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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】産業車両の油圧駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/22 20060101AFI20220720BHJP
   B66C 1/10 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
B66F9/22 M
B66C1/10 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018194568
(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公開番号】P2020063110
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】木下 浩一
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-062800(JP,U)
【文献】特開2007-276943(JP,A)
【文献】特開平11-209091(JP,A)
【文献】実開昭58-187600(JP,U)
【文献】実開昭59-179898(JP,U)
【文献】特開2011-037560(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0367336(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/22
B66C 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を保持する複数の保持部を有し前記荷物を吊り上げる吊り具を装備した産業車両の油圧駆動装置において、
作動油の給排により前記吊り具を動作させる第1油圧アクチュエータと、
前記作動油の給排により前記保持部を回転させる第2油圧アクチュエータと、
前記吊り具を動作させるための第1操作具と、
前記保持部を回転させるための第2操作具と、
前記作動油を前記第1油圧アクチュエータ及び前記第2油圧アクチュエータに供給する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプと前記第1油圧アクチュエータとの間に配置され、前記第1操作具の操作状態に応じて前記作動油の流れを制御する第1制御弁と、
前記油圧ポンプと前記第2油圧アクチュエータとの間に配置され、前記第2操作具の操作状態に応じて前記作動油の流れを制御する第2制御弁と、
前記第2操作具により前記保持部をロック状態とするためのロック操作または前記保持部をアンロック状態とするためのアンロック操作が行われたかどうかを検知し、前記ロック操作または前記アンロック操作が行われたときに操作検知信号を出力する操作検知部と、
前記操作検知部によって前記ロック操作または前記アンロック操作が行われたことが検知されると、前記吊り具の動作を停止させるような制御信号を出力する制御信号出力部とを備え、
前記第1制御弁は、パイロット操作部を有し、
前記パイロット操作部には、前記制御信号出力部と接続されたソレノイド操作部を有するアンロード弁が接続されており、
前記アンロード弁は、前記パイロット操作部へのパイロット圧の付与を遮断する閉位置と、前記パイロット操作部へのパイロット圧の付与を許容する開位置とを有し、前記吊り具の動作中に前記ソレノイド操作部に前記吊り具の動作を停止させるような制御信号が入力されると、前記開位置から前記閉位置に切り換えられ
前記第2制御弁は、前記保持部のロック状態を許容するロック位置側に設けられたロック用ソレノイド操作部と、前記保持部のアンロック状態を許容するアンロック位置側に設けられたアンロック用ソレノイド操作部とを有し、
前記操作検知部と前記ロック用ソレノイド操作部及び前記アンロック用ソレノイド操作部の少なくとも一方との間には、前記操作検知部から出力された前記操作検知信号を遅延させて送出するディレイタイマーが配置されている産業車両の油圧駆動装置。
【請求項2】
前記操作検知部は、前記ロック操作が行われたときは、前記操作検知信号としてロック操作検知信号を出力し、前記アンロック操作が行われたときは、前記操作検知信号としてアンロック操作検知信号を出力し、
前記ディレイタイマーは、前記操作検知部と前記ロック用ソレノイド操作部との間に配置され、前記ロック操作検知信号を遅延させて送出するロック用ディレイタイマー部品と、前記操作検知部と前記アンロック用ソレノイド操作部との間に配置され、前記アンロック操作検知信号を遅延させて送出するアンロック用ディレイタイマー部品とを有する請求項1記載の産業車両の油圧駆動装置。
【請求項3】
前記ディレイタイマーは、前記アンロード弁により前記パイロット操作部に与えられるパイロット圧の遮断が完了した後に、前記操作検知信号が前記ロック用ソレノイド操作部及び前記アンロック用ソレノイド操作部の何れか一方に入力されるように、前記操作検知信号を遅延させる請求項1または2記載の産業車両の油圧駆動装置。
【請求項4】
前記ディレイタイマーは、前記パイロット操作部に与えられるパイロット圧の遮断が完了してから前記操作検知信号が前記ロック用ソレノイド操作部及び前記アンロック用ソレノイド操作部の何れか一方に入力されるまでの時間が0.5秒以下となるように、前記操作検知信号を遅延させる請求項3記載の産業車両の油圧駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両の油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業車両の油圧駆動装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、コンテナの隅金具に嵌入されるツイストロックピンを有するコンテナスプレッダを装備したフォークリフトに搭載された装置が知られている。特許文献1に記載の油圧駆動装置は、ツイストロックピンを回転させるツイストロックシリンダと、コンテナスプレッダを昇降させるリフトシリンダと、ツイストロックレバーによりツイストロックシリンダを操作可能とする第1電磁弁と、リフトレバーによりリフトシリンダを操作可能とする第2電磁弁と、コンテナスプレッダに設けられ、ツイストロックピンがコンテナの隅金具に完全に嵌入されたことを検知する嵌入検知センサと、コンテナスプレッダに設けられ、ツイストロックピンがコンテナの隅金具に完全にロックまたはアンロックされたことを検知するロック検知センサと、ツイストロックレバー操作がされていない場合にツイストロックレバーの操作を不能とする第1固定装置と、リフトレバー操作がされていない場合にリフトレバーの操作を不能とする第2固定装置とを備えている。