(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E05B 63/24 20060101AFI20220719BHJP
E05B 15/02 20060101ALI20220719BHJP
E05B 65/06 20060101ALI20220719BHJP
E05B 63/14 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
E05B63/24
E05B15/02 B
E05B65/06 C
E05B63/14 B
(21)【出願番号】P 2018133747
(22)【出願日】2018-07-13
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100156018
【氏名又は名称】若田 充史
(74)【代理人】
【識別番号】100081569
【氏名又は名称】若田 勝一
(72)【発明者】
【氏名】三橋 隆史
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-180027(JP,A)
【文献】特開昭58-080072(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0275922(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 63/24
E05B 15/02
E05B 65/06
E05B 63/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられる枠体と、
前記枠体に対して開閉可能に取り付けられる戸体と、を備える建具であって、
前記戸体が閉じた状態において戸体をロックする複数のロック機構部と、
戸体が閉じた状態で戸体をラッチするラッチ機構部と、
前記複数のロック機構部の間に設けられ、複数のロック機構部の各デッドボルトを動かす力を伝達する伝達機構とを備え、
前記ロック機構部は、デッドボルト及び前記デッドボルトを挿入するデッドストライクを有し、
前記ラッチ機構部は、ラッチボルト及び前記ラッチボルトを挿入するラッチストライクを有し、
前記ラッチストライクは、前記ラッチボルト保持用の受け部材
と、前記受け部材による前記ラッチボルトの係止が可能な位置へ前記受け部材を付勢するスプリングと、を有し、
前記受け部材は、前記ラッチボルトから受ける力によって
回動可能に前記ラッチストライクに取付けられ、
前記受け部材が前記ラッチボルトを係止した状態から、前記戸体に当該戸体を開く方向の力が作用すると、前記スプリングの力に抗して前記受け部材が回動し、前記受け部材による前記ラッチボルトの係止が解除される、建具。
【請求項2】
前記ロック機構部の前記デッドボルトと前記ラッチ機構部の前記ラッチボルトを動かす力を伝達させるための伝達機構を更に備え、
前記ラッチボルト及び前記デッドボルトを操作するための共通の操作部を備えた、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記操作部は、鍵又はサムターンが操作されることにより動作するサムターン機構に設けられ、
前記操作部は、そのサムターン機構が操作されるための位置として、第1の操作位置、第2の操作位置及び第3の操作位置を有し、
前記第1の操作位置は、前記ラッチ機構部の前記ラッチボルトが前記ラッチストライクに係止状態で、かつ前記ロック機構部の前記デッドボルトが前記デッドストライクに係止状態となる位置であり、
前記第2の操作位置は前記ラッチ機構部の前記ラッチボルトが前記ラッチストライクに係止状態で、かつ前記ロック機構部の前記デッドボルトが前記デッドストライクに非係止状態となる位置であり、
前記第3の操作位置は前記ラッチ機構部の前記ラッチボルトが前記ラッチストライクに非係止状態で、かつ前記ロック機構部の前記デッドボルトが前記デッドストライクに非係止状態となる位置である、請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記ロック機構部の前記デッドストライクと、前記ラッチ機構部の前記ラッチストライクとが前記戸体の戸先側に設けられ、
前記ロック機構部の前記デッドボルトを収容するためのデッド錠ケースと、前記ラッチ機構部の前記ラッチボルトを収容するラッチ錠ケースとが前記枠体の縦枠に設けられる、請求項1から請求項3のいずれかに記載の建具。
【請求項5】
前記建具は、前記枠体に固定された袖を更に備え、
前記ロック機構部の前記デッドストライクと、前記ラッチ機構部の前記ラッチストライクとが前記戸体の戸先側に設けられ、
前記ロック機構部の前記デッドボルトを収容するためのデッド錠ケースと、前記ラッチ機構部の前記ラッチボルトを収容するラッチ錠ケースとが前記袖に設けられる、請求項1から請求項3のいずれかに記載の建具。
【請求項6】
