IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧 ▶ 株式会社大京穴吹不動産の特許一覧

<>
  • 特許-空調システム 図1
  • 特許-空調システム 図2
  • 特許-空調システム 図3
  • 特許-空調システム 図4
  • 特許-空調システム 図5
  • 特許-空調システム 図6
  • 特許-空調システム 図7
  • 特許-空調システム 図8
  • 特許-空調システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/10 20060101AFI20220720BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20220720BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20220720BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20220720BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
F24F7/10 Z
F24F7/003
F24F7/007 B
F24F7/08 101Z
E04B1/76 200C
E04B1/76 200D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018042124
(22)【出願日】2018-03-08
(65)【公開番号】P2019158179
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(73)【特許権者】
【識別番号】507031435
【氏名又は名称】株式会社大京穴吹不動産
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】澤村 亮一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-159557(JP,A)
【文献】国際公開第2015/189899(WO,A1)
【文献】特開2003-302084(JP,A)
【文献】特開平05-321389(JP,A)
【文献】特開2000-074435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/10
F24F 7/003
F24F 7/007
F24F 7/08
E04B 1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
南側居室空間と、北側居室空間と、非居室空間と、からなるマンションの一室に設けられる空調システムであって、
前記南側居室空間の壁面または天井面に設けられる少なくとも一つの南側居室空間給排気口と、
前記北側居室空間の壁面または床面に設けられる少なくとも一つの北側居室空間給排気口と、
前記非居室空間に設けられる少なくとも一つの非居室空間給排気口と、
天井裏、壁面内および床下内に設けられ、前記南側居室空間給排気口、前記北側居室空間給排気口および前記非居室空間給排気口を連結するダクトと、
天井裏における前記ダクト内に設けられる循環ファンと、を備え、
前記循環ファンは、前記ダクト内を通じて前記南側居室空間の空気を前記北側居室空間へ送気し、
前記北側居室空間給排気口は、前記北側居室空間における北側壁面の窓開口部近傍に設けられ、
前記北側居室空間給排気口は、前記窓開口部に設けられる窓と前記窓の前記北側居室空間側に設けられる日射遮蔽部材との間に、前記循環ファンにより前記ダクト内を通じて送気された空気を排気する空調システム。
【請求項2】
南側居室空間と、北側居室空間と、非居室空間と、からなるマンションの一室に設けられる空調システムであって、
前記南側居室空間の壁面または天井面に設けられる少なくとも一つの南側居室空間給排気口と、
前記北側居室空間の壁面または床面に設けられる少なくとも一つの北側居室空間給排気口と、
前記非居室空間に設けられる少なくとも一つの非居室空間給排気口と、
天井裏、壁面内および床下内に設けられ、前記南側居室空間給排気口、前記北側居室空間給排気口および前記非居室空間給排気口を連結するダクトと、
天井裏における前記ダクト内に設けられる循環ファンと、を備え、
前記循環ファンは、前記ダクト内を通じて前記南側居室空間の空気を前記北側居室空間へ送気し、
前記北側居室空間給排気口は、前記北側居室空間における北側壁面の窓開口部近傍に設けられ、
前記北側居室空間給排気口は、前記窓開口部に設けられる内窓と外窓との間に、前記循環ファンにより前記ダクト内を通じて送気された空気を排気する空調システム。
【請求項3】
