(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】クレーム発生予測システム、クレーム発生予測方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20120101AFI20220715BHJP
G06Q 10/04 20120101ALI20220715BHJP
【FI】
G06Q10/10 330
G06Q10/04
(21)【出願番号】P 2022515483
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(86)【国際出願番号】 JP2021043029
【審査請求日】2022-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522088106
【氏名又は名称】シエンプレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 寿郎
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-133714(JP,A)
【文献】国際公開第2020/111074(WO,A1)
【文献】特開2010-56682(JP,A)
【文献】特表2001-510919(JP,A)
【文献】FAQレコメンド、ワークフロー自動化で実現する 「問題解決までのプロセス」の最適化,コールセンタージャパン,株式会社リックテレコム,2020年12月20日,第24巻 第1号,pp.94-98
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレームの発生を予測するクレーム発生予測システムであって、
取引先から受信した複数の第1メールを取得する第1取得部と、
取得した前記複数の第1メールの各々に対して、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第1クレーム危険指数を決定する決定部と、
取得した前記複数の第1メールの各々と、各々に決定した前記第1クレーム危険指数とを関連付けて学習する学習部と、
学習結果に基づいて、学習済モデルを生成する生成部と、
前記取引先から新たに受信した第2メールを取得する第2取得部と、
生成した前記学習済モデルに基づいて、取得した前記第2メールに対して、将来、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第2クレーム危険指数を予測する予測部と、
予測した前記第2クレーム危険指数が、第1条件を満たす場合、取得した前記第2メールと、前記第2クレーム危険指数とを関連付けたアラートを通知する通知部と、
を備えるクレーム発生予測システム。
【請求項2】
取得した前記複数の第1メールから、迷惑メールを除外する除外部と、
を更に備え、
前記決定部は、前記迷惑メールを除外した前記複数の第1メールの各々に対して、前記第1クレーム危険指数を決定する、
請求項1に記載のクレーム発生予測システム。
【請求項3】
予測した前記第2クレーム危険指数に対する訂正を受け付ける訂正受付部と、
を更に備え、
前記学習部は、取得した前記第2メールと、訂正後の前記第2クレーム危険指数とを関連付けて再学習する、
請求項1に記載のクレーム発生予測システム。
【請求項4】
前記第2クレーム危険指数の高い順又は低い順に、前記第2メールを並び替えて出力する第1出力部と、
を更に備える請求項1に記載のクレーム発生予測システム。
【請求項5】
前記第2クレーム危険指数をランキング形式により、前記第2メールを並び替えて出力する第2出力部と、
を更に備える請求項1に記載のクレーム発生予測システム。
【請求項6】
前記通知部は、予測した前記第2クレーム危険指数が、更に第2条件を満たす場合、注目度を変更した前記アラートを通知する、
請求項1に記載のクレーム発生予測システム。
【請求項7】
前記通知部は、予め設定された通知先に、前記アラートを通知する、
請求項1に記載のクレーム発生予測システム。
【請求項8】
前記通知先の変更を受け付ける変更受付部と、
を更に備え、
前記通知部は、変更後の前記通知先に、前記アラートを通知する、
請求項7に記載のクレーム発生予測システム。
【請求項9】
クレームの発生を予測するコンピュータが実行するクレーム発生予測方法であって、
取引先から受信した複数の第1メールを取得するステップと、
取得した前記複数の第1メールの各々に対して、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第1クレーム危険指数を決定するステップと、
取得した前記複数の第1メールの各々と、各々に決定した前記第1クレーム危険指数とを関連付けて学習するステップと、
学習結果に基づいて、学習済モデルを生成するステップと、
前記取引先から新たに受信した第2メールを取得するステップと、
生成した前記学習済モデルに基づいて、取得した前記第2メールに対して、将来、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第2クレーム危険指数を予測するステップと、
予測した前記第2クレーム危険指数が、第1条件を満たす場合、取得した前記第2メールと、前記第2クレーム危険指数とを関連付けたアラートを通知するステップと、
を備えるクレーム発生予測方法。
【請求項10】
クレームの発生を予測するコンピュータに、
取引先から受信した複数の第1メールを取得するステップ、
取得した前記複数の第1メールの各々に対して、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第1クレーム危険指数を決定するステップ、
取得した前記複数の第1メールの各々と、各々に決定した前記第1クレーム危険指数とを関連付けて学習するステップ、
学習結果に基づいて、学習済モデルを生成するステップ、
前記取引先から新たに受信した第2メールを取得するステップ、
生成した前記学習済モデルに基づいて、取得した前記第2メールに対して、将来、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第2クレーム危険指数を予測するステップ、
予測した前記第2クレーム危険指数が、第1条件を満たす場合、取得した前記第2メールと、前記第2クレーム危険指数とを関連付けたアラートを通知するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレームの発生の予測に有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クレームの予測に関する技術が注目されている。
例えば、特許文献1では、居住環境に関するクレームの発生を予測可能とするために、居住環境の状態を表す過去の計測値と過去の計測値が得られたときのクレームの発生の有無とを用いて学習する技術が提供されている。
また、他には、特許文献2では、保険証券及びクレームレベル詳細予測モデリングを使用して保険支払備金及び信頼区間を推定するための技術が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-186850号公報
【文献】特表2008-512798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
取引先(例えば、企業、一般消費者、団体)から、様々な内容のメールを受信することが日常的に行われている。メールの内容によっては、従業員やスタッフの認識違いによって、クレームに発展してしまうことがあり、メールに潜むクレームの危険度を指標化して、従業員やスタッフに通知することで、メールの危険度を共通認識とすることが重要である。
そのため、対象となるメールに対して、将来、取引先から受けるクレームの危険度を指標化したクレーム危険指数を予測して、従業員やスタッフに通知する技術が求められている。
しかしながら、特許文献1及び2に記載の技術では、対象となるメールに対して、将来、取引先から受けるクレーム危険指数を予測して、従業員やスタッフに通知することは出来なかった。
そこで、本発明は、対象となるメールに対して、将来、取引先から受けるクレーム危険指数を予測して、従業員やスタッフに通知する仕組みに着目した。
【0005】
本発明者は、対象となるメールに対して、将来、取引先から受けるクレーム危険指数を予測して、従業員やスタッフに通知することにより、取引先の不満やクレーム対応を改善し、売上やリピート率の向上を可能にするクレーム発生予測システム、クレーム発生予測方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、クレームの発生を予測するクレーム発生予測システムであって、
