IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

特許7103278入れ子型、蓄電モジュールの製造方法及び入れ子ブロックの製造方法
<>
  • 特許-入れ子型、蓄電モジュールの製造方法及び入れ子ブロックの製造方法 図1
  • 特許-入れ子型、蓄電モジュールの製造方法及び入れ子ブロックの製造方法 図2
  • 特許-入れ子型、蓄電モジュールの製造方法及び入れ子ブロックの製造方法 図3
  • 特許-入れ子型、蓄電モジュールの製造方法及び入れ子ブロックの製造方法 図4
  • 特許-入れ子型、蓄電モジュールの製造方法及び入れ子ブロックの製造方法 図5
  • 特許-入れ子型、蓄電モジュールの製造方法及び入れ子ブロックの製造方法 図6
  • 特許-入れ子型、蓄電モジュールの製造方法及び入れ子ブロックの製造方法 図7
  • 特許-入れ子型、蓄電モジュールの製造方法及び入れ子ブロックの製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】入れ子型、蓄電モジュールの製造方法及び入れ子ブロックの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20220712BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20220712BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20220712BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20220712BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20220712BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20220712BHJP
   H01M 50/627 20210101ALI20220712BHJP
   H01M 10/058 20100101ALN20220712BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01G11/12
H01G11/78
H01G11/84
H01G13/00 351A
H01M50/184 A
H01M50/627
H01M10/058
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019042302
(22)【出願日】2019-03-08
(65)【公開番号】P2020145133
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100133064
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 新
(72)【発明者】
【氏名】河端 栄克
【審査官】近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-120718(JP,A)
【文献】特開2019-016459(JP,A)
【文献】特開2018-174079(JP,A)
【文献】特開2018-125125(JP,A)
【文献】特開2018-120719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01G 11/12
H01G 11/78
H01G 11/84
H01G 13/00
H01M 50/184
H01M 50/627
H01M 10/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極板と前記電極板の一方面に設けられた正極活物質層と電極板の他方面に設けられた負極活物質層とを有する複数のバイポーラ電極がセパレータを介して積層された積層体と、前記積層体の外周部を取り囲むように設けられたシール部材と、を備える蓄電モジュールの製造において、射出成形により形成される前記シール部材に前記積層体の互いに隣り合う前記バイポーラ電極の間の複数の内部空間と前記シール部材の外周部とに連通する連通部が形成されるように射出成形用金型に配置される入れ子型であって、
前記積層体の積層方向に並んで配置され、前記積層体の前記内部空間にそれぞれ挿入される複数のプレートと、
前記積層方向に隣り合う一対の前記プレートの間にそれぞれ配置される少なくとも1つのプレート間部材と、
前記積層方向に並ぶ複数の前記プレートのうち、一端に配置される前記プレートの前記プレート間部材と反対側に配置される第1外側部材と、
前記積層方向に並ぶ複数の前記プレートのうち、他端に配置される前記プレートの前記プレート間部材と反対側に配置される第2外側部材と、
を有する入れ子ブロックを備え、
前記入れ子ブロックは、前記第1外側部材と前記第2外側部材とが前記プレート間部材とともに複数の前記プレートを挟み込み保持することで一体化されている、入れ子型。
【請求項2】
複数の前記入れ子ブロックを備え、
前記入れ子ブロックは、前記積層方向の直交する方向に並んで一体化された状態で前記射出成形用金型に配置される、請求項1に記載の入れ子型。
【請求項3】
前記入れ子ブロックの前記プレートが前記積層体の前記内部空間のそれぞれに挿入された状態で、請求項1又は2に記載の入れ子型及び前記積層体を前記射出成形用金型に配置する配置工程と、
前記配置工程により配置された請求項1又は2に記載の入れ子型及び前記射出成形用金型を用いた射出成形により前記シール部材を形成する成形工程と、
前記成形工程により形成された前記シール部材及び前記積層体から、請求項1又は2に記載の入れ子型及び前記射出成形用金型を離型させる離型工程と、を備えた蓄電モジュールの製造方法。
【請求項4】
電極板と前記電極板の一方面に設けられた正極活物質層と電極板の他方面に設けられた負極活物質層とを有する複数のバイポーラ電極がセパレータを介して積層された積層体と、前記積層体の外周部を取り囲むように設けられたシール部材と、を備える蓄電モジュールの製造において、射出成形により形成される前記シール部材に前記積層体の互いに隣り合う前記バイポーラ電極の間の複数の内部空間と前記シール部材の外周部とに連通する連通部が形成されるように射出成形用金型に配置される入れ子型の入れ子ブロックの製造方法であって、
