(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20220720BHJP
H01M 50/627 20210101ALI20220720BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20220720BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/627
H01M50/184 A
(21)【出願番号】P 2018142315
(22)【出願日】2018-07-30
【審査請求日】2021-02-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】柘植 昭人
【審査官】近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-101486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 50/627
H01M 50/184
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータを介して積層された複数の電極を有する電極積層体と、
前記複数の電極の積層方向から見て前記積層体を包囲し、前記積層方向に隣り合う前記電極間に形成された複数の内部空間をそれぞれ封止する封止体と、を備え、
前記封止体の前記積層方向に沿った側面には、前記複数の内部空間の各々と連通する複数の連通孔が設けられており、
前記積層方向における一方側の前記封止体の第1端部のうち、前記積層方向から見て前記一方側の最外層の前記内部空間と連通する前記連通孔である第1連通孔と重なる部分の少なくとも一部には、前記封止体の厚みを増すための第1凸部が設けられており、
前記積層方向における他方側の前記封止体の第2端部のうち、前記積層方向から見て前記他方側の最外層の前記内部空間と連通する前記連通孔である第2連通孔と重なる部分の少なくとも一部には、前記封止体の厚みを増すための第2凸部が設けられて
おり、
前記第1凸部と前記第2凸部とは、前記積層方向から見て互いに重ならないように設けられている、蓄電モジュール。
【請求項2】
セパレータを介して積層された複数の電極を有する電極積層体と、
前記複数の電極の積層方向から見て前記積層体を包囲し、前記積層方向に隣り合う前記電極間に形成された複数の内部空間をそれぞれ封止する封止体と、を備え、
前記封止体の前記積層方向に沿った側面には、前記複数の内部空間の各々と連通する複数の連通孔が設けられており、
前記積層方向における一方側の前記封止体の第1端部のうち、前記積層方向から見て前記一方側の最外層の前記内部空間と連通する前記連通孔である第1連通孔と重なる部分の少なくとも一部には、前記封止体の厚みを増すための第1凸部が設けられており、
前記積層方向における他方側の前記封止体の第2端部のうち、前記積層方向から見て前記他方側の最外層の前記内部空間と連通する前記連通孔である第2連通孔と重なる部分の少なくとも一部には、前記封止体の厚みを増すための第2凸部が設けられており、
前記第2端部のうち、前記積層方向から見て前記第1凸部と重なる部分には、前記第1凸部の形状に応じた第1凹部が設けられており、
前記第1端部のうち、前記積層方向から見て前記第2凸部と重なる部分には、前記第2凸部の形状に応じた第2凹部が設けられている、蓄電モジュール。
【請求項3】
前記封止体は、前記複数の電極の各々の周縁部に溶着された複数の第1封止部と、前記複数の第1封止部の外側に設けられ、前記積層方向に沿って前記電極積層体の全長にわたって延在し、前記複数の第1封止部の外表面に溶着された第2封止部と、を有し、
前記第2封止部は、前記積層方向の一方側に位置し、前記積層方向から見て前記第1封止部の少なくとも一部と重なる第1重複部と、前記積層方向の他方側に位置し、前記積層方向から見て前記第1封止部の少なくとも一部と重なる第2重複部と、を有し、
前記第1凸部及び前記第2凸部は、前記第2封止部に設けられており、
前記連通孔は、前記内部空間と連通するように前記第1封止部に設けられた第1連通部と、前記第1連通部と連通するように前記第2封止部に設けられた第2連通部と、を含む、請求項1又は2に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記封止体は、前記複数の電極の各々の周縁部に設けられた複数の第1封止部と、前記複数の第1封止部を外側から包囲する第2封止部と、を有し、
前記連通孔は、前記内部空間と連通するように前記第1封止部に設けられた第1連通部と、前記第1連通部と連通するように前記第2封止部に設けられた第2連通部と、を含み、
前記第1凸部及び前記第2凸部は、前記第2封止部に設けられている、請求項1
又は2に記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
前記第2封止部は、前記積層方向から見て前記第1封止部よりも外側に位置する筒部と、前記筒部の前記一方側の端部から内側に延び、前記積層方向から見て前記第1封止部の少なくとも一部と重なる第1重複部と、前記筒部の前記他方側の端部から内側に延び、前記積層方向から見て前記第1封止部の少なくとも一部と重なる第2重複部と、を有し、
前記第1凸部は、少なくとも前記第1重複部に設けられており、
