(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】充電システム、バッテリパックおよび充電器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220801BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20220801BHJP
H01M 10/46 20060101ALI20220801BHJP
H01M 50/267 20210101ALI20220801BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20220801BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H01M10/44 Q
H01M10/46 101
H01M50/267
H01M50/296
H02J7/00 S
(21)【出願番号】P 2018225649
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】石川 義博
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-218514(JP,A)
【文献】特開2011-229318(JP,A)
【文献】特開平08-203564(JP,A)
【文献】特開2016-154128(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0029426(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/46
H01M 10/44
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動作業機に着脱可能に構成され、前記電動作業機へ電力を供給するように構成されたバッテリパックと、
前記バッテリパックを着脱可能に構成され、前記バッテリパックへ充電電力を供給するように構成された充電器と、
を備え、
前記バッテリパックは、
前記充電電力により充電されるように構成されたバッテリと、
第1パック端子と、
前記第1パック端子との間で離脱方向に垂直な方向の間隔を備えるように配置された第2パック端子であって、前記離脱方向は、前記充電器に装着された前記バッテリパックを前記充電器から離脱させる際に前記バッテリパックが移動される方向である、第2パック端子と、
前記離脱方向に沿って前記第1パック端子または前記第2パック端子と並んで配置された第3パック端子と、
前記バッテリパックが特定作動状態であることに応じて前記第3パック端子を電気的に特定端子状態にするように構成された状態設定回路と、
を備え、
前記充電器は、
前記充電器に装着された前記バッテリパックの前記第1パック端子が接続されるように構成された第1機器端子と、
前記充電器に装着された前記バッテリパックの前記第2パック端子が接続されるように構成された第2機器端子と、
前記充電器に装着された前記バッテリパックの前記第3パック端子が接続されるように構成された第3機器端子と、
前記第3機器端子に前記特定端子状態の前記第3パック端子が接続されることに応じて特定機能を達成するように構成された機能回路と、
を備え、
前記第1パック端子は、前記特定端子状態にならないように構成され、
前記第2パック端子は、前記特定端子状態であるか又は前記バッテリパックの動作状態に応じて前記特定端子状態になり得るように構成され、
前記第2パック端子は、前記充電器に装着された前記バッテリパックが前記充電器から離脱される過程において、前記第3機器端子を含まない通過領域を通過するように配置されている、
充電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の充電システムであって、
前記状態設定回路は、前記バッテリパックにおいて前記バッテリの充電を停止させるべき異常が生じているか否か判断するように構成され、前記特定作動状態は前記異常が生じていない状態に対応する、
充電システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の充電システムであって、
前記機能回路は、前記特定機能として作動許可信号を出力するように構成されており、
前記充電器は、さらに、
前記充電電力を生成するように構成された充電回路と、
前記充電回路により生成された前記充電電力を前記充電器に装着された前記バッテリパックへ供給するように構成された電力経路と、
前記電力経路を導通または遮断するように構成されたスイッチ回路と、
前記スイッチ回路を制御するスイッチ制御回路と、
前記機能回路から前記作動許可信号が出力されることに応じて、前記スイッチ制御回路による前記スイッチ回路の制御を有効化し、前記機能回路から前記作動許可信号が出力されていないことに応じて、前記スイッチ制御回路の制御内容にかかわらず前記スイッチ回路に前記電力経路を遮断させるように構成された強制遮断回路と、
を備える充電システム。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の充電システムであって、
前記状態設定回路は、前記第3パック端子の入力インピーダンスを規定範囲内の値にすることにより前記第3パック端子を前記特定端子状態とするように構成され、
前記第1パック端子は、前記規定範囲外の値の入力インピーダンスを有するように構成され、
前記第2パック端子は、前記規定範囲内の値の入力インピーダンスを有するか又は前記バッテリパックの動作状態に応じて前記規定範囲内の値の入力インピーダンスを有し得るように構成されている、
充電システム。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の充電システムであって、
前記第3パック端子は、前記離脱方向に沿って前記第1パック端子と並んで配置されている、
充電システム。
【請求項6】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の充電システムであって、
前記第3パック端子は、前記離脱方向に沿って前記第2パック端子と並んで配置され、
前記第3パック端子は、前記第2パック端子よりも前記離脱方向とは反対方向側に配置されている、
充電システム。
【請求項7】
電動作業機及び充電器に着脱可能に構成されたバッテリパックであって、
前記充電器から供給される充電電力によって充電されるように構成されたバッテリと、
前記バッテリパックが装着された前記充電器の第1機器端子に接続されるように構成された第1パック端子と、
前記バッテリパックが装着された前記充電器の第2機器端子に接続されるように構成された第2パック端子であって、前記第1パック端子との間で離脱方向に垂直な方向の間隔を備えるように配置され、前記離脱方向は、前記充電器に装着された前記バッテリパックを前記充電器から離脱させる際に前記バッテリパックが移動される方向である、第2パック端子と、
前記バッテリパックが装着された前記充電器の第3機器端子に接続されるように構成された第3パック端子であって、前記離脱方向に沿って前記第1パック端子または前記第2パック端子と並んで配置された第3パック端子と、
前記バッテリパックが特定作動状態であることに応じて前記第3パック端子を電気的に特定端子状態にするように構成された状態設定回路と、
を備え、
前記充電器は、前記第3機器端子に前記特定端子状態の前記第3パック端子が接続されることに応じて特定機能を達成するように構成されており、
前記第1パック端子は、前記特定端子状態にならないように構成され、
前記第2パック端子は、前記特定端子状態であるか又は前記バッテリパックの動作状態に応じて前記特定端子状態になり得るように構成され、
前記第2パック端子は、前記充電器に装着された前記バッテリパックが前記充電器から離脱される過程において、前記第3機器端子を含まない通過領域を通過するように配置されている、
バッテリパック。