取引先から受信した複数の第1メールを取得する第1取得部と、
取得した前記複数の第1メールの各々に対して、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第1クレーム危険指数を決定する決定部と、
取得した前記複数の第1メールの各々と、各々に決定した前記第1クレーム危険指数とを関連付けて学習する学習部と、
学習結果に基づいて、学習済モデルを生成する生成部と、
前記取引先から新たに受信した第2メールを取得する第2取得部と、
生成した前記学習済モデルに基づいて、取得した前記第2メールに対して、将来、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第2クレーム危険指数を予測する予測部と、
予測した前記第2クレーム危険指数が、第1条件を満たす場合、取得した前記第2メールと、前記第2クレーム危険指数とを関連付けたアラートを通知する通知部と、
を備えるクレーム発生予測システムを提供する。
【0007】
本発明によれば、クレームの発生を予測するクレーム発生予測システムは、取引先から受信した複数の第1メールを取得し、取得した前記複数の第1メールの各々に対して、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第1クレーム危険指数を決定し、取得した前記複数の第1メールの各々と、各々に決定した前記第1クレーム危険指数とを関連付けて学習し、学習結果に基づいて、学習済モデルを生成し、前記取引先から新たに受信した第2メールを取得し、生成した前記学習済モデルに基づいて、取得した前記第2メールに対して、将来、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第2クレーム危険指数を予測し、予測した前記第2クレーム危険指数が、第1条件を満たす場合、取得した前記第2メールと、前記第2クレーム危険指数とを関連付けたアラートを通知する。
【0008】
本発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラムであっても同様の作用、効果を奏する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取引先の不満やクレーム対応を改善し、売上やリピート率の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】クレーム発生予測システム1の概要を説明する図である。
【
図2】クレーム発生予測システム1の機能構成を示す図である。
【
図3】クレーム発生予測システム1が実行する学習処理のフローチャートを示す図である。
【
図4】クレーム発生予測システム1が実行する通知先設定処理のフローチャートを示す図である。
【
図5】クレーム発生予測システム1が実行する通知先変更処理のフローチャートを示す図である。
【
図6】クレーム発生予測システム1が実行するアラート通知処理のフローチャートを示す図である。
【
図7】第1アラート40の一例を模式的に示す図である。
【
図8】第2アラート50の一例を模式的に示す図である。
【
図9】クレーム発生予測システム1が実行するメール出力処理のフローチャートを示す図である。
【
図10】管理画面60の一例を模式的に示した図である。
【
図11】メール画面70の一例を模式的に示した図である。
【
図12】クレーム発生予測システム1が実行する並び替え実行処理のフローチャートを示す図である。
【
図13】並び替え結果の一例を模式的に示した図である。
【
図14】並び替え結果の一例を模式的に示した図である。
【
図15】クレーム発生予測システム1が実行する再学習処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【0012】
[基本概念/基本構成]
図1は、クレーム発生予測システム1の概要を説明するための図である。クレーム発生予測システム1は、少なくともコンピュータ10を備えるクレームの発生を予測するシステムである。
本実施形態では、クレーム発生予測システム1は、コンピュータ10と、ユーザと取引先との間で行われるメールの送受信を管理するメールサーバ20、ユーザが管理するユーザ端末30と、データ通信可能に接続されるシステムである。
【0013】
本実施形態では、前提として、メールサーバ20は、POP(Post Office Protocol)接続により、コンピュータ10及びユーザ端末30とデータ通信可能に接続されており、ユーザが取引先とメールを送受信した時、コンピュータ10に、送受信したメールを送信するものである。
【0014】
クレーム発生予測システム1が、メールとクレームの危険度とを関連付けたアラートを通知する場合の処理ステップの概要について、
図1に基づいて説明する。
【0015】
コンピュータ10は、取引先から受信した複数の第1メールを取得する(ステップS1)。
コンピュータ10は、一又は複数のユーザが、取引先からこれまでに受信した複数のメールを、第1メールとして、メールサーバ20から取得する。
【0016】
コンピュータ10は、取得した複数の第1メールの各々に対して、取引先から受けるクレームの危険度を示す第1クレーム危険指数を決定する(ステップS2)。
第1クレーム危険指数は、例えば、1~10,000の数値である。
コンピュータ10は、ユーザやシステムの管理者から、第1メールの各々に対するクレームの危険度の数値の入力を受け付け、受け付けた数値を、第1クレーム危険指数に決定する。また、コンピュータ10は、過去に第1メールの各々において発生したクレームや発生しそうになったクレームの内容に応じて第1クレーム危険指数を決定する。また、コンピュータ10は、第1メールのメール内容に応じて、第1クレーム危険指数を決定する。
【0017】
コンピュータ10は、取得した複数の第1メールの各々と、各々に決定した第1クレーム危険指数とを関連付けて学習し(ステップS3)、学習結果に基づいて、学習済みモデルを生成する(ステップS4)。
コンピュータ10は、例えば、決定した第1クレーム危険指数を教師データとし、取得した第1メールの各々のメール内容と、各々に決定した第1クレーム危険指数とを関連付けた教師あり学習を実行し、学習結果に基づいた学習済モデルを生成する。
【0018】
コンピュータ10は、取引先から新たに受信した第2メールを取得する(ステップS5)。
コンピュータ10は、メールサーバ20が、取引先から新たにメールを受信した際、このメールを、第2メールとして、メールサーバ20から取得する。
【0019】
コンピュータ10は、生成した学習済モデルに基づいて、取得した第2メールに対して、将来、取引先から受けるクレームの危険度を示す第2クレーム危険指数を予測する(ステップS6)。
コンピュータ10は、生成した学習済モデルを参照し、取得した第2メールのメール内容に基づいて、この第2メールの第2クレーム危険指数を予測する。
【0020】
コンピュータ10は、予測した第2クレーム危険指数が、第1条件を満たす場合、取得した第2メールと、第2クレーム危険指数とを関連付けたアラートを通知する(ステップS7)。
第1条件は、例えば、第2クレーム危険指数が500以上である。
コンピュータ10は、予測した第2クレーム危険指数が、第1条件を満たす場合、取得した第2メールと、第2クレーム危険指数とを関連付けたアラートを作成し、作成したアラートを、予め設定された通知先のユーザが管理するユーザ端末30に通知する。
【0021】
このようなクレーム発生予測システム1によれば、取引先の不満やクレーム対応を改善し、売上やリピート率の向上が可能となる。
【0022】
[機能構成]
図2に基づいて、クレーム発生予測システム1の機能構成について説明する。
クレーム発生予測システム1は、少なくともコンピュータ10を備え、コンピュータ10が、ユーザと取引先との間で行われるメールの送受信を管理するメールサーバ20、ユーザが管理するユーザ端末30と、公衆回線網やイントラネット等のネットワーク9を介して、データ通信可能に接続される。
クレーム発生予測システム1は、コンピュータ10に加え、メールサーバ20、ユーザ端末30、その他の端末や装置類等が含まれていても良い。この場合、クレーム発生予測システム1は、後述する各処理を、含まれるコンピュータ、端末、装置類等の何れか又は複数の組み合わせにより実行する。
【0023】
コンピュータ10は、クレームの発生を予測するサーバ機能を有するコンピュータやパーソナルコンピュータ等である。
