(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/84 20060101AFI20220720BHJP
G01S 13/75 20060101ALI20220720BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20220720BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
G01S13/84
G01S13/75
G07G1/00 311D
G06K7/10 144
G06K7/10 264
(21)【出願番号】P 2018117073
(22)【出願日】2018-06-20
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】大石 禎利
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-075927(JP,A)
【文献】特開2012-141273(JP,A)
【文献】特表2010-516006(JP,A)
【文献】特開2013-205101(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0198708(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14
G01S 13/74-13/84
G07G 1/00
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグから送信される電波を受信するアンテナと、
前記アンテナによって受信された電波の位相を検出する検出部と、
前記無線タグに対する前記アンテナの相対位置が、第1の範囲内の第1の位置である場合に計測された位相と、前記相対位置が、前記第1の範囲内の第2の位置である場合に計測された位相との位相差が閾値未満であるか、前記相対位置が、前記第1の範囲とは異なる第2の範囲内の第3の位置である場合に計測された位相と、前記相対位置が、前記第2の範囲内の第4の位置である場合に計測された位相との位相差が前記閾値未満である場合、前記無線タグは所定の範囲外にあると判定する判定部と、を備える通信装置。
【請求項2】
前記アンテナは、前記無線タグから商品コードを受信し、
前記判定部によって所定の範囲内にあると判定された場合、前記商品コードを、決済対象の商品コードとして記憶する記憶部と、を備える請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記相対位置が、前記第1の範囲及び前記第2の範囲とは異なる第3の範囲内の第5の位置である場合に計測された位相と、前記
相対位置が、前記第3の範囲内の第6の位置である場合に計測された位相との位相差が前記閾値未満である場合、前記無線タグは所定の範囲外にあると判定する、請求項1又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記相対位置が前記第1の範囲内である間に、前記無線タグから送信された電波が複数回受信されなかった場合、前記無線タグは所定の範囲外にあると判定する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
無線タグから送信される電波をアンテナで受信し、
前記アンテナによって受信された電波の位相を検出し、
前記無線タグに対する前記アンテナの相対位置が、第1の範囲内の第1の位置である場合に計測された位相と、前記相対位置が、前記第1の範囲内の第2の位置である場合に計測された位相との位相差が閾値未満であるか、前記相対位置が、前記第1の範囲とは異なる第2の範囲内の第3の位置である場合に計測された位相と、前記相対位置が、前記第2の範囲内の第4の位置である場合に計測された位相との位相差が前記閾値未満である場合、前記無線タグは所定の範囲外にあると判定する、通信方法。
【請求項6】
無線タグから送信される電波を受信するアンテナと、前記アンテナによって受信された電波の位相を検出する検出部と、を備えた通信装置が備えるコンピューターを、
前記無線タグに対する前記アンテナの相対位置が、第1の範囲内の第1の位置である場合に計測された位相と、前記相対位置が、前記第1の範囲内の第2の位置である場合に計測された位相との位相差が閾値未満であるか、前記相対位置が、前記第1の範囲とは異なる第2の範囲内の第3の位置である場合に計測された位相と、前記相対位置が、前記第2の範囲内の第4の位置である場合に計測された位相との位相差が前記閾値未満である場合、前記無線タグは所定の範囲外にあると判定する判定部と、して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信装置、通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、購入する商品の登録を客自身が行うためのセルフチェックアウト装置(セルフPOS(point of sale)装置、セルフレジ装置)又はセミセルフチェックアウト装置(セミセルフPOS(point of sale)装置、セミセルフレジ装置)が備えられ、客が商品の登録を行う販売形態を採用する店舗が増加している。
【0003】
一般的に、このようなチェックアウト装置では、客が商品に付されたバーコード又は二次元コードなどのコードシンボルを一点ずつスキャナでスキャンして商品の販売登録を行う。このため、客は商品ごとにそのコードシンボルを探し出し、コードシンボルとスキャナの読み取りの向きをその度に合わせなければならない。このような動作は客にとって負担となる。登録を行う商品の数が増加すれば、それに伴う客の負担も更に増えることとなる。
【0004】
このため、販売登録に時間がかかり、セルフチェックアウト装置又はセミセルフチェックアウト装置での処理効率低下の一要因となっている。
そこで、一部の店舗では、複数の商品に取り付けられたRFID(radio frequency identifier)タグなどの無線タグから商品コードなどの商品情報を一括で読み取り、当該商品情報に基づいて販売登録及び会計処理を行うチェックアウト装置が存在している。このようなチェックアウト装置は、例えば、平板状アンテナを埋設したチェックアウトカウンターの上面に載置された複数の商品に付された無線タグから商品情報を読み取ることができる読取装置を備える。
【0005】
