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特許7110115随意に疎水性の濾過膜を有し、それのための前側支持構造を有する、医療デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】随意に疎水性の濾過膜を有し、それのための前側支持構造を有する、医療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20220725BHJP
【FI】
A61M1/16 101
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018560630
(86)(22)【出願日】2017-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2017061734
(87)【国際公開番号】W WO2017198667
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-05-13
(31)【優先権主張番号】102016109196.0
(32)【優先日】2016-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】バイス、マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】ラウアー、マルティン
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03631654(US,A)
【文献】特表2012-524559(JP,A)
【文献】特開2008-055100(JP,A)
【文献】特開昭62-133966(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0132826(US,A1)
【文献】特表2006-520634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61M 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 第1の医療流体(5)、特に血液のための流体システムと、
- デバイス本体(201)と、
- 少なくとも第2の気体流体(19)、特に空気が前記流体システムに供給され得る濾過表面をもつ少なくとも1つの疎水性の濾過デバイスとを有し、
ここにおいて、前記濾過デバイスが少なくとも1つの濾過膜(9)を備え、
ここにおいて、前記濾過膜(9)が後側(9a)と前側(9b)とを有し、
ここにおいて、前記濾過膜(9)の前記後側(9a)が、溶接部分(203)に沿って前記デバイス本体(201)の部分に溶接され、
ここにおいて、前記濾過デバイスが、前記濾過膜(9)の前記前側(9b)において前支持構造(27)を備える、
医療デバイス(200)であって、
前記前支持構造(27)が、前記前支持構造(27)の第1の接触部分(27a)を通して前記溶接部分(203)に接触するように配置され、
前記前支持構造(27)の前記第1の接触部分(27a)が、使用中に、加圧されるもしくは圧力を最大限にかけられる、前記濾過膜(9)のエリアのうちの1つに向かうように、前記デバイス本体(201)の前記溶接部分(203)を越えて突き出ており
前記溶接部分(203)および前記第1の接触部分(27a)が、リング領域であること
を特徴とする、医療デバイス(200)。
【請求項2】
前記前支持構造(27)が第2の接触部分(27d)を備え、ここにおいて、前記前支持構造(27)が、第2の接触部分(27d)を通して前記デバイス本体(201)の支持部分(204)に接触するように配置される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記第2の接触部分(27d)が、前記デバイス本体(201)の前記支持部分(204)に溶接される、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記第2の接触部分(27d)が、前記デバイス本体(201)の前記支持部分(204)で締め付けられる、請求項2または3に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記前支持構造(27)の前記第1の接触部分(27a)が、前記前支持構造(27)の他の部分またはすべての他の部分よりも柔らかい材料から作られる、請求項1から4のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記前支持構造(27)が、正確に1つのみの材料から作られる、またはそれからなる、またはそれである、請求項1から5のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記前支持構造(27)の前記第1の接触部分(27a)が、解放可能な様式で前記前支持構造(27)のさらなる部分に接続される、請求項1から6のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記前支持構造(27)の前記第1の接触部分(27a)が、前記前支持構造(27)のさらなる部分とは色が異なる、請求項1から7のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記前支持構造(27)が、直径または幅が、最大0.7mmであり、好ましくは最大0.5mmである開口(28)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記前支持構造(27)が、第2の濾過膜(10)である、またはそれを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記濾過膜(9)が、少なくとも2つの層を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも2つの層の第1の層が、溶接することが困難であり、接着することが困難である材料、特にポリテトラフルオロエチレンまたは延伸ポリテトラフルオロエチレンからなる、またはそれを備え、前記少なくとも2つの層の第2の層、特に担体フリースが、排液および/または支持機能を有し、溶接および/もしくは接着されるのに好適な織布材料ならびに/または不織布材料からなる、またはそれを備える、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記医療デバイス(200)が血液カセットである、請求項1から12のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記前支持構造(27)の前記第1の接触部分(27a)が、前記医療デバイスの製造中に材料を溶融もしくは一時的液化することによって作られるまたは形成される部分である、またはそれを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項15】
- 第1の流体(5)のための流体システムをもつ医療デバイス(200)のデバイス本体(201)を設けるステップと、
- 第2の気体流体(19)、特に空気が供給され得る濾過表面をもつ濾過デバイスを設けるステップと、ここにおいて、前記濾過デバイスが少なくとも1つの濾過膜(9)を備え、ここにおいて、前記濾過膜(9)が後側(9a)と前側(9b)とを有し、ここにおいて、前記濾過膜(9)の前記後側(9a)が、溶接部分(203)に沿って前記デバイス本体(201)の部分に溶接され、
- 前支持構造(27)を設けるステップと
を包含する、医療デバイス(200)を製造するための方法であって、
- それが、前記前支持構造(27)の第1の接触部分(27a)を通して前記溶接部分(203)に接触するように、前記前支持構造(27)を前記濾過膜(9)の前記前側(9b)上で前記デバイス本体(201)上にまたはそれにおいて配置するステップと、ここにおいて、前記前支持構造(27)の前記第1の接触部分(27a)は、使用中に、加圧されるもしくは圧力を最大限にかけられる、前記濾過膜(9)のエリアのうちの1つに向かうように、前記デバイス本体(201)の前記溶接部分(203)を越えて突き出ており、前記溶接部分(203)および前記第1の接触部分(27a)は、リング領域であり、
- 前記前支持構造(27)を前記濾過膜(9)の前記前側(9b)と溶接するステップと
を特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる医療デバイスに関する。本発明は、さらに、請求項16のプリアンブルによる、医療デバイスのための製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液処置のために使用されるために、知られている血液処置装置が、血液がその中で処置されるかまたは一時的に保管される、医療デバイスに、たとえば血液カセットに接続される。そのような血液カセットは、DE10 2009 018 664 A1から知られる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、さらなる医療デバイスを規定することである。さらに、そのようなデバイスのための製造方法が規定されることになる。
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有する医療デバイスと、請求項16の特徴を有する方法とによって達成され得る。
【0005】
したがって、デバイス本体(body)(またはデバイス体(corpus))を有する医療デバイスが本発明によって提案される。
【0006】
デバイス本体、または医療デバイスの別の部分は、少なくとも、第1の医療流体、特に血液のための流体システムを備える。流体システムは、部分的にまたは完全にデバイス本体であり得る。デバイス本体は、流体システムの一部である、または流体システムを形成または確立することに寄与し得る。流体システムは、各々、1つまたは複数のチャネル、ラインおよび/または流体チャンバを備え得る。
【0007】
デバイス本体、または医療デバイスの別の部分は、少なくとも1つの、好ましくは疎水性の、濾過デバイスをさらに備える。濾過デバイスは、第2の気体流体、特に空気が、濾過表面を通して流体システムに供給され得るように、構成および配置される。
【0008】
濾過デバイスは少なくとも1つの濾過膜を備える。濾過膜は後側と前側とを備える。
【0009】
後側は、流体システムの随意の流体受容チャンバまたは医療デバイスの随意のカバー要素(たとえば、フィルム)から離れるほうに面する、濾過膜の側であり得る。
【0010】
後側は、本発明によるデバイスの意図された使用中に、液体がその上に存在しない、濾過膜の側であり得る。
【0011】
前側は、流体システムの随意の流体受容チャンバまたは医療デバイスの随意のカバー要素(たとえば、フィルム)のほうに面する、濾過膜の側であり得る。
【0012】
前側は、本発明によるデバイスの意図された使用中に、液体がその上にあるかまたは液体に面する、濾過膜の側であり得る。
【0013】
濾過膜は、直接または間接的に、濾過膜の後側を介して、または濾過膜の後側上でもしくはそれにおいて、デバイス本体と、たとえば、随意の流体受容チャンバ、またはそれの壁と溶接される。したがって、溶接部分または溶接接続部が確立される。
【0014】