コンピュータ10は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。本明細書におけるクラウドコンピュータとは、ある特定の機能を果たす際に、任意のコンピュータをスケーラブルに用いるものや、あるシステムを実現するために複数の機能モジュールを含み、その機能を自由に組み合わせて用いるものの何れであってもよい。
【0024】
コンピュータ10は、制御部として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス、第1メールを取得する第1取得部11、第2メールを取得する第2取得部12、アラートを通知する通知部13等を備える。
また、コンピュータ10は、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリ、記憶媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。
また、コンピュータ10は、処理部として、各種処理を実行する各種デバイス、第1クレーム危険指数を決定する決定部14、第1メールと第1クレーム危険指数とを関連付けて学習する学習部15、学習結果に基づいた学習済モデルを生成する生成部16、第2クレーム危険指数を予測する予測部17等を備える。
【0025】
コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、第1取得モジュール、通知先受付モジュール、変更受付モジュール、第2取得モジュール、通知モジュール、管理画面出力モジュール、選択受付モジュール、メール出力モジュール、並び替え受付モジュール、並び替え結果出力モジュール、訂正受付モジュールを実現する。
また、コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、記憶部と協働して、学習済モデル記憶モジュール、通知先記憶モジュールを実現する。
また、コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、処理部と協働して、除外モジュール、決定モジュール、学習モジュール、生成モジュール、設定モジュール、変更モジュール、迷惑メール判断モジュール、予測モジュール、第1条件判断モジュール、第2条件判断モジュール、受付判断モジュール、実行モジュールを実現する。
【0026】
メールサーバ20は、ユーザと取引先との間のメールの配送を行う一般的な電子メールを配送するためのサーバソフトウェア又はサーバコンピュータであれば良く、詳細な説明は省略する。
【0027】
ユーザ端末30は、ユーザが管理する携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末やパーソナルコンピュータ等の端末装置であり、端末制御部として、CPU、GPU、RAM、ROM等を備え、通信部として、コンピュータ10及びメールサーバ20とデータ通信可能にするためのデバイス等を備え、入出力部として、アラートや管理画面やメールの表示やデータの入出力を実行する各種デバイス等を備える。
【0028】
以下、クレーム発生予測システム1が実行する各処理について、上述した各モジュールが実行する処理と併せて説明する。
【0029】
[コンピュータ10が実行する学習処理]
図3に基づいて、コンピュータ10が実行する学習処理について説明する。同図は、コンピュータ10が実行する学習処理のフローチャートを示す図である。本学習処理は、上述した第1メールの取得処理(ステップS1)、第1クレーム危険指数の決定処理(ステップS2)、第1メールと第1クレーム危険指数とを関連付けて学習する学習処理(ステップS3)、学習結果に基づいた学習済モデルの生成処理(ステップS4)の詳細である。
【0030】
第1取得モジュールは、取引先から受信した複数の第1メールを取得する(ステップS10)。
第1取得モジュールは、一又は複数のユーザが、取引先からこれまでに受信したメールを、第1メールとして複数取得する。
メールサーバ20は、第1取得モジュールからの要求に基づいて、ユーザが取引先からこれまでに受信した複数の第1メールを、コンピュータ10に送信する。
第1取得モジュールは、この第1メールを受信することにより、第1メールを取得する。
なお、第1取得モジュールは、第1メールに加えて、ユーザが取引先に送信したメールを、併せて取得する構成も可能である。
また、第1取得モジュールが取得する第1メールの数は、特に制限を設けないが、後述する学習処理に用いるために必要な数であれば良い。また、第1取得モジュールが取得する第1メールは、所定の期間や所定の取引先等の所定の条件を満たすものであっても良い。
【0031】
除外モジュールは、取得した複数の第1メールから、迷惑メールを除外する(ステップS11)。
迷惑メールは、広告宣伝メール、架空請求メール、不当請求メール、ウイルスメール、お金儲けのメール、チェーンメール、なりすましメール、フィッシング詐欺メール等のユーザの意思に関わらず、取引先以外の第三者から勝手に送り付けられたものである。
除外モジュールは、既存の迷惑メールに対するフィルタリングに関する処理等を実行することにより、取得した複数の第1メールから、迷惑メールを除外する。
【0032】
決定モジュールは、取得した第1メールの各々に対して、取引先から受けるクレームの危険度を示す第1クレーム危険指数を決定する(ステップS12)。
第1クレーム危険指数は、例えば、1~10,000の数値である。
決定モジュールは、迷惑メールを除外した第1メールの各々に対して、この第1クレーム危険指数を決定する。
決定モジュールは、ユーザやシステムの管理者から、第1メールの各々に対するクレームの危険度の数値の入力を受け付け、受け付けたこの数値を、第1メールの各々の第1クレーム危険指数に決定する。この場合、決定モジュールは、ユーザ端末30や、コンピュータ10に接続された物理デバイスや仮想デバイス等を介して、この数値の入力を受け付け、受け付けたこの数値を、第1メールの各々の第1クレーム危険指数に決定する。
また、決定モジュールは、過去に第1メールの各々において発生したクレームや、実際にクレームにはならなかったものの発生しそうになったクレームの内容に応じて、第1メールの各々の第1クレーム危険指数を決定する。この場合、決定モジュールは、取得した第1メールに対して発生したクレームや発生しそうになったクレームの危険度を、第1クレーム危険指数として決定する。クレームの危険度は、業績低下、企業イメージの低下、不当要求リスクの増加、対応の長期化、ロスの増加等のクレームによる影響であり、この影響を数値化したものである。決定モジュールは、予め記憶した第1メールの各々におけるこの危険度の数値を、第1メールの各々の第1クレーム危険指数として決定する。
また、決定モジュールは、第1メールの各々における件名、本文、送信者メールアドレス、受信者メールアドレス等のメール内容に応じて、第1メールの各々の第1クレーム危険指数を決定する。メール内容は、第1メールを文字認識等による解析の結果、得られるものである。この場合、決定モジュールは、メール内容と、このメール内容から発生したクレームや発生しそうになったクレームと、その危険度の数値とを関連付けて登録したデータベースを参照し、第1メールの各々の第1クレーム危険指数を決定する。決定モジュールは、このデータベースにおける危険度の数値の内、最高値、平均値、和等を、第1メールにおける危険度の数値として特定し、この特定した危険度の数値を、第1クレーム危険指数として決定する。
なお、決定モジュールが、第1メールの各々に対して第1クレーム危険指数を決定する方法は、上述した例に限定されるものではない。
【0033】
学習モジュールは、取得した第1メールの各々と、各々に決定した第1クレーム危険指数とを関連付けて学習する(ステップS13)。
学習の方法は、例えば、教師あり学習、教師なし学習、強化学習等による機械学習や、畳み込みニューラルネットワーク、再起型ニューラルネットワーク、長・短期記憶等によるディープラーニングである。本実施形態において、学習モジュールは、学習の方法として、教師あり学習による機械学習を行うものを例として説明する。
学習モジュールは、決定した第1クレーム危険指数を教師データとし、取得した第1メールの各々のメール内容と、各々に決定した第1クレーム危険指数とを関連付けた教師あり学習を実行する。
なお、学習モジュールが実行する学習方法は、上述した例に限定されるものではない。
【0034】
生成モジュールは、学習結果に基づいて、学習済モデルを生成する(ステップS14)。