前記第2凸部は、少なくとも前記第2重複部に設けられている、請求項
4に記載の蓄電モジュール。
【請求項6】
前記第1凸部及び前記第2凸部の各々は、前記第2封止部と一体的に形成されている、請求項
4又は5に記載の蓄電モジュール。
【請求項7】
前記複数の連通孔は、前記封止体における同一の側面に開口しており、
前記第1凸部と前記第2凸部とは、前記同一の側面に対向する方向から見て、前記同一の側面の中心に関して互いに点対称に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電モジュールとして、電極板の一方面に正極が形成され、他方面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えるバイポーラ電池が知られている(特許文献1参照)。バイポーラ電池は、セパレータを介して複数のバイポーラ電極を積層してなる積層体を備えている。積層体の側面には、積層方向に隣り合うバイポーラ電極間を封止する封止体が設けられており、バイポーラ電極間に形成された内部空間に電解液が収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなバイポーラ電池においては、電解液を内部空間に注液するための注液口が封止体に設けられる場合がある。ここで、積層方向における最外層の内部空間に注液するための注液口は、積層方向における封止体の端部に近い位置に設けられることになる。このような注液口と封止体の端部との間の部分は、比較的厚みが薄い部分(薄肉部)となり、他の部分と比較して耐圧強度が低い部分となる。このため、例えば異常ガスの発生等に起因してバイポーラ電池の内圧が異常に上昇した場合等において、上記薄肉部を起点として変形及び破損等が生じるおそれがある。
【0005】
本発明の一側面は、耐圧強度の向上が図られた蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る蓄電モジュールは、セパレータを介して積層された複数の電極を有する電極積層体と、複数の電極の積層方向から見て積層体を包囲し、積層方向に隣り合う電極間に形成された複数の内部空間をそれぞれ封止する封止体と、を備え、封止体の積層方向に沿った側面には、複数の内部空間の各々と連通する複数の連通孔が設けられており、積層方向における一方側の封止体の第1端部のうち、積層方向から見て一方側の最外層の内部空間と連通する連通孔である第1連通孔と重なる部分の少なくとも一部には、封止体の厚みを増すための第1凸部が設けられており、積層方向における他方側の封止体の第2端部のうち、積層方向から見て他方側の最外層の内部空間と連通する連通孔である第2連通孔と重なる部分の少なくとも一部には、封止体の厚みを増すための第2凸部が設けられている。
【0007】
上記蓄電モジュールでは、封止体のうち第1連通孔よりも積層方向における外側(一方側)の部分に第1凸部が設けられている。同様に、封止体のうち第2連通孔よりも積層方向における外側(他方側)の部分に第2凸部が設けられている。ここで、封止体の第1端部と第1連通孔との間の部分(すなわち、封止体のうち第1連通孔よりも外側の部分)は、第1凸部が設けられていない場合に特に厚みが薄くなってしまう部分(すなわち、第1端部と他の連通孔との間の部分よりも厚みが薄い部分)であり、耐圧強度が特に低くなってしまう部分である。同様に、封止体の第2端部と第2連通孔との間の部分(すなわち、封止体のうち第2連通孔よりも外側の部分)は、第2凸部が設けられていない場合に特に厚みが薄くなってしまう部分(すなわち、第2端部と他の連通孔との間の部分よりも厚みが薄い部分)であり、耐圧強度が特に低くなってしまう部分である。上記蓄電モジュールでは、このように局所的に耐圧強度が低下し易い部分に第1凸部及び第2凸部が設けられている。これにより、封止体における第1端部と第1連通孔との間の部分及び第2端部と第2連通孔との間の部分の耐圧強度を向上させることができ、ひいては蓄電モジュールの耐圧強度の向上を図ることができる。
【0008】
封止体は、複数の電極の各々の周縁部に設けられた複数の第1封止部と、複数の第1封止部を外側から包囲する第2封止部と、を有し、連通孔は、内部空間と連通するように第1封止部に設けられた第1連通部と、第1連通部と連通するように第2封止部に設けられた第2連通部と、を含み、第1凸部及び第2凸部は、第2封止部に設けられていてもよい。この場合、第2封止部に設けられた第1凸部及び第2凸部によって、第2封止部のうち局所的に耐圧強度が低下し易い部分の耐圧強度を向上させることができる。
【0009】
第2封止部は、積層方向から見て第1封止部よりも外側に位置する筒部と、筒部の一方側の端部から内側に延び、積層方向から見て第1封止部の少なくとも一部と重なる第1重複部と、筒部の他方側の端部から内側に延び、積層方向から見て第1封止部の少なくとも一部と重なる第2重複部と、を有し、第1凸部は、少なくとも第1重複部に設けられており、第2凸部は、少なくとも第2重複部に設けられていてもよい。第1重複部及び第2重複部は、電極積層体を積層方向に挟み込む部分であり、電極積層体の内圧上昇時に特に荷重がかかる部分である。上記構成によれば、このように異常発生時に荷重がかかり易い(すなわち一定以上の耐圧強度が求められる)第1重複部及び第2重複部の耐圧強度の向上を図ることができる。その結果、蓄電モジュールの耐圧強度をより効果的に向上させることができる。
