(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】グランドピアノ用大屋根支持具
(51)【国際特許分類】
G10C 3/02 20060101AFI20220728BHJP
G10C 1/04 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
G10C3/02 120
G10C1/04
(21)【出願番号】P 2022032250
(22)【出願日】2022-03-03
【審査請求日】2022-03-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】713008371
【氏名又は名称】星 雅人
(72)【発明者】
【氏名】星 雅人
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-155529(JP,U)
【文献】実開平6-47993(JP,U)
【文献】実開昭58-65093(JP,U)
【文献】特開2015-184330(JP,A)
【文献】実開昭52-132024(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10C 1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大屋根と側板が蝶番により開閉可能に連結されたグランドピアノに使用するグランドピアノ用大屋根支持具であって、グランドピアノの側板を挟持する一対の挟持板と、該挟持板を中央部で連結する固定板とを備える側板挟持部と、前記固定板と前記挟持板の一端部の間の一挟持板側に、前記蝶番の一片が挿入される蝶番挿入孔を有するように取り付けられた断面コの字型の蝶番支持部とからなることを特徴とするグランドピアノ用大屋根支持具。
【請求項2】
前記挟持板と前記固定板のグランドピアノの側板と接触する部分には、緩衝材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のグランドピアノ用大屋根支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グランドピアノの大屋根の支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のグランドピアノにおいて、大屋根はその一辺側が複数の蝶番により開閉可能に取付けられている。
図5及び
図6は従来のグランドピアノの大屋根の開閉状態を示す外観図であり、
図5のように大屋根5を閉じた状態では、大屋根5と側板6によりピアノの内部空間が密閉されている。また、
図6のように大屋根5を開いた状態では、大屋根5と側板6に取り付けられた複数の蝶番4により大屋根の一辺側が支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のグランドピアノの大屋根の開閉構造の場合、演奏中には大屋根を開いた状態で使用するため、ピアノ内部から発する音は、開いた状態の大屋根に反射することにより、大屋根の開口側により多くの音が拡散されることになる。かつてはその拡散される側に聴衆が配される演奏会場が多かったが、昨今では多様なコンサートホールが利用されるため、ピアノの設置場所を中心にしてピアノを取り囲むように聴衆が配される場合も多々ある。そのような場合には、大屋根の開口側と反対側にいる聴衆にとっては、ピアノの大屋根からの反射音が小さくなりピアノの音を十分満足して聴くことができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は大屋根と側板が蝶番により開閉可能に連結されたグランドピアノに使用するグランドピアノ用大屋根支持具であって、グランドピアノの側板を挟持する一対の挟持板と、該挟持板を中央部で連結する固定板とを備える側板挟持部と、前記固定板と前記挟持板の一端部の間の一挟持板側に、前記蝶番の一片が挿入される蝶番挿入孔を有するように取り付けられた断面コの字型の蝶番支持部とからなることを特徴とする。また、前記側板挟持部の前記挟持板と前記固定板のグランドピアノの側板と接触する部分には、緩衝材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記手段による本発明のグランドピアノ用大屋根支持具によれば、当該支持具を複数用いて、大屋根全体を均等にピアノの側板端部から浮かせることができるので、浮かせた状態で形成される大屋根と側板端部との空隙から、ピアノの全周方向に均等にピアノの演奏音を拡散させることができるため、ピアノが設置される場所に対して、どの方向に聴衆がいても、同等のピアノの演奏音を聴くことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明のグランドピアノ用大屋根支持具の外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明のグランドピアノ用大屋根支持具の使用状態を示す断面図であり、大屋根を閉じた状態を示す図である。