濾過デバイスは、濾過膜の前側上にまたは濾過膜の前に配置された、支持構造を備える、またはそれによって制限される。支持構造は、濾過膜の前側上に配設される、前側の前に配設される、または前側に面するので、支持構造は、本明細書では、前(代替:前側)支持構造とも呼ばれる。
【0015】
前支持構造は、好ましくは、濾過膜を支持するために配置される、または、それは、ある使用法または使用状況において、この目的を果たし得る。支持することは、制限、保持すること、接触すること、接することなどであり得る。支持することは、濾過膜の後側上に圧力を付加したときのまたは付加することによる、濾過膜の許容されない(unallowed)反りまたは座屈を防ぐことであり得る。
【0016】
反りは、濾過膜に関して発生されたかまたは出現した、圧力低下により出現し得る。これは、濾過膜の前側上の圧力の減少を通してまたは後側上の圧力の増加を通して達成され得る。濾過要素は、過剰圧力がポンプによって発生可能(generatable)である、一連の血液処置装置との接続のための接続要素を備え得る。このポンプは、圧縮機または過剰圧力リザーバであり得る。前記ポンプによって、濾過膜に接触する液体チャンバ中の液体レベルが下げられ得る。
【0017】
「前」の使用は、「後」支持構造がなければならないことを暗示しないが、このことは、いくつかの例示的な実施形態では当てはまり得る。
【0018】
前支持構造は、第1の接触部分を備え、溶接部分を用いてまたはそれを通して第1の接触部分に接触する。
【0019】
医療デバイス、特に、本発明による医療デバイスを製造するための方法が、本発明によってさらに提案される。
【0020】
本発明による本方法は、医療デバイス、特に、本発明によるデバイスを製造することを提供する。本方法は、第1の流体のための流体システムを有する医療デバイスのデバイス本体を設けることを包含する。
【0021】
本方法は、第2の気体流体、特に空気がそれを通して供給され得る濾過表面を有する濾過デバイスを準備することをさらに包含する。濾過デバイスは少なくとも1つの濾過膜を備え、ここにおいて、濾過膜は後側と前側とを有し、ここにおいて、濾過膜は、溶接部分に沿って、濾過膜の後側においてデバイス本体の部分と溶接される。
【0022】
さらに、本方法は、支持構造または前支持部分を準備することを包含する。
【0023】
前支持構造は、本発明によれば、デバイス本体においてまたはそれ上で濾過膜の前側上に配置される。これは、前支持構造が、前支持構造の第1の接触部分を通して溶接部分に接触するように行われる。
【0024】
最終的に、前支持構造は濾過膜の前側に溶接される。溶接は、前支持構造の材料を柔らかくすることによって達成され得る。
【0025】
本明細書の実施形態のすべてにおいて、「~であり得る(may be)」または「~を有し得る(may have)」などの表現の使用は、それぞれ、「好ましくは~である(preferably is)」または「好ましくは~を有する(preferably has)」などと同義的に理解されるべきであり、本発明による例示的な実施形態を示すものとする。
【0026】
本発明による実施形態は、上述のまたは以下の特徴のうちの1つまたは複数を備え得る。したがって、本明細書で言及される特徴は、いかなる任意の組合せにおいても、当業者がそれらの組合せを技術的に不可能と認識しない限り、本発明による実施形態の主題であり得る。本発明による実施形態は、従属請求項の主題でもある。
【0027】
本明細書で数を表す語が述べられるときはいつでも、当業者は、それらの語を数の下限の指示として認識または理解されたい。それが当業者を明白な矛盾に導かない限り、当業者は、たとえば、「1つ」という指定が「少なくとも1つ」を包含するものと理解されたい。この理解はまた、当業者にとってこれが明白に技術的に可能であればいつでも、数を表す語、たとえば「1つ」は「正確に1つ」を代替的に意味し得るという解釈と同等に、本発明によって包含される。両方が本発明によって包含され、本明細書において、すべての使用される数を表す語に当てはまる。
【0028】
「上部」および「下部」という情報は、本明細書では、不確かな場合は、それぞれの構成要素の、意図された使用中のそれの配置を指す、絶対または相対空間情報として当業者によって理解されるべきである。
【0029】
「前」および「後」などという情報は、本明細書では、不確かな場合は、医療デバイスを指す絶対または相対空間情報として当業者によって理解されるべきである。医療デバイスがカバー要素を備える場合、カバー要素は、したがって、医療デバイスの前側上に配設される。
【0030】
「接触」は、本明細書では、たとえば、それぞれ、接すること、正でない接続、正のもしくは適合する接続、(たとえば、一方を他方に溶接することによる)接着結合もしくは接続、または関連する構成要素もしくは互いに「接触する」構成要素間の相互押圧として理解され得る。
【0031】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、本発明による医療デバイスは、それぞれ、管システム、管セット、血液カセット、または各々の一部である。
【0032】
現在使用されている「流体受容チャンバ」という表現は、たとえば、流体で完全にまたは部分的に充填されることおよび流体を受容することに適しており、それの使用目的に従って、それらのことを意図された、内部または内空間を有する、チャンバ、もしくはそれの一部、または容器、もしくはそれの一部を指定する。
【0033】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、流体受容チャンバは、正確に2つの流体入口または流体出口を備える。2つのうちの一方は、気体を、好ましくは、液体をもではなく気体のみを、濾過膜を通して導き、供給および/または抽出することを受け持つ。他方は、たとえば第1の流体からの液体を供給および/または抽出するための流体接続である。
【0034】
本発明の意味内の「第1の流体」は、本発明による受容デバイス中への導入を想定または意図された、任意の医療液体および/または任意の医療気体及びそれらの任意の組合せを含む。好ましくは、第1の流体は血液である。
【0035】
したがって、「第1の流体」という表現は、「医療流体」という表現と同義的に使用されるものとする。
【0036】
「第2の流体」は、気体流体である、または気体、好ましくは空気を備える。
【0037】
本明細書で同義的に使用される「濾過デバイス」または「疎水性の濾過デバイス」という表現は、たとえば、流体受容チャンバを通して伝導されるべきである流体に対して濾過効果を加えるように適応および意図されたデバイスを指定する。代替的に、本発明の意味内の濾過デバイスは、濾過効果を有しない膜を指定する。
【0038】
濾過効果は、たとえば、流体受容チャンバ中に送り込まれるかまたは供給される流体の精製、特に、たとえば、固形物、ウイルスまたは細菌などの微生物などを維持することを包含し得る。
【0039】
濾過効果は、濾過器が、気体については透過性であるが、液体、特に水または血液については透過性でないことをも包含し得る。それにより、濾過膜を越えたエリアに液体が浸透するのを防ぐことが可能である。たとえば、濾過膜によって制限された流体チャンバが、開口を通して機械に接続されたとすると、液体が濾過膜のほうへ浸透する場合、機械の汚染が防がれ得る。
【0040】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造は第2の接触部分を備える。それにより、前支持構造は、第2の接触部分によってデバイス本体の支持部分に接触するように配置されるか、または接触する。
【0041】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、第2の接触部分は、デバイス本体の支持部分に溶接される。
【0042】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、第2の接触部分は、デバイス本体の支持部分に接着される。
【0043】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、溶接部分および/または第1の接触部分は、円周もしくは閉じられた部分またはリング領域である。
【0044】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、第2の接触部分は、デバイス本体の支持部分で締め付けられる。
【0045】
これのために、締付けデバイスが設けられ得る。
【0046】
締付けデバイスは、フランジングもしくはクリンチフランジとして構成され得る、またはフランジングもしくはクリンチフランジを備え得る。
【0047】
締付けデバイスは、円周もしくは閉じられたフランジング部分またはクリンチフランジ部分であり得る。
【0048】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造の第1の接触部分は、前支持構造の他の部分もしくはすべての他の部分よりも柔らかい材料から作られる、またはそれらの部分よりも柔らかい材料を備える。
【0049】
シリコーンは、(他の部分に対して)「より柔らかい」材料として考慮に入れられるまたは考えられる。シリコーンは比較的費用がかかるので、たとえば、第1の接触部分のみをシリコーンから製造することが考えられ得る。シリコーンの特殊な特性が必要とされない、または不利でさえあり得る(たとえば、シリコーンから作られた構成要素の高い可撓性が支持のアイデアに反するまたはそれと矛盾する)、前支持構造の他の部分について、シリコーンと比較して、または第1の接触部分の材料と比較して、より堅い(stiff)またはより硬い(hard)材料が、選択または選定され得る。
【0050】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造の第1の接触部分は、より柔らかい材料から恒久的に作られ、他のものでは、そのような材料は、たとえば、(例として、溶接を通して)製造するまたは仕上げるときに、一時的にのみより柔らかくなり、随意に、そのような材料は、再びより硬くなる。
【0051】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造は、正確に1つの材料から作られる、または正確に1つの材料からなる。
【0052】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造の第1の接触部分は、デバイス本体の溶接シーム部分と、好ましくは直接、接触している。溶接シーム部分が第1の接触部分とのみ接触していることが好ましい。
【0053】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造の第1の接触部分は、少なくとも1つの方向において、または少なくとも溶接部分の一方の側において、デバイス本体の溶接部分の上方にまたはそれを越えて突き出るか、または、それは、溶接部分を超えて延長または存在(stand)する。方向は、前支持構造または濾過膜の主延長方向に対して平行であり得る。突出または延長は、濾過膜または前支持構造の内部もしくは中心部分に向かうこと、および/または、使用中に、加圧されるもしくは圧力を最大限にかけられる、濾過膜のエリアのうちの1つに向かうことが好ましい。
【0054】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造の第1の接触部分は、解放可能な様式で前支持構造の他の部分に接続される。接続は、挿入することによってまたは挿入物によって達成され得る。