このような読取装置は、近くにいる買物客が所持する無線タグ又は隣の読取装置に置かれた無線タグなどの周囲の無線タグを誤って読まないように、電波を遮断するシールドボックスなどを備えている。このため、装置の規模が大きくなるとともに、システムを構築する際の費用がかかる。また、客などの操作者は、商品などの物品をシールドボックスに出し入れする手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、シールドボックスなどが不要な通信装置、通信方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の通信装置は、アンテナ、検出部及び判定部を含む。アンテナは、無線タグから送信される電波を受信する。検出部は、前記アンテナによって受信された電波の位相を検出する。判定部は、前記無線タグに対する前記アンテナの相対位置が、第1の範囲内の第1の位置である場合に計測された位相と、前記相対位置が、前記第1の範囲内の第2の位置である場合に計測された位相との位相差が閾値未満であるか、前記相対位置が、前記第1の範囲とは異なる第2の範囲内の第3の位置である場合に計測された位相と、前記相対位置が、前記第2の範囲内の第4の位置である場合に計測された位相との位相差が前記閾値未満である場合、前記無線タグは所定の範囲外にあると判定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るチェックアウトシステムの構成の一例を示すブロック図。
【
図2】
図1中の読取装置の要部回路構成を示すブロック図。
【
図3】
図2中のテーブルのデータ構成の一例を示す図。
【
図4】
図1中の駆動装置の要部回路構成を示すブロック図。
【
図6】アンテナの移動による位相変化を説明するための図。
【
図7】
図1中のPOS端末の要部回路構成を示すブロック図。
【
図8】
図7中のプロセッサーによる実施形態に係る処理のフローチャート。
【
図9】
図2中のプロセッサーによる実施形態に係る処理のフローチャート。
【
図10】
図4中のプロセッサーによる実施形態に係る処理のフローチャート。
【
図11】xz平面上の各位置における位相変化量を示す図。
【
図12】xz平面上の各位置における位相変化量を示す図。
【
図13】xz平面上の各位置における位相変化量を示す図。
【
図14】xz平面上の各位置における位相変化量を示す図。
【
図15】xz平面上の各位置における位相変化量を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係るチェックアウトシステムについて図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、各部の縮尺を適宜変更している場合がある。また、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、構成を省略して示している場合がある。
図1は、実施形態に係るチェックアウトシステム1の構成の一例を示すブロック図である。チェックアウトシステム1は、商品の登録、及び登録された商品についての決済を行うためのシステムである。チェックアウトシステム1は、一例として、チェックアウト装置10及び無線タグ600を含む。チェックアウト装置10は、商品の登録、及び登録された商品についての決済を行う装置である。チェックアウト装置10は、一例として、読取装置100、駆動装置200、アンテナ300及びPOS端末400を含む。
【0011】
読取装置100について、
図2を用いて説明する。
図2は、読取装置100の要部回路構成を示すブロック図である。読取装置100は、駆動装置200及びアンテナ300を制御して、無線タグ600から商品コードなどの商品情報を読み取る装置である。商品コードは、個々の商品ごとにユニークに付与された識別符号である。読取装置100は、一例として、プロセッサー101、ROM(read-only memory)102、RAM(random-access memory)103、第1接続インターフェース104、第2接続インターフェース105、高周波フロントエンド部106、デジタル振幅変調部107、DA(digital to analog)変換部108、AD(analog to digital)変換部109及び復調部110を含む。そして、これら各部がバス111などによって接続される。読取装置100は、通信装置の一例である。
【0012】
プロセッサー101は、読取装置100の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分に相当する。プロセッサー101は、ROM102などに記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、読取装置100の各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサー101は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)などである。あるいは、プロセッサー101は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。
【0013】
ROM102は、プロセッサー101を中枢とするコンピューターの主記憶装置に相当する。ROM102は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM102は、上記のプログラムを記憶する。また、ROM102は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0014】
ROM102に記憶されるプログラムは、後述する処理を実行するための制御プログラム1021を含む。一例として、読取装置100は、制御プログラム1021がROM102に記憶された状態で読取装置100の管理者などへと譲渡される。しかしながら、読取装置100は、制御プログラム1021がROM102に記憶されない状態で当該管理者などに譲渡されても良い。また、読取装置100は、制御プログラム1021とは別のプログラムがROM102に記憶された状態で当該管理者などに譲渡されても良い。そして、制御プログラム1021が別途に当該管理者などへと譲渡され、当該管理者又はサービスマンなどによる操作の下にROM102へと書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはインターネット又はLAN(local area network)などのネットワークなどを介したダウンロードにより実現できる。
【0015】
RAM103は、プロセッサー101を中枢とするコンピューターの主記憶装置に相当する。RAM103は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM103は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0016】
また、RAM103は、一例として、テーブル1031及び商品リスト1032を記憶する。
テーブル1031は、一例として、
図3に示すような構成である。
図3は、テーブル1031のデータ構成の一例を示す図である。テーブル1031は、無線タグ600によって送信された電波から抽出した各種情報を記憶する。テーブル1031は、商品コード、位置情報及び位相情報を含む。テーブル1031は、無線タグ600から受信した商品コードと位置情報と位相情報とを関連付けて記憶する。位置情報は、無線タグ600から商品コードを受信したときのアンテナ300の位置を示す情報である。位相情報は、無線タグ600から受信した応答波の位相を示す情報である。