【
図3】本発明のグランドピアノ用大屋根支持具の使用状態を示す断面図であり、大屋根を開いた状態を示す図である。
【
図4】本発明のグランドピアノ用大屋根支持具を使用して大屋根を閉じた状態を示すグランドピアノの外観図である。
【
図5】従来のグランドピアノの大屋根を閉じた状態を示すグランドピア ノの外観図である。
【
図6】従来のグランドピアノの大屋根を開いた状態を示すグランドピア ノの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のグランドピアノ用大屋根支持具の具体的構造を以下の実施例に示す。
【実施例】
【0009】
図1は本発明のグランドピアノ用大屋根支持具の外観を示す斜視図である。
図1において、側板挟持部1は一対の挟持板1a、1bが一定の間隔を有して平行に配され、前記挟持板1a、1bの一端部側で連結板1cにより結合されている。また、前記挟持板1a、1bの中央部には固定板1dが前記連結板1cと平行になるように固定されている。さらに、前記挟持板1b側の前記連結板1cと固定板1dの間には、断面コの字型の蝶番支持部2が蝶番挿入孔2aを形成するように固定されている。
【0010】
図2及び
図3は本発明のグランドピアノ用大屋根支持具の使用状態を示す断面図であり、それぞれ大屋根を閉じた状態を示す図、大屋根を開いた状態を示す図である。これらの図は、蝶番の一片が蝶番挿入孔に挿入途中を示しており、実際には蝶番の一片を蝶番挿入孔に完全に挿入した状態で使用する。これらの図において、側板挟持部1は一対の挟持板1a、1bにより、グランドピアノの側板6を挟み込むように固定されており、前記側板6と接する部分には、フェルトからなる緩衝材3が設けられている。また、蝶番支持部2の蝶番挿入孔2aにはグランドピアノの大屋根5の一端辺に取り付けられた蝶番4の一片が挿入されている。前記緩衝材3により、グランドピアノ用大屋根支持具をグランドピアノの側板6に固定する際、側板6に傷が付くことを防止できるとともに、グランドピアノ大屋根支持具のガタつきも抑えられるので、ピアノ演奏音による大屋根への不快な振動を抑制することができる。
【0011】
図4は本発明のグランドピアノ用大屋根支持具を使用して大屋根を閉じた状態を示すグランドピアノの外観図である。
図4において、本発明のグランドピアノ用大屋根支持具はグランドピアノの側板6の周縁部に側板挟持部により複数個固定され、大屋根5の蝶番が取付けられている側は上述したように、蝶番の一片が蝶番挿入孔に挿入されている。また、大屋根5の蝶番が取付けられていない側は前記連結板1c上に大屋根5が載置されている。
【0012】
以上のように、本発明のグランドピアノ用大屋根支持具を使用すれば、大屋根5を閉じた状態でも、大屋根全体を均等にピアノの側板端部から浮かせることができるので、大屋根と側板端部に空隙を形成することができる。なお、この空隙を形成した状態でさらに、大屋根5を従来のように開くことも可能である。また、前記挟持板1a、1b間の前記固定板1dの位置を適宜上下に変更すれば、大屋根と側板端部間の空隙の距離を変えることができるので、演奏会場の聴衆席のレイアウト等に応じて最適なグランドピアノの音の拡散状態を得ることができる。
【符号の説明】
【0013】
1・・・側板挟持部、1a、1b・・・挟持板、1c・・・連結板、1d・・・固定板、2・・・蝶番支持部、2a・・・蝶番挿入孔、3・・・緩衝材
【要約】
【課題】従来のグランドピアノの大屋根の開閉構造の場合、演奏中には大屋根を開いた状態で使用するため、ピアノ内部から発する音は、開いた状態の大屋根に反射することにより、大屋根の開口側により多くの音が拡散されることになる。大屋根の開口側と反対側にいる聴衆にとっては、ピアノの大屋根からの反射音が小さくなりピアノの音を十分満足して聴くことができなかった。
【解決手段】ピアノの側板を挟持する一対の挟持板と、該挟持板を中央部で連結する固定板と、前記連結板と前記固定板の間の一挟持板側に取り付けられたコの字型の蝶番支持部とからなることを特徴とする。
【選択図】
図1