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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】筋肉弛緩用組成物
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/06 20060101AFI20220725BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20220725BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20220725BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20220725BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20220725BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
C07K7/06 ZNA
A61K38/08
A61P21/02
A61K8/64
A61Q19/08
A61P17/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020568427
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 KR2019013916
(87)【国際公開番号】W WO2020138674
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2018-0169495
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0083008
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510271129
【氏名又は名称】ケアジェン カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CAREGEN CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】特許業務法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヨンジ
(72)【発明者】
【氏名】キム ウンミ
(72)【発明者】
【氏名】リ ウンジ
【審査官】伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0289272(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0279193(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 7/06
C12N 15/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1で記載されるアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として含有する筋肉弛緩用薬学的組成物。
【請求項2】
前記ペプチドは、筋肉弛緩用薬学的組成物100重量%に対して0.001重量%から60重量%で含まれる、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
神経筋肉疾患の予防又は治療に用い
前記神経筋肉疾患は、眼瞼痙攣、斜頸、頸部筋緊張異常、強直性眼瞼攣縮、腋窩多汗症、裂肛、膣痙、弛緩不能症、頭痛疾患、特発性及び神経性排尿筋過多症、局所ジストニア、側頭下顎関節痛症障害、糖尿病性神経症、声帯機能障害、斜眼、慢性神経病症、顔面筋肉肥大症、排尿筋括約筋障害及び良性前立腺肥大症よりなる群から選択されるいずれか1つである、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記頭痛疾患は、偏頭痛である、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記ペプチドは、アセチルコリンの分泌を抑制する、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
配列番号1で記載されるアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として含有し、
皮膚しわ改善、皮脂生成抑制、又はニキビ改善に用いる化粧料組成物。
【請求項7】
前記ペプチドは、化粧料組成物100重量%に対して0.001重量%から60重量%で含まれる、請求項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記ペプチドは、コラーゲンの発現を増加させる、請求項に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理活性を有するペプチド及びこれを含む組成物に関し、具体的には、生理活性を有するペプチドを含む筋肉弛緩、皮膚しわ改善、皮脂生成抑制、又はニキビ改善用組成物、例えば、薬学的組成物又は化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
動物の神経系を構成する神経細胞は、他の細胞で発見できない特異構造で軸索を有している。軸索は、細くて長い構造体で細胞体から伸びて神経細胞の標的に連結されており、これを介して信号を伝達して物質を輸送するようになる。
【0003】
神経筋連接は、軸索の終末部が骨格筋細胞と連接してインパルスが神経細胞から筋肉に伝達するように特殊に分化されたシナプス構造である。骨格筋にいく軸索は、髄鞘により包まれている有髄軸索であり、筋肉に近づくと幾つかの終末枝に分岐される。この分岐された軸索は髄鞘により包まれているが、筋肉に入っていく部位から髄鞘がなくなり、他のシナプスをなす軸索終末のように終末膨大を形成し、この終末膨大は窪むように生じている細胞表面に位置するようになる。このような構造を運動終末板又は神経筋連接という。
【0004】
他のシナプスでのように、神経筋連接の軸索終末には幾多のミトコンドリアとシナプス小胞が存在する。神経筋連接のシナプス小胞には、神経伝達物質であるアセチルコリンが含有されている。SNARE分子は、アセチルコリンを放出するのに必須であり、アセチルコリン放出作用の抑制は、弛緩性麻痺を引き起こす。軸索終末と筋肉との間には連接隙間があり、シナプス以後の部分である骨格筋細胞の細胞膜は筋形質側に陥入され、多くの連接ひだを形成する。このしわ部位の細胞膜にもアセチルコリン受容体があり、この構造はアセチルコリンと受容体が結合できる面積を広げる役割を行うと推測される。
【0005】
神経インパルスが神経筋連接に伝達すれば、終末細胞膜の電位感受性カルシウムチャネルが開かれ、カルシウムが中に入りシナプス小胞を細胞膜と融合させ、小胞内のアセチルコリンを連接隙間で遊離させる。遊離されたアセチルコリンは、筋細胞膜にあるアセチルコリン受容体と結合するようになり、これによりナトリウムチャンネルが開かれるようになり、その結果、細胞膜の脱分極が起こる。神経筋連接で始まったインパルスは、筋纎維の表面に沿って広がっていき、筋細胞の深部に伝達される。インパルスは、三つ組(triad)に伝達され、筋形質内の細網の膜のカルシウムチャンネルを開いてカルシウムを筋形質内に遊離させる。カルシウムはトロポニンCと結合し、これにより筋肉の収縮が始まる。インパルスが中断されると、カルシウムは能動輸送により筋形質内の細網の髄鞘に再び入っていくようになるため、筋肉は弛緩される。よって、神経筋連接でアセチルコリンの分泌を抑制すると、神経筋連接から発生したインパルスが筋肉に伝達せずに、インパルスが中断されるので筋肉が弛緩されるようになる。
