(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】センサ管理ユニット、センサ装置、センシングデータ提供方法、およびセンシングデータ提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G08C 15/06 20060101AFI20220726BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20220726BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20220726BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
G08C15/06 G
G16H10/00
A61B5/00 C
G08C15/00 E
(21)【出願番号】P 2018540069
(86)(22)【出願日】2018-07-25
(86)【国際出願番号】 JP2018027820
(87)【国際公開番号】W WO2019026708
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2017149191
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】小田 利彦
(72)【発明者】
【氏名】大和 哲二
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/104287(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/00-15/12
G16H 10/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサによって生成されたセンシングデータを取得するように構成されたセンシングデータ取得部と、
前記センシングデータの属性が記述されたデータカタログであって、利用側へ出力可能な第1項目が記述された前記データカタログに基づいて、前記センシングデータが前記利用側へ出力可能か否かを判断するように構成された出力判断部と、
前記出力判断部による判断結果に従って、前記利用側へ前記センシングデータを出力するように構成された出力部とを備え
、
前記出力判断部は、前記データカタログに基づいて、さらに、前記センシングデータのメタデータが前記利用側へ出力可能か否かを判断するように構成されており、
前記出力部は、前記メタデータが前記利用側へ出力可能か否かの判断結果に従って、さらに、前記利用側へ前記メタデータを出力するように構成されており、
前記データカタログには、匿名加工情報に変換した上で前記利用側へ出力可能な第2項目を記述可能であり、
前記第2項目の編集を受け付けるように構成された第2項目編集部をさらに備え、
前記メタデータは、提供側の個人情報であり、
前記第2項目編集部は、前記個人情報を前記第2項目に設定するか否かの編集を受け付けるように構成されている、
センサ管理ユニット。
【請求項2】
前記第1項目の編集を受け付けるように構成された編集部をさらに備える、請求項1又は請求項
1に記載のセンサ管理ユニット。
【請求項3】
前記編集部は、前記センシングデータの種別毎に前記第1項目に設定するか否かの編集を受け付けるように構成されている、請求項
2に記載のセンサ管理ユニット。
【請求項4】
前記第1項目の編集を受け付けるように構成された編集部をさらに備え、
前記メタデータは、提供側の個人情報であり、
前記編集部は、前記個人情報毎に前記第1項目に設定するか否かの編集を受け付けるように構成されている、請求項
1に記載のセンサ管理ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のセンサ管理ユニットと、
前記センサとを備える、センサ装置。
【請求項6】
センサによって生成されたセンシングデータを取得する取得ステップと、
前記センシングデータの属性が記述されたデータカタログであって、利用側へ出力可能な項目が記述された前記データカタログに基づいて、前記センシングデータが前記利用側へ出力可能か否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおける判断結果に従って、前記利用側へ前記センシングデータを出力する出力ステップとをコンピュータが実行
し、
前記判断ステップは、前記データカタログに基づいて、さらに、前記センシングデータのメタデータが前記利用側へ出力可能か否かを判断し、
前記出力ステップは、前記メタデータが前記利用側へ出力可能か否かの判断結果に従って、さらに、前記利用側へ前記メタデータを出力し、
前記データカタログには、匿名加工情報に変換した上で前記利用側へ出力可能な第2項目を記述可能であり、
前記コンピュータがさらに、前記第2項目の編集を受け付ける第2項目編集ステップを実行し、
前記メタデータは、提供側の個人情報であり、
前記第2項目編集ステップは、前記個人情報を前記第2項目に設定するか否かの編集を受け付ける、センシングデータ提供方法。
【請求項7】
センサによって生成されたセンシングデータを取得する取得ステップと、
前記センシングデータの属性が記述されたデータカタログであって、利用側へ出力可能な項目が記述された前記データカタログに基づいて、前記センシングデータが前記利用側へ出力可能か否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおける判断結果に従って、前記利用側へ前記センシングデータを出力する出力ステップとをコンピュータに実行させ
、
前記判断ステップは、前記データカタログに基づいて、さらに、前記センシングデータのメタデータが前記利用側へ出力可能か否かを判断し、
前記出力ステップは、前記メタデータが前記利用側へ出力可能か否かの判断結果に従って、さらに、前記利用側へ前記メタデータを出力し、
前記データカタログには、匿名加工情報に変換した上で前記利用側へ出力可能な第2項目を記述可能であり、
前記コンピュータにさらに、前記第2項目の編集を受け付ける第2項目編集ステップを実行させ、
前記メタデータは、提供側の個人情報であり、