【0055】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造は、平坦なもしくは平面のグリッドである、またはそれからなる。
【0056】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造は開口を備える。
【0057】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造の第1の接触部分は、前支持構造のさらなる部分とは色が異なる。
【0058】
したがって、第1の接触部分は、たとえば、青、または別の比較的より暗いトーンを有し得るが、前支持構造は、グレーまたは白または透明である。このようにして、医療デバイスを製造する従業員、または病棟において患者を処置するために後の時点において医療デバイスを使用することを担当する医師もしくはスタッフは、デバイス本体とは通常別に製造される前支持構造が、デバイス本体に実際挿入されたかどうかを一目で検査することができる。これは、製造を完了した後の最終検査または点検を容易にする。さらに、これは、欠陥のある医療デバイスが、患者のベッドサイドにおいてさえ、初期段階において依然として検出または認識され得るという点で、患者の安全に寄与し得る。
【0059】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造は開口を備える。開口の直径または幅は、最大0.7mmを有し、好ましくは最大0.5mmを有する。これらの寸法は、一方での通路表面と、他方での濾過膜を支持することとの間の妥協点を保証するために、好適であることが判明している。開口は、本明細書で規定されるよりも大きく、その場合、濾過膜は、圧力により、開口にあまりに深く押圧され得るまたは押圧されるようになり得る。これは、通路または透過性を劣化させ得る。さらに、濾過膜は、望ましくなく高度に機械的に荷重をかけられ得る。開口のこれらの提案された寸法を用いて、濾過膜は、少なくとも3バールで有利に加圧され得る。
【0060】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造は、第2の濾過膜を備える、またはそれからなる。
【0061】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造の第1の接触部分は、材料の溶融または一時的な液化によって、デバイスの製造中に形成される部分である、またはそれを備える。この溶融された部分は、たとえば、前支持構造の残りの構造とは異なる平坦な材料部分として、認識され得、ここにおいて、残りの構造は、前記部分と比較して、明確に画定され、溶融されず、および/または光学的に認識可能であり、別様に製造または処置される。
【0062】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造は、溶接シーム部分に面するそれのエリア中に、輪郭付けされた(profiled)または積層された構造を備える。輪郭部または積層部は、この目的で、支持構造の主延長平面に対して平行にまたは対角線方向に延長するチャネルを形成または構築し得る。隆起した構造とチャネルとのこの組合せ、すなわち輪郭部は、濾過膜を前支持構造にまたはそれ上に留めるために構造を溶融するとき、材料が、濾過膜の中央エリアに浸透しない、またはごくわずかに浸透するが、大部分はチャネルエリア中にもしくはそれ内に拡散または延長することを実現し得る。これは、前支持構造の開口と濾過膜とを、溶融された材料によるまたはそれを通した、投入(dumping)または閉塞から保護し得る。
【0063】
濾過デバイスは、本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療デバイスの意図された使用中に、流体受容チャンバが第1の流体によってほぼ充填された状態で、随意の疎水性の濾過デバイスの濾過表面上の法線ベクトルが、流体受容チャンバ中に存在する第1の流体の流体レベルの平面上の法線ベクトルと平行に延長しないように、配置される。言い換えれば、2つの法線ベクトルは、本発明によるこれらの実施形態では、共通平面の一部ではない。
【0064】
濾過表面に関して現在使用されている「法線ベクトル」という表現は、本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、濾過デバイスの任意の表面部または部分またはセグメントに対する法線ベクトルを指定する。濾過表面上の法線ベクトルは、濾過デバイスの主部分の平面に対して垂直であり得、特に好ましい実施形態では、濾過デバイスの主部分の表面に対して垂直であり得、極めて特に好ましい実施形態では、濾過デバイスの中心部分に対して垂直な、または濾過デバイスのもしくは非濾過処理膜の濾過処理部に対して垂直なラインであり得る。濾過表面上のそのような法線ベクトルは、垂直方向のおもり、または上述の部のうちの1つ対して垂直なラインを表し得る。
【0065】
上記で与えられた濾過表面上の法線ベクトルのための定義と類似する、現在使用されている「流体レベルの平面上の法線ベクトル」という表現は、流体レベルの平面の任意の部またはセグメントまたは領域に対する法線ベクトルを指定する。
【0066】
本発明によれば、「流体表面」という表現は、医療デバイスの使用のために流体受容チャンバ中に存在するまたは受容された、第1の流体の流体表面またはレベル(これらの2つの表現は以下で同義的に使用されるものとする)に関係する。
【0067】
流体受容チャンバ中に存在する流体の、それぞれハンチングまたはスロッシング、ならびに/または、たとえば、回転および/もしくは波状運動など、流れ運動の場合、それぞれ、流体レベルまたはそれ上の垂直線を引き出すことおよび決定することが困難であり得る。したがって、本発明に関して、流体レベルは、好ましくは、流体受容チャンバ中に存在する流体のスロッシングおよび/または流れ運動を考慮して平均化された、平均レベルまたは充填高さであると理解される。
【0068】
流体レベルは、好ましくは、流体の流れの静止状態において、または静的流体条件において決定され得る。そのような静止状態が医療デバイスの使用中に得られるかどうかは重要ではない。現在の目的のために、そのような静止状態を仮定または近似すれば十分である。
【0069】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、濾過表面上の法線ベクトルは、流体レベルの平面上の法線ベクトルに対して実質的に垂直である。
【0070】
現在使用されている「実質的に垂直である」という表現は、たとえば、デバイスを備える本発明による医療デバイスが、使用中に、たとえば最高+/-15度のわずかな傾きを呈するが、それにもかかわらず、医療デバイス中の流体または液体レベルが、濾過デバイスのそのような傾きにおいて水平にとどまることによる、直角からの偏差を包含する。
【0071】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、濾過表面上の法線ベクトルは、使用中に流体受容チャンバ中に存在する第1の流体の、上記で定義された流体レベルとの交点を有しない。
【0072】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療デバイスは、第2の流体を供給するための少なくとも1つの流体供給チャンバを備える。
【0073】
現在使用されている「流体供給チャンバ」という表現は、第2の流体を受容することと、第2の流体を流体受容チャンバに供給することとに適した、およびそれらを意図された、内部または内空間を有する、チャンバまたは容器を指定する。
【0074】
流体供給チャンバは、射出成形されたチャンバとして製造され得る。流体供給チャンバは、使い捨ての流体供給チャンバであり得る。
【0075】
流体供給チャンバは、それの少なくとも1つの部中で流体受容チャンバに接続され得る。
【0076】
流体供給チャンバは、材料接続によって流体受容チャンバに接続され得るか、または流体受容チャンバと一体化され得る。
【0077】
流体供給チャンバは、たとえば、流体受容チャンバの製造中に形成されていることがある。
【0078】
流体供給チャンバは、少なくとも1つのパーティションまたは部分壁によって流体受容チャンバと隔てられ得る。
【0079】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、濾過デバイスは、流体供給チャンバの内部中に配設される。
【0080】
好ましくは、流体供給チャンバおよび流体受容チャンバは、もっぱら濾過デバイスのみを介して互いと流体連通している。
【0081】
第2の流体は、好ましくは、医療デバイスの使用中に、流体供給チャンバから濾過デバイスを通して流体受容チャンバに導入される、または供給される、または送り込まれる。
【0082】
特に好ましい実施形態では、濾過デバイスは、流体受容チャンバ中に存在する第1の流体、特に液体流体が、濾過デバイスを介して流体供給チャンバに入ることができないように、構成され、設けられる。
【0083】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、第2の流体は、流体供給チャンバに接続可能であるまたは接続された、流体コネクタを介して流体供給チャンバに供給され、流され、導入される、などであり得る。
【0084】
流体コネクタは、スリーブ型構成要素であり得る。流体コネクタは、流体供給チャンバの壁または側壁と一体に製造され得る。流体コネクタは、流体供給チャンバの壁または側壁の外面上にまたはそれにおいて設けられ得る。流体コネクタは、流体供給チャンバ中に配設された濾過デバイスの領域内に設けられ得る。流体コネクタは、濾過デバイスに直接接続または連結され得る。
【0085】
流体コネクタは、1つまたは複数の接続ボアを介して流体供給チャンバの壁または側壁の内側に接続され得る。
【0086】
流体コネクタは、医療デバイスの外部から内部に流体を直接導くかまたは伝導するように配置され得る。
【0087】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、流体受容チャンバは、たとえば、射出成形されたチャンバの形態で製造され得る。
【0088】
流体受容チャンバは、使い捨ての流体受容チャンバであり得る。
【0089】
流体受容チャンバは、チャンバの外側と流体連通していることがある。流体受容チャンバは、チャンバの外側との2つまたはそれ以上の流体連通を有し得る。
【0090】
流体受容チャンバは、チャンバの内部との流体連通または正確に1つの流体連通のみを有し得る。流体受容チャンバは、チャンバの内側との2つまたはそれ以上の流体連通を有し得る。
【0091】
濾過膜によって、流体受容チャンバは、好ましくは、液体連通に関して、流体供給チャンバの流体コネクタからおよび/または医療デバイスの外側から分離される。
【0092】
濾過膜は、任意の好適な形状を有し得る。濾過膜は、たとえば、円形、多角形、特に矩形、楕円形などであるように構成され得る。
【0093】
濾過膜は、濾過膜ストリップまたはテープからカットアウトされ得、および/または、適切な場合、特定の形状にカットされ得る。
【0094】
濾過膜は、使い捨ての濾過膜であり得る。
【0095】
濾過膜は、疎水性の膜であり得る。濾過膜は、少なくとも一方の側に関して疎水性であり得る。
【0096】
