(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】異形ケーブル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 7/00 20060101AFI20220727BHJP
H01R 4/70 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
H01B7/00
H01R4/70 K
(21)【出願番号】P 2019524227
(86)(22)【出願日】2017-10-25
(86)【国際出願番号】 CN2017107577
(87)【国際公開番号】W WO2018095177
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2019-07-05
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】201611046351.1
(32)【優先日】2016-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519157831
【氏名又は名称】吉林省中贏高科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王超
【合議体】
【審判長】辻本 泰隆
【審判官】松永 稔
【審判官】小田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-348791(JP,A)
【文献】実開平4-114715(JP,U)
【文献】特開平8-340616(JP,A)
【文献】特開2016-81731(JP,A)
【文献】特開2016-44288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B7/00
H01R4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異形ケーブルであって、
前記異形ケーブルの導電性コアは、異なる横断面形状を有する少なくとも2つの導電性コアセグメントが、端と端とで
接続することによって形成されており、
前記導電性コアセグメントの有効導電横断面積の公差範囲は、±20%であり、
前記異形ケーブルは、自動車の車体輪郭に合わせて接し、
前記導電性コアセグメントの横断面の内角は、丸く面取りされて
おり、
前記導電性コアセグメントの外側部分は、絶縁層で被覆されており、
前記絶縁層の輪郭は、前記導電性コアセグメントに貼り合わされており、
前記絶縁層は、前記少なくとも2つの導電性コアセグメントの接続部位も被覆する
ことを特徴とする異形ケーブル。
【請求項2】
前記少なくとも2つの導電性コアセグメントの中の1つの導電性コアセグメントの一端は、隣接する他の導電性コアセグメントの一端に当接する
ことを特徴とする請求項1に記載の異形ケーブル。
【請求項3】
前記少なくとも2つの導電性コアセグメントの中の1つの導電性コアセグメントの一端の上面は、隣接する他の導電性コアセグメントの一端の下面と接する
ことを特徴とする請求項1に記載の異形ケーブル。
【請求項4】
隣接する2つの前記導電性コアセグメントの横断面形状が異なる場合には、1つの、両端形状がそれぞれ前記2つの導電性コアセグメントの横断面形状と同じである導電性コア接続部材を通して接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の異形ケーブル。
【請求項5】
前記異形ケーブルは、重ね折りで延長する
ことを特徴とする請求項1に記載の異形ケーブル。
【請求項6】
前記導電性コアは、アルミニウム合金又は95%以上の含有量の純アルミニウムからなる
ことを特徴とする請求項1に記載の異形ケーブル。
【請求項7】
前記アルミニウム合金は、アルミニウム-銅合金、アルミニウム-マグネシウム合金、アルミニウム-リチウム合金、アルミニウム-マンガン合金、アルミニウム-亜鉛合金、又はアルミニウム-シリコーン合金である
ことを特徴とする請求項6に記載の異形ケーブル。
【請求項8】
前記導電性コアセグメントの横断面は、楕円形、多辺形、E形、F形、H形、K形、L形、T形、U形、V形、W形、X形、Y形、Z形、半円弧形、円弧形、又は波形構造である
ことを特徴とする請求項1に記載の異形ケーブル。
【請求項9】
前記多辺形は、三角形、四角形、五角形、六角形、又は八角形である
ことを特徴とする請求項8に記載の異形ケーブル。
【請求項10】
前記導電性コアセグメントは、中実ケーブル、部分的中実ケーブル、中空ケーブル、又はフレキシブルケーブルの1種類以上に接する
ことを特徴とする請求項1に記載の異形ケーブル。
【請求項11】
請求項1に記載の異形ケーブルの製造方法であって、前記製造方法は、
S1:金型を使用し、金属原材料を押出機で押出成形し、押出された半製品の導電性コアセグメントを冷却して最終的に導電性コアセグメントを得る手順と、
S2:前記導電性コアセグメントを接続する手順と、
S3:接続された前記導電性コアセグメントを絶縁層押出機に入れ、導電性コアセグメントの上に絶縁層を押出し、前記導電性コアセグメントを前記絶縁層に貼り合わせる手順と、を含み、
或いは、前記製造方法は、
i:金型を使用し、金属原材料を押出機で押出成形し、押出された半製品の導電性コアセグメントを冷却して最終的に導電性コアセグメントを得る手順と、
ii:前記導電性コアセグメントを絶縁層押出機に入れ、導電性コアセグメントの上に絶縁層を押出し、前記導電性コアセグメントを前記絶縁層に貼り合わせる手順と、
iii:絶縁層を有する前記導電性コアセグメントを接続する手順と、を含む、
ことを特徴とする製造方法。
【請求項12】
前記導電性コアセグメントを接続する方法は、溶接、圧着、溶着、又は挿入である
ことを特徴とする請求項
11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記押出成形する方法は、連続押出である
ことを特徴とする請求項
11に記載の製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載の異形ケーブルの製造方法であって、前記製造方法は、
前記異形ケーブルの3Dデータを3Dプリンターに入力し、前記3Dプリンターが前記3Dデータに従って前記異形ケーブルの導電性コアを印刷する手順と、
絶縁層を製造する手順と、を含み、
或いは、前記製造方法は、
前記異形ケーブルの3Dデータに従って金型を製造し、金属原材料を加熱して溶融させ、金属液体を金型に流し込み鋳造し又は低圧鋳造し、冷却して前記異形ケーブルの導電性コアを形成する手順と、
絶縁層を製造する手順と、を含む、
ことを特徴とする製造方法。
【請求項15】
