(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】非干渉性、ノイズキャンセル性のポリヌクレオチド識別タグを用いたマルチプレックスパイロシーケンシング
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6869 20180101AFI20220725BHJP
C12Q 1/6855 20180101ALI20220725BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20220725BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20220725BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z ZNA
C12Q1/6855 Z
C12Q1/686 Z
C12N15/09 Z
(21)【出願番号】P 2019137662
(22)【出願日】2019-07-26
(62)【分割の表示】P 2015533282の分割
【原出願日】2013-09-24
【審査請求日】2019-08-26
(32)【優先日】2012-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517311482
【氏名又は名称】アイレパートリー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ハン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ワン チュンリン
【審査官】上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0087840(US,A1)
【文献】国際公開第2010/115154(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/048341(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0257031(US,A1)
【文献】特表2011-500041(JP,A)
【文献】特表2012-514977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/68-1/70
C12N 15/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非干渉性
および非キャンセル性の標的固有のポリヌクレオチド識別タグでタグ付加された標的特異的プライマーを用いて
2つ以上の標的ポリヌクレオチド配列を増幅する段階であって、該標的特異的プライマーは、5’-(フォワードプライマー配列)-(非干渉性
および非キャンセル性の標的固有のヌクレオチド識別タグ配列)-(標的特異的配列)-3’からなる配列を有し、かつ、該標的特異的プライマーはネステッドプライマーであり、かつ、該
2つ以上の増幅された標的ポリヌクレオチド配列が、それぞれ非干渉性
および非キャンセル性の標的固有のヌクレオチド識別タグを取り込む、段階;および、
2つ以上の特異的なポリヌクレオチド識別タグの存在を検出するために、
2つ以上の非干渉性
および非キャンセル性の標的固有のポリヌクレオチド識別タグをパイロシーケンシングする段階
を含み、
特異的なポリヌクレオチド識別タグの存在が特異的な標的ポリヌクレオチド配列の存在と相関し、
該増幅およびパイロシーケンシングが同じ反応格納容器で行わ
れ、かつ、
非干渉性および非キャンセル性の標的固有のポリヌクレオチド識別タグが、SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 12、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、SEQ ID NO: 17、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、SEQ ID NO: 21、SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、SEQ ID NO: 28、SEQ ID NO: 29、SEQ ID NO: 30、SEQ ID NO: 31、SEQ ID NO: 32、SEQ ID NO: 33、SEQ ID NO: 34、SEQ ID NO: 35、SEQ ID NO: 36、SEQ ID NO: 37、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 39、SEQ ID NO: 40、SEQ ID NO: 41、SEQ ID NO: 42、SEQ ID NO: 43、SEQ ID NO: 44、SEQ ID NO: 45、SEQ ID NO: 46、SEQ ID NO: 47、SEQ ID NO: 48、SEQ ID NO: 49、SEQ ID NO: 50、SEQ ID NO: 51、SEQ ID NO: 52、SEQ ID NO: 53、SEQ ID NO: 54、SEQ ID NO: 55、SEQ ID NO: 56、SEQ ID NO: 57、SEQ ID NO: 58、SEQ ID NO: 59、およびSEQ ID NO: 60からなる配列の群の中から選択される、