【0010】
第1凸部及び第2凸部の各々は、第2封止部と一体的に形成されていてもよい。この場合、第1凸部又は第2凸部を第2封止部とは別部材で構成した場合よりも、耐圧強度を適切に向上させることができる。
【0011】
第1凸部と第2凸部とは、積層方向から見て互いに重ならないように設けられていてもよい。この場合、蓄電モジュールの積層方向における厚みの増大を抑制することができる。その結果、複数の蓄電モジュールを積層してなる蓄電装置の大型化を抑制することができる。
【0012】
第2端部のうち、積層方向から見て第1凸部と重なる部分には、第1凸部の形状に応じた第1凹部が設けられており、第1端部のうち、積層方向から見て第2凸部と重なる部分には、第2凸部の形状に応じた第2凹部が設けられていてもよい。この場合、複数の蓄電モジュールを積層方向に積層した場合に、第1の蓄電モジュールの第1凸部を、第1の蓄電モジュールよりも積層方向における一方側に配置された第2の蓄電モジュールの第1凹部に入り込ませることができる。併せて、第2の蓄電モジュールの第2凸部を、第1の蓄電モジュールの第2凹部に入り込ませることができる。これにより、第1凹部及び第2凹部が設けられない場合と比較して、積層された複数の蓄電モジュールの全体の厚みを薄くすることができる。その結果、蓄電装置の大型化を効果的に抑制することができる。
【0013】
複数の連通孔は、封止体における同一の側面に開口しており、第1凸部と第2凸部とは、上記同一の側面に対向する方向から見て、上記同一の側面の中心に関して互いに点対称に配置されていてもよい。この場合、第1凸部又は第2凸部が設けられることで封止体の他の部分よりも厚くされた部分がバランス良く配置されるため、蓄電モジュールの構造の安定化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、耐圧性の向上が図られた蓄電モジュールが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態に係る蓄電モジュールを備えた蓄電装置を示す概略断面図である。
【
図5】
図4におけるVa-Va線及びVb-Vb線に沿った断面図である。
【
図6】2つの蓄電モジュールを積層した構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電モジュールを備えた蓄電装置を示す概略断面図である。
図1において、蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両のバッテリとして使用される。蓄電装置1は、複数(ここでは3つ)のバイポーラ電池2(蓄電モジュール)を備えている。バイポーラ電池2は、例えばニッケル水素二次電池である。
【0018】
複数のバイポーラ電池2は、金属製の導電板3を介して積層されている。導電板3は、積層方向(Z軸方向)の両端に位置するバイポーラ電池2の外側にも配置されている。バイポーラ電池2及び導電板3は、例えば積層方向から見て矩形状(平面視矩形状)を呈している。導電板3は、隣り合うバイポーラ電池2と電気的に接続されている。これにより、複数のバイポーラ電池2が積層方向に直列接続されている。
【0019】
積層方向の一端(ここでは下端)に位置する導電板3には、正極端子4が接続されている。積層方向の他端(ここでは上端)に位置する導電板3には、負極端子5が接続されている。正極端子4及び負極端子5は、積層方向に垂直な方向(X軸方向)に延在している。このような正極端子4及び負極端子5を設けることにより、蓄電装置1の充放電を実施することができる。
【0020】
導電板3は、バイポーラ電池2において発生した熱を放出するための放熱板としても機能し得る。導電板3には、積層方向と正極端子4及び負極端子5の延在方向とに垂直な方向(Y軸方向)に延在した複数の空隙3aが設けられている。これらの空隙3aを空気等の冷媒が通過することにより、バイポーラ電池2からの熱を効率的に外部に放出することができる。
【0021】
また、蓄電装置1は、バイポーラ電池2及び導電板3を積層方向に拘束する拘束ユニット6を備えている。拘束ユニット6は、バイポーラ電池2及び導電板3を積層方向に挟む1対の拘束プレート7と、これらの拘束プレート7同士を締結する複数組のボルト8及びナット9とを有している。
【0022】
拘束プレート7は、鉄等の金属で形成されている。各拘束プレート7と導電板3との間には、樹脂フィルム等の絶縁フィルム10がそれぞれ配置されている。拘束プレート7及び絶縁フィルム10は、例えば平面視矩形状を呈している。ボルト8の軸部8aが各拘束プレート7に設けられた挿通孔7aを挿通した状態で、軸部8aの先端部にナット9が螺合することで、バイポーラ電池2、導電板3及び絶縁フィルム10に積層方向の拘束荷重が付与される。
【0023】
図2は、バイポーラ電池2の概略断面図である。
図3は、バイポーラ電池2の概略斜視図である。
図2及び
図3において、バイポーラ電池2は、複数のセル(例えば24セル)が積層された構造(複数セル構造)を有している。バイポーラ電池2は、モジュール本体11を備えている。モジュール本体11の一側面(側面23b)には、複数(ここでは24)の内部空間Vの各々と連通する複数の連通孔16a(
図4参照)が開口している。なお、
図3においては、複数の連通孔16aの図示は省略されている。
【0024】