【請求項8】
電動作業機に着脱可能に構成されたバッテリパックを着脱可能に構成され、前記バッテリパックへ充電電力を供給するように構成された充電器であって、
前記充電器に装着された前記バッテリパックの第1パック端子が接続されるように構成された第1機器端子と、
前記充電器に装着された前記バッテリパックの第2パック端子が接続されるように構成された第2機器端子であって、前記第1機器端子との間で離脱方向に垂直な方向の間隔を備えるように配置され、前記離脱方向は、前記充電器に装着された前記バッテリパックを前記充電器から離脱させる際に前記バッテリパックが移動される方向である、第2機器端子と、
前記充電器に装着された前記バッテリパックの第3パック端子が接続されるように構成された第3機器端子であって、前記離脱方向に沿って前記第1機器端子または前記第2機器端子と並んで配置され、前記第3パック端子は前記バッテリパックが特定作動状態であることに応じて電気的に特定端子状態にされるように構成されている、第3機器端子と、
前記第3機器端子に前記特定端子状態の前記第3パック端子が接続されることに応じて特定機能を達成するように構成された機能回路と、
を備え、
前記第1パック端子は、前記特定端子状態にならないように構成され、
前記第2パック端子は、前記特定端子状態であるか又は前記バッテリパックの動作状態に応じて前記特定端子状態になり得るように構成され、
前記第3機器端子は、前記充電器に装着された前記バッテリパックが前記充電器から離脱される過程で前記第2パック端子が通過する通過領域から外れた位置に配置されている、
充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリパックにおける、充電器等の他の機器と接続される複数の端子を配置する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、充電器及び電動工具に着脱可能なバッテリパックにおいて、充電器及び電動工具に接続される2つの端子を離脱方向に沿って並んで配置する技術が開示されている。なお、離脱方向とは、充電器または電動工具に装着されたバッテリパックが充電器または電動工具から離脱される際にバッテリパックが移動される方向である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電動工具に使用されるバッテリパックにおけるバッテリの大容量化が進んでいる。バッテリの容量が増大すると、バッテリパック内におけるバッテリの充電のための電気的構成が複雑化し、充電器あるいは電動工具と接続される端子の数が増加する可能性がある。端子の数の増加は、バッテリパックの大型化を招き得る。
【0005】
端子の数の増加に伴うバッテリパックの大型化を抑制する方法の1つとして、上記特許文献1に記載されているように、離脱方向に沿って2つまたはそれ以上の端子を配置することが考えられる。
【0006】
しかし、離脱方向に沿って複数の端子を配置すると、次に述べる問題が生じ得る。即ち、バッテリパックを充電器から離脱させる過程において、充電器の端子からバッテリパックにおける対応する端子が離脱された後、その充電器の端子に、バッテリパックにおける、その充電器の端子に対応する端子とは異なる他の非対応端子が接触する可能性がある。このように離脱の過程で充電器の端子に非対応端子が接触すると、その非対応端子の電気的状態によっては、充電器が誤動作する可能性がある。
【0007】
本開示の1つの局面は、充電器に装着されたバッテリパックが充電器から離脱される過程で、充電器の端子がバッテリパックの端子と接触することに起因して生じる充電器の誤動作を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つの局面における充電システムは、バッテリパックと、充電器とを備える。バッテリパックは、電動作業機に着脱可能に構成され、電動作業機へ電力を供給するように構成されている。充電器は、バッテリパックを着脱可能に構成され、バッテリパックへ充電電力を供給するように構成されている。
【0009】
バッテリパックは、充電電力により充電されるように構成されたバッテリと、第1パック端子と、第2パック端子と、第3パック端子と、状態設定回路とを備える。第2パック端子は、第1パック端子との間で、離脱方向に垂直な方向の間隔を備えるように配置されている。即ち、第1パック端子を始点とし第2パック端子を終点とするベクトルを想定したとき、そのベクトルの方向が離脱方向に垂直な方向と一致するか、又は、そのベクトルが、離脱方向のベクトルと離脱方向に垂直な方向のベクトルとの和で表わされる。離脱方向は、充電器に装着されたバッテリパックを充電器から離脱させる際にバッテリパックが移動される方向である。第3パック端子は、離脱方向に沿って、第1パック端子または第2パック端子と並んで(即ち一列に)配置されている。状態設定回路は、バッテリパックが特定作動状態であることに応じて、第3パック端子を電気的に特定端子状態にする。
【0010】
充電器は、第1機器端子と、第2機器端子と、第3機器端子と、機能回路とを備える。第1機器端子は、充電器に装着されたバッテリパックの第1パック端子が接続されるように構成されている。第2機器端子は、充電器に装着されたバッテリパックの第2パック端子が接続されるように構成されている。第3機器端子は、充電器に装着されたバッテリパックの第3パック端子が接続されるように構成されている。機能回路は、第3機器端子に、特定端子状態の第3パック端子が接続されることに応じて、特定機能を達成するように構成されている。
【0011】
第1パック端子は、特定端子状態にならないように構成されている。第2パック端子は、特定端子状態であるか、又はバッテリパックの動作状態に応じて特定端子状態になり得るように構成されている。第2パック端子は、充電器に装着されたバッテリパックが充電器から離脱される過程(以下、「離脱過程」と称する)において、第3機器端子を含まない通過領域を通過するように配置されている。
【0012】
このように構成された充電システムでは、離脱方向に沿って、第3パック端子と、第1パック端子または第2パック端子とが、並んで(即ち一列に)配置されている。ただし、第2パック端子は、離脱過程において充電器の第3機器端子を含まない通過領域を通過するように配置されている。換言すれば、第2パック端子は、離脱過程において充電器の第3機器端子に接触しないように配置されている。これにより、離脱過程で第3機器端子に特定端子状態の第2パック端子が接触することが抑制され、当該接触に起因して生じる充電器の誤動作(例えば機能回路による意図しない特定機能の達成)を抑制することが可能となる。
【0013】
状態設定回路は、バッテリパックにおいてバッテリの充電を停止させるべき異常が生じているか否か判断するように構成されていてもよい。なお、特定作動状態は、上記異常が生じていない状態に対応する。
【0014】
このように構成された充電システムでは、充電器によるバッテリの充電時に、バッテリパックに異常が生じているか否かを、第3パック端子に接続された第3機器端子を介して充電器へ伝えることができる。また、第3機器端子は、離脱過程において第2パック端子が接触しないように配置されている。そのため、離脱過程において、特定端子状態の第2パック端子が第3機器端子に接触することによってバッテリパックが特定作動状態であることが誤って充電器に伝わることが抑制される。
【0015】
機能回路は、特定機能として作動許可信号を出力するように構成されていてもよい。充電器は、さらに、充電回路と、電力経路と、スイッチ回路と、スイッチ制御回路と、強制遮断回路とを備えていてもよい。充電回路は、充電電力を生成する。電力経路は、充電回路により生成された充電電力を、充電器に装着されたバッテリパックへ供給する。スイッチ回路は、電力経路を導通または遮断する。スイッチ制御回路は、スイッチ回路を制御する。強制遮断回路は、機能回路から作動許可信号が出力されることに応じて、スイッチ制御回路によるスイッチ回路の制御を有効化し、機能回路から作動許可信号が出力されていないことに応じて、スイッチ制御回路の制御内容にかかわらずスイッチ回路に電力経路を遮断させるように構成されている。