混合したポリヌクレオチド集団を含み得る試料を解析するためのマルチプレックス増幅およびシーケンシング法。
【請求項2】
ポリヌクレオチド集団がDNAを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリヌクレオチド集団がRNAを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ポリヌクレオチド集団がDNAおよびRNAの混合した集団である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ポリヌクレオチド増幅がPCRを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
ポリヌクレオチド増幅がRT-PCRを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
2つ以上の標的配列が、ウイルス、細菌、および真菌の核酸からなる群の中から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
2つ以上の標的配列が、ヒト臨床試料から取得される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
2つ以上の標的配列が、動物由来の臨床試料から取得される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
標的特異的なプライマーに非干渉性
および非キャンセル性の標的固有のポリヌクレオチド識別タグを付加する段階、
該標的特異的なプライマータグを標的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズさせる段階、
該標的ポリヌクレオチド配列を増幅し、かつ標的固有のポリヌクレオチド識別タグを、増幅した標的ポリヌクレオチド配列に組み込むために、ポリヌクレオチド増幅を行う段階、および
該標的固有の非干渉性
および非キャンセル性のポリヌクレオチド識別タグをパイロシーケンシングする段階
を含み、
標的固有の非干渉性
および非キャンセル性のポリヌクレオチド識別タグの識別が標的ポリヌクレオチドの存在を示し、
該標的特異的なプライマーはネステッドプライマーであり、該ハイブリダイゼーション、増幅、およびパイロシーケンシングが全て同じ反応格納容器内で行わ
れ、かつ、
非干渉性および非キャンセル性の標的固有のポリヌクレオチド識別タグが、SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 12、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、SEQ ID NO: 17、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、SEQ ID NO: 21、SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、SEQ ID NO: 28、SEQ ID NO: 29、SEQ ID NO: 30、SEQ ID NO: 31、SEQ ID NO: 32、SEQ ID NO: 33、SEQ ID NO: 34、SEQ ID NO: 35、SEQ ID NO: 36、SEQ ID NO: 37、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 39、SEQ ID NO: 40、SEQ ID NO: 41、SEQ ID NO: 42、SEQ ID NO: 43、SEQ ID NO: 44、SEQ ID NO: 45、SEQ ID NO: 46、SEQ ID NO: 47、SEQ ID NO: 48、SEQ ID NO: 49、SEQ ID NO: 50、SEQ ID NO: 51、SEQ ID NO: 52、SEQ ID NO: 53、SEQ ID NO: 54、SEQ ID NO: 55、SEQ ID NO: 56、SEQ ID NO: 57、SEQ ID NO: 58、SEQ ID NO: 59、およびSEQ ID NO: 60からなる配列の群の中から選択される、
方法。
【請求項11】
ポリヌクレオチド集団がDNAを含む、請求項
10記載の方法。
【請求項12】
ポリヌクレオチド集団がRNAを含む、請求項
10記載の方法。
【請求項13】
ポリヌクレオチド集団がDNAおよびRNAの混合した集団である、請求項
10記載の方法。
【請求項14】
ポリヌクレオチド増幅がPCRを含む、請求項
10記載の方法。
【請求項15】
ポリヌクレオチド増幅がRT-PCRを含む、請求項
10記載の方法。
【請求項16】