前記積層体の積層方向に並んで配置され、前記積層体の前記内部空間にそれぞれ挿入される複数のプレートの隣り合う一対の前記プレートの間にそれぞれ少なくとも1つのプレート間部材を配置するプレート間部材配置工程と、
前記積層方向に並ぶ複数の前記プレートのうち、一端に配置される前記プレートの前記プレート間部材と反対側に第1外側部材を配置する第1外側部材配置工程と、
前記積層方向に並ぶ複数の前記プレートのうち、他端に配置される前記プレートの前記プレート間部材と反対側に第2外側部材を配置する第2外側部材配置工程と、
前記プレート間部材配置工程により配置された前記プレート間部材とともに、前記第1外側部材配置工程により配置された前記第1外側部材と、前記第2外側部材配置工程により配置された前記第2外側部材とにより、複数の前記プレートを挟み込み保持し、前記プレート、前記プレート間部材、前記第1外側部材及び前記第2外側部材を一体化する一体化工程と、を備えた入れ子ブロックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入れ子型、蓄電モジュールの製造方法及び入れ子ブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電モジュールとして、電極板の一方の面に正極活物質層が形成されるとともに他方の面に負極活物質層が形成されたバイポーラ電極がセパレータを介して積層されたバイポーラ電池が知られている(特許文献1参照)。このバイポーラ電池では、各電極板の両面の外周部に設けられるシール部材によって、対向配置される2枚のバイポーラ電極の電極板の間に形成される内部空間が封止されており、その内部空間には、電解液が封入されている。また、このバイポーラ電池には、シール部材を貫通するチューブが設けられており、電池製造時には、このチューブを介して内部空間に電解液が注入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-287451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蓄電モジュールを封止する際に、樹脂の射出成形により、複数のバイポーラ電極が積層された積層体の外周部にシール部材を形成する場合がある。この場合、蓄電モジュールは以下のように製造され得る。まず、バイポーラ電極を構成する電極板の外縁部に第1シール部を溶着し、その第1シール部が溶着された複数のバイポーラ電極をセパレータを介して積層することで積層体を得る。次に、積層体を射出成形用金型内に配置した状態で、樹脂の射出成形を行うことで、積層体の第1シール部の周囲に第2シール部が形成され、電池モジュールに第1シール部と第2シール部とからなるシール部材が形成される。
【0005】
このように形成されるシール部材には、互いに隣り合うバイポーラ電極の電極板の間に形成される内部空間とシール部材の外周部とに連通する連通部を設ける必要がある。樹脂の射出成形後に追加工で連通部を形成することは非常に困難なので、例えば、金型本体に連通部の形状に対応する入れ子型を配置し、その状態で樹脂の射出成形を行い、その後、シール部材から入れ子型を取外すことで、シール部材に連通部が形成される。
【0006】
複数のバイポーラ電極が積層されて構成される蓄電モジュールには、独立した複数の内部空間が存在するため、シール部材には各内部空間とシール部材の外周部とに連通する複数の連通部を設ける必要がある。この場合、射出成形時に用いられる連通部形成部材として、積層体に挿入配置される複数のプレートを備える入れ子型を用いることが考えられる。
【0007】
積層体の積層方向における連通部の寸法は非常に狭いので、連通部を形成するためのプレートには薄型のプレートが用いられるが、入れ子型を積層体に挿入配置する際や、形成されたシール部材から入れ子型を取外す際や、その薄いプレートが破損してしまう可能性がある。1つのプレートのみが破損した場合であっても、プレートが破損した入れ子型はその後の製造に使用できないので、入れ子型を交換しなくてはならなくなり、蓄電モジュールの製造において、コストが増大し、生産性が悪化してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、蓄電モジュールの製造において、コストを削減し、生産性を向上させる入れ子型、蓄電モジュールの製造方法及び入れ子ブロックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電極板と電極板の一方面に設けられた正極活物質層と電極板の他方面に設けられた負極活物質層とを有する複数のバイポーラ電極がセパレータを介して積層された積層体と、積層体の外周部を取り囲むように設けられたシール部材とを備える蓄電モジュールの製造において、射出成形により形成されるシール部材に積層体の互いに隣り合うバイポーラ電極の間の複数の内部空間とシール部材の外周部とに連通する連通部が形成されるように射出成形用金型に配置される入れ子型であって、積層体の積層方向に並んで配置され、積層体の内部空間にそれぞれ挿入される複数のプレートと、積層方向に隣り合う一対のプレートの間にそれぞれ配置される少なくとも1つのプレート間部材と、積層方向に並ぶ複数のプレートのうち、一端に配置されるプレートのプレート間部材と反対側に配置される第1外側部材と、積層方向に並ぶ複数のプレートのうち、他端に配置されるプレートのプレート間部材と反対側に配置される第2外側部材とを有する入れ子ブロックを備え、入れ子ブロックは、第1外側部材と第2外側部材とがプレート間部材とともに複数のプレートを挟み込み保持することで一体化されている入れ子型である。
【0010】