【0016】
このように構成された充電システムでは、バッテリパックが特定作動状態である場合に、充電器においてスイッチ制御回路によるスイッチ回路の制御を有効にすることができる。また、第3機器端子は、離脱過程において第2パック端子が接触しないように配置されている。そのため、離脱過程において、特定端子状態の第2パック端子が第3機器端子に接触することによって機能回路から作動許可信号が誤出力されることが抑制される。
【0017】
状態設定回路は、第3パック端子の入力インピーダンスを規定範囲内の値にすることにより第3パック端子を特定端子状態とするように構成されていてもよい。第1パック端子は、規定範囲外の値の入力インピーダンスを有するように構成されていてもよい。第2パック端子は、規定範囲内の値の入力インピーダンスを有するか又はバッテリパックの動作状態に応じて規定範囲内の値の入力インピーダンスを有し得るように構成されていてもよい。
【0018】
このように構成された充電システムでは、バッテリパックが特定作動状態であることを、第3パック端子の入力インピーダンスを調整することって容易に充電器へ伝達することができる。
【0019】
第3パック端子は、離脱方向に沿って第1パック端子と並んで(即ち一列に)配置されていてもよい。
このように構成された充電システムでは、第3パック端子と第2パック端子とは、離脱方向に沿って並んで配置されてはいない。そのため、バッテリパックを充電器から離脱方向へ移動させる過程において第3機器端子に第2パック端子が接触することが適切に抑制される。
【0020】
第3パック端子は、離脱方向に沿って第2パック端子と並んで(即ち一列に)配置されていてもよい。さらに、第3パック端子は、第2パック端子よりも離脱方向とは反対方向側に配置されていてもよい。
【0021】
このように構成された充電システムでは、第3パック端子と第2パック端子とが、離脱方向に沿って一列に並んで配置されているものの、第3パック端子は離脱方向において第2パック端子よりも上流側に配置(換言すれば、第2パック端子は離脱方向において第3パック端子よりも下流側に配置)されている。これにより、離脱過程においては、バッテリパックが離脱方向に移動されることに応じて第2パック端子と第3パック端子との距離が離れていく。そのため、バッテリパックを充電器から離脱方向へ移動させる過程において第3機器端子に第2パック端子が接触することが適切に抑制される。
【0022】
本開示の別の1つの局面におけるバッテリパックは、電動作業機及び充電器に着脱可能に構成されている。当該バッテリパックは、バッテリと、第1パック端子と、第2パック端子と、第3パック端子と、状態設定回路とを備える。
【0023】
バッテリは、充電器から供給される充電電力によって充電される。第1パック端子は、バッテリパックが装着された充電器の第1機器端子に接続される。第2パック端子は、バッテリパックが装着された充電器の第2機器端子に接続されるように構成され、第1パック端子との間で、離脱方向に垂直な方向の間隔を備えるように配置されている。第3パック端子は、バッテリパックが装着された充電器の第3機器端子に接続されるように構成され、離脱方向に沿って第1パック端子または第2パック端子と並んで(即ち一列に)配置されている。状態設定回路は、バッテリパックが特定作動状態であることに応じて第3パック端子を電気的に特定端子状態にする。
【0024】
充電器は、第3機器端子に特定端子状態の第3パック端子が接続されることに応じて特定機能を達成する。
第1パック端子は、特定端子状態にならないように構成されている。一方、第2パック端子は、特定端子状態であるか、又はバッテリパックの動作状態に応じて特定端子状態になり得るように構成されている。第2パック端子は、さらに、離脱過程において、第3機器端子を含まない通過領域を通過するように配置されている。
【0025】
このように構成されたバッテリパックは、離脱過程で第3機器端子に第2パック端子が接触することが抑制され、当該接触に起因して生じる充電器の誤動作(例えば機能回路による意図しない特定機能の達成)を抑制することが可能となる。
【0026】
本開示のさらに別の1つの局面における充電器は、バッテリパックを着脱可能に構成され、バッテリパックへ充電電力を供給するように構成されている。バッテリパックは、電動作業機に着脱可能に構成されている。
【0027】
充電器は、第1機器端子と、第2機器端子と、第3機器端子と、機能回路とを備える。第1機器端子は、充電器に装着されたバッテリパックの第1パック端子が接続される。第2機器端子は、充電器に装着されたバッテリパックの第2パック端子が接続される。第2機器端子は、第1機器端子との間で、離脱方向に垂直な方向の間隔を備えるように配置されている。第3機器端子は、充電器に装着されたバッテリパックの第3パック端子が接続されるように構成されている。第3機器端子は、離脱方向に沿って第1機器端子または第2機器端子と並んで(即ち一列に)配置されている。機能回路は、第3機器端子に、特定端子状態の第3パック端子が接続されることに応じて、特定機能を達成するように構成されている。
【0028】
第1パック端子は、特定端子状態にならないように構成されている。第2パック端子は、特定端子状態であるか、又はバッテリパックの動作状態に応じて特定端子状態になり得るように構成されている。第3機器端子は、離脱過程において第2パック端子が通過する通過領域から外れた位置に配置されている。
【0029】
このように構成された充電器では、離脱過程で第3機器端子に第2パック端子が接触することが抑制され、当該接触に起因して生じる充電器の誤動作(例えば機能回路による意図しない特定機能の達成)を抑制することが可能となる。
【0030】
本開示のさらに別の1つの局面における充電器は、バッテリパックを着脱可能に構成され、バッテリパックへ充電電力を供給するように構成されている。バッテリパックは、電
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施形態のバッテリパックの電気的構成を示す説明図である。
【
図2】実施形態の充電器の電気的構成を示す説明図である。
【
図3】実施形態の作業機本体の電気的構成を示す説明図である。
【
図4】充電器のES端子とバッテリパックのES端子、及びこれらに接続される電気回路の詳細を示す、電気回路図である。
【
図5】充電器のVcc端子とバッテリパックのVcc/TFB端子、及びこれらに接続される電気回路の詳細を示す、電気回路図である。
【
図6】充電器のTx端子とバッテリパックのRx端子、及びこれらに接続される電気回路の詳細を示す、電気回路図である。
【
図7】充電器及びバッテリパックにおける端子配置の一例を示す説明図であって、バッテリパックが充電器から完全に離脱されている状態を示す説明図である。
【
図8】
図7に示す状態からバッテリパックが挿入方向へ移動されてバッテリパックの装着が開始された状態を示す説明図である。
【
図9】
図8に示す状態からバッテリパックがさらに挿入方向へ移動された状態を示す説明図である。
【
図10】
図9に示す状態からバッテリパックがさらに挿入方向へ移動されてバッテリパックの充電器への装着が完了した状態を示す説明図である。
【
図11】充電器及びバッテリパックにおける端子配置の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照しつつ、本開示の例示的な実施形態を説明する。
[実施形態]
(1)充電システム及び電動作業機の概要
図1~
図3を参照して、本実施形態の充電システム及び電動作業機について説明する。
【0033】
本実施形態の充電システムは、
図1に示すバッテリパック10と、
図2に示す充電器40とを備える。充電器40は、バッテリパック10を着脱可能に構成されている。
図1に示すように、バッテリパック10はバッテリ20を備える。バッテリ20は、充電及び放電が可能な二次電池である。バッテリ20は、どのような二次電池であってもよい。本実施形態では、バッテリ20は例えばリチウムイオン電池である。