前記絶縁層を製造する手順は、前記導電性コアの表面に絶縁層を印刷、コーティング、又は押出をしてその表面に貼り合わせる
ことを特徴とする請求項
14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケーブルに関し、具体的に、自動車に使用され、かつ自動車の内部輪郭にフィットして設置することができる異形ケーブル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車用ケーブルは、一般に、コアとコア上に被覆されている絶縁層とからなる。現在、自動車に使用されているケーブルは通常円形であり、改良されたケーブルのいくつかは平らである。円形ケーブルは円形の横断面を有するので、同一円周上の各点にかかる力は等方的であり、外力を受けたときに変形しにくいため、ハーネスケーブルは折り曲がりにくい。
【0003】
このため、特許文献1では、偏平デザインを使用する新型電気自動車内部用ケーブルが開示された。偏平な構造を使用するため、中実コアの幅方向に垂直な曲げ半径は、最終製品の厚さの3倍であり、それに柔らかさは同じ断面積の同じ断面の円形のフレキシブル中実導電性コアワイヤーより優れている。中実導電性コアは、柔らかさを確保するため、中間に他の材料を使用して接着することがなく、いくつかの偏平な正方形の銅ストリップでラミネートされている。しかしながら、自動車の内部輪郭が異なる形状をするため、同じ偏平なケーブルのみ使用することは、配線消耗品の大幅な増加をもたらし、それは配線のコストを増加させる。同時に、単一種類の平らなケーブルは一本のケーブルで力を引き受けやすいため、車がぶつかったときには、応力が著しく解放されずにケーブルが折れ、安全上の問題が発生する。
【0004】
また、特許文献2では、ケーブルコアワイヤの断面を中空開口四角形、中空開口長方形などに設定し、同じ電流負荷量を有する場合、断面積が減少し、重量が軽くなるため、ケーブルの生産コストが節約できることが開示されている。しかしながら、単一のケーブル形状構造は自動車の内部輪郭とフィットすることができない。このようなケーブルは異なる形状のケーブルと接することができず、複雑な車体輪郭上での実際のケーブル配線のニーズを満たすこともできない。
【0005】
特許文献3では、アルミニウム合金ランプホルダーマンドレル押出成形方法が開示されている。前記方法は、押出ビレットの準備の手順と、フィッターの手順と、ビレットの加熱の手順と、加熱したビレットを複合押出金型の凹型に入れ、そして金型を締め、押出成形する手順と、部品を取り出し、温度を下げ、研磨とトリムとを行う手順とを含む。しかし、得られた製品は単一の形状にすぎず、セグメントごとに異なる形状の製品を接続することを実現するというニーズを満たすことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】中国特許出願公開第104112508号明細書
【文献】中国実用新案登録出願公開第2388691号明細書
【文献】中国特許出願公開第104384219号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の不足を克服するために、本発明の目的は、自動車の安全性能を向上させ、自動車の生産コストを節約することができ、さらに人々が車体軽量化に対する使用ニーズを満たすことができる異形ケーブル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するために、本発明において採用される技術的解決策は以下の通りである。
【0009】
すなわち、異形ケーブルであって、前記異形ケーブルの導電性コアは、異なる横断面形状を有する少なくとも2つの導電性コアセグメントが、端と端とで接することによって形成されている。前記導電性コアセグメントの有効導電横断面積の公差範囲が±20%である。
【0010】
説明すべきは、本技術的解決策における異形とは、ケーブル内の導電性コアが、異なる横断面形状を有する少なくとも2つの導電性コアセグメントが端と端とで接することによって形成されることを意味する。同時に、前記異形ケーブルにおける導電性コアは、異なる横断面形状を有する少なくとも2つの導電性コアセグメントが端と端とで接するため、車体が激しい衝撃を受けたときに、通常のケーブルがよく発生する一本のケーブルで力を引き受ける状況を避けることができ、ケーブルが引き受けた応力をすばやく分散し、これにより、ケーブルが力を引き受けて折れることを避け、自動車の安全性能を大幅に向上させる。
【0012】
さらに、実際の生産過程では、製造誤差のため、又は異なる車体に適応するため、各導電性コアセグメントの内部の有効導電横断面積は、一定の公差を有することが可能である。しかし、発明者は、電気の安全性を保証するため、その公差範囲は±20であるべきと考える。この値は各導電性コアセグメントの有効導電横断面積に対するものであり、異なる導電性コアセグメントの間を限定するものではない。発明者は複数回の試験と創造性に富んだ改良過程とに基づいて以下のようにまとめる。すなわち、ケーブルの有効導電面積の公差を±1%、±2%、±3%、±4%、±5%、±6%、±7%、±8%、±9%、±10%、±11%、±12%、±13%、±14%、±15%、±16%、±17%、±18%、±19%、±20%に設定した場合、公差を超えたケーブル部分の外側部分絶縁層は全て溶融していない。しかし、ケーブルの有効導電面積の公差設定が±20%を超えるように設定した場合、一部のケーブルの外側部分絶縁層が溶融し始め、これにより、異形ケーブル全体の導電安全性能が破壊された。したがって、発明者は、導電ケーブルの有効導電横断面積の公差範囲を±20%に設定し、この公差範囲を設定することは、異形ケーブルの導電部分の一部が過熱による絶縁層の溶融を効果的に低減できると考える。この技術的解決策により、異形ケーブルの使用安全性を満たす。
【0013】
説明すべきは、前記導電性コアセグメントは、中実でも部分的に中空でもよく、又は完全に中空でもよい。
【0014】
さらに、前記導電性コアセグメントはフレキシブルであってよい。
【0015】
隣接して接続された導電性コアセグメントにおいて、その組み合わせは、中実導電性コアセグメントと中空導電性コアセグメントと、又は中実導電性コアセグメントとフレキシブル導電性コアセグメントと、又は中実導電性コアセグメントと中実導電性コアセグメントと、又は中空導電性コアセグメントとフレキシブル導電性コアセグメントと、又は中空導電性コアセグメントと中空導電性コアセグメントと、又はフレキシブル導電性コアセグメントとフレキシブル導電性コアセグメントとであってよい。もちろん、前記4つの異なる状態の導電性コアセグメントの任意の組み合わせは、全て本技術的解決策に含むと見なされるべきである。