この構成によれば、複数のバイポーラ電極がセパレータを介して積層された積層体と、積層体の外周部を取り囲むように設けられたシール部材とを備える蓄電モジュールの製造において、射出成形により形成されるシール部材に積層体の互いに隣り合うバイポーラ電極の間の内部空間とシール部材の外周部とに連通する連通部が形成されるように射出成形用金型に配置される入れ子型では、積層体の積層方向に並んで配置され、積層体の複数の内部空間にそれぞれ挿入される複数のプレートと、積層方向に隣り合う一対のプレートの間にそれぞれ配置される少なくとも1つのプレート間部材と、積層方向に並ぶ複数のプレートのうち、一端に配置されるプレートのプレート間部材と反対側に配置される第1外側部材と、積層方向に並ぶ複数のプレートのうち、他端に配置されるプレートのプレート間部材と反対側に配置される第2外側部材とを有する入れ子ブロックを備え、入れ子ブロックは、第1外側部材と第2外側部材とがプレート間部材とともに複数のプレートを挟み込み保持することで一体化されているため、第1外側部材と第2外側部材とによる挟み込み保持を緩めるだけで、プレートの損傷時に個々のプレートの交換が可能である。そのため、蓄電モジュールの製造において、コストを削減し、生産性を向上させることができる。
【0011】
この場合、入れ子型は複数の入れ子ブロックを備え、入れ子ブロックは、積層方向の直交する方向に並んで一体化された状態で射出成形用金型に配置されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、入れ子型は複数の入れ子ブロックを備え、複数のプレートを備えた入れ子ブロックのそれぞれは積層方向と直交する方向に並んで一体化された状態で射出成形用金型に配置されるが、複数の入れ子ブロックが一体化されているため、複数の入れ子ブロックを射出成形用金型に対して一度に着脱でき、また、プレートの損傷時に入れ子ブロックごとに個々のプレートの交換が可能であるため、多くの入れ子ブロック及び多くのプレートを備えた入れ子型を用いた蓄電モジュールの製造において、製造のコストを削減し、生産性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明は、入れ子ブロックのプレートが積層体の内部空間のそれぞれに挿入された状態で、上記本発明の入れ子型及び積層体を射出成形用金型に配置する配置工程と、配置工程により配置された上記本発明の入れ子型及び射出成形用金型を用いた射出成形によりシール部材を形成する成形工程と、成形工程により形成されたシール部材及び積層体から、上記本発明の入れ子型及び射出成形用金型を離型させる離型工程とを備えた蓄電モジュールの製造方法である。
【0014】
この構成によれば、蓄電モジュールの製造方法において、配置工程では、入れ子ブロックのプレートが積層体の内部空間のそれぞれに挿入された状態で本発明の入れ子型及び積層体が射出成形用金型に配置され、成形工程では、配置工程により配置された本発明の入れ子型及び射出成形用金型を用いた射出成形によりシール部材が形成され、離型工程では、成形工程により形成されたシール部材及び積層体から本発明の入れ子型及び射出成形用金型が離型させられるが、本発明の入れ子型はプレートの損傷時に個々のプレートの交換が可能であるため、蓄電モジュールの製造において、コストを削減し、生産性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明は、電極板と電極板の一方面に設けられた正極活物質層と電極板の他方面に設けられた負極活物質層とを有する複数のバイポーラ電極がセパレータを介して積層された積層体と、積層体の外周部を取り囲むように設けられたシール部材と、を備える蓄電モジュールの製造において、射出成形により形成されるシール部材に積層体の互いに隣り合うバイポーラ電極の間の複数の内部空間とシール部材の外周部とに連通する連通部が形成されるように射出成形用金型に配置される入れ子型の入れ子ブロックの製造方法であって、積層体の積層方向に並んで配置され、積層体の内部空間にそれぞれ挿入される複数のプレートの隣り合う一対のプレートの間にそれぞれ少なくとも1つのプレート間部材を配置するプレート間部材配置工程と、積層方向に並ぶ複数のプレートのうち、一端に配置されるプレートのプレート間部材と反対側に第1外側部材を配置する第1外側部材配置工程と、積層方向に並ぶ複数のプレートのうち、他端に配置されるプレートのプレート間部材と反対側に第2外側部材を配置する第2外側部材配置工程と、プレート間部材配置工程により配置されたプレート間部材とともに、第1外側部材配置工程により配置された第1外側部材と、第2外側部材配置工程により配置された第2外側部材とにより、複数のプレートを挟み込み保持し、プレート、プレート間部材、第1外側部材及び第2外側部材を一体化する一体化工程とを備えた入れ子ブロックの製造方法である。
【0016】
この構成によれば、蓄電モジュールの製造で射出成形用金型に配置される入れ子型の入れ子ブロックの製造方法において、プレート間部材配置工程により、積層体の積層方向に並んで配置され、積層体の内部空間にそれぞれ挿入される複数のプレートの隣り合う一対のプレートの間にそれぞれ少なくとも1つのプレート間部材が配置され、第1外側部材配置工程により、積層方向に並ぶ複数のプレートのうち、一端に配置されるプレートのプレート間部材と反対側に第1外側部材が配置され、第2外側部材配置工程により、積層方向に並ぶ複数のプレートのうち、他端に配置されるプレートのプレート間部材と反対側に第2外側部材が配置され、一体化工程により、プレート間部材とともに、第1外側部材と第2外側部材とにより、複数のプレートが挟み込み保持され、プレート、プレート間部材、第1外側部材及び第2外側部材が一体化させられため、第1外側部材と第2外側部材とによる挟み込み保持を緩めるだけで、プレートの損傷時に個々のプレートの交換が可能であるため、蓄電モジュールの製造において、コストを削減し、生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の入れ子型、蓄電モジュールの製造方法及び入れ子ブロックの製造方法によれば、蓄電モジュールの製造において、コストを削減し、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る蓄電装置を示す概略断面図である。
図2図1の蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。
図3】蓄電モジュールの製造方法を示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る入れ子ブロックを示す斜視図である。
