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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】陳列庫棚板
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20220720BHJP
   A47F 1/12 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
A47F5/00 F
A47F1/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018213322
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020078476
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591206500
【氏名又は名称】株式会社 ダイサン
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小瀧 大蔵
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3164643(JP,U)
【文献】実開昭51-098095(JP,U)
【文献】特開2010-051766(JP,A)
【文献】特開2006-020844(JP,A)
【文献】特開2006-239136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 1/00~11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陳列庫の手前側の商品取出口へ向かって下り勾配で配設され、前記陳列庫の奥側に設けられた商品投入口から商品が陳列される棚板と、
前記棚板の商品取出口側に形成された手前側係合孔と、
前記棚板の奥側の端部に幅方向に渡って設けられ、上部に複数の溝部が櫛状に形成された奥側落下防止板と、
前端部が前記棚板の前記手前側係合孔に係合し後端部が前記奥側落下防止板の前記溝部に差し込まれて係合され前記奥側落下防止板から奥側へ突出すると共に、前記棚板を幅方向に仕切る仕切板と、
前記棚板の前記商品取出口側に幅方向に渡って設けられ、前記棚板からの前記商品の滑り落ちを防止する手前側落下防止板と、
を有する陳列庫棚板。
【請求項2】
前記仕切板の商品取出口側下辺面には前記手前側係合孔へ差し込まれる差込片が突設され、前記差込片の先端側には前記手前側係合孔の孔縁下面と当接する爪部が形成されている請求項1に記載の陳列庫棚板。
【請求項3】
前記手前側落下防止板は、前記棚板から鉛直に起立するように設けられ、前記手前側落下防止板の上部は、前記棚板の前記奥側に屈曲している請求項1又は2に記載の陳列庫棚板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列庫棚板に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーやコンビニエンスストア等の販売店では、特許文献1に開示されたような陳列庫棚板(商品陳列ユニット)が使用され、陳列庫棚板の棚板(商品陳列ユニット本体)上には、例えば缶飲料やペットボトル等の各種の商品が載置される。特許文献1の陳列庫棚板では、載置される複数の商品は、買い物客から見て手前側から奥側(後側)に向かう方向(前後方向)に沿って配列される。
【0003】
また、棚板上の商品の列と列との間に仕切板が設けられることによって、商品の列が、長手方向に直交する方向(幅方向)に複数並設される。特許文献1の陳列庫棚板では、仕切板は前方係合部及び後方係合部を有し、前方係合部及び後方係合部は、長手方向の両端の下部から、それぞれ下側に突出する。一方、棚板上では所定の位置に係合孔が設けられ、この係合孔に、仕切板の前方係合部及び後方係合部が差し込まれて嵌合することによって、仕切板が棚板に着脱自在に構成されている。