生成モジュールは、例えば、学習結果に基づいた回帰モデル又は分類モデルを、学習済モデルとして生成する。生成モジュールが、学習結果に基づいた学習済モデルを生成する方法は、既存の方法であれば良く、その詳細な説明は省略する。
【0035】
学習済モデル記憶モジュールは、生成した学習済モデルを記憶する(ステップS15)。
【0036】
以上が、学習処理である。
コンピュータ10は、上述した学習処理により生成した学習済モデルを用いて、後述する処理を実行する。
なお、コンピュータ10は、学習処理において、学習済モデルを記憶せずに、後述する処理を実行する構成も可能であり、この場合、後述する処理において、生成した学習済モデルをそのまま用いればよい。
【0037】
[コンピュータ10が実行する通知先設定処理]
図4に基づいて、コンピュータ10が実行する通知先設定処理について説明する。同図は、コンピュータ10が実行する通知先設定処理のフローチャートを示す図である。本通知先設定処理は、上述したアラートの通知処理(ステップS7)に関連する処理であり、上述した学習処理の前後何れのタイミングでも実行可能な処理である。
【0038】
通知先受付モジュールは、アラートの通知先の入力を受け付ける(ステップS20)。
通知先は、例えば、取得したメールの宛先のユーザ、メールの宛先のユーザと同チームや同部署等の所属先が同一等の取得したメールの宛先のユーザに関連するユーザ、取得したメールのメール内容に関連するユーザ、カスタマーサポートの部署等の取引先に対するサービスを提供するユーザである。
通知先受付モジュールは、通知先の入力を受け付ける所定の入力画面を、ユーザ端末30に出力する。ユーザ端末30は、この入力画面を受信し、自身の表示部に表示する。通知先受付モジュールは、ユーザ端末30に表示させた所定の入力画面により、通知先の入力を受け付ける。
ユーザ端末30は、ユーザのメールアドレスの直接入力を受け付けることにより、通知先となるユーザのメールアドレスの入力を受け付ける。これは、一のメールアドレスの直接入力を受け付けるものであっても良いし、複数のメールアドレスの直接入力を受け付けるものであっても良い。例えば、取引先が送信するメールの宛先となるユーザのメールアドレスや、このユーザの上司やこのユーザが所属する部署の責任者等の他のユーザのメールアドレスの直接入力を受け付ける。または、このユーザとこの他のユーザの一部又は全部のメールアドレスの直接入力を受け付ける。
また、通知先受付モジュールは、予めユーザを所定の分類(例えば、同チーム、同部署、クレーム対応チーム、クレーム対応部署、責任者、上司、ユーザ全体)毎にグループ分けしたグループを作成し、作成したグループに、このグループに属する各ユーザのメールアドレスを登録する。通知先受付モジュールは、所定の入力画面とともに、作成したグループを、ユーザ端末30に出力する。
ユーザ端末30は、このグループの選択入力を受け付けることにより、通知先となるユーザのメールアドレスの入力を受けつける。これは、一のグループの選択入力を受け付けるものであっても良いし、複数のグループの選択入力を受け付けるものであっても良い。
ユーザ端末30は、受け付けた通知先を、コンピュータ10に送信する。メールアドレスである場合、受け付けたメールアドレスであり、グループである場合、グループの名称や管理番号等の識別子や受け付けたグループに登録されたメールアドレスである。
ユーザ端末30は、受け付けたこれらの通知先を、コンピュータ10に送信する。
通知先受付モジュールは、これらの通知先を受信することにより、アラートの通知先の入力を受け付ける。
【0039】
なお、ステップS20において、通知先受付モジュールは、その他の条件を加えたアラートの通知先の入力を受け付ける構成も可能である。具体的には、ユーザ端末30は、メール内容に応じた通知先の入力を受け付ける構成や、後述する第1クレーム危険指数や第2クレーム危険指数に応じた通知先の入力を受け付ける構成も可能である。
例えば、ユーザ端末30は、メール内容として、件名、本文、送信者メールアドレスに含まれる所定のキーワードに対して、ユーザ及び/又は他のユーザのメールアドレスの直接入力を受け付ける、又は、グループの選択入力を受け付ける。また、ユーザ端末30は、第1クレーム危険指数や第2クレーム危険指数として、予め設定された間隔の数値毎に対して、ユーザ及び/又は他のユーザのメールアドレスの直接入力を受け付ける、又は、グループの選択入力を受け付ける。
ユーザ端末30は、受け付けた条件及び通知先を、コンピュータ10に送信する。
通知先受付モジュールは、この条件及び通知先を受信することにより、アラートの通知先及び条件の入力を受け付ける。
このように、通知先受付モジュールは、メールアドレスやグループの入力を受け付けることに加え、それ以外の条件を併せて入力を受け付ける構成も可能である。
【0040】
なお、ユーザ端末30は、通知先として、ユーザのメールアドレスの入力を受け付けるものとして説明しているが、メールアドレスに限らず、ユーザの識別子等のそれ以外のユーザを特定可能な内容の入力を受け付ける構成も可能である。
【0041】
設定モジュールは、アラートの通知先を設定する(ステップS21)。
設定モジュールは、受け付けた通知先を、アラートの通知先に設定する。
設定モジュールは、メールアドレスを受け付けた場合、このメールアドレスをアラートの通知先に設定する。設定モジュールは、グループを受け付けた場合、このグループに登録された各メールアドレスをアラートの通知先に設定する。
ここで、設定モジュールは、メールアドレス以外のユーザを特定可能な内容の入力を受け付けていた場合、この特定するユーザが管理するユーザ端末30を通知先に設定する構成も可能である。
【0042】
通知先記憶モジュールは、設定したアラートの通知先を記憶する(ステップS22)。
【0043】
以上が、通知先設定処理である。
コンピュータ10は、上述した通知先設定処理により設定した通知先を用いて、後述する処理を実行する。
【0044】
[コンピュータ10が実行する通知先変更処理]
図5に基づいて、コンピュータ10が実行する通知先変更処理について説明する。同図は、コンピュータ10が実行する通知先変更処理のフローチャートを示す図である。本通知先変更処理は、上述した通知先設定処理により設定した通知先を変更する処理である。
【0045】
変更受付モジュールは、アラートの通知先の変更を受け付ける(ステップS30)。
通知先は、上述した通知先設定処理により設定した通知先である。
コンピュータ10は、通知先の変更の入力を受け付ける所定の入力画面を、ユーザ端末30に出力する。ユーザ端末30は、この入力画面を受信し、自身の表示部に表示する。コンピュータ10は、ユーザ端末30に表示させた所定の入力画面により、通知先の入力を受け付ける。
ユーザ端末30は、変更する通知先の選択入力を受け付ける。ユーザ端末30は、変更するメールアドレス及び/又はグループの選択入力を受け付ける。
更に、ユーザ端末30は、新たなユーザのメールアドレスの直接入力を受け付ける、又は、新たなグループの選択入力を受け付けることにより、通知先の変更の入力を受け付ける。通知先となる新たなユーザのメールアドレス及び/又はグループの入力の受付方法は、上述したステップS20の処理のものと同様である。
ユーザ端末30は、変更を受け付けたこれらの通知先を、コンピュータ10に送信する。
変更受付モジュールは、これらの通知先の変更を受信することにより、アラートの通知先の変更を受け付ける。
【0046】
なお、ステップS30において、変更受付モジュールは、その他の条件についても、その変更を受け付ける構成も可能である。具体的には、コンピュータ10は、メール内容の変更、第1クレーム危険指数や第2クレーム危険指数の変更の入力や、メール内容に設定した通知先の変更、第2クレーム危険指数に設定した通知先の変更を受け付ける構成も可能である。
また、通知先として、メールアドレス以外のユーザを特定可能な内容が設定されている場合、この内容の変更を受け付ける構成も可能である。
【0047】
変更モジュールは、アラートの通知先の設定を変更する(ステップS31)。
変更モジュールは、上述したステップS21の処理により設定したアラートの通知先を、変更を受け付けたアラートの通知先に変更する。
【0048】
通知先記憶モジュールは、変更したアラートの通知先を記憶する(ステップS32)。
【0049】
以上が、通知先変更処理である。
【0050】
[コンピュータ10が実行するアラート通知処理]
図6に基づいて、コンピュータ10が実行するアラート通知処理について説明する。同図は、コンピュータ10が実行するアラート通知処理のフローチャートを示す図である。本アラート通知処理は、上述した第2メールの取得処理(ステップS5)、第2クレーム危険指数の予測処理(ステップS6)、アラートの通知処理(ステップS7)の詳細である。