濾過膜は、2つの層、すなわち、第1に、大部分が、たとえば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)またはePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)など、溶接することが困難であり、接着することが困難である、材料からなる、本来の膜自体、ならびに、第2に、排液および/または支持機能を有し、大部分が、溶接および/もしくは接着されるのに好適な織布材料ならびに/または不織布材料からなる、またはそれを備える、層からなり得る。上述の層とは別に、濾過膜は、追加の層または構成要素を代替的に備え得る。
【0097】
濾過膜は滅菌膜であり得る。
【0098】
濾過膜は、接着するのに適さないもしくは不適である材料、および/または溶接するのに適さないもしくは不適である材料からなり得る、またはそれを備え得る。
【0099】
たとえば、処置の持続時間中になど、医療デバイスの使用中に、濾過膜は、流体受容チャンバ(流出気体、接触している液体)の方向からの、および/または処置装置(流入気体、欠陥の場合の接触している液体、および/または凝縮に起因する望ましくない接触している液体)の方向からの変動する圧力にさらされ得る。膜中に構造損傷または裂け目を引き起こし得る、これらの圧力差による変形に対する、平面の利用エリア中の、および/または、たとえば、流体供給チャンバの壁上の、濾過膜の密封(概して溶接)ロケーションにおける、濾過膜の保護として、濾過膜を機械的に支持することが有利であり得る。
【0100】
そのような機械的支持を達成するために、支持構造を採用することが可能である。支持構造は、支持表面が、濾過膜を通る流体の所望の通路、たとえば、有用な気体の通路に対して濾過膜を密封することは望ましくないので、密封しないように構成される。
【0101】
濾過デバイスは、対称または非対称構成を有し得る。
【0102】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、濾過デバイスは、両側においてまたは両側上に、すなわち、濾過膜の前側と後側の両方上に支持構造を備える。
【0103】
前支持構造に加えて、本明細書では「後」支持構造として指定される支持構造が、濾過膜の後側上に設けられ得る。これらの2つの支持構造は、別々に設けられ得る。
【0104】
第3の支持構造が、膜層自体の上に配置され得る。第3の支持構造は、好ましくは、不織布材料または織布材料などの形態を有し得る。
【0105】
後支持構造は、好ましくは、流体コネクタのハウジング内に設けられる。後支持構造は排液構造を有し得る。後支持構造は排液効果を有し得る。
【0106】
後支持構造は、正でない接続によっておよび/もしくは正の接続によって接続され得、ならびに/または流体供給チャンバに結合され得る。好ましくは、後支持構造は、正でない接続によっておよび/もしくは正の接続によって外周辺領域中で接続され、ならびに/または流体供給チャンバにもしくはデバイス本体の別の部分に結合され得る。
【0107】
濾過膜は、概して、結合に適さないもしくは不適であり、および/または溶接に適さないもしくは不適である、材料からなるので、流体供給チャンバの内部に面する支持構造は、少なくとも1つの外領域、好ましくは、それの外周辺領域中で流体供給チャンバに接続され得る。
【0108】
好ましくは、後支持構造は、たとえば、熱溶接、ミラー溶接、超音波溶接またはレーザー溶接によってのように、たとえば溶接によって、流体供給チャンバにまたはデバイス本体の別の部分に結合される。後支持構造は、流体供給チャンバにまたはそれの接続領域に、熱的に溶接され得る。
【0109】
この目的で、後支持構造は、好ましくはそれの外領域では、流体供給チャンバの接続領域よりも高度に溶融する材料から作られる。
【0110】
後支持構造を流体供給チャンバまたはそれの接続領域と溶接する間に、加熱によって液化された流体供給チャンバの材料が、後支持構造の多孔質構造に浸透し得る。液体材料は濾過膜まで浸透し得る。このようにして、流体供給チャンバと後支持構造と濾過膜との間の解放可能でない接続を形成することが有利に可能である。同時に、濾過膜は、特に横方向において有利に密封され得る。
【0111】
後支持構造は、好ましくは薄肉の射出成形部品である。後支持構造は、好ましくは、膜層に面する側上にまたは両側上に排液構造を備える。
【0112】
後および/または前支持構造は、射出成形によって生産または製造され得る。
【0113】
たとえば、後支持構造は、射出成形技法によって製造された流体供給チャンバの壁に組み込まれ得る。
【0114】
前支持構造は、濾過膜と実質的に平行に配設され得る。
【0115】
前支持構造は、濾過膜との力のかからない接触状態で、および/または流体供給チャンバの内部から離れるほうに面する濾過膜の側上に遊びがほとんどない状態で設けられ得る、または濾過膜と接触していることがある。
【0116】
前支持構造は、流体供給チャンバと同じ材料から作られ得る、またはそれを備え得る。
【0117】
前支持構造は、別個の要素を形成し得る、または別個の要素として製造され得る。たとえば、前支持構造は、薄肉の射出成形部品として製造され得る。
【0118】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造は、実質的に完全に濾過膜をカバーする。
【0119】
前支持構造は、排液効果を有しないリングゾーンまたはリング領域によって、外側に向かって区切られたそれのエリアおよび/または境界を有し得る。
【0120】
「リングゾーン」または「リング領域」という表現は、本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造の外部領域または外部マージンまたは外部エッジまたは外マージンまたは外エッジを指定する。ただし、「リング」という語構成要素は、本発明をゾーンのまたは領域の円形構成に制限するものではない。そうではなく、「リング」という語構成要素は、周囲もしくは円周領域または周囲もしくは円周ゾーンを示すことが意図されるが、その領域またはゾーンは、他の好適な形態、たとえば、矩形、楕円などの形状にも構成され得る。
【0121】
このリングゾーンまたはリング領域の外境界は、濾過膜の外寸に実質的に対応し得る。
【0122】
このリングゾーンまたはリング領域の内境界は、リングゾーンまたはリング領域への濾過膜の固定の後に残される、濾過処理効果を有する濾過膜エリアに実質的に対応し得る。
【0123】
濾過膜は、気密な様式で前支持構造に接続され得る。濾過膜は、リングゾーンまたはリング領域の壁材料に接続され得る。たとえば、濾過膜は、それの外の、好ましくは周囲または円周領域において、前支持構造にまたは前支持構造の外リング領域に接続され得る。
【0124】
濾過膜は壁材料に結合され得る。濾過膜は、たとえば、壁材料に接着または溶接され得る。溶接方法は、とりわけ、熱溶接、ミラー溶接、超音波溶接またはレーザー溶接を含む。
【0125】
濾過膜は、対応して、後支持構造と前支持構造の両方に接続され得る、またはそれらと一体化され得る。
【0126】
前支持構造は、溶接および/または接着することによって、濾過膜におよび/またはデバイス本体に接続可能である、薄肉の射出成形部品または要素であり得る。
【0127】
前支持構造は、とりわけ、熱溶接、ミラー溶接、超音波溶接またはレーザー溶接によって溶接され得る。
【0128】
少なくとも3つの支持構造を備える構成は、例示的に、以下のように形成され得る。
【0129】
第3の支持層は濾過膜上に適用される。組立中に、第3の支持層、たとえば、溶接可能な不織布材料は、不織布材料の側上で後支持構造上に置かれる。第3の支持層は、濾過膜層の円周において、すなわち、好ましくは、後支持構造外に位置する領域中で、周囲にまたは円周方向に密封する様式で、後支持構造に溶接および/または接着される。このようにして、第3の支持構造と後支持構造との間の密封機能が有利に達成され得る。
【0130】
前支持構造、たとえば、薄肉の射出成形部品は、後支持構造に随意に溶接される濾過膜上に、それの支持構造をもつふたのように置かれる。前支持構造は、濾過膜層外の外リングゾーン中で流体コネクタのハウジング(射出成形されたハウジング)に溶接および/または結合される。
【0131】
前支持構造は、濾過膜のための維持機能を有利に与える。
【0132】
(1つまたは複数の)後および/または前支持構造は、(1つまたは複数の)支持構造を配置した後に、依然として、支持なしに存在する、濾過膜のいくらかの自由にアクセス可能な表面部があるように構成され得、ここにおいて、自由にアクセス可能な表面部の各々は、隣接する機械的支持体または支持構造への十分に小さい延長部を有する。
【0133】
したがって、支持されていない濾過膜エリアに作用する第2の流体の最大の認容される流体圧力は、好ましくは、(たとえば、濾過膜の座屈による)認容できないほどに高い応力をもはや発生させない。
【0134】
たとえば、たとえば排液構造などの支持構造のうちの単一の支持構造またはすべては、約0.5~2mmの幅を有し得る。
【0135】
外側上に配置された流体コネクタは、ボア、凹部または開口を介して、濾過膜のための、外排液または支持構造、すなわち後支持構造と連通し得る。
【0136】
後支持構造と前支持構造との間に配置された濾過膜は、使用目的に従って必要とされるような程度までの機械的負荷に実質的に耐えることができる。
【0137】
そのような膜接続、すなわち、濾過膜と2つの支持構造との間の接続が配置される平面は、排液構造の突き出た領域が配置される平面に実質的に対応し得る。
【0138】
濾過膜の接続技法および/または厚さに応じて、排液構造の突き出た領域と濾過膜の外側平面との間の千鳥状高さが妥当であり得る。そのような千鳥状高さは、濾過膜の外側平面が、力のかからない接触状態で、および/または遊びがほとんどない状態で、突き出た排液構造上に載置されるようにするのに役立ち得る。
【0139】
突き出た排液構造は、できるだけ小さくなるように配置され得る。
【0140】
好ましくは、第2の流体の制限された流れのみが、濾過膜領域に対して載置された突き出た排液構造と接触し、および/またはそれと押圧接触している、濾過膜領域を通して起こり得る。
【0141】
流体コネクタへの接続ボアのサイズおよび/もしくは数、ならびに/または凹んだ排液構造の配置、数、幅および/もしくは深さは、これらの流れ経路によって引き起こされる第2の流体の可能な圧力低下が、濾過デバイスを通って通過するときに発生する総圧力低下の無視できるまたは許容できる小部分を埋め合わせるようなものであり得る。
【0142】
凹んだ排液構造の幅および/または流体コネクタへの接続ボアの直径は、(たとえば、凹んだ構造への座屈を生じる)最大可能圧力差の下で濾過膜に作用する引張り力が、好ましくは、濾過膜内と、概してより敏感な、リング固定(たとえば、溶接)部に対する境界面におけるゾーン中との両方で、認容される引張り力よりも明らかに低くなるように、十分に小さくなるように適応され得る。
【0143】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、後および前支持構造は、膜の主平面に対してミラー反転様式で同等である、または実質的に同等である、排液構造を備える。
【0144】
好ましくは、凹んだおよび/または突き出た排液構造は、一貫したまたは実質的に一貫した様式で互いに対向する。
【0145】