前記操作部に代えて、又は前記操作部に加えて、前記伝達機構を動かす電動モータを備えた、請求項2から5までのいずれかに記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部に設置されるドア等の建具に係わり、特に戸体を枠体に固定するロック機構部およびラッチ機構部を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の建具として、特許文献1に記載のように、錠からなるロック機構部と、ラッチ機構部とを備え、戸体にラッチを収容するラッチ錠ケースと、そのラッチ錠ケースに取付けるハンドルを有するドアがある。このドアにおいては、ハンドルが操作されることによって、ラッチ機構部の係止が解除される。しかしこの特許文献1に記載のドアでは、操作のためのハンドルとラッチボルトとが連動してラッチが解除される構成であるため、ハンドルとラッチ錠ケースを近くに配置しなければならないというレイアウト上の制約が生じていた。
【0003】
そこで特許文献2に記載のドアでは、ハンドルとは別にラッチ解除のため操作レバーを設けた。この特許文献2に記載のドアが施錠状態から開かれる際には、ロック機構部のロック解錠された後、ラッチ解除のため操作レバーが操作されてラッチが解除され、ドアが開くことができる状態になる。これによりラッチ機構部とドアのハンドルは近くに配置しなくてはならないという制約が生じず、デザインの自由度が向上した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-328619号公報
【文献】特開2017-180027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の特許文献2に記載のドアは、操作レバーがデザイン上のノイズとなることを防止して、ノイズレスデザインとするために、外部から見えないようにするカバーを設けなくてはならなかった。また、ドア(戸体)を施錠状態から開ける場合には、ロック(施錠)解除操作と、操作レバーによるラッチ解除操作と、ドアを押す又は引く操作という3段階の操作が必要であり、施錠状態からドアを開くまでの操作回数が多かった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、ハンドルの位置の制約がなくノイズレスデザインの実現が容易であり、戸体を開くための操作数が少ない建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の建具は、建物の開口部に設けられる枠体と、前記枠体に対して開閉可能に取り付けられる戸体と、を備える建具であって、前記戸体が閉じた状態において戸体をロックする複数のロック機構部と、戸体が閉じた状態で戸体をラッチするラッチ機構部と、前記複数のロック機構部の間に設けられ、複数のロック機構部の各デッドボルトを動かす力を伝達する伝達機構とを備え、前記ロック機構部は、デッドボルト及び前記デッドボルトを挿入するデッドストライクを有し、前記ラッチ機構部は、ラッチボルト及び前記ラッチボルトを挿入するラッチストライクを有し、前記ラッチストライクは、前記ラッチボルト保持用の受け部材と、前記受け部材による前記ラッチボルトの係止が可能な位置へ前記受け部材を付勢するスプリングと、を有し、前記受け部材は、前記ラッチボルトから受ける力によって回動可能に前記ラッチストライクに取り付けられ、前記受け部材が前記ラッチボルトを係止した状態から戸体に当該戸体を開く方向の力が作用すると、前記スプリング前記スプリングの力に抗して前記受け部材が回動し、前記受け部材による前記ラッチボルトの係止が解除されるものである。本発明において、戸体をラッチするとは、ラッチ機構部において、ラッチボルトがラッチストライクに係止されることを意味する。戸体をロックするとは、ロック機構部において、デッドボルトがデッドストライクに係止されることによって建具が施錠されることを意味する。なお、建具においては、枠体に固定された袖を設けてもよい。
【0008】
このように、本発明の建具は、ラッチストライクは、ラッチボルト保持用の受け部材を有し、受け部材は、ラッチボルトから受ける力によって回動可能にラッチストライクに取り付けられると共にスプリングよって付勢され、戸体に当該戸体を開く方向の力が作用すると、ラッチボルトを介して受け部材が力を受けて、スプリングの力に抗して受け部材が回動し、受け部材によるラッチボルトの係止が解除されるものである。このため、戸体のロック状態から戸体を開く際には、ロック解除を行なう操作と、戸体を押す又は引く操作という2段階操作で済み、開き操作が簡単となる。また、ラッチ解除のためのハンドル及び操作レバー等が不要となるので、戸体のデザインの自由度が上がり、ノイズレスデザインの実現が容易となる。また、人が手によって持つハンドル等の部品又は部分を戸体に設ける場合であっても、ラッチ錠ケース位置によって制約されずに配置できるため、様々な位置及び形状の部品又は部分を設けることが可能となり、戸体のデザインの自由度を向上させることができる。
【0009】