前記第2項目編集ステップは、前記個人情報を前記第2項目に設定するか否かの編集を受け付ける、センシングデータ提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、センシングデータを、提供側と利用側との間で流通させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センシングデバイスでセンシングしたセンシングデータを、提供側と利用側との間で流通させるセンサネットワークシステムが検討されている(例えば、特許文献1参照)。ここで言うセンシングデバイスとは、センサ、あるいはセンサが複数接続されるデバイスである。センシングデータは、観測対象の観測特性をセンシングデバイスでセンシングしたものである。ここで言う、観測対象は、実世界の現象の抽象(人、物、事象等)である。また、観測特性は、センサで観測する観測対象の特性である。観測対象は、例えば、成人、家庭、自動車である。成人の観測特性は、例えば最高血圧、最低血圧、心拍である。家庭の観測特性は、例えば電力使用量、ガス使用量、水道使用量である。車両の観測特性は、例えば位置、速度、燃料消費率(燃費)である。
【0003】
提供側は、センシングデバイス、およびこのセンシングデバイスでセンシングして提供するセンシングデータにかかるセンサ側メタデータをネットワークサーバに登録する。また利用側は、センシングデータを利用するアプリケーション、およびこのアプリケーションで利用するセンシングデータにかかるアプリ側メタデータをネットワークサーバに登録する。センサ側メタデータは、センシングデバイス、およびこのセンシングデバイスでセンシングして提供するセンシングデータの属性に関する情報である。アプリ側メタデータは、アプリケーション自身、および当該アプリケーションが必要とするセンシングデータの属性に関する情報である。
【0004】
ネットワークサーバは、センサ側メタデータと、アプリ側メタデータとのマッチングを行って、アプリケーションの要求を満たすセンシングデータを提供可能なセンシングデバイスを抽出する。ネットワークサーバは、抽出したセンシングデバイスを管理するセンサ管理装置に対してデータフロー制御指令を送信する。このデータフロー制御指令は、データ提供元(センシングデバイス)からデータ利用先(アプリケーション)にセンシングデータを流通させることを指令するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、提供側データカタログ(特許文献1で言うセンサ側メタデータに相当する。)は、センサ、および当該センサにより得られるセンシングデータの属性に関する情報を記述したものであることから、提供者の勘違いや見落としにより、適正に記述されないことがある。ネットワークサーバに登録された提供側データカタログが、提供者の所望の内容を適正に記述した提供側データカタログでないと、提供者が意図していない種類のセンシングデータが利用側に流通する危険性がある。
【0007】
この発明の目的は、提供者が意図していない種類のセンシングデータが利用側に流通するのを抑制できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のセンサ管理ユニットは、上記目的を達するために、以下のように構成している。
【0009】
センシングデータ取得部は、センサによって生成されたセンシングデータを取得するように構成されている。出力判断部は、センシングデータの属性が記述されたデータカタログであって、利用側へ出力可能な第1項目が記述されたデータカタログに基づいて、センシングデータが利用側へ出力可能か否かを判断するように構成されている。出力部は、出力判断部による判断結果に従って、利用側へセンシングデータを出力するように構成されている。
【0010】
この構成によれば、センサネットワークシステムで流通させたくないセンシングデータを利用側へ出力可能な項目として設定しないことで、提供者が意図していない種類のセンシングデータが利用側に流通するのを抑制できる。
【0011】
また、利用側へ出力可能な項目の編集を受け付ける編集部を備えることで、センシングデータの種別(最高血圧、最低血圧、脈拍等)の項目別に、利用側へ出力するか否かの設定、解除に関する編集を行なうことができる。
【0012】
また、編集部は、提供側の個人情報に関する項目について、匿名加工情報に変換して出力するか否かの編集を受け付ける構成にしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、センシングデータの提供者が意図していない種類のセンシングデータが利用側に流通するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】センシングデータ流通システムを示す概略図である。
【
図2】GW端末の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図5】GW端末におけるセンシングデバイスの登録処理を示すフローチャートである。
【
図6】GW端末における提供側データカタログの生成処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7(A)、(B)は、GW端末におけるデータカタログの生成時の画面例を示す図である。
【
図8】
図8(A)は、GW端末における第1データカタログの編集生成時の画面例を示す図であり、
図8(B)は、GW端末における第2データカタログの編集生成時の画面例を示す図である。
【
図9】GW端末におけるセンシングデータの売買条件の編集生成時の画面例を示す図である。
【
図10】GW端末におけるデータ収集処理を示すフローチャートである。
【
図11】GW端末におけるセンシングデータ提供処理を示すフローチャートである。
【
図12】センサ装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0016】
まず、センシングデータ流通システムについて説明しておく。
図1は、センシングデータ流通システムを示す概略図である。このセンシングデータ流通システムは、ゲートウェイ端末1(GW(Gateway)端末1)、センシングデバイス2、センサネットワークサーバ3、外部サイト4、およびアプリケーションシステム5を備えている。このセンシングデータ流通システムは、提供側と利用側との間でセンシングデータを流通させるシステムである。GW端末1が、この発明で言うセンサ管理ユニットに相当する。センシングデバイス2は、センサ、あるいはセンサが複数接続されるデバイスである。センシングデバイス2が、この発明で言うセンサに相当する。