好ましくは、一方の濾過膜側上の凹んだ排液構造がより狭くなるように実現される、または濾過膜のこの側上の突き出た排液構造が、濾過膜の反対側上の排液構造よりも広くなるように実現される。これは、より大きい横方向設置許容差を与え得る。しかしながら、構造のピッチおよび/または配置は、好ましい様式では、両側に同等に実現され得る。
【0146】
このようにして、横方向設置許容差を利用することによって、流体通路抵抗および機械的支持の程度などのプロパティに関係する極めて安定したプロパティプロファイルが生じ得る。
【0147】
前支持構造の構造の全体的厚さは、排液構造の深さから、および/もしくは前支持構造の材料の最小可能肉厚から生じ得る、またはそれらの和であり得る。その結果、前支持構造は、有利なことに、構造空間をほとんど必要としないことがあり、および/またはより低いコストで製造され得る。
【0148】
精度および剛性に関して前支持構造に対する特定の要求がないことから別の利点が生じ得る。その上、コストの態様および/または最低の可能な複雑さの下で、流体供給チャンバにおいてのみ前支持構造を留めることが有利に可能であり得る。
【0149】
図1および図2に示されているように、前支持構造は、たとえば、プラグインまたはリベット締め固定によって、またはボルト固定の原理に従って、流体供給チャンバに接続され得る。同様に、前支持構造は、ドット形状の溶接部によって、および/または流体供給チャンバの側壁または壁の好適な幾何学的構成にスナップ嵌合することによって、流体供給チャンバに接続され得る。
【0150】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、前支持構造の排液構造は、前支持構造の排液構造が、それらの外側における膜境界において終了せず、それらの外側において構成要素境界まで放射状に続くという点で、とりわけまたは単に、外側排液構造とは異なり得る。したがって、流入および/または流出する流体は、前支持構造と流体供給チャンバの上境界または上マージンもしくはエッジとの間の、残りの環状またはリング空間に自由に浸透し得る。流体は、大きいルーメンを介して流体受容チャンバと有利に連通し得る。
【0151】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、流体受容チャンバは、第1の構造高さを有し、流体供給チャンバは、第1の構造高さとは異なる第2の構造高さを有する。
【0152】
また、またはさらに、流体供給チャンバは、医療デバイスの使用中に流体受容チャンバの上方(「上部」)に配設され得る。「上方」は、地球の中心を通過する基準系に関係し得る。
【0153】
流体受容チャンバおよび流体供給チャンバのそのような構成において、医療デバイスは、好ましくは、段階的深さとともに具現される。医療デバイスの使用中に流体供給チャンバの下方(「下部」)に配置される深い流体受容チャンバは、使用中に、その中に存在する流体のためのリザーバおよび/または処置空間として利用され得る。
【0154】
本発明による医療デバイスは、少なくとも一方の側においてカバー要素を設けられ得る。
【0155】
特に好ましい実施形態では、濾過手段および/または濾過膜は、本発明による医療デバイスのカバー要素と平行にまたは実質的に平行に配置される。
【0156】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、第2の流体は気体である。さらなる好ましい実施形態では、第1の流体は、たとえば、血液などの液体であり得る。
【0157】
本発明による医療デバイスは、医療処置装置などの処置装置、ラボラトリ技術において使用される装置、食品および/もしくは薬品製造において使用される装置中での、またはそれ上での、またはそれとの使用に適している。したがって、本発明による受容手段中に導入または供給または伝導されるのに適した流体は、血液、サブスティチュエート(たとえば、食塩水)などの医療液体、溶液、懸濁液、乳剤などの活性薬剤の調製物、活性薬剤のための担体気体(carrier gas)、洗浄液体または気体、消毒液体または気体、滅菌液体または気体、飲料液体などの両方を包含し得る。
【0158】
濾過膜が滅菌膜として設けられるとき、本発明による医療デバイスは、特に、流体受容チャンバへの滅菌空気供給のために利用され得る。
【0159】
本発明による医療デバイスは、たとえば、プラスチック材料から製造された、使い捨ての構成要素または使い捨ての物品であり得る。
【0160】
本発明による医療デバイスは、射出成形技法によって製造され得る。
【0161】
本発明による医療デバイスは、液体および/もしくは気体接続、アクターおよび/もしくはセンサーに連結するための半開放通路ならびに/またはチャンバならびに/または構造を含み得る。そのようなアクターおよび/またはセンサーは、カセット中の液体に対して、好ましくは滅菌性に関して非侵襲性のおよび/または分離された機能を実行することに役立ち得る。たとえば、膜、特に低コストフィルムなど、1つまたは複数のカバー部材が、通路およびチャンバの閉鎖および/または密封を与え得る。
【0162】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療デバイスの濾過デバイスまたは濾過膜は、流体受容チャンバの内部を外側に対して閉じるための医療デバイスのカバー要素と平行に配置される。
【0163】
たとえば、医療デバイスが利用される血液処置は、透析法、血液透析法、血液濾過法、血液透析濾過法などであり得る。
【0164】
本発明による医療デバイスは、流体受容チャンバへの滅菌空気供給のために有利に利用され得る。
【0165】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、流体供給チャンバおよび流体受容チャンバは、ともに、これらの2つのチャンバの外の外部への正確に2つの接続のみを有する。
【0166】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、濾過膜は、管部分中に配置されない。
【0167】
管は、それの横断面全体に沿って流体のための可撓性ライン(flexible line)であり得る。
【0168】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、流体供給チャンバおよび流体受容チャンバ以外の管接続はない。
【0169】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、流体供給チャンバも流体受容チャンバも、可撓性のまたは完全に可撓性のバッグではない。
【0170】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療デバイスは、脂肪の通過の選択的阻止のためのデバイスではない。
【0171】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療デバイス、流体供給チャンバおよび/または流体受容チャンバは挿入ピンを備えない。
【0172】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、流体供給チャンバへの第2の流体のためのアクセスは、(濾過膜を通る流路に対して)濾過膜の一方の側上にあり、流体受容チャンバへの第1の流体のためのアクセスは、濾過膜の反対側上にある。
【0173】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、流体受容チャンバは、医療デバイスの流体チャネルに直接接続され、ここにおいて、流体チャネルは、少なくとも部分において、デバイス本体を通って延長するかまたはデバイス本体によって形成される。
【0174】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、流体供給チャンバは、濾過膜によって流体的に制限される。
【0175】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、流体供給チャンバおよび流体受容チャンバは、医療デバイスのデバイス本体中に設けられる。
【0176】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療デバイスは血液カセットである。デバイス本体は、これらの場合、カセット本体である。
【0177】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療デバイスは、さらに、ポンプ管セグメントの有無にかかわらず、蠕動ポンプのためのポンプ管セグメントのための少なくとも2つのコネクタを備える。
【0178】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療デバイスは、さらに、動脈患者接続と、動脈濾過ラインと、静脈患者接続と、動脈ヘパリン付加部位とを備える。動脈ヘパリン付加部位は、動脈濾過ラインと静脈患者接続との間に配置される。
【0179】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療デバイスは、静脈濾過ラインと静脈ヘパリン付加部位とを備え、ここにおいて、静脈濾過ラインは、静脈ヘパリン付加部位に対して内方に配置される。
【0180】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療デバイスは、平行四辺形の形態を有する単針滅菌膜を備える。
【0181】
濾過膜を単針滅菌膜として使用することは、濾過膜の後側からの圧力が、流体システムの血液を患者に供給するために繰り返し蓄積されるので、前記濾過膜に関する特定の要件を提示する。そのような機能、濾過膜は、機械への液体の浸透を防ぐことによる機械の保護と、流体システムの汚染を防ぐことによる患者の保護とを実現し得る。
【0182】
好ましい実施形態では、医療デバイスは、たとえば、センタリング開口の形状で、1次または第1の整合中心と2次または第2の整合中心とを備える。1次整合中心および2次整合中心は、異なる形態および/または異なる整合を備える。
【0183】
本発明による実施形態の一部または全部は、上記でまたは以下で述べられる1つまたは複数の利点を包含し得る。
【0184】
本発明による医療デバイスは、本明細書で説明されるそれの前支持構造により、本発明によるいくつかの実施形態では、放射線滅菌によってまたは「電子ビーム」によって滅菌され得る。放射線滅菌および「電子ビーム」は、薄いテフロン(登録商標)層と厚い担体フリース(carrier fleece)とから通常作られる濾過膜の層間剥離につながり得る。したがって、圧力に対する濾過膜の耐性または硬度が減少される。圧力が比較的低い値を超える場合、テフロン層は担体フリースから(またはその逆に)剥がれ得、これは、患者の安全と、また濾過膜のまたは医療デバイスの機能との両方にとって有害であり得、本明細書では層間剥離と呼ばれる。層間剥離は、好ましくは、濾過膜がデバイス本体にその上で溶接される溶接部分において出現する。前支持構造は、本発明によれば、溶接部分と接触している。所与の圧力による層間剥離に対抗し得る、または、使用中に、層間剥離の出現なしに、4倍のより高い圧力の圧力負荷を許容し得るのは、この接触である。したがって、濾過膜の支持がそれの前側において達成されることが重要である。
【0185】
第1の支持部分と濾過膜との間の接触が、溶接部分を越えて濾過膜の内部に延長するとき、それは、さらに有利である。
【0186】