【0017】
商品リスト1032は、決済対象の商品についての商品コードを記憶する。商品リスト1032を記憶するRAM103は、決済対象の商品コードを記憶する記憶部の一例である。
【0018】
また、ROM102又はRAM103は、後述の処理において用いられる閾値を記憶する。当該閾値は、例えば、読取装置100の設計者、管理者又は操作者などによって値が定められる。
【0019】
第1接続インターフェース104は、読取装置100が駆動装置200と通信するためのインターフェースである。
第2接続インターフェース105は、読取装置100がPOS端末400と通信するためのインターフェースである。
【0020】
高周波フロントエンド部106は、アンテナ300へ信号を出力する。高周波フロントエンド部106は、アンテナ300から信号が入力される。
アンテナ300は、無線タグ600との間で電波を送受信する。アンテナ300は、受信した電波を電気信号に変換して、読取装置100に出力する。
【0021】
デジタル振幅変調部107は、例えば、無線タグ600に送信する情報を、無線タグ600に送信する搬送波に付加する回路である。
【0022】
DA変換部108は、デジタル信号をアナログ信号に変換する回路である。DA変換部108は、デジタル振幅変調部107によって変調されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。そして、DA変換部108は、高周波フロントエンド部106を介して、高周波信号をアンテナ300に出力する。
【0023】
AD変換部109は、アナログ信号をデジタル信号に変換する回路である。AD変換部109は、高周波フロントエンド部106を介して、アンテナ300から入力された高周波信号をデジタル信号に変換する。
【0024】
復調部110は、例えば、無線タグ600から受信した電波から各種情報を抽出する回路である。復調部110は、AD変換部109が変換したデジタル信号から商品コードなどの情報を抽出する。また、復調部110は、直交検波方式により、AD変換部109によって変換されたデジタル信号から電波の位相を検出する。したがって、復調部110は、アンテナ300によって受信された電波の位相を検出する検出部の一例である。
【0025】
バス111は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、読取装置100の各部で授受される信号を伝送する。
【0026】
駆動装置200について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、駆動装置200の要部回路構成を示すブロック図である。
図5は、駆動装置200を説明するための模式図である。
駆動装置200は、駆動することでアンテナ300を移動させる。駆動装置200は、
図4に示すように、一例として、プロセッサー201、ROM202、RAM203、接続インターフェース204、駆動部205及びホームポジションセンサー206を含む。そして、これら各部がバス207などによって接続される。また、駆動装置200は、
図5に示すように、一例として、回転軸211、レール212及び移動ステージ213を備える。
【0027】
プロセッサー201は、駆動装置200の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分に相当する。プロセッサー201は、ROM202などに記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、駆動装置200の各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサー201は、例えば、CPU、MPU、SoC、DSP、GPU、ASIC、PLD又はFPGAなどである。あるいは、プロセッサー201は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。
【0028】
ROM202は、プロセッサー201を中枢とするコンピューターの主記憶装置に相当する。ROM202は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM202は、上記のプログラムを記憶する。また、ROM202は、プロセッサー201が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0029】
ROM202に記憶されるプログラムは、後述する処理を実行するための制御プログラム2021を含む。一例として、駆動装置200は、制御プログラム2021がROM202に記憶された状態で駆動装置200の管理者などへと譲渡される。しかしながら、駆動装置200は、制御プログラム2021がROM202に記憶されない状態で当該管理者などに譲渡されても良い。また、駆動装置200は、制御プログラム2021とは別のプログラムがROM202に記憶された状態で当該管理者などに譲渡されても良い。そして、制御プログラム2021が別途に当該管理者などへと譲渡され、当該管理者又はサービスマンなどによる操作の下にROM202へと書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはネットワークなどを介したダウンロードにより実現できる。
【0030】
RAM203は、プロセッサー201を中枢とするコンピューターの主記憶装置に相当する。RAM203は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM203は、プロセッサー201が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0031】
接続インターフェース204は、駆動装置200が読取装置100と接続するためのインターフェースである。
【0032】
図5に示すように、駆動装置200とアンテナ300とは、例えば、カウンター台700の下部に配置される。カウンター台700は、無線タグ600が付された物品500が載置される台である。物品500は、例えば商品である。物品500は、例えば買い物かご800に入れられた状態でカウンター台700に載置される。
【0033】
駆動部205は、例えばステッピングモーターである。
回転軸211は、駆動部205の駆動力を伝達する。回転軸211とレール212にはネジの溝が形成されている。ネジの溝は、対向して連結している。このため、駆動部205が回転駆動すると、回転軸211が回転し、レール212が移動する。レール212には、アンテナ300が載置された移動ステージ213が取り付けられている。
【0034】