前記ダクトは、前記北側居室空間および非居室空間の床下内および壁面内において、少なくとも一部が放熱機能を有し、蛇行して設けられる、請求項1または2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記ダクト、前記循環ファン、前記南側居室空間給排気口、前記北側居室空間給排気口および前記非居室空間給排気口のうち少なくとも一つが、内通する空気に対して浄化機能を有する、請求項1~3のいずれかに記載の空調システム。
【請求項5】
前記ダクトの流路切り替えにより、前記南側居室空間の空気を、前記北側居室空間に加えて前記非居室空間の少なくとも一部に送気する、請求項1~4のいずれかに記載の空調システム。
【請求項6】
前記循環ファンの逆回転または流路の切り替えにより、前記北側居室空間の空気を、前記南側居室空間および前記非居室空間に送気する、請求項1~5のいずれかに記載の空調システム。
【請求項7】
前記ダクトは、
前記マンションの屋内の空気を屋外に排気する排気口と、
屋外の空気を前記マンションの屋内に給気する給気口と、を有する換気部を備える、請求項1~6のいずれかに記載の空調システム。
【請求項8】
前記換気部は、前記マンションの屋内の空気と屋外の空気との間で熱交換を行う熱交換換気部である、請求項7に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンションの一室に設けられる空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家やマンション等の居住空間では、冬季において日当たりの良い南側居室は暖房の効きも良く温まりやすいが、日照効果が得られない北側居室は暖房が効き難く、北面外壁、開口部では結露も発生しやすい。外壁、開口部の断熱リフォームを行うと改善はみられるが、南側ゾーンと北側ゾーンの温熱状態の相対差は残る。
【0003】
このような状況では、北側居室は南側居室と比較して低温となり、北側室内の暖房設備は南側よりも低い暖房効率での稼動を必要とする。北側居室では暖房が稼動しても、外気が低温であることから、放熱量が大きく室温の上昇に時間がかかり、また北面外壁側の窓開口部においては結露の発生が避けられない。
【0004】
さらに、非居室空間においては日照効果が得られないが、暖房設備が導入されていない場合も多い。特に、浴室等の水回りゾーンにおいては湿度が高くなりやすく、通常はカビ防止のために換気設備が設けられているため、暖房されていることは少ない。換気設備としては、ファンを利用して室内の空気を外部と交換する空調システムが一般的に用いられる。
【0005】
上記空調システムには、湿度の低い空気を室内へ給気し、湿度の高い空気を屋外に排気するような湿度調整システム(例えば、特許文献1参照)や、気温の異なる空間同士で空気を導入し、あるいは排出するような温度調整システム等(例えば、特許文献2参照)がある。
【0006】
居住空間において、空調システムを用いて空気の温度・湿度を調節することで、居住快適性を向上させうるほか、従来の暖房設備と合わせて適切な箇所で熱交換を行うことで、省エネルギー効果を発揮することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許4818690号公報
【文献】特開2017-172943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年では、さらなる快適性の向上および暖房効率の上昇による省エネルギー効果が得られる空調システムが求められている。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、居住空間内の温湿度の相対差を小さくすることで、快適性を向上させるとともに、暖房効率の上昇による省エネルギー効果が得られる空調システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、南側居室空間(例えば、後述の南側居室空間2)と、北側居室空間(例えば、後述の北側居室空間3)と、非居室空間(例えば、後述の非居室空間4)と、からなるマンションの一室に設けられる空調システム(例えば、後述の空調システム1)であって、前記南側居室空間の壁面または天井面に設けられる少なくとも一つの南側居室空間給排気口(例えば、後述の南側居室空間給排気口21)と、前記北側居室空間の壁面または床面に設けられる少なくとも一つの北側居室空間給排気口(例えば、後述の北側居室空間給排気口31)と、前記非居室空間に設けられる少なくとも一つの非居室空間給排気口(例えば、後述の非居室空間給排気口41)と、天井裏、壁面内および床下内に設けられ、前記南側居室空間給排気口、前記北側居室空間給排気口および前記非居室空間給排気口を連結するダクト(例えば、後述のダクト5)と、天井裏における前記ダクト内に設けられる循環ファン(例えば、後述の循環ファン6)と、を備え、前記ダクトは少なくとも一部に断熱仕様を有し(例えば、後述の断熱材7)、前記循環ファンは、前記ダクト内を通じて前記南側居室空間の空気を前記北側居室空間へ送気する空調システムを提供する。