【0017】
また、ここでは、GW端末1が、センシングデータに加えて、後述する設定項目にかかる設定情報を、利用側であるアプリケーションシステム5に送信するセンシングデータ流通システムを例にして説明する。この発明にかかるセンサ管理ユニットは、設定項目にかかる設定情報を利用側であるアプリケーションシステム5に送信しない構成(すなわち、アプリケーションシステム5に対して、センシングデータを送信し、設定項目にかかる設定情報を送信しない構成)であってもよい。
【0018】
GW端末1およびセンシングデバイス2が、センシングデータを提供する提供側の構成である。アプリケーションシステム5が、センシングデータを利用する利用側の構成である。センサネットワークサーバ3が、センシングデータの取引を行うインタネット上のマーケットプレースであるセンシングデータ流通市場、すなわちSensing Data Trading Market(SDTM)を実現するための構成である。
【0019】
外部サイト4は、インタネット上でWebページを公開しているサイトであり、この例では、サイトの登録者に対して商品の販売やサービスの提供等を行うサイトである。外部サイト4は、登録者毎に、その登録者にかかる情報、例えば商品の販売履歴やサービスの提供履歴、登録者の個人情報(氏名、年齢、性別、住所等)、を保有している。外部サイト4が、登録者毎に保有している、商品の販売履歴やサービスの提供履歴を、以下総称して利用履歴と言う。GW端末1、センサネットワークサーバ3、外部サイト4、およびアプリケーションシステム5は、ネットワーク6を介してデータ通信可能に接続される。センシングデバイス2は、有線または無線でGW端末1に接続される。
【0020】
なお、外部サイト4は、保有している登録者の情報(利用履歴や個人情報)を、第三者に開示しない。具体的には、外部サイト4は、利用者識別コード(ID)および本人確認コード(PW)を用いて登録者の特定を行い、特定できた登録者に対してのみ、この登録者について保有している利用履歴、および個人情報の開示を許容する。
【0021】
提供側は、SDTMで取引(販売)するセンシングデータにかかる提供側データカタログ100(提供側DC100)をセンサネットワークサーバ3に送信し、登録する。提供側データカタログ100は、センシングデータ、および設定項目を記述したものである。この例では、提供側データカタログ100は、センシングデータの属性情報を記述した第1データカタログ100aと、設定項目を記述した第2データカタログ100bとで構成される一対のデータカタログである。提供側データカタログ100の詳細については、後述する。
【0022】
設定項目は、提供するセンシングデータの観測対象にかかる項目の種別である。すなわち、設定項目は、センシングデータのメタデータである。観測対象は、上述したように、実世界の現象の抽象(人、物、事象等)である。すなわち、観測対象が人であれば、設定項目は、その人の身長、年齢、性別、生活パターン、薬剤服用歴(薬歴)等である。また、観測対象が家庭であれば、設定項目は、その家庭の家族構成、生活パターン、住所等である。また、観測対象が車両であれば、設定項目は、その車両の車幅、車長、車高、排気量等である。設定情報は、設定項目の値や内容を示す情報(データ)である。
【0023】
利用側は、SDTMで取引(購入)するセンシングデータにかかる利用側データカタログ101(利用側DC101)をセンサネットワークサーバ3に送信し、登録する。利用側データカタログ101は、センシングデータの属性情報を記述したものである。また、利用側データカタログ101には、設定項目が記述されていてもよいし、記述されていなくてもよい。
【0024】
センサネットワークサーバ3は、登録済みの提供側データカタログ100と利用側データカタログ101とに基づき、利用側データカタログ101を満たすセンシングデータを提供できる提供側を抽出するマッチング処理を行う。このマッチング処理では、設定項目が利用側データカタログ101に記述されていなければ、設定項目を用いないで、利用側データカタログ101を満たすセンシングデータを提供できる提供側を抽出する。一方、設定項目が利用側データカタログ101に記述されていれば、設定項目も用いて、利用側データカタログ101を満たすセンシングデータを提供できる提供側を抽出する。
【0025】
なお、センシングデータの属性情報を記述した第1データカタログ100aを、センサネットワークサーバ3に登録される提供側データカタログ100としてもよい(提供側データカタログ100として、設定項目を記述した第2データカタログ100bをセンサネットワークサーバ3に登録しない構成であってもよい。)。この場合には、センサネットワークサーバ3は、設定項目を用いないで、マッチング処理を行う。
【0026】
提供側は、マッチング処理にともなうデータフロー制御指令に応じて、センシングデータとともに、設定項目の設定情報を利用側に送信する。このデータフロー制御指令は、マッチング処理のマッチング結果に応じて、センサネットワークサーバ3、提供側、利用側等のいずれかの機器において発生される。すなわち、データフロー制御指令を発生させる機器は、特定の機器に限定されるものではない。
【0027】
なお、センサネットワークサーバ3は、ネットワーク6を介して提供側(GW端末1、およびセンシングデバイス2)が複数接続できる構成である。また、センサネットワークサーバ3は、ネットワーク6を介して利用側(アプリケーションシステム5)が複数接続できる構成である。
図1では、提供側、および利用側を1つずつ例示している。また、センシングデータ、および設定情報は、
図1に示すように、センサネットワークサーバ3を介して、提供側から利用側に送信される構成であってもよいし、センサネットワークサーバ3を介することなく、提供側から利用側に直接送信される構成であってもよい。
【0028】
図2は、GW端末の主要部の構成を示すブロック図である。GW端末1は、制御部11と、センシングデバイス接続部12と、センサ部13と、操作部14と、通信部15と、雛形保存データベース16(雛形保存DB16)と、データカタログ保存データベース17(データカタログ保存DB17)と、センシングデータ保存データベース18(センシングデータ保存DB18)と、端末内個人情報保存データベース19(端末内個人情報保存DB19)と、外部サイト情報保存データベース20(外部サイト情報保存DB20)とを備えている。このGW端末1は、パーソナルコンピュータ(PC)であってもよいし、スマートフォンやタブレット等の携帯端末であってもよいし、その他の情報処理装置であってもよい。ここでは、GW端末1は、スマートフォンとして説明する。