【0006】
一方、顔面の表情しわの形成原因やそのメカニズムは、皮膚を内部から引っ張る表皮筋肉の緊張にある。このような筋肉の緊張は、顔面筋肉弱化、神経活動過多の結果である。神経の過剰活動は、筋肉繊維を刺激する制御されない過度な神経伝達物質の放出特性である。このため、神経伝達物質の放出を調節する分子は、筋肉の緊張を弛緩させ、顔面しわを除去するのに寄与する。よって、神経伝達物質の放出を調節して筋肉痙攣を治療し、顔面非対称及び/又は顔面しわ(特に、顔面表情のしわ)を減少するか除去するのに効能がある新規活性成分を開発する必要がある。
【0007】
筋肉弛緩作用に関しては、ボツリヌストキシンが知られている。ボツリヌストキシンは、顔面しわの除去の用途として臨床実験と美容に最も普遍的に用いられる。ボツリヌストキシンは、SNAREタンパク質の機能的損傷を引き起こし、SNARE複合体を遮断して神経伝達物質であるアセチルコリンの分泌を抑制して筋肉弛緩の効果を示す。
【0008】
ボツリヌストキシンの筋肉弛緩の効果を用いて筋肉弛緩剤として用いるか(韓国公開特許第2010-0020972号公報)、しわを減らす目的として用いられてきた。しかし、ボツリヌストキシンの麻痺効果は平均6ヶ月間可逆的なので、このような処理にはボツリヌストキシンの繰り返し注入が必要である。また、ボツリヌストキシンは、患者の免疫系により認識され得る大きさを有するので、薬剤に対する免疫反応が誘発され得る。ボツリヌストキシンに対する抗体の形成は、顕著な治療効能の損失をもたらすので深刻な問題である。よって、免疫反応を誘発せず、より簡単に安定した分子構造を有しながら、製造コストが効率的な、ボツリヌストキシンと類似の麻痺効果を示す分子の開発が必要な実情である。
【0009】
一方、皮脂は皮脂腺で作られて毛穴を介して放出され、皮膚及び毛髪の表面に脂肪膜を形成して外部の菌から我々の身体を保護する抗菌、制菌作用を行う。皮脂腺で皮脂の分泌が多くなったり毛穴を通過する過程で障害が生じたりするようになれば毛穴が拡大される。このように拡大された毛穴の中には皮脂が蓄積され、このような皮脂は、角質、メイクアップ化粧老廃物、又は埃と互いにからみ合って蓄積される。からみ合った皮脂老廃物は空気のラジカルと接触して酸化されることにより茶色あるいは黒色に変色し、ブラックヘッド(black head)となる。また、皮脂はニキビを誘発する原因でもあるので、過度な皮脂生成を抑制することができる物質の開発も必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、筋肉弛緩、皮膚しわ改善、皮脂生成抑制、又はニキビ改善のような多様な生理活性を有するペプチド、及びこれを含む薬学的又は化粧料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明は、配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドを提供する。
【0012】
また、本発明は、配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドを有効成分として含む筋肉弛緩用組成物を提供する。
【0013】
本発明の一具現例において、前記組成物は、薬学的組成物又は化粧料組成物の形態であってよいが、これに限定されるものではない。
【0014】
本発明の他の具現例において、前記ペプチドは、筋肉弛緩用組成物100重量%に対して0.001重量%から60重量%で含まれてよいが、これに限定されるものではない。
【0015】
本発明の他の具現例において、前記組成物は、神経筋肉疾患の予防又は治療に用いられてよい。本発明の好ましい具現例において、前記神経筋肉疾患は、眼瞼痙攣、斜頸、頸部筋緊張異常、強直性眼瞼攣縮、腋窩多汗症、裂肛、膣痙、弛緩不能症、頭痛疾患、特発性及び神経性排尿筋過多症、局所ジストニア、側頭下顎関節痛症障害、糖尿病性神経症、声帯(vocal cord)機能障害、斜眼、慢性神経病症、顔面筋肉肥大症、排尿筋括約筋障害、又は良性前立腺肥大症であってよく、前記頭痛疾患は偏頭痛であってよいが、これに限定されるものではない。
【0016】
本発明の他の具現例において、前記ペプチドは、アセチルコリンの分泌を抑制することができる。
【0017】
また、本発明は、配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドを有効成分として含む化粧料組成物を提供する。
【0018】
本発明の一具現例において、前記化粧料組成物は、皮膚状態改善の用途、例えば、皮膚しわ改善、皮脂生成抑制、又はニキビ改善などの用途で用いられてよいが、これに限定されるものではない。
【0019】
本発明の他の具現例において、前記ペプチドは、化粧料組成物100重量%に対して0.001重量%から60重量%で含まれてよいが、これに限定されるものではない。
【0020】
本発明の他の具現例において、前記ペプチドは、コラーゲンの発現を増加させることができるが、これに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0021】
本発明の配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドは、筋肉弛緩、皮膚しわ改善、皮脂生成抑制などの生理活性を示すので、前記ペプチドを筋肉弛緩用組成物、皮膚しわ改善用組成物、皮脂生成抑制用組成物、ブラックヘッド生成抑制用組成物、又はニキビ改善用組成物の有効成分として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドの長期保管時の高温安定性評価の結果を示す図である。
図2】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドの高温安定性評価の結果を示す図である。
図3】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドの組換えシンタキシン1A分解の程度を示す図である。
図4】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドの内因性シンタキシン1A分解の程度を示す図である。
図5】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドのSNARE複合体形成抑制の効果を示す図である。
図6】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドのSNARE複合体形成抑制の効果を示す図である。
図7】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドのアセチルコリン分泌抑制の効果を示すグラフである。
図8】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドの筋肉弛緩の効果を示す図である。