【0034】
バッテリ20は、より具体的には、直列接続された第1セル群21及び第2セル群22を備える。第1セル群21及び第2セル群22は、それぞれ、複数のセルを備える。第1セル群21及び第2セル群22の各々において、複数のセルは、どのように接続されていてもよい。本実施形態では、第1セル群21及び第2セル群22の各々において、複数のセルは、例えば直列接続されている。
【0035】
第1セル群21及び第2セル群22の定格電圧値はどのような値であってもよい。本実施形態では、第1セル群21及び第2セル群22の定格電圧値はいずれも例えば28.8Vであり、バッテリ20の定格電圧値は例えば57.6Vである。また、本実施形態の第1セル群21及び第2セル群22の各々は、例えば、直列接続された8個のセルを備え、各セルの定格電圧値は例えば3.6Vである。バッテリ20の実際の電圧値は、充電状態によって変化し得る。具体的には、バッテリ20の電圧値は57.6Vよりも低い値になり得るし、57.6Vよりも高い値(例えば64V)にもなり得る。なお、上述した、バッテリ20におけるセルの数、セルの定格電圧値、バッテリ20の定格電圧値は、一例である。バッテリ20におけるセルの数、セルの定格電圧値、バッテリ20の定格電圧値は様々な値をとり得る。
【0036】
充電器40にバッテリパック10が装着されると、充電器40は、バッテリパック10とデータ通信を行うことにより、バッテリ20の充電に関する各種情報を取得する。充電器40は、バッテリパック10から取得した各種情報に基づいて、バッテリ20へ充電電力を供給することにより、バッテリ20を充電する。
【0037】
バッテリパック10は、後述する作業機本体200(
図3参照)を含む各種の電動機器に着脱可能である。バッテリパック10は、バッテリパック10が装着された電動機器へバッテリ20の電力(以下、「バッテリ電力」と称する)を供給するように構成されている。
【0038】
本実施形態の電動作業機は、
図1に示すバッテリパック10と、
図3に示す作業機本体200とを備える。作業機本体200は、バッテリパック10を着脱可能に構成されている。
【0039】
作業機本体200にバッテリパック10が装着されると、作業機本体200にバッテリ電力が入力される。作業機本体200は、バッテリ電力によって作動する。
作業機本体200は、例えば園芸用、石工用、金工用、木工用などの各種の用途のいずれかに応じた作業を行うことが可能に構成されている。本実施形態の電動作業機は、例えば、草や小径木などを刈り払うための充電式刈払機であってもよい。
【0040】
(2)バッテリパックの構成
図1に示すように、バッテリパック10は、正極端子11、負極端子12、センター端子13、ES端子14、Tx端子15、BD/TS端子16、Rx端子17、Vcc/TFB端子18、及びTD端子19を備える。
【0041】
正極端子11は、バッテリ20の正極(詳しくは第1セル群21の正極)に接続されている。負極端子12は、バッテリ20の負極(詳しくは第2セル群22の負極)に接続されている。センター端子13は、バッテリ20における第2セル群22の正極(換言すれば第1セル群21の負極)に接続されている。
【0042】
図1に示すように、バッテリパック10は、さらに、バッテリ制御回路23と、ES出力回路24と、Tx回路25と、BD/TS回路26と、Rx回路27と、装着検出回路28と、TD入力回路29と、電源入力回路30と、電源回路31と、電圧検出回路32と、電流検出回路33と、温度検出回路34とを備えている。
【0043】
ES出力回路24は、ES端子14に接続されている。Tx回路25は、Tx端子15に接続されている。BD/TS回路26は、BD/TS端子16に接続されている。Rx回路27は、Rx端子17に接続されている。装着検出回路28は、Vcc/TFB端子18に接続されている。TD入力回路29は、TD端子19に接続されている。また、ES出力回路24、Tx回路25、BD/TS回路26、Rx回路27、装着検出回路28及びTD入力回路29は、バッテリ制御回路23に接続されている。
【0044】
電圧検出回路32は、バッテリ20の電圧(以下、「バッテリ電圧」と称する)の値(以下、「バッテリ電圧値」と称する)を示すバッテリ電圧情報をバッテリ制御回路23へ出力する。バッテリ電圧情報には、例えば、第1セル群21の電圧値を示す情報、第2セル群22の電圧値を示す情報、及びバッテリ20の電圧値を示す情報、のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0045】
電流検出回路33は、バッテリ20から電動機器への放電時においては、バッテリ20から放電される放電電流の値を示す放電電流情報をバッテリ制御回路23へ出力する。電流検出回路33は、充電器40によるバッテリ20の充電時においては、充電器40からバッテリ20へ供給される充電電流の値を示す充電電流情報をバッテリ制御回路23へ出力する。
【0046】
温度検出回路34は、バッテリ20の温度を検出し、その検出した温度を示す温度情報をバッテリ制御回路23へ出力する。
バッテリ制御回路23は、バッテリ電圧情報、放電電流情報、充電電流情報及び温度情報などの各種情報に基づいて、バッテリ20の充電及び放電を制御する。バッテリ20が充電器40によって充電される際は、バッテリ制御回路23は、充電器40とデータ通信を行うことにより、充電に必要な情報を相互に送受信する。バッテリ制御回路23は、例えば、バッテリ電圧に基づいて、バッテリ20を充電するために必要な充電電流の値を演算し、その値を示す充電電流指令値を充電器40へ送信する。
【0047】
なお、バッテリ制御回路23は、例えば、CPU及びメモリを含むマイクロコンピュータを備えている。メモリは、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリを含んでもよい。メモリは、CPUがバッテリパック10の各種機能を達成するために読み込み、実行する各種プログラムやデータを記憶する。これら各種機能は、前述のようなソフトウェア処理に限るものではなく、その一部又は全部が、論理回路やアナログ回路等を組み合わせたハードウェアを用いて達成されてもよい。
【0048】
電源入力回路30は、第1ダイオードD01と第2ダイオードD02とを備える。第1ダイオードD01のアノードは、スイッチング素子T01を介してバッテリ20の正極に接続されている。スイッチング素子T01は、本実施形態では例えばpチャネルMOSFETである。第1ダイオードD01のアノードは、スイッチング素子T01のドレインに接続されている。スイッチング素子T01のソースはバッテリ20の正極に接続されている。スイッチング素子T01のゲートはバッテリ制御回路23に接続されている。
【0049】
第2ダイオードD02のアノードは、Vcc/TFB端子18に接続されている。第1ダイオードD01のカソードと第2ダイオードのカソードは、互いに接続されると共に、電源回路31の入力端子に接続されている。
【0050】
バッテリ制御回路23は、電圧検出回路32から入力されるバッテリ電圧情報に基づいて、バッテリ20が過放電状態であるか否か判断する。バッテリ制御回路23は、バッテリ20が過放電状態であるか否かをどのような方法で判断してもよい。バッテリ制御回路23は、例えば、バッテリ電圧情報が示すバッテリ電圧値が所定の電圧下限値未満である場合に過放電状態であると判断してもよい。
【0051】
バッテリ制御回路23は、バッテリ20が過放電状態ではない間は、スイッチング素子T01をオンすることにより、バッテリ電力を、スイッチング素子T01及び第1ダイオードD01を介して電源回路31へ供給する。バッテリ制御回路23は、バッテリ20が過放電状態であると判断した場合は、スイッチング素子T01をオフすることにより、電源回路31へのバッテリ電力の供給を遮断する。
【0052】