嵌入検知センサの検知信号が送られた場合は、第1電磁弁を開放すると共に第1固定装置を作動させて、ツイストロックレバーを操作可能とする。ロック検知センサの検知信号が送られた場合は、第2電磁弁を開放すると共に第2固定装置を作動させて、リフトレバーを操作可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-349297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、ツイストロックレバー(操作具)によって、ツイストロックピン(保持部)がコンテナの隅金具にロックされた状態とするための操作(ロック操作)が行われたときは、例えば第2固定装置によりリフトレバーの操作を不能とすることにより、コンテナスプレッダの動作を停止させることができる。ところで、リフトシリンダに対する作動油の流れを制御するリフトバルブとして、第2電磁弁の代わりにパイロット式の制御弁を使用する場合には、リフトバルブのパイロット操作部に電磁式のアンロード弁を接続し、パイロット操作部に与えられるパイロット圧を遮断することにより、コンテナスプレッダの動作を停止させることがある。しかし、この場合には、ツイストロックレバーのロック操作が行われた際に、第1電磁弁に対するロック指令とアンロード弁に対するパイロット圧遮断指令とが同時に出されるため、パイロット操作部に与えられるパイロット圧の遮断がツイストロックピンのロック動作に対して時間差が生じる。
【0005】
本発明の目的は、保持部を回転させるための操作具の操作が行われた際に、保持部の動作に対するアンロード弁によるパイロット圧の遮断の時間差を抑制することができる産業車両の油圧駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、荷物を保持する複数の保持部を有し荷物を吊り上げる吊り具を装備した産業車両の油圧駆動装置において、作動油の給排により吊り具を動作させる第1油圧アクチュエータと、作動油の給排により保持部を回転させる第2油圧アクチュエータと、吊り具を動作させるための第1操作具と、保持部を回転させるための第2操作具と、作動油を第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータに供給する油圧ポンプと、油圧ポンプと第1油圧アクチュエータとの間に配置され、第1操作具の操作状態に応じて作動油の流れを制御する第1制御弁と、油圧ポンプと第2油圧アクチュエータとの間に配置され、第2操作具の操作状態に応じて作動油の流れを制御する第2制御弁と、第2操作具により保持部をロック状態とするためのロック操作または保持部をアンロック状態とするためのアンロック操作が行われたかどうかを検知し、ロック操作またはアンロック操作が行われたときに操作検知信号を出力する操作検知部と、操作検知部によってロック操作またはアンロック操作が行われたことが検知されると、吊り具の動作を停止させるような制御信号を出力する制御信号出力部とを備え、第1制御弁は、パイロット操作部を有し、パイロット操作部には、制御信号出力部と接続されたソレノイド操作部を有するアンロード弁が接続されており、アンロード弁は、ソレノイド操作部に制御信号が入力されると、パイロット操作部に与えられるパイロット圧を遮断し、第2制御弁は、保持部のロック状態を許容するロック位置側に設けられたロック用ソレノイド操作部と、保持部のアンロック状態を許容するアンロック位置側に設けられたアンロック用ソレノイド操作部とを有し、操作検知部とロック用ソレノイド操作部及びアンロック用ソレノイド操作部の少なくとも一方との間には、操作検知部から出力された操作検知信号を遅延させて送出するディレイタイマーが配置されている。
【0007】
このような産業車両の油圧駆動装置においては、吊り具が動作しているときに、第2操作具のロック操作またはアンロック操作が行われたことが操作検知部により検知されると、吊り具の動作を停止させるような制御信号が制御信号出力部からアンロード弁のソレノイド操作部に出力されると共に、操作検知部から第2制御弁のロック用ソレノイド操作部またはアンロック用ソレノイド操作部に操作検知信号が出力される。アンロード弁のソレノイド操作部に制御信号が入力されると、第1制御弁のパイロット操作部に与えられるパイロット圧が遮断されるため、第1制御弁が中立位置に切り換わり、油圧ポンプから第1油圧アクチュエータへの作動油の供給が遮断される。第2制御弁のロック用ソレノイド操作部またはアンロック用ソレノイド操作部に操作検知信号が入力されると、第2制御弁が中立位置からロック位置またはアンロック位置に切り換わり、油圧ポンプからの作動油が第2油圧アクチュエータに供給されることで、保持部のロック動作またはアンロック動作が開始される。このとき、操作検知部から出力された操作検知信号は、ディレイタイマーによって遅延した状態でロック用ソレノイド操作部またはアンロック用ソレノイド操作部に入力される。これにより、第2操作具のロック操作またはアンロック操作が行われた際に、保持部のロック動作またはアンロック動作に対するアンロード弁によるパイロット圧の遮断の時間差が抑制される。
【0008】
操作検知部は、ロック操作が行われたときは、操作検知信号としてロック操作検知信号を出力し、アンロック操作が行われたときは、操作検知信号としてアンロック操作検知信号を出力し、ディレイタイマーは、操作検知部とロック用ソレノイド操作部との間に配置され、ロック操作検知信号を遅延させて送出するロック用ディレイタイマー部品と、操作検知部とアンロック用ソレノイド操作部との間に配置され、アンロック操作検知信号を遅延させて送出するアンロック用ディレイタイマー部品とを有してもよい。
【0009】
このような構成では、操作検知部から出力されたロック操作検知信号は、ロック用ディレイタイマー部品によって遅延した状態でロック用ソレノイド操作部に入力される。これにより、第2操作具のロック操作が行われた際に、保持部のロック動作に対するアンロード弁によるパイロット圧の遮断の時間差が抑制される。また、操作検知部から出力されたアンロック操作検知信号は、アンロック用ディレイタイマー部品によって遅延した状態でアンロック用ソレノイド操作部に入力される。これにより、第2操作具のアンロック操作が行われた際に、保持部のアンロック動作に対するアンロード弁によるパイロット圧の遮断の時間差が抑制される。
【0010】
ディレイタイマーは、アンロード弁によりパイロット操作部に与えられるパイロット圧の遮断が完了した後に、操作検知信号がロック用ソレノイド操作部及びアンロック用ソレノイド操作部の何れか一方に入力されるように、操作検知信号を遅延させてもよい。
【0011】
このような構成では、アンロード弁により第1制御弁のパイロット操作部に与えられるパイロット圧の遮断が完了した後に、第2制御弁のロック用ソレノイド操作部及びアンロック用ソレノイド操作部の何れか一方に操作検知信号が入力される。従って、吊り具の動作が停止した後に、保持部のロック動作またはアンロック動作を開始することができる。
【0012】