図9】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドとボトックスの筋肉弛緩の効果を比べた結果を示す図である。
図10】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドとボトックスの筋肉弛緩の効果を比べた結果を示す図である。
図11】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドの細胞内の浸透の可否を確認した結果を示す図である。
図12】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドの組織浸透の様相を確認した結果を示す図である。
図13】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドの組織浸透の様相を毛嚢周辺で確認した結果を示す図である。
図14】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドの組織浸透の様相を皮脂腺周辺で確認した結果を示す図である。
図15】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドのしわ緩和の効果を示す図である。
図16】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドのしわ緩和の効果を示す図である。
図17】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドの塗布によるコラーゲン水準の増加を示す図である。
図18】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドの塗布によるエラスチン水準の増加を示す図である。
図19】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドの塗布によるフィブロネクチン水準の増加を示す図である。
図20】配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドの塗布による皮脂腺数の減少及び皮脂生成関連マーカーの発現減少の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
1.本発明のペプチド
本発明は、有用な生理活性、例えば、筋肉弛緩、皮膚しわ改善、皮脂生成抑制、又はニキビ改善などの多様な生理活性を有するペプチドを提供する。
【0025】
本発明のペプチドは、配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含む。一具現例において、本発明のペプチドは、配列番号1で記載されるアミノ酸配列からなされてよいが、これに限定されるものではない。
【0026】
本明細書において「ペプチド」との用語は、ペプチド結合によりアミノ酸残基が互いに結合されて形成された線形の分子を意味する。前記ペプチドは、本技術分野に公知された通常の生物学的又は化学的合成方法、特に、固相合成技術(solid-phase synthesis techniques)により製造されてよい。
【0027】
前記ペプチドは、機能に影響を及ぼさない範囲内で、アミノ酸残基の欠失、挿入、置換又はこれらの組み合わせにより異なる配列を有するアミノ酸の変異体、又は断片であってよい。前記ペプチドの活性を全体的に変更させないアミノ酸交換は、本技術分野に公知されている。場合によっては、リン酸化(phosphorylation)、硫化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、糖化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)などに変形されてよい。よって、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドと実質的に同一のアミノ酸配列を有するペプチド、及びこの変異体又はこの活性断片を含む。前記実質的に同一のタンパク質とは、前記配列番号1のアミノ酸配列と60%以上、好ましくは75%以上、例えば、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、又は99%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を意味するが、これに限定されず、60%以上のアミノ酸配列の相同性を有し、同一の活性を有すれば本発明の範囲に含まれる。また、本発明のペプチドは、標的化配列、タグ(tag)、標識された残基、半減期又はペプチド安定性を増加させるための特定の目的で製造されたアミノ酸配列を更に含むことができる。
【0028】
また、本発明の前記ペプチドは、本技術分野で広く公知された多様な方法で獲得することができる。本発明の一具現例において、本発明のペプチドは、ポリヌクレオチド組換えとタンパク質発現システムを用いて製造するか、ペプチド合成のような化学的合成を介して試験管内で合成する方法、及び無細胞タンパク質合成法などで製造されてよい。
【0029】
また、より良好な化学的安定性、強化された薬理特性(半減期、吸収性、力価、効能など)、変更された特異性(例えば、広範囲な生物学的活性スペクトラム)、減少した抗原性を獲得するために、本発明のペプチドのN-終末又はC-終末に保護基が結合されていてもよい。例えば、前記保護基は、アセチル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ホルミル基、パルミトイル基、ミリスチル基、ステアリル基又はポリエチレングリコール(PEG)であってよいが、ペプチドの改質、特に、ペプチドの安定性を増進させることができる成分であれば、制限なく含むことができる。前記「安定性」は、生体内タンパク質切断酵素の攻撃から本発明のペプチドを保護する生体内(in vivo)での安定性だけでなく、貯蔵安定性(例えば、常温貯蔵安定性)も含む意味で用いられる。
【0030】
2.本発明のペプチドを含む薬学的組成物
本発明の他の側面は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドを有効成分として含む筋肉弛緩用薬学的組成物を提供する。
【0031】
前記配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドは、前記「1.本発明のペプチド」項目で説明したペプチドと同一なので、具体的な説明は前記「1.本発明のペプチド」項目を援用し、以下では薬学的組成物に特有の構成に対してのみ説明する。
【0032】
本発明の一具現例によれば、本発明の前記ペプチドは、筋肉弛緩活性を有するので、筋肉弛緩のための組成物の有効成分に用いられてよい。よって、本発明は、配列番号1で記載されるアミノ酸配列を含むペプチドを有効成分として含む筋肉弛緩用薬学的組成物を提供する。
【0033】
前記ペプチドは、筋肉弛緩用薬学的組成物100重量%に対して0.001重量%から60重量%、例えば、0.01重量%から50重量%の含量で含まれてよい。前記筋肉弛緩用薬学的組成物内の前記ペプチドの含量が下限値未満である場合には、前記ペプチドによる筋肉弛緩の効果が充分に発現されないことがあり、上限値を超過する場合には投入濃度対比の前記ペプチドによる効果が相対的に低いことがある。
【0034】
本発明の薬学的組成物は、神経筋肉疾患の予防又は治療に用いられてよく、筋肉弛緩を目的とする疾患であれば、本発明の薬学的組成物を制限なく適用することができる。