【0011】
前記北側居室空間給排気口は、前記北側居室空間における北側壁面の窓開口部近傍に設けられることが好ましい。
【0012】
前記ダクトは、前記北側居室空間および非居室空間の床下内および壁面内において、少なくとも一部が放熱機能を有し、蛇行して設けられることが好ましい。
【0013】
前記ダクト、前記循環ファン、前記南側居室空間給排気口、前記北側居室空間給排気口および前記非居室空間給排気口のうち少なくとも一つが、内通する空気に対して浄化機能を有することが好ましい。
【0014】
前記ダクトは、流路切り替えにより、前記南側居室空間の空気を、前記北側居室空間に加えて前記非居室空間の少なくとも一部にも送気が可能であることが好ましい。
【0015】
前記循環ファンは、前記循環ファンの逆回転または流路の切り替えにより、前記北側居室空間の空気を、前記南側居室空間および前記非居室空間に送気することが可能であることが好ましい。
【0016】
前記ダクトは、前記マンションの屋内の空気を屋外に排気する排気口と、屋外の空気を前記マンションの屋内に給気する給気口と、を有する換気部(例えば、後述の換気部8)を備えることが好ましい。
【0017】
前記換気部は、前記マンションの屋内の空気と屋外の空気との間で熱交換を行う熱交換換気部(例えば、後述の熱交換換気部9)であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、日照効果が得られない北側居室および、両居室空間以外の非居室空間に、暖まりやすい南側居室空間の空気を送り込むことによって、冬季における北側居室空間の室温の低下および結露の発生を緩和し、居住空間の快適性を向上させるとともに、暖房効率の上昇による省エネルギー効果が得られる。
また、例えば夏季において、同様の空気の輸送により南側居室空間に発揮された冷房効果を北側居室空間や非居室空間へと拡張することができ、冷房効率の向上も合わせて期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る空調システムを備える居住空間の間取りを示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る空調システムによる暖気の輸送を表す概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係る空調システムの概要を示す図である。
図4】窓開口部近傍での送風によるエアカーテン作用を示す図である。
図5】内窓と外窓の間への送風による結露防止作用を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る空調システムの、無断熱ダクトの蛇行配置を示す平面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る空調システムの、夏季における逆向き運転を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る空調システムのうち、屋外の空気と屋内の空気との換気を行う換気部を備える空調システムを示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る空調システムのうち、屋外の空気と屋内の空気との熱交換を行う熱交換換気部を備える空調システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を例に基づいて説明するが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る空調システム1を備える居住空間10の間取りを示す図である。図2は、本発明の一実施形態に係る空調システム1による暖気の輸送を表す概略図である。図3は、本発明の一実施形態に係る空調システム1の概要を示す図である。
【0022】
空調システム1は、例えば図1に示すような、マンションの一室である居住空間に適用される。この居住空間は、南側居室空間2と、北側居室空間3と、主として両居室空間の中間緯度にある、両居室空間以外の非居室空間4と、からなる居住空間において使用される。
【0023】
居住空間において、空調システム1は、南側居室空間2の壁面または天井面に設けられる少なくとも一つの南側居室空間給排気口21と、北側居室空間3の壁面または床面に設けられる少なくとも一つの北側居室空間給排気口31と、非居室空間4に設けられる少なくとも一つの非居室空間給排気口41と、天井裏、壁面内および床下内に設けられ、南側居室空間給排気口21、北側居室空間給排気口31および非居室空間給排気口41を連結するダクト5と、天井裏におけるダクト5内に設けられる循環ファン6と、を備える。
【0024】
南側居室空間2は、例えば、南側のバルコニーに面するリビングや和室で構成される。北側居室空間3は、例えば、北側の外部の共用廊下に面する2つの洋室で構成される。非居室空間4は、例えば、浴室42、洗面所43、廊下44、トイレ45、玄関46、キッチン47で構成される。