ディレイタイマーは、パイロット操作部に与えられるパイロット圧の遮断が完了してから操作検知信号がロック用ソレノイド操作部及びアンロック用ソレノイド操作部の何れか一方に入力されるまでの時間が0.5秒以下となるように、操作検知信号を遅延させてもよい。
【0013】
このような構成では、アンロード弁により第1制御弁のパイロット操作部に与えられるパイロット圧の遮断が完了した後に、第2制御弁のロック用ソレノイド操作部及びアンロック用ソレノイド操作部の何れか一方に操作検知信号が入力されるタイミングが遅くなり過ぎることが防止される。従って、作業性の向上に寄与することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、保持部を回転させるための操作具の操作が行われた際に、保持部の動作に対するアンロード弁によるパイロット圧の遮断の時間差を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る油圧駆動装置を備えた産業車両としてコンテナスプレッダを装備したフォークリフトの外観を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る油圧駆動装置の油圧回路図である。
図3図1に示された油圧駆動装置の制御系構成図である。
図4】比較例としての油圧駆動装置の制御系構成図である。
図5】パイロット圧の遮断完了のタイミングとツイストロックピンのロック指令のタイミングとの関係を比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図中、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る油圧駆動装置を備えた産業車両としてコンテナスプレッダを装備したフォークリフトの外観を示す斜視図である。図1において、産業車両であるフォークリフト1は、車体2と、この車体2の前後左右に配置された4つの車輪3と、車体2の前端部に立設されたマスト4と、このマスト4に昇降可能に取り付けられたコンテナスプレッダ5とを備えている。
【0018】
コンテナスプレッダ5は、荷物であるコンテナCを吊り上げる吊り具である。コンテナスプレッダ5は、コンテナCの隅金具と嵌合し、コンテナCを保持する複数(ここでは2つ)のツイストロックピン6(保持部)を有している。ツイストロックピン6は、コンテナスプレッダ5の左右両端部に回転可能に設けられている。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態に係る油圧駆動装置の油圧回路図である。図2において、本実施形態の油圧駆動装置10は、2つのリフトシリンダ11と、2つのティルトシリンダ12と、2つのツイストロックシリンダ13と、リフトレバー14と、ティルトレバー15と、ツイストロックレバー16(図3参照)と、油圧ポンプ17~19と、コントロールバルブユニット20と、リフトパイロット弁21と、ティルトパイロット弁22と、アンロード弁23と、レバーロックソレノイド24とを備えている。
【0020】
リフトシリンダ11は、作動油の給排によりコンテナスプレッダ5を昇降させる油圧シリンダである。ティルトシリンダ12は、作動油の給排によりコンテナスプレッダ5を傾動させる油圧シリンダである。つまり、リフトシリンダ11及びティルトシリンダ12は、コンテナスプレッダ5を上下方向及び前後方向に動作させる油圧シリンダ(第1油圧アクチュエータ)である。ツイストロックシリンダ13は、作動油の給排によりツイストロックピン6をリンク(図示せず)を介して回転させる油圧シリンダ(第2油圧アクチュエータ)である。ツイストロックシリンダ13は、ツイストロックピン6をアンロック位置とロック位置との間で回転させる。
【0021】
リフトレバー14は、コンテナスプレッダ5を昇降させるための操作レバーである。ティルトレバー15は、コンテナスプレッダ5を傾動させるための操作レバーである。つまり、リフトレバー14及びティルトレバー15は、コンテナスプレッダ5を上下方向及び前後方向に動作させるための操作レバー(第1操作具)である。ツイストロックレバー16は、ツイストロックピン6を回転させるための操作レバー(第2操作具)である。なお、リフトレバー14、ティルトレバー15及びツイストロックレバー16は、車体2に搭載された運転席7に設けられている。
【0022】
油圧ポンプ17~19は、作動油をタンク25から吸い込んで吐出する。油圧ポンプ17,18の吐出口とタンク25との間には、リリーフ弁26,27がそれぞれ配置されている。
【0023】
コントロールバルブユニット20は、油圧ポンプ17の吐出口と各リフトシリンダ11との間に配置されたリフト制御弁28と、油圧ポンプ18の吐出口と各ティルトシリンダ12との間に配置されたティルト制御弁29と、油圧ポンプ17の吐出口と各ツイストロックシリンダ13との間に配置されたツイストロック制御弁30とを有している。
【0024】
リフト制御弁28は、リフトレバー14の操作状態(操作方向及び操作量)に応じて作動油の流れを制御する第1制御弁である。リフト制御弁28は、油圧ポンプ17及びタンク25とリフトシリンダ11との間での作動油の流れを遮断する中立位置28a(図示)と、油圧ポンプ17からリフトシリンダ11のボトム室11aへの作動油の流れを許容する上昇位置28bと、リフトシリンダ11のボトム室11aからタンク25への作動油の流れを許容する下降位置28cとを有している。
【0025】
上昇位置28bは、コンテナスプレッダ5の上昇を許容する位置である。つまり、上昇位置28bは、コンテナスプレッダ5を上方に動作させることを許容する位置である。下降位置28cは、コンテナスプレッダ5の下降を許容する位置である。リフト制御弁28の上昇位置28b側には、パイロット操作部31が設けられている。リフト制御弁28の下降位置28c側には、パイロット操作部32が設けられている。
【0026】
ティルト制御弁29は、ティルトレバー15の操作状態(操作方向及び操作量)に応じて作動油の流れを制御する第1制御弁である。ティルト制御弁29は、油圧ポンプ18及びタンク25とティルトシリンダ12との間での作動油の流れを遮断する中立位置29a(図示)と、油圧ポンプ18からティルトシリンダ12のロッド室12bへの作動油の流れを許容すると共に、ティルトシリンダ12のボトム室12aからタンク25への作動油の流れを許容する後傾位置29bと、油圧ポンプ18からティルトシリンダ12のボトム室12aへの作動油の流れを許容すると共に、ティルトシリンダ12のロッド室12bからタンク25への作動油の流れを許容する前傾位置29cとを有している。
【0027】
後傾位置29bは、コンテナスプレッダ5の後傾を許容する位置である。つまり、後傾位置29bは、コンテナスプレッダ5を上方に動作させることを許容する位置である。前傾位置29cは、コンテナスプレッダ5の前傾を許容する位置である。ティルト制御弁29の後傾位置29b側には、パイロット操作部33が設けられている。ティルト制御弁29の前傾位置29c側には、パイロット操作部34が設けられている。