【0035】
本発明で用いられる用語「予防」は、本発明の薬学的組成物が神経筋肉疾患の発生を遅延させる全ての行為を意味する。
【0036】
本発明で用いられる用語「抑制」は、本発明の薬学的組成物が神経筋肉疾患の発生を減少させる全ての行為を意味する。
【0037】
本発明で用いられる用語「治療」は、本発明の薬学的組成物が神経筋肉疾患の症状が好転するようにしたり良くなるようにしたりする全ての行為を意味する。
【0038】
本発明で用いられる用語「投与」は、ある適切な方法で個体に所定の物質を導入することを意味し、本発明の薬学的組成物は、生体内標的に到達することができる任意の一般的な経路を介して投与されてよい。本発明の薬学的組成物の投与経路は特に制限されないが、経口又は非経口投与することができる。具体的には非経口投与することができ、より具体的には、皮膚に塗布する方式(すなわち、経皮投与)で適用されてよい。具体的に、本発明の投与は、1日1回から4回、2回から3回又は2回実施することができる。また、本発明の投与は、4週以上、8週以上、4週から12週、又は8週から12週の期間の間実施することができる。
【0039】
本発明で用いられる用語「神経筋肉疾患」は、末梢神経と筋肉に生じる疾病を表す。末梢神経は、頭蓋骨や脊椎の中にある中枢神経系から分かれ、中枢神経系と筋肉や皮膚のような終末臓器を連結させる神経網を表し、中枢神経系で決定した命令を筋肉などの終末臓器に伝達するか、痛覚などの感覚情報を中枢神経系に伝達する。末梢神経系疾患には、末梢神経の機能障害、末梢神経が筋肉と連結される神経筋連接、筋肉自体に生じた疾患を含む。
【0040】
前記神経筋肉疾患は、眼瞼痙攣、斜頸(首の筋肉が収縮して首が一方に傾いたように不自然な状態)、頸部筋緊張異常、強直性眼瞼攣縮、腋窩多汗症、裂肛、膣痙、弛緩不能症、頭痛疾患、特発性及び神経性排尿筋過多症、局所ジストニア(四肢、顎関節、声帯など)、側頭下顎関節痛症障害、糖尿病性神経症、声帯機能障害、斜眼、慢性神経病症、顔面筋肉肥大症(咀嚼筋など)、排尿筋括約筋障害、良性前立腺肥大症などの疾患を非制限的に含む。前記頭痛疾患は、偏頭痛であってよい。
【0041】
本発明の一具現例において、本発明の薬学的組成物は、薬学的組成物の製造に通常用いる適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含んでよい。
【0042】
本発明の薬学的組成物で使用可能な担体、賦形剤又は希釈剤としては、ラクトース、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、非晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート又は鉱物油などを挙げることができる。
【0043】
本発明の薬学的組成物は、通常の方法により散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾールなどの経口型剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の形態に剤形化して用いられてよい。
【0044】
製剤化する場合には、一般的に用いる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を用いて調剤される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記化合物を少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース又はラクトース、ゼラチンなどと交ぜて調剤することができる。
【0045】
また、単なる賦形剤以外にマグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も用いられる。経口のための液状製剤としては懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤等が該当するが、一般に用いられる単なる希釈剤である水、液体パラフィン以外にさまざまな賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてよい。
【0046】
非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性オイル、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが用いられてよい。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール、マクロゴール、トゥイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが用いられてよい。
【0047】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤及びカプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、本発明の薬学的組成物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース及びゼラチンなどを交ぜて調剤される。また、単なる賦形剤以外に、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの潤滑剤も用いられてよい。
【0048】
経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤及びシロップ剤などが該当するが、一般に用いられる単なる希釈剤である水、液体パラフィン以外にさまざまな賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤及び保存剤などが含まれてよい。
【0049】
皮膚投与のための製剤としては、打ち粉、エマルジョン、懸濁液、オイル、スプレー、軟膏、クリームペースト、ゲル、フォーム、又は溶液であってよい。本発明の薬学製剤は、無水状態の軟膏であってよく、局所用途に適し、かつ体温状態で液体であるパラフィン、特に低粘度パラフィンを含有するか、又は前記天然脂肪又は部分合成脂肪、例えば、ココナッツ脂肪酸トリグリセリド、硬化油、例えば、水素化されたピーナッツオイル又はヒマシ油、グリセロールの脂肪酸部分エステル、例えば、グリセロールモノステアレート及びジステアレート、シリコン、例えば、ポリメチルシロキサン、例えば、ヘキサメチルジシロキサン又はオクタメチルトリシロキサンを含有してよく、例えば、水性クリームに関連付けられていて水気吸収容量を増加させる脂肪アルコール、そしてステロール、ウールワックス、他の乳化剤及び/又はその他の添加剤を含有してよい。
【0050】
本発明の薬学的組成物に含有される前記アミノ酸配列を含むペプチドの適用量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路及び期間により異なるが、場合により適切に選択されてよい。例えば、前記アミノ酸配列を含むペプチドは1日0.0001から1000mg/kgで、具体的には0.1から1000mg/kgの容量で投与されてよく、前記適用は、1日に1回又は数回に分けて適用してもよい。本発明の前記アミノ酸配列を含むペプチドからなるペプチドの投与量は、投与経路、疾病の程度、性別、体重、年齢などに応じて増減され得る。よって、前記投与量は、いかなる面からも本発明の範囲を限定するものではない。