【0016】
好ましくは、前記その中の1つの導電性コアセグメントの一端は、隣接する他の導電性コアセグメントの一端に当接する。
【0017】
好ましくは、前記その中の1つの導電性コアセグメントの一端の上面は、隣接する他の導電性コアセグメントの一端の下面と接する。
【0018】
説明すべきは、上記接続方法は、溶接、圧着、溶着、又は挿入であることが可能である。
【0019】
好ましくは、前記隣接する2つの導電性コアセグメントの横断面形状が異なる場合には、1つの、両端形状がそれぞれ前記2つの導電性コアセグメントの横断面形状と同じである導電性コア接続部材を通して接続されている。
【0020】
説明すべきは、1つの、両端形状がそれぞれ2つの接続されるべき導電性コアセグメントの横断面と同じである導電性コア接続部材を使用することにより、横断面形状が異なる原因で2つの導電性コアセグメントを直接に接続することができないという問題を解決することができる。
【0021】
さらに好ましくは、前記導電性コア接続部材の各横断面積はほぼ同じである。
【0022】
説明すべきは、前記導電性コア接続部材の各横断面積がほぼ同じであるため、導電効果の均一性をより良く実現することができる。その中の1つの好ましい実施形態として、前記導電性コア接続部材の横断面積は、各箇所が等しい。この場合、前記導電性コア接続部材の導電効果の均一性は最も良い。
【0023】
好ましくは、前記異形ケーブルは、自動車の車体輪郭に合わせて接する。この技術的解決策により、車体の各部分の輪郭の実際のニーズに適応してケーブルを設置し、材料及びスペースを節約し、これにより、自動車のコストを節約することができる。
【0024】
好ましくは、前記異形ケーブルは、重ね折りで延長する。
【0025】
ケーブルの重ね折りの解決策により、高圧電流伝送によって引き起こされる渦電流効果を排除し、車体内のその他の電気機器の動作に影響を及ぼさず、さらに高圧大電流の場合、より良好に応用することができる。
【0026】
好ましくは、前記導電性コアセグメントは、アルミニウムコア又はアルミニウム合金コアである。
【0027】
説明すべきは、従来技術に慣用されている銅導電性コアの代わりに、アルミニウム導電性コア(アルミニウムコア又はその合金材料を含む)が使用される。アルミニウムの密度は銅の3分の1にすぎないため、電気性能により、中実導電性コアの抵抗率の差は、同じ導電性能を満足したという前提で、アルミニウムと銅との線径比が、わずか1.28倍異なる。アルミニウム材の重量は、同じアンペア容量の銅材の半分しかない。ケーブルの車体内での積載スペースを増やさない場合、ワイヤの重量を大幅に減らすことができ、車体の軽量化を実現することに有利である。また、比重が大きくて材料価格が高い銅導電性コアの代わりに、比重が小さくて材料価格が低いアルミニウム導電性コア(アルミニウムコア又はその合金材料を含む)を使用することにより、材料コスト及び輸送コストを低減し、自動車の生産コストを節約することができる。
【0028】
さらに好ましくは、前記アルミニウムコアの含有量は、95%以上である。
【0029】
好ましくは、前記アルミニウム合金コアは、アルミニウム-銅合金、アルミニウム-マグネシウム合金、アルミニウム-リチウム合金、アルミニウム-マンガン合金、アルミニウム-亜鉛合金、又はアルミニウム-シリコーン合金である。
【0030】
ケーブルに対する異なる電気的、機械的特性、及び重量の要求により、異なる合金を使用して自動車の機能要求を満たすことができる。
【0031】
好ましくは、前記導電性コアセグメントの横断面は、楕円形、多辺形、E形、F形、H形、K形、L形、T形、U形、V形、W形、X形、Y形、Z形、半円弧形、円弧形、又は波形構造である。
【0032】
好ましくは、前記多辺形は、三角形、四角形、五角形、六角形、又は八角形である。
【0033】
説明すべきは、コアセグメントの横断面形状は、楕円形、多辺形及びその他の各種類の非円形の形状に設定することができるため、自動車の車体の輪郭に沿ってより良く配線し、配線の消耗品を減らすことができる。複数の種類の横断面の組み合わせは、車体配線及び車体部品の配置のためのより多くの選択肢を可能にし、これにより、車両生産コストを削減する。
【0034】
好ましくは、前記導電性コアセグメントの横断面の内角は、丸く面取りされている。
【0035】
説明すべきは、導電性コアセグメントが多辺形に製造された場合、多辺形の各内角が丸く面取りされて設置されると、導電性コアセグメントの鋭いエッジ角が絶縁層を突き破ることを防ぐことができ、同時に流れる電流が大きくなりすぎるためにバリが生じて放電して絶縁破壊を起こすことを防ぐこともでき、これにより、絶縁層を保護してケーブルセグメントの使用寿命を延ばすことができる。
【0036】
好ましくは、前記導電性コアセグメントの外側部分は、絶縁層で被覆されており、前記絶縁層の輪郭は、前記導電性コアセグメントに貼り合わされている。
【0037】
説明すべきは、前記絶縁層は導電性コアセグメントの外壁を被覆するので、各ケーブルセグメントの横断面形状は導電性コアセグメントの形状によって決まる。このようにして、ケーブルは実際の自動車の異なる部分のニーズに応じて自動車の輪郭に適応するように異なる形状に製造され、接続設置を行うことができる。
【0038】
説明すべきは、前記絶縁層は導電性コアセグメントの外壁にだけでなく、各導電性コアセグメントの接続部位にも被覆することができる。
【0039】
説明すべきは、絶縁層の製造材料はPVC、シリコーンゴム、TPE、XPE、PP、XLPE、FEP、ETFE、TPR、又はTPFEのうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。
【0040】
好ましくは、前記導電性コアセグメントは、中実ケーブル、部分的に中実ケーブル、中空ケーブル、又はフレキシブルケーブルの1種類以上に接する。
【0041】
本発明の上記第2の目的を達成するために、本発明において採用される技術的解決策は以下の通りである。
【0042】
すなわち、上記異形ケーブルの製造方法であって、前記製造方法は、
S1:金型を使用し、金属原材料を押出機で押出成形し、押出された半製品の導電性コアセグメントを冷却して最終的に導電性コアセグメントを得る手順と、
S2:前記導電性コアセグメントを接続する手順と、
S3:接続された前記導電性コアセグメントを絶縁層押出機に入れ、導電性コアセグメントの上に絶縁層を押出し、前記導電性コアセグメントを前記絶縁層に貼り合わせる手順と、を含み、
或いは、前記製造方法は、
i:金型を使用し、金属原材料を押出機で押出成形し、押出された半製品の導電性コアセグメントを冷却して最終的にコアセグメントを得る手順と、
ii:前記導電性コアセグメントを絶縁層押出機に入れ、導電性コアセグメントの上に絶縁層を押出し、前記導電性コアセグメントを前記絶縁層に貼り合わせる手順と、