【0028】
ツイストロック制御弁30は、油圧ポンプ17及びタンク25とツイストロックシリンダ13との間での作動油の流れを遮断する中立位置30a(図示)と、油圧ポンプ17からツイストロックシリンダ13のボトム室13aへの作動油の流れを許容すると共に、ツイストロックシリンダ13のロッド室13bからタンク25への作動油の流れを許容するロック位置30bと、油圧ポンプ17からツイストロックシリンダ13のロッド室13bへの作動油の流れを許容すると共に、ツイストロックシリンダ13のボトム室13aからタンク25への作動油の流れを許容するアンロック位置30cとを有している。
【0029】
ロック位置30bは、ツイストロックピン6のロック状態(ロックオン状態)を許容する位置である。アンロック位置30cは、ツイストロックピン6のアンロック状態(ロックオフ状態)を許容する位置である。ツイストロック制御弁30のロック位置30b側には、パイロット操作部35が設けられている。ツイストロック制御弁30のアンロック位置30c側には、パイロット操作部36が設けられている。
【0030】
油圧ポンプ19及びタンク25とパイロット操作部35,36との間には、電磁切換弁37,38がそれぞれ配置されている。電磁切換弁37,38は、ノーマルクローズ式の電磁弁である。ツイストロック制御弁30及び電磁切換弁37,38は、ツイストロックレバー16の操作状態(操作方向及び操作量)に応じて作動油の流れを制御する第2制御弁である。
【0031】
電磁切換弁37は、油圧ポンプ19とパイロット操作部35とを遮断すると共に、タンク25とパイロット操作部35とを連通させる閉位置37a(図示)と、油圧ポンプ19とパイロット操作部35とを連通させると共に、タンク25とパイロット操作部35とを遮断する開位置37bとを有している。電磁切換弁37の開位置37b側には、ロック用ソレノイド操作部であるロックオンソレノイド39が設けられている。ロックオンソレノイド39がOFF状態(電流が流れない状態)のときは、電磁切換弁37は閉位置37aとなり、ロックオンソレノイド39がON状態(電流が流れる状態)のときは、電磁切換弁37は開位置37bとなる。
【0032】
電磁切換弁38は、油圧ポンプ19とパイロット操作部36とを遮断すると共に、タンク25とパイロット操作部36とを連通させる閉位置38a(図示)と、油圧ポンプ19とパイロット操作部36とを連通させると共に、タンク25とパイロット操作部36とを遮断する開位置38bとを有している。電磁切換弁38の開位置38b側には、アンロック用ソレノイド操作部であるロックオフソレノイド40が設けられている。ロックオフソレノイド40がOFF状態(電流が流れない状態)のときは、電磁切換弁38は閉位置38aとなり、ロックオフソレノイド40がON状態(電流が流れる状態)のときは、電磁切換弁38は開位置38bとなる。
【0033】
リフトパイロット弁21は、リフトレバー14によりコンテナスプレッダ5を上昇させるための操作が行われたときに、リフトレバー14の操作量に応じたパイロット圧をリフト制御弁28のパイロット操作部31に与える。リフトパイロット弁21は、リフトレバー14によりコンテナスプレッダ5を下降させるための操作が行われたときに、リフトレバー14の操作量に応じたパイロット圧をリフト制御弁28のパイロット操作部32に与える。
【0034】
ティルトパイロット弁22は、ティルトレバー15によりコンテナスプレッダ5を後傾させるための操作が行われたときに、ティルトレバー15の操作量に応じたパイロット圧をティルト制御弁29のパイロット操作部33に与える。ティルトパイロット弁22は、ティルトレバー15によりコンテナスプレッダ5を前傾させるための操作が行われたときに、ティルトレバー15の操作量に応じたパイロット圧をティルト制御弁29のパイロット操作部34に与える。
【0035】
アンロード弁23は、リフトパイロット弁21とリフト制御弁28のパイロット操作部31との間に配置されている。つまり、アンロード弁23は、パイロット操作部31に接続されている。アンロード弁23は、ノーマルクローズ式の電磁弁である。アンロード弁23は、リフトパイロット弁21とパイロット操作部31とを遮断すると共に、タンク25とパイロット操作部31とを連通させる閉位置23a(図示)と、リフトパイロット弁21とパイロット操作部31とを連通させると共に、タンク25とパイロット操作部31とを遮断する開位置23bとを有している。閉位置23aは、パイロット操作部31へのパイロット圧の付与を遮断する位置である。開位置23bは、パイロット操作部31へのパイロット圧の付与を許容する位置である。
【0036】
アンロード弁23の開位置23b側には、ソレノイド操作部であるアンロードソレノイド41が設けられている。アンロードソレノイド41がOFF状態(電流が流れない状態)のときは、アンロード弁23は閉位置23aとなり、アンロードソレノイド41がON状態(電流が流れる状態)のときは、アンロード弁23は開位置23bとなる。
【0037】
レバーロックソレノイド24は、リフトレバー14の操作が不能となるようにリフトレバー14を機械的にロックするソレノイドである。レバーロックソレノイド24がOFF状態(電流が流れない状態)のときは、リフトレバー14が機械的にロックされ、レバーロックソレノイド24がON状態(電流が流れる状態)のときは、リフトレバー14の機械的なロックが解除される。
【0038】
図3は、油圧駆動装置10の制御系構成図である。図3において、油圧駆動装置10は、ロックオンレバースイッチ50と、ロックオフレバースイッチ51と、ロックオンリミットスイッチ53と、ロックオフリミットスイッチ54と、電気部品ユニット55とを備えている。
【0039】
ロックオンレバースイッチ50は、ツイストロックレバー16によりツイストロックピン6をロック状態とするための操作(以下、ツイストロックレバー16のロック操作)が行われたかどうかを検出する。ロックオンレバースイッチ50は、電磁切換弁37のロックオンソレノイド39と接続されている。ロックオンレバースイッチ50は、ツイストロックレバー16のロック操作が行われていないときは、OFF信号を出力し、ツイストロックレバー16のロック操作が行われたときは、ON信号を出力する。
【0040】
ロックオフレバースイッチ51は、ツイストロックレバー16によりツイストロックピン6をアンロック状態とするための操作(以下、ツイストロックレバー16のアンロック操作)が行われたかどうかを検出する。ロックオフレバースイッチ51は、電磁切換弁38のロックオフソレノイド40と接続されている。ロックオフレバースイッチ51は、ツイストロックレバー16のアンロック操作が行われていないときは、OFF信号を出力し、ツイストロックレバー16のアンロック操作が行われたときは、ON信号を出力する。
【0041】