モジュール本体11は、電極積層体15と、封止体16と、を備えている。電極積層体15は、セパレータ14を介して積層された複数の電極(バイポーラ電極13、正極終端電極20、及び負極終端電極21)を有している。封止体16は、複数の電極の積層方向(Z方向)から見て電極積層体15を包囲するように設けられ、積層方向に隣り合う電極間に形成された複数の内部空間Vをそれぞれ封止している。
【0025】
バイポーラ電極13及びセパレータ14は、例えば平面視矩形状を呈している。セパレータ14は、積層方向に隣り合うバイポーラ電極13の間に配置されている。バイポーラ電極13は、集電体である電極板17と、この電極板17の上面17a(一方面)に形成された正極18と、電極板17の下面17b(他方面)に形成された負極19とを有している。
【0026】
バイポーラ電極13の正極18は、セパレータ14を挟んで積層方向に隣り合う一方のバイポーラ電極13の負極19と対向している。バイポーラ電極13の負極19は、セパレータ14を挟んで積層方向に隣り合う他方のバイポーラ電極13の正極18と対向している。
【0027】
電極積層体15の最下層には、正極終端電極20が配置されている。正極終端電極20は、電極板17と、この電極板17の上面17aに形成された正極18と、を有している。電極積層体15の最上層には、負極終端電極21が配置されている。負極終端電極21は、電極板17と、この電極板17の下面17bに形成された負極19と、を有している。正極終端電極20の正極18は、セパレータ14を挟んで最下層のバイポーラ電極13の負極19と対向している。負極終端電極21の負極19は、セパレータ14を挟んで最上層のバイポーラ電極13の正極18と対向している。正極終端電極20及び負極終端電極21の電極板17は、積層方向に隣り合う導電板3(
図1参照)に接続されている。
【0028】
電極板17は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板17は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。正極18は、電極板17の一方面に正極活物質を塗工することにより形成されている。正極活物質としては、例えばコバルト(Co)酸化物コートが施された水酸化ニッケルが用いられる。負極19は、電極板17の他方面に負極活物質を塗工することにより形成されている。負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が用いられる。電極板17の周縁部17cは、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。
【0029】
セパレータ14は、正極18と負極19との間に配置され、正極18と負極19とを隔離する。セパレータ14は、積層方向から見て電極板17よりも小さく且つ正極18及び負極19よりも大きい。セパレータ14は、例えばシート状に形成されている。セパレータ14は、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、もしくはPE、PP、またはメチルセルロース等からなる不織布または織布等で形成されている。また、セパレータ14は、フッ化ビニリデン樹脂化合物等で補強されていてもよい。なお、セパレータ14の形状としては、特にシート状に限られず、袋状であってもよい。
【0030】
封止体16は、電極積層体15の側面において各電極板17の周縁部17cを保持している。封止体16は、複数の電極(電極板17)の各々の周縁部17cに設けられた複数の第1封止部22と、複数の第1封止部22を外側から包囲する第2封止部23と、を有している。
【0031】
第1封止部22は、積層方向から見て、矩形環状をなし、電極板17の周縁部15cの全周にわたって連続的に設けられている。第1封止部22は、例えば、電極板17の一方面に溶着されて気密に接合されている。第1封止部22は、例えば超音波又は熱によって溶着されている。第1封止部22は、所定の厚さ(積層方向における長さ)を有するフィルムである。第1封止部22の内側の一部は、積層方向に互いに隣り合う電極板17の周縁部17c同士の間に位置しており、外側の一部は、電極板17の端部よりも外側に張り出している。複数の第1封止部22の各々の当該外側の一部の端部同士は、溶着されている。例えば、複数の第1封止部22の各々の当該外側の一部の端部に熱板を当てることにより、これらの端部の位置が揃うようにして各端部同士が固定されている。ただし、複数の第1封止部22の各々の当該外側の一部の端部同士は、溶着等によって互いに固定されていなくてもよい。この場合、複数の第1封止部22の各々の当該外側の一部の端部同士の間に形成された隙間に、第2封止部23が入り込んでいてもよい。なお、
図2に示されるように、第1封止部22は、正極終端電極20の電極板17の下面17bの縁部にも設けられている。
【0032】
積層方向に隣り合う電極板17間には、電極板17、正極18、負極19及び第1封止部22によって画成された内部空間Vが設けられている。従って、電極積層体15には、複数の内部空間Vが設けられている。セパレータ14内を含む内部空間Vには、アルカリ性の電解液が注入されている。アルカリ性の電解液としては、例えば水酸化カリウム水溶液等を含むアルカリ溶液が用いられている。第1封止部22は、内部空間Vを封止する。バイポーラ電池2の各セルは、2つの電極板17、正極18、負極19、セパレータ14及び第1封止部22により構成され、内部空間Vを有している。