移動ステージ213は、ボールネジナットを備え、ボールネジナットによりレール212が回転すると水平方向に移動する。すなわち、移動ステージ213は、
図5に示すx軸方向に移動する。また、移動ステージ213は、レール212の回転方向が逆になった場合には、逆方向に移動する。このようにして、駆動装置200は、アンテナ300をレール212に沿ってx軸方向に往復移動させる。
【0035】
ホームポジションセンサー206は、移動ステージ213がホームポジションと呼ばれる所定の位置にあるか否かを検知するセンサーである。
【0036】
バス207は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、駆動装置200の各部で授受される信号を伝送する。
【0037】
図6は、アンテナ300の移動による位相変化を説明するための図である。駆動装置200がアンテナ300を移動させた際に、アンテナ300から無線タグ600までの距離が短い方が、アンテナ300から無線タグ600までの距離の変化が大きい。例えば、
図6において、地点Aから地点Yまでの距離AYと、地点Bから地点Yまでの距離BYとの変化量(BY-AY)は、地点Aから地点Xまでの距離AXと、地点Bから地点Xまでの距離BXとの距離の変化量(BX-AX)よりも大きい。つまり、アンテナ300から無線タグ600までの距離が短い方が、無線タグ600から受信する電波の位相差も大きくなる。
読取装置100は、アンテナ300が無線タグ600から商品コードを受信したとき、商品コードと、無線タグ応答波の位相と、商品コードを受信したときのアンテナ300の受信位置とを関連付けて記憶する。読取装置100は、異なる受信位置で受信した同一の商品コードに関連付けられた位相を比較する。
そして、読取装置100は、受信位置の変位による変位距離当たりの位相の変化量が閾値以上である場合に、商品コードを送信した無線タグ600は所定の領域の内側にあると判定する。一方、読取装置100は、変位距離当たりの位相の変化量が閾値未満である場合に、商品コードを送信した無線タグ600は所定の領域の外側にあると判定する。
【0038】
POS端末400について、
図7を用いて説明する。
図7は、POS端末400の要部回路構成を示すブロック図である。
POS端末400は、決済対象となる商品の登録、及び登録された商品についての決済などのレジ業務などのために、例えば、小売店などの商店に設置される。POS端末400は、典型的にはPOSシステムに含まれる端末である。しかしながら、POS端末400は、POSシステムに含まれない電子キャッシュレジスターなどであっても良い。POS端末400は、例えば、店舗の買物客などによって操作されるセルフ方式の端末である。あるいは、POS端末400は、商品の登録を行う登録装置と、登録された商品についての決済を行う決済装置とを含んで成るセミセルフ方式の端末であっても良い。セミセルフ方式のPOS端末400は、典型的には、登録装置を店員が操作し、決済装置を買物客が操作する。またあるいは、POS端末400は、店舗の店員などによって操作される端末であっても良い。POS端末400は、一例として、プロセッサー401、ROM402、RAM403、補助記憶デバイス404、通信インターフェース405、接続インターフェース406、入力デバイス407、表示部408、客側表示部409、プリンター410、リーダーライター411及び非接触リーダーライター412を含む。そして、これら各部がバス413などによって接続される。
【0039】
プロセッサー401は、POS端末400の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分に相当する。プロセッサー401は、ROM402又は補助記憶デバイス404などに記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、POS端末400の各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサー401は、例えば、CPU、MPU、SoC、DSP、GPU、ASIC、PLD又はFPGAなどである。あるいは、プロセッサー401は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。
【0040】
ROM402は、プロセッサー401を中枢とするコンピューターの主記憶装置に相当する。ROM402は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM402は、上記のプログラムを記憶する。また、ROM402は、プロセッサー401が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0041】
RAM403は、プロセッサー401を中枢とするコンピューターの主記憶装置に相当する。RAM403は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM403は、プロセッサー401が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0042】
補助記憶デバイス404は、プロセッサー401を中枢とするコンピューターの補助記憶装置に相当する。補助記憶デバイス404は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disk drive)又はSSD(solid state drive)などである。補助記憶デバイス404は、上記のプログラムを記憶する場合もある。また、補助記憶デバイス404は、プロセッサー401が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー401での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0043】
補助記憶デバイス404に記憶されるプログラムは、後述する処理を実行するための制御プログラム4041を含む。一例として、POS端末400は、制御プログラム4041が補助記憶デバイス404に記憶された状態でPOS端末400の管理者などへと譲渡される。しかしながら、POS端末400は、当該プログラムが補助記憶デバイス404に記憶されない状態で当該管理者などに譲渡されても良い。また、POS端末400は、制御プログラム4041とは別のプログラムが補助記憶デバイス404に記憶された状態で当該管理者などに譲渡されても良い。そして、制御プログラム4041が別途に当該管理者などへと譲渡され、当該管理者又はサービスマンなどによる操作の下に補助記憶デバイス404へと書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはネットワークなどを介したダウンロードにより実現できる。
なお、制御プログラム4041は、ROM402に記憶されていても良い。
【0044】