なお、電圧検出回路32は、バッテリ20における各セルの電圧値を示す情報をバッテリ制御回路23へ出力してもよい。この場合、バッテリ制御回路23は、少なくとも1つのセルの電圧値が所定のセル電圧下限値未満である場合に過放電状態であると判断してもよい。
【0053】
また、電圧検出回路32が上記判断を行ってもよい。即ち、電圧検出回路32は、バッテリ電圧値が所定の電圧下限値未満である場合、または少なくとも1つのセルの電圧値が所定のセル電圧下限値未満である場合に、過放電状態であると判断してもよい。この場合、バッテリ制御回路23は、電圧検出回路32によって過放電状態であると判断された場合にスイッチング素子T01をオフしてもよい。
【0054】
電源回路31は、入力される直流の電圧を、その入力される電圧の電圧値よりも低い電圧値を有する直流の制御電圧Vcに変換して出力する。電源回路31により生成される制御電圧Vcは、バッテリ制御回路23を含む、バッテリパック10内の各部において、それらの電源として用いられる。
【0055】
バッテリ20が過放電状態ではない場合、電源回路31には、スイッチング素子T01及び第1ダイオードD01を介してバッテリ電圧が入力される。この場合、電源回路31は、バッテリ電圧を制御電圧Vcに変換して出力する。
【0056】
バッテリ20が過放電状態になると、バッテリ制御回路23は、自身をシャットダウンモードに設定する。具体的には、バッテリ制御回路23は、スイッチング素子T01をオフして電源回路31へのバッテリ電圧の入力を遮断することにより、電源回路31からの制御電圧Vcの出力を停止させ、バッテリ制御回路23自身の動作を停止させる。
【0057】
シャットダウンモードでは、バッテリ制御回路23は動作を停止しているため、自らスイッチング素子T01をオンさせることはできない。バッテリ制御回路23のシャットダウンモードは、作動中の充電器40にバッテリパック10を装着することによって解除される。
【0058】
作動中の充電器40にバッテリパック10が装着されると、
図5に示すように、Vcc/TFB端子18に、充電器40から、後述する第1電源電圧Vccが入力される。Vcc/TFB端子18に入力された第1電源電圧Vccは、第2ダイオードD02を介して電源回路31に入力される。シャットダウンモード中に電源回路31に第1電源電圧Vccが入力されると、電源回路31は、第1電源電圧Vccを制御電圧Vcに変換して出力する。これにより、バッテリ制御回路23が起動する。シャットダウンモードから起動したバッテリ制御回路23は、バッテリ20が充電されることによってバッテリ電圧値が電圧下限値以上になると、スイッチング素子T01をオンする。これにより、バッテリ電圧が電源回路31に入力され、電源回路31は、バッテリ電圧から制御電圧Vcを生成可能となる。
【0059】
電源回路31は、どのように構成されていてもよい。電源回路31は、スイッチングレギュレータまたはリニアレギュレータを備え、そのスイッチングレギュレータまたはリニアレギュレータによって入力電圧を制御電圧Vcに変換するように構成されていてもよい。制御電圧Vcの電圧値及び第1電源電圧Vccの電圧値はいずれもどのような値であってもよい。本実施形態では、電源回路31は例えばリニアレギュレータを備え、第1電源電圧Vccは例えば5Vであり、制御電圧Vcは例えば3.3Vである。
【0060】
充電器40からVcc/TFB端子18に入力された第1電源電圧Vccは、さらに、装着検出回路28にも入力される。また、バッテリパック10が作業機本体200に装着された場合、Vcc/TFB端子18には、作業機本体200から本体検知電圧が入力される。
【0061】
装着検出回路28は、バッテリパック10が充電器40または電動機器に装着されたことをバッテリ制御回路23が検出するために設けられている。
図1及び
図5に示すように、装着検出回路28は、抵抗器R01,R02,R03、ツェナーダイオードD03、コンデンサC01及びスイッチング素子T02を備える。スイッチング素子T02は、本実施形態では例えばnチャネルMOSFETである。
【0062】
抵抗器R01の第1端はVcc/TFB端子18に接続され、抵抗器R01の第2端はスイッチング素子T02のゲートに接続されている。スイッチング素子T02のソースは、バッテリパック10における基準電位を有するグランドラインに接続される。ツェナーダイオードD03,コンデンサC01及び抵抗器R02は、いずれも、スイッチング素子T02のゲートとグランドラインとの間に接続されている。スイッチング素子T02のドレインは、抵抗器R03の第1端に接続されると共にバッテリ制御回路23に接続されている。抵抗器R03の第2端には、制御電圧Vcが入力される。
【0063】
バッテリパック10が充電器40及び電動機器のいずれにも装着されていない場合、装着検出回路28におけるスイッチング素子T02はオフする。この場合、装着検出回路28からバッテリ制御回路23には、非装着信号(具体的にはHレベルの信号)が入力される。
【0064】
一方、バッテリパック10が例えば充電器40に装着されることにより、
図5に示すように充電器40からの第1電源電圧VccがVcc/TFB端子18を介して装着検出回路28に入力されると、スイッチング素子T02はオンする。この場合、装着検出回路28からバッテリ制御回路23へ、装着信号(具体的にはLレベルの信号)が出力される。
【0065】
また、バッテリパック10が例えば作業機本体200に装着されることにより、作業機本体200からの本体検知電圧がVcc/TFB端子18を介して装着検出回路28に入力されると、スイッチング素子T02はオンする。よってこの場合も、装着検出回路28からバッテリ制御回路23へ装着信号が入力される。
【0066】
バッテリ制御回路23は、装着検出回路28から入力される非装着信号または装着信号に基づいて、バッテリパック10がどこにも装着されていないか、または、充電器40もしくは電動機器に装着されているかを検出することができる。
【0067】
バッテリ制御回路23は、シリアル通信機能を備えている。具体的には、バッテリ制御回路23は、送信データをTx回路25を介してTx端子15から送信する。また、バッテリ制御回路23は、Rx端子17に入力された受信データをRx回路27を介して受信する。
【0068】
バッテリ制御回路23が送信する送信データの実体は、HレベルまたはLレベルの二値信号である。Tx回路25は、バッテリ制御回路23から入力される信号のレベルに応じて、Tx端子15からみた入力インピーダンスが、低インピーダンスまたは高インピーダンスに変化する。なお、低インピーダンスとは、例えば、第1閾値以下のインピーダンスを意味し、高インピーダンスとは、例えば、第2閾値よりも大きいインピーダンスを意味する。第2閾値は、第1閾値と同じ値であってもよいし、第1閾値よりも大きい値であってもよい。
【0069】
バッテリ制御回路23は、送信データの非送信時は、Tx回路25へ、送信スタンバイ状態を示すHレベル信号を継続して出力する。送信スタンバイ状態では、Tx端子15の入力インピーダンスは低インピーダンス(例えば約10.5kΩ)になる。バッテリ制御回路23は、送信データを送信する際は、その送信データの内容に応じてTx回路25へHレベルまたはLレベルの信号を出力する。バッテリ制御回路23からTx回路25へLレベルの信号が出力されると、Tx端子15の入力インピーダンスは高インピーダンスになる。
【0070】
なお、Vcc/TFB端子18の入力インピーダンス、即ちVcc/TFB端子18からみた装着検出回路28の入力インピーダンスは、本実施形態では高インピーダンス(例えば約9.4MΩ。
図5参照。)である。
【0071】
バッテリパック10のRx端子17に入力される受信データの実体は、HレベルまたはLレベルの二値信号である。Rx回路27は、具体的には、
図6に示すように構成されている。
図6に示すように、バッテリパック10のRx回路27は、抵抗器R08,R09,R10,R11、コンデンサC04、及びスイッチング素子T05を備える。スイッチング素子T05は、本実施形態では例えばNPN形バイポーラトランジスタである。