図5】(A)は実施形態に係る入れ子ブロックの正面図であり、(B)は実施形態に係る入れ子ブロックの側面図である。
図6】実施形態に係る入れ子ブロックの分解斜視図である。
図7】実施形態に係る入れ子型を示す斜視図である。
図8】実施形態に係る蓄電モジュールの製造方法の成形工程における積層体、入れ子型及び射出成形用金型を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0020】
まず、本実施形態のセパレータ供給装置により供給されたセパレータにより製造される蓄電モジュールについて説明する。図1は、実施形態に係る蓄電モジュールを備えた蓄電装置を示す概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、複数の蓄電モジュール4を積層してなる蓄電モジュール積層体2と、蓄電モジュール積層体2に対して積層方向に拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。
【0021】
蓄電モジュール積層体2は、複数(本実施形態では3体)の蓄電モジュール4と、複数(本実施形態では4枚)の導電板5とによって構成されている。蓄電モジュール4は、例えば後述するバイポーラ電極14を備えたバイポーラ電池であり、積層方向から見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0022】
積層方向に隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、積層方向に隣り合う蓄電モジュール4間と、積層端に位置する蓄電モジュール4の外側と、にそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された一方の導電板5には、正極端子6が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された他方の導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向に交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
【0023】
各導電板5には、空気等の冷却用流体を流通させる複数の流路5aが設けられている。各流路5aは、例えば積層方向と、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向とにそれぞれ交差(直交)する方向に互いに平行に延在している。これらの流路5aに冷却用流体を流通させることで、導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。なお、積層方向から見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さくてもよいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、また、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
【0024】
拘束部材3は、蓄電モジュール積層体2を積層方向に挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10とによって構成されている。エンドプレート8は、積層方向から見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート8の内側面(蓄電モジュール積層体2側の面)には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電板5との間が絶縁されている。
【0025】
エンドプレート8の縁部には、蓄電モジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通され、他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5がエンドプレート8によって挟持されて蓄電モジュール積層体2としてユニット化されると共に、蓄電モジュール積層体2に対して積層方向に拘束荷重が付加される。
【0026】
次に、蓄電モジュール4の構成について更に詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。図2に示されるように、蓄電モジュール4は、積層体11と、積層体11を封止(シール)する樹脂製のシール部材12とを備えている。積層体11は、セパレータ13を介して蓄電モジュール4の積層方向D1に沿って積層された複数の電極によって構成されている。これらの電極は、複数のバイポーラ電極14の積層体と、負極終端電極18と、正極終端電極19とを含む。
【0027】
バイポーラ電極14は、電極板15と、電極板15の一方面15aに設けられた正極活物質層16と、電極板15の他方面15bに設けられた負極活物質層17とを有する。正極活物質層16は、正極活物質を含む正極スラリーを塗工することにより形成されている。負極活物質層17は、負極活物質を含む負極スラリーを塗工することにより形成されている。積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極活物質層16は、セパレータ13を挟んで積層方向D1に隣り合う一方のバイポーラ電極14の負極活物質層17と対向している。積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極活物質層17は、セパレータ13を挟んで積層方向D1に隣り合う他方のバイポーラ電極14の正極活物質層16と対向している。
【0028】
積層体11において、積層方向D1の一端には負極終端電極18が配置され、積層方向D1の他端には正極終端電極19が配置されている。負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の他方面15bに設けられた負極活物質層17を含んでいる。負極終端電極18の負極活物質層17は、セパレータ13を介して積層方向D1の一端のバイポーラ電極14の正極活物質層16と対向している。負極終端電極18の電極板15の一方面15aには、蓄電モジュール4に隣接する一方の導電板5が接触している。