iii:絶縁層を有する前記導電性コアセグメントを接続する手順と、を含む製造方法である。
【0043】
好ましくは、前記導電性コアセグメントの接続方法は、溶接、圧着、溶着、又は挿入である。
【0044】
説明すべきは、全体として、前記異形ケーブルの製造方法は、全てまず押出機によって導電性コアセグメントを製造して得て、その後、各導電性コアセグメントを互いに接続してから絶縁層で覆われることができる。あるいは、各導電性コアに最初に絶縁層を形成し、そして絶縁層を有する各導電性コアセグメントを接続することもできる。この両方の製造順序はいずれも実行可能である。
【0045】
説明すべきは、導電性コアセグメントを接続する手順では、絶縁層の有無にかかわらず製造されたケーブルセグメントは、自動車車体の実際の輪郭のニーズに応じて設置及び接続がされ、これにより、配線消耗品が減り、スペースが節約され、生産コストは大幅に削減される。本技術的解決策で必要となる工具と原料は、原材料アルミニウムロッド、押出機、及びリールを含む。
【0046】
説明すべきは、前記金属がアルミニウムを使用する場合、前記金型は押出成形の過程において360℃以上の温度に維持される。
【0047】
説明すべきは、金型の使用過程において360℃以上の温度に維持されることは、アルミニウムが、この温度で押出過程において金型を経るときに、低温の金型と接触することで冷えたり凝固したりすることがないように保証し、アルミニウム押出手順の円滑な進行を確保する。前記金型の大きさに応じて加熱時間は、20~60分であり、これにより、使用されるアルミニウムロッドが最適加工状態まで十分に加熱されることが確保でき、大型金型の加熱時間が短すぎて金型の内部温度が不十分になることを防止する。
【0048】
説明すべきは、前記金型が押出成形前に加熱炉で予熱することにより、生産製造準備時間を短縮し、製造効率を向上させることができる。
【0049】
説明すべきは、押出手順の前に、金属原材料ロッドを矯正及びブラシすることにより、押出をよりスムーズにさせ、そして得られる製品の品質を向上させることができる。具体的には、矯正ホイールにより金属原材料ロッドを矯正し、それに、ロッドライン上のブラシ洗浄機により、金属原材料ロッド表面の不純物及び酸化物層を除去する。
【0050】
説明すべきは、半製品の導電性コアセグメントの1回きり押出成形は、アニーリングや、加熱、酸洗い、トリミングなどのその他の補助設備の必要がなく、短いプロセスで汚染なしの生産を実現する。
【0051】
好ましくは、前記押出方法は連続押出である。好ましく使用される押出機は連続押出機である。
【0052】
説明すべきは、連続押出法を用いる場合、前記金属原材料ロッドを前記連続押出機に入れ、そして前記連続押出機を起動し、連続押出機内の押出ホイールの回転摩擦を利用して熱と圧力とを発生させ、アルミニウムロッドが溶融した後に金型から押出し、金型と同じ形状の半製品の導電性コアセグメントが形成される。
【0053】
ここで、金属原材料ロッドを回転槽の前記押出ホイールに連続的に導入させ、金属原材料ロッドは固定槽内で径方向に押出及び摩擦を受ける。金属原材料ロッドは押出及び摩擦力により十分な温度が発生し、そして再結晶状態に達し、キャビティを通して金型から押出され、1回きりに成形される。全ての押出過程においては、材料の緻密度が増加し、そして結晶粒が均一かつ緻密であるため、抵抗率が低下し、導電性能が向上する。
【0054】
説明すべきは、連続的な金属原材料ロッドディスク材を原料として使用すると、超長尺の導電性コアセグメントを生産することができる。従来の加工方法によれば一般に30~50メートルを超えないのに対して、連続押出法での長さは一般に数キロメートル~数万メートルの範囲に達することができ、これにより、生産効率を向上させ、生産コストを低減する。
【0055】
説明すべきは、連続押出過程では、金属原材料ロッドが変形、摩擦の熱変形過程を経て十分な熱を発生するため、外部アニーリングや加熱などを必要とせず、製品の単位エネルギー消費量が減少する。
【0056】
説明すべきは、連続押出生産過程では、圧力残留やトリミングなどのプロセス廃棄物がなく、材料利用率が高く、半製品の導電性コアセグメントの歩留まりが95%以上に達することができる。
【0057】
本発明はまた上記異形ケーブルを製造する別の方法を提供し、前記製造方法は、
(1)前記異形ケーブルの3Dデータを3Dプリンターに入力し、前記3Dプリンターは3Dデータに従って前記異形ケーブルの導電性コアを印刷する手順と、
(2)絶縁層を製造する手順と、を含む。
【0058】
説明すべきは、前記異形ケーブルを3D印刷技術によっても製造することができる。具体的には、自動車に必要とされる異形ケーブルのデータが、3Dプリンターに入力された後、3Dプリンターは前記異形ケーブルの外形や硬度などのデータに従って、自動車に必要とされる異形ケーブルを印刷する。
【0059】
ここで、導電性コアセグメントの製造方法は、3Dプリンターのコンピュータにより、導電性コアセグメントの構造をいくつかの層に分解し、3Dプリンターのプリントヘッドにより、導電性コアセグメントの構成材料を作業領域に送って、構成材料を溶融させ、作業台の移動により、そして堆積したクラッド体、すなわち成形された導電性コアセグメントを得る。
【0060】
その中で、3Dプリンター技術はレーザビーム方式や、アークビーム方式や、電子ビーム方式などを使用することができる。
【0061】
或いは、前記製造方法は
(1)前記異形ケーブルの3Dデータに従って金型を製造し、金属原材料を溶融したまで加熱し、金属液体を金型に流し込み鋳造し又は低圧鋳造し、冷却して前記異形ケーブルの導電性コアを形成する手順と、
(2)絶縁層を製造する手順と、を含む。
【0062】
その中で、金型に流し込まれた製品は、1回きりに成形され、再び2次加工を行う必要がなく、それに形状が統一であり、整合性は著しく向上する。
【0063】
好ましくは、前記絶縁層を製造する手順は、前記導電性コアの表面に絶縁層を印刷、コーティング、又は押出をして貼り合わせることである。
【0064】
説明すべきは、絶縁層の製造方法は、3Dプリンターにおいて溶融押出成形による印刷方式を使用し、材料がヘッド内で加熱されて溶融する。ヘッドは部品の断面輪郭と充填軌跡とに沿って移動し、同時に、溶融した材料を押出し又は吹き出す。材料は急速に固化し、そして周囲の材料に接着されて前記絶縁層が形成される。
【0065】
説明すべきは、絶縁層の製造方法は、コーティングの方式を使用して前記導電性コアの表面に貼り合わせることもできる。材料はコーター又はコーティングガンにおいて圧力で前記導電性コアの表面に吹き付ける。コーター又はコーティングガンは、導体の外側部分輪郭に沿って移動する。材料は、吹き付けられた後、急速に固化し、そして前記導電性コアに接着されて前記絶縁層が形成される。