【0033】
第2封止部23は、電極積層体15及び第1封止部22の外側に設けられ、バイポーラ電池2の外壁(筐体)を構成している。第2封止部23は、例えば樹脂の射出成型によって形成されている。第2封止部23は、積層方向に沿って電極積層体15の全長にわたって延在している。すなわち、第2封止部23は、積層方向を軸方向として延在する筒状(環状)を呈している。第2封止部23は、例えば、射出成型時の熱によって第1封止部22の外表面に溶着(接合)されている。
【0034】
第1封止部22及び第2封止部23は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)または変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等の樹脂で形成されている。
【0035】
図4は、バイポーラ電池2の側面(第2封止部23の側面23b)を示す図である。
図5の(A)は、
図4におけるVa-Va線に沿った断面を示しており、
図5の(B)は、
図4におけるVb-Vb線に沿った断面を示している。なお、
図5においては、複数のフィルム状の第1封止部22同士が互いに重なる領域を1つの領域として模式的に示している。
図4及び
図5に示されるように、側面23bには、複数(ここでは24)の内部空間Vの各々と連通する複数の連通孔16aが開口している。
図5に示されるように、各連通孔16aは、内部空間Vと連通するように第1封止部22に設けられた第1連通部22aと、第1連通部22aと連通するように第2封止部23に設けられた第2連通部23aと、を含む。
【0036】
図4及び
図5において、「連通孔16aX(X=1~24)」は、第X層の内部空間Vと連通する連通孔16aである。ここで、Xは、負極終端電極21側から正極終端電極20側に向かって順に大きくなる。すなわち、最も負極終端電極21側(本実施形態では上側)の内部空間Vが第1層の内部空間Vであり、最も正極終端電極20側(本実施形態では下側)の内部空間Vが第24層の内部空間Vである。各連通孔16aX(X=1~24)は、Xの数が小さいものから順に、積層方向(Z方向)において、負極終端電極21側(上側)から正極終端電極20側(下側)へと配列されている。つまり、連通孔16a1(第1連通孔)は、積層方向(Z方向)における一方側(ここでは上側)の最外層(第1層)の内部空間Vと連通する連通孔16aであり、連通孔16a24(第2連通孔)は、積層方向(Z方向)における他方側(ここでは下側)の最外層(第24層)の内部空間Vと連通する連通孔16aである。
【0037】
各連通孔16aは、バイポーラ電池2の製造時において、各内部空間Vに電解液を注入するための注液口として利用され得る。また、電解液の注入後には、各連通孔16aは、図示しない圧力調整弁と接続され、各内部空間Vで発生した異常ガスを外部に放出するための排ガス流路としても利用され得る。
【0038】
本実施形態では、24個の連通孔16a1~16a24は、積層方向(Z方向)に直交し且つ側面23bに沿った方向(Y方向)に並んだ4つの領域A1~A4に分かれて配置されている。側面23bに対向する方向(X方向)から見て、領域A1~A4は、この順に、右から左へと配置されている。各領域A1~A4は、同じ大きさの領域であり、それぞれ図示しない圧力調整弁が取り付けられる領域である。領域A1~A4には、それぞれ6つの連通孔16aが開口している。各領域A1~A4に取り付けられる圧力調整弁は、各領域A1~A4に開口する6つの連通孔16aと連通するように設けられた複数(ここでは6つ)の連通孔と、当該複数の連通孔の連通孔16aとは反対側の開口端を塞ぐ弁体(例えば弾性体)と、を有している。例えば、ある内部空間V内に異常ガスが発生し、規定以上の内圧が生じると、当該内部空間Vと連通した連通孔16aに対応する圧力調整弁の弁体が内圧によって押し上げられ、異常ガスが外部に放出される。
【0039】
領域A1には、Y方向に沿った3列に分かれて、各列に2つずつの連通孔16aが積層方向(Z方向)に沿って配置されるように、連通孔16a1,16a5,16a9,16a13,16a17,16a21が配置されている。最も右側の列に連通孔16a1,16a13が配置されており、真ん中の列に連通孔16a5,16a17が配置されており、最も左側の列に連通孔16a9,16a21が配置されている。領域A2には、領域A1に配置された6つの連通孔16aの各々に対して積層方向に1段下にずれるように、6つの連通孔16a2,16a6,16a10,16a14,16a18,16a22が配置されている。領域A3には、領域A1に配置された6つの連通孔16aの各々に対して積層方向に2段下にずれるように、6つの連通孔16a3,16a7,16a11,16a15,16a19,16a23が配置されている。領域A4には、領域A1に配置された6つの連通孔16aの各々に対して積層方向に3段下にずれるように、6つの連通孔16a4,16a8,16a12,16a16,16a20,16a24が配置されている。このように、本実施形態では一例として、24個の連通孔16aは、側面23bに対向する方向(X方向)から見て、側面23bの中心Cに関して点対称となるように配置されている。
【0040】
積層方向(Z方向)における一方側(ここでは、