【0004】
買い物の際、買い物客は、通常、棚板上のいずれかの商品の列において手前側から所望の商品を取り出す。特許文献1の場合、陳列庫棚板の商品取出口側(長手方向の前側)には、商品前方倒れ防止板が、棚板の上面の高さから起立するように設けられ、商品の前方への転倒防止が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許3126947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
商品が買い物客によって取り出され、その列の最前部或いは任意の中間部にスペースが生じると、自重で商品が奥側から手前側へスライドし、生じたスペースが商品で埋められる。しかし、買い物客が、一旦手にした商品を購入せず、元の列の中に戻す場合がある。商品を戻す際、棚板上に配列されている手前側の商品を奥側へ大きく押し戻すと、商品の列全体が奥側に移動し、棚板上に収まりきらない商品が奥側から落下することがある。
【0007】
この点、特許文献1の場合、陳列庫棚板の手前側には商品前方倒れ防止板が設けられているが、陳列庫棚板の奥側には落下防止板は設けられていないため、奥側の商品が棚板の後側から落下し、破損或いは変形する恐れが大きい。陳列庫棚板の奥側に壁があれば、奥側からの落下を防止できるが、販売店の店内レイアウトの都合によっては、壁を設けられない場合もある。
【0008】
また、陳列庫棚板の奥側に背板を配置して落下を防止することも考えられる。しかし、背板と仕切板とを係合させる構造にした場合、仕切板の長手方向(前後方向)寸法が変動すると、背板と仕切板の係合位置を合わせることが難しくなるという問題がある。具体的には、例えば、仕切板の素材が熱可塑性樹脂であって射出成型によって製造される場合、溶融樹脂の冷却時の収縮に起因して、長手方向の長さ寸法に変動が生じ得る。寸法の変動が一定値を超える製品は、棚板の背板への取付けが難しくなるため仕切板として出荷不可能であり、歩留まりの低下が生じる。
【0009】
本発明は上記した問題に着目して為されたものであって、商品が棚板の奥側(後側)から落下することを防止できると共に、仕切板の長さ寸法の変動の許容性を高めた陳列庫棚板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に係る陳列庫棚板は、陳列庫の商品取出口へ向かって下り勾配で配設され商品が載置される棚板と、棚板の商品取出口側に形成された手前側係合孔と、棚板の商品取出口と反対側となる奥側の端部に幅方向に渡って設けられ、上部に複数の溝部が櫛状に形成された奥側落下防止板と、棚板の手前側係合孔と奥側落下防止板の溝部とに係合し棚板を幅方向に仕切る仕切板と、棚板の商品取出口側に幅方向に渡って設けられ、棚板からの商品の滑り落ちを防止する手前側落下防止板と、を有する。
【0011】
上記構成によれば、奥側落下防止板が、棚板の商品取出口の奥側(後側)に幅方向に渡って設けられているので、商品の列が商品取出口側(手前側)から奥側に押し込まれた場合であっても、最後列の商品は、奥側落下防止板に接触し、棚板の後側からの落下が防止される。また、仕切板は、手前側では棚板の手前側係合孔と係合し、奥側では奥側落下防止板の上部に形成された溝部と係合するので、仕切板の後端が、奥側落下防止板の後側へ突出する。すなわち、仕切板が手前側係合孔及び溝部間の長さを有する限り、長さ寸法が変動して後端の位置が変化したとしても、仕切板を安定して支持できる。
【0012】
本発明の第2の態様に係る陳列庫棚板は、仕切板の商品取出口側下辺面には手前側係合孔へ差し込まれる差込片が突設され、差込片の先端側には手前側係合孔の孔縁下面と当接する爪部が形成されている。
【0013】
上記構成によれば、仕切板に、手前側係合孔の孔縁下面と当接する爪部が先端側に形成された差込片が突設されているため、棚板と仕切板との一体性を高めることができる。また、陳列庫棚板の奥側から仕切板を、棚板に差し込んで取り付けることができる。