【0066】
説明すべきは、絶縁層の製造方法は、押出の方式を使用して前記導電性コアの表面に貼り合わせてもよい。材料は、押出機のスクリューで溶融状態まで加熱され、そして押出機の圧力の作用で金型から押出され、前記導電性コアセグメントの表面に接着されて前記絶縁層が形成される。
【発明の効果】
【0067】
従来の技術と比較して、本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0068】
1、本発明のケーブルは、異なる横断面形状を有する少なくとも2本のケーブルが、端と端とで接することによって形成されている。この解決策により、車体の各部分の輪郭の実際のニーズに適応してケーブルを設置し、消耗品を節約し、これにより、車両の配線コストを削減する。同時に、車体が激しい衝撃を受けたときに、通常のケーブルがよく発生する一本のケーブルで力を引き受ける状況を避けることができ、ケーブルが引き受けた応力をすばやく分散し、これにより、ケーブルが力を引き受けて折れることをより良く避け、自動車の安全性能を大幅に向上させる。
【0069】
2、本発明のケーブルの各導電性コアセグメントの有効導電横断面積の公差範囲は、±20%である。この設計は、異形ケーブルの導電性能を保証し、ケーブルの導電性能の過大な差異によるケーブルの局部的な過熱を避け、これにより、局部的な過熱による安全問題を避けることができる。
【0070】
3、本発明のケーブルは、PVC、シリコーンゴム、TPE、XPE、PP、XLPE、FEP、ETFE、TPR又はTPFEのうちの1つ以上を使用して絶縁層を製造する。それが導電性コアの外壁を被覆し、ケーブルセグメントの横断面形状と導電性コアセグメントとが一致する。この技術により、前記異形ケーブルは、異なる温度、異なる湿度、及び異なる化学環境下での使用ニーズを満たすことができる。
【0071】
4、本発明のケーブルは、1つの、両端形状がそれぞれ2つの接続されるべき導電性コアセグメントの横断面と同じである導電性コア接続部材を利用することにより、横断面形状が異なる原因で2つの導電性コアセグメントを直接に接続することができないという問題を解決することができる。それに接続効率を向上させ、接続コストを削減することができる。
【0072】
5、本発明のケーブルにおいては、ケーブルが重ね折りであることにより、高圧電流伝送によって引き起こされる渦電流効果が排除され、これにより、車両全体の電磁適合性のニーズが満たされ、車体内のその他の電気機器の動作に影響を及ぼさないため、高圧大電流の場合、例えば、新エネルギー自動車などの場合、より良い応用を得ることができる。
【0073】
6、本発明のケーブルは、従来の銅コアの代わりに、アルミニウム導電性コア(アルミニウムコア又はその合金材料を含む)を使用する。一方、アルミニウム導電性コアの質量がより軽いため、車体の軽量化が実現できる。他方、アルミニウム導電性コアの値段がより安いため、ケーブルの生産コスト及び輸送コストを大幅に低減することができ、これにより、自動車の生産コストを低減する。
【0074】
7、本発明のケーブルは、その導電性コアセグメントの形状が、楕円形、多辺形、E形、F形、H形、K形、L形、T形、U形、V形、W形、X形、Y形、Z形、半円弧形、円弧形、又は波形構造である場合、車体の輪郭とより良くフィットし、配線プロセスを簡略化することができる。同時に、多辺形の導電性コアセグメントの各内角が丸く面取りされる方式で処理されるため、鋭いエッジがフレキシブル絶縁層を突き破ることを避けると共に、バリによって絶縁層を破壊することを防ぐことができ、ケーブルセグメントを効果的に保護し、その使用寿命を延ばすことができ、多辺形ケーブルの応用も向上できる。
【0075】
8、本発明に提供されたケーブルの製造方法は、自動車の車体の輪郭のセグメントに応じて異なる形状の導電性コアセグメントを製造することができ、そして得られたセグメントの必要な導電性コアを接続し、さらに、得られた導電性コアの外側部分にフレキシブル絶縁層で被覆してケーブルを得る。そうすると、配線の消耗品を減らし、スペースを節約し、ケーブル生産コストを大幅に削減することができる。
【0076】
9、本発明に提供されたケーブルの製造方法は、押出成形過程において連続押出プロセスを使用して、高温で押出された製品が最良の成形精度と良好な断面形状とを持つことを確保した。全ての押出過程において、材料の緻密度が増加し、結晶粒が均一かつ緻密であるため、抵抗率を低下させ、導電性能を向上させ、同時に、製品の単位エネルギー消費量を減少させることができる。
【0077】
10、本発明に提供されたケーブルの製造方法は、3D印刷法を使用して導電性コアセグメントを製造すると共に、絶縁層をコーティングする場合、加工範囲が広く、原材料の利用率が高く、多くの金型及び設備を投入する必要がない。製品試作又は多品種の異形ケーブルを少量に生産する場合、対応する製品を迅速に製造することができ、これにより、コストを節約し、効率を向上させ、自動車分野のますます多様化するニーズを満たす。
【0078】
11、本発明に提供されたケーブルの製造方法は、流し込み法を使用して導電性コアセグメントが得られ、1回きりに形成され、再び2次加工を行う必要がなく、それに形状が統一であり、製品の整合性が著しく向上する。
【0079】
上記の説明は、本発明の技術的解決策の概要のみである。本発明の技術的手段がより明瞭に理解でき、明細書の内容に従って実施できるため、かつ本発明の上記及びその他の目的、特徴、及び利点をより明らかにさせて理解させやすいことができるため、以下のように詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】本発明の異形ケーブルの第1の好ましい実施形態の概略構造図である。
【
図3】本発明の異形ケーブルの第2の好ましい実施形態の概略構造図である。
【
図4】本発明の異形ケーブルの第3の好ましい実施形態の概略構造図である。
【
図5】本発明の異形ケーブルの第4の好ましい実施形態の概略構造図である。
【
図6】本発明の異形ケーブルの第6の好ましい実施形態の概略構造図である。
【
図7】本発明の異形ケーブルの第7の好ましい実施形態の概略構造図である。
【
図8】本発明の異形ケーブルのその中の1つの好ましい製造方法の手順のプロセスフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本発明の予定の発明目的を達成するための使用された技術的手段及び効果をさらに説明するため、以下、添付の図面及び好ましい実施形態を合わせ、本発明の発明を実施するための形態、構造、特徴及びその効果について、以下のように詳しく説明する。
【0082】