【0025】
南側居室空間給排気口21、北側居室空間給排気口31、非居室空間給排気口41はそれぞれ、空調効果を高めるために、複数箇所設けられていてもよい。
【0026】
ダクト5は、その管周の少なくとも一部に断熱材7を有する。循環ファン6は、ダクト5内を通じて南側居室空間2の空気を北側居室空間3へ送気する。
【0027】
ここで、ダクト5および断熱材7の材質としては特に限定されず、通常の断熱仕様または非断熱仕様の住宅用配管に用いられるものを使用することができる。
【0028】
また、上記のダクト5、循環ファン6、各給排気口は、内通する空気に対して浄化機能を有することが好ましい。ここで、本明細書において浄化機能とは、内通する空気に対して消臭、除菌、抗菌の少なくともいずれかの効果を発揮できる機能を意味する。これらの消臭、除菌、抗菌の各効果は、例えばダクト5、循環ファン6および各給排気口のうち少なくともいずれかに、消臭剤、除菌剤および抗菌剤のうち少なくともいずれかが配置されることにより奏される。
【0029】
本発明の空調システムは新築物件に搭載されるものに限らず、リフォームによって既存の物件に備え付けられてもよい。例えば、マンションリフォームの際、従来の天井位置よりわずかに低い位置に新たな天井を設け、従来の天井と新たな天井の間にダクト5および循環ファン6を設置することで、建物の構造を変えるような大きな工事を行うことなく、本システムを比較的簡便に導入することができる。
【0030】
なお、循環ファン6がどの部屋の天井裏に設置されるかは特に限定されないが、居住空間の快適性を考慮し、天井高さが低くて天井裏が広いうえ、比較的滞在時間の短い非居室空間の上部に設けることが好ましい。居室空間の上部に循環ファン6を設けた場合、循環ファン6の筐体の高さに依って、天井の高さが低くなると、居住者が空間に閉塞感を覚えうるし、ファンの稼動音が騒音となりうるためである。
【0031】
例えば循環ファン6は、浴室42の上部に備えられることが好ましい。上述の理由に加え、循環ファン6の筐体を設置するための空間が広く、導入が容易だからである。
【0032】
次に、本実施形態の空調システム1について、図を用いて詳細に説明する。
【0033】
図3は本実施形態の空調システム1の概要を示す図である。空調システム1は循環ファン6を作動させることで、南側居室空間2の空気を、ダクト5を通じて北側居室空間3および両居室空間以外の非居室空間4へ移送する。一般に、南側居室空間の空気は日照効果により暖まりやすく、北側居室空間および非居室空間の空気よりも高温であることが多い。
【0034】
循環ファン6は、例えば冬季に南側居室空間2において暖房空調を行っているとき、温暖な南側居室空間2の空気を給排気口21より吸入する。吸入された空気はダクト5を通じ、日照効果の低い北側居室空間3へ輸送され、これにより北側居室空間3への暖房効果が発揮される(図2参照)。ダクト5の管周には、暖気の熱を輸送中に失わないよう、断熱材7が設けられている。
また、例えば夏季に南側居室空間2において冷房空調を行っているときには、同様の空気の輸送により南側居室空間2に発揮された冷房効果を北側居室空間3や非居室空間4へと拡張することができ、冷房効率も向上する。
【0035】
ここで、図4は、窓開口部近傍での送風によるエアカーテン作用を示す図である。図4に示すように、空調システム1では、北側居室空間給排気口31が結露の発生しやすい北面窓開口部付近に設けられている。より詳しくは、北側居室空間給排気口31が腰窓の窓台上面に形成され、カーテン・ブラインド32と内窓33との間に暖気が排気される。暖気を窓開口部付近から排気し、窓付近の空気温度を上昇させることで飽和水蒸気量が増加し、結露の発生が緩和される。加えて、窓付近で噴き出した空気がエアカーテンとして作用することで、図4に示すように室内空気から北面窓への熱35の伝達が遮断され、保温効果も得ることができるため、暖房効率が向上する。
【0036】
また、上記の北側居室空間給排気口31は、二重窓の内窓33と外窓34の間に送風できるように設けられていてもよい。図5は、二重窓の内窓33と外窓34の間への送風を示す図である。二重窓の間の空気を暖めることで内窓ガラスの温度が低下しにくくなるため、内窓ガラスの室内側の面における室内空気の冷却を抑えられ、より効果的に室内での結露の発生を防止できる。
【0037】
図6は、空調システム1における無断熱ダクトの蛇行配置を示す平面図である。図5に示すように、空調システム1では、ダクト5が北側居室空間3の床下を通過しており、北側居室空間3に隣接する部分のみ無断熱仕様となっている。そのため、北側居室空間3に向けて放熱が可能である。さらにダクト5は、北側居室空間3の床面との接触面積が大きくなるよう蛇行して配置されているため、放熱効率が高められている。
【0038】