2つ以上の標的配列が、ウイルス、細菌、および真菌の核酸からなる群の中から選択される、請求項
10記載の方法。
【請求項17】
2つ以上の標的配列が、ヒト臨床試料から取得される、請求項
10記載の方法。
【請求項18】
2つ以上の標的配列が、動物由来の臨床試料から取得される、請求項
10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Multiplex Pyrosequencing Using Non-Interfering Noise-Cancelling Polynucleotide Identification Tags」という題名の、2012年9月24日に出願された米国特許仮出願第61/705,089号の優先権を主張し、該出願は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
配列表
本出願は、EFS-Webを介してASCII形式において提出されかつその全体が参照により本明細書に組み入れられる配列表を含有する。2013年9月23日に作成された該ASCIIコピーは、15892-0002_SL.txtという名称であり、サイズは15,781バイトである。
【0003】
発明の分野
本発明は、核酸試料を解析するためおよびシーケンシングするための方法論に関する。より具体的には、本発明は、特異的なポリヌクレオチド識別タグの使用を通して増幅核酸試料をシーケンシングするための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
核酸増幅の方法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の開発により、分子診断試験を含む、様々な用途のためのDNA増幅の使用が可能になっている。しかしながら、分子鑑別診断(MDD)アッセイのためのPCRの使用には課題が付随している。PCRは、特異的なプライマーまたはプライマーセット、温度条件、および酵素を利用する。例えば、PCR反応は容易に汚染され、プライマー結合は、異なるプライマーについて異なる条件を必要とする可能性があり、かつ、プライマーは、その標的配列のみを増幅するために標的配列に特異的であるべきである。これらの限界により、単一の試料から多数の配列を増幅することがさらにいっそう困難になっている。
【0005】
1つまたは複数の疾患の原因となる作用物質を見出すための臨床試料の診断試験は、過去には、微生物を単離および培養することを必要としていた。しかしながら、これには何日もかかる可能性があり、多くの場合、患者の命を救うのであれば数時間以内に診断が実行されなければならない。どれが疾患の原因となる作用物質であり得るかを判定するために、多数の生物を同定する単一臨床試料の解析が、MDDにとって望ましい方法であり、その目標をより良好に達成するために方法が開発されてきた。例えば、多数の生物の検出および同定を可能にするのに十分なDNA/RNAを生成するために、試料内の多数の核酸を増幅するマルチプレックスPCR法が開発されてきた。しかしながら、マルチプレックスPCRは欠点を有する。例えば、マルチプレックスPCR反応中の各標的は、それ自身の最適反応条件を必要とし、従って、標的の数が増加すると、各個々の標的についての反応条件が最適未満であることが必要となる。さらに、系における多数のセットの高濃度プライマーは、しばしば、プライマー二量体を生じるか、または非特異的なバックグラウンドの増幅を与える。この特異性の欠如により、PCR後の浄化および多数のハイブリダイゼーション後の洗浄の追加的な段階も必要となる。
【0006】
過密なプライマーは、利用可能な酵素を必要とすることおよび基質を消費することにより、増幅効率を低減させる。増幅効率の違いは、アンプリコンの収量に有意な不一致をもたらす可能性がある。例えば、いくつかの遺伝子座は非常に効率良く増幅し得、他方、他の遺伝子座は非常に効率悪く増幅するか、または全く増幅しない。この不均一な増幅の可能性はまた、終点の定量解析を正確に行うことを困難~不可能にする。
【0007】
多くの場合、時間が重要であり、患者の感染症が1種より多い細菌種を含み、かつ、臨床試料中の標的DNAの量が限定されている。マルチプレックスPCRなどの技術は、これらの問題点に対処するように開発されてきた。しかしながら、臨床試料の迅速かつ正確な解析を達成するのに必要とされる時間および労力をさらに減少させるために、この分野における改善がまだ必要である。特に試料調製および解析のための閉鎖されたカセットの使用による、自動化することができる方法がとりわけ重要である。なぜなら、それらは、試料の起こりうる汚染を減少させ、かつ検査技師が各試料を調製および解析するのに注ぎ込まなければならない時間および労力を減少させる、付加的な利点を提供し得るためである。
【0008】