また、補助記憶デバイス404は、商品データベースを記憶する。商品データベースは、店舗で販売されている商品についての商品コード、商品名及び金額などの各種情報を含むデータベースである。あるいは、POS端末400は、サーバーなどに記憶された商品データベースを都度参照するものであっても良い。
【0045】
通信インターフェース405は、POS端末400がネットワークなどを介して通信するためのインターフェースである。
接続インターフェース406は、POS端末400が読取装置100と通信するためのインターフェースである。
【0046】
入力デバイス407は、POS端末400の操作者による操作を受け付ける。入力デバイス407は、例えば、キーボード、キーパッド又はタッチパッドなどである。
【0047】
表示部408は、POS端末400の操作者に各種情報を通知するための画面を表示する。表示部408は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(electro-luminescence)ディスプレイなどのディスプレイである。また、入力デバイス407及び表示部408としては、タッチパネルを用いることもできる。すなわち、タッチパネルが備える表示パネルを表示部408として、タッチパネルが備えるタッチパッドを入力デバイス407として用いることができる。
【0048】
客側表示部409は、買物客に各種情報を通知するための画面を表示する。客側表示部409は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどのディスプレイである。また、客側表示部409としては、タッチパネルを用いることもできる。この場合、客側表示部409は、買物客による操作を受け付ける入力デバイスとしても動作する。
【0049】
プリンター410は、レシートなどを印刷する。プリンター410は、ドットインパクトプリンター、インクジェットプリンター、サーマルプリンター、レーザープリンター又はその他のプリンターなど、種々の方式のプリンターである。
【0050】
リーダーライター411は、磁気カード(磁気ストライプカード)又は接触型ICカードなどと通信を行う。
非接触リーダーライター412は、非接触型ICカードなどと通信を行う。また、非接触リーダーライター412は、電子機器(例えば携帯電話、スマートフォン、タブレットPC等)に搭載された非接触型ICチップと通信を行う。
【0051】
バス413は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、POS端末400の各部で授受される信号を伝送する。
【0052】
無線タグ600は、商品などの物品500に取り付けられる。無線タグ600は、典型的にはRFIDタグである。無線タグ600は、ICタグなどのその他の無線タグであっても良い。無線タグ600は、例えば、アンテナ300から発信された所定の電波をエネルギー源として動作するパッシブ型の無線タグである。無線タグ600は、例えば、無変調信号に対してバックスキャッタ変調を行うことで商品コードを含む信号を発信する。
【0053】
以下、実施形態に係るチェックアウトシステム1の動作を
図8~
図10などに基づいて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
図8は、POS端末400のプロセッサー401による処理のフローチャートである。プロセッサー401は、ROM402又は補助記憶デバイス404などに記憶されたプログラムに基づいてこの処理を実行する。
図9は、読取装置100のプロセッサー101による処理のフローチャートである。プロセッサー101は、ROM102などに記憶されたプログラムに基づいてこの処理を実行する。
図10は、駆動装置200のプロセッサー201による処理のフローチャートである。プロセッサー201は、ROM202などに記憶されたプログラムに基づいてこの処理を実行する。なお、プロセッサー101、プロセッサー201又はプロセッサー401がActN(Nは、自然数。)の処理の後にAct(N+1)へと進む場合、このことを説明する記載を省略する場合がある。
【0054】
POS端末400のプロセッサー401は、例えば、POS端末400が起動されたことに応じて、
図8に示す処理を開始する。
図8のAct11においてプロセッサー401は、開始画面に対応した画像を生成する。そして、プロセッサー401は、生成したこの画像を表示するように表示部408に対して指示する。この指示を受けて表示部408は、開始画面を表示する。
開始画面は、一例として、開始ボタンを含む。当該開始ボタンは、商品登録の開始を指示する場合に操作者が操作するためのボタンである。
【0055】
例えば、POS端末400の操作者は、決済対象としたい物品500をカウンター台700の上に載せる。そして、当該操作者は、開始ボタンを操作するなどの、商品登録の開始を指示する操作を行う。
Act12においてプロセッサー401は、商品登録の開始を指示する操作が行われるのを待ち受ける。すなわちプロセッサー401は、操作ボタンを操作するなどの予め定められた操作が行われるのを待ち受ける。プロセッサー401は、商品登録の開始を指示する操作が行われたならば、Act12においてYesと判定してAct13へと進む。
【0056】
Act13においてプロセッサー401は、読取開始コマンドを読取装置100に送信するように接続インターフェース406に対して指示する。この指示を受けて接続インターフェース406は、当該スキャン開始コマンドを読取装置100に送信する。送信された当該スキャン開始コマンドは、読取装置100の第2接続インターフェース105によって受信される。スキャン開始コマンドは、無線タグ600から商品コードを読み取るように指示するコマンドである。
【0057】
一方、
図9のAct21において読取装置100のプロセッサー101は、第2接続インターフェース105によってスキャン開始コマンドが受信されるのを待ち受けている。プロセッサー101は、スキャン開始コマンドが受信されたならば、Act21においてYesと判定してAct22へと進む。
【0058】
Act22においてプロセッサー101は、駆動開始コマンドを駆動装置200に送信するように第2接続インターフェース105に対して指示する。この指示を受けて第2接続インターフェース105は、当該駆動開始コマンドを駆動装置200に送信する。送信された当該駆動開始コマンドは、駆動装置200の接続インターフェース204によって受信される。駆動開始コマンドは、駆動を開始してアンテナ300の移動を開始するように指示するコマンドである。
【0059】
一方、
図10のAct41において駆動装置200のプロセッサー201は、接続インターフェース204によって駆動開始コマンドが受信されるのを待ち受けている。プロセッサー201は、駆動開始コマンドが受信されたならば、Act41においてYesと判定してAct42へと進む。
【0060】