異形ケーブルであって、前記異形ケーブルの導電性コアは、異なる横断面形状を有する少なくとも2つの導電性コアセグメントが、端と端とで接することによって形成されている。
【0083】
実施例1
図1及び
図2に示すように、本技術的解決策の第1の発明を実施するための形態である。本実施例のケーブル1の導電性コアは、異なる形状の3つの導電性コアセグメント(それぞれは、第1導電性コアセグメント11、第2導電性コアセグメント12、及び第3導電性コアセグメント13である)が、端と端とで接することによって形成されている。
【0084】
本実施例においては、第1導電性コアセグメントの横断面はW形であり、第2導電性コアセグメントの横断面は波形であり、第3導電性コアセグメントの横断面は円弧形である。前記第1導電性コアセグメントの後端の上面は前記第2導電性コアセグメントの前端の下面と接し、前記第2導電性コアセグメントの後端は前記第3導電性コアセグメントの前端と当接する。各導電性コアセグメントの外側部分は、PVC材質の絶縁層で被覆されている。
【0085】
本実施例においては、前記導電性コアセグメントの横断面形状は、それぞれ、W形、波形、及び円弧形である。その他の実施形態においては、導電性コアセグメントの横断面形状はまた、楕円形、多辺形、E形、F形、H形、K形、L形、T形、U形、V形、X形、Y形、Z形、又は半円弧形などであってよい。具体的な横断面形状は、実際のニーズに応じて設定される。
【0086】
本実施例においては、実際の生産過程において、製造誤差のため、又は異なる車体に適応するため、各導電性コアセグメントの内部の有効導電横断面積は、一定の公差を有することが可能である。しかし、発明者は、電気の安全性を保証するため、その公差範囲は±20%であるべきと考える。異形ケーブルの導電性能を保証し、ケーブルの導電性能の過大な差異によるケーブルの局部的な過熱を避け、これにより、局部的な過熱による安全問題を避けることができる。通常の自動車及びその部品において、前記ケーブルの導電性コアセグメントの有効横断面積は一般に0.1mm2~180mm2の間であり、異なる応用の場合のニーズを満たす。具体的には、例えば、本解決策の導電性コアセグメントが自動車のドアケーブルに応用される実施形態において、その横断面積が0.12mm2である場合、前記導電性コアセグメントの有効導電横断面積の公差範囲は±20%であるので、前記導電性コアセグメントの有効導電横断面積は0.096mm2~0.144mm2の間であってよい。また、例えば、本解決策の導電性コアセグメントが起動機ケーブルに応用される実施形態において、その横断面積が49mm2である場合、前記導電性コアセグメントの有効導電横断面積の公差範囲は±20%であるので、本解決策の導電性コアセグメントの有効導電横断面積は39.2mm2~58.8mm2の間であってよい。また、例えば、本解決策の導電性コアセグメントが自動車の電源コードに応用される実施形態において、横断面積が59mm2である場合、前記導電性コアセグメントの有効導電横断面積の公差範囲は±20%であるので、前記導電性コアセグメントの有効導電横断面積は47.2mm2~70.8mm2の間であってよい。また、例えば、本解決策の導電性コアセグメントが新エネルギー自動車のパワーケーブルに応用される実施形態において、横断面積が180mm2である場合、前記導電性コアセグメントの有効導電横断面積の公差範囲は±20%であるので、前記導電性コアセグメントの有効導電横断面積は144mm2~216mm2の間であってよい。
【0087】
本実施例においては、第1導電性コアセグメント、第2導電性コアセグメント及び第3導電性コアセグメントは、全て中実導電性コアセグメントの構造である。その他の実施形態においては、導電性コアセグメントは実際の状況に応じて部分的に中空、完全に中空に設定されることができる。これにより、より良く自動車の実際の輪郭のニーズに応じて設置することができる。また、前記導電性コアセグメントはフレキシブルであってよい。これにより、自動車の衝撃によって引き起こされやすいケーブル損傷を減らし、自動車の安全性能を向上させることができる。
【0088】
本実施例においては、ケーブルは自動車車両の底部が非定形の湾曲した形状(このセグメントの自動車車両の底部の表面は、左から右へ、順次、W形、波形、円弧形である)を呈する特徴に従って設置されている。これにより、ケーブルが、このセグメントの車体に対する貼り合わせ及び配線を実現し、更に、車体に貼り合わせ、配線の消耗品を減少し、組立スペースを減少することに有利である。
【0089】
本実施例においては、ケーブルの絶縁層の材質はPVCである。一方、その絶縁性能を保証し、他方、また防水性能及び一定の弾性、耐摩擦性及び硬度を有し、ケーブルは、加工成形過程においてフレキシブル絶縁層が損傷を受けないことを確保する。その他の実施形態においては、前記ケーブルの絶縁層の材質は、またシリコーンゴム、TPE、XPE、PP、XLPE、FEP、ETFE、TPR、又はTPFEのうちの1つ以上であってよい。
【0090】
本実施例においては、前記導電性コアセグメントの横断面の内角は丸く面取りされている。ケーブルセグメントは多辺形構造の非円形構造を使用したので、フレキシブル絶縁層を保護するため、3つの導電性コアセグメントの各内角を丸く処理し、すなわちケーブルの導電性コアの各内角は丸く面取りされている。一方、鋭いエッジがフレキシブル絶縁層を突き破ることを避けることができ、他方、また流れる電流が大きくなりすぎるためにバリが生じて放電して破壊を引き起こすことを防ぐことができ、ケーブルを効果的に保護し、ケーブルの寿命を延ばすことができる。
【0091】
本実施例においては、前記導電性コアセグメントはアルミニウムコアである。前記導電性コアの製造材料はアルミニウムであり、ワイヤの重量を減らすことができ、車体の軽量化を実現することに有利である。その他の実施形態においては、導電性コアセグメントはまたアルミニウム合金コアであってよい。前記アルミニウム合金コアは、アルミニウム-銅合金、アルミニウム-マグネシウム合金、アルミニウム-リチウム合金、アルミニウム-マンガン合金、アルミニウム-亜鉛合金、又はアルミニウム-シリコーン合金であってよい。
【0092】
実施例2
図3に示すように、本技術的解決策の第2の発明を実施するための形態である。本実施例と実施例1との区別は、本実施例におけるケーブル1の、記載された三つの異なる形状の多辺形導電性コアセグメントである。具体的に言えば、第1導電性コアセグメント11の横断面は三角形であり、第2導電性コアセグメント12の横断面は四角形であり、第3導電性コアセグメント13の横断面は五角形である。第1導電性コアセグメントの後端の下端は、第2導電性コアセグメントの先端の上端と当接し、第1導電性コアセグメントの先端の下端は、第3導電性コアセグメントの後端の上端と当接する。その他の実施形態の状況は実施例1と同じであり、本実施例には再び絮説しない。