【0029】
正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の一方面15aに設けられた正極活物質層16を含んでいる。正極終端電極19の正極活物質層16は、セパレータ13を介して積層方向D1の他端のバイポーラ電極14の負極活物質層17と対向している。正極終端電極19の電極板15の他方面15bには、蓄電モジュール4に隣接する他方の導電板5が接触している。
【0030】
電極板15は、金属製であり、例えばニッケル板又はメッキ鋼板からなる。電極板15は、例えば表面にニッケルメッキが施された矩形のメッキ鋼板である。鋼板としては、圧延鋼などの普通鋼及びステンレス鋼などの特殊鋼が用いられる。電極板15の外縁部15cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。
【0031】
正極活物質層16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極活物質層17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板15の他方面15bにおける負極活物質層17の形成領域は、電極板15の一方面15aにおける正極活物質層16の形成領域に対して一回り大きくなっている。
【0032】
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ13は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
【0033】
シール部材12は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として矩形の筒状に形成されている。シール部材12は、電極板15の外縁部15cを包囲し、積層体11の外周部11aを取り囲むように設けられている。シール部材12は、電極板15のそれぞれの外縁部15cに接合された複数の第1シール部21と、外周部11aに沿って第1シール部21を外側から包囲し、第1シール部21のそれぞれに接合された第2シール部22とを有している。
【0034】
第1シール部21は、電極板15の一方面15aにおいて外縁部15cの全周にわたって連続的に設けられ、積層方向D1から見て矩形枠状をなしている。バイポーラ電極14と第1シール部21とにより電極ユニット30が形成される。本実施形態では、バイポーラ電極14の電極板15のみならず、負極終端電極18の電極板15及び正極終端電極19の電極板15に対しても第1シール部21が設けられている。負極終端電極18では、電極板15の一方面15aの外縁部15cに第1シール部21が設けられ、正極終端電極19では、電極板15の一方面15a及び他方面15bの双方の外縁部15cに第1シール部21が設けられている。
【0035】
第1シール部21は、例えば超音波又は熱によって電極板15の一方面15aに溶着され、気密に接合されている。第1シール部21は、例えば積層方向D1に所定の厚さを有するフィルムである。第1シール部21の内側は、積層方向D1に互いに隣り合う電極板15の外縁部15c同士の間に位置している。第1シール部21の外側は、電極板15の外縁部15cよりも外側に張り出しており、その先端部分は、第2シール部22に埋設されている。積層方向D1に沿って互いに隣り合う第1シール部21同士は、互いに離間していてもよく、接していてもよい。また、第1シール部21の外縁部分同士は、例えば熱板溶着などによって互いに接合されていてもよい。電極板15と第1シール部21とが重なる領域は、電極板15と第1シール部21との接合領域Kとなっている。
【0036】
第2シール部22は、積層体11及び第1シール部21の外側に設けられ、蓄電モジュール4の外壁(筐体)を構成している。第2シール部22は、例えば樹脂の射出成形によって形成され、積層方向D1に沿って積層体11の全長にわたって延在している。第2シール部22は、積層方向D1を軸方向として延在する矩形の枠状を呈している。第2シール部22は、例えば、射出成形時の熱によって第1シール部21の外表面に溶着されている。
【0037】
第1シール部21及び第2シール部22は、例えば、耐アルカリ性を有する絶縁性の樹脂である。第1シール部21を構成する樹脂材料と第2シール部22を構成する樹脂材料とは互いに相溶可能である。第1シール部21は、例えば、ポリプロピレン(PP)からなり、第2シール部22は、例えば、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)からなる。
【0038】
第1シール部21及び第2シール部22は、隣り合う電極の間に内部空間Vを形成すると共に内部空間Vを封止する。より具体的には、第2シール部22は、第1シール部21と共に、積層方向D1に沿って互いに隣り合うバイポーラ電極14の間、積層方向D1に沿って互いに隣り合う負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び積層方向D1に沿って互いに隣り合う正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。
【0039】
これにより、隣り合うバイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液を含む電解液(不図示)が収容されている。電解液は、セパレータ13、正極活物質層16、及び負極活物質層17内に含浸されている。
【0040】
シール部材12には、積層体11の互いに隣り合うバイポーラ電極14の間の複数の内部空間Vとシール部材12の外周部とに連通する連通部40が形成されている。連通部40は、積層方向D1に交差(ここでは、直交)する方向に延びている。連通部40は、各内部空間Vに電解液を注入するための注液口として機能すると共に、電解液が注入された後は、圧力調整弁(不図示)の接続口として機能する。
【0041】