【0051】
本発明の薬学的組成物は、ネズミ、ハツカネズミ、家畜、ヒトなどの哺乳動物に多様な経路で投与されてよい。投与の全ての方式は予想され得るが、例えば、経口、直腸又は静脈、筋肉、皮下、気管支内の吸入、子宮内軽膜又は脳血管内(intracerebroventricular)注射により投与されてよい。
【0052】
本発明の神経筋肉疾患の予防、抑制又は治療用薬学的組成物は、前記アミノ酸配列を含むペプチドの他に神経筋肉疾患の改善、緩和、治療又は予防を示す有効成分を1種以上更に含有してよい。
【0053】
本発明の薬学的組成物は、神経筋肉疾患の改善、緩和、治療又は予防のために単独で、又は手術、ホルモン治療、薬物治療及び生物学的反応調節剤を用いる方法と併用して用いてよい。
【0054】
本発明の一具現例によれば、本発明のペプチドは高温で安定し(図1及び図2参照)、神経伝達物質の放出に関与するシンタキシン1Aを分解し、SNARE複合体の形成を抑制し(図3から図6参照)、アセチルコリンの分泌を抑制し(図7参照)、筋肉弛緩の効果があり(図8から図10参照)、細胞内に浸透可能であり、組織の筋肉層まで浸透して神経細胞マーカーとも共存して筋肉弛緩の効果を奏することができる(図11から図14参照)。
【0055】
3.本発明のペプチドを含む化粧料組成物
本発明の他の側面は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドを有効成分として含む化粧料組成物を提供する。
【0056】
前記配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドは、前記「1.本発明のペプチド」項目で説明したペプチドと同一なので、具体的な説明は前記「1.本発明のペプチド」項目を援用し、以下では化粧料組成物の特有の構成に対してのみ説明する。
【0057】
本発明における用語「毛穴」とは、顔、額、鼻などに存在する皮脂が分泌される小さな孔を表し、「ブラックヘッド」とは、変性された皮脂、古い角質などの混合物が毛穴に溜まり、その周辺に存在する汚染物質が沈積されて、酸化の過程を経て黒ずんで黒く見える皮脂を表す。
【0058】
本発明の具現例において、本発明の化粧料組成物は、皮膚状態改善用の化粧料組成物であってよい。前記「皮膚状態改善」は、皮膚の内在的要因又は外因的要因により誘発される皮膚の損傷を治療、軽減、緩和させる過程又はその効果などを包括的に意味してよく、例えば、しわ改善、皮膚弾力改善、傷再生、皮脂生成抑制、又はニキビ改善などの用途で用いられることを意味してよいが、これに限定されるものではない。
【0059】
本発明の一具現例によれば、本発明のペプチドは、高温で安定し(図1及び図2参照)、筋肉弛緩又は真皮構成物質の増加による皮膚しわ改善の効果がある(図15から図19参照)。前記真皮構成物質は、コラーゲンを含んでよいが、これに限定されるものではない。
【0060】
本発明の一具現例によれば、本発明のペプチドは高温で安定し(図1及び図2参照)、本発明のペプチドにより皮脂腺数が減少し、皮脂生成関連マーカーの発現が減少する(図20参照)。
【0061】
本発明の化粧料組成物は、化粧品分野で通常用いられる基剤、補助剤及び添加剤を用いて液体又は固体の形態に製造されてよい。液体又は固体形態の化粧品としては、これに限定されないが、例えば、化粧水、クリーム剤、ローション剤、入浴剤などの形態を含んでよい。化粧品分野で通常用いられる基剤、補助剤及び添加剤は特に制限されず、例えば、水、アルコール、プロピレングリコール、ステアリン酸、グリセロール、セチルアルコール、流動パラフィンなどである。
【0062】
本発明の化粧料組成物は、前記アミノ酸配列を含むペプチドだけでなく、化粧料組成物に通常用いられる成分を含んでよく、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常の補助剤、そして担体を含んでよい。
【0063】
本発明の化粧料組成物は、本技術分野で通常製造されるいかなる剤形にも製造されてよく、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤-含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション及びスプレーなどに剤形化されてよいが、これに限定されるものではない。より詳細には、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレー又はパウダーの剤形に製造されてよい。
【0064】
本発明の化粧料組成物の剤形がペースト、クリーム又はゲルである場合には、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク又は酸化亜鉛などが用いられてよい。
【0065】
本発明の化粧料組成物の剤形がパウダー又はスプレーである場合には、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム又はポリアミドパウダーが用いられてよく、特にスプレーである場合には、追加的にクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルのような推進体を含んでよい。
【0066】
本発明の化粧料組成物の剤形が溶液又は乳濁液である場合には、担体成分として溶媒、溶解化剤又は乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール又はソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0067】
本発明の化粧料組成物の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として、水、エタノール又はプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天又はトラカントなどが用いられてよい。
【0068】
本発明の化粧料組成物の剤形が界面-活性剤含有クレンジングである場合には、担体成分として、脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが用いられてよい。
【0069】
本発明の化粧料組成物は、単独で又は重複塗布して用いるか、本発明以外の他の化粧料組成物と重複塗布して用いることができる。また、本発明による皮膚保湿の効果及び皮膚障壁改善の効果に優れた化粧料組成物は、通常の使用方法により用いられてよく、使用者の皮膚状態又は趣向によりその使用回数を異ならせることができる。
【0070】
本発明の化粧料組成物が石鹸、界面活性剤含有クレンジング又は界面活性剤非含有クレンジング剤形である場合、皮膚に塗布した後、拭き取るか、外すか、水で洗い落とすこともできる。具体的な例として、前記石鹸は、液状石鹸、パウダー石鹸、固形石鹸及びオイル石鹸であり、前記界面活性剤含有クレンジングの剤形は、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、クレンジングタオル及びクレンジングパックであり、前記界面活性剤非含有クレンジングの剤形は、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングウォーター及びクレンジングゲルであり、これらに限定されるものではない。