【0014】
この点、特許文献1を含め従来の陳列庫棚板では、載置した商品の滑動性を良くするために通常ローラーが配設される場合があり、必然的に棚板がローラー直径以上の厚さが必要とされる。このため、仕切板に単純な突起を前後に設け、棚板にその突起に嵌合する孔を設けて仕切板の突起を差し込めば、少なくとも棚板の厚さだけ仕切板の突起が深く嵌合し、仕切板が安定した状態で立設される。一方、棚板が樹脂射出成形で製作されるような場合には、その厚さは、取扱いの簡便性や素材コスト軽減の目的で、載置される商品重量を支える必要最小限の厚さに薄くすることが望ましいとされる。このため、仕切板をそのような薄い棚板に設けた孔に単純に突起を嵌合させただけでは、仕切板が安定した状態で立設されない。
【0015】
本発明の第3の態様に係る陳列庫棚板は、手前側落下防止板は、棚板から鉛直に起立するように設けられ、手前側落下防止板の上部は、棚板の奥側に屈曲している。
【0016】
上記構成によれば、同じ高さの商品であっても、手前側落下防止板に支持される商品の手前側落下防止板より上側に突出する部分を大きくすることができる。このため、手前側落下防止板が同じ長さでありかつ屈曲せず平板状である場合と比べ、同じ高さの商品を、より安定して支持できる。また、手前側落下防止板の高さを低くすることが可能になるため、買い物客が、手前側落下防止板に邪魔されることなく、商品を把持して取り出し易くなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る陳列庫棚板によれば、商品が棚板の奥側(後側)から落下することを防止できると共に、仕切板の長さ寸法の変動の許容性を高めた陳列庫棚板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る陳列庫棚板を、一部を切り欠いて示す斜視図である。
図2】陳列庫棚板の組立て方法を説明する斜視図である。
図3】陳列庫棚板の平面図である。
図4図3中の4-4線断面図である。
図5】陳列庫棚板の仕切板の棚板への差し込み方法を説明する断面図である。
図6】陳列庫棚板が配置された販売店内の状態を、一部を破断して説明する平面図である。
図7】本実施形態に係る陳列庫棚板の使用方法を説明する側面図である(その1)。
図8】本実施形態に係る陳列庫棚板の使用方法を説明する側面図である(その2)。
図9】本実施形態に係る陳列庫棚板の使用方法を説明する側面図である(その3)。
図10】比較例に係る陳列庫棚板の使用方法を説明する側面図である。
図11】第1変形例に係る陳列庫棚板の断面図である。
図12】第1変形例に係る陳列庫棚板の平面図である。
図13】第2変形例に係る陳列庫棚板の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一の部分及び類似の部分には、同一の符号又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判定すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0020】
<陳列庫棚板の構造>
まず、本発明の実施形態に係る陳列庫棚板10の構造について、図1図5を参照して説明する。図1に示すように、陳列庫棚板10は、棚板12と、奥側落下防止板14と、仕切板16と、手前側落下防止板18と、一対の側壁板部20とを備える。なお、図1中では、見易さのため、手前側落下防止板18の一部が切り欠かれて描かれている。
【0021】
本実施形態では、図1中の左下側から右上側に向かう奥行方向を「長手方向」と定義すると共に、図1中の左右方向を「幅方向」と定義する。長手方向と幅方向とは直交する。本実施形態では、長手方向が、陳列庫棚板10の前後方向に相当する。
【0022】
陳列庫棚板10の側壁板部20は、棚板12の幅方向の両端に設けられている。また、手前側落下防止板18は、棚板12の商品取出口側に幅方向に渡って設けられ、棚板12からの商品40A~40Fの滑り落ちを防止する。手前側落下防止板18は、棚板12から鉛直に起立するように、下部が棚板12に差し込まれて設けられている。また、手前側落下防止板18の上部は、棚板12の奥側に屈曲している。