【0029】
制御部11は、GW端末1本体各部の動作を制御する。また、制御部11は、
図2に示すように、センシングデバイス登録機能部21、センシングデータ取得機能部22、外部サイト情報取得機能部23、データカタログ生成機能部24、センシングデータ出力制限機能部25、および設定情報紐付機能部26を有している。制御部11が有する、センシングデバイス登録機能部21、センシングデータ取得機能部22、外部サイト情報取得機能部23、データカタログ生成機能部24、センシングデータ出力制限機能部25、および設定情報紐付機能部26の詳細については後述する。
【0030】
センシングデバイス接続部12は、有線、または無線でセンシングデバイス2を接続するための構成である。センシングデバイス接続部12は、センシングデバイス2との間におけるデータの入出力を制御するインタフェースとして機能する。
【0031】
センサ部13は、GW端末1が内蔵するGPSセンサ、磁気センサ、温度センサ等のセンサを有する。なお、GW端末1は、センサを内蔵していない構成(センサ部13を有していない構成)であってもよい。
【0032】
センシングデバイス2、およびセンサ部13が有するセンサによって、観測対象の観測特性がセンシングされる。
【0033】
操作部14は、GW端末1本体に対する操作者の入力操作を受け付ける。この例では、操作部14は、表示器、およびこの表示器の画面上に貼付したタッチパネルを有する。操作部14は、表示器に表示する画面(ユーザインタフェースにかかる画面等)の表示も制御する。
【0034】
通信部15は、ネットワーク6を介した外部機器とのデータ通信を制御する。
図1に示すセンサネットワークサーバ3、外部サイト4、およびアプリケーションシステム5が、ここで言う外部機器に相当する。また、外部機器は、センサネットワークサーバ3、外部サイト4、およびアプリケーションシステム5に限らない。通信部15が、この発明で言う出力部に相当する。
【0035】
雛形保存DB16は、提供側データカタログ100の雛形を記憶する。ここで、提供側データカタログ100について説明しておく。
図3は、提供側データカタログを示す図である。上述したように、提供側データカタログ100は、センシングデータの属性情報を記述した第1データカタログ100aと、設定項目を記述した第2データカタログ100bとで構成される一対のデータカタログである。
【0036】
第1データカタログ100aには、大別すると、データカタログ番号、センシングデータ提供者、センシングデータ提供期間、センシングデータ測定場所、センシングデータ対象、イベントデータ仕様、データ売買契約条件が含まれている。データカタログ番号は、提供側データカタログ100を識別する番号である。センシングデータ提供者は、センシングデータを提供する組織(個人、または事業者)にかかる属性情報である。センシングデータ提供期間は、センシングデータを提供する期間にかかる属性情報である。センシングデータ測定場所は、観測対象をセンシングする場所にかかる属性情報である。センシングデータ対象は、観測対象、および観測特性にかかる属性情報である。イベントデータ仕様は、イベント条件に関する属性情報である。データ売買契約条件は、センシングデータの取引にかかる属性情報である。
【0037】
また、第2データカタログ100bには、大別すると、データカタログ番号、設定項目が含まれている。データカタログ番号は、提供側データカタログ100を識別する番号である。すなわち、第1データカタログ100aと、第2データカタログ100bとは、データカタログ番号によって対応付けることができる。設定項目は、上述したように、提供するセンシングデータの観測対象にかかる項目の種別である。
【0038】
なお、提供側データカタログ100は、センシングデータの属性情報、および設定項目を記述した単一のデータカタログで構成したものであってもよい。
【0039】
雛形保存DB16は、第1データカタログ100a、および第2データカタログ100bの雛形を記憶している。
【0040】
データカタログ保存DB17は、提供側データカタログ100を記憶するための記憶部である。データカタログ保存DB17は、少なくともセンサネットワークサーバ3に登録した提供側データカタログ100を記憶している。すなわち、センサネットワークサーバ3に登録した提供側データカタログ100は、データカタログ保存DB17に記憶されている。
【0041】
なお、データカタログ保存DB17に記憶されている提供側データカタログ100の中に、センサネットワークサーバ3に登録していない提供側データカタログ100が含まれていてもよい。
【0042】
センシングデータ保存DB18は、センシングデバイス2、およびセンサ部13が有するセンサでセンシングした観測対象の観測特性のセンシングデータを記憶する。
【0043】
端末内個人情報保存DB19は、GW端末1の所有者(この例においてはセンシングデータの提供者でもある。)がGW端末1本体に登録した個人情報を記憶する。この個人情報は、氏名、身長、年齢、性別、アドレス帳、利用している外部サイト4のIDおよびPW等である。
【0044】
外部サイト情報保存DB20は、外部サイト4にアクセスして取得した、GW端末1の所有者の個人情報や、利用履歴等を記憶する。
【0045】
上述した、雛形保存DB16、データカタログ保存DB17、センシングデータ保存DB18、端末内個人情報保存DB19、および外部サイト情報保存DB20は、いずれか2つ以上のデータベースを組み合わせて統合した構成にしてもよい。例えば、雛形保存DB16、およびデータカタログ保存DB17を1つのデータベースで構成してもよいし、端末内個人情報保存DB19、および外部サイト情報保存DB20を1つのデータベースで構成してもよいし、雛形保存DB16、データカタログ保存DB17、センシングデータ保存DB18、端末内個人情報保存DB19、および外部サイト情報保存DB20を1つのデータベースで構成してもよい。
【0046】
次に、制御部11が有する、センシングデバイス登録機能部21、センシングデータ取得機能部22、外部サイト情報取得機能部23、データカタログ生成機能部24、センシングデータ出力制限機能部25、および設定情報紐付機能部26について説明する。