流体受容チャンバの最も高いポイントにおいて、および自由流体表面と実質的に平行に、疎水性の滅菌膜が配設される、外部機能デバイスの滅菌空気供給のための従来の配置とは対照的に、本発明に従って設けられる濾過膜は、好ましくは、測地様式で、通常流体で最大量まで充填される流体受容チャンバの上方に配置され得る。故障のない動作中に、流体供給チャンバは、したがって、第2の流体、たとえば気体、および少量の第1の流体、たとえば、血液などの液体のみに有利に接触するようになり得る。
【0187】
本発明に従って使用される濾過膜は、単針濾過膜として具現され得る。
【0188】
本発明に従って使用される濾過膜は、平行四辺形の形態を有し得る。
【0189】
本発明に従って使用される濾過膜は、敏感な要素であり、検査することが困難であり、したがって、概して、処置利用ごとに交換されるべきであるので、濾過膜は、有利には、使い捨ての医療デバイスの構成要素であり得る。そのような濾過膜は、その上、さらなる有利な様式では、使い捨ての医療デバイスと組み合わせて滅菌され、および/または、使い捨ての部分的なシステムを、保管中におよび/または処置装置への接続中に、滅菌様式で閉じられた状態に保ち得る。
【0190】
疎水性の濾過膜は、さらに、流体受容チャンバ中に存在する、処置されるべき流体が、誤動作の場合に処置装置に入るのを防がれることを有利に保証し得る。
【0191】
本発明による医療デバイスは、処置装置、特に血液処置装置のために頻繁に設けられる使い捨ての医療デバイス中に存在する空間的および/または機能的配置を、適応のために、押圧するために、許容差を補償するために、力をリミテートするために、取付けのために、配向のために、および/または配置全体の他の機能ユニットと並列に処理するために、有利に利用し得る。
【0192】
本発明による医療デバイスの流体供給チャンバのおよび流体受容チャンバの配置とともに、従来の配置の異なる幾何学的環境条件は、濾過膜の周囲における閉じ込められた空間により、排液または支持構造におけるエリアユニットごとのより高い気体圧力損失を有利に生じ得る。このようにして、同等の圧力損失において、よりコスト効率の高い、より小さい構造の濾過膜を採用することが有利に可能であり得、したがって、同時に、矩形形状により、構造空間をより効率的に利用することが頻繁に可能である。
【0193】
従来のシステム中の濾過膜は、概して、周囲支持構成の機械的強度の理由で円形にされなければならず、低い横方向許容差でハウジング環境に収められなければならないが、本発明のデバイス中の濾過膜は、切断損失なしに濾過膜から矩形として製造するであり得、十分に横方向許容差とともに、流体供給チャンバの壁上に溶接、結合または押圧され得る。
【0194】
支持構造と濾過膜との間の同じ密封効果を生じるであろうが、ひずみに対する接続のより低い機械的感受性が付随するであろう、同じタイプのものであるかまたは両側上で溶融される、接続相手間の溶接接続とは対照的に、本発明による流体供給チャンバのための低融点材料の選択は、同時に、機械的ひずみをうまく受け得る密封接続を達成することを可能にする。このようにして、第1の支持層が、溶融および押圧により、より薄くなることを回避することが有利に可能である。さらに、材料欠陥、および/または濾過膜の非溶融領域に対する境界面における横断面の不都合な不連続性を回避することが有利に可能である。
【0195】
濾過膜の平面における横方向からの濾過膜の良好なアクセシビリティが、本発明に従って設けられた前支持構造を用いてさらに可能である。これは、不注意により濾過膜が液体で湿潤した場合に、特段の利点になり得る。
【0196】
流体受容チャンバの内部のほうへのより高い排液能力は、重要な安全利点を有利に生じ得る。濾過膜が液体の表面と平行に配置されるときの従来の濾過膜配置では、濾過膜までの認容されない完全な充満(flooding)の場合、圧力衝撃が出現し得、これは、濾過膜の破壊と、医療デバイスのおよび/または処置装置の他の構成要素に対する妨害との両方につながり得る。しかしながら、本発明による医療デバイスでは、認容されないほど上昇し続けるレベルは、濾過膜表面にわたって連続的に広まり得、したがって、通路圧力は、穏やかに増加する様式で、衝撃なしに上昇し得る。
【0197】
さらに、本発明では、液体が、重力の影響下で、濾過膜から流体受容チャンバに再び自動的に流れ出ることが可能であるので、本発明に従って設けられた濾過手段の配置は、流体受容チャンバの完全な充満を伴う、誤動作の無害な多数の再現性に有利に耐え得る。
【0198】
このようにして、処置方法の中止を回避することが有利に可能であり得る。
【0199】
以下では、本発明が、添付の図面を参照することによって説明される。図面において、同じ参照番号は、同じまたは同等の要素を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0200】
図1】本明細書では血液カセットとして例示的に構成された、本発明による医療デバイスの詳細または断面の平面図。
図2】本発明による血液カセットの横断面図。
図3】縦断面図で、ならびに、図2に対して、および血液カセットの使用中の配置に対して90°だけ傾けられて示された、図2に示されている本発明による血液カセットの拡大詳細図。
図4a】第1の接触部分をもつ前支持構造の図。
図4b図4aに示されている前支持構造の詳細の拡大図。
図5a】異なる例示的な実施形態における、本発明による血液カセットの詳細の高度に簡略化された図。
図5b】異なる例示的な実施形態における、本発明による血液カセットの詳細の高度に簡略化された図。
図5c】異なる例示的な実施形態における、本発明による血液カセットの詳細の高度に簡略化された図。
図5d】異なる例示的な実施形態における、本発明による血液カセットの詳細の高度に簡略化された図。
図6a】本発明による血液カセットの、本発明による、異なる例示的な実施形態におけるカセット本体と前支持構造の両方の断面の図。
図6b】本発明による血液カセットの、本発明による、異なる例示的な実施形態におけるカセット本体と前支持構造の両方の断面の図。
図6c】本発明による血液カセットの、本発明による、異なる例示的な実施形態におけるカセット本体と前支持構造の両方の断面の図。
図6d】本発明による血液カセットの、本発明による、異なる例示的な実施形態におけるカセット本体と前支持構造の両方の断面の図。
図7a】本発明による、血液カセットの第2の接触部分と支持部分との異なる実施形態の図。
図7b】本発明による、血液カセットの第2の接触部分と支持部分との異なる実施形態の図。
図7c】本発明による、血液カセットの第2の接触部分と支持部分との異なる実施形態の図。
図7d】本発明による、血液カセットの第2の接触部分と支持部分との異なる実施形態の図。
図8】前支持構造の代わりに設けられた第2の濾過膜をもつ、本発明によるデバイスの図。
図9図8の場合のように、第2の濾過膜をもつ、本発明による実施形態の図。
図10】前支持構造の部分の溶融より前の前支持構造の、本発明によるさらなる実施形態の図。
図11】前支持構造の部分の溶融の後の前支持構造の、本発明によるさらなる実施形態の図。
図11a図11の拡大詳細の図。
【発明を実施するための形態】
【0201】
図1は、本発明の例示的な実施形態による血液カセット200として例示的に具現された、本発明による医療デバイスの詳細の平面図を示す。
【0202】
本発明による医療デバイスは、本明細書では、血液カセット200として例示的に具現されるが、および、本医療デバイスは、この点について説明または詳述されているが、本発明は、それに限定されないものとする。本発明による医療デバイスは、例として、管システム、管セットまたは、各々の一部であり得る。
【0203】
血液カセット200はカセット本体201を備える。血液カセット200は、随意に、カバー要素229、本明細書ではフィルムをさらに備える。カバー要素229は、設けられた場合、カセット本体201を、少なくとも部分的に、場合によってはそれの側全体においてカバーする。カバー要素229は、カセット本体201よりも柔らかい材料から作られ、その理由で、カセット本体201は硬い部品と呼ばれる。カバー要素229は、外部または雰囲気に対してカセット本体201をカバーする。
【0204】
カセット本体201は、流体受容チャンバ1および随意の流体供給チャンバ3を備える。
【0205】
使用中に、第1の医療流体5が、流体受容チャンバ1中に一時的に存在し、その流体5は、図1では流体受容チャンバ1を流体レベル7まで充填する。
【0206】
濾過デバイスを随意に備える流体供給チャンバ3、濾過デバイスの濾過膜9、および同様に随意の後支持構造11が図1に示されている。
【0207】
後支持構造11は排液構造13を備える。後支持構造11は、固定デバイス15、たとえば、リベット接続、溶接シームなどの助けをかりて、カセット本体201に、たとえば、流体供給チャンバ3に接続される。
【0208】
流体コネクタ17が、濾過デバイスの後支持構造11に接続される。
【0209】
流体コネクタ17を通して、第2の流体19が流体受容チャンバ1に導入される。第2の流体は、たとえば圧力を付加することによって、第1の流体5を処置するために使用され得る。
【0210】
図1に示されているように、流体受容チャンバ1は下領域21を表し、流体供給チャンバ3は上領域23を表す。
【0211】
図1に示されている血液カセット200の部分は、濾過膜9の前側が見えるように配置される。濾過膜9は、それの側が図平面の後ろにある状態で後支持構造11上に配設される。後支持構造11は、後側が濾過膜9に面する、または濾過膜9の後側上に配設されるので、「後」支持構造として示される。
【0212】
図2は、本発明による血液カセット200を横断面図で示す。血液カセット200は、処置装置300でまたはそれに押圧される。
【0213】
下領域21は、より深い領域、すなわち、流体受容チャンバ1を形成する。上領域23は、より浅い領域、すなわち、流体供給チャンバ3を形成する。
【0214】
図2に両矢印によって示されているように、第2の流体19は、流体コネクタ17を通して流体供給チャンバ3に導入される。
【0215】
流体供給チャンバ3は、図2に表されるように、密封接続部25、たとえば、溶接または結合接続部によって流体供給チャンバ3に留められた後支持構造11を随意に備える。
【0216】
後支持構造11上に、濾過膜9が配設され、濾過膜9上に前支持構造27が設けられる。
【0217】
血液カセット200のカセット本体201は、カバー要素229、たとえばフィルムによって一方の側においてカバーされる。
【0218】
処置装置300のセンサーまたはアクターによる力および/または運動を、血液カセット200またはそれのチャンバおよび/もしくは通路に伝えることに役立ち得る、ゴムマット301の媒介によってまたはそれを通して、血液カセット200は処置装置300で押圧される。
【0219】
ゴムマット301は弾性構造33を有し得る。
【0220】
流体受容チャンバ1内に存在する流体を導入または除去するために、流体受容チャンバ1は、それの下側において流体接続部35を設けられ得る。
【0221】
図3は、図2の本発明による血液カセット200の拡大詳細または断面図を示す。より正確に言えば、図3は、濾過デバイスを縦断面図で示す。
【0222】
図2の表現と比較して、濾過デバイスは、図3の表現では、流体コネクタ17が上方に向けられるように、90度だけ傾けられた。
【0223】
傾けることは、より良い表現に役立つ。血液カセット200の使用中に、濾過デバイスは、図1のそれの位置をとる、または持続する、または保つ。
【0224】