次に、上述した蓄電モジュール4の製造方法及び入れ子ブロックの製造方法について説明する。図3は、蓄電モジュールの製造方法を示すフローチャートである。蓄電モジュール4の製造方法は、図3に示される工程S1~S7を含み得る。以下、図3図4図5(A)、図5(B)、図6図7及び図8を参照し、各工程S1~S7について説明する。図4図5(A)、図5(B)及び図6は、入れ子ブロック50を示す図である。図7は、入れ子型70を示す図である。図8は、実施形態に係る蓄電モジュールの製造方法の成形工程における積層体11、入れ子型70及び射出成形用金型Mを示す縦断面図である。
【0042】
(第1シール部形成工程)
図3に示めされるように、まず、バイポーラ電極14、負極終端電極18、及び正極終端電極19の電極板15の外縁部15cに第1シール部21を形成する第1シール部形成工程が行われる(工程S1)。この第1シール部形成工程では、各電極板15の一方面15a側の外縁部15cに枠状の第1シール部21が形成される。第1シール部形成工程では、例えば、枠状に形成された樹脂シートからなる第1シール部21が準備される。枠状の第1シール部21には、枠の内縁部から外縁部まで延在する溝である連通部40が設けられている。その枠状の第1シール部21が溶着により外縁部15cに取り付けられる。これにより、第1シール部21を外縁部15cに形成することができる。
【0043】
(セパレータ取付工程)
第1シール部形成工程に続いて、バイポーラ電極14及び正極終端電極19の電極板15にセパレータ13を取り付けるセパレータ取付工程が行われる(工程S2)。このセパレータ取付工程では、セパレータ13がバイポーラ電極14及び正極終端電極19の電極板15に対して予め設定された位置に取り付けられる。
【0044】
(電極積層工程)
セパレータ取付工程に続いて、図8に示されるように、複数のバイポーラ電極14、負極終端電極18、及び正極終端電極19を積層する電極積層工程が行われる(工程S3)。この電極積層工程では、まず、第1シール部21及びセパレータ13が設けられた正極終端電極19が積層冶具上に載置される。その後、正極終端電極19上に、バイポーラ電極14にセパレータ13が取り付けられた複数(例えば23個)の電極ユニット30が積層される。最後に、バイポーラ電極14上に、第1シール部21が設けられた負極終端電極18(図2参照)が積層される。これにより、複数の電極ユニット30を備える積層体11が得られる。
【0045】
(配置工程)
電極積層工程に続いて、図8に示されるように、入れ子ブロック50のプレート51A,51Bが積層体11の内部空間Vのそれぞれに挿入された状態で、入れ子型70及び積層体11を射出成形用金型Mに配置する配置工程が行われる(S4)。この配置工程では、積層体11には、複数の入れ子ブロック50が取り付けられる。入れ子型70のプレート51A,51Bの総数は、内部空間Vの数と同じである。枠状の第1シール部21の内縁から外縁に至る連通部40に、図4図5(A)、図5(B)、図6及び図7に示されるような入れ子ブロック50のプレート51A,51Bが配置される。入れ子ブロック50及び入れ子型70の詳細については後述する。
【0046】
(成形工程)
配置工程に続いて、図8に示されるように、配置工程により配置された入れ子型70及び射出成形用金型Mを用いた射出成形によりシール部材12を形成する成形工程が行われる(S5)。この成形工程では、例えば射出成形機等の蓄電モジュールの製造装置を用いて、第2シール部22が形成される。成形工程では、入れ子型70の入れ子ブロック50のプレート51A,51Bが積層体11の内部空間V及び第1シール部21の連通部40に挿入され、入れ子型70が積層体11とともに射出成形用金型M内に取り付けられた状態で、第1シール部21の周囲に第2シール部22が形成されることにより、シール部材12が形成される。
【0047】
成形工程では、射出成形用金型Mのゲート(不図示)から射出成形用金型M内の空隙部Maに樹脂材料が流し込まれることによって、空隙部Maに対応する形状を有する第2シール部22が形成される。入れ子型70の入れ子ブロック50のプレート51A,51Bは、第2シール部22の形成時に第1シール部21の連通部40の閉塞を防止するだけでなく、第1シール部21の連通部40に連通する連通部40を第2シール部22に形成することができる。なお、第2シール部22を形成する工程は、例えば、形状が異なる複数種類の入れ子型70及び射出成形用金型Mをそれぞれ用いて複数回の射出成形により行われてもよい。
【0048】
(離型工程)
成形工程に続いて、成形工程により形成されたシール部材12及び積層体11から、入れ子型70及び射出成形用金型Mを離型させる離型工程が行われる(S6)。離型工程では、積層体11の連通部40から入れ子型70の入れ子ブロック50のプレート51A,51Bが抜き取られる。これにより、射出成形により形成されるシール部材12に積層体11の互いに隣り合うバイポーラ電極14の間の複数の内部空間Vとシール部材12の外周部とに連通する連通部40が形成される。第2シール部22の連通部40は、枠状の第2シール部22の内面から外面まで貫通している。その結果、連通部40が形成されたシール部材12が得られる。
【0049】
(電解液注入工程)
離型工程に続いて、シール部材12の連通部40(第1シール部21の連通部40及び第2シール部22の連通部40)を通じて内部空間Vに電解液を注入する電解液注入工程が行われる(工程S7)。その後、シール部材12の連通部40に圧力調整弁が取り付けられることによって、内部空間Vが封止される。このようにして、蓄電モジュール4が製造される。
【0050】
続いて、入れ子ブロック50及び入れ子型70の詳細について説明する。上述したように、本実施形態の入れ子型70は、電極板15と電極板15の一方面15aに設けられた正極活物質層16と電極板15の他方面15bに設けられた負極活物質層17とを有する複数のバイポーラ電極14がセパレータ13を介して積層された積層体11と、積層体11の外周部11aを取り囲むように設けられたシール部材12とを備える蓄電モジュール4の製造において、射出成形により形成されるシール部材12に積層体11の互いに隣り合うバイポーラ電極14の間の複数の内部空間Vとシール部材12の外周部とに連通する連通部40が形成されるように射出成形用金型Mに配置される。
【0051】