【0051】
第2取得モジュールは、取引先から新たに受信した第2メールを取得する(ステップS40)。
第2取得モジュールは、ユーザが、新たに取引先から受信したメールを、第2メールとして取得する。
メールサーバ20は、新たにメールを受信した際、このメールの受信者メールアドレスを保有するユーザが管理するユーザ端末30にメールを送信するとともに、コンピュータ10にこのメールを第2メールとして送信する。
第2取得モジュールは、この第2メールを受信することにより、第2メールを取得する。
なお、第2取得モジュールは、第2メールに加えて、ユーザが取引先に送信したメールを、取得する構成も可能である。
【0052】
迷惑メール判断モジュールは、取得した第2メールが迷惑メールであるかどうかを判断する(ステップS41)。
迷惑メール判断モジュールは、既存の迷惑メールに対するフィルタリングに関する処理を実行し、取得した第2メールが迷惑メールであるかどうかを判断する。
迷惑メール判断モジュールは、取得した第2メールが迷惑メールであると判断した場合(ステップS41 YES)、コンピュータ10は、本アラート通知処理を終了する。
【0053】
一方、迷惑メール判断モジュールは、取得した第2メールが迷惑メールではないと判断した場合(ステップS41 NO)、予測モジュールは、学習済モデルに基づいて、新たに取得した第2メールに対して、将来、取引先から受けるクレームの危険度を示す第2クレーム危険指数を予測する(ステップS42)。
予測モジュールは、上述した学習処理により生成した学習済モデルを用いて、取得した第2メールに対して、第2クレーム危険指数を予測する。予測モジュールは、学習済モデルを参照し、取得した第2メールのメール内容に基づいて、第2クレーム危険指数を予測する。
予測モジュールは、今回取得した第2メールのメール内容と、学習済モデルにおけるメール内容とを比較し、第2メールのメール内容に一致又は近似する第1メールのメール内容を特定する。予測モジュールは、第1メールの件名、本文、送信者メールアドレス、受信者メールアドレスと、第2メールの件名、本文、送信者メールアドレス、受信者メールアドレスを其々比較し、件名の一致の程度、本文における所定のキーワードの個数や出現頻度の一致の程度、送信者メールアドレスの一致の程度を、受信者メールアドレスの一致の程度を、各々、確認する。予測モジュールは、今回取得した第2メールのメール内容と最も一致する学習済モデルにおける第1メールを特定する。予測モジュールは、今回取得した第2メールのメール内容と一致する学習済モデルにおける第1メールを特定できなかった場合、この第2メールのメール内容に最も近似する学習済モデルにおける第1メールを特定する。
予測モジュールは、特定した第1メールに関連付けられた第1クレーム危険指数を、第2メールの第2クレーム危険指数として予測する。
予測モジュールは、取得した第2メールと、予測した第2クレーム危険指数との関連付けを併せて実行する。
なお、予測モジュールは、今回取得した第2メールのメール内容と一致及び近似する学習済モデルにおける第1メールを特定できなかった場合、この第2メールの第2クレーム危険指数を予測不能とする。このとき、予測モジュールは、第2クレーム危険指数が予測不能な第2メールに対して、予め第2クレーム危険指数を設定しておくことにより、この第2メールを、設定した第2クレーム危険指数として予測する構成も可能である。ここで、予測モジュールは、この第2メールの第2クレーム危険指数を、最高値や最低値や平均値としても良いし、それ以外の数値にしても良い。
また、通知モジュールは、第2クレーム危険指数予測不能な第2メールについて、この第2メールと、第2クレーム危険指数が予測不能であることとを関連付けたアラートを、上述した通知先設定処理や通知先変更処理により設定した通知先に通知する構成も可能である。このとき、コンピュータ10は、後述する再学習処理を行うことにより、予測不能であった第2メールの第2クレーム危険指数の訂正を受け付け、次回以降、同様の第2メールを取得した場合であっても、第2クレーム危険指数を予測することが可能となる。
【0054】
第1条件判断モジュールは、予測した第2クレーム危険指数が、第1条件を満たすかどうかを判断する(ステップS43)。
第1条件は、例えば、第2クレーム危険指数の数値が500以上である。
第1条件判断モジュールは、予測した第2クレーム危険指数が、第1条件を満たさないと判断した場合(ステップS43 NO)、第1条件判断モジュールは、将来、このメールの対応により取引先からクレームを受ける危険性は少ないと判断し、コンピュータ10は、本アラート通知処理を終了する。
【0055】
第1条件判断モジュールは、予測した第2クレーム危険指数が、第1条件を満たすと判断した場合(ステップS43 YES)、第1条件判断モジュールは、将来、このメールの対応により取引先からクレームを受ける可能性があると判断し、第2条件判断モジュールは、予測した第2クレーム危険指数が、更に、第2条件を満たすかどうかを判断する(ステップS44)。
第2条件は、例えば、第1条件よりも、第2クレーム危険指数の数値が高いものであり、具体的には、第2クレーム危険指数が2,000以上である。
【0056】
第2条件判断モジュールは、予測した第2クレーム危険指数が、第2条件を満たさないと判断した場合(ステップS44 NO)、通知モジュールは、取得した第2メールと、予測した第2クレーム危険指数とを関連付けたアラートを通知する(ステップS45)。
通知モジュールは、取得した第2メールのメール内容と、予測した第2クレーム危険指数とを関連付けた第1アラートを作成する(
図7参照)。
【0057】
[第1アラート]
図7に基づいて、通知モジュールが作成する第1アラートについて説明する。同図は、通知モジュールが作成する第1アラートの一例を模式的に示す図である。
通知モジュールは、クレームの発生の可能性を指摘するメッセージ41、第2メールのメール内容と第2クレーム危険指数とを関連付けたメール表示欄42、通知先のユーザ端末30からの入力を受け付け、後述する管理画面に遷移する確認アイコン43を所定の位置に配置した第1アラート40を作成する。
メッセージ41は、取得した第2メールに、クレーム発生の可能性が有ることを指摘する文字列であり、同図では、「新規メールに、クレーム発生の可能性を検知しました。確認しください」が示されている。なお、このメッセージ41の文字列は、上述した例に限らず、クレーム発生の可能性を指摘するものであれば、その内容や配置については、適宜変更可能である。
メール表示欄42は、メール内容として、このメールをメールサーバ20に送信した日時、第2クレーム危険指数の数値、メールの件名、メールの送信者のメールアドレス、メールの受信者のメールアドレスが含まれる。同図では、送信日時、クレーム危険指数、件名、送信者メールアドレス、受信者メールアドレスが示されている。なお、このメール表示欄42の内容は、上述した例に限らず、第2メールと、第2クレーム危険指数と関連付けられたものであれば、その内容や配置については、適宜変更可能である。
確認アイコン43は、第1アラート40を、ユーザ端末30が表示した際、入力を受け付けることにより、後述する管理画面に遷移するものである。なお、この確認アイコン43が作成されない構成も可能である。この場合、第1アラート40には、メッセージ41及びメール表示欄42のみ配置されれば良い。また、ユーザ端末30は、確認アイコン43の入力を受け付けることにより、第2メールのメール内容を表示するメール画面に直接遷移する構成も可能である。
【0058】
通知モジュールは、作成した第1アラート40を、上述した通知先設定処理や通知先変更処理により設定した通知先に送信する。通知モジュールは、通知先に設定されたメールアドレスを保有するユーザや、通知先に設定されたユーザを特定可能な内容に基づいたユーザに、この第1アラート40を送信する。
通知先に設定されたユーザが管理するユーザ端末30は、この第1アラート40を受信し、自身の表示部に表示する。ユーザ端末30は、表示した第1アラート40における確認アイコン43の入力を受け付けることにより、後述する管理画面に遷移する。
通知モジュールは、この第1アラート40を、ユーザ端末30に表示させることにより、取得した第2メールと、予測した第2クレーム危険指数とを関連付けたアラートを通知する。
【0059】
このようなクレーム発生予測システム1によれば、新たなメールを取得した時点において、クレームの発生を予測することが可能となり、クレームの発生の可能性を低減することになり、取引先の不満やクレーム対応を改善し、売上やリピート率の向上が可能となる。
【0060】