織布の形態の、(表されていない)膜層と第3の支持層とを例示的に備える濾過膜9が、後支持構造11と前支持構造27との間に配設される。
【0225】
単一の構成要素の詳細な説明については、上記の説明または実施形態が参照される。
【0226】
後支持構造11と濾過膜9との間の密封接続を確立するために、随意の第1のリングゾーンまたは第1のリング領域37が設けられる。濾過膜9と前支持構造27との間の接続を確立するために、随意の第2のリングゾーンまたは第2のリング領域39が設けられる。
【0227】
図3の矢印Iは、濾過膜9の内側もしくは中心部分を示す、またはそれのほうを指す。矢印Iは、濾過膜9のエッジから内側のほうを指す。
【0228】
参照番号9aは濾過膜9の後側を指定し、参照番号9bは濾過膜9の前側を指定する。
【0229】
濾過膜9は、それの後側9a上におよび/またはそれの前側9b上に担体フリースを有し得る。担体フリースは織布であり得、担体フリースはテフロン層を備え得る。
【0230】
図4aは、第1の接触部分27aをもつ前支持構造27を示す。図4aの図は、使用中に、濾過膜9の前側9bに面する、前支持構造27の側の図に対応する。前支持構造27は、前支持構造27を通過する開口28を備え、開口28は、図4bを参照しながら以下で説明される。
【0231】
図4aに例示的に示されているように、第1の接触部分27aは、前支持構造27の残りの部分もしくは部分とは別のまたは異なる材料から作られ得る。たとえば、第1の接触部分27aは、シリコンから作られ得る、またはそれを備え得、前支持構造27の溝にまたはスロットに、たとえばOリングとして、随意に挿入され得る。したがって、前支持構造27は、比較的好都合なまたは低価格の、より硬い材料から実質的に作られ得る。同時に、前支持構造27の第1の接触部分27aは、より柔らかい材料から作られ得、より柔らかい材料は、より硬い材料と比較してより費用がかかるが、より硬い材料とは異なり、第1の接触部分27aが濾過膜9に接触するとき、および前支持構造27が濾過膜9に対して押圧されているとき、損傷を有利に引き起こさないことがある。
【0232】
第1の接触部分27aは、本発明によれば、図4aに示されているものとは異なり、代替的に、前支持構造27の残りの部分または他の部分と同じ材料から作られ得る。たとえば、第1の接触部分27aを含む前支持構造27全体が、シリコンから作られ得る、またはそれからなり得る。これは、シリコンが費用対効果のある材料ではないので、かなり高い材料コストで、製造上の利点をもたらす。
【0233】
本発明は、再び図4aの図とは異なり、前支持構造27のすべての部分が、シリコンではない材料から作られる、またはそれからなる、さらなる実施形態を包含する。このようにして、前支持構造27は低コストで製造され得る。第1の接触部分27aのエリア内で前支持構造27をカセット本体201に溶接中に、および溶接することにより、前支持構造27をカセット本体201に接続したときにまたは接続すると、前支持構造27の所望の低い硬度が達成される。
【0234】
図4bは、図4aの前支持構造27の拡大詳細図を示す。
【0235】
濾過膜9を通って流れることもできる流体のために前支持構造27を透過性にする、開口28が示されている。流体のための前支持構造27の透過性は、随意に、本例の場合のように開口28によってのみ可能にされ得る。
【0236】
開口28(のすべてまたは多く)の直径は、好ましくは最大0.7mmを備え、好ましくは0.5mm以下を備える。開口28がスロットとして構成される場合、前の測定値または寸法がスロットの幅のために同様に適用される。
【0237】
図5aは、(図5b~図5dの場合のように、図3中のそれの図に対して180°の横回転で示された)カセット本体201と、濾過膜9と、前支持構造27と、ゴムマット301とを有する血液カセット200の、本発明による例示的な実施形態の概略的に高度に簡略化された詳細を示す。ゴムマット301は、血液カセット200が受容される、図5aに示されていない、血液処置装置300の一部である。
【0238】
濾過膜9は、溶接部分203に沿ってカセット本体201に溶接される。溶接部分203は円周方向に閉じられ得る。これは、図5aでは、この図の切断図のために見られない。溶接部分203は、第1のリング領域37として理解され得る。図2を参照されたい。
【0239】
前支持構造27は、溶接部分203上に、少なくとも部分的にまたは断面で、第1の接触部分27aによって載置される、または溶接部分203に接触する。
【0240】
好ましくは、第1の接触部分27aは、方向Iのほうへ、すなわち、前支持構造27または濾過膜9の中心部分のほうへ、溶接部分203を超えて延長または存在する。これは、図5d中の拡大図でさらに図示および説明される。
【0241】
図5aの例では、前支持構造27は、濾過膜9の前支持構造27がその上に載置される、または濾過膜9の前支持構造27がそれによって濾過膜9に面する、前支持構造27の側から、好ましくは突出または上昇する、バールまたは突出部27bを随意に備える。
【0242】
バールまたは突出部27bは、前支持構造27のエッジ側上におよび/または中間エリア中に配置される。バールまたは突出部27bは、スロットを通る気体交換または流れが可能にされるように、中間に前記スロットを備える。
【0243】
図5aの例では、前支持構造27は、濾過膜に面する前支持構造27の側の反対にある、前支持構造27の側から好ましくは突出する、1つまたは複数のバール、または突出部27cを備える。
【0244】
図5aにさらに示されているゴムマット301は、前支持構造27のバール27cを押圧する。
【0245】
バールまたは突出部27cは、好ましくは、方向Dにおいて事前決定された程度まで突出する。方向Dは、濾過膜9の主延長平面に対して垂直であり、および/または前支持構造27の主延長平面に対して垂直である。この程度は、端側27c’がゴムマット301に達するように事前決定され得る。この程度は、端側27c’がレベルNに達するように事前決定され得、レベルNにおいて、カセット本体201は、図5aに示されていないフィルムで方向Dにおいてカバーされる。
【0246】
図5aの例では、前支持構造27は、第2の接触部分27dを随意に備える。第2の接触部分27dは、支持部分204上に載置される。支持部分204は、カセット本体201の突出部またはエッジとして構成され得る。
【0247】
支持部分204および/または第2の接触部分27dは円周方向に閉じられ得る。これは、図5cでは、この図の切断図のために見られない。
【0248】
第1の接触部分27aは、方向Iに関して、第2の接触部分27dよりもさらに内側に配設される。
【0249】
図5bは、カセット本体201と、濾過膜9と、前支持構造27と、フランジングまたはフランジエッジ205とを有する、本発明によるさらなる例示的な実施形態における血液カセット200の概略的に高度に簡略化された詳細を再び示す。フランジエッジ205は、カセット本体201における前支持構造27の締め付けと、特に、第1の接触部分27aと溶接部分203との間を押圧することとを受け持つ。
【0250】
図5cは、カセット本体201と、濾過膜9と、前支持構造27と、前支持構造27の第2の接触部分27dとカセット本体201の支持部分204との間の溶接接続部とを有する、本発明によるさらなる例示的な実施形態における血液カセット200の概略的に高度に簡略化された詳細を再び示す。
【0251】
第2の接触部分27dと支持部分204との間の溶接接続部は円周方向に閉じられ得る。これは、図5cでは、この図の切断図のために見られない。
【0252】
図5dは、第1の接触部分27aが、溶接部分203および溶接シーム203aの一部に接触するまたは接し、その溶接シーム203aによって、第1の接触部分27aが、溶接部分203に接触するまたは接続されることを、拡大図で示す。
【0253】
また、第1の接触部分27aが、本明細書では例示的に正確に1つの方向Iにおいて、溶接部分203を超えて延長または存在する部分203bを備えることが見られる。溶接部分203は、図5a~図5cにすでに示されている随意の特徴である。
【0254】
一方での前支持構造27のバールまたは突出部27bと、他方での濾過膜9との間の自由空間は、0.5mm、好ましくは0.3mmを超えるべきではない。この空間は、両矢印によって図5dに示されている。その空間が上記で示されているよりも大きい場合、濾過膜9は、前支持構造27のバールまたは突出部27b上にあるようになる前に、あまりに強く曲げられ得る。それの結果は、望ましくない高い機械的応力であり得る。
【0255】
図6a~図6cは、本発明による血液カセット200の多様な実施形態におけるカセット本体201と前支持構造27の両方の断面図を示す。
【0256】
濾過膜9は図6a~図6cに示されておらず、そのため、溶接部分203も、これらの図では、溶接された状態で示され得ない。
【0257】
第2の接触部分27dは、図6aでは、閉じられた表面として具現され、その平面は、図示されていない濾過膜9の主延長平面に対して、または図5aに示されている例の場合のように、前支持構造27の主延長平面に対して、平行であるまたは平行に延長する。
【0258】
内側および/または外側が第2の接触部分27dの閉じられた表面に対して垂直であり得る、好ましくは同様に閉じられたカラーまたはエッジ27eは、内側(図6aでは左、矢印I参照)上で突出または上昇する。エッジ27eは、前支持構造27をカセット本体201に挿入するときのセンタリング補助と考えられ得る。エッジ27eは、前支持構造27がカセット本体201に溶接されている間、前支持構造27を保持するときに役立ち得る。
【0259】
図6a中のエッジ27eは第2の接触部分27dの内側上に載置されるが、代替的に、エッジ27eを第2の接触部分27dの外側上に設けることも、本発明によって意図される。
【0260】
図6bでは、第2の接触部分27dと突出エッジ27eとは互いに合体し、第2の接触部分27dは、突出エッジ27eの端部分と考えられ得る。
【0261】
図6cでは、図6c中の横断面図に示されている第2の接触部分27dおよびカセット本体201の支持部分204は、平坦ではなく、湾曲している、三角形である、または多角形である。これは、センタリング効果を支援し得る。その上、エリアまたは表面は、(他の事情が同じならば)有利に上昇するまたは高くなり、前記エリアは、接触部分27dと支持部分204との間の接触部のために、たとえば溶接部のために、利用可能である。上述の利点は、第2の接触部分27dまたはカセット本体の支持部分204の、両方ではなく一方のみが、上記で説明されたように形成されるときにも、達成され得る。それの例は、以下の図に見つかる。
【0262】
図7a~図7dは、本発明による、血液カセット200の第2の接触部分27dと支持部分204との異なる実施形態を示す。
【0263】
図7aおよび図7bは、図6cによる実施形態に対応するかまたは似ている実施形態を示す。
【0264】
図7cは、図6aによる実施形態に対応するかまたは似ている実施形態を示す。
【0265】
図7dは、図6bによる実施形態と図6cによる実施形態との組合せに対応する実施形態を示す。
【0266】
したがって、図7bおよび図7cは、溶接中の収縮に照らして特に好適である実施形態を示す。
【0267】
図8は、支持構造27の代わりにまたはそれに加えて設けられる第2の濾過膜10を示す。
【0268】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、より良い区別のために第1の濾過膜と呼ばれることもある、濾過膜9は、濾過膜9がそれによって第2の濾過膜10に接続される、溶接部分または溶接部9cを備える。