図7及び図8に示めされるように、入れ子型70は、複数の入れ子ブロック50を備える。入れ子ブロック50は、積層方向D1の直交する直交方向D2に並んで一体化された状態で射出成形用金型Mに配置される。図7に示されるように、直交方向D2に互いに隣り合う入れ子ブロック50のそれぞれの間には、ブロック間部材62,63が配置される。直交方向D2の一端側に配置された入れ子ブロック50のさらに一端側には外側部材64が配置され、直交方向D2の他端側に配置された入れ子ブロック50のさらに他端側には外側部材64が配置される。直交方向D2に入れ子ブロック50、ブロック間部材62,63及び外側部材64が配置された状態で、一対の拘束板61が入れ子ブロック50、ブロック間部材62,63及び外側部材64を挟み込み保持することで、複数の入れ子ブロック50を備えた入れ子型70は一体化されている。
【0052】
図4図5(A)、図5(B)及び図6に示されるように、入れ子ブロック50のそれぞれは、複数のプレート51A,51Bと、少なくとも1つのプレート間部材52と、第1外側部材53と、第2外側部材54と、ピン55を有する。プレート51A,51Bは、積層体11の積層方向D1に並んで配置され、積層体11の内部空間Vにそれぞれ挿入される。プレート51A,51Bは、例えば、積層体11の複数の連通部40における任意の連通部40の中に配置される先端部51tを有する。先端部51tの厚さは、例えば、0.5mm以下である。プレート51A,51Bは、ピン55を挿通させるための孔部51hを有する。プレート51A及びプレート51Bの形状は同一である。なお、本実施形態の入れ子ブロック50は、2つのプレート51A,51Bを有するが、3以上のプレート51A,51Bを有していてもよい。
【0053】
プレート間部材52は、積層方向D1に隣り合う一対のプレート51A,51Bの間にそれぞれ一体化された状態で配置される。一体化された状態で配置されるとは、少なくとも、隣り合うプレート51Aとプレート51Bとの間に配置される直前には一体化された部材であることを意味し、配置される直前には分割された部材であり、配置された後に一体化される物を含まない。図6に示されるように、プレート間部材52は、プレート51Aを収容するためのスロット部52sを有する。プレート間部材52は、ピン55を挿通させるための孔部52hを有する。なお、本実施形態の入れ子ブロック50は、2つのプレート51A,51Bに対して1つのプレート間部材52を有するが、3以上のプレート51A,51Bの数量に対して1つだけ少ない数量のプレート間部材52を有していてもよい。
【0054】
第1外側部材53は、積層方向D1に並ぶ複数のプレート51A,51Bのうち、一端側に配置されるプレート51Aのプレート間部材52と反対側に配置される。第1外側部材53は、ピン55を挿通させるための孔部53hを有する。第2外側部材54は、積層方向D1に並ぶ複数のプレート51A,51Bのうち、他端側に配置されるプレート51Bのプレート間部材52と反対側に配置される。第2外側部材54は、ピン55を挿通させるための孔部54hを有する。また、第2外側部材54は、プレート51Bを収容するためのスロット部54sを有する。入れ子ブロック50は、第1外側部材53と第2外側部材54とがプレート間部材52とともにプレート51A,51Bを挟み込み保持することで一体化されている、孔部51h,52h,53h,54hにピン55が挿通されている。
【0055】
入れ子ブロック50は、例えば、金属製である。プレート51A,51Bの硬さは、プレート間部材52、第1外側部材53及び第2外側部材54のいずれのロックウェル硬さ(HRC)よりも大きい。
【0056】
本実施形態の入れ子ブロック50の製造時には、スロット部52sにプレート51Aが収容されつつ、積層体11の積層方向D1に並んで配置され、積層体11の内部空間Vにそれぞれ挿入される複数のプレート51A,51Bの積層方向D1に隣り合う一対のプレート51A,51Bの間にそれぞれ少なくとも1つのプレート間部材52を一体化された状態で配置するプレート間部材配置工程が行われる。
【0057】
また、本実施形態の入れ子ブロック50の製造時には、スロット部52sにプレート51Aが収容されつつ、積層方向D1に並ぶ複数のプレート51A,51Bのうち、一端に配置されるプレート51Aのプレート間部材52とは反対側に第1外側部材53を配置する第1外側部材配置工程が行われる。また、本実施形態の入れ子ブロック50の製造時には、スロット部54sにプレート51Bが収容されつつ、積層方向D1に並ぶ複数のプレート51A,51Bのうち、他端に配置されるプレート51Bのプレート間部材52とは反対側に第2外側部材54を配置する第2外側部材配置工程が行われる。プレート間部材配置工程、第1外側部材配置工程及び第2外側部材配置工程はどのような順序で行われてもよい。
【0058】
プレート間部材配置工程により配置されたプレート間部材52とともに、第1外側部材配置工程により配置された第1外側部材53と、第2外側部材配置工程により配置された第2外側部材54とにより、複数のプレート51A,51Bを挟み込み保持し、プレート51A,51B、プレート間部材52、第1外側部材53及び第2外側部材54を一体化する一体化工程が行われる。孔部51h,52h,53h,54hにピン55が挿通されることにより、プレート51A,51B、プレート間部材52、第1外側部材53及び第2外側部材54が一体化され、本実施形態の入れ子ブロック50が製造される。ピン55に代えて、例えばボルト等の他の部材が用いられてもよい。本実施形態の入れ子ブロック50及び入れ子型70では、個々の入れ子ブロック50のプレート51A,51Bのみが着脱可能及び交換可能である。
【0059】