【0047】
センシングデバイス登録機能部21は、センシングデバイス2のデバイス識別子をGW端末1本体に登録する処理を行う。GW端末1は、複数のセンシングデバイス2が登録できる構成である。GW端末1は、本体に登録されていないセンシングデバイス2によりセンシングされたセンシングデータをSDTMで取引することができない。言い換えれば、SDTMで取引することができるセンシングデータは、GW端末1本体に登録されたセンシングデバイス2によってセンシングされたセンシングデータに限られる。デバイス識別子は、センシングデバイス2の種類を特定することができる情報である。
【0048】
なお、提供側は、GW端末1本体に登録したセンシングデバイス2によってセンシングされたセンシングデータであっても、SDTMで取引しないことも選択できる。
【0049】
センシングデータ取得機能部22は、センシングデバイス接続部12において接続されているセンシングデバイス2から、このセンシングデバイス2によってセンシングされたセンシングデータを取得する。また、センシングデータ取得機能部22は、センサ部13が有するセンサによってセンシングされたセンシングデータの取得も行う。センシングデータ取得機能部22は、取得したセンシングデータをセンシングデータ保存DB18に保存する。センシングデータ取得機能部22が、この発明で言うセンシングデータ取得部に相当する。
【0050】
外部サイト情報取得機能部23は、外部サイト4にアクセスして、当該外部サイト4が保有しているGW端末1の所有者の個人情報や、利用履歴等を取得する。外部サイト情報取得機能部23は、外部サイト4にアクセスするとき、端末内個人情報保存DB19に登録されている当該外部サイト4のID、およびPWを使用する。外部サイト情報取得機能部23は、取得したGW端末1の所有者の個人情報や、利用履歴等を外部サイト情報保存DB20に保存する。
【0051】
データカタログ生成機能部24は、センサネットワークサーバ3に登録する提供側データカタログ100を生成する。データカタログ生成機能部24は、雛形保存DB16に記憶している第1データカタログ100aの雛形、および第2データカタログ100bの雛形を利用して、提供側データカタログ100を生成する。データカタログ生成機能部24は、操作者(提供者)の編集操作を受け付け、提供側データカタログ100を生成する。操作者は、操作部14において提供側データカタログ100の編集操作を行う。データカタログ生成機能部24が、この発明で言う編集部に相当する。
【0052】
センシングデータ出力制限機能部25は、センシングデバイス2、またはGW端末1が内蔵するセンサによってセンシングされ、センシングデータ取得機能部22で取得したセンシングデータを分類するフィルタリング処理を行う。このフィルタリング処理は、通信部15において外部機器(利用側)に送信することを許可している項目のセンシングデータと、外部機器に送信することを許可していない項目のセンシングデータとを分類する処理である。すなわち、センシングデータ出力制限機能部25は、センシングデータの項目毎に、通信部15において外部機器(利用側)に送信するセンシングデータであるかどうかを判断している。
【0053】
設定情報紐付機能部26は、センシングデータ出力制限機能部25によってフィルタリングされ、外部機器(利用側)に送信するセンシングデータに対して、対応付けられている設定項目の設定情報を紐付ける。この設定項目の設定情報は、端末内個人情報保存DB19、および外部サイト情報保存DB20に保存されている。この例では、センシングデータ出力制限機能部25、および設定情報紐付機能部26が、この発明で言う出力判断部に相当する。
【0054】
このGW端末1の制御部11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、上述した、センシングデバイス登録機能部21、センシングデータ取得機能部22、外部サイト情報取得機能部23、データカタログ生成機能部24、センシングデータ出力制限機能部25、および設定情報紐付機能部26として機能する。また、メモリは、この発明にかかるセンシングデータ提供プログラムを展開する領域や、このセンシングデータ提供プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御部11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0055】
また、このGW端末1の制御部11は、
図4に示す情報収集テーブル50を制御部11のメモリ(不図示)に記憶している。この情報収集テーブル50は、外部サイト4、センシングデバイス2、およびセンサ部13が有するセンサから取得する情報(センシングデータや、外部サイト情報)の種別や、取得するタイミング等を設定したものである。例えば、
図4に示す名称がAAAである外部サイト4については、毎週月曜日の午前0:00に利用履歴を取得することが設定されている(名称がAAAである外部サイト4は、例えば商品の販売サイトである。)。また、名称がBBBである外部サイト4については、毎月1日の午前0:00に投薬履歴を取得することが設定されている(名称がBBBである外部サイト4は、例えばお薬手帳の管理サイトである。)。
【0056】
以下、GW端末1の動作について説明する。まず、GW端末1におけるセンシングデバイス2の登録処理について説明する。
図5は、この例にかかるGW端末におけるセンシングデバイスの登録処理を示すフローチャートである。
【0057】
GW端末1は、センシングデバイス登録機能部21がセンシングデバイス接続部12に接続されているセンシングデバイス2に対して登録要求を送信する(s1)。センシングデバイス2は、GW端末1から送信されてきた登録要求を受信すると、自機のデバイス識別子をGW端末1に送信する。センシングデバイス2は、自機のデバイス識別子を本体メモリに記憶している。
【0058】
センシングデバイス登録機能部21は、センシングデバイス2から送信されてきたデバイス識別子を受信すると(s2)、今回受信したデバイス識別子をメモリに記憶するデバイス登録を行い(s3)、本処理を終了する。
【0059】