図4における上側)の第2封止部23の端部23c(第1端部)のうち、連通孔16a1と重なる部分には、第2封止部23の厚みを増すための第1凸部24が設けられている。すなわち、第1凸部24は、端部23cの主表面(第1凸部24及び後述する第2凹部27が設けられていない部分)よりも一方側(上側)に盛り上がった形状を有している。なお、
図4に示されるように、X方向から見て、第1凸部24は、端部23cのうち連通孔16a1と重なる部分の外側にはみ出した部分を有していてもよい。
【0041】
積層方向(Z方向)における他方側(ここでは、
図4における下側)の第2封止部23の端部23d(第2端部)のうち、連通孔16a24と重なる部分には、第2封止部23の厚みを増すための第2凸部25が設けられている。すなわち、第2凸部25は、端部23dの主表面(第2凸部25及び後述する第1凹部26が設けられていない部分)よりも他方側(下側)に盛り上がった形状を有している。なお、
図4に示されるように、X方向から見て、第2凸部25は、端部23dのうち連通孔16a24と重なる部分の外側にはみ出した部分を有していてもよい。
【0042】
ここで、
図5の(A)に示されるように、第2封止部23は、筒部28と、第1重複部29Aと、第2重複部29Bと、を有している。筒部28は、積層方向から見て第1封止部22よりも外側に位置する筒状の部分である。第1重複部29Aは、筒部28の一方側の端部から内側に延び、積層方向から見て第1封止部22の少なくとも一部と重なる部分である。第2重複部29Bは、筒部28の他方側の端部から内側に延び、積層方向から見て第1封止部22の少なくとも一部と重なる部分である。電極積層体15は、上述した第1重複部29Aと第2重複部29Bとによって、積層方向に挟み込まれている。第1重複部29Aと第2重複部29Bとによって電極積層体15の周縁部が積層方向に拘束されることにより、電極積層体15の内圧が上昇した際等における電極積層体15の積層方向への膨張が抑制されている。
【0043】
第1凸部24は、少なくとも第1重複部29Aに設けられている。本実施形態では、
図3及び
図5に示されるように、第1凸部24は、側面23bから第1重複部29Aの内側端部にかけて連続的に形成されている。第1凸部24は、断面矩形状(直方体状)に形成されている。ただし、第1凸部24の形状は、上記形状に限られず、例えば断面台形状等であってもよい。
【0044】
第2凸部25は、少なくとも第2重複部29Bに設けられている。本実施形態では、第2凸部25は、側面23bから第2重複部29Bの内側端部にかけて連続的に形成されている。第2凸部25は、第1凸部24と同様に、断面矩形状(直方体状)に形成されている。ただし、第2凸部25の形状は、上記形状に限られず、例えば断面台形状等であってもよい。
【0045】
端部23dのうち、積層方向から見て第1凸部24と重なる部分には、第1凸部24の形状に応じた第1凹部26が設けられている。具体的には、第1凹部26は、第1凸部24の少なくとも一部が第1凹部26の内部に入り込むことが可能なように形成されている。より具体的には、第1凹部26は、側面23bから第2重複部29Bの内側端部にかけて連続的に形成されている。第1凹部26によって、第1凸部24の上側部分(上側半分程度の部分)よりも若干大きい直方体状の空間が形成されている。
【0046】
端部23cのうち、積層方向から見て第2凸部25と重なる部分には、第2凸部25の形状に応じた第2凹部27が設けられている。具体的には、第2凹部27は、第2凸部25の少なくとも一部が第2凹部27の内部に入り込むことが可能なように形成されている。より具体的には、第2凹部27は、側面23bから第1重複部29Aの内側端部にかけて連続的に形成されている。第2凹部27によって、第2凸部25の下側部分(下側半分程度の部分)よりも若干大きい直方体状の空間が形成されている。
【0047】
端部23cの主表面と連通孔16a1の上端部との間の部分の厚みt1は、例えば1mm~2mm程度である。端部23dの主表面と連通孔16a24の下端部との間の部分の厚みt2は、厚みt1と同様である。また、第1凸部24の高さh1(すなわち、端部23cの主表面と第1凸部24の頂部との積層方向における距離)は、例えば3mm~4mm程度である。第2凸部25の高さh2(すなわち、端部23dの主表面と第2凸部25の頂部との積層方向における距離)は、第1凸部24の高さh1と同様である。第1凹部26の深さd1(すなわち、端部23dの主表面と第1凹部26の底部との積層方向における距離)は、例えば1mm程度である。第2凹部27の深さd2(すなわち、端部23cの主表面と第2凹部27の底部との積層方向における距離)は、第1凹部26の深さd1と同様である。
【0048】
第1凸部24及び第2凸部25は、第2封止部23と一体的に形成されている。すなわち、第1凸部24及び第2凸部25は、第2封止部23の一部である。例えば、第1凸部24及び第2凸部25は、射出成型によって第2封止部23が形成される際に、第2封止部23の一部として形成される。
【0049】