【0071】
4.本発明のペプチドを含む薬学的組成物又は化粧料組成物の用途
本発明の他の側面は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドを含む薬学的組成物又は化粧料組成物の用途を提供する。
【0072】
前記配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドは、前記「1.本発明のペプチド」項目で説明したペプチドと同一なので、具体的な説明は前記「1.本発明のペプチド」項目を援用し、以下では前記ペプチドを含む組成物の用途に対してだけ説明する。
【0073】
本発明の一側面において、本発明は、前記ペプチド又は薬学的組成物を皮膚、又は筋肉が収縮された皮膚に適用する段階;を含む筋肉弛緩の方法を提供する。前記適用は皮膚に対する塗布を含んでよいが、これに限定されるものではない。
【0074】
本発明の他の側面において、本発明は、前記ペプチド又は薬学的組成物を個体、又は神経筋肉疾患が発生した個体に投与する段階;を含む神経筋肉疾患の予防、抑制、又は治療の方法を提供する。
【0075】
前記薬学的組成物に対しては、前記「2.本発明のペプチドを含む薬学的組成物」項目で説明したところと同一である。
【0076】
前記配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド又は前記ペプチドを含む薬学的組成物は、有効量でこれを必要とする個体に塗布、投与されてよい。
【0077】
本発明の他の側面において、本発明は、前記ペプチド又は化粧料組成物を皮膚、又はしわが発生した皮膚に適用する段階;を含む皮膚しわ改善の方法を提供する。
【0078】
本発明の他の側面において、本発明は、前記ペプチド又は化粧料組成物を皮膚に塗布する段階;を含む皮脂生成抑制の方法を提供する。
【0079】
本発明の他の側面において、本発明は、前記ペプチド又は化粧料組成物を皮膚、又はニキビが生成された皮膚に塗布する段階;を含むニキビ改善の方法を提供する。
【0080】
本発明において、前記適用は皮膚に対する塗布を含んでよいが、これに限定されるものではない。
【0081】
前記化粧料組成物に対しては、前記「3.本発明のペプチドを含む化粧料組成物」項目で説明したところと同一である。
【0082】
前記配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド又は前記ペプチドを含む化粧料組成物は、有効量でこれを必要とする個体に塗布、投与されてよい。
【実施例
【0083】
以下、本発明を製造例、実施例及び実験例により詳細に説明する。
【0084】
但し、下記製造例、実施例及び実験例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の内容が下記製造例、実施例及び実験例により限定されるものではない。
【0085】
製造例1.多様な生理活性を有する新規ペプチドの製造
配列番号1で記載されるアミノ酸配列からなる新規のペプチド配列「KFLIK」は、公知の方法を用いて製造した。新規ペプチドの分子量は、647.4Daであった。
【0086】
実験例1.ペプチドの高温安定性の評価
1-1.長期保管時の高温安定性の評価
配列番号1のアミノ酸配列からなる本発明のペプチドを1000ppmの濃度で滅菌蒸溜水に溶かし、45℃で7日、14日、28日、60日、75日間保管した後、HPLC分析を行った。
【0087】
その結果、図1に示したとおり、45℃の条件で最大観察日である75日間、本発明のペプチドが安定性を維持することを確認することができた。
【0088】
1-2.高温安定性の評価
本発明のペプチドを1000ppmの濃度で滅菌蒸溜水に溶かし、121℃で15分、30分間加温した後、HPLC分析を行った。
【0089】
その結果、図2に示したとおり、121℃で最大加温時間である30分間、本発明のペプチドが安定性を維持することを確認することができた。
【0090】
実験例2.ペプチドのシンタキシン1A分解の程度の確認
SNARE(soluble N-ethylmaleimide sensitive factor attachment protein receptor)タンパク質は、細胞内で起こる膜融合に関与する。神経伝達に関与する神経SNAREは、シナプス前膜(presynaptic membrane)とシナプス小胞(synaptic vesicle)の結合に関与する。神経伝達物質の排出時に神経伝達物質を含んでいるシナプス小胞は、シナプス前膜と融合されてこそ神経伝達物質の排出通路が形成され、このときの膜融合はタンパク質複合体として存在するSNAREにより起こる。特に、標的膜(target membrane)に付着されているシンタキシン1A(syntaxin 1A)タンパク質とSNAP-25タンパク質の複合体であるt-SNARE複合体と、小胞に付着されているv-SNAREが関与することになる。SNARE接合と捩れ過程が完全に完了しなければ膜融合が失敗し、それにより神経伝達物質の放出が起こらないので筋肉が弛緩される。本発明のペプチドがt-SNAREをなすシンタキシン1Aに対して分解能があるのか確認した。
【0091】
2-1.組換えシンタキシン1A分解の程度の確認
実験群には、組換えシンタキシン1Aタンパク質(Novus biologicals、USA)1μgと本発明のペプチドを20μM、100μM、200μMの濃度別に反応緩衝液(50mM HEPES、40mM 2-ME、20μM ZnCl、pH 7.4)に処理し、陰性対照群(Control)は組換えシンタキシン1Aタンパク質のみ処理した。37℃の条件で 4時間の間反応させた後、シンタキシン1A抗体(synaptic systems、Germany)を用いてウェスタンブロットを行った。
【0092】
その結果、本発明のペプチドを処理すれば、本発明のペプチドを処理していない陰性対照群に比べ、本発明のペプチドが濃度依存的に組換えシンタキシン1Aタンパク質のバンドを減少させた(図3)。
【0093】
2-2.細胞内で発現される内因性(endogenouse)シンタキシン1A分解の程度の確認
30μgのSH-SY5Y細胞溶解物と本発明のペプチドを濃度別に(20μM、100μM、200μM)反応緩衝液(50mM HEPES、40mM 2-ME、20μM ZnCl、pH 7.4)に処理した。陽性対照群(BoNT/C LC)は、本発明のペプチドの代りに0.2μMのボツリヌス神経毒タイプC軽鎖(BoNT/C LC)を用い、陰性対照群(Control)は、30μgのSH-SY5Y細胞溶解物のみ処理した。各混合物は37℃で4時間の間反応させた。シンタキシン1A抗体(synaptic systems、Germany)を用いてウェスタンブロットを行った。
【0094】
その結果、本発明のペプチドを処理すれば、BoNT/C LCを処理した陽性対照群と類似に、本発明のペプチドが濃度依存的に内因性シンタキシン1Aタンパク質のバンドを減少させた(図4)。
【0095】
実験例2のまとめ:
本発明のペプチドは、組換えシンタキシン1A又は内因性シンタキシン1Aを分解し、これによって、SNARE複合体が形成されなくなるので、神経伝達物質の放出が起こらず筋肉弛緩の効果が現われるものと予想される。
【0096】
実験例3.SNARE複合体形成の分析
3-1.ウェスタンブロットで分析