また、センシングデバイス登録機能部21は、センシングデバイス2が第1データカタログ100aの雛形を記憶している構成であれば、この登録処理において、センシングデバイス2から第1データカタログ100aの雛形を取得してもよい。この場合、センシングデバイス登録機能部21は、取得した第1データカタログ100aの雛形と、デバイス識別子とを対応付けて、雛形保存DB16に記憶させる。また、センシングデバイス登録機能部21は、センシングデバイス2が第1データカタログ100aの雛形を記憶しているインタネット上のサイトのURL(Uniform Resource Locator)を記憶している構成であれば、このURLを取得し、取得したURLにアクセスして、第1データカタログ100aの雛形を取得してもよい。また、センシングデバイス登録機能部21は、センシングデバイス2が第1データカタログ100aの雛形のDOI(Digital Object Identifier)を記憶している構成であれば、このDOIを取得し、取得したDOIにアクセスして、第1データカタログ100aの雛形を取得してもよい。
【0060】
次に、GW端末1における提供側データカタログ100の生成処理について説明する。
図6は、この例にかかるGW端末におけるデータカタログの生成処理を示すフローチャートである。GW端末1は、データカタログ生成機能部24が今回提供側データカタログ100を生成するセンシングデバイス2、および設定項目の選択を受け付ける(s11)。データカタログ生成機能部24は、例えば、
図7(A)に示す画面を表示器に表示し、操作者によるセンシングデバイス2、および設定項目(外部サイト4等)の選択を受け付ける。データカタログ生成機能部24は、s11で選択された項目に対して、「編集ボタン」を表示する(
図7(B)参照)。すなわち、
図7(B)において「編集ボタン」が表示されている項目が、選択された項目である。
図7(B)は、外部サイトBBB、および血圧計XXXが選択された状態である。外部サイトBBBは、外部サイト4であり、血圧計XXXは、センシングデバイス2である。
【0061】
データカタログ生成機能部24は、s11で選択された項目のいずれかについて、編集ボタンが操作されると、選択された項目にかかるデータカタログの編集生成処理を行う(s12)。s12では、選択された項目がセンシングデバイス2、またはセンサ部13が有する内蔵センサであれば、データカタログ生成機能部24は第1データカタログ100aの編集生成を行う。また、選択された項目が端末内個人情報保存DB19、または外部サイト情報保存DB20に保存されている設定項目であれば、データカタログ生成機能部24は第2データカタログ100bの編集生成を行う。
【0062】
データカタログ生成機能部24は、選択された項目の雛形を雛形保存DB16から読み出し、
図8に示す画面を表示器に表示し、操作者による編集操作を受け付ける。
図8(A)は、血圧計XXXの編集ボタンが操作されたときの表示画面例を示す。また、
図8(B)は、外部サイトBBBの編集ボタンが操作されたときの表示画面例を示す。操作者は、
図8に示す画面において、SDTMで取引するデータ項目の選択等を行う。この
図8に示す画面では、利用側に提供するデータの項目が選択できる。
図8(A)に示す画面では、利用側に提供するセンシングデータの項目として、最高血圧、最低血圧、および測定日時が選択されている(利用側に提供しないセンシングデータの項目として、脈拍、体動フラグ、および体重が選択されている。)。
図8(B)に示す画面では、利用側に設定情報を提供する設定項目として、性別、投薬期間、および薬の名前が選択されている(利用側に提供しないデータの項目として、性別、身長、および体重を選択している。)。
【0063】
また、この
図8に示す画面において、提供側の個人情報を含めて利用側に提供するかどうか、および提供側の個人情報を加工した匿名加工情報を含めて利用側に提供するかどうか、の設定が行える。
【0064】
データカタログ生成機能部24は、
図8(A)、(B)に示す画面に表示されている「保存して戻る」ボタンが押されると、
図7(B)に示す画面に戻る。このように、データカタログ生成機能部24は、
図8(A)、(B)に示す画面において、
図7(B)に示す画面で選択された項目にかかるデータカタログ(第1データカタログ100a、または第2データカタログ100b)の編集を受け付ける。
【0065】
データカタログ生成機能部24は、
図7(B)に示す画面に表示されている「次へ」ボタンが押されると、
図9に示す画面を表示器に表示し、操作者によるデータ売買条件にかかる編集操作を受け付ける。データカタログ生成機能部24は、
図9に示す画面では、SDTMで取引するデータの適用範囲、取引条件、料金等についての編集を受け付ける。
【0066】
データカタログ生成機能部24は、
図9に示す画面に表示されている「登録」ボタンが押されると、操作者による提供側データカタログ100の編集操作が完了したと判断し、今回編集された第1データカタログ100a、および第2データカタログ100bを関連付けることにより、提供側データカタログ100を生成する。このとき、データカタログ生成機能部24は、今回編集された第1データカタログ100a、および第2データカタログ100bを相互に関連付けるため、データカタログ番号を付与する。
【0067】
データカタログ生成機能部24は、s12で生成した提供側データカタログ100をデータカタログ保存DB17に記憶するとともに、この提供側データカタログ100をセンサネットワークサーバ3に送信し、登録する(s13)。
【0068】
このように、この例にかかるGW端末1は、第1データカタログ100a、および第2データカタログ100bを関連付けた提供側データカタログ100を生成し、この提供側データカタログ100をセンサネットワークサーバ3に登録することができる。
【0069】
次に、GW端末1におけるデータ収集処理について説明する。
図10は、データ収集処理を示すフローチャートである。GW端末1のセンシングデータ取得機能部22は、センシングデバイス接続部12において、接続されているセンシングデバイス2から観測対象の観測特性をセンシングしたセンシングデータを受信すると、受信したセンシングデータをセンシングデータ保存DB18に記録する(s21、s24)。また、GW端末1のセンシングデータ取得機能部22は、センサ部13が有する内蔵センサが観測対象の観測特性をセンシングすると、そのセンシングデータをセンシングデータ保存DB18に記録する(s22、s24)。
【0070】
さらに、GW端末1の外部サイト情報取得機能部23が