次に、上述したバイポーラ電池2の作用効果について説明する。バイポーラ電池2では、封止体16のうち連通孔16a1よりも積層方向における外側(一方側)の部分に第1凸部24が設けられている。同様に、封止体16のうち連通孔16a24よりも積層方向における外側(他方側)の部分に第2凸部25が設けられている。ここで、封止体16の第1端部cと連通孔16a1との間の部分(すなわち、封止体16のうち連通孔16a1よりも外側の部分)は、第1凸部24が設けられていない場合に特に厚みが薄くなってしまう部分(すなわち、端部23cと他の連通孔16a2~16a24との間の部分よりも薄い厚みt1を有する部分)であり、耐圧強度が特に低くなってしまう部分である。同様に、封止体16の端部23dと連通孔16a24との間の部分(すなわち、封止体16のうち連通孔16a24よりも外側の部分)は、第2凸部25が設けられていない場合に特に厚みが薄くなってしまう部分(すなわち、端部23dと他の連通孔16a1~16a23との間の部分よりも薄い厚みt2を有する部分)であり、耐圧強度が特に低くなってしまう部分である。バイポーラ電池2では、このように局所的に耐圧強度が低下し易い部分に第1凸部24及び第2凸部25が設けられている。これにより、端部23cと連通孔16a1との間の部分及び端部23dと連通孔16a24との間の部分の耐圧強度を向上させることができ、ひいてはバイポーラ電池2の耐圧強度の向上を図ることができる。
【0050】
なお、耐圧強度を向上させる手段としては、第2封止部23全体の積層方向における厚みを大きくすることも考えられるが、その場合には、第2封止部23を形成するために必要となる材料量(樹脂量)が増大する。また、蓄電モジュールが大型化及び重量化してしまい、ひいては蓄電装置1が大型化及び重量化してしまうという問題がある。一方、上述したバイポーラ電池2のように局所的に耐圧強度が低下し易い部分に対して第1凸部24及び第2凸部25が部分的に設けられることにより、上述した問題を回避できる。
【0051】
また、第1凸部24及び第2凸部25は、第2封止部23に設けられている。第2封止部23に設けられた第1凸部24及び第2凸部25によって、第2封止部23のうち局所的に耐圧強度が低下し易い部分の耐圧強度を向上させることができる。
【0052】
また、第1凸部24は、少なくとも第1重複部29Aに設けられており、第2凸部25は、少なくとも第2重複部29Bに設けられている。上述したように、第1重複部29A及び第2重複部29Bは、電極積層体15を積層方向に挟み込む部分であり、電極積層体15の内圧上昇時に特に荷重がかかる部分である。上記構成によれば、このように異常発生時に荷重がかかり易い(すなわち一定以上の耐圧強度が求められる)第1重複部29A及び第2重複部29Bの耐圧強度の向上を図ることができる。その結果、バイポーラ電池2の耐圧強度をより効果的に向上させることができる。
【0053】
また、第1凸部24及び第2凸部25の各々は、第2封止部23と一体的に形成されている。これにより、第1凸部24又は第2凸部25を第2封止部23とは別部材で構成した場合よりも、耐圧強度を適切に向上させることができる。
【0054】
また、仮に、積層方向から見て第1凸部24と第2凸部25とが重なる場合(すなわち、連通孔16a1と連通孔16a24とが積層方向から見て重なるように設けられている場合)、第1凸部24及び第2凸部25が設けられた部分において局所的にバイポーラ電池2の厚みが大きくなってしまう。その結果、複数のバイポーラ電池2を積層してなる蓄電装置1が大型化してしまう。一方、本実施形態では、積層方向から見て第1凸部24と第2凸部25とが互いに重ならないように設けられていることにより、バイポーラ電池2の積層方向における厚みの増大が抑制されている。その結果、蓄電装置1の大型化が抑制されている。
【0055】
また、上述した第1凹部26及び第2凹部27が設けられていることにより、
図6に示されるように、複数のバイポーラ電池2を積層方向に積層した場合に、第1のバイポーラ電池2Aの第1凸部24を、第1のバイポーラ電池2Aよりも積層方向における一方側(上側)に配置された第2のバイポーラ電池2Bの第1凹部26に入り込ませることができる。併せて、第2のバイポーラ電池2Bの第2凸部25を、第1のバイポーラ電池2Aの第2凹部27に入り込ませることができる。これにより、第1凹部26及び第2凹部27が設けられない場合と比較して、積層された複数のバイポーラ電池2の全体の厚みを薄くすることができる。具体的には、第1のバイポーラ電池2Aと第2のバイポーラ電池2Bとの距離d(ここでは、第1のバイポーラ電池2Aの端部23cの主表面と第2のバイポーラ電池2Bの端部23dの主表面との距離)を、第1凹部26及び第2凹部27が設けられない場合の距離(すなわち、第1凸部24の高さh1と第2凸部25の高さh2との大きい方)よりも短くすることができる。その結果、蓄電装置1の大型化を効果的に抑制することができる。
【0056】
また、
図1に示されるように、蓄電装置1においては、隣り合うバイポーラ電池2の間に、積層方向(Z方向)に隣り合うバイポーラ電池2と電気的且つ物理的に接続される導電板3が配置される場合がある。この場合、隣り合うバイポーラ電池2の両方と接触するように導電板3を適切に配置するためには、隣り合うバイポーラ電池2間の距離を導電板3の厚み以下となるように調整可能であることが求められる。ここでの「隣り合うバイポーラ電池2間の距離」とは、一方側(上側)のバイポーラ電池2の正極終端電極20の電極板17の下面と他方側(下側)のバイポーラ電池2の負極終端電極21の電極板17の上面との距離である。ここで、第1凸部24の高さh1又は第2凸部25の高さh2が一定以上大きい場合には、隣り合うバイポーラ電池2間の距離が導電板3の厚みよりも大きくなってしまう可能性がある。つまり、導電板3を一方側(上側)のバイポーラ電池2の正極終端電極20の電極板17の下面に当接させると共に他方側(下側)のバイポーラ電池2の負極終端電極21の電極板17の上面に当接させることができない可能性がある。一方、第1凹部26及び第2凹部27が設けられた上記構成によれば、第1凸部24及び第2凸部25によってバイポーラ電池2の耐圧強度を向上させつつ、第1凹部26及び第2凹部27によって隣り合うバイポーラ電池2間の距離dを短くして導電板3を適切に配置することが可能となる。