【0023】
棚板12、奥側落下防止板14、仕切板16、手前側落下防止板18及び側壁板部20はいずれも、例えば樹脂等を素材として用いた射出成型によって作製できる。なお、本実施形態では、手前側落下防止板18は、例えばアクリル等の透明素材で作製され、買い物客の視認性が高められているが、本発明ではこれに限定されるものではない。
【0024】
棚板12は、陳列庫30(図6参照)の商品取出口へ向かって、下り勾配で配設され、上面上に商品40A~40Fが載置される。商品取出口は、図1中では手前側落下防止板18が設けられている手前側に位置する。棚板12の商品取出口側には、複数の手前側係合孔12Aが、幅方向に沿ってほぼ等間隔で形成されている。手前側係合孔12Aは、平面視で矩形状の貫通孔であり、長手方向に沿って矩形の長辺が延びるように設けられている。なお、図1中の手前側係合孔12Aの個数は例示であり、本発明では、個数は、適宜変更できる。
【0025】
また、図2に示すように、棚板12の奥側には、2個の後端係合孔12Bが、幅方向に間隔を開けて形成されている。後端係合孔12Bは、平面視で矩形状の貫通孔であり、幅方向に沿って矩形の長辺が延びるように設けられている。なお、本発明では、後端係合孔12Bの個数は、2個に限定されず、適宜変更できる。
【0026】
棚板12の上面は、商品40A~40Fが摺動し易いように、表面の摩擦係数(静止摩擦係数及び動摩擦係数)が小さく抑えられている。具体的には、図示を省略するが、上面上に、長手方向に延出するリブが、複数並列して形成され、上面と商品40A~40Fとの接触面積が低減されている。また、商品40A~40Fを摺動し易くする方法として、表面の平滑処理や塗膜処理が、棚板12の素材に応じて施されてもよい。
【0027】
奥側落下防止板14は、棚板12の商品取出口と反対側となる奥側の端部に幅方向に渡って設けられ、上部には、複数の溝部14Aが、櫛状に形成されている。溝部14Aは、上側に開口すると共に長手方向に沿って貫通する。また、奥側落下防止板14の下部には、2個の差込片14Bが設けられている。差込片14Bの図2中の右端側には、爪部14B1が形成されている。
【0028】
溝部14Aは、図3に示すように、手前側係合孔12Aに対応する位置に、幅方向に沿って複数並設されている。また、手前側において隣り合う手前側係合孔12A同士の間隔と、奥側における隣り合う溝部14A同士の間隔とは、同じである。すなわち、手前側係合孔12Aの個数と溝部14Aの個数とは、同じである。
【0029】
図2に示したように、差込片14Bの長手方向に測った厚みと、後端係合孔12Bの長手方向に測った孔幅とは、ほぼ同じである。また、爪部14B1を含めて幅方向に測った差込片14Bの長さと、後端係合孔12Bの幅方向に測った長さとは、ほぼ同じである。このため、差込片14Bと後端係合孔12Bとは、着脱自在に係合する。
【0030】
また、爪部14B1の上側で差込片14Bの本体の下端との間には、隙間が形成されている。この隙間の上下方向の高さと棚板12の厚みとは、ほぼ同じである。差込片14Bを後端係合孔12Bに鉛直に差し込み、爪部14B1を棚板12の下に突出させ、この状態のまま、奥側落下防止板14を図2中の右側に向かって摺動させれば、爪部14B1の上側の隙間に、後端係合孔12Bの孔縁が、挟み込まれる。孔縁の下に位置する爪部14B1によって奥側落下防止板14の上下方向の移動が抑制されるため、奥側落下防止板14と棚板12との一体性が高められる。
【0031】
仕切板16は、棚板12の手前側係合孔12Aと奥側落下防止板14の溝部14Aとに係合し、棚板12を幅方向に仕切る。仕切板16の後端は、奥側落下防止板14の奥側に突出するように溝部14Aに差し込まれて支持されている。
【0032】