これにより、北側居室空間3に、床面、壁面からの暖房効果が発揮されるため、給排気口を備えていない空間をも加熱でき、また送風のみで暖気が行き渡らない部屋の下隅からも加熱を行うことで、空間を効率よく暖めることができる。また、加熱したい空間との接触面積を広く採ることで伝熱量が増加し、前記の暖房効果がより向上する。
【0039】
また、ダクト5、循環ファン6および各給排気口は、その内部が浄化機能を有することが好ましい。これにより、南側居室空間2中の生活臭や、キッチン等で発生する雑菌等が他空間へ運ばれることを防ぎ、送気先の空間の快適性をさらに向上させることができる。
【0040】
本発明によれば、例えば、就寝前までエアコン等の空調設備により空調をして過ごすLDKの快適な室温空気を、就寝前、就寝中に北側居室空間3内の寝室に送り込み、就寝時の空調、予備空調を行える。寝室に空調設備が備わっている場合であっても、既に空調済みであるLDKの空気を使うことで、熱効率を改善し、寝室の空調設備の使用頻度や負荷を下げることができる。
【0041】
また、空調システム1は、送気先を切り替える機能を有しており、北側居室空間3に加え、非居室空間4中の、浴室42、洗面所43、廊下44、トイレ45、玄関46、キッチン47のうち、少なくとも一箇所の空間にも送気することができる。送気先切り替えの方法としては、例えば、ダクト5の流路の切り替えにより可能である。あるいは、全ての給排気口および給排気口は吸気・送気先に応じて個別に開閉可能に構成することで、同一の循環ファン6にて所望の部屋に送気が可能である。
【0042】
これにより例えば、北側居室空間3と浴室42へ送気することで、北側居室空間3に在室する居住者の快適性を高めつつ、居住者が後に向かう予定である浴室を暖めておくことができる。このように複数箇所で同時に、あるいは逐次に暖気を送り込むことが可能であるため、さらなる快適性の向上が期待できる。
【0043】
図7は、空調システム1の夏季における逆向き運転を示す図である。図6に示すように、空調システム1は、循環ファン6の逆回転または流路の切り替えにより、北側居室空間3の空気を、南側居室空間2および非居室空間4に送気することが可能である。
【0044】
例えば夏季に、比較的低温である北側居室空間3の空気を給排気口31から吸入し、ダクト5を通じて南側居室空間2へと輸送し、給排気口21より放出することで、南側居室空間2に冷房効果を発揮することができる。これにより、南側居室空間2の快適性および冷房効率が向上し、省エネルギー効果が発揮される。この時、給排気口31および給排気口21はダクト5に直結しており、送風通路はダクト5を用いることができる。
【0045】
図8は、本発明の一実施形態に係る空調システム1のうち、屋外の空気と屋内の空気との換気を行う換気部8を備える空調システム1を示す図である。図8に示すように、この空調システム1は、南側に配置された南側換気部81と、北側に配置された北側換気部82と、を有する換気部8を備える。各換気部は、マンションの屋内の空気を屋外に排気する排気口と、屋外の空気をマンションの屋内に給気する給気口と、を有する。北側換気部82は、ダクト5の一部である換気ダクト51を介して循環ファン6に接続されている。なお、南側換気部81が換気ダクトを介して循環ファン6に接続されていてもよい。
【0046】
本空調システム1によれば、ダクト5の一部が換気部8を介して居住空間外部に通じており、送風経路の一部を居住空間の外部とし、新設または既設の給気口により外部からの給気経路も合わせて備えることで、外気との換気が可能である。従って、本空調システム1は24時間計画換気を行うことも可能となる。
【0047】
図9は、本発明の一実施形態に係る空調システム1のうち、屋外の空気と屋内の空気との熱交換を行う熱交換換気部9を備える空調システム1を示す図である。図9に示すように、この空調システム1は、南側に配置された南側熱交換換気部91と、北側に配置された北側熱交換換気部92と、を有する換気部9を備える。各換気部は、屋外側に配置される排気口(フード)と、屋内側に配置される熱交換換気装置と、を有する。
【0048】
本空調システム1によれば、外部より取り込んだ空気を、排気する居住空間内の空気との熱交換により、室温に近づけてから居住空間内へ給気することで、本循環ファンの効果を維持したまま換気を行うことができる。これにより、さらに居住空間内の快適性が向上する。
【符号の説明】
【0049】
1 …空調システム
2 …南側居室空間
21…南側居室空間給排気口
22…エアコン
3 …北側居室空間
31…北側居室空間給排気口
32…カーテン・ブラインド
33…内窓
34…既存窓
35…熱
4 …非居室空間
41…非居室空間給排気口
42…浴室
43…洗面所
44…廊下
45…トイレ
46…玄関
47…キッチン
5 …ダクト
6 …循環ファン
7 …断熱材
8 …換気部
81…南側換気部
82…北側換気部
9 …熱交換換気部
91…南側熱交換換気部
92…北側熱交換換気部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9