Act42においてプロセッサー201は、アンテナ300の往復移動を開始するように駆動部205を制御する。当該制御により、駆動部205は、駆動を開始する。これにより、アンテナ300の往復移動が開始される。
【0061】
一方、
図9のAct23において読取装置100のプロセッサー101は、各部を制御して、無線タグ600から情報を読み取るための所定の電波の送信を開始する。当該電波は、アンテナ300から送信される。
【0062】
Act24においてプロセッサー101は、商品コードを読み取ったか否かを判定する。プロセッサー101は、商品コードを読み取ったと判定するならば、Act24においてNoと判定してAct25へと進む。
【0063】
Act25においてプロセッサー101は、第1接続インターフェース104によって終了通知が受信されたか否かを判定する。プロセッサー101は、終了通知が受信されないならば、Act25においてNoと判定してAct24へと戻る。かくして、プロセッサー101は、商品コードを読み取ったと判定するか、終了通知が受信されるまでAct24及びAct25を繰り返す。
【0064】
アンテナ300は、無線タグ600から送信された応答波を受信する。当該応答波は、復調部110によって復調される。復調された応答波に商品コードが含まれるならば、プロセッサー101は、商品コードを読み取ったと判定する。
プロセッサー101は、Act24及びAct25の待受状態にあるときに商品コードを読み取ったと判定するならば、Act24においてYesと判定してAct26へと進む。
【0065】
Act26においてプロセッサー101は、入力された商品コードに位置情報及び位相情報を関連付けてテーブル1031に記憶する。すなわち、プロセッサー101は、例えば、当該商品コード、当該位置情報及び当該位相情報を含むレコードをテーブル1031に追加する。当該位置情報は、例えば、商品コードが含まれる応答波が受信された際のアンテナの位置を示す。また、当該位相情報は、当該応答波の位相を示す。プロセッサー101は、Act26の処理の後、Act24へと戻る。
【0066】
一方、
図10のAct43において駆動装置200のプロセッサー201は、アンテナ300の往復移動が終了するのを待ち受ける。プロセッサー201は、アンテナ300の往復移動が終了したならば、Act43においてYesと判定してAct44へと進む。
【0067】
Act44においてプロセッサー201は、終了通知を読取装置100に送信するように接続インターフェース204に対して指示する。この指示を受けて接続インターフェース204は、当該終了通知を読取装置100に送信する。送信された当該終了通知は、読取装置100の第1接続インターフェース104によって受信される。終了通知は、アンテナ300の往復移動が終了したことを通知するものである。プロセッサー201は、Act44の処理の後、Act41へと戻る。
【0068】
一方、プロセッサー101は、
図9のAct24及びAct25の待受状態にあるときに終了通知が受信されたならば、Act25においてYesと判定してAct27へと進む。
【0069】
Act27においてプロセッサー101は、Act23で送信を開始した所定の電波の送信を終了する。
【0070】
Act28においてプロセッサー101は、テーブル1031に含まれる商品コードのうち、未選択のものがあるか否かを判定する。プロセッサー101は、未選択の商品コードがあるならば、Act28においてYesと判定してAct29へと進む。
【0071】
Act29においてプロセッサー101は、テーブル1031に含まれる商品コードのうち、未選択のものから1つを選択する。ここで選択された商品コードを、以下「選択中の商品コード」という。なお、選択中の商品コードは1つである。プロセッサー101がAct29の処理を複数回実行した場合には、最後に選択した商品コードが選択中の商品コードとなる。
【0072】
Act30においてプロセッサー101は、選択中の商品コードについて、読み取り範囲内にある無線タグ600から読み取られたものであるか否かを判定する。すなわち、プロセッサー101は、位相変化量が、設定された全てのエリアで閾値以上であるか否かを判定する。以下、位相変化量及びエリアについて、
図11及び
図12に基づいて説明する。
読取装置100は、位置情報に対して複数のエリアを設定する。一例として、読取装置100は、x=0~100mmの範囲をエリアAR11とし、x=100~200mmの範囲をエリアAR12とする。この場合、設定されたエリアの数は2つである。なお、どのようにエリアを設定するかは、例えば、読取装置100の設計者又は管理者などによって予め定められる。
プロセッサー101は、設定されたエリアそれぞれについて、位相変化量を求める。一例として、エリアAR11についての位相変化量の求め方を説明する。すなわち、プロセッサー101は、テーブル1031を参照して、以下の(1)及び(2)の条件を満たすレコードの中から、位相情報フィールドの値の最大値と最小値とを抽出する。
(1)商品コードフィールドの値が選択中の商品コードであり、
(2)位置情報フィールドの値がエリアAR11の範囲内である。すなわち、位置情報フィールドの値が0~100の範囲である。
そして、プロセッサー101は、当該最大値と当該最小値との差を求める。この差が位相変化量である。プロセッサー101は、同様に各エリアについて、位相変化量を求める。
図11及び
図12には、無線タグ600がxz平面上の各位置にあった場合における、各位置の位相変化量の理論値を示している。なお、
図11及び
図12に示す無線タグ600の位置のy座標は0とする。また、
図11は、エリアAR11についての位相変化量を示している。そして、
図12は、エリアAR12についての位相変化量を示している。
【0073】
遠方(例えばz>320mm)にある無線タグ600は、
図11及び
図12に示すように、エリアAR11とエリアAR12の両方で位相変化量が小さい。一方、近傍の位置1000に着目した場合、エリアAR11での位相変化量は小さい(閾値未満である)が、エリアAR12での位相変化量は大きい(閾値以上である)。
【0074】
プロセッサー101は、求めた位相変化量がいずれも閾値以上である場合、すなわち、設定された全てのエリアについての位相変化量が閾値以上である場合、Act30においてYesと判定してAct31へと進む。
対して、プロセッサー101は、いずれかのエリアについての位相変化量が閾値未満である場合、Act30においてNoと判定してAct32へと進む。なお、プロセッサー101は、(1)及び(2)の条件を満たすフィールドの数が複数でないエリアがある場合、Act30においてNoと判定してAct32へと進む。すなわち、プロセッサー101は、(1)及び(2)の条件を満たすフィールドの数が1以下であるエリアがある場合、Act30においてNoと判定してAct32へと進む。このような無線タグ600は、このような無線タグ600は、遠距離にある可能性高いためである。
【0075】