【0269】
第2の濾過膜10は、濾過処理に寄与する特徴に関して濾過膜9のように構成され得る。これは、随意であり、すなわち、必ずしも必要とされるとは限らない。
【0270】
図9は、図8のように、前支持構造27の代わりにまたはそれに加えて設けられる第2の濾過膜10を示す。
【0271】
濾過膜9と第2の濾過膜10の両方は、それぞれ担体フリース9dまたは10dと、それぞれテフロン層またはコーティング9eもしくは10eとに分割される、またはそれらを各々備える。
【0272】
それにより、濾過膜9および第2の濾過膜10は、それぞれ、それらの担体フリース9dおよび10dが互いに面するように、配置される。テフロン層9eおよび10eは、それぞれ他の濾過膜10または9から離れるほうに面する、それぞれ担体フリース9dまたは10dの側上に載置される。言い換えれば、テフロン層9eまたは10eは、したがって、それぞれ「外側」のほうに向く。
【0273】
図8から両方とも知られる、第2の濾過膜10との濾過膜9の溶接部9cおよび溶接部分203に加えて、さらなる2つの随意の溶接部分9fおよび10fが図10に示されている。
【0274】
溶接シーム部分9fは、溶接によって担体フリース9dをテフロン層9eに接続する。溶接シーム部分10fは、溶接によって担体フリース10dをテフロン層10eに接続する。
【0275】
溶接シーム部分9fは、溶接シーム部分10fのように、閉じられた様式で設けられ得る。
【0276】
テフロン層9eまたは10eは、各々、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)またはePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)から作られる、またはそれを備え得る。
【0277】
図10は、前支持構造27のさらなる実施形態を示す。この前支持構造27は、溶接部分203に面するそれのエリア中に、輪郭付けされた構造29を備える。輪郭部29は、垂直にまたはほぼ垂直に、支持構造27の内部に向けられ得る、または隆起した輪郭間にチャネルが形成されるように延長し得る。そのような輪郭部29(一方の側上の隆起した構造と他方上のチャネルとの組合せ)は、濾過膜を前支持構造27にまたはそれ上に留めるために構造を溶融するとき、材料が、濾過膜の中央エリアに浸透しない、またはごくわずかに浸透するが、大部分はチャネルエリア中にもしくはそれ内に拡散または延長することを実現し得る。
【0278】
これは、図11に概略的に示され、ここで、隆起した構造(図10の影付きエリア)の材料はチャネルのエリア中にまたはそれ内に延長する。前支持構造27の図11の実施形態はまた、少なくとも、図10の前支持構造27の隆起した部の部分溶融によって、達成可能であり得る。それにより、輪郭部29は、溶融された輪郭部29b中で少なくとも部分的に認識可能であり得る。前支持構造27は、図11の図から逸脱して、平行四辺形としても設計され得る。
【0279】
輪郭部29は、前支持構造27中に、閉じられた様式で設けられ得る。この前支持構造27は、一体型として設計され得る、または1つの材料からなり得る。この実施形態は、追加のより柔らかい支持要素なしでも、光線または電子ビームによって滅菌される濾過膜を支持するのに好適であり得、したがって、濾過膜の層間剥離が回避され得ることが明白になった。
【0280】
以下の特徴は、図11の実施形態に関して説明されるが、それらの特徴は、本発明によるすべての他の実施形態においても実現され得る。前支持構造27は開口28を備え得る。これらの開口28は、バールまたは突出部27bが、開口28間に平坦に形成され得るように、凹部30中に配置され得る。開口28のエリアでは、前支持構造27はまた、他のエリア中よりも薄く形成され得る。丸で囲まれたエリアにおける原理が、正面切断斜視図で図11に示されている。したがって、前支持構造27は、濾過膜に面する平坦なバールまたは突出部27bに加えて、濾過膜から離れるほうに面する側上の輪郭部31を備え得る。開口のエリア内の支持構造27のより薄い設計は、気体がより容易に通過すること(より低い流れ抵抗)を可能にし得、追加の輪郭部31は、より高い曲げ強さによってまたはそれの形態で、安定化を実現し得る。
【0281】
上記で説明された前支持構造27および血液カセット本体のすべては、ポリプロピレンを備え得る、またはそれからなり得る。
【0282】
図11aは、図11の拡大詳細図を示す。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
- 第1の医療流体(5)、特に血液のための流体システムと、
- デバイス本体(201)と、
- 少なくとも第2の気体流体(19)、特に空気が前記流体システムに供給され得る濾過表面をもつ少なくとも1つの疎水性の濾過デバイスとを有し、
ここにおいて、前記濾過デバイスが少なくとも1つの濾過膜(9)を備え、
ここにおいて、前記濾過膜(9)が後側(9a)と前側(9b)とを有し、
ここにおいて、前記濾過膜(9)の前記後側(9a)が、溶接部分(203)に沿って前記デバイス本体(201)の部分に溶接され、
ここにおいて、前記濾過デバイスが、前記濾過膜(9)の前記前側(9b)において前支持構造(27)を備える、
医療デバイス(200)であって、
前記前支持構造(27)が、前記前支持構造(27)の第1の接触部分(27a)を通して前記溶接部分(203)に接触するように配置されること
を特徴とする、医療デバイス(200)。
[C2]
前記前支持構造(27)が第2の接触部分(27d)を備え、ここにおいて、前記前支持構造(27)が、第2の接触部分(27d)を通して前記デバイス本体(201)の支持部分(204)に接触するように配置される、C1に記載のデバイス。
[C3]
前記第2の接触部分(27d)が、前記デバイス本体(201)の前記支持部分(204)に溶接される、C1または2に記載のデバイス
[C4]
前記溶接部分(203)および/または前記第1の接触部分(27a)が、円周または閉じられた部分である、C3に記載のデバイス。
[C5]
前記第2の接触部分(27d)が、前記デバイス本体(201)の前記支持部分(204)で締め付けられる、C3または4に記載のデバイス。
[C6]
前記前支持構造(27)の前記第1の接触部分(27a)が、前記前支持構造(27)の他の部分またはすべての他の部分よりも柔らかい材料から作られる、C1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
[C7]
前記前支持構造(27)が、正確に1つのみの材料から作られる、またはそれからなる、またはそれである、C1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
[C8]
前記前支持構造(27)の前記第1の接触部分(27a)が、前記デバイス本体(201)の前記溶接部分(203)に接触する、C1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
[C9]
前記前支持構造(27)の前記第1の接触部分(27a)が、少なくとも1つの方向(I)において、または前記溶接部分(203)の一方の側において、前記デバイス本体(201)の前記溶接部分(203)を越えて突出または延長する、C1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
[C10]
前記前支持構造(27)の前記第1の接触部分(27a)が、解放可能な様式で前記前支持構造(27)のさらなる部分に接続される、C1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
[C11]
前記前支持構造(27)の前記第1の接触部分(27a)が、前記前支持構造(27)のさらなる部分とは色が異なる、C1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
[C12]
前記前支持構造(27)が、直径または幅が、最大0.7mmであり、好ましくは最大0.5mmである開口(28)を備える、C1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
[C13]
前記前支持構造(27)が、第2の濾過膜(10)である、またはそれを備える、C1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
[C14]
前記医療デバイス(200)が血液カセットである、C1から13のいずれか一項に記載のデバイス。
[C15]
前記前支持構造(27)の前記第1の接触部分(27a)が、前記デバイスの製造中に材料を溶融もしくは一時的液化することによって作られるまたは形成される部分である、またはそれを備える、C1から14のいずれか一項に記載のデバイス。
[C16]
- 第1の流体(5)のための流体システムをもつ医療デバイス(200)のデバイス本体(201)を設けるステップと、
- 第2の気体流体(19)、特に空気が供給され得る濾過表面をもつ濾過デバイスを設けるステップと、ここにおいて、前記濾過デバイスが少なくとも1つの濾過膜(9)を備え、ここにおいて、前記濾過膜(9)が後側(9a)と前側(9b)とを有し、ここにおいて、前記濾過膜(9)の前記後側(9a)が、溶接部分(203)に沿って前記デバイス本体(201)の部分に溶接される、
- 前支持構造(27)を設けるステップと
を包含する、医療デバイス(200)を製造するための方法であって、
- それが、前記前支持構造(27)の第1の接触部分(27a)を通して前記溶接部分(203)に接触するように、前記前支持構造(27)を前記濾過膜(9)の前記前側(9b)上で前記デバイス本体(201)上にまたはそれにおいて配置するステップと、 - 前記前支持構造(27)を前記濾過膜(9)の前記前側(9b)と溶接するステップと
を特徴とする、方法。
【符号の説明】
【0283】
1 流体受容チャンバ
3 流体供給チャンバ
5 医療流体
7 流体レベル
9 濾過膜
9a 濾過膜の後側
9b 濾過膜の前側
9c 第2のフィルタ膜との溶接部
9d 担体フリース
9e テフロン層またはコーティング
9f 溶接シーム部分
10 第2の濾過膜
10d フリース担体
10e テフロン層
10f 溶接シーム部分
11 後支持構造
11a バールまたは突出部
13 排液構造
15 固定デバイス
17 流体コネクタ
19 第2の気体状流体
21 下領域
23 上領域
25 密封接続部
27 前支持構造
27a 前支持構造の第1の接触部分
27b バールまたは突出部
27c バールまたは突出部
27c’ 端側
27d 第2の接触部分
27e エッジ、カラー
28 開口
29 輪郭部/輪郭付けされた構造
29b 溶融された輪郭部
30 凹部
31 輪郭部/輪郭付けされた構造
33 弾性構造
35 流体接続部
200 医療デバイスの一例としての血液カセット
201 カセット本体またはカセット主本体、硬い部品
203 溶接部分
203a 溶接シーム
203b 部分
204 支持部分
205 フランジングまたはフランジエッジ
229 カバー要素、フィルム
300 血液処置装置
301 ゴムマット
D 方向
I 方向
N レベル
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図7d
図8
図9
図10
図11-11a】