上述した本発明において、前記ロック機構部の前記デッドボルトと前記ラッチ機構部の前記ラッチボルトを動かす力を伝達させるための伝達機構を更に備え、前記ラッチボルト及び前記デッドボルトを操作するための共通の操作部を備えることが好ましい。この態様によれば、1つの操作力でデッドボルト及びラッチボルトを操作することができ、操作が容易となる。
【0010】
上述した本発明において、前記操作部は、鍵又はサムターンが操作されることにより動作するサムターン機構に設けられ、前記操作部は、そのサムターン機構が操作されるための位置として、第1の操作位置、第2の操作位置及び第3の操作位置を有し、前記第1の操作位置は、前記ラッチ機構部の前記ラッチボルトが前記ラッチストライクに係止状態で、かつ前記ロック機構部の前記デッドボルトが前記デッドストライクに係止状態となる位置であり、前記第2の操作位置は前記ラッチ機構部の前記ラッチボルトが前記ラッチストライクに係止状態で、かつ前記ロック機構部の前記デッドボルトが前記デッドストライクに非係止状態となる位置であり、前記第3の操作位置は前記ラッチ機構部の前記ラッチボルトが前記ラッチストライクに非係止状態で、かつ前記ロック機構部の前記デッドボルトが前記デッドストライクに非係止状態となる位置であることが好ましい。この態様によれば、サムターンの操作位置として、第3の操作位置を設けたことによって、前記受け部材が不具合によって変位しなくなった場合であっても、ラッチボルトがラッチストライクに非係止となることができるため、係止を解除することができ、建具が開けられる状態にすることができる。
【0011】
上述した本発明において、前記ロック機構部の前記デッドストライクと、前記ラッチ機構部の前記ラッチストライクとが前記戸体の戸先側に設けられ、前記ロック機構部の前記デッドボルトを収容するためのデッド錠ケースと、前記ラッチ機構部の前記ラッチボルトを収容するラッチ錠ケースとが前記枠体の縦枠に設けられることが好ましい。この態様によれば、係止及び非係止状態を切り替える動作のために電動モータを使用する場合に、戸体に電気配線が不要となるため、部品点数が抑えられ、製造コストを抑えることができる。また、電動モータを使用する場合であっても、戸体には電動モータを設けないため、電動モータを備える建具と電動モータを備えない建具との間で、戸体のパーツの共用が可能となり、製造コストを抑えることが可能になる。
【0012】
上述した本発明において、前記建具は、前記枠体に固定された袖を更に備え、前記ロック機構部の前記デッドストライクと、前記ラッチ機構部の前記ラッチストライクとが前記戸体の戸先側に設けられ、前記ロック機構部の前記デッドボルトを収容するためのデッド錠ケースと、前記ラッチ機構部の前記ラッチボルトを収容するラッチ錠ケースとが前記袖に設けられることが好ましい。この態様によれば、ロック状態と非ロック状態を切り替える動作のために電動モータを使用する場合に、戸体に電気配線を設けることが不要となるため、部品点数が抑えられ、製造コストを抑えることができる。また、電動モータを使用する場合であっても、戸体には電動モータを設けないため、電動モータを備える建具と電動モータを備えない建具の間で戸体のパーツの共用が可能となり、製造コストを抑えることが可能になる。更に建具をバージョンアップやグレードアップする場合に、枠を交換せずに、袖及び戸体だけを交換することが可能になるため、それらの導入コストを抑えることが可能になる。
【0013】
上述した本発明において、前記操作部に代えて、又は前記操作部に加えて、前記伝達機構を動かす電動モータを備えることが好ましい。この態様によれば、1箇所のモータで複数のロック機構を動かすことができ、部品点数を省略することができるとともに、複数の電動モータを用いるよりも配線を簡素化し、製造時の工数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態の建具を室外側から見た正面図である。
【
図2】本実施形態のロック機構部及びラッチ機構部を示す正面図である。
【
図3】(A)は本実施形態のデッドボルト及びラッチボルトの取り付け構造を示す正面図、(B)は(A)の左側面図である。
【
図4】(A)は本実施形態のデッドストライク及びラッチストライクの取り付け構造を示す正面図、(B)は(A)の右側面図である。
【
図5】本実施形態のラッチ機構部を示す正面図である。
【
図6】本実施形態における上下のロック機構部及びラッチ機構部の伝達機構を示す図である。
【
図7】(A)は本実施形態の上ロック機構部を示す正面図、(B)は(A)の左側面図である。
【
図8】本実施形態の上ロック機構部を拡大して示す側面図である。
【
図9】(A)は本実施形態の上ロック機構部のロッド錠ケースを示す正面図、(B)は上ロック機構部のデッドボルトを示す正面図、(C)は上ロック機構部のデッドボルトに接続される第2の伝達部材の上部を示す正面図、(D)は上ロック機構部のデッドボルトと第2の伝達部材とを接続するピンを示す正面図、(E)はそのピンの側面図である。
【
図10】(A)は本実施形態の下ロック機構部を示す正面図、(B)は(A)の左側面図である。
【
図11】本実施形態のラッチストライクをラッチボルト係止状態で示す横断面図である。
【