ロックオンリミットスイッチ53及びロックオフリミットスイッチ54は、コンテナスプレッダ5の内部に配置されている。ロックオンリミットスイッチ53は、ツイストロックピン6がロック状態にあるかどうかを検出する。ロックオンリミットスイッチ53は、ツイストロックピン6がロック状態でないときは、OFF信号を出力し、ツイストロックピン6がロック状態であるときは、ON信号を出力する。
【0042】
ロックオフリミットスイッチ54は、ツイストロックピン6がアンロック状態にあるかどうかを検出する。ロックオフリミットスイッチ54は、ツイストロックピン6がアンロック状態でないときは、OFF信号を出力し、ツイストロックピン6がアンロック状態であるときは、ON信号を出力する。
【0043】
電気部品ユニット55は、ロックオンリレー56と、ロックオフリレー57と、ロックオンリセットリレー58と、ロックオフリセットリレー59と、ロックオンタイマーリレー60と、ロックオフタイマーリレー61と、ロックオンディレイタイマーリレー65と、ロックオフディレイタイマーリレー66とを有している。
【0044】
ロックオンリレー56は、通電されると開くリレーである。ロックオンリレー56は、ロックオンタイマーリレー60からOFF信号が出力されたときは、通電されずに閉状態となるため、ON信号を出力する。ロックオンリレー56は、ロックオンリミットスイッチ53からON信号が出力されることで、ロックオンリセットリレー58を介してロックオンタイマーリレー60からON信号が出力されたときは、通電されて開状態となるため、OFF信号を出力する。
【0045】
ロックオフリレー57は、通電されると開くリレーである。ロックオフリレー57は、ロックオフタイマーリレー61からOFF信号が出力されたときは、通電されずに閉状態となるため、ON信号を出力する。ロックオフリレー57は、ロックオフリミットスイッチ54からON信号が出力されることで、ロックオフリセットリレー59を介してロックオフタイマーリレー61からON信号が出力されたときは、通電されて開状態となるため、OFF信号を出力する。
【0046】
ロックオンリセットリレー58は、ロックオフレバースイッチ51と接続されている。ロックオンリセットリレー58は、通電されると開くリレーである。ロックオンリセットリレー58は、ロックオフレバースイッチ51からOFF信号が出力されたときは、通電されずに閉状態となるため、ON信号を出力する。ロックオンリセットリレー58は、ツイストロックレバー16のアンロック操作が行われることで、ロックオフレバースイッチ51からON信号が出力されたときは、通電されて開状態となるため、リセット信号としてOFF信号を出力する。
【0047】
ロックオフリセットリレー59は、ロックオンレバースイッチ50と接続されている。ロックオフリセットリレー59は、通電されると開くリレーである。ロックオフリセットリレー59は、ロックオンレバースイッチ50からOFF信号が出力されたときは、通電されずに閉状態となるため、ON信号を出力する。ロックオフリセットリレー59は、ツイストロックレバー16のロック操作が行われることで、ロックオンレバースイッチ50からON信号が出力されたときは、通電されて開状態となるため、リセット信号としてOFF信号を出力する。
【0048】
ロックオンタイマーリレー60は、ロックオンリセットリレー58を介してロックオンリミットスイッチ53と接続されていると共に、アンロード弁23のアンロードソレノイド41及びレバーロックソレノイド24と接続されている。
【0049】
ロックオンタイマーリレー60は、通電されると閉じるタイマー付きのリレーである。ロックオンタイマーリレー60は、ロックオンリセットリレー58からON信号が出力されたときは、通電されて閉状態となるため、アンロードソレノイド41及びレバーロックソレノイド24に制御信号としてON信号を出力する。ロックオンタイマーリレー60は、ロックオンリセットリレー58からOFF信号が出力されたときは、通電されずに開状態となるため、アンロードソレノイド41及びレバーロックソレノイド24に制御信号としてOFF信号を出力する。
【0050】
ロックオフタイマーリレー61は、ロックオフリセットリレー59を介してロックオフリミットスイッチ54と接続されていると共に、アンロード弁23のアンロードソレノイド41及びレバーロックソレノイド24と接続されている。
【0051】
ロックオフタイマーリレー61は、通電されると閉じるタイマー付きのリレーである。ロックオフタイマーリレー61は、ロックオフリセットリレー59からON信号が出力されたときは、通電されて閉状態となるため、アンロードソレノイド41及びレバーロックソレノイド24に制御信号としてON信号を出力する。ロックオフタイマーリレー61は、ロックオフリセットリレー59からOFF信号が出力されたときは、通電されずに開状態となるため、アンロードソレノイド41及びレバーロックソレノイド24に制御信号としてOFF信号を出力する。
【0052】
ロックオンレバースイッチ50、ロックオフレバースイッチ51、ロックオンリセットリレー58及びロックオフリセットリレー59は、ツイストロックレバー16のロック操作またはアンロック操作が行われたかどうかを検知し、ロック操作またはアンロック操作が行われたときに操作検知信号を出力する操作検知部を構成する。ロックオンタイマーリレー60及びロックオフタイマーリレー61は、操作検知部によってロック操作またはアンロック操作が行われたことが検知されると、コンテナスプレッダ5の動作を停止させるような制御信号を出力する制御信号出力部を構成する。
【0053】
ロックオンディレイタイマーリレー65は、ロックオンレバースイッチ50と電磁切換弁37のロックオンソレノイド39との間に配置されている。つまり、ロックオンレバースイッチ50とロックオンソレノイド39とは、ロックオンディレイタイマーリレー65を介して接続されている。ロックオンディレイタイマーリレー65は、通電されると閉じるタイマー付きのリレーである。ロックオンディレイタイマーリレー65は、ロックオンレバースイッチ50から出力されたロック操作検知信号を遅延させてロックオンソレノイド39に送出するロック用ディレイタイマー部品(ディレイタイマー)である。
【0054】
具体的には、ロックオンディレイタイマーリレー65は、アンロード弁23によりリフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了した後に、ロック操作検知信号がロックオンソレノイド39に入力されるように、ロック操作検知信号を遅延させる。このとき、ロックオンディレイタイマーリレー65は、アンロード弁23によりパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了してからロック操作検知信号がロックオンソレノイド39に入力されるまでの時間が0.5秒以下となるように、ロック操作検知信号を遅延させることが好ましい。
【0055】