マルチプレックスシーケンシング技術およびそれらの試料解析における使用には有意な改善があるが、これらが解析および検出をより容易にするようさらに洗練され得るならば、非常に有益であろう。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、1つまたは複数の標的配列が非干渉性、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグでタグ付加されている増幅産物を生成するために、ポリヌクレオチド増幅を用いる段階、および、1つまたは複数の特異的なポリヌクレオチド識別タグの存在を検出するために、非干渉性、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグ配列を通して増幅産物をパイロシーケンシングする段階を含み、特異的なポリヌクレオチド識別タグの存在が特異的な標的配列の存在と相関している、混合したDNAまたはRNA集団を含み得る試料を解析するためのマルチプレックス法に関する。1つの態様において、ポリヌクレオチドは、DNA、RNA、または混合したDNA/RNA集団を含んでもよい。追加的な態様において、マルチプレックス反応はPCR反応を含む。
【0010】
本発明の局面はまた、標的特異的なプライマーに標的固有の非干渉性、非キャンセル性のポリヌクレオチド識別タグを付加する段階、標的特異的なプライマーを標的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズさせる段階、標的ポリヌクレオチド配列を増幅し、かつ標的固有の非干渉性、非キャンセル性のポリヌクレオチド識別タグを標的ポリヌクレオチド配列に付加するために、ポリヌクレオチド増幅を行う段階、および、標的固有の非干渉性、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグをパイロシーケンシングする段階を含み、標的固有の非干渉性、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグの識別が標的ポリヌクレオチドの存在を示す、1つまたは複数の未同定のポリヌクレオチドを含有する試料を解析するためのマルチプレックス法に関する。1つの態様において、ポリヌクレオチドは、DNA、RNA、または混合したDNA/RNA集団を含んでもよい。追加的な態様において、マルチプレックス反応はPCR反応を含む。
【0011】
本発明の局面はまた、標的固有の非干渉性、非キャンセル性のポリヌクレオチド識別タグが、SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 12、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、SEQ ID NO: 17、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、SEQ ID NO: 21、SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、SEQ ID NO: 28、SEQ ID NO: 29、SEQ ID NO: 30、SEQ ID NO: 31、SEQ ID NO: 32、SEQ ID NO: 33、SEQ ID NO: 34、SEQ ID NO: 35、SEQ ID NO: 36、SEQ ID NO: 37、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 39、SEQ ID NO: 40、SEQ ID NO: 41、SEQ ID NO: 42、SEQ ID NO: 43、SEQ ID NO: 44、SEQ ID NO: 45、SEQ ID NO: 46、SEQ ID NO: 47、SEQ ID NO: 48、SEQ ID NO: 49、SEQ ID NO: 50、SEQ ID NO: 51、SEQ ID NO: 52、SEQ ID NO: 53、SEQ ID NO: 54、SEQ ID NO: 55、SEQ ID NO: 56、SEQ ID NO: 57、SEQ ID NO: 58、SEQ ID NO: 59、およびSEQ ID NO: 60からなる配列の群の中から選択される、マルチプレックスPCRパイロシーケンシング法に関する。
【0012】
本発明の1つの局面は、標的特異的なネステッド(nested)プライマーを利用する。標的核酸は、DNAおよび/またはRNAを含んでもよく、ウイルス、細菌、および/または真菌起源のDNAおよび/またはRNA、ならびに、ヒトまたは他の動物起源のゲノムDNAおよび/またはRNAを含んでもよい。増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および/またはRT-PCRにより行われてもよい。標的核酸の供給源は、1つまたは複数の臨床、環境、または食品試料由来であってもよく、方法は、例えば、臨床診断、環境サンプリング、植物試験、食品安全性分析、遺伝的障害の検出、および/または疾患状態の検出を含む、多種多様の様式において使用されてもよい。方法は、ヒトおよび/または獣医学的診断に使用されてもよい。
[本発明1001]