図12】(A)は本実施形態のラッチストライクとラッチボルトとの係止構造を示す横断面図、(B)はこの係止構造において、戸体を閉じる際におけるラッチストライクとラッチボルトとの動きを示す横断面図、(C)及び(D)はこの係止構造において、戸体を開く際におけるラッチストライクとラッチボルトとの動きを示す横断面図である。
【
図13】本実施形態のシリンダユニットのセンター軸操作用の鍵孔の操作位置を示す図である。
【
図14】本実施形態において、デッドボルトとラッチボルトの係止状態を示すもので、(A)はラッチ機構部のラッチボルトが係止状態でありかつロック機構部が係止状態となる第1の位置であり、(B)はラッチ機構部のラッチボルトが係止状態であり、かつロック機構部のデッドボルトが非係止状態となる第2の位置であり、(C)はラッチ機構部のラッチボルト及びロック機構部のデッドボルトが共に非係止状態となる第3の位置である。
【
図15】本発明の建具の第2の実施形態を示す正面図である。
【
図16】(A)は本発明の建具の第3の実施形態を示す構成図、(B)は(A)の一部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
図1は本発明の建具の第1の実施形態を示す。本実施形態の建具1は、一般住宅やビル等の建物の開口部に設置されるドアについて示す。すなわち、枠体2にドア本体である戸体3が開閉可能に取り付けられる。枠体2は、吊元側縦枠2aと戸先側縦枠2bと、これらの縦枠2a、2bの間に不図示のねじ等により固定して設けられた上枠2cと下枠2dとからなる。枠体2の戸先側縦枠2b側には、縦枠2b、上枠2c及び下枠2dに固定して袖4が、不図示のねじ等により固定して設けられる。
【0016】
戸体3は、吊元側縦枠2a側に蝶番5あるいは枢着軸を中心として回動可能に、すなわち枠体2と袖4とで囲まれた領域を開閉するように開閉可能に取付けられる。本実施形態においては、戸体3は、室外側に開放される外開き式のものについて説明するが、本発明は室内側に開く内開き式のものにも適用可能なものである。
【0017】
枠体2を構成する縦枠2a、縦枠2b、上枠2c及び下枠2dには、例えば金属合金製の押出形材や鋼板の折曲げ成形材等を用いることができる。また、戸体3には、左右の縦芯材3a及び3bと上下の横芯材3c及び3dとを備え、これらの芯材3a~3dの室内側、室外側に表面材3eを固定し、芯材3a~3d及び室内側、室外側表面材3eに囲まれた領域内に断熱材3fを設けたものを用いることができる。また、戸体3を構成する芯材3a~3dには、金属製あるいは樹脂製の押出形材や折曲げ成形材等を用いることができる。袖4にも戸体3と同様の材料でなる縦芯材4a及び4bと横芯材4c及び4dで組み、表裏面に表面材4eを設けた領域内に、断熱材4fを組み込んだものなどで構成することができる。しかしながら、本発明においては、枠体2、戸体3及び袖4は上述の材料、構造のものに限定されない。
【0018】
図1に示すように、戸体3の戸先側を袖4、すなわち枠体2側に固定するため、上下に間隔を有して2箇所にロック機構部6及び7を設けている。また、上下のロック機構部6と7の間に、ラッチ機構部8を設けている。
図2に示すように、上側のロック機構部6は、袖4に取り付けたデッドボルト10と、戸体3側に取り付けたデッドストライク11とを備える。デッドストライク11は開口部11a(
図4(A)参照)を有する箱状をなし、デッドボルト10が開口部11aに挿入、離脱されることにより、ロック(施錠)とロック解除(解錠)がなされるものである。
【0019】
下側のロック機構部7も同様に、袖4に取り付けたデッドボルト20と、戸体3側に取り付けたデッドストライク21とを備える。デッドストライク21は片面に開口部21a(
図4(A)参照)を有する箱状をなし、デッドボルト20が開口部21aに挿入、離脱されることにより、ロック(施錠)とロック解除(解錠)がなされるものである。
【0020】
ラッチ機構部8は、袖4に取り付けたラッチボルト30と、戸体3側に取り付けたラッチストライク31とを備える。このラッチストライク31の構造については、
図12を参照して後述する。
【0021】
図3(A)及び(B)に示すように、デッドボルト10及び20はそれぞれデッド錠ケース12及び22に収容される。また、ラッチボルト30は、ラッチ錠ケース32に収容される。デッド錠ケース12及び22は、デッド錠ケース12及び22並びにラッチ錠ケース32に共通の取付板40に、ねじ等の固定具41により固定される。共通の取付板40は、袖4を構成する芯材4aに、ねじ等の固定具42により固定される。
【0022】
図4(A)及び(B)に示すように、デッドストライク11及び21並びにラッチストライク31は、これらに共通の取付板44と共に、ねじ等の固定具45により、戸体3の袖4側芯材3bに固定される。
【0023】
図5に示すように、ラッチ錠ケース32には、シリンダユニット50のシリンダ本体51が不図示のねじ等により固定される。シリンダ本体51の中心部には、鍵53(