図6に戻り、アラート通知処理の続きを説明する。
第2条件判断モジュールは、予測した第2クレーム危険指数が、第2条件を満たすと判断した場合(ステップS44 YES)、通知モジュールは、取得した第2メールと、予測した第2クレーム危険指数とを関連付け、注目度を変更したアラートを通知する(ステップS46)。
注目度の変更は、例えば、メッセージを太字、ハイライトの追加、アイコンの追加、文字やアイコンのサイズ変更や色変更である。なお、注目度の変更の内容は、上述した例に限らず、上述した第1アラートと異なることが判別可能なものであればその内容は問わない。
通知モジュールは、取得した第2メールの内容と、予測した第2クレーム危険指数とを関連付け、上述した第1アラートの注目度とは異なる注目度に変更した第2アラートを作成する(
図8参照)。
【0061】
[第2アラート]
図8に基づいて、通知モジュールが作成する第2アラートについて説明する。同図は、通知モジュールが作成する第2アラートの一例を模式的に示す図である。
通知モジュールは、クレームの発生の可能性を指摘するメッセージ51、第2メールのメール内容と第2クレーム危険指数とを関連付けたメール表示欄52、通知先のユーザ端末30からの入力を受け付け、後述する管理画面に遷移する確認アイコン53、第2クレーム危険指数が第2条件を満たすことを示す重要アイコン54を、所定の位置に配置した第2アラート50を作成する。
メッセージ51は、取得した第2メールに、重大なクレーム発生の可能性が有ることを指摘する文字列であり、同図では、注目度の変更として、太字で、「新規メールに、重大なクレーム発生の可能性を検知しました。確認してください。」が示されている。なお、メッセージ51における注目度の変更は、上述した例に限らず、その他の方法であっても良い。また、メッセージ51の文字列は、上述した例に限らず、重大なクレーム発生の可能性を指摘するものであれば、その内容や配置については、適宜変更可能である。
メール表示欄52は、メール内容として、このメールをメールサーバ20に送信した日時、第2クレーム危険指数の数値、メールの件名、メールの送信者のメールアドレス、メールの受信者のメールアドレスが含まれる。同図では、送信日時、クレーム危険指数、件名、送信者メールアドレス、受信者メールアドレスが示されている。加えて、クレーム危険指数において、メール表示欄52における注目度の変更として、背景にハイライトが追加されていることをハッチングにより示している。なお、注目度の変更は、上述した例に限らず、その他の方法であっても良い。また、このメール表示欄52の内容は、上述した例に限らず、第2メールと、第2クレーム危険指数と関連付けられたものであれば、その内容や配置については、適宜変更可能である。
確認アイコン53は、第2アラート50を、ユーザ端末30が表示した際、入力を受け付けることにより、後述する管理画面に遷移するものである。なお、この確認アイコン53が作成されない構成も可能である。この場合、第2アラート50には、メッセージ51及びメール表示欄52、重要アイコン54のみ配置されれば良い。また、ユーザ端末30は、確認アイコン53の入力を受け付けることにより、第2メールのメール内容を表示するメール画面に直接遷移する構成も可能である。
重要アイコン54は、注目度の変更として、追加されたアイコンである。なお、注目度の変更として追加するアイコンは、上述した例に限らず、重大なクレーム発生の可能性を指摘するものであれば、その内容や配置については、適宜変更可能であり、アイコン以外のものであっても良い。
第2アラート50における注目度の変更として、メッセージ51、メール表示欄52、重要アイコン54の3つを例として説明しているが、注目度の変更は、これらの一部のみにより行われても良い。また、注目度の変更方法は、これらの内容に限らず、これら以外の方法、例えば、文字やアイコンのサイズ変更や色変更により、行われても良い。
【0062】
通知モジュールは、作成した第2アラート50を、上述した通知先設定処理や通知先変更処理により設定した通知先に送信する。通知モジュールは、通知先に設定されたメールアドレスを保有するユーザや、通知先に設定されたユーザを特定可能な内容に基づいたユーザに、この第2アラート50を送信する。
通知先に設定されたユーザが管理するユーザ端末30は、この第2アラート50を受信し、自身の表示部に表示する。ユーザ端末30は、表示した第2アラート50における確認アイコン53の入力を受け付けることにより、後述する管理画面に遷移する。
通知モジュールは、この第2アラート50を、ユーザ端末30に表示させることにより、取得した第2メールと、予測した第2クレーム危険指数とを関連付け、注目度を変更したアラートを通知する。
【0063】
このようなクレーム発生予測システム1によれば、新たなメールを取得した時点において、クレームの発生を予測することが可能となり、クレームの発生の可能性を低減することになり、取引先の不満やクレーム対応を改善し、売上やリピート率の向上が可能となる。
【0064】
以上が、アラート通知処理である。
【0065】
[コンピュータ10が実行するメール出力処理]
図9に基づいて、コンピュータ10が実行するメール出力処理について説明する。同図は、コンピュータ10が実行するメール出力処理のフローチャートを示す図である。本メール出力処理は、上述したアラート通知処理の後に実行される処理である。
【0066】
管理画面出力モジュールは、管理画面を出力する(ステップS50)。
管理画面出力モジュールは、上述した確認アイコン43又は確認アイコン53に対する入力を受け付けることにより、ユーザ端末30に、管理画面を出力する。
ユーザ端末30は、上述した確認アイコン43又は確認アイコン53の入力を受け付け、これらのアイコンに対する入力受け付けたことを示す情報を、コンピュータ10に送信する。管理画面出力モジュールは、この情報を受信することにより、上述した確認アイコン43又は確認アイコン53に対する入力を受け付ける。
管理画面出力モジュールは、この情報に基づいて、管理画面をユーザ端末30に送信する。ユーザ端末30は、この管理画面を受信し、自身の表示部に表示する(
図10参照)。
管理画面出力モジュールは、ユーザ端末30に、この管理画面を表示させることにより、管理画面を出力する。
なお、管理画面出力モジュールは、上述した方法以外の方法により、ユーザ端末30からの所定の入力を受け付け、管理画面を、ユーザ端末30に出力する構成も可能である。
【0067】
[管理画面]
図10に基づいて、管理画面出力モジュールが出力する管理画面について説明する。同図は、管理画面出力モジュールが出力する管理画面の一例を模式的に示した図である。
管理画面60は、取得した第2メールの一覧を表示する画面である。管理画面60において、第2メールのクレーム危険指数、件名、送信者メールアドレス、受信者メールアドレスを一覧として表示されている。この管理画面60において、第2アラートが通知された第2メールに関しては、注目度を変更して表示している。注目度の変更方法として、文字が太字、背景にハイライトの追加、アイコン61の追加が行われている。
なお、第1アラートが通知された第2メールに関して、第2アラートが通知された第2メールとは異なる注目度に変更して表示しても良い。すなわち、管理画面60における注目度の変更は、第1アラート及び第2アラートの何れも通知されていない第2メールの表示態様を基準の注目度とし、第1アラートが通知された第2メールを、基準となる第2メールよりも、表示態様が目立つ注目度に変更し、第2アラートが通知された第2メールを、第1アラートが通知された第2メールよりも、更に、表示態様が目立つ注目度に変更し、各々が表示されても良い。
また、第2アラートが通知された第2メールに関する注目度の変更は、これらの一部のみにより行われても良い。また、注目度の変更方法は、これらの内容に限らず、これら以外の方法、例えば、文字やアイコンのサイズ変更や色変更により、行われても良い。
管理画面60において、ユーザ端末30からの第2メールに対する選択入力を受け付けることにより、選択入力を受け付けた第2メールのメール内容を表示するメール画面に遷移する(
図11参照)。
【0068】
図9に戻り、メール出力処理の続きを説明する。
選択受付モジュールは、第2メールの選択を受け付ける(ステップS51)。
選択受付モジュールは、上述した管理画面60における第2メールの選択入力を受け付けることにより、ユーザ端末30に、選択を受け付けた第2メールのメール内容を出力する。
ユーザ端末30は、表示した管理画面60において、第2メールの選択入力を受け付け、入力を受け付けたことを示す情報を、コンピュータ10に送信する。選択受付モジュールは、この情報を受信することにより、第2メールの選択を受け付ける。