図4に示すように、仕切板16の商品取出口側下辺面には、手前側係合孔12Aへ差し込まれる差込片16Aが突設され、差込片16Aの先端側には、手前側係合孔12Aの孔縁下面と当接する爪部16A1が形成されている。また、差込片16Aの後端面は、奥側から手前側に向かって高さが高くなるように、側面視で、傾斜している。
【0033】
また、棚板12の手前側係合孔12Aと接する孔縁の領域には、薄肉部12A1が設けられている。薄肉部12A1の上面は、周囲より低く、薄肉部12A1の上面と仕切板16の前端との間には、隙間Dが形成されている。
【0034】
差込片16Aの付け根部分の長手方向の長さは、手前側係合孔12Aの長手方向の長さとほぼ同じ長さLAである。また、差込片16Aの幅方向に測った厚みと手前側係合孔12Aの幅方向に測った幅とは、ほぼ同じである。このため、差込片16Aと手前側係合孔12Aとは、嵌合構造を用いて着脱自在に係合する。
【0035】
差込片16Aを手前側係合孔12Aの内側に差し込む方法としては、図5に示すように、まず、仕切板16の前端(図5中の左側)が後端(図5中の右側)より低くなるように、差込片16Aを傾斜させる。そして、差込片16Aの爪部16A1の上側の隙間Dに薄肉部12A1が差し込まれるように、仕切板16を手前側係合孔12Aに近接させ、爪部16A1を薄肉部12A1に当接させる。そして、薄肉部12A1を中心として、仕切板16の後端が棚板12に近接するように仕切板16を回転させる。ここで、仕切板16の前端面の外縁は、側面視で滑らかな円弧状であるため、前端が薄肉部12A1の上側で回転する際、前端の棚板12への干渉が回避される。
【0036】
なお、本発明では、薄肉部12A1は必須ではなく、棚板12の厚みが一様な領域と、この厚みに応じた高さの隙間が上側に形成されるように設けられた爪部16A1とを用いることによって、差込片16Aを回転させることもできる。
【0037】
また、図4に示したように、仕切板16の後端の下部には、切り欠き16Bが設けられている。切り欠き16Bは、矩形状であり、切り欠き16Bより上側の仕切板16の部分が、溝部14Aの内側に配置される。仕切板16が、棚板12の手前側係合孔12Aの前端と奥側落下防止板14との間の長さL1を少なくとも有する限り、量産品の複数の仕切板16に長さ寸法の変動が生じたとしても、奥側落下防止板14によって支持することが可能である。
【0038】
<陳列庫棚板の使用方法>
次に、本実施形態に係る陳列庫棚板10の使用方法を、図6図10を参照して説明する。まず、図6に示すように、陳列庫棚板10は、販売店としてのコンビニエンスストア内に設置された陳列庫30の内側に配置されている。
【0039】
陳列庫30内には、複数の柱32が4本1組で立てられ、組をなす4本の柱32の内側には、複数の陳列庫棚板10が、上下方向に複数段取り付けられている。また、図示を省略するが、陳列庫30内では、4本1組の柱32が、図6中の上下方向に繰り返し配置されると共に、それぞれの組の4本の柱32の内側には、図6中の中央の陳列庫棚板10とは異なる陳列庫棚板10が、複数段取り付けられている。
【0040】
組をなす4本の柱32は、平面視で矩形の4隅に位置するように配置され、4本の柱32の内壁面には、板状の固定具34がそれぞれ設けられている。図7に示すように、陳列庫棚板10は、固定具34が取り付けられた支持板36を介して、下側から支持されている。図示を省略するが、固定具34と柱32とは、例えば雄ネジと雌ネジとを用いたネジ結合等の公知の方法で固定できる。同様に、固定具34と支持板36との間も、ネジ結合等の方法で固定できる。
【0041】
図6に示したように、陳列庫棚板10の手前側(図6中の左側)は、販売店の販売スペースSに面し、販売スペースS側から陳列庫30の扉30Aを開け、陳列庫棚板10上に載置された商品40A~40Fを取り出すことができる。一方、陳列庫30を挟んだ販売スペースSと反対側の領域は、販売店のバックヤードYであり、バックヤードYには、商品40Gを保管する在庫棚42が設置されている。
【0042】