図3(B)参照)を挿入可能な鍵孔51aを有し、鍵53により回転可能なセンター軸54が収容されている。センター軸54には、デッドボルト10及び20を同時に駆動するためのピニオン55が、センター軸54と同心に取り付けられている。
図3(B)に示すように、シリンダユニット50の室内側に、センター軸54を回動させて施錠、解錠するためのサムターン57が取り付けられる。
【0024】
図5に示すように、ラッチ錠ケース32には、ラッチボルト30が、ラッチ錠ケース32から戸体3側に向けて突没可能に収容される。ラッチ錠ケース32に設けたスプリング受け36とラッチボルト30との間に、ラッチボルト30を押し出す方向の力を加える押圧スプリング37が設けられる。
【0025】
図5に示すように、センター軸54には、ラッチボルト30を操作するためのレバー58が取り付けられている。このレバー58は、その先端部がラッチボルト30に設けた凹部30a内に位置し、鍵53やサムターン57によりセンター軸54を
図5の時計回り方向に回すことにより、ラッチボルト30を袖4内に没入させることができる。すなわち、鍵53やサムターン57の操作により、レバー58がラッチボルト30の凹部30aの
図5における右側端部に当接してラッチボルト30が押され、ラッチボルト30が押圧スプリング37のばね力に抗して袖4内に没入するように構成されている。
【0026】
図6に示すように、ピニオン55には、第1の伝達部材14及び24の各歯列14a及び24aがピニオン55の外周の歯列と噛み合うように組み合わされる。第1の伝達部材14及び24には、それぞれ連結ピン15及び25により、第2の伝達部材16及び26が連結される。これらの第1の伝達部材14及び24、並びに第2の伝達部材16及び26は、ピニオン55と共に、センター軸54を回動させる力をデッドボルト10及び20へ伝達する伝達部材であり、これらの伝達部材により伝達機構を構成する。第2の伝達部材16の上端部と第2の伝達部材26の下端部には、第2の伝達部材16及び26の力をそれぞれデッドボルト10及び20に力を伝達するピン60及び61(
図7(A)及び
図10(A)参照)を挿入する長孔16a及び26aが設けられている。
【0027】
図7(A)及び
図7(B)並びに
図8に示すように、デッド錠ケース12は、片面が開口された矩形の箱状をなすケース本体12aと、そのケース本体12aの開口面にねじ12bにより固定される蓋板12cを備える。デッドボルト10を回動可能に支持する軸17が、デッド錠ケース12の底板12dと蓋板12cとに両端を固定して取り付けられる。デッドボルト10はデッド錠ケース12および取付板40に設けた開口部62を通して突没可能である。
【0028】
図9(B)に示すように、デッドボルト10は第2の伝達部材16の力をピン60を介して受けるための溝10aを有している。
図9(D)及び(E)に示すように、ピン60は、その両端部60aの外径が中央側の部分60bの外径より小さく形成されている。ピン60の中央側の部分60bの外径は第2の伝達部材16の長孔16aの幅や、デッドボルト10の溝10aの幅よりやや小さく形成されている。また、
図8及び
図9(A)に示すように、デッド錠ケース12の底板12dと蓋板12cには、ピン60を移動可能に案内するためのガイド溝12eが設けられている。これらのガイド溝12eの幅はピン60の両端部60aの外径よりやや大きく、ピン60の中央側の部分60bより狭く形成されている。
【0029】
このため、ピン60は、その中央側の部分60bがデッドボルト10の溝10aや第2の伝達部材16の長孔16aに移動可能に嵌め込まれる。また、ピン60の両端部60aは、デッド錠ケース12の底板12d及び蓋板12cのガイド溝12eに移動可能に嵌め込まれてピン60が取り付けられる。
【0030】
図7(A)に示すように、デッド錠ケース12のケース本体12a内に設けたスプリング受け12fと、デッドボルト10に設けたスプリング受け10bとの間に、スプリング12gが取り付けられている。このスプリング12gは、デッドボルト10が袖4から突出したロック位置と、デッドボルトが袖4内に没入したロック解除位置とにおいて、デッドボルト10をそれぞれ安定して保持するものである。
【0031】
図10(A)及び(B)に示すように、下側のロック機構部7は、上側のロック機構部6と上下対象形に構成される。すなわち、デッドボルト20を収容するデッド錠ケース22は、底板22dを有する片面開口のケース本体22aと、ケース本体22aの開口面を塞ぐように、ねじ等の固定具22bにより取り付けられた蓋板22cとからなる。デッドボルト20は、デッドボルト10と上下逆向きにして、ケース本体22aに設けた軸27を中心として、回動可能に取り付けられる。
【0032】
第2の伝達部材26とデッドボルト20とは、第2の伝達部材26の下端部の長孔26aと、デッドボルト20の溝20aに挿入されたピン61により連結される。ピン61の両端の小径部は、ケース本体22aの底板22dおよび蓋板22cに設けられたガイド溝22eに移動可能に嵌めこまれる。デッドボルト20は、ケース本体22aおよび取付板40に設けた開口部63を通してケース本体22aに対して突没可能に取り付けられる。ケース本体22a内に設けたスプリング受け22fと、デッドボルト20に設けたスプリング受け20bとの間に、スプリング22gが取り付けられる。このスプリング22gは、デッドボルト20が、袖4から突出したロック位置と、袖4内に没入したロック解除位置とにおいて、デッドボルト20をそれぞれ安定して保持するものである。