以上、設定エリアがエリアAR11とエリアAR12の2つである場合について説明した。しかしながら、エリアの数は3つ以上であっても良い。例えば、エリアAR21~エリアAR23の3つのエリアが設定される場合について、
図13~
図15に示す。
プロセッサー101は、一例として、x=0~100mmの範囲をエリアAR21とし、x=50~150mmの範囲をエリアAR22とし、x=100~200mmの範囲をエリアAR23とする。この場合、遠方(例えばz>320mm)にある無線タグ600は、
図13~
図15に示すように、エリアAR21~エリアAR23のいずれにおいても位相変化量が小さい。一方、近傍の位置1001に着目した場合、エリアAR21及びエリアAR22での位相変化量は小さい(閾値未満である)が、エリアAR23での位相変化量は大きい(閾値以上である)。
【0076】
以上より、プロセッサーは、無線タグ600が所定の範囲外にあることを判定する判定部の一例である。
また、エリアAR11及びエリアAR12は、第1の範囲及び第2の範囲の一例である。エリアAR21~エリアAR23は、第1の範囲~3の範囲の一例である。各エリアにおける位相情報フィールドの値が最大値を示すレコードの位置情報フィールドが示す位置と、最小値を示すレコードの位置情報フィールドが示す位置とは、それぞれ、第1の位置~第6の位置の一例である。
【0077】
Act31においてプロセッサー101は、選択中の商品コードが、読み取り範囲内にある無線タグ600から読み取られたものであると判定する。プロセッサー101は、選択中の商品コードを商品リストに登録する。また、プロセッサー101は、当該商品コードが選択済みであることが分かるようにする。例えば、プロセッサー101は、選択済みリストに当該商品コードを追加する。選択済みリストは、選択済みの商品コードを記憶するリストである。プロセッサー101は、Act31の処理の後、Act28へと戻る。
【0078】
一方、プロセッサー101は、同一の商品コードを含むレコードが複数ないならば、Act30においてNoと判定してAct32へと進む。また、プロセッサー101は、位相変化量がいずれかのエリアで閾値未満であるならば、Act30においてNoと判定してAct32へと進む。
【0079】
Act32においてプロセッサー101は、選択中の商品コードは、読み取り範囲外にある無線タグ600から読み取られたものであると判定する。プロセッサー101は、当該商品コードが選択済みであることが分かるようにする。例えば、プロセッサー101は、選択済みリストに当該商品コードを追加する。プロセッサー101は、Act32の処理の後、Act28へと戻る。
【0080】
以上のように、プロセッサー101は、Act28~Act32の処理を繰り返すことで、テーブル1031に含まれる各商品コードが、読み取り範囲内にあるか否かを判定する。
【0081】
プロセッサー101は、未選択の商品コードがないならば、Act28においてNoと判定してAct33へと進む。
【0082】
Act33においてプロセッサー101は、商品リストをPOS端末400に送信するように第2接続インターフェース105に対して指示する。この指示を受けて第2接続インターフェース105は、当該商品リストをPOS端末400に送信する。送信された当該商品リストは、POS端末400の通信インターフェース405によって受信される。
【0083】
Act34においてプロセッサー101は、商品リスト、テーブル1031及び選択済みリストをリセットする。すなわち、プロセッサー101は、商品リストを、何も登録されていない状態にする。また、プロセッサー101は、例えば、テーブル1031のレコードを全て削除する。さらに、プロセッサー101は、選択済みリストを、何も登録されていない状態にする。プロセッサー101は、Act34の処理の後、Act21へと戻る。
【0084】
一方、
図8のAct14においてPOS端末400のプロセッサー401は、通信インターフェース405によって商品リストが受信されるのを待ち受けている。プロセッサー401は、商品リストが受信されたならば、Act14においてYesと判定してAct15へと進む。
【0085】
Act15においてプロセッサー401は、確認画面に対応した画像を生成する。そして、プロセッサー401は、生成したこの画像を表示するように表示部408に対して指示する。この指示を受けて表示部408は、確認画面を表示する。
確認画面は、商品リストに登録されている商品の一覧と、当該各商品の金額と、当該商の合計金額と、決済ボタンとを含む。決済ボタンは、商品リストに登録されている商品についての決済を行うように指示する場合に操作者が操作するためのボタンである。
【0086】
Act16においてプロセッサー401は、決済を行うように指示する操作が行われるのを待ち受ける。すなわちプロセッサー401は、決済ボタンを操作するなどの予め定められた操作が行われるのを待ち受ける。プロセッサー401は、決済を行うように指示する操作が行われたならば、Act16においてYesと判定してAct17へと進む。対して、プロセッサー401は、決済を行うように指示する操作が行われないならば、Act16においてNoと判定してAct18へと進む。
【0087】
Act17においてプロセッサー401は、商品リストに登録された商品コードに基づいて決済処理を行う。なお、プロセッサー401は、当該商品コードで示される商品の金額及び商品名などは、商品データベースから取得する。プロセッサー401は、決済処理において、例えば、現金、クレジットカード、デビットカード、クーポン、商品券、電子マネー又はQR決済などを用いた決済を行う。決済処理については、周知の処理であるため詳細な説明は省略する。
【0088】
Act18においてプロセッサー401は、決済処理の結果に基づきレシートなどを発行するようプリンター410を制御する。プリンター410は、当該制御に基づきレシートなどを発行する。プロセッサー401は、Act18の処理の後、Act11へと戻る。
【0089】
実施形態の読取装置100は、位置情報に対して2つ以上のエリアを設定する。そして、読取装置100は、それぞれの無線タグ600から読み取った商品コードについて、各各エリアの位相変化量が閾値以上であるか否かを判定する。そして、読取装置100は、いずれかのエリアについての位相変化量が閾値未満である場合、当該無線タグ600が読取範囲外にあると判定する。
読取装置100は、以上のように2つ以上のエリアに分けて判定を行うことで、従来よりも、無線タグ600が読み取り範囲内にあるか否かの判定を高精度で行うことができる。これにより、読取装置100は、周囲の無線タグから誤って情報を読み取らないようにすることができる。
【0090】
実施形態の読取装置100は、読取範囲内にあると判定した無線タグ600から読み取った商品コードを、決済対象の商品コードとして記憶する。これにより、読取装置100は、決済対象の商品コードをPOS端末400に送信することで、POS端末400は受信した当該決済コードに基づき決済を行うことができる。