細胞内で形成されるSNARE複合体が、本発明のペプチドのシンタキシン1A分解作用により阻害されるのか確認した。具体的に、ウェスタンブロットを行った後、SNARE複合体の予想大きさのバンドの密度を確認した。3×10細胞/ウェルの密度で6-ウェルプレートにSH-SY5Y細胞を接種した。一晩培養後に、無血清DMEMで培地を交換した。本発明のペプチドを濃度別に(10μM、50μM、100μM)24時間の間処理した。陽性対照群の場合、0.2μM BoNT/C LCを処理した。陰性対照群(Control)は試料を処理しなかった。試料を処理して24時間が経過した後、細胞を収集して溶解物を確保し、シンタキシン1A抗体(synaptic systems、Germany)に対するウェスタンブロットを行った。SNARE複合体のバンドサイズは75kDaである。
【0097】
ウェスタンブロットの結果、本発明のペプチドを処理すれば、BoNT/C LCを処理した陽性対照群と類似に、SH-SY5Y細胞内でSNARE複合体の形成の抑制が観察された(図5)。実験例2の結果を勘案すると、本発明のペプチドのシンタキシン1A分解の効果によりSNARE複合体の形成が抑制されたものと予想される。
【0098】
3-2.共免疫沈降(coimmunoprecipitation、Co-IP)で分析
共免疫沈降は、非-変性条件で特定のタンパク質と結合する他のタンパク質を検出する目的で用いられる。3×10細胞/ウェルの密度で6-ウェルプレートにSH-SY5Y細胞を接種した。一晩培養後に、無血清DMEMで培地を交換した。50μM濃度の本発明のペプチドを24時間の間処理した。陽性対照群の場合、0.2μM BoNT/C LCを処理した。陰性対照群(Control)は試料を処理しなかった。細胞溶解物を確保し、SNAP-25抗体(synaptic systems、Germany)を用いた免疫沈降を進めた後、SNAP-25抗体及びシンタキシン1A抗体(synaptic systems、Germany)を用いてウェスタンブロットを行った。
【0099】
その結果、本発明のペプチド処理によりSH-SY5Y細胞内のSNARE複合体の形成の抑制により、SNAP-25とシンタキシン1Aとの間の相互作用が阻害されることを確認した(図6)。図6における「IP input」は、IPする前に得た細胞溶解物から確認されたSNAP-25、シンタキシン1Aタンパク質の量を表し、「Immunoprecipitation:anti-SNAP-25」は、SNAP-25抗体を用いた免疫沈降後に得られた収得物にSNAP-25抗体又はシンタキシン1A抗体をそれぞれ処理して得た結果を表す。すなわち、「Immunoprecipitation:anti-SNAP-25」で「SNAP-25」パネルは、細胞溶解物でSNAP-25抗体により沈澱されたSNAP-5を再び検出したものであり、「シンタキシン1A」パネルは、細胞溶解物でSNAP-25抗体により沈澱された沈殿物をシンタキシン1A抗体で検出したものを表す。「シンタキシン1A」パネルで試料を処理していない陰性対照群(Control)は、シンタキシン1Aの量が維持されSNARE複合体が形成されていることが分かり、本発明のペプチド処理群とBoNT/C LC処理群は、シンタキシン1Aの量が減少するので、SNARE複合体の形成が阻害されることが分かる。
【0100】
実験例3のまとめ:
本発明のペプチド処理の際、SNARE複合体の形成が抑制され、実験例2の結果を勘案すれば、本発明のペプチド処理によりシンタキシン1Aが分解され、これによってSNARE複合体の形成が阻害されることが分かり、SNARE複合体の形成が阻害されることにより神経伝達物質の放出が起こらず筋肉弛緩の効果が現われるものと予想される。
【0101】
実験例4.ペプチドによるアセチルコリン分泌抑制機能の確認
配列番号1のアミノ酸配列からなる本発明のペプチドにアセチルコリン分泌抑制機能があるのか確認した。ヒト骨髄神経芽細胞腫(human Bone marrow Neuroblastoma)であるSH-SY5Yを接種し、24時間の間COインキュベーターで培養した。無血清培地で培地を交換し、48時間の間培養した。本発明のペプチドを1μM、10μM、50μMの濃度で処理し、陽性対照群であるテタヌス(tetanus)を50nMで処理した。また、アセチルコリンの分泌を促進するための誘導因子としてニコチン(NIC)+塩化カリウム(KCl)を処理した後、30分間培養した。ニコチンと塩化カリウムのみを処理し、本発明のペプチド又はテタヌスを処理していない群を陰性対照群とした。培養完了後に培地を分離し、培地に含まれているアセチルコリンの分泌量をコリン/アセチルコリン分析キットを用いて測定した。
【0102】
図7に示したとおり、正常群(Control)で分泌されたアセチルコリンの量を基準として、本発明のペプチドは濃度依存的にアセチルコリンの含量を減少させた。また、本発明のペプチドを50μMで処理した場合には、陽性対照群であるテタヌスを処理した群に比べてアセチルコリン分泌阻害の効果に優れた。
【0103】
実験例5.マウスの足指筋肉の弛緩効果の確認
7週齢のC57BL/6雌マウスのふくらはぎ筋肉に本発明のペプチド100μgを投与した後、観察した。筋肉弛緩の効果は足指外転採点法(Digit Abduction Scoring、DAS)分析で確認した。外転は手足を外に伸ばす動作を表し、DASは、ふくらはぎ筋肉の驚愕反応を作る動物の能力減少の程度を測定する。DASは0~4点に分けて点数を与え、点数が高いほど筋肉弛緩の効果が高いことを意味する(図8のA)。すなわち、点数が高いほど、アセチルコリン分泌の抑制のようなメカニズムなどを介して驚愕反応が阻害されることを意味する。0点は、5つの足指が全て離れていることを表し、1点は、マウスの足指2つが外転の間くっついていることを表し、2点は、親指と2つの足指が分離されないことを表し、3点は、親指と3つの足指がくっついていることを表し、4点は、5つの足指が全てくっついていることを表す。
【0104】
図8のBに示しているとおり、本発明のペプチドを処理する前には驚愕反応が現われ、足指5つが全て離れているので0点を示した。一方、本発明のペプチド注入後の3時間後からは本発明のペプチドの筋肉弛緩作用によりDAS点数が高くなり、本発明のペプチド注入後の17時間以後からは4点を記録した。
【0105】
実験例6.ペプチドとボトックスの筋肉弛緩の効果の比較
7週齢のC57BL/6雌マウス2匹のふくらはぎ筋肉に、それぞれ本発明のペプチド100μg及びBTX-Aタイプ(BoNT-A)を0.6Unit注入した後、DAS分析した。
【0106】
図9及び図10に示しているとおり、本発明のペプチド投与群は、投与20時間以後に未投与群に比べて筋肉弛緩の効果が現われ、BoNT-Aと類似の程度の効果を示した。
【0107】
実験例4から実験例6のまとめ:
本発明のペプチドは、試験管内でアセチルコリンの分泌を抑制し、生体内でボトックスと類似する程度に筋肉弛緩の効果を示すので、神経筋肉疾患又はしわを改善するのに有用に用いることができる。
【0108】
実験例7.ペプチドの細胞内への浸透可否又は組織浸透の様相の確認
本発明のペプチドの細胞内への浸透可否又は組織浸透の様相を確認する際に用いた「ローダミン-本発明のペプチド」接合体は、下記のように製造した。100mMの重炭酸ナトリウム(pH 9.0)を用いて10mg/mlの本発明のペプチド溶液を製造した。ジメチルホルムアミドを用いて1mg/mlのNHS-ローダミン(Thermo Scientific、46406)溶液を製造した。本発明のペプチド:NHS-ローダミン=1:10(モル比)となるように溶液を混合した。遮光後、反転しながら常温で1時間の間反応させた。反応物を透析した後、LC/MSで接合の可否を確認した。