【0033】
本実施形態の戸体3の操作及び動作について説明する。戸体3が閉じ、かつ施錠状態にある場合、
図3(A)、
図5及び
図6に示すように、第2の伝達部材16は最下位置、第2の伝達部材26は最上位置にある。この時、ロック機構部6及び7のデッドボルト10及び20が袖4から突出し、戸体3のデッドストライク11及び21内の納まった施錠状態にある。また、ラッチボルト30がストライク31における受け部材としてのストライク本体31cに係止されたラッチ状態にある。
【0034】
図3(A)、
図5及び
図6の状態から、鍵53またはサムターン57を矢印75方向、すなわち時計方向に回わすと、ピニオン55と第1の伝達部材14及び24の各歯列14a及び24aとの噛合により、第2の伝達部材16は矢印76に示すように上昇し、第2の伝達部材26は矢印77に示すように下降する。第2の伝達部材16はピン60によりデッドボルト10と接続しているので、第2の伝達部材16の上昇により、デッドボルト10は矢印78に示すように回動し、デッドストライク11から離脱する。同時に、第2の伝達部材26の下降により、デッドボルト20は矢印79に示すように回動し、デッドストライク21から離脱する。このため、デッドボルト10及び20によるロックが解かれ、解錠される。また、センター軸54の回動によりレバー58も矢印75の方向に回動し、ラッチボルト30を矢印80に示す方向に移動させる。これによりラッチボルト30による施錠も解かれて解錠される。
【0035】
室外側から施錠する際には、戸体3が解錠された状態から、上述と逆の操作及び動作がなされることにより、施錠がなされる。また、室内側からロック機構部6及び7の施錠及び解錠は、サムターン57を回すことによって行なうことができる。
【0036】
図11に示すように、ラッチストライク31は、ラッチボルト30側に開口部31fを設けたストライクケース31aを有する。ストライクケース31a内に、縦軸31bを中心に、ストライク本体31cが水平回動可能に取り付けられる。このストライク本体31cは、ラッチボルト30を係止状態において保持する受け部材としての役目を果たすものである。このストライク本体31cは水平断面形状が鈎状をなしており、ストライク本体31cはストライクケース31aの開口部31fから突没可能である。ストライク本体31cは、ラッチボルト30を係止する縦の平面からなる係止面31gと、係止面31gの反対側に形成された弧状面31hとを有する。ストライク本体31cは、軸31bに巻かれたスプリング31dにより、ストライク本体31cがラッチボルト30を係止可能な位置に回動する力を受ける。ストライク本体31cの係止側への回動範囲は、ストライクケース31aに設けたストッパ31eにより制限される。
【0037】
図12(A)に示すように、戸体3が閉じた状態においては、ラッチボルト30はストライク本体31cの係止面31gにラッチボルト30が当接して、ラッチボルト30が係止された状態、すなわち戸体3の開きを阻む状態にある。
【0038】
図12(B)に示すように、戸体3が開いた状態から、矢印70に示すように閉じる方向に回動する際には、ストライク本体31cがストライクケース31a内に設けられたストッパ31eに当接した状態である。そしてストライク本体31cの弧状面31hがラッチボルト30の傾斜面30bに当接し、さらに戸体3が閉じると、ラッチボルト30はスプリング37の力に抗して矢印71に示すように袖4内に没入する。その後、ストライク本体31cがラッチボルト30を超えると、
図12(A)に示すように、スプリング31dの力により、ストライク本体31cが開口部31fから突出する方向に復帰し、ストライク本体31cがラッチボルト30を係止する状態となる。
【0039】
デッドボルト10及び20がそれぞれデッドストライク11及び21から離脱した解錠状態にあって、
図12(A)に示すように、ラッチボルト30がラッチ状態にあるときに、戸体3を開く際の動作は次の通りである。
図12(A)に示すように、ストライク本体31cがラッチボルト30を係止した状態から、
図12(C)に矢印72で示すように、戸体3にこれを開く方向の力を加えると、ストライク本体31cは矢印73で示すように回動する。すなわち、ストライク本体31cは、ラッチボルト30から受ける反力により、スプリング31dの力に抗して矢印73で示すように回動する。これにより、
図12(D)に示すように、ストライク本体31cはラッチボルト30から外れ、戸体3を開くことができる。ストライク本体31cは、ラッチボルト30から外れた後、スプリング31dの力により、矢印74に示すように回動してストッパ31eに当接する原位置に復帰する。
【0040】