【0069】
メール出力モジュールは、選択を受け付けた第2メールを出力する(ステップS52)。
メール出力モジュールは、受け付けた情報に基づいて、選択を受け付けた第2メールのメール内容を、ユーザ端末30に送信する。
ユーザ端末30は、この第2メールのメール内容を受信し、自身の表示部にメール画面として表示する(
図11参照)。
メール出力モジュールは、ユーザ端末30に、この第2メールのメール内容をメール画面として表示させることにより、選択を受け付けた第2メールを出力する。
【0070】
[メール画面]
図11に基づいて、メール出力モジュールが出力するメール画面について説明する。同図は、メール出力モジュールが出力するメール画面の一例を模式的に示した図である。
メール画面70は、第2メールのメール内容を表示する画面である。メール画面70において、第2メールのメール内容として、送信日時、送信者メールアドレス、受信者メールアドレス、件名、本文が表示されている。
なお、メール画面70において表示されるメール内容は、上述したものに限らず、本文及び受信者メールアドレスのみであっても良いし、それ以外のものが含まれていても良い。また、第2メールに対して予測された第2クレーム危険指数が含まれていても良い。
また、第1アラート及び第2アラートが通知されていない第2メールのメール内容の表示態様を基準として、第1アラートが通知された第2メールのメール内容を、基準となる第2メールのメール内容よりも、表示態様が目立つ注目度に変更し、第2アラートが通知された第2メールのメール内容を、第1アラートが通知された第2メールのメール内容よりも、更に、表示態様が目立つ注目度に変更し、各々が表示されても良い。
ユーザ端末30は、メール画面70において、所定の入力を受け付けることにより、メール画面70の表示を終了し、再度、管理画面60に遷移する等を行う。
【0071】
以上が、メール出力処理である。
【0072】
[コンピュータ10が実行する並び替え実行処理]
図12に基づいて、コンピュータ10が実行する並び替え実行処理について説明する。同図は、コンピュータ10が実行する並び替え実行処理のフローチャートを示す図である。本並び替え実行処理は、上述したメール出力処理に関連する処理であり、上述したステップS50の処理の後に、任意のタイミングにより行われる処理である。
【0073】
受付判断モジュールは、第2メールの並び替えを受け付けたかどうかを判断する(ステップS60)。
受付判断モジュールは、上述した管理画面60において、並び替えの入力を受け付けたかどうかを判断する。
ユーザ端末30は、表示した管理画面60において、第2メールの一覧の並び順を所定の順番(例えば、第2クレーム危険指数が高い順又は低い順)に並び替える入力を受け付けた時、又は、ランキング形式により並び替える入力を受け付けた時、入力を受け付けた並び替えの情報を、コンピュータ10に送信する。
並び替え受付モジュールは、この情報を受信することにより、第2メールの並び替えを受け付ける。
受付判断モジュールは、並び替え受付モジュールが、この第2メールの並び替えを受け付けたかどうかを判断することにより、第2メールの並び替えを受け付けたかどうかを判断する。
受付判断モジュールは、並び替え受付モジュールが、並び替えの入力を受けつけていないと判断した場合(ステップS60 NO)、コンピュータ10は、本並び替え実行処理を終了する。
【0074】
一方、受付判断モジュールは、並び替え受付モジュールが、並び替えの入力を受け付けたと判断した場合(ステップS60 YES)、実行モジュールは、第2メールの並び替えを実行する(ステップS61)。
実行モジュールは、入力を受け付けた並び替えの内容に基づいて、第2メールの並び替えを実行する。
実行モジュールは、第2クレーム危険指数が高い順に並び替える入力を受け付けた場合、第2クレーム危険指数の高い順に、第2メールを並び替える(
図13参照)。
図13は、上述した管理画面60に表示した第2メールの一覧を、第2クレーム危険指数の高い順に並び替えたものである。なお、実行モジュールは、第2クレーム危険指数が低い順に並び替える入力を受け付けた場合、第2クレーム危険指数の低い順に、第2メールを並び替える。
また、実行モジュールは、ランキング形式に並び替える入力を受け付けた場合、第2クレーム危険指数を順位付し、この順位の所定の順位までの第2メールを並び替え、それよりも低い順位のものを一覧から除外する(
図14参照)。
図14は、上述した管理画面60に表示した第2メールの一覧を、ランキング形式に並び替えたものであり、第2クレーム危険指数の上位7位までを、高い順に並び替え、それよりも第2クレーム危険指数が低いものを除外したものである。なお、実行モジュールは、所定の順位よりも低い順位のものを除外せずに、表示する構成も可能である。
【0075】
図12に戻り、並び替え実行処理の続きを説明する。
並び替え結果出力モジュールは、並び替え結果を出力する(ステップS62)。
並び替え結果出力モジュールは、並び替えを実行後の第2メールの一覧を、並び替え結果としてユーザ端末30に送信する。
ユーザ端末30は、この並び替え結果を受信し、自身の表示部に表示する。このとき、ユーザ端末30は、
図13及び
図14で示した並び替え結果を、管理画面60として表示する。
並び替え結果出力モジュールは、ユーザ端末30に、並び替え結果を表示させることにより、並び替え結果を出力する。
【0076】
以上が、並び替え実行処理である。
【0077】
[コンピュータ10が実行する再学習処理]
図15に基づいて、コンピュータ10が実行する再学習処理について説明する。同図は、コンピュータ10が実行する再学習処理のフローチャートを示す図である。本再学習処理は、上述した学習処理の後に行われる処理であり、任意のタイミングで行われる処理である。
【0078】
訂正受付モジュールは、予測した第2クレーム危険指数に対する訂正を受け付ける(ステップS70)。
ユーザ端末30は、通知された第2クレーム危険指数や、上述した管理画面60において表示された第2クレーム危険指数に対する訂正の入力を、所定の入力画面において受け付ける。例えば、ユーザ端末30は、実際にクレームを受けた第2メールに対して、第2クレーム危険指数を上方に訂正する入力を受け付け、実際にクレームを受けなかった第2メールに対して、第2クレーム危険指数を下方に訂正する入力を受け付ける。
ユーザ端末30は、第2クレーム危険指数を訂正した第2メールと、訂正後の第2クレーム危険指数とを、コンピュータ10に送信する。
訂正受付モジュールは、第2クレーム危険指数を訂正した第2メールと、訂正後の第2クレーム危険指数とを受信することにより、予測した第2クレーム危険指数に対する訂正を受け付ける。
【0079】
学習モジュールは、取得した第2メールと、訂正後の第2クレーム危険指数とを関連付けて再学習する(ステップS71)。
学習モジュールは、訂正後の第2クレーム危険指数を教師データとし、第2クレーム危険指数を訂正した第2メールのメール内容と、訂正後の第2クレーム危険指数とを関連付けた教師あり学習を再度実行する。
なお、学習モジュールが、実行する再学習方法は、上述した例に限定されるものではない。
【0080】
生成モジュールは、学習結果に基づいて、学習済モデルを更新する(ステップS72)。
生成モジュールは、上述したステップS14の処理と同様に、既存の方法により、学習結果に基づいて、学習済モデルを更新する。
【0081】
学習済モデル記憶モジュールは、更新した学習済モデルを記憶する(ステップS73)。
【0082】
以上が、再学習処理である。
コンピュータ10は、上述したアラート通知処理において、新たに第2メールを取得した場合、再学習処理により更新した学習済モデルを用いて、上述したステップS42の処理を実行する。
【0083】
なお、学習モジュールは、第2クレーム危険指数の訂正を受け付けなかった第2メールについて、この第2クレーム危険指数を教師データとして、第2メールとこの第2クレーム危険指数とを関連付けた教師あり学習を再度実行する構成も可能である。この場合、生成モジュールは、この学習結果に基づいて、学習済モデルを更新する。
このようにすることにより、クレーム発生予測システム1は、第2クレーム危険指数の予測の精度の更なる向上を図ることが可能となる。
【0084】
上述した各処理は、別個の処理として記載しているが、コンピュータ10は、上述した各処理の一部又は全部を組み合わせて実行する構成も可能である。また、コンピュータ10は、各処理において、説明したタイミング以外のタイミングであっても、その処理を実行する構成も可能である。