ロックオフディレイタイマーリレー66は、ロックオフレバースイッチ51と電磁切換弁38のロックオフソレノイド40との間に配置されている。つまり、ロックオフレバースイッチ51とロックオフソレノイド40とは、ロックオフディレイタイマーリレー66を介して接続されている。ロックオフディレイタイマーリレー66は、通電されると閉じるタイマー付きのリレーである。ロックオフディレイタイマーリレー66は、ロックオフレバースイッチ51から出力されたアンロック操作検知信号を遅延させてロックオフソレノイド40に送出するアンロック用ディレイタイマー部品(ディレイタイマー)である。
【0056】
具体的には、ロックオフディレイタイマーリレー66は、アンロード弁23によりリフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了した後に、アンロック操作検知信号がロックオフソレノイド40に入力されるように、アンロック操作検知信号を遅延させる。このとき、ロックオフディレイタイマーリレー66は、アンロード弁23によりパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了してからアンロック操作検知信号がロックオフソレノイド40に入力されるまでの時間が0.5秒以下となるように、アンロック操作検知信号を遅延させることが好ましい。
【0057】
以上のような油圧駆動装置10を備えたフォークリフト1において、コンテナスプレッダ5の上昇中に、ツイストロックレバー16のロック操作が行われると、ロックオンレバースイッチ50から電磁切換弁37のロックオンソレノイド39にロック操作検知信号であるON信号が出力される。すると、電磁切換弁37が閉位置37aから開位置37bに切り換えられ、油圧ポンプ19の吐出圧がパイロット圧としてツイストロック制御弁30のパイロット操作部35に与えられる。このため、ツイストロック制御弁30が中立位置30aからロック位置30bに切り換えられ、油圧ポンプ17からの作動油がツイストロックシリンダ13のボトム室13aに供給される。このため、ツイストロックシリンダ13が伸長し、ツイストロックピン6がリンク(図示せず)を介してアンロック位置からロック位置まで回転し、ツイストロックピン6がロック状態となる。
【0058】
このとき、ロックオンレバースイッチ50からロックオフリセットリレー59にON信号が出力されるため、ロックオフリセットリレー59が通電されて開状態となり、ロックオフリセットリレー59からロックオフタイマーリレー61にOFF信号が出力される。すると、ロックオフタイマーリレー61が通電されずに開状態となり、ロックオフタイマーリレー61からアンロード弁23のアンロードソレノイド41及びレバーロックソレノイド24にOFF信号が出力される。
【0059】
このため、アンロード弁23が開位置23bから閉位置23aに切り換えられ、リフトレバー14の操作量に応じたパイロット圧がリフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられず、パイロット操作部31の圧力はタンク圧となる。また、レバーロックソレノイド24によってリフトレバー14の操作が不能となるようにリフトレバー14が機械的にロックされる。以上により、リフト制御弁28は上昇位置28bから中立位置28aに切り換えられ、油圧ポンプ17からリフトシリンダ11のボトム室11aへの作動油の供給が遮断される。従って、リフトシリンダ11の伸長動作が停止するため、コンテナスプレッダ5の上昇が停止する。
【0060】
ここで、ロックオンレバースイッチ50から出力されたロック操作検知信号は、ロックオンディレイタイマーリレー65によって所定の時間だけ遅延された状態で電磁切換弁37のロックオンソレノイド39に入力される。このとき、アンロード弁23によりリフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了した後に、ロックオンソレノイド39にロック操作検知信号が入力される。このため、リフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了した後に、ツイストロックピン6の回転動作が開始される。従って、コンテナスプレッダ5の上昇が停止した後に、ツイストロックピン6がロック状態となる。
【0061】
一方、コンテナスプレッダ5の上昇中に、ツイストロックレバー16のアンロック操作が行われると、ロックオフレバースイッチ51から電磁切換弁38のロックオフソレノイド40にアンロック操作検知信号であるON信号が出力される。すると、電磁切換弁38が閉位置38aから開位置38bに切り換えられ、油圧ポンプ19の吐出圧がパイロット圧としてツイストロック制御弁30のパイロット操作部36に与えられる。このため、ツイストロック制御弁30が中立位置30aからアンロック位置30cに切り換えられ、油圧ポンプ17からの作動油がツイストロックシリンダ13のロッド室13bに供給される。このため、ツイストロックシリンダ13が収縮し、ツイストロックピン6がリンク(図示せず)を介してロック位置からアンロック位置まで回転し、ツイストロックピン6がアンロック状態となる。
【0062】
このとき、ロックオフレバースイッチ51からロックオンリセットリレー58にON信号が出力されるため、ロックオンリセットリレー58が通電されて開状態となり、ロックオンリセットリレー58からロックオンタイマーリレー60にOFF信号が出力される。すると、ロックオンタイマーリレー60が通電されずに開状態となり、ロックオンタイマーリレー60からアンロード弁23のアンロードソレノイド41及びレバーロックソレノイド24にOFF信号が出力される。このため、上記と同様に、リフト制御弁28は上昇位置28bから中立位置28aに切り換えられ、油圧ポンプ17からリフトシリンダ11のボトム室11aへの作動油の供給が遮断される。従って、リフトシリンダ11の伸長動作が停止するため、コンテナスプレッダ5の上昇が停止する。
【0063】
ここで、ロックオフレバースイッチ51から出力されたアンロック操作検知信号は、ロックオフディレイタイマーリレー66によって所定の時間だけ遅延された状態で電磁切換弁38のロックオフソレノイド40に入力される。このとき、アンロード弁23によりリフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了した後に、ロックオフソレノイド40にアンロック操作検知信号が入力される。このため、リフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了した後に、ツイストロックピン6の回転動作が開始される。従って、コンテナスプレッダ5の上昇が停止した後に、ツイストロックピン6がアンロック状態となる。
【0064】
図4は、比較例としての油圧駆動装置10の制御系構成図である。本比較例は、電気部品ユニット55がロックオンディレイタイマーリレー65及びロックオフディレイタイマーリレー66を有していない点のみ、図3に示された構成と異なっている。
【0065】