【0093】
本実施例においては、前記導電性コアセグメントの横断面形状は、車体の実際のニーズに応じて、三角形、四角形、五角形などの異なる多辺形形状に設定されている。その他の実施形態においては、前記導電性コアセグメントの横断面は、実際のニーズに応じてその他の多辺形形状に、例えば、六角形、八角形などに設定することもできる。
【0094】
実施例3
図4に示すように、本技術的解決策の第3の発明を実施するための形態である。本実施例と実施例1との区別は、前記ケーブル1の導電性コアが、3つの異なる形状の導電性コアセグメントによって当接するものではない。3つの導電性コアセグメントの間には、導電性コア接続部材2によって接続されている。すなわち、前記隣接する2つの導電性コアセグメントの横断面形状が異なる場合には、1つの、両端形状がそれぞれ前記2つの導電性コアセグメントの横断面形状と同じである導電性コア接続部材を通して接続されている。具体的には、前記第1導電性コアセグメント11の後端と前記第2導電性コアセグメント12の前端とを前記導電性コア接続部材によって接続されており、前記第2導電性コアセグメント
12の後端と前記第3導電性コアセグメント13の前端とを前記導電性コア接続部材によって接続されている。
【0095】
導電効果の整合性を保証するため、本実施例においては、この導電性コア接続部材の各横断面積が近似している。さらに好ましくは、前記接続部材の横断面積は各箇所が等しく、この場合、前記導電性コア接続部材の導電効果の均一性が最も良い。その他の実施形態は、実施例1と同様であるので、本実施例には再び絮説しない。
【0096】
実施例4
図5に示すように、本技術的解決策の第4の発明を実施するための形態である。本実施例においては、前記ケーブル1の導電性コアは、2つ又は3つの同じ形態又は材質の導電性コアセグメントによって接続されるものではなく、代わりに、3つの異なる形態又は材質の導電性コアセグメントによって接する。具体的には、第1導電性コアセグメント11はフレキシブル楕円形捻回導電性コアセグメントであり、第2導電性コアセグメント12は
横断面形状が八角形である中実導電性コアセグメントであり、第3導電性コアセグメント13は
横断面形状が四角形であるフレキシブル捻回導電性コアセグメントである。前記第1導電性コアセグメントの後端の下端は、前記第2導電性コアセグメントの前端の上端と、溶接により接続されている。前記第2導電性コアセグメントの後端の上端は、第3導電性コアセグメントの前端の下端と、溶接により接続されている。その中の1つの好ましい実施形態として、溶接方式は超音波溶接である。フレキシブル捻回導電性コアセグメントと、前記
横断面形状が八角形である中実導電性コアセグメントとの間の接続は、上下端面が逆にすることが可能である。
【0097】
その中の1つの実施形態として、前記横断面形状が八角形である中実導電性コアセグメントの形態は、押出した後に折り曲げることによって得ることができる。その他の実施形態においては、前記中実導電性コアセグメント形態の構造は、溶融したアルミニウム液を金型に流し込み鋳造することによって得られる。或いは、前記中実導電性コアセグメント形態の構造は、3Dプリンターによって直接印刷して得られる。
【0098】
その他の実施形態は、実施例1と同様であるので、本実施例には再び絮説しない。
【0099】
実施例5
実施例5は本技術的解決策の第5の発明を実施するための形態である。本実施例は上記実施例4に基づいた改良であり、すなわち、1段成形された異形ケーブルにより、その任意の部位にフレキシブル捻回ケーブルと接する。
【0100】
本実施例においては、前記異形ケーブルは中実である。もちろん、上記実施例に記載されたように、前記異形ケーブルはまた中空又はその他の形態であってよい。
【0101】
本実施例においては、前記異形ケーブルは折り曲げ成形されている。もちろん、上記実施例に記載されように、前記異形ケーブルの形状は実際のニーズに応じて設定できる。
【0102】
具体的な異形ケーブルの実施形態は、前述した実施例と同様であるので、本実施例には再び絮説しない。
【0103】
実施例6
図6に示すように、本技術的解決策の第6の発明を実施するための形態である。本実施例と上記実施例との区別は、本実施例のケーブル1の第2導電性コアセグメント12においては、それぞれ、横断面が三角形である中実ケーブルと、横断面が四角形である中実ケーブルと、横断面が五角形である部分中実ケーブルと、横断面が六角形であるフレキシブルケーブルと、横断面が八角形であるフレキシブルケーブルとが接続されている。その他の実施形態においては、第2導電性コアセグメントに接続されているケーブルも中実、部分的中実、中空、又はフレキシブルであってよい。その横断面の形状は、楕円形、E形、F形、H形、K形、L形、T形、U形、V形、W形、X形、Y形、Z形、半円弧形、円弧形、又は波形構造のケーブルのうちの1つ又は任意のいくつかのケーブルの組み合わせである。
【0104】
本実施例においては、前記異なる形状の中実ケーブル、フレキシブルケーブルは、第2導電性コアセグメントに接続されている。その他の実施形態においては、それは、また第1導電性コアセグメント11又はその他の導電性コアセグメントと接続されていてもよい。
【0105】
本実施例においては、前記第2導電性コアセグメントは中実構造であり、その形態は折り曲げ重ねによって得られる。ハーネスの分岐構造が比較的に多いと、配線スペース及びケーブル材料を著しく節約することができる。
【0106】
その他の実施形態は、上記実施例と同様であるので、本実施例には再び絮説しない。
【0107】
実施例7
図7に示すように、本技術的解決策の第7の発明を実施するための形態である。本実施例と上記実施例との区別は、本実施例のケーブル1の第1導電性コアセグメント11の形態は車体の輪郭に沿って設置され、ケーブルの第2導電性コアセグメント12の形態は車体の輪郭に沿って重ね折りで延長する。
【0108】
本実施例においては、前記導電性コアセグメントの形態は、折り曲げ重ねによって得られる。その有益な効果は、導電性コアセグメントが高圧電流を伝送するときに、互いの重ねの方式は、高圧電流伝送によって引き起こされる渦電流効果を排除し、車体内のその他の電気機器の動作に影響を及ぼさない。その他の実施形態は、上記実施例と同様であるので、本実施例には再び絮説しない。
【0109】
異形ケーブルの製造方法1
図8に示すように、本発明に開示する上記異形ケーブルの第1の製造方法である。本製造方法は上記実施例2のケーブルを製造することを例とし、すなわち、導電性コアが、横断面が三角形である1つの導電性コアセグメントと、横断面が四角形である1つの導電性コアセグメントと、横断面が五角形である1つの導電性コアセグメントとを接することによって形成されている、1本のケーブルを製造する。使用された金属材料はアルミニウムである。異形ケーブルの導電性コアの本製造方法と手順とは、導電性コアセグメントの製造の手順と、導電性コアセグメントの接続の手順と、絶縁層の製造の手順とを含む。