このように、本実施形態におけるドアは、デッドボルト10及びデッドボルト20を連動する伝達機構と、ラッチストライク本体31が変位してラッチを解除して戸体3を開くことができる構成としたため、戸体3のロック状態から戸体3を開く際には、サムターン57によるロック解除を行なう操作と、戸体を押す(又は引く)操作という2段階操作ですみ、開き操作が簡単となる。また、ロック機構部6及び7によるロックを解除する操作以外に、ラッチ解除のための操作が不要となり、ラッチ解除専用のハンドルや操作レバーが不要となるため、デザインの自由度が上がり、ドアのノイズレスデザインの実現が容易となる。また、人が手によって持つハンドル等の部品又は部分を戸体に設ける場合であっても、ラッチ錠ケース位置によって制約されずに配置できるため、様々な位置及び形状の部品又は部分を設けることが可能となり、戸体のデザインの自由度を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態においては、ロック機構部6及び7の各デッドボルト10及び20とラッチ機構部8を動かす力を伝達させるための伝達機構、すなわち第2の伝達部材16及び26、並びにピニオン55と第1の伝達部材14及び24を備えている。さらにロック機構部6及び7の施錠及び解錠とラッチ機構部8とを連動させる伝達機構、すなわちセンター軸54とラッチボルト30とを連動させるレバー58を含む伝達機構を備えている。このため、複数のデッドボルト10及び20、並びにラッチボルト30を操作するための共通の操作部を備えることとなる。このため、1つの操作力でデッドボルト10及び20並びにラッチボルト30を操作することができ、操作が容易となる。
【0042】
図14はデッドボルト10及び20とラッチボルト30による係止状態の各段階における位置関係を示す図である。
図14(A)はラッチ機構部8のラッチボルト30がラッチストライク31によって係止された状態であり、かつロック機構部6及び7のデッドボルト10及び20がそれぞれデッドストライク11及び21に係止された状態となる第1の位置である。この第1の位置は、
図13にS1で示すように、鍵孔51aの位置が反時計回り方向に最大限に回されることにより、センター軸54が反時計回りに最大限に回された時の各機構部6、7及び8の構成部材の位置である。
【0043】
図13は本実施形態のシリンダユニットのセンター軸操作用の鍵孔51aの操作位置を示す図である。この
図13に示すとおり、鍵孔の操作位置として第1の操作位置S1、第二の操作位置S2及び第3の操作位置S3が設定されている。
【0044】
図14(B)はラッチ機構部8のラッチボルト30がラッチストライク31により係止された状態であり、かつロック機構部6及び7のデッドボルト10及び20がそれぞれデッドストライク11及び21に非係止状態となる第2の位置である。これは
図13にS2で示すように、鍵孔51aが第1の位置S1に示すように、第1の位置から時計回りに操作され、センター軸54が時計回りに操作された位置である。
【0045】
図14(C)はラッチ機構部8のラッチボルト30がラッチストライク31による係止が解かれた状態であり、かつロック機構部6及び7のデッドボルト10及び20がそれぞれデッドストライク11及び21に非係止状態となる第3の位置である。これは
図13にS3で示すように、鍵孔51aの位置が時計回りに最大限に操作され、これによりセンター軸54が時計回りに最大限の操作された位置である。このような第1ないし第3の位置の変更は、鍵53又はサムターン57の操作により行なわれる。
【0046】
このように、本実施形態においては、ラッチストライク31のストライク本体31cを可動とし、ラッチ解錠のための操作をしなくてもラッチ解除が可能としながらも、サムターン57の操作位置として、
図14(C)に示すように、第3の位置、すなわちストライク本体31cの位置に係わらず、ラッチ解除が可能な位置を設けている。このため、スプリング31dの不具合等によってストライク本体31cが変位しなくなった場合であっても、ラッチを解除することができる。すなわち、ストライク本体31cがラッチボルト30に係止する位置で動かない状態になったとしても、ラッチボルト30をストライク本体31cと係合しない位置に退避させることができる。
【0047】
なお、鍵孔51aの操作位置S1,S2及びS3については、操作位置S1及び操作位置S2の間に、更に第4の操作位置を設けて、その第4の操作位置でなければ、鍵が抜けない構造としてもよい。
【0048】
<第2の実施形態>
図15は本発明の第2の実施形態を示す建具であり、ロック機構部6及び7とラッチ機構部8とを、枠体2を構成する戸先側縦枠2xに設けたものである。この実施形態においても、ロック機構部6及び7の各デッドボルト10及び20として第1の実施形態と同様の構造のものを用いることができる。また、ラッチ機構部8としてもシリンダユニット50を有する第1の実施形態と同様の構造のものを用いることができる。さらに、ピニオン55や第1の伝達部材14及び24、並びに第2の伝達部材16及び26等からなる伝達機構にも同様の構造のものを用いることができる。