すなわち、本実施形態の陳列庫棚板10は、陳列庫棚板10に商品40A~40Fの載置及び補充を行うために、従業員50が内側に入り込む、いわゆる「ウォークイン冷蔵庫」内に配置されている。陳列庫30は、冷蔵ケースであり、陳列庫30の内部及びバックヤードYは、空調装置44によって一体的に温度管理されている。具体的には、例えば、4℃程度の低温状態が、維持されている。
【0043】
次に、陳列庫棚板10の使用方法を具体的に説明する。まず、図7に示したように、支持板36は、手前側(図7中の左側)が奥側(図7中の右側)より低くなるように下り勾配で傾斜して柱32に取り付けられ、傾斜した支持板36の上に陳列庫棚板10が載置されている。支持板36の商品取出口側の前端には、中央側より高い壁部分が形成され、この壁部分に堰き止められることによって、陳列庫棚板10が支持板36の手前側から落下することが防止されている。また、陳列庫棚板10の棚板12上に配列可能な商品40A~40Fの最大個数は、6個に設定されている。
【0044】
次に、図8に示すように、買い物客60が、陳列庫棚板10の手前側(図8中の左側)から最前列の商品40Aを取り出すと、棚板12上に残された5個の商品40B~40Fは、傾斜した棚板12上を重力で摺動して、手前側落下防止板18側に移動する。
【0045】
次に、図9に示すように、買い物客60が、一旦取り出した商品40Aを棚板12に戻すため、陳列庫棚板10の手前側から最前列の商品40Bを奥側に押し込もうとしても、棚板12の奥側(図9中の右側)には、奥側落下防止板14が設けられている。このため、5個の商品40B~40Fのうち最後列の商品40Fが奥側落下防止板14に突き当たり、奥側落下防止板14より更に奥側には進行できない。また、奥側落下防止板14から5個の一群の商品40B~40Fに反力が加えられ、加えられた反力が、商品40Aを介して買い物客60にも伝達され得る。このため、買い物客60は、押し込みが困難であることを認識できる。
【0046】
一方、図10に示すように、比較例に係る陳列庫棚板10Zの場合、棚板12の奥側(図10中の右側)に奥側落下防止板14が設けられていないため、商品40Aが手前側から差し込まれると、列全体が奥側に向かって移動する。そして、棚板12上に収まりきらない最後列の商品40Fが、棚板12の奥側から落下する。このため、従業員50が落下した商品40Fを拾い上げる手間がかかると共に、落下した商品40Fに傷やへこみ等が生じ得る。
【0047】
(作用効果)
本実施形態に係る陳列庫棚板10によれば、奥側落下防止板14が、棚板12の商品取出口の奥側(後側)に幅方向に渡って設けられている。このため、商品40B~40Fの列が商品取出口側(手前側)から奥側に押し込まれた場合であっても、最後列の商品40Fは、奥側落下防止板14に接触し、棚板12の後側からの落下が防止される。
【0048】
また、仕切板16は、手前側では棚板12の手前側係合孔12Aと係合し、奥側では奥側落下防止板14の上部に形成された溝部14Aと係合するので、仕切板16の後端が、奥側落下防止板14の後側へ突出する。すなわち、仕切板16が手前側係合孔12A及び溝部14A間の長さを有する限り、長さ寸法が変動して後端の位置が変化したとしても、仕切板16を安定して支持できる。よって、商品40B~40Fが棚板12の奥側(後側)から落下することを防止できると共に、仕切板16の長さ寸法の変動の許容性を高めた陳列庫棚板10を提供できる。更に、樹脂射出成形で製作された棚板12であっても仕切板16を安定して立設できる。
【0049】
また、本実施形態では、仕切板16に、手前側係合孔12Aの孔縁下面と当接する爪部が先端側に形成された差込片が突設されているため、棚板12と仕切板16との一体性を高めることができる。更に、差込片16Aの付け根部分の長さと手前側係合孔12Aの長さとが同じ長さLAであると共に、差込片16Aの後端面は、側面視で奥側から手前側に向かって傾斜している。このため、陳列庫棚板10の奥側から仕切板16を棚板12に差し込んで取り付けることが可能になるため、商品40A~40Fの入替時等、仕切り幅を変える作業を容易に行うことができる。
【0050】