【0109】
7-1.細胞内への浸透可否の確認
3×10細胞/ウェルの密度で6-ウェルプレートにSH-SY5Y細胞を接種した。一晩培養後に、無血清DMEMで培地を交換した。蛍光物質であるローダミン(rhodamine)が付着された本発明のペプチドを濃度別に4時間の間処理した。4時間後4%のパラホルムアルデヒドを処理して細胞を固定した後、DAPI染色キット(Invitrogen、USA)を用いて核染色を進めた。蛍光顕微鏡を介して細胞内へのペプチド浸透の可否を観察した。青色はDAPIで染色した細胞の核を示し、赤色は「ローダミン-本発明のペプチド」接合体を示す。
【0110】
図11に示しているとおり、本発明のペプチドを処理したとき、SH-SY5Y細胞内に本発明のペプチドが浸透することを確認した。
【0111】
7-2.ペプチドの組織浸透の様相の確認
7週齢のSDラットの背中の部位を除毛した後、ローダミン-本発明のペプチドを塗布し、1時間後分析のためにラットを犠牲させた。塗布部位の皮膚組織を採取してホルマリン固定を一日間行った。固定された組織を用いてパラフィンブロックを作ってセクションした後、神経細胞マーカーであるTrkB Ab(Cell signaling、USA)を用いて免疫組織化学染色を行った。その後、DAPI染色キット(Invitrogen、USA)を用いて核染色を行った。蛍光顕微鏡を介して組織内へのペプチド浸透の様相を観察した。青色はDAPIで染色した細胞の核を示し、赤色は「ローダミン-本発明のペプチド」接合体を示し、緑色はTrkB(神経繊維マーカー)を示す。
【0112】
確認の結果、図12に示しているとおり、本発明のペプチドを処理したとき、本発明のペプチドが皮膚組織の筋肉層まで浸透されるものと現われた。また、神経細胞マーカーとも共存(co-localization)することを確認した。図12を拡大して観察したとき、毛嚢や皮脂腺周辺の神経細胞と本発明のペプチドが共存することが確認された(図13及び図14)。
【0113】
実験例7のまとめ:
本発明のペプチドは細胞内に浸透可能であり、皮膚組織の筋肉層まで浸透され、筋肉層で神経細胞マーカーとも共存するので、神経細胞の神経伝達物質の伝達に関与するSNARE複合体の形成に関与して筋肉弛緩の効果を奏するものと予想される。
【0114】
実験例8.ペプチドのしわ改善効果の確認(真皮構成物質発現の増加)
7週齢の無毛マウスの背中の部位に4000ppmの本発明のペプチドを含んだリポソーム溶液を1日2回総12週間塗布した。塗布部位を目視で観察した後、皮膚組織を採取してホルマリンで固定した。固定された組織を用いてパラフィンブロックを作り、ブロックをセクションして組織スライドを準備した。
【0115】
8-1.しわ緩和効果の確認
12週間本発明のペプチドを含んだリポソーム溶液を塗布した群は、目視及び顕微鏡で観察した結果、リポソーム溶液のみ塗布した対照群に比べて、いずれにおいても筋肉弛緩の効果による画然たるしわの減少が観察された(図15及び図16)。
【0116】
8-2.コラーゲン発現水準の評価
マッソントリクローム染色キット(Masson’s Trichrome Staining Kit(Abcam、USA))を用いて組織スライドを染色した後、光学顕微鏡で観察した。
【0117】
12週間本発明のペプチドを含んだリポソーム溶液を塗布した群は、リポソーム溶液のみ塗布した対照群に比べてコラーゲン水準が増加した(図17)。
【0118】
8-3.エラスチン及びフィブロネクチン発現水準の評価
エラスチン抗体とフィブロネクチン抗体(Cell signaling、USA)を用いて免疫組織化学染色を行い、その後、DAPI染色キット(Invitrogen、USA)を用いて核染色した。染色が完了した組織スライドを蛍光顕微鏡で観察した。
【0119】
12週間本発明のペプチドを含んだリポソーム溶液を塗布した群は、リポソーム溶液のみ塗布した対照群に比べてエラスチン、フィブロネクチンの水準が増加した(図18及び図19)。
【0120】
実験例9.ペプチドの皮脂生成抑制効果の確認
7週齢の無毛マウスの背中の部位に4000ppmの本発明のペプチドを含んだリポソーム溶液を1日2回総12週間塗布した。塗布部位を目視で観察した後、皮膚組織を採取してホルマリンで固定した。固定された組織を用いてパラフィンブロックを作り、ブロックをセクションして組織スライドを準備した。皮脂生成関連マーカーである脂肪酸合成酵素抗体(Cell signaling、USA)を用いて免疫組織化学染色を行い、染色が完了した組織スライドを光学顕微鏡で観察した。
【0121】
12週間本発明のペプチドを含んだリポソーム溶液を塗布した群において、リポソーム溶液のみを塗布した対照群に比べ、画然たる皮脂腺数の減少及び皮脂生成関連マーカーの発現の減少が確認された(図20)。図20の左側パネルは、ペプチドを含んでいないリポソームを12週間塗布した個体の結果であり、右側パネルは4000ppmのペプチドを含むリポソームを12週間塗布した個体の結果であって、茶色に見える免疫染色部位の濃さがペプチドリポソームの塗布により薄くなり、個数も少なくなることを確認することができる。
【0122】
製造例2.化粧品剤形の製造
2-1.エッセンスの製造
本発明のペプチドを用いて、下記表1に記載された含量(重量部)によりエッセンスを製造した。
【0123】
【表1】
【0124】
2-2.柔軟化粧水の製造
本発明のペプチドを有効成分として含有する柔軟化粧水は、下記表2のように製造した。
【0125】
【表2】
【0126】
2-3.栄養クリームの製造
本発明のペプチドを有効成分として含有する栄養クリームは、下記表3の組成のように製造した。
【0127】
【表3】
【0128】
2-4.ローションの製造
本発明のペプチドを有効成分として含有したローションを、下記表4の組成のように製造した。
【0129】
【表4】
【0130】
製造例3.薬学的組成物の製造
3-1.散剤の製造
本発明のペプチド2g
乳糖1g
前記成分を混合して気密布に充填して散剤を製造した。
【0131】
3-2.錠剤の製造
本発明のペプチド100mg
トウモロコシ澱粉100mg
乳糖100mg
ステアリン酸マグネシウム2mg
前記成分を混合した後、通常の錠剤の製造方法に従って打錠することにより錠剤を製造した。
【0132】
3-3.カプセル剤の製造
本発明のペプチド100mg
トウモロコシ澱粉100mg
乳糖100mg
ステアリン酸マグネシウム2mg
【0133】
前記成分を混合した後、通常のカプセル剤の製造方法に従ってゼラチンカプセルに充填することによりカプセル剤を製造した。
【0134】
3-4.丸剤の製造
本発明のペプチド1g
乳糖1.5g
グリセリン1g
キシリトール0.5g
前記成分を混合した後、通常の方法により1丸剤当たり4gとなるように製造した。
【0135】
3-5.顆粒の製造
本発明のペプチド150mg
大豆抽出物50mg
ブドウ糖200mg
澱粉600mg
前記成分を混合した後、30%のエタノール100mgを添加し、摂氏60℃で乾燥して顆粒を形成した後、袋に充填した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【配列表】
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