1つまたは複数の標的配列が非干渉性、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグでタグ付加されている増幅産物を生成するために、ポリヌクレオチド増幅を用いる段階、および、1つまたは複数の特異的なポリヌクレオチド識別タグの存在を検出するために、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグ配列を通して前記増幅産物をパイロシーケンシングする段階を含み、特異的なポリヌクレオチド識別タグの存在が特異的な標的配列の存在と相関している、混合したポリヌクレオチド集団を含み得る試料を解析するためのマルチプレックス増幅法。
[本発明1002]
ポリヌクレオチド集団がDNAを含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
ポリヌクレオチド集団がRNAを含む、本発明1001の方法。
[本発明1004]
ポリヌクレオチド集団がDNAおよびRNAの混合した集団である、本発明1001の方法。
[本発明1005]
ポリヌクレオチド増幅がPCRを含む、本発明1001の方法。
[本発明1006]
ポリヌクレオチド増幅がRT-PCRを含む、本発明1001の方法。
[本発明1007]
非干渉性、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグが、SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 12、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、SEQ ID NO: 17、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、SEQ ID NO: 21、SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、SEQ ID NO: 28、SEQ ID NO: 29、SEQ ID NO: 30、SEQ ID NO: 31、SEQ ID NO: 32、SEQ ID NO: 33、SEQ ID NO: 34、SEQ ID NO: 35、SEQ ID NO: 36、SEQ ID NO: 37、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 39、SEQ ID NO: 40、SEQ ID NO: 41、SEQ ID NO: 42、SEQ ID NO: 43、SEQ ID NO: 44、SEQ ID NO: 45、SEQ ID NO: 46、SEQ ID NO: 47、SEQ ID NO: 48、SEQ ID NO: 49、SEQ ID NO: 50、SEQ ID NO: 51、SEQ ID NO: 52、SEQ ID NO: 53、SEQ ID NO: 54、SEQ ID NO: 55、SEQ ID NO: 56、SEQ ID NO: 57、SEQ ID NO: 58、SEQ ID NO: 59、およびSEQ ID NO: 60からなる配列の群の中から選択される、本発明1001の方法。
[本発明1008]
1つまたは複数の標的配列が、ウイルス、細菌、および真菌の核酸からなる群の中から選択される、本発明1001の方法。
[本発明1009]
1つまたは複数の標的配列が、ヒト臨床試料から取得される、本発明1001の方法。
[本発明1010]
1つまたは複数の標的配列が、動物由来の臨床試料から取得される、本発明1001の方法。
[本発明1011]
a.標的特異的なプライマーに標的固有の非干渉性、非キャンセル性のポリヌクレオチド識別タグを付加する段階、
b.標的特異的なプライマー/識別タグを標的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズさせる段階、
c.標的ポリヌクレオチド配列を増幅し、かつ標的固有のポリヌクレオチド識別タグを標的ポリヌクレオチド配列に付加するために、ポリヌクレオチド増幅を行う段階、および
d.標的固有の非干渉性、非キャンセル性のポリヌクレオチド識別タグをパイロシーケンシングする段階
を含み、標的固有の非干渉性、非キャンセル性のポリヌクレオチド識別タグの識別が標的ポリヌクレオチドの存在を示す、方法。
[本発明1012]
ポリヌクレオチド集団がDNAを含む、本発明1011の方法。
[本発明1013]
ポリヌクレオチド集団がRNAを含む、本発明1011の方法。
[本発明1014]
ポリヌクレオチド集団がDNAおよびRNAの混合した集団である、本発明1011の方法。
[本発明1015]
ポリヌクレオチド増幅がPCRを含む、本発明1011の方法。
[本発明1016]
ポリヌクレオチド増幅がRT-PCRを含む、本発明1011の方法。
[本発明1017]