【0072】
抵抗器R08の第1端はRx端子17に接続され、抵抗器R08の第2端は抵抗器R09の第1端に接続されている。抵抗器R09の第2端はスイッチング素子T05のベースに接続されている。スイッチング素子T05のエミッタはグランドラインに接続されている。抵抗器R10は、スイッチング素子T05のベースとエミッタとの間に接続されている。コンデンサC04は、抵抗器R08の第2端とグランドラインとの間に接続されている。スイッチング素子T05のコレクタは、抵抗器R11の第1端に接続されると共にバッテリ制御回路23に接続されている。抵抗器R11の第2端には、制御電圧Vcが入力される。
【0073】
Rx端子17の入力インピーダンス、即ちRx端子17からみたRx回路27の入力インピーダンスは、本実施形態では、スイッチング素子T05がオンされているかオフされているかにかかわらず、低インピーダンス(例えば約8kΩ)である。
【0074】
Rx端子17にLレベルの信号が入力されると、Rx回路27におけるスイッチング素子T05はオフする。この場合、Rx回路27からバッテリ制御回路23には、Hレベルの信号が入力される。一方、Rx端子17にHレベルの信号が入力されると、スイッチング素子T05はオンする。この場合、Rx回路27からバッテリ制御回路23には、Lレベルの信号が入力される。バッテリ制御回路23は、Rx回路27から入力される信号の論理レベルに基づいて、受信データの内容を認識する。
【0075】
バッテリ制御回路23は、バッテリ20が過放電状態であるか否かに応じて、BD/TS回路26へLレベルまたはHレベルの信号を出力することにより、BD/TS端子16の入力インピーダンス、即ちBD/TS端子16からみたBD/TS回路26の入力インピーダンスを、第1インピーダンスまたは第2インピーダンスに変化させる。第1インピーダンス及び第2インピーダンスはいずれも高インピーダンスであるが、第2インピーダンスは第1インピーダンスよりも高い。
【0076】
具体的には、バッテリ制御回路23は、バッテリ20が過放電状態ではない場合、BD/TS回路26へHレベルの信号を出力することによりBD/TS端子16の入力インピーダンスを第1インピーダンス(例えば約6.2MΩ)にする。一方、バッテリ制御回路23は、バッテリ20が過放電状態である場合は、BD/TS回路26へLレベルの信号を出力することによりBD/TS端子16の入力インピーダンスを第2インピーダンスにする。
【0077】
TD端子19には、作業機本体200から、後述する操作部217(
図3参照)が電動作業機の使用者によって操作されているか否かを示す操作信号が入力される。操作信号は、HレベルまたはLレベルの二値信号である。操作信号は、操作部217が操作されていない場合は例えばLレベルであり、操作部217が操作されている場合は例えばHレベルである。
【0078】
TD入力回路29は、TD端子19にLレベルの操作信号が入力された場合、バッテリ制御回路23へ、操作部217が操作されていないことを示す操作情報(例えばHレベルの信号)を出力する。TD入力回路29は、TD端子19にHレベルの操作信号が入力された場合、バッテリ制御回路23へ、操作部が操作されていることを示す操作情報(例えばLレベルの信号)を出力する。バッテリ制御回路23は、TD入力回路29から入力される操作情報に基づいて、操作部217が操作されているか否かを認識できる。
【0079】
TD端子19の入力インピーダンス、即ちTD端子19からみたTD入力回路29の入力インピーダンスは、本実施形態では、高インピーダンス(例えば約110kΩ)である。
【0080】
バッテリ制御回路23は、バッテリパック10が特定の異常状態であるか否かを監視し、その監視結果に応じて、許可指令または禁止指令をES出力回路24へ出力する。特定の異常状態とは、例えば、バッテリ20からの放電及びバッテリ20の充電を停止させるべき状態であってもよい。
【0081】
バッテリ制御回路23は、バッテリパック10が特定の異常状態であるか否かをどのような方法で判断してもよい。バッテリ制御回路23は、例えば、前述のバッテリ電圧情報、放電電流情報、充電電流情報及び温度情報の少なくとも1つに基づいて、バッテリパック10が特定の異常状態であるか否かを判断してもよい。
【0082】
また、特定の異常状態は、どのような状態であってもよい。例えば、バッテリ20が過放電状態である場合、または過放電状態が一定時間継続した場合に、バッテリパック10が特定の異常状態であると判断してもよい。また例えば、バッテリ20からの放電電流の値が所定の電流上限値を超えた場合、または電流上限値を超えた状態が一定時間継続した場合に、バッテリパック10が特定の異常状態であると判断してもよい。また例えば、バッテリ20の温度が所定の温度上限値を超えた場合、または温度上限値を超えた状態が一定時間継続した場合に、バッテリパック10が特定の異常状態であると判断してもよい。
【0083】
バッテリ制御回路23は、バッテリパック10が特定の異常状態ではない場合、ES出力回路24へ許可指令(本実施形態では例えばHレベルの信号)を出力する。バッテリ制御回路23は、バッテリパック10が特定の異常状態である場合、ES出力回路24へ禁止指令(本実施形態では例えばLレベルの信号)を出力する。
【0084】
図4に示すように、本実施形態のES出力回路24は、抵抗器R04,R05,R06,R07、コンデンサC02,C03、ツェナーダイオードD04,D05、及びスイッチング素子T03を備える。スイッチング素子T03は、本実施形態では例えばnチャネルMOSFETである。
【0085】
抵抗器R07の第1端には、バッテリ制御回路23から許可指令(Hレベル)または禁止指令(Lレベル)が入力される。抵抗器R07の第2端は、スイッチング素子T03のゲートに接続されている。スイッチング素子T03のソースは、グランドラインに接続されている。抵抗器R06及びコンデンサC03はいずれもスイッチング素子T03のゲートとグランドラインとの間に接続されている。スイッチング素子T03のドレインは、抵抗器R05の第1端に接続されると共に、ツェナーダイオードD04のカソードに接続されている。ツェナーダイオードD04のアノードはツェナーダイオードD05のカソードに接続され、ツェナーダイオードD05のアノードはグランドラインに接続されている。抵抗器R05の第2端は、抵抗器R04の第1端に接続されている。抵抗器R04の第2端はES端子14に接続されている。コンデンサC02は、抵抗器R04の第1端とグランドラインとの間に接続されている。
【0086】
このように構成されたES出力回路24に、バッテリ制御回路23から許可指令(Hレベル)が入力されると、ES出力回路24においてスイッチング素子T03がオンする。これにより、ES端子14の入力インピーダンス、即ちES端子14からみたES出力回路24の入力インピーダンスは、低インピーダンス(例えば約10.5kΩ)となる。換言すれば、ES端子14はLレベルとなる。
【0087】
一方、バッテリ制御回路23からES出力回路24へ禁止指令(Lレベル)が入力されると、ES出力回路24においてスイッチング素子T03がオフする。これにより、ES端子14の入力インピーダンスは高インピーダンスとなる。
【0088】
(3)充電器の構成
図2に示すように、充電器40は、正極端子41、負極端子42、センター端子43、ES端子44、Rx端子45、BD端子46、Tx端子47、及びVcc端子48を備える。
【0089】
充電器40にバッテリパック10が装着されると、正極端子41にバッテリパック10の正極端子11が接続され、負極端子42にバッテリパック10の負極端子12が接続され、センター端子43にバッテリパック10のセンター端子13が接続され、ES端子44にバッテリパック10のES端子14が接続され、Rx端子45にバッテリパック10のTx端子15が接続され、BD端子46にバッテリパック10のBD/TS端子16が接続され、Tx端子47にバッテリパック10のRx端子17が接続され、Vcc端子48にバッテリパック10のVcc/TFB端子18が接続される。