図4に示した情報収集テーブル50を参照し、いずれかの外部サイト4から設定項目の設定情報を取得する情報収集タイミングであると判定すると、当該外部サイト4にアクセスして設定項目にかかる設定情報を取得する(s23、s25)。外部サイト情報取得機能部23は、端末内個人情報保存DB19に記憶している該当する外部サイト4のID、およびPWを使用して、設定項目にかかる設定情報を取得する。外部サイト情報取得機能部23は、今回取得した設定項目の設定情報を外部サイト情報保存DB20に記憶する(s26)。
【0071】
GW端末1は、上述したs21~s26の処理を繰り返す。これにより、GW端末1は、センシングデバイス2、またはセンサ部13が有する内蔵センサが観測対象の観測特性をセンシングしたセンシングデータをセンシングデータ保存DB18に記憶する。また、GW端末1は、外部サイト情報取得機能部23が外部サイト4にアクセスして取得した設定項目の設定情報を外部サイト情報保存DB20に記憶する。
【0072】
次に、GW端末1におけるセンシングデータ提供処理について説明する。
図11は、センシングデータ提供処理を示すフローチャートである。GW端末1は、アプリケーションシステム5に対してセンシングデータを提供する提供タイミングであると判定すると、センシングデータ出力制限機能部25が今回提供するセンシングデータにかかる提供側データカタログ100の第1データカタログ100aに基づき、センシングデータ保存DB18から提供するセンシングデータを読み出す(s31、s32)。提供タイミングは、センシングデバイス2のステータスが変更されたタイミング、提供側データカタログ100のいずれかの項目の記述が変更されたタイミング、予め定められているタイミング(このタイミングは、定期的に設定されたものであってもよいし、不定期に設定されたものであってもよい。)、利用側からセンシングデータの提供要求があったタイミング等である。また、s32では、提供側データカタログ100の第1データカタログ100aに提供することが選択されている観測特性のセンシングデータを読み出し、提供することが選択されていない観測特性のセンシングデータを読み出さない。すなわち、センシングデータ出力制限機能部25は、s32において、提供側データカタログ100の第1データカタログ100aに提供することが選択されていない観測特性のセンシングデータについては、センシングデータ保存DB18から読み出さないフィルタリング処理を行っている。
【0073】
また、設定情報紐付機能部26が、今回提供するセンシングデータに紐付ける設定項目の設定情報を、端末内個人情報保存DB19、および外部サイト情報保存DB20から読み出す(s33)。s33では、提供側データカタログ100の第2データカタログ100bに提供することが選択されている設定項目の設定情報を読み出し、提供することが選択されていない設定項目の設定情報を読み出さない。すなわち、設定情報紐付機能部26は、s33において、提供側データカタログ100の第2データカタログ100bに提供することが選択されていない観測特性のセンシングデータについては、端末内個人情報保存DB19、および外部サイト情報保存DB20から読み出さないフィルタリング処理を行っている。
【0074】
設定情報紐付機能部26は、個人情報を利用側に提供する設定であるかどうかを判断する(s34)。また、設定情報紐付機能部26は、個人情報を利用側に提供する設定でなければ、匿名加工情報を利用側に提供する設定であるかどうかを判断する(s35)。設定情報紐付機能部26は、s34、およびs35にかかる判断を提供側データカタログ100を参照して行う。上述したように、個人情報を利用側に提供するかどうか、および匿名加工情報を利用側に提供するかどうかの設定は、提供側データカタログ100の生成時に、操作者によって設定されている。
【0075】
設定情報紐付機能部26は、個人情報を利用側に提供する設定であると判断すると、s33で読み出した設定項目の設定情報をs32で読み出したセンシングデータに紐付ける(s36)。また、設定情報紐付機能部26は、個人情報を利用側に提供する設定でなく、匿名加工情報を提供する設定であると判断すると、s32、s33で読み出したセンシングデータおよび設定項目の設定情報に含まれている個人情報を匿名加工情報に加工する(s37)。そして、設定情報紐付機能部26は、s37で個人情報を匿名加工情報に加工した設定情報を、s37で個人情報を匿名加工情報に加工したセンシングデータに紐付ける(s38)。また、設定情報紐付機能部26は、個人情報を利用側に提供する設定でなく、且つ匿名加工情報を提供する設定でもないと判断すると、s32、s33で読み出したセンシングデータおよび設定項目の設定情報に含まれている個人情報を除外(削除)する(s39)。そして、設定情報紐付機能部26は、s39で個人情報除外した設定情報をs39で個人情報除外したセンシングデータに紐付ける(s40)。
【0076】
設定情報紐付機能部26は、s36、s38、またはs40のいずれかにおいて、設定項目の設定情報、およびこの設定情報を紐付けたセンシングデータをアプリケーションシステム5に送信する(s41)。GW端末1は、s31~s41の処理を繰り返す。s41では、設定項目の設定情報と、この設定情報を紐付けたセンシングデータを個別にアプリケーションシステム5に送信してもよいし、設定項目の設定情報を、この設定情報を紐付けたセンシングデータに付加してアプリケーションシステム5に送信してもよい。
【0077】
このように、この例にかかるGW端末1は、提供側データカタログ100の編集において、提供者が利用側に流通させたくない種類のセンシングデータや、個人情報等を簡単に設定できる。したがって、提供者が意図していない種類のセンシングデータや、個人情報等が利用側に流通するのを抑制できる。
【0078】
また、このGW端末1は、センシングデバイス2、またはセンサ部13が有する内蔵センサでセンシングデータとともに、設定項目の設定情報をアプリケーションシステム5に提供することができる。したがって、利用側であるアプリケーションシステム5は、センシングデータとともに提供された、設定項目の設定情報を用いて、このセンシングデータの観測対象を分類することができる。例えば、観測対象が人であれば、身長、年齢、性別、生活パターン、薬剤服用歴(薬歴)等で、センシングデータの観測対象を分類することができる。このため、利用側は、観測対象を分類した分類毎に、センシングデータを分析した分析結果を得ることができる。すなわち、利用側は、幅広いサービスに利用でき、その利用価値が高い分析結果を得ることができる。言い換えれば、GW端末1は、利用側であるアプリケーションシステム5に対して提供するセンシングデータの利用価値を高めることができる。