図4において、本比較例では、ツイストロックレバー16のロック操作が行われると、ロックオンレバースイッチ50からロックオフリセットリレー59にON信号が出力されることで、ロックオフタイマーリレー61からアンロード弁23のアンロードソレノイド41に制御信号であるOFF信号が出力されると共に、ロックオンレバースイッチ50から電磁切換弁37のロックオンソレノイド39にロック操作検知信号であるON信号が出力される。
【0066】
このため、図5(a)に示されるように、アンロードソレノイド41に対するパイロット圧の遮断指令と、ロックオンソレノイド39に対するツイストロックピン6のロック指令とがほぼ同時に与えられることになる。従って、ツイストロックレバー16のロック操作を行ってからリフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了するまでの時間Bは、ツイストロックレバー16のロック操作を行ってからロックオンソレノイド39にツイストロックピン6のロック指令が与えられるまでの時間Aよりも長くなる。
【0067】
また、ツイストロックレバー16のアンロック操作が行われると、ロックオフレバースイッチ51からロックオンリセットリレー58にON信号が出力されることで、ロックオンタイマーリレー60からアンロード弁23のアンロードソレノイド41に制御信号であるOFF信号が出力されると共に、ロックオフレバースイッチ51から電磁切換弁38のロックオフソレノイド40にアンロック操作検知信号であるON信号が出力される。
【0068】
このため、上記と同様に、ツイストロックレバー16のアンロック操作を行ってからリフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了するまでの時間は、ツイストロックレバー16のアンロック操作を行ってからロックオフソレノイド40にツイストロックピン6のアンロック指令が与えられるまでの時間よりも長くなる。
【0069】
それに対し、本実施形態では、ロックオンレバースイッチ50から出力されたロック操作検知信号であるON信号は、ロックオンディレイタイマーリレー65によって所定の時間だけ遅延された状態で電磁切換弁37のロックオンソレノイド39に入力される。このため、図5(b)に示されるように、ツイストロックレバー16のロック操作を行ってからロックオンソレノイド39にツイストロックピン6のロック指令が与えられるまでの時間Aは、ツイストロックレバー16のロック操作を行ってからリフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了するまでの時間Bよりも長くなる。
【0070】
また、ロックオフレバースイッチ51から出力されたアンロック操作検知信号であるON信号は、ロックオフディレイタイマーリレー66によって所定の時間だけ遅延された状態で電磁切換弁38のロックオフソレノイド40に入力される。このため、上記と同様に、ツイストロックレバー16のロック操作を行ってからロックオフソレノイド40にツイストロックピン6のロック指令が与えられるまでの時間は、ツイストロックレバー16のアンロック操作を行ってからリフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了するまでの時間よりも長くなる。
【0071】
以上のように本実施形態によれば、コンテナスプレッダ5が動作しているときに、ツイストロックレバー16のロック操作またはアンロック操作が行われたことがロックオンレバースイッチ50またはロックオフレバースイッチ51により検知されると、コンテナスプレッダ5の動作を停止させるような制御信号がロックオンタイマーリレー60またはロックオフタイマーリレー61からアンロード弁23のアンロードソレノイド41に出力されると共に、ロックオンレバースイッチ50またはロックオフレバースイッチ51から電磁切換弁37のロックオンソレノイド39または電磁切換弁38のロックオフソレノイド40に操作検知信号が出力される。アンロード弁23のアンロードソレノイド41に制御信号が入力されると、リフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧が遮断されるため、リフト制御弁28が中立位置28aに切り換わり、油圧ポンプ17からリフトシリンダ11への作動油の供給が遮断される。電磁切換弁37のロックオンソレノイド39または電磁切換弁38のロックオフソレノイド40に操作検知信号が入力されると、ツイストロック制御弁30が中立位置30aからロック位置30bまたはアンロック位置30cに切り換わり、油圧ポンプ17からの作動油がツイストロックシリンダ13に供給されることで、ツイストロックピン6のロック動作またはアンロック動作が開始される。このとき、ロックオンレバースイッチ50またはロックオフレバースイッチ51から出力された操作検知信号は、ロックオンディレイタイマーリレー65またはロックオフディレイタイマーリレー66によって遅延した状態で電磁切換弁37のロックオンソレノイド39または電磁切換弁38のロックオフソレノイド40に入力される。これにより、ツイストロックレバー16のロック操作またはアンロック操作が行われた際に、ツイストロックピン6のロック動作またはアンロック動作に対するアンロード弁23によるパイロット圧の遮断の時間差が抑制される。
【0072】
また、本実施形態では、ロックオンレバースイッチ50から出力されたロック操作検知信号は、ロックオンディレイタイマーリレー65によって遅延した状態で電磁切換弁37のロックオンソレノイド39に入力される。これにより、ツイストロックピン6のロック動作に対するアンロード弁23によるパイロット圧の遮断の時間差が抑制される。また、ロックオフレバースイッチ51から出力されたアンロック操作検知信号は、ロックオフディレイタイマーリレー66によって遅延した状態で電磁切換弁38のロックオフソレノイド40に入力される。これにより、ツイストロックピン6のアンロック動作に対するアンロード弁23によるパイロット圧の遮断の時間差が抑制される。
【0073】
また、本実施形態では、アンロード弁23によりリフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了した後に、電磁切換弁37のロックオンソレノイド39または電磁切換弁38のロックオフソレノイド40に操作検知信号が入力される。従って、コンテナスプレッダ5の動作が停止した後に、ツイストロックピン6のロック動作またはアンロック動作を開始することができる。
【0074】