【0090】
充電器40は、バッテリパック10のTD端子19に対応する端子を備えていない。そのため、バッテリパック10が充電器40に装着された場合、バッテリパック10のTD端子19は、充電器40と電気的に接続されず、電気的にオープン状態となる。
【0091】
充電器40は、さらに、電源プラグ50と、整流回路51と、PFC(Power Factor Correction)回路52と、平滑回路53と、メインコンバータ54と、正極ライン55と、負極ライン56と、セル群切替回路57と、ラインスイッチ回路58と、スイッチ駆動回路59と、充電制御回路60と、電流検出回路61と、差動増幅回路62と、ローパスフィルタ63と、出力設定回路64とを備える。
【0092】
電源プラグ50は、例えば交流100Vの電圧を供給する商用電源などの交流電源に接続され、交流電源から交流電力を受けるように構成されている。整流回路51は、電源プラグ50から入力される交流電力を整流して直流電力に変換し、出力する。PFC回路52は、整流回路51から出力された直流電力の力率を改善する。平滑回路53は、PFC回路52によって力率が改善された直流電力を平滑化する。
【0093】
メインコンバータ54は、平滑回路53によって平滑化された直流電力を、バッテリ20の充電に適した電圧を有する充電電力に変換し、出力する。メインコンバータ54は、本実施形態では例えば絶縁型の降圧スイッチング電源回路を備えている。メインコンバータ54は、後述する出力設定回路64から入力されるスイッチング指令に従って作動し、充電電力を生成する。
【0094】
メインコンバータ54には、正極ライン55の第1端及び負極ライン56の第1端が接続されている。メインコンバータ54により生成された充電電力は、正極ライン55及び負極ライン56を介してバッテリパック10へ供給される。
【0095】
正極ライン55の第2端及び負極ライン56の第2端は、セル群切替回路57に接続されている。セル群切替回路57は、互いに連動する正極スイッチ57a及び負極スイッチ57bを備える。正極スイッチ57a及び負極スイッチ57bは、c接点型のスイッチである。正極ライン55の第2端は、正極スイッチ57aにおけるコモン端子に接続され、負極ライン56の第2端は、負極スイッチ57bにおけるコモン端子に接続されている。
【0096】
正極スイッチ57aにおける第1端子は正極端子41に接続され、正極スイッチ57aにおける第2端子はセンター端子43に接続されている。負極スイッチ57bにおける第1端子はセンター端子431に接続され、負極スイッチ57bにおける第2端子は負極端子42に接続されている。
【0097】
セル群切替回路57は、充電制御回路60から入力される切替指令に従って、第1接続状態または第2接続状態に切り替わる。第1接続状態は、正極スイッチ57a及び負極スイッチ57bのいずれもコモン端子と第1端子とが接続された状態である。第2接続状態は正極スイッチ57a及び負極スイッチ57bのいずれもコモン端子と第2端子とが接続された状態である。
【0098】
本実施形態では、セル群切替回路57が第1接続状態及び第2接続状態に交互に切り替わりながらバッテリ20が充電される。即ち、第1接続状態においては第1セル群21が充電され、第2接続状態においては第2セル群22が充電される。
【0099】
ラインスイッチ回路58は、正極ライン55に設けられ、正極ライン55を導通または遮断する。ラインスイッチ回路58は、充電制御回路60によって、スイッチ駆動回路59を介してオンまたはオフされる。ラインスイッチ回路58がオンすると、正極ライン55が導通し、バッテリパック10へ充電電力を供給可能な状態になる。ラインスイッチ回路58がオフすると、正極ライン55が遮断され、バッテリパック10へ充電電力が供給されない状態になる。ラインスイッチ回路58は、どのように構成されていてもよい。ラインスイッチ回路58は、例えば、正極ライン55を導通または遮断するように構成された少なくとも1つのスイッチング素子(例えばMOSFET)を備えていてもよい。
【0100】
電流検出回路61は、負極ライン56に設けられている。電流検出回路61は、負極ライン56を流れる電流の電流値を示す電流検出信号Siを出力する。電流検出信号Siは、本実施形態では、負極ライン56を流れる電流の電流値に応じた電圧値を有する。電流検出回路61は、例えば、負極ライン56に挿入されたシャント抵抗器(不図示)を備え、シャント抵抗器の両端間の電圧に応じた電流検出信号Siを出力するように構成されていてもよい。
【0101】
電流検出信号Siは、充電制御回路60および差動増幅回路62に入力される。充電制御回路60は、バッテリパック10とのデータ通信によってバッテリパック10から取得される前述の充電電流指令値に応じたPWM信号、即ち充電電流指令値に応じたデューティ比のパルス信号を生成し、ローパスフィルタ63へ出力する。ローパスフィルタ63は、充電制御回路60から入力されるPWM信号を平滑化して差動増幅回路62へ出力する。
【0102】
差動増幅回路62は、ローパスフィルタ63によって平滑化されたPWM信号の電圧値と、電流検出信号Siの電圧値との差に応じた差動信号Difを出力する。差動信号Difは、出力設定回路64に入力され、出力設定回路64を介して前述のスイッチング指令としてメインコンバータ54へ出力される。メインコンバータ54は、スイッチング指令として入力される差動信号Difに基づき、差動信号Difがゼロになるように、即ち、メインコンバータ54から出力される充電電流の値が、充電電流指令値が示す電流値に一致するように、充電電力を生成する。
【0103】
なお、出力設定回路64には、充電制御回路60から充電電圧上限値が入力されると共に、正極ライン55の電圧(詳しくはメインコンバータ54とラインスイッチ回路58との間の電圧)が入力される。出力設定回路64は、正極ラインの電圧値が充電電圧上限値以下の場合は、差動信号Difをスイッチング指令としてメインコンバータ54へ出力する。一方、出力設定回路64は、正極ラインの電圧値が充電電圧上限値より高い場合は、充電電力を低減させるためのスイッチング指令を出力することにより、メインコンバータ54から出力される充電電力の電圧値を低減させる。
【0104】
正極ライン55における、メインコンバータ54とラインスイッチ回路58との間には、整流回路65と、平滑回路66と、放電回路67とが設けられている。
本実施形態のメインコンバータ54は絶縁型であるため、メインコンバータ54から出力される充電電力は交流である。整流回路65は、メインコンバータ54から出力された交流の充電電力を整流する。
【0105】
平滑回路66は、コンデンサC41を備えている。コンデンサC41の第1端は正極ライン55に接続され、コンデンサC41の第2端は負極ライン56に接続されている。平滑回路66は、整流回路65により整流された充電電力を平滑化する。
【0106】
放電回路67は、平滑回路66におけるコンデンサC41に充電された電荷を放電させる。放電回路67は、抵抗器R41,R42およびスイッチング素子T41を備える。スイッチング素子T41は、例えば、NPN形バイポーラトランジスタである。スイッチング素子T41のベースは抵抗器R42を介して充電制御回路60に接続されている。スイッチング素子T41のエミッタは負極ライン56(より詳しくはメインコンバータ54と電流検出回路61との間)に接続されている。スイッチング素子T41のコレクタは、抵抗器R41を介して正極ライン55に接続されている。このような構成により、充電制御回路60によってスイッチング素子T41がオンされると、コンデンサC41の充電電荷が放電される。
【0107】
正極ライン55における、ラインスイッチ回路58とセル群切替回路57との間には、ダイオードD41が設けられている。ダイオードD41は、正極端子41またはセンター端子43からラインスイッチ回路58への電流の逆流を抑制する。
【0108】
