像加工部25cは、顔認識部25eが、顔40kが含まれていないと判断したときのみ、画像データに対して、
図3のステップS8で説明した加工を行う。
【0119】
したがって、画像データ処理システム(画像データ処理装置20A)により、さらにプライバシー保護を図ることが可能となる。
【0120】
<変形例>
上記各実施の形態では、画像データにおいて、境界ボックス領域R1が設定されるとき、非処理領域決定部25bは、一つの境界ボックス領域R1に、両手が含まれるように、当該境界ボックス領域R1を設定していた。しかしながら、
図21に例示するように、非処理領域決定部25bは、手検出部25aが検出した左手40a′、右手40a″に対して、それぞれ境界ボックス領域R1′、R1″を設定してもよい。
【0121】
また、
図1,2で示した画像データ処理システムでは、画像データ処理装置20がデータ格納部26を有しており、当該データ格納部26が、加工画像データを格納していた。しかしながら、加工画像データは、画像データ処理装置20以外の端末で、記録されてもよい。
図22に示す画像データ処理システム300は、画像データ処理装置20とは別に、外部記録装置80が配設されている。また、画像データ処理装置20と外部記録装置80とは、通信網50を介して、通信可能に接続されている。
図22に例示する画像データ処理システム300では、画像データ処理装置20は、記録すべき加工画像データを、外部記録装置80へ送信する。そして、外部記録装置80は、受信した加工画像データを、当該外部記録装置80内のメモリに記録する。
【0122】
上述の画像データ処理方法を含む上述の方法を、ソフトウェア(コンピュータプログラム)として、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル万能ディスク)、フラッシュメモリなどの非一時的(non-transitory)にデータを記憶可能な記録媒体に記録してもよい。このような記録媒体に記録されたソフトウェアを、パーソナルコンピュータ、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタンツ)、スマートフォンなどの実質的なコンピュータ装置にインストールすることによって、それらのコンピュータ装置に、上述の画像データ処理方法を実行させることができる。
【0123】
上述の実施形態では、画像データには、人として、手作業を行う作業者が含まれるものとしたが、これに限られるものではない。画像データに含まれる人は、手を使う遊戯をする人、手品を行う人などであってもよい。
【0124】
また、上述の実施形態では、制御部25はCPUを含むものとしたが、これに限るものではない。制御部25は、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの、論理回路(集積回路)を含むものとしてもよい。
【0125】
以上の実施の形態は例示であり、この発明の範囲から離れることなく様々な変形が可能である。上述した複数の実施の形態は、それぞれ単独で成立し得るものであるが、実施の形態同士の組みあわせも可能である。また、異なる実施の形態の中の種々の特徴も、それぞれ単独で成立し得るものであるが、異なる実施の形態の中の特徴同士の組みあわせも可能である。
【符号の説明】
【0126】
10 撮像装置
20 画像データ処理装置
25 制御部
25a 手検出部
25b 非処理領域決定部
25c 画像加工部
25d データ消去処理部
25e 顔認識部
30 作業エリア
40 人