また、本実施形態では、ロックオンディレイタイマーリレー65は、リフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了してからロック操作検知信号が電磁切換弁37のロックオンソレノイド39に入力されるまでの時間が0.5秒以下となるように、ロック操作検知信号を遅延させる。ロックオフディレイタイマーリレー66は、リフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了してからアンロック操作検知信号が電磁切換弁38のロックオフソレノイド40に入力されるまでの時間が0.5秒以下となるように、アンロック操作検知信号を遅延させる。このため、アンロード弁23によりリフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了した後に、ロックオンソレノイド39及びロックオフソレノイド40の何れか一方に操作検知信号が入力されるタイミングが遅くなり過ぎることが防止される。従って、作業性の向上に寄与することができる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば上記実施形態では、ロックオンディレイタイマーリレー65は、アンロード弁23によりリフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了した後に、ロックオンレバースイッチ50から出力されたロック操作検知信号が電磁切換弁37のロックオンソレノイド39に入力されるように、ロック操作検知信号を遅延させているが、特にその形態には限られない。ロックオンディレイタイマーリレー65は、パイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了する前に、ロック操作検知信号がロックオンソレノイド39に入力されるように、ロック操作検知信号を遅延させてもよい。また、ツイストロックレバー16のロック操作を行ってからロックオンソレノイド39にロック操作検知信号が入力されるまでの時間は、ツイストロックレバー16のロック操作を行ってからパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了するまでの時間と等しくてもよい。
【0076】
また、ロックオフディレイタイマーリレー66は、アンロード弁23によりリフト制御弁28のパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了した後に、ロックオフレバースイッチ51から出力されたアンロック操作検知信号が電磁切換弁38のロックオフソレノイド40に入力されるように、アンロック操作検知信号を遅延させているが、特にその形態には限られない。ロックオフディレイタイマーリレー66は、パイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了する前に、アンロック操作検知信号がロックオフソレノイド40に入力されるように、アンロック操作検知信号を遅延させてもよい。また、ツイストロックレバー16のアンロック操作を行ってからロックオフソレノイド40にアンロック操作検知信号が入力されるまでの時間は、ツイストロックレバー16のアンロック操作を行ってからパイロット操作部31に与えられるパイロット圧の遮断が完了するまでの時間と等しくてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、ロックオンレバースイッチ50から出力されたロック操作検知信号をロックオンディレイタイマーリレー65によって遅延させた状態で電磁切換弁37のロックオンソレノイド39に送出すると共に、ロックオフレバースイッチ51から出力されたアンロック操作検知信号をロックオフディレイタイマーリレー66によって遅延させた状態で電磁切換弁38のロックオフソレノイド40に送出しているが、特にその形態には限られず、ロックオンディレイタイマーリレー65及びロックオフディレイタイマーリレー66の何れか一方のみが備えられていてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、ツイストロックピン6がアンロック状態からロック状態に切り換えられるとき、ツイストロックピン6がロック状態からアンロック状態に切り換えられるときの何れにおいても、コンテナスプレッダ5の上昇動作を停止させているが、特にその形態には限られない。ツイストロックピン6がアンロック状態からロック状態に切り換えられるときのみ、コンテナスプレッダ5の上昇動作を停止させてもよく、この場合には、ロックオンディレイタイマーリレー65のみが備えられていればよい。また、ツイストロックピン6がロック状態からアンロック状態に切り換えられるときのみ、コンテナスプレッダ5の上昇動作を停止させてもよく、この場合には、ロックオフディレイタイマーリレー66のみが備えられていればよい。
【0079】
また、上記実施形態では、ツイストロックレバー16のロック操作またはアンロック操作が行われたときに、コンテナスプレッダ5の上昇動作を停止させているが、特にその形態には限られず、ツイストロックレバー16のロック操作またはアンロック操作が行われたときに、コンテナスプレッダ5の後傾動作を停止させてもよい。この場合には、ティルトパイロット弁22とティルト制御弁29のパイロット操作部33との間に電磁式のアンロード弁を配置すればよい。
【0080】
また、上記実施形態は、コンテナCを吊り上げるコンテナスプレッダ5を装備したフォークリフト1の油圧駆動装置10であるが、本発明は、他の荷物を吊り上げるアタッチメントを装備したフォークリフトにも適用可能である。また、本発明は、荷物を保持する複数の保持部を有し荷物を吊り上げる吊り具を装備した他の産業車両にも適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1…フォークリフト(産業車両)、5…コンテナスプレッダ(吊り具)、6…ツイストロックピン(保持部)、10…油圧駆動装置、11…リフトシリンダ(第1油圧アクチュエータ)、12…ティルトシリンダ(第1油圧アクチュエータ)、13…ツイストロックシリンダ(第2油圧アクチュエータ)、14…リフトレバー(第1操作具)、15…ティルトレバー(第1操作具)、16…ツイストロックレバー(第2操作具)、17~19…油圧ポンプ、23…アンロード弁、28…リフト制御弁(第1制御弁)、29…ティルト制御弁(第1制御弁)、30…ツイストロック制御弁(第2制御弁)、31…パイロット操作部、37,38…電磁切換弁(第2制御弁)、39…ロックオンソレノイド(ロック用ソレノイド操作部)、40…ロックオフソレノイド(アンロック用ソレノイド操作部)、41…アンロードソレノイド(ソレノイド操作部)、50…ロックオンレバースイッチ(操作検知部)、51…ロックオフレバースイッチ(操作検知部)、58…ロックオンリセットリレー(操作検知部)、59…ロックオフリセットリレー(操作検知部)、60…ロックオンタイマーリレー(制御信号出力部)、61…ロックオフタイマーリレー(制御信号出力部)、65…ロックオンディレイタイマーリレー(ロック用ディレイタイマー部品、ディレイタイマー)、66…ロックオフディレイタイマーリレー(アンロック用ディレイタイマー部品、ディレイタイマー)、C…コンテナ(荷物)。
図1
図2
図3
図4
図5