【0085】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態やクラウドサービスで提供されてよい。また、プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供されてよい。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0087】
(1)クレームの発生を予測するクレーム発生予測システムであって、
取引先から受信した複数の第1メールを取得する第1取得部(例えば、第1取得部11、第1取得モジュール)と、
取得した前記複数の第1メールの各々に対して、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第1クレーム危険指数を決定する決定部(例えば、決定部14、決定モジュール)と、
取得した前記複数の第1メールの各々と、各々に決定した前記第1クレーム危険指数とを関連付けて学習する学習部(例えば、学習部15、学習モジュール)と、
学習結果に基づいて、学習済モデルを生成する生成部(例えば、生成部16、生成モジュール)と、
前記取引先から新たに受信した第2メールを取得する第2取得部(例えば、第2取得部12、第2取得モジュール)と、
生成した前記学習済モデルに基づいて、取得した前記第2メールに対して、将来、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第2クレーム危険指数を予測する予測部(例えば、予測部17、予測モジュール)と、
予測した前記第2クレーム危険指数が、第1条件(例えば、第2クレーム危険指数が500以上)を満たす場合、取得した前記第2メールと、前記第2クレーム危険指数とを関連付けたアラートを通知する通知部(例えば、通知部13、通知モジュール)と、
を備えるクレーム発生予測システム。
【0088】
(1)の発明によれば、取引先の不満やクレーム対応を改善し、売上やリピート率の向上が可能となる。
【0089】
(2)取得した前記複数の第1メールから、迷惑メールを除外する除外部(例えば、除外モジュール)と、
を更に備え、
前記決定部は、前記迷惑メールを除外した前記複数の第1メールの各々に対して、前記第1クレーム危険指数を決定する、
(1)に記載のクレーム発生予測システム。
【0090】
(2)の発明によれば、第1クレーム危険指数の決定の精度を向上させることが可能となる。
【0091】
(3)予測した前記第2クレーム危険指数に対する訂正を受け付ける訂正受付部(例えば、訂正受付モジュール)と、
を更に備え、
前記学習部は、取得した前記第2メールと、訂正後の前記第2クレーム危険指数とを関連付けて再学習する、
(1)に記載のクレーム発生予測システム。
【0092】
(3)の発明によれば、実際に則した第2クレーム危険指数を用いることにより、予測の精度を向上させることが可能となる。
【0093】
(4)前記第2クレーム危険指数の高い順又は低い順に、前記第2メールを並び替えて出力する第1出力部(例えば、並び替え結果出力モジュール)と、
を更に備える(1)に記載のクレーム発生予測システム。
【0094】
(4)の発明によれば、第2メールの第2クレーム危険指数を把握することが容易となる。
【0095】
(5)前記第2クレーム危険指数をランキング形式により、前記第2メールを並び替えて出力する第2出力部(例えば、並び替え結果出力モジュール)と、
を更に備える(1)に記載のクレーム発生予測システム。
【0096】
(5)の発明によれば、第2メールの第2クレーム危険指数を把握することが容易となる。
【0097】
(6)前記通知部は、予測した前記第2クレーム危険指数が、更に第2条件(例えば、第2クレーム危険指数が2,000以上)を満たす場合、注目度を変更した前記アラートを通知する、
(1)に記載のクレーム発生予測システム。
【0098】
(6)の発明によれば、よりクレームの危険度が高い場合、そのことを把握することが容易となる。
【0099】
(7)前記通知部は、予め設定された通知先に、前記アラートを通知する、
(1)に記載のクレーム発生予測システム。
【0100】
(7)の発明によれば、アラートを適切な通知先に通知することが可能となる。
【0101】
(8)前記通知先の変更を受け付ける変更受付部(例えば、変更受付モジュール)と、
を更に備え、
前記通知部は、変更後の前記通知先に、前記アラートを通知する、
(7)に記載のクレーム発生予測システム。
【0102】
(8)の発明によれば、アラートをより適切な通知先に通知することが可能となる。
【0103】
(9)クレームの発生を予測するコンピュータが実行するクレーム発生予測方法であって、
取引先から受信した複数の第1メールを取得するステップ(例えば、ステップS10)と、
取得した前記複数の第1メールの各々に対して、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第1クレーム危険指数を決定するステップ(例えば、ステップS12)と、
取得した前記複数の第1メールの各々と、各々に決定した前記第1クレーム危険指数とを関連付けて学習するステップ(例えば、ステップS13)と、
学習結果に基づいて、学習済モデルを生成するステップ(例えば、ステップS14)と、
前記取引先から新たに受信した第2メールを取得するステップ(例えば、ステップS40)と、
生成した前記学習済モデルに基づいて、取得した前記第2メールに対して、将来、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第2クレーム危険指数を予測するステップ(例えば、ステップS42)と、
予測した前記第2クレーム危険指数が、第1条件を満たす場合、取得した前記第2メールと、前記第2クレーム危険指数とを関連付けたアラートを通知するステップ(例えば、ステップS45)と、
を備えるクレーム発生予測方法。
【0104】
(10)クレームの発生を予測するコンピュータに、
取引先から受信した複数の第1メールを取得するステップ(例えば、ステップS10)、
取得した前記複数の第1メールの各々に対して、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第1クレーム危険指数を決定するステップ(例えば、ステップS12)、
取得した前記複数の第1メールの各々と、各々に決定した前記第1クレーム危険指数とを関連付けて学習するステップ(例えば、ステップS13)、
学習結果に基づいて、学習済モデルを生成するステップ(例えば、ステップS14)、
前記取引先から新たに受信した第2メールを取得するステップ(例えば、ステップS40)、
生成した前記学習済モデルに基づいて、取得した前記第2メールに対して、将来、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第2クレーム危険指数を予測するステップ(例えば、ステップS42)、
予測した前記第2クレーム危険指数が、第1条件を満たす場合、取得した前記第2メールと、前記第2クレーム危険指数とを関連付けたアラートを通知するステップ(例えば、ステップS45)、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【符号の説明】
【0105】
1 クレーム発生予測システム
9 ネットワーク
10 コンピュータ
20 メールサーバ
30 ユーザ端末
40 第1アラート
41 メッセージ
42 メール表示欄
43 確認アイコン
50 第2アラート
51 メッセージ
52 メール表示欄
53 確認アイコン
54 重要アイコン
60 管理画面
61 アイコン
70 メール画面
【要約】
【課題】取引先の不満やクレーム対応を改善し、売上やリピート率の向上を可能にする。
【解決手段】クレームの発生を予測するクレーム発生予測システムは、取引先から受信した複数の第1メールを取得し、取得した前記複数の第1メールの各々に対して、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第1クレーム危険指数を決定し、取得した前記複数の第1メールの各々と、各々に決定した前記第1クレーム危険指数とを関連付けて学習し、学習結果に基づいて、学習済モデルを生成し、前記取引先から新たに受信した第2メールを取得し、生成した前記学習済モデルに基づいて、取得した前記第2メールに対して、将来、前記取引先から受けるクレームの危険度を示す第2クレーム危険指数を予測し、予測した前記第2クレーム危険指数が、第1条件を満たす場合、取得した前記第2メールと、前記第2クレーム危険指数とを関連付けたアラートを通知する。
【選択図】
図1