【0079】
また、提供側は、利用側に対して、個人情報を提供するか、個人情報を加工した匿名加工情報を提供するか、個人情報および匿名加工情報を提供しないかの設定が任意に行えるので、個人情報の管理を適正に行える。
【0080】
また、上述したように、上記の例にかかるGW端末1は、センシングデータに加えて、設定項目にかかる設定情報を、利用側であるアプリケーションシステム5に送信する構成であるが、設定項目にかかる設定情報を利用側であるアプリケーションシステム5に送信しない構成(すなわち、アプリケーションシステム5に対して、センシングデータを送信し、設定項目にかかる設定情報を送信しない構成)であってもよい。この場合、GW端末1は、設定項目にかかる設定情報を処理する構成を備える必要はない。
【0081】
また、
図12は、この発明の実施形態にかかるセンサ装置の主要部の構成を示すブロック図である。この例にかかるセンサ装置10は、上述したGW端末1にかかる構成と、センシングデバイス2にかかる構成とを一体的にしたものである(センサ装置10は、上述したGW端末1にかかる構成を、センシングデバイス2に付加した構成である。)。
【0082】
なお、
図12では、
図2に示した構成と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0083】
この例にかかるセンサ装置10は、制御部11と、第1センサ部12aと、第2センサ部13aと、操作部14と、通信部15と、雛形保存DB16と、データカタログ保存DB17と、センシングデータ保存DB18と、端末内個人情報保存DB19と、外部サイト情報保存DB20とを備えている。また、制御部11は、上述したGW端末1と同様に、センシングデバイス登録機能部21、センシングデータ取得機能部22、外部サイト情報取得機能部23、データカタログ生成機能部24、センシングデータ出力制限機能部25、および設定情報紐付機能部26を有している。ただし、センサ装置10は、図示していない通信装置を介して、上述したセンサネットワークサーバ3、外部サイト4、およびアプリケーションシステム5等の外部機器と通信する構成であってもよい。この場合、センサ装置10の通信部15は、通信装置との間で近距離無線通信を行う構成であってもよいし、有線で接続された通信装置との間で入出力を行うインタフェースであってもよい。
【0084】
また、この例のセンサ装置10は、上述したセンシングデバイス接続部12の代わりに、第1センサ部12aを備えている。第1センサ部12aは、1または複数のセンサを有する。センシングデータ取得機能部22は、第1センサ部12aが有するセンサによってセンシングされたセンシングデータを取得する。第1センサ部12aが有するセンサによってセンシングされたセンシングデータが、利用側であるアプリケーションシステム5に提供するセンシングデータである。第1センサ部12aが、この発明で言うセンサに相当する。
【0085】
また、
図12に示す第2センサ部13aは、上述したGW端末1のセンサ部13と同様の構成である(この例では、第1センサ部12aとの混同を避けるために、第2センサ部13aと表記している。)。
【0086】
また、この例にかかるセンサ装置10は、第1センサ部12aが有するセンサがデフォルトで登録されている構成であってもよい。この場合、センサ装置10は、
図5に示した登録処理を実行しなくてもよい。
【0087】
このセンサ装置10は、上述したGW端末1と同様に、
図10に示したデータ収集処理、
図11に示したセンシングデータ提供処理を行う。ただし、センサ装置10は、センシングデバイス接続部12に接続されているセンシングデバイス2からセンシングデータを受信するのではなく、第1センサ部12aが有するセンサによって観測対象の観測特性をセンシングする点で上述したGW端末1と相違する。このセンサ装置10も、上述したGW端末1と同様の効果を奏する。
【0088】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0089】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
少なくとも1つのハードウェアプロセッサを有し、
前記ハードウェアプロセッサが、
センサでセンシングしたセンシングデータを取得し、
前記センシングデータの属性を記述したデータカタログに基づいて、利用側に提供する前記センシングデータを出力部において出力し、
前記データカタログに記載された前記利用側へ出力する項目に基づいて前記出力部から出力されるデータを判断して出力する、
センサ管理ユニット。
(付記2)
少なくとも1つのハードウェアプロセッサを用いて、
センサでセンシングしたセンシングデータを取得し、
前記センシングデータの属性を記述したデータカタログに基づいて、利用側に提供する前記センシングデータを出力部において出力し、
前記データカタログに記載された前記利用側へ出力する項目に基づいて前記出力部から出力されるデータを判断して出力する、
センシングデータ提供方法。
【符号の説明】
【0090】
1…ゲートウェイ端末(GW端末)
2…センシングデバイス
3…センサネットワークサーバ
4…外部サイト
5…アプリケーションシステム
6…ネットワーク
10…センサ装置
11…制御部
12…センシングデバイス接続部
12a…第1センサ部
13…センサ部
13a…第2センサ部
14…操作部
15…通信部
16…雛形保存データベース(雛形保存DB)
17…データカタログ保存データベース(データカタログ保存DB)
18…センシングデータ保存データベース(センシングデータ保存DB)
19…端末内個人情報保存データベース(端末内個人情報保存DB)
20…外部サイト情報保存データベース(外部サイト情報保存DB)
21…センシングデバイス登録機能部
22…センシングデータ取得機能部
23…外部サイト情報取得機能部
24…データカタログ生成機能部
25…センシングデータ出力制限機能部
26…設定情報紐付機能部
50…情報収集テーブル
100…提供側データカタログ
100a…第1データカタログ
100b…第2データカタログ
101…利用側データカタログ