また、本実施形態では、手前側落下防止板18は、棚板12から鉛直に起立するように設けられている。また、手前側落下防止板18の上部は、棚板12の奥側に屈曲している。このため、棚板12の上面に沿ってスライドする最前列の商品40Aに対し、手前側落下防止板18の上端は、手前側落下防止板が同じ長さでありかつ屈曲せず平板状である場合と比べ、より堅固に突き当たり、同じ高さの商品40Aを安定して支持できる。また、商品40Aを安定して支持できることから、手前側落下防止板18の高さを低くすることが可能になるため、同じ高さの商品40Aであっても、商品40Aの手前側落下防止板18より上側に突出する部分を長く確保できる。このため、買い物客が、手前側落下防止板18に邪魔されることなく、商品40Aを把持して取り出し易くなる。
【0051】
<第1変形例>
図11に示すように、第1変形例に係る陳列庫棚板10Aの棚板12では、手前側係合孔12Aと後端との間に、仕切板16を支持する中央係合孔12C及び奥側係合孔12Dが設けられている。また、仕切板16の差込片16Aと後端との間に、中央差込片16C及び奥側差込片16Dが設けられている。
【0052】
中央係合孔12Cは、棚板12の長手方向の中央に1個設けられ、中央係合孔12Cには仕切板16の中央差込片16Cが差し込まれる。奥側係合孔12Dは、棚板12の長手方向の奥側(図11中の右側)に2個設けられ、2個の奥側係合孔12Dのそれぞれには、仕切板16の2個の奥側差込片16Dのうち、対応する奥側差込片16Dが差し込まれる。
【0053】
中央差込片16C及び奥側差込片16Dは、それぞれ、差込片16Aと同様に、仕切板16の下部から下側に部分的に張り出すように設けられている。また、中央係合孔12C及び奥側係合孔12Dは、手前側係合孔12Aと同様に、棚板12を厚み方向に貫通している。中央係合孔12Cの長手方向の長さは、仕切板16の寸法誤差が生じても、中央差込片16Cが十分に差し込まれる隙間が確保されるように、中央差込片16Cの長手方向の長さより長く設定されている。また、奥側係合孔12Dの長手方向の長さも、同様に、奥側差込片16Dの長手方向の長さより長く設定されている。
【0054】
中央係合孔12C、奥側係合孔12D、中央差込片16C及び奥側差込片16D以外の陳列庫棚板10Aの構成については、本実施形態に係る陳列庫棚板10の構成と等価であるため、重複説明を省略する。
【0055】
中央係合孔12C、奥側係合孔12D、中央差込片16C及び奥側差込片16Dのように、手前側係合孔12A及び差込片16A以外の補助的な嵌合部を追加することによって、棚板12と仕切板16との一体性を更に高めることができる。第1変形例に係る陳列庫棚板10Aの他の作用効果については、本実施形態に係る陳列庫棚板10の場合と同様である。
【0056】
また、図12に示すように、幅方向に並設される複数の手前側係合孔12Aは、長手方向の配置位置が、それぞれ異なってもよい。図12中に例示した棚板12の場合、幅方向(図12中の上下方向)に隣り合って並設される3本の手前側係合孔12Aのそれぞれの前端の位置は、図12中の上側から下側に向かうに従って、長手方向に一定距離、手前側に変位している。すなわち、3本の手前側係合孔12Aは、平面視で、斜行するように配置されている。
【0057】
棚板12の手前側では、斜行するように配置された3本の手前側係合孔12Aを単位パターンとし、この単位パターンが幅方向に繰り返して形成されている。同様に、棚板12の中央では、3本の中央係合孔12Cが平面視で、斜行するように配置され、この単位パターンが、幅方向に繰り返して形成されている。
【0058】
また、棚板12の奥側では、平面視で、3本の奥側係合孔12Dが斜行するように配置され、この単位パターンが、幅方向に繰り返して形成されている。図12に示した手前側係合孔12A、中央係合孔12C及び奥側係合孔12Dのように、複数の係合孔を長手方向に位置をずらして配置することによって、それぞれの係合孔に対応する差し込み爪を幅方向で近接して隣り合う異なる係合孔に、間違えて差し込むことを防止できる。