【0057】
また、複数の連通孔16a1~16a24は、封止体16における同一の側面(側面23b)に開口しており、第1凸部24と第2凸部25とは、側面23bに対向する方向(X方向)から見て、側面23bの中心Cに関して互いに点対称に配置されている。これにより、第1凸部24又は第2凸部25が設けられることで第2封止部23の他の部分よりも厚くされた部分がバランス良く配置されるため、バイポーラ電池2の構造の安定化を図ることができる。同様に、第1凹部26と第2凹部27についても、側面23bに対向する方向(X方向)から見て、中心Cに関して互いに点対称に配置されている。これにより、第1凹部26又は第2凹部27が設けられることで第2封止部23の他の部分よりも薄くされた部分がバランス良く配置されるため、バイポーラ電池2の構造の安定化を図ることができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0059】
上記実施形態では、蓄電モジュールとしてのバイポーラ電池2はニッケル水素二次電池であるが、本発明は、ニッケル水素二次電池には限られず、例えばリチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ等にも適用可能である。
【0060】
また、第1凸部24は、必ずしも側面23bから第1重複部29Aの内側端部までの全域に設けられていなくてもよく、特に耐圧強度が求められる部分にのみ設けられていてもよい。同様に、第2凸部25は、必ずしも側面23bから第2重複部29Bの内側端部までの全域に設けられていなくてもよく、特に耐圧強度が求められる部分にのみ設けられていてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、端部23cにおいて、端部23cから連通孔16aまでの厚みが最も薄くなる部分にのみ1つの凸部(第1凸部24)が設けられたが、端部23cにおいて、複数の凸部が設けられてもよい。例えば、凸部は、端部23cから連通孔16aまでの厚みが閾値(例えば所定の耐圧強度を確保するために最低限必要な厚み等)未満である複数の部分に設けられてもよい。例えば、端部23cから連通孔16aまでの厚みが2番目に小さい部分(すなわち、積層方向から見て連通孔16a2と重なる部分)にも、第1凸部24と同様の凸部が設けられてもよい。同様に、端部23dにおいても、第2凸部25と同様の複数の凸部が設けられてもよい。
【0062】
また、第1凸部24又は第2凸部25は、第1凸部24及び第2凸部25が設けられる前の状態の第2封止部を射出成型によって形成した後に、射出成型とは別の工程によって設けられてもよい。また、第1凹部26又は第2凹部27は、射出成型によって第2封止部23を形成する際に併せて形成されてもよいし、第1凹部26又は第2凹部27が形成される前の状態の第2封止部が射出成型によって形成された後に、射出成型とは別の工程(例えば、第2封止部の一部をくり抜く工程等)によって形成されてもよい。
【0063】
また、例えば第1凹部26及び第2凹部27を設けなくとも隣り合うバイポーラ電池2間に適切に導電板3を配置可能な場合(例えば導電板3の厚みが比較的大きい場合)には、第1凹部26及び第2凹部27は、省略されてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、側面23bの各領域A1~A4は平坦状に設けられているが、各領域A1~A4には、例えば熱板溶着等によって図示しない圧力調整弁と接合されるための突起(壁部)が設けられてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、各内部空間Vと連通する複数の連通孔16a1~16a24が同一の側面23bに開口するように設けられているが、複数の連通孔は、複数の側面に分散して設けられてもよい。また、複数の連通孔の数は、内部空間Vの数(セル数)に応じて適宜変更され得る。また、上記実施形態では各連通孔16aの断面形状は矩形状であるが、各連通孔16aの断面形状は、これ以外の形状(例えば円形状等)であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
2…バイポーラ電池(蓄電モジュール)、13…バイポーラ電極(電極)、14…セパレータ、15…電極積層体、16…封止体、16a…連通孔、16a1…連通孔(第1連通孔)、16a24…連通孔(第2連通孔)、20…正極終端電極(電極)、21…負極終端電極(電極)、22…第1封止部、22a…第1連通部、23…第2封止部、23a…第2連通部、23b…側面、23c…端部(第1端部)、23d…端部(第2端部)、24…第1凸部、25…第2凸部、26…第1凹部、27…第2凹部、28…筒部、29A…第1重複部、29B…第2重複部、C…中心、V…内部空間。