非干渉性、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグが、SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 12、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、SEQ ID NO: 17、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、SEQ ID NO: 21、SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、SEQ ID NO: 28、SEQ ID NO: 29、SEQ ID NO: 30、SEQ ID NO: 31、SEQ ID NO: 32、SEQ ID NO: 33、SEQ ID NO: 34、SEQ ID NO: 35、SEQ ID NO: 36、SEQ ID NO: 37、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 39、SEQ ID NO: 40、SEQ ID NO: 41、SEQ ID NO: 42、SEQ ID NO: 43、SEQ ID NO: 44、SEQ ID NO: 45、SEQ ID NO: 46、SEQ ID NO: 47、SEQ ID NO: 48、SEQ ID NO: 49、SEQ ID NO: 50、SEQ ID NO: 51、SEQ ID NO: 52、SEQ ID NO: 53、SEQ ID NO: 54、SEQ ID NO: 55、SEQ ID NO: 56、SEQ ID NO: 57、SEQ ID NO: 58、SEQ ID NO: 59、およびSEQ ID NO: 60からなる配列の群の中から選択される、本発明1011の方法。
[本発明1018]
1つまたは複数の標的配列が、ウイルス、細菌、および真菌の核酸からなる群の中から選択される、本発明1011の方法。
[本発明1019]
1つまたは複数の標的配列が、ヒト臨床試料から取得される、本発明1011の方法。
[本発明1020]
1つまたは複数の標的配列が、動物由来の臨床試料から取得される、本発明1011の方法。
[本発明1021]
SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 12、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、SEQ ID NO: 17、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、SEQ ID NO: 21、SEQ ID NO: 22、SEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 26、SEQ ID NO: 27、SEQ ID NO: 28、SEQ ID NO: 29、SEQ ID NO: 30、SEQ ID NO: 31、SEQ ID NO: 32、SEQ ID NO: 33、SEQ ID NO: 34、SEQ ID NO: 35、SEQ ID NO: 36、SEQ ID NO: 37、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 39、SEQ ID NO: 40、SEQ ID NO: 41、SEQ ID NO: 42、SEQ ID NO: 43、SEQ ID NO: 44、SEQ ID NO: 45、SEQ ID NO: 46、SEQ ID NO: 47、SEQ ID NO: 48、SEQ ID NO: 49、SEQ ID NO: 50、SEQ ID NO: 51、SEQ ID NO: 52、SEQ ID NO: 53、SEQ ID NO: 54、SEQ ID NO: 55、SEQ ID NO: 56、SEQ ID NO: 57、SEQ ID NO: 58、SEQ ID NO: 59、およびSEQ ID NO: 60からなる配列の群の中から選択される非干渉性、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグを含む、ポリヌクレオチド配列。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】PCRを用いて、標的特異的な、または標的固有のポリヌクレオチド識別タグを付加するための方法の例の図示である。
図1において、「インデックスタグ」は、標的特異的な(標的固有の)ポリヌクレオチド識別タグを意味する。Fo、Fi、Fc、Ro、Ri、およびRcは、プライマー配列および位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