【0059】
<第2変形例>
図7に示したように、本実施形態に係る陳列庫棚板10の手前側落下防止板18は、1枚の板状部材が幅方向全体に亘って一定の高さにおいて1回折り曲げられて、上部が屈曲するように構成されていた。しかし、図13に示すように、手前側落下防止板18Aは、下部から上部に亘って滑らかなR形状を有して湾曲することによって、棚板12の奥側に屈曲するように構成されてもよい。すなわち、手前側落下防止板18Aは、側面視で円弧状である。第2変形例に係る陳列庫棚板10Bの手前側落下防止板18Aにおいても、下部は、棚板12から鉛直に起立するように設けられている。手前側落下防止板18A以外の陳列庫棚板10Bの構成については、本実施形態に係る陳列庫棚板10の構成と等価であるため、重複説明を省略する。
【0060】
第2変形例においても、手前側落下防止板18Aの上部が屈曲している。このため、棚板12の上面に沿ってスライドする最前列の商品40Aに対し、手前側落下防止板18Aの上端は、手前側落下防止板が同じ長さでありかつ屈曲せず平板状である場合と比べ、より堅固に突き当たり、同じ高さの商品40Aを安定して支持できる。また、商品40Aの手前側落下防止板18Aより上側に突出する部分を長く確保することができ、買い物客が、手前側落下防止板18Aに邪魔されることなく、商品40Aを把持して取り出し易くなる。第2変形例に係る陳列庫棚板10Bの他の作用効果については、本実施形態に係る陳列庫棚板10の場合と同様である。
【0061】
<その他の実施形態>
本発明は上記の開示した実施の形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。例えば、本実施形態では、陳列庫棚板10が配置される陳列庫30は冷蔵ケースであったが、本発明では、陳列庫棚板10は、冷蔵ケースに限定されず、常温下であっても高温下であっても配置可能である。
【0062】
また、本実施形態では、商品40A~40Fが載置される棚板12の上面には、長手方向に延出するリブが、複数並列して形成されていたが、本発明ではこれに限定されず、例えば、上面が平坦であってもよい。また、図示を省略するが、棚板12の上部に幅方向に沿って延びる回転軸と、この回転軸に取り付けられて回転軸と共に回転するローラーによって、下側から商品40A~40Fを長手方向に沿って送り出してもよい。
【0063】
また、本実施形態では、棚板12と奥側落下防止板14との嵌合構造として、棚板12に凹部として後端係合孔12Bが設けられ、奥側落下防止板14に凸部として差込片14Bが設けられていたが、嵌合構造は、これに限定されない。奥側落下防止板14の下部に凹部(図示省略)が設けられ、棚板12の上面に上側に突出する凸部(図示省略)が設けられてもよい。同様に、棚板12と仕切板16との嵌合構造においても、凹部と凸部とが、本実施形態の場合と反対に設けられてよい。
【0064】
また、陳列庫棚板10の側壁板部20は必須ではなく、側壁板部20は、長手方向で隣り合う柱32間に架け渡された壁部材のような他の部材によって実現されてもよい。また、本実施形態では、棚板12上に配列可能な商品40A~40Fの最大個数として6個の場合が例示されたが、本発明ではこれに限定されない。最大個数は、棚板12の長手方向の長さや商品40A~40Fの寸法に応じて適宜変化して設定できる。
【0065】
また、図1図13中に示したそれぞれの陳列庫棚板の構成を部分的に組み合わせても、本発明を実現できる。本発明は、上記に記載していない様々な実施の形態等を含むと共に、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0066】
10,10A,10B 陳列庫棚板
12 棚板
12A 手前側係合孔
14 奥側落下防止板
14A 溝部
16 仕切板
16A 差込片
16A1 爪部
18,18A 手前側落下防止板
30 陳列庫
40A~40G 商品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13