【0110】
S1:導電性コアセグメントの製造の手順
金型を使用し、アルミニウムロッドを押出機で押出成形し、押出された半製品のアルミニウム導電性コアセグメントを冷却して最終的にアルミニウム導電性コアセグメントを得る。具体的な製造手順は以下の手順を含む。
第1手順、アルミニウム導電性コアを製造するために必要な材料と設備を準備する必要がある。その材料と設備は原材料アルミニウムロッドと、金型と、連続押出機と、リールとを含む。その中で、準備が必要な金型は1つの三角形ケーブル金型と、1つの四角形ケーブル金型と、1つの五角形ケーブル金型とを含む。金型を使用する前に、先ず、金型に対してアセンブリ検査を行い、金型の滑らかさと位置合わせが製造のニーズを満たすことを確認し、そうでないと、金型に対して研磨、トリミング処理を行う必要がある。
第2手順、三角形ケーブル金型をキャビティ内に取り付け、それに連続押出機に取り付けて固定する。
第3手順、アルミニウムロッドに対して矯正し、その表面に対して清掃する。
第4手順、上記手順が終わった後、押出成形手順を行う。ディスクにしたアルミニウムロッドは、糸巻枠、矯正機及びブラシ機を通って、連続押出機の押出ホイール溝に入れる。そして連続押出機を始動し、前記押出機の摩擦及び圧力によって、加熱溶融したアルミニウムロッドを三角形ケーブル金型から押出し、1つの、三角形ケーブル金型と同じ形状を有する半製品のアルミニウム導電性コアセグメントを形成する。
この後、上記手順に従って、四角形ケーブル金型と五角形ケーブル金型とをそれぞれ連続押出機のキャビティ内に取り付け、そして連続押出機を始動し、アルミニウムロッドを加熱溶融してから、金型により押出し、四角形及び五角形の形状を呈する半製品のアルミニウム導電性コアセグメントを1つずつ形成する。
生産準備時間を短縮し、生産効率を向上させるため、その中の1つの好ましい実施態様として、前記金型は押出成形の前に加熱炉で予熱する。
アルミニウムがこの温度で押出過程において金型を経るときに、低温の金型と接触することで冷えたり凝固したりすることがないように保証し、アルミニウム押出手順の円滑な進行を確保するため、その中の1つの好ましい実施形態として、前記金型は押出成形の過程において360℃以上の温度に維持される。
第5手順、上記手順で得られた3つの半製品アルミニウム導電性コアセグメントをそれぞれ冷却システムに載せて冷却し、送風乾燥装置を起動して表面を乾燥させる。
【0111】
S2:導電性コアセグメント接続の手順
上記手順で得られたアルミニウム導電性コアセグメントを接続し、具体的な手順は以下の通りである。
上記手順で得られた3つのアルミニウム導電性コアセグメントを、自動車の車体の輪郭に沿って接続する。その中で、三角形ケーブルセグメントの後端の下端は四角形ケーブルセグメントの前端の上端に当接し、四角形ケーブルセグメントの後端の下端は五角形ケーブルセグメントの前端の上端に当接する。
接続するときに、具体的に使用した方法は溶接である。その他の実施形態においては、アルミニウム導電性コアセグメントの間に圧着、溶接又は挿入などの方式によることが全て可能である。
【0112】
S3:絶縁層製造の手順
上記で得られた半製品のアルミニウム導電性コアセグメントを、糸巻枠、矯正機により、絶縁層押出機に入り、そして絶縁層を半製品のアルミニウム導電性コアセグメントに押出して完成品の異形ケーブルを形成する。前記絶縁層材料は、実際の状況に応じ、PVC、シリコーンゴム、TPE、XPE、PP、XLPE、FEP、ETFE、TPR又はTPFEのうちの1つ又は複数の種類の材料を選択して製造することができる。
その中の1つの好ましい実施態様として、前記導電性コアセグメントは、製造されたケーブルの実際のパラメータに従って3Dプリンターに入力して3D印刷することによって得られる。
その中の1つの好ましい実施形態として、前記導電性コアセグメントは、3Dデータを使用して対応する金型を製造し、アルミニウムを溶融まで加熱し、そしてアルミニウム液体を金型に流し込み、冷却後に前記異形ケーブルの形状を形成する。
【0113】
異形ケーブルの製造方法2
本発明は、上記異形ケーブルの第2の製造方法を開示した。本製造方法と上記第1の製造方法との区別は、手順S1が完了した後、すなわち、金型を使用し、アルミニウムロッドを押出機で押出成形し、押出された半製品のアルミニウム導電性コアセグメントを冷却してアルミニウム導電性コアセグメントを得た後、まず、セグメントごとにアルミニウム導電性コアセグメントに対して絶縁層を製造する。次いで、絶縁層を有するアルミニウム導電性コアセグメントをピーリングして接続して完成品の異形ケーブルを形成する。絶縁層を製造する過程及び接続の製造過程は、上述した第1の製造方法と類似するため、ここでは再び絮説しない。
【0114】
異形ケーブルの製造方法3
本発明は、また上記の異形ケーブルの第3の製造方法を開示した。本製造方法においては、同様に実施例2が必要な異形ケーブルを製造することを例として説明し、以下の手順を含む。
【0115】
(1)前記異形ケーブル、すなわち、横断面形状が三角形、四角形、及び五角形を含むケーブルの先行3Dモデルデータを作成し、3Dモデルデータを3Dプリンターに入力し、3Dプリンターによって異形ケーブルの導電性コアを印刷する。
或いは、導電性コアセグメントの3Dデータを用いて金型を製造し、原材料のアルミニウム又はアルミニウム合金を加熱して溶融させ、アルミニウム液体を金型に流し込み鋳造し又は低圧鋳造し、冷却して前記異形ケーブルの導電性コアセグメントを形成する。
【0116】
(2)絶縁層の製造:前記絶縁層の製造の手順は、前記導電性コアの表面に絶縁層を印刷、コーティング、又は押出をしてその表面に貼り合わせる。
【0117】
(3)前記絶縁層を有する導電性コアセグメントの接続端部の絶縁皮を除去した後、溶接、圧着、溶着、又は挿入によって接続され、完成品の異形ケーブルを形成する。
或いは、セグメントごとに導電性コアセグメントを3D印刷技術によって印刷し、又は金型によって流し込み鋳造することも可能であり、そして前記導電性コアセグメントを溶接、圧着、溶着、又は挿入をして連結し、最後に、接続された前記導電性コアセグメントの表面に、絶縁層を印刷、コーティング、又は押出をしてその表面に貼り合わせ、完成品の異形ケーブルを形成する。
【符号の説明】
【0118】
1 :ケーブル
2 :接続部材
11 :第1導電性コアセグメント
12 :第2導電性コアセグメント
13 :第3導電性コアセグメント
S1-S3:異形ケーブルの製造方法の手順