【0091】
実施形態の読取装置100は、3つ以上のエリアを設定しても良い。このようにすることで、読取装置100は、無線タグ600が読み取り範囲内にあるか否かの判定をさらに高い精度で行うことができる。
【0092】
実施形態の読取装置100は、特定の無線タグ600から送信された電波がエリア内において複数回受信されなかった場合、読取範囲外にあると判定する。このような判定により、読取装置100は、無線タグ600が読み取り範囲外にあることを判定することができる。
【0093】
上記の実施形態は以下のような変形も可能である。
上記の実施形態では、アンテナ300は、受信と送信を行う。しかしながら、読取装置100に接続されるアンテナは、受信用と送信用とで分かれていても良い。
【0094】
上記の実施形態では、アンテナ300を移動させた。これに代えて、無線タグ600が付された物品500の方を移動させる態様であっても良い。アンテナ300を移動させる場合でも、物品500を移動させる場合でも、無線タグ600に対するアンテナ300の相対位置が変わることとなる。また、アンテナ300と物品500の両方を移動させる態様であっても良い。
【0095】
読取装置100は、複数のアンテナが接続されていても良い。そして、読取装置100は、複数のアンテナのそれぞれで、無線タグ600から送信される電波を受信しても良い。また、上記の実施形態では、読取装置100は、アンテナ300を移動させることで、無線タグ600から送信される電波を複数の位置で受信する。読取装置100は、アンテナ300を移動することに代えて、複数の位置に設けられたアンテナを用いることで、無線タグ600から送信される電波を複数の位置で受信することができる。この場合、アンテナの移動が不要となるため、チェックアウト装置10は、静音性に優れる。また、アンテナの移動にかかる時間も不要なため、チェックアウト装置10は、高速な動作が可能となる。
【0096】
上記の実施形態では、読取装置100は、アンテナを一度移動させて、Act26において位相を記憶する。そして、読取装置100は、設定されたエリアごとの位相変化量をもとめる。このようにして、読取装置100は、仮想的にアンテナ300を複数のエリアで移動させる。しかしながら、読取装置100は、設定されたエリアに対応する範囲それぞれにおいてアンテナを移動させて計測を行っても良い。
【0097】
上記の実施形態では、一例として、読取装置100がチェックアウトシステム1において用いられる場合について説明した。しかしながら、読取装置100は、その他の種々のシステムにおいても用いることが可能である。読取装置100は、その他の種々のシステムにおいても読み取り範囲内の複数の無線タグ600から一括して情報を読み取ることが可能である。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
無線タグから送信される電波を受信するアンテナと、
前記アンテナによって受信された電波の位相を検出する検出部と、
前記無線タグに対する前記アンテナの相対位置が、第1の範囲内の第1の位置である場合に計測された位相と、前記相対位置が、前記第1の範囲内の第2の位置である場合に計測された位相との位相差が閾値未満であるか、前記相対位置が、前記第1の範囲とは異なる第2の範囲内の第3の位置である場合に計測された位相と、前記相対位置が、前記第2の範囲内の第4の位置である場合に計測された位相との位相差が前記閾値未満である場合、前記無線タグは所定の範囲外にあると判定する判定部と、を備える通信装置。
[C2]
前記アンテナは、前記無線タグから商品コードを受信し、
前記判定部によって所定の範囲内にあると判定された場合、前記商品コードを、決済対象の商品コードとして記憶する記憶部と、を備えるC1に記載の通信装置。
[C3]
前記判定部は、前記相対位置が、前記第1の範囲及び前記第2の範囲とは異なる第3の範囲内の第5の位置である場合に計測された位相と、前記アンテナの位置が、前記第3の範囲内の第6の位置である場合に計測された位相との位相差が前記閾値未満である場合、前記無線タグは所定の範囲外にあると判定する、C1又はC2に記載の通信装置。
[C4]
前記判定部は、前記相対位置が前記第1の範囲内である間に、前記無線タグから送信された電波が複数回受信されなかった場合、前記無線タグは所定の範囲外にあると判定する、C1乃至C3のいずれか1項に記載の通信装置。
[C5]
無線タグから送信される電波をアンテナで受信し、
前記アンテナによって受信された電波の位相を検出し、
前記無線タグに対する前記アンテナの相対位置が、第1の範囲内の第1の位置である場合に計測された位相と、前記相対位置が、前記第1の範囲内の第2の位置である場合に計測された位相との位相差が閾値未満であるか、前記相対位置が、前記第1の範囲とは異なる第2の範囲内の第3の位置である場合に計測された位相と、前記相対位置が、前記第2の範囲内の第4の位置である場合に計測された位相との位相差が前記閾値未満である場合、前記無線タグは所定の範囲外にあると判定する、通信方法。
[C6]
無線タグから送信される電波を受信するアンテナと、前記アンテナによって受信された電波の位相を検出する検出部と、を備えた通信装置が備えるコンピューターを、
前記無線タグに対する前記アンテナの相対位置が、第1の範囲内の第1の位置である場合に計測された位相と、前記相対位置が、前記第1の範囲内の第2の位置である場合に計測された位相との位相差が閾値未満であるか、前記相対位置が、前記第1の範囲とは異なる第2の範囲内の第3の位置である場合に計測された位相と、前記相対位置が、前記第2の範囲内の第4の位置である場合に計測された位相との位相差が前記閾値未満である場合、前記無線タグは所定の範囲外にあると判定する判定部と、して機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0099】
1……チェックアウトシステム、10……チェックアウト装置、100……読取装置、101,201,401……プロセッサー、102,202,402……ROM、103,203,403……RAM、104……第1接続インターフェース、105……第2接続インターフェース、106……高周波フロントエンド部、107……デジタル振幅変調部、108……DA変換部、109……AD変換部、110……復調部、111,207,413……バス、200……駆動装置、204,406……接続インターフェース、205……駆動部、206……ホームポジションセンサー、211……回転軸、212……レール、213……移動ステージ、300……アンテナ、400……POS端末、404……補助記憶デバイス、405……通信インターフェース、407……入力デバイス、408……表示部、409……客側表示部、410……プリンター、411……リーダーライター、412……非接触リーダーライター、500……物品、600……無線タグ、1021,2021,4041……制御プログラム、1031……テーブル