パイロシーケンシングは、核酸合成中に放出されるピロリン酸の検出に基づく核酸シーケンシング技術である。組み込まれたヌクレオチドの数に比例する可視光が、この酵素反応中に生じる。無機ピロリン酸が、酵素ポリメラーゼによるヌクレオチドの組み込みの結果として放出される。いくつかの態様において、ルシフェラーゼが、フォトダイオード、光電子増倍管、または電荷結合素子(CCD)カメラにより容易に検出される光を生じるために利用される。付加されたヌクレオチドが既知であるため、鋳型核酸の配列が決定され得る。パイロシーケンシングは、DNAおよびRNAの両方で可能である。本質的に、相補鎖を一度に一塩基対合成すること、および、ヌクレオチドの組み込み中に放出される光の測定により各段階でどの塩基が付加されたかを検出することによって、前記方法により一本鎖の核酸のシーケンシングが可能になる。パイロシーケンシングは、臨床試料からの同定を手助けする、細菌、ウイルス、真菌、および他の類似した供給源由来の核酸適用のための迅速で正確な方法の代表例である。しかしながら、パイロシーケンシングは、混合した試料を解析するために、概して多数の並行したシーケンシングランを必要とする、並行シーケンシング法である。このシーケンシング法を、マルチプレックスPCRシーケンシング法のように単一の格納容器中で行うことは、必要な結果を生じるために必要とされる費用および時間を有意に低減することができる。本発明者らは、パイロシーケンシングが真のマルチプレックス様式で行われること、すなわち、多数の並行反応ではなく、単一のマルチプレックス反応において多数の試料をシーケンシングおよび検出することを可能にする方法を、開発した。
【0015】
本発明者らは、パイロシーケンシングの利点、すなわち、シーケンシング結果の検出はDNA合成中にヌクレオチドが付加される時に放出されるピロリン酸が生じる際に放出される光の検出に基づくという事実が、多数の異なる配列の検出が相対的に不可能になるという理由から、一般に、マルチプレックスPCRおよびシーケンシングの使用を不可能にすることを認識した。しかしながら、本発明者らは、この障害を克服する方法を開発した。その際に、本発明者らは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる国際公開公報第2010/132834号(Apparatus for Performing Amplicon Rescue Multiplex PCR)に記載されている方法において使用されるもののような、単一カセットの境界内で行われ得るマルチプレックスポリヌクレオチド増幅およびパイロシーケンシングのための方法を作成した。
【0016】
本明細書において使用される「含む」という用語は、「から本質的になる」および「からなる」という用語と置換されてもよいことが、理解されるべきである。「反応系」という用語が使用される場合、少なくとも1つのポリメラーゼ連鎖反応の1つまたは複数のサイクルを行うために必要なプライマー、酵素、ヌクレオチド、緩衝液、および/または他の試薬が中に配置される、エッペンドルフチューブ、反応チャンバー、または他の格納装置を説明することが意図される。従って、異なる「反応系」は、同じ反応格納容器であるが、望ましい増幅段階を行うための異なる成分の試薬、特にプライマーを指し得る。「反応格納容器」とは、反応系を提供するために必要なプライマー、酵素、ヌクレオチド、緩衝液、および/または他の試薬を含有するのに十分な内部容積を有するチューブ、プレートウェル、または他の容器を意味する事が意図される。「レスキュー」という用語は、第1の増幅のプライマーの少なくとも一部からのアンプリコンの分離を意味する事が意図される。「PCR」とは、ポリメラーゼ連鎖反応を意味する事が意図され、PCRおよび/またはRT-PCR手順を含んでもよい。
【0017】
1つの態様において、現在説明される方法は、1つまたは複数の標的配列が非干渉性、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグでタグ付加されている増幅産物を生成するためにポリヌクレオチド増幅を用いる段階を含む。本明細書において定義される「非干渉性、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグ」とは、標的配列またはプライマーに結合した際に、ポリメラーゼ酵素の機能を干渉しない、ヌクレオチド鋳型またはプライマーの末端に位置するヌクレオチド構造を変化させない、鋳型へのプライマーのアニーリングを干渉しない、標的ポリヌクレオチド中に複雑な構造を導入しない、または、プライマーの結合および/もしくは標的ヌクレオチドの増幅を干渉しないもしくは妨げない、ポリヌクレオチド配列を指す。現在説明される方法は、DNA試料、RNA標的、または混合したDNA/RNA集団を有する標的を利用してもよい。追加的な態様において、開示される方法は、ポリヌクレオチドの増幅のためにPCRおよび/または逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を使用してもよい。
【0018】
1つの態様において、識別タグでタグ付加されている標的配列を含む産物の増幅は、国際公開公報第2009/124293号に記載されているようなアンプリコンレスキューマルチプレックスポリメラーゼ連鎖反応を利用し、かつ国際公開公報第2010/132834号に記載されている方法および器具を利用して達成されてもよく、各々の内容は、全体として参照により本明細書に組み入れられる。簡潔に言うと、標的特異的な第1の増幅手順を行うために、高濃度の標的特異的なネステッドプライマーが使用される。標的特異的なプライマーは、1つまたは複数の(および好ましくは多数の)、例えば、細菌、ウイルス、真菌、および/または他の起源の標的核酸を増幅するために使用されてもよい。標的核酸は、ヒトまたは動物起源であってもよい。1つの態様において、標的核酸は、ヒト臨床試料に由来する。