【0049】
<第3の実施形態>
図16は本発明の第3の実施形態を示す建具であり、ロック機構部6x及び7xとラッチ機構部8xとを駆動ユニット82に備えた電動モータ87により駆動可能としたものである。この例においては、ロック機構部6x及び7x間、あるいはさらにこれらのロック機構部6x及び7xとラッチ機構部8xへの動力を伝達させるバー等の伝達部材86を備える。また、伝達部材86にはラック86aを備え、ラック86aに噛合するピニオン88を電動モータ87により駆動する構成を有する。
【0050】
電動モータ87からバーへの力の伝達手段は、図示のものに限らず、例えば、その電動モータ87の出力軸にピニオン88を取り付けたものや、電動モータ87の側に減速装置を有し、減速装置の出力軸にピニオン88を取り付けたものを用いることができる。さらに、電動モータ87の減速装置の出力軸に設けたピニオン(不図示)を図示のピニオン88に噛合させたもの等を用いてもよい。
【0051】
電動モータ87は配線84により接続される制御ユニット83により動作が制御される。制御ユニット83は、例えばカード読み込みにより、電動モータ87に駆動、停止を指令する信号を与えて、ロック機構部6xと7xとを、ラッチ機構部8xと共に連動させた施錠、解錠を行なうものである。
【0052】
ロック機構部6x及び7xには第1の実施形態で示したロック機構部6及び7と基本構造が同じものを用いることができる。すなわちデッドボルト10x及び20xは連動し、ラッチボルト30xも連動する。デッドストライク11x及び21xも第1の実施形態のデッドストライク11及び21と同様の構造のものを用いることができる。また、ラッチストライク31xにも
図12に示したスプリング31d等により係止側への力が加えられたストライク本体31cを用いることができる。この例では電動モータ87を含む駆動ユニット82を袖4に設けているが、
図15に示したように戸先側縦枠2xに設けてもよい。
【0053】
本発明を実施する場合、デッドボルト10(10x)及び20(20x)、並びにラッチボルト30(30x)は戸体3側に設け、デッドストライク11(11x)及び21(21x)、並びにラッチストライク31(31x)を袖4または戸先側縦枠2xに設けてもよい。
【0054】
しかしながら、上記各実施形態においては、デッドボルト10(10x)及び20(20x)、並びにラッチボルト30(30x)は戸先側縦枠2xまたは袖4側に設け、デッドストライク11(11x)及び21(21x)、並びにラッチストライク31(31x)を戸体3側に設けている。
【0055】
このように、各デッドボルト10(10x)及び20(20x)、並びにラッチボルト30(30x)を戸先側縦枠2xまたは袖4に設ければ、戸体3に電気配線を設けることが不要となる。このため、枠体2と戸体3との電気的接続を行なうための部品点数が抑えられ、製造コストを抑えることができる。即ち、戸体3はヒンジ5を介して動く部材であるため、その戸体3の内部に電気配線を施そうとすると、ヒンジ5を通電可能な部品とするか、戸体5に非接触型充電機器を備える必要があるが、本実施の形態においては、そのような部品が不要となる。また、電動モータ87を使用する場合であっても、戸体3には電動モータを設けないため、電動モータ使用の建具と非使用の建具の間で戸体のパーツの共用が可能となり、製造コストを抑えることが可能になる。
【0056】
また、各デッドボルト10(10x)及び20(20x)、並びにラッチボルト30(30x)を袖4側に設けることにより、建具をバージョンアップやグレードアップする場合に、枠体2を交換せずに、袖4及び戸体3だけを交換することが可能になるため、それらの導入コストを抑えることが可能になる。
【0057】
また、
図16に示すように、電動モータ87を、サムターン57等の操作部に代えて、または操作部に加えて備えれば、1箇所の電動モータ87で複数のロック機構を動かすことができ、部品点数を省略することができる。また、複数の電動モータを用いるよりも配線を簡素化し、製造時の工数を減らすことができる。
【0058】
以上本発明を実施形態により説明したが、本発明を実施する場合、ロック機構部を3箇所にする等の変更を行なうことができる。また、ロック機構部6及び7並びにラッチ機構部8を駆動する構造としては、リンク式、カム式等、他の動力伝達機構を用いることができる。その他、本発明の具体的実施に当たっては、上記説明に限られず、種々の変更、付加が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1:建具
2:枠体
3:戸体
4:袖
6、6x、7、7x:ロック機構部
8、8x:ラッチ機構部
10、20:デッドボルト
11、21、31:ストライク
12、22:デッド錠ケース
14、24:第1の伝達部材(伝達部材)
16、26:第2の伝達部材(伝達部材)
30:ラッチボルト
31c:ストライク本体(受け部材)
31d:スプリング
32:ラッチ錠ケース
50:シリンダユニット
53:鍵
54:センター軸
87:電動モータ