本実施形態において、複数のバイポーラ電極14がセパレータ13を介して積層された積層体11と、積層体11の外周部11aを取り囲むように設けられたシール部材12とを備える蓄電モジュール4の製造において、射出成形により形成されるシール部材12に積層体11の互いに隣り合うバイポーラ電極14の間の内部空間Vとシール部材12の外周部とに連通する連通部40が形成されるように射出成形用金型Mに配置される入れ子型70では、積層体11の積層方向D1に並んで配置され、積層体11の複数の内部空間Vにそれぞれ挿入される複数のプレート51A,51Bと、積層方向D1に隣り合う一対のプレート51A,51Bの間にそれぞれ配置される少なくとも1つのプレート間部材52と、積層方向D1に並ぶプレート51A,51Bのうち、一端に配置されるプレート51Aのプレート間部材52の反対側に配置される第1外側部材53と、積層方向D1に並ぶプレート51A,51Bのうち、他端に配置されるプレート51Bのプレート間部材52の反対側に配置される第2外側部材54とを有する入れ子ブロック50を備え、入れ子ブロック50は、第1外側部材53と第2外側部材54とがプレート間部材52とともに複数のプレート51A,51Bを挟み込み保持することで一体化されているため、第1外側部材53と第2外側部材54とによる挟み込み保持を緩めるだけで、プレート51A,51Bの損傷時に個々のプレート51A,51Bの交換が可能である。そのため、蓄電モジュール4の製造において、コストを削減し、生産性を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態では、隣り合う2つのプレート51A,51Bの間に設けられた1つの一体化されたプレート間部材52が、その隣り合う2つのプレート51A,51Bの保持部材を兼ねるので、プレート51A,51Bのそれぞれを一対の保持部材で挟み込み、それを積層する場合に比べて入れ子ブロック50の部品点数を低減することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、入れ子型70は複数の入れ子ブロック50を備え、複数のプレート51A,51Bを備えた入れ子ブロック50のそれぞれは、積層方向D1と直交する直交方向D2に並んで一体化された状態で射出成形用金型Mに配置されるが、複数の入れ子ブロック50が一体化されているため、複数の入れ子ブロック50を射出成形用金型Mに対して一度に着脱でき、また、プレート51A,51Bの損傷時に入れ子ブロック50ごとに個々のプレート51A,51Bの交換が可能であるため、多くの入れ子ブロック50及び多くのプレート51A,51Bを備えた入れ子型70を用いた蓄電モジュール4の製造において、製造のコストを削減し、生産性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、蓄電モジュール4の製造方法において、配置工程では、入れ子ブロック50のプレート51A,51Bが積層体11の内部空間Vのそれぞれに挿入された状態で本実施形態の入れ子型70及び積層体11が射出成形用金型Mに配置され、成形工程では、配置工程により配置された本実施形態の入れ子型70及び射出成形用金型Mを用いた射出成形によりシール部材12が形成され、離型工程では、成形工程により形成されたシール部材12及び積層体11から本実施形態の入れ子型70及び射出成形用金型Mが離型させられるが、本実施形態の入れ子型70はプレート51A,51Bの損傷時に個々のプレート51A,51Bの交換が可能であるため、蓄電モジュール4の製造において、コストを削減し、生産性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、蓄電モジュール4の製造で射出成形用金型Mに配置される入れ子型70の入れ子ブロック50の製造方法において、プレート間部材配置工程により、積層体11の積層方向D1に並んで配置され、積層体11の内部空間Vにそれぞれ挿入される複数のプレート51A,51Bの隣り合う一対のプレート51A,51Bの間にそれぞれ少なくとも1つのプレート間部材52が配置され、第1外側部材配置工程により、積層方向D1に並ぶプレート51A,51Bのうち、一端に配置されるプレート51Aのプレート間部材52の反対側に第1外側部材53が配置され、第2外側部材配置工程により、積層方向D1に並ぶプレート51A,51Bのうち、他端に配置されるプレート51Bのプレート間部材52の反対側に第2外側部材54が配置され、一体化工程により、プレート間部材52とともに、第1外側部材53と第2外側部材54とにより、複数のプレート51A,51Bが挟み込み保持され、プレート51A,51B、プレート間部材52、第1外側部材53及び第2外側部材54が一体化させられため、第1外側部材53と第2外側部材54とによる挟み込み保持を緩めるだけで、プレート51A,51Bの損傷時に個々のプレート51A,51Bの交換が可能であるため、蓄電モジュール4の製造において、コストを削減し、生産性を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、入れ子ブロック50の製造方法において、隣り合う2つのプレート51A,51Bの間に設けられた1つの一体化されたプレート間部材52が、その隣り合う2つのプレート51A,51Bの保持部材を兼ねるので、プレート51A,51Bのそれぞれを一対の保持部材で挟み込み、それを積層する場合に比べて入れ子ブロック50の部品点数を低減することができる。
【0065】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0066】
1…蓄電装置、2…蓄電モジュール積層体、3…拘束部材、4…蓄電モジュール、5…導電板、5a…流路、6…正極端子、7…負極端子、8…エンドプレート、8a…挿通孔、9…締結ボルト、10…ナット、11…積層体、11a…外周部、12…シール部材、13…セパレータ、14…バイポーラ電極、15…電極板、15a…一方面、15b…他方面、15c…外縁部、16…正極活物質層、17…負極活物質層、18…負極終端電極、19…正極終端電極、21…第1シール部、22…第2シール部、30…電極ユニット、40…連通部、50…入れ子ブロック、51A,51B…プレート、51t…先端部、51h…孔部、52…プレート間部材、52h…孔部、52s…スロット部、53…第1外側部材、53h…孔部、54…第2外側部材、54h…孔部、54s…スロット部、55…ピン、61…拘束板、62,63…ブロック間部材、64…外側部材、70…入れ子型、F…フィルム、D1…積層方向、D2…直交方向、V…内部空間、M…射出成形用金型、Ma…空隙部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8