図1に図示されるように、フォワードプライマーFiが、標的核酸に特異的ではない追加的な配列を提供するように追加的なヌクレオチドに付加されるかまたは追加的なヌクレオチドで「タグ付加」され、それによりそのようなプライマーを用いた標的核酸Bの増幅が、
図1において「インデックス配列」と呼ばれる非干渉性、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグを、結果として生じるアンプリコン中にも組み込むと考えられる。1つの態様において、非干渉性、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグは、表1に列挙されるものから選択される。本方法は、追加的なプライマーFCおよびF
oを組み込み、これらの機能は国際公開公報第2009/124293号に詳細に記載されている。増幅が行われ、反応が終結され、結果として生じたアンプリコンが、パイロシーケンシング手順における使用のために、国際公開公報第2009/124293号に詳細に記載されている反応混合物からレスキューされる。パイロシーケンシングは、同じ反応格納容器を利用してもしなくてもよい、様々な反応系において行われる。
【0019】
図1に図示される態様において、これらのタグは、プライマー配列F
i、ポリヌクレオチド識別タグまたはインデックス配列、および、所望の標的ポリヌクレオチド配列Bとハイブリダイズするであろう標的特異的配列Aを含むポリヌクレオチドを合成することにより、特異的な標的配列と個々に対形成する。タグは、特定の標的配列と相関するように選択される。具体的には、増幅反応物は、追加的なヌクレオチド、すなわち標的核酸に特異的ではないポリヌクレオチド識別タグまたはインデックス配列に付加されるかまたはそれで「タグ付加」されているフォワードプライマー配列F
i、および標的特異的配列Aを含む。標的特異的なプライマーF
i/識別タグをその後、標的ポリヌクレオチド配列Bにハイブリダイズさせ、増幅を、公知の方法、例えばPCRおよび/またはRT-PCRにより開始する。そのようなプライマーを用いて結果として生じる標的核酸Bの増幅は、非干渉性、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグを、結果として生じるアンプリコン中に組み込むと考えられる。合成ポリヌクレオチドを用いて、プライマー配列およびポリヌクレオチド識別タグ配列は、増幅産物として生成されるポリヌクレオチドの5'-末端中に組み込まれてもよい。
【0020】
本方法は、1つまたは複数の特異的なポリヌクレオチド識別タグの存在を検出するために、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグ配列を通して増幅産物をパイロシーケンシングする段階をさらに含む。ここで、特異的なポリヌクレオチド識別タグの存在は、特異的な標的配列の存在と相関している。これを達成するために、本発明者らは、識別タグがシーケンシングされる際に混乱させるようなシグナルを引き起こすことなく同じ反応チャンバー内でパイロシーケンシングを用いてシーケンシングされ得る一連の10塩基対の配列を開発した(表1を参照されたい)。その増幅産物が、その後、ポリヌクレオチド識別タグ配列を通してパイロシーケンシングされ得る。従って、対応するポリヌクレオチド識別タグ配列の存在は特異的な標的配列の存在と相関し、臨床試料などの試料における標的の識別を、標的ポリヌクレオチド全体についてシーケンシング反応を完了することなく行うことができる。
【0021】
ポリヌクレオチド識別タグを、マルチプレックスパイロシーケンシング反応においてシーケンシングする際、ポリメラーゼでのヌクレオチドの組み込みの結果としての無機ピロリン酸の酵素的放出を通じて生じた光が、例えば、フォトダイオード、光電子増倍管、または電荷結合素子カメラを用いて検出され得る。非干渉性、非キャンセル性の標的特異的なポリヌクレオチド識別タグ配列の性質は、それらが同じ反応容器においてシーケンシングされる際にタグの別個の個々の検出を干渉しないようなものである。
【0022】
結果は、例えば、臨床試料において未知のものを同定するための、より迅速な方法である。この方法を、例えば、国際公開公報第2009/124293号に記載されているarmPCR法などの方法と組み合わせること、および、国際公開公報第2010/132834号に記載されているもののような装置を用いることにより、1つまたは複数のカセットが中に挿入され得る単一の機械内で、検出と共に行われ得る、自動化された単一カセットのポリヌクレオチド増幅およびシーケンシング手順を達成することが、今や可能である。何十または何百個の塩基対ではなく、数個の塩基対をシーケンシングすることが必要であるにすぎないため、有意に少ない時間で結果が返ってくる可能性がある。
【0023】
本発明者らが非干渉性かつ非キャンセル性であると判定したポリヌクレオチド識別タグを、表1に示す。
【0024】
【配列表】