充電器40は、さらに、サブコンバータ68を備える。サブコンバータ68は、平滑回路53によって平滑化された直流電力を、メインコンバータ54の出力電圧値とは異なる電圧値の電源用電力に変換して出力する。サブコンバータ68は、本実施形態では例えば絶縁型の降圧スイッチング電源回路を備えている。そのため、サブコンバータ68から出力される電源用電力は交流である。
【0109】
サブコンバータ68から出力された電源用電力は、整流回路69で整流され、平滑回路70で平滑化される。平滑回路70から出力される直流電圧は、第2電源電圧VDとして、後述するファン90及びブザー93などで用いられる。
【0110】
サブコンバータ68から出力された電源用電力は、さらに、整流回路71で整流され、平滑回路72で平滑化される。平滑回路72から出力された直流電圧は、電源回路73に入力される。電源回路73は、平滑回路72から入力された直流電圧を、その直流電圧の電圧値よりも低い電圧値を有する直流の第1電源電圧Vccに変換して出力する。第1電源電圧Vccは、充電制御回路60を含む、充電器40における各部で、電源として用いられる。
【0111】
充電器40は、さらに、5つの端子保護回路84,85,86,87,88と、ES入力回路74と、Rx回路75と、BD入力回路76と、Tx回路77とを備える。端子保護回路84,85,86,87,88は、いずれも同じ構成を備える。
【0112】
ES入力回路74は、端子保護回路84を介してES端子44に接続されている。Rx回路75は、端子保護回路85を介してRx端子45に接続されている。BD入力回路76は、端子保護回路86を介してBD端子46に接続されている。Tx回路77は、端子保護回路87を介してTx端子47に接続されている。
【0113】
端子保護回路88はVcc端子48に接続されている。端子保護回路88には、第1電源電圧Vccが入力される。即ち、第1電源電圧Vccは、端子保護回路88及びVcc端子48を介して充電器40の外部に出力可能にされている。よって、充電器40にバッテリパック10が装着されると、充電器40のVcc端子48からバッテリパック10のVcc/TFB端子18へ第1電源電圧Vccが入力される。
【0114】
端子保護回路84,85,86,87,88の構成について、ES端子44に接続されている端子保護回路84を例に挙げて、
図4を参照して説明する。なお、
図5には、Vcc端子48に接続されている端子保護回路88が図示され、
図6には、Tx端子47に接続されている端子保護回路87が図示されている。
【0115】
図4に示すように、端子保護回路84は、2つのツェナーダイオードD43,D44と、ダイオードD45と、バリスタ96とを備える。ツェナーダイオードD43のカソードはES端子44に接続され、ツェナーダイオードD43のアノードはツェナーダイオードD44のカソードに接続されている。ツェナーダイオードD44のアノードは、バリスタ96を介してグランドラインに接続されている。ダイオードD45のカソードはES端子44に接続されている。ダイオードD45のアノードはES入力回路74に接続されている。
【0116】
ダイオードD45は、ダイオードD45に接続されている外部接続用の端子(
図4ではES端子44)が他の外部接続用の端子(例えばRx端子45、BD端子46、Tx端子47、及びVcc端子48)に短絡した場合に充電器40の内部に好ましくない影響が及ぶことを抑制する。
【0117】
2つのツェナーダイオードD43,D44は、対応する外部接続用の端子(
図4ではES端子44)を過電圧から保護するために設けられている。なお、本実施形態では、バッテリ20の定格電圧値が比較的高い値(例えば57.6V)であるため、2つのツェナーダイオードD43,D44を直列接続して用いているが、バッテリ20の定格電圧値が低い場合は1つのツェナーダイオードを用いてもよい。
【0118】
バリスタ96は、バッテリ20の充電時に充電器40とバッテリパック10との間で不要なループ電流が流れることを抑制するために設けられている。本実施形態では、前述の通り、セル群切替回路57が第1接続状態及び第2接続状態に交互に切り替わりながらバッテリ20が充電される。
【0119】
ここで、セル群切替回路57が第1接続状態である場合、仮にバリスタ96が設けられていないと、次のようなループ電流が発生し得る。即ち、第2セル群22の正極から、バッテリパック10のセンター端子13、充電器40のセンター端子43、セル群切替回路57における負極スイッチ57b、充電器40のグランドライン、端子保護回路84における2つのツェナーダイオードD43,D44、充電器40のES端子44、バッテリパック10のES端子14、ES出力回路24、及びバッテリパック10のグランドラインを経て第2セル群22の負極に至る、ループ電流が発生し得る。
【0120】
このようなループ電流が発生する要因は、第1接続状態において充電器40のグランドラインの電位がバッテリパック10における第2セル群22の正極と同電位になるからである。ES端子44以外の他の外部接続用の端子においても、同様の要因でループ電流が発生し得る。そこで、本実施形態では、上記のようなループ電流を抑制するために、端子保護回路84~88においてバリスタ96が設けられている。
【0121】
図4に示すように、ES入力回路74は、第1入力回路74aと、第2入力回路74bとを備える。第1入力回路74aは、抵抗器R43,R44及びスイッチング素子T42を備える。スイッチング素子T42は例えばPNP形バイポーラトランジスタである。抵抗器R43の第1端は端子保護回路84(詳しくはダイオードD45のアノード)に接続されている。抵抗器R43の第2端はスイッチング素子T42のベースに接続されている。スイッチング素子T42のエミッタには第1電源電圧Vccが印加される。抵抗器R44は、スイッチング素子T42のエミッタとベースの間に接続されている。
【0122】
第2入力回路74bは、抵抗器R45,R46,R47及びスイッチング素子T43を備える。スイッチング素子T43は例えばNPN形バイポーラトランジスタである。抵抗器R45の第1端は、第1入力回路74aにおけるスイッチング素子T42のコレクタに接続されている。抵抗器R45の第2端はスイッチング素子T43のベースに接続されている。スイッチング素子T43のエミッタはグランドラインに接続されている。抵抗器R46は、スイッチング素子T43のエミッタとベースの間に接続されている。スイッチング素子T43のコレクタには、抵抗器R47を介して第1電源電圧Vccが印加される。
【0123】
スイッチング素子T43のコレクタの電圧は、ES信号として、充電制御回路60及びスイッチ駆動回路59へ出力される。なお、抵抗器R43の抵抗値は例えば約2kΩであり、抵抗器R44の抵抗値は例えば約20kΩである。
【0124】
バッテリパック10において、バッテリ制御回路23からES出力回路24へ許可指令が出力されている場合は、バッテリパック10のES端子14の入力インピーダンスは前述の通り低インピーダンスとなる。そのため、充電器40のES入力回路74において、スイッチング素子T42,T43がいずれもオンし、LレベルのES信号(以下、「ES許可信号」と称する)が出力される。
【0125】
一方、 バッテリパック10において、バッテリ制御回路23からES出力回路24へ禁止指令が出力されている場合は、バッテリパック10のES端子14の入力インピーダンスは前述の通り高インピーダンスとなる。そのため、充電器40のES入力回路74において、スイッチング素子T42,T43はいずれもオフし、HレベルのES信号(以下、「ES禁止信号」と称する)が出力される。
【0126】
充電制御回路60は、ES入力回路74からES許可信号が入力されている場合に、バッテリパック10とデータ通信を行いながらバッテリ20の充電を行う。即ち、スイッチ駆動回路59を介してラインスイッチ回路58をオンすると共に、前述のPWM信号を出力してメインコンバータ54に充電電力を生成させることにより、充電電力をバッテリパック10へ供給する。
【0127】
充電制御回路60は、ES入力回路74からES禁止信号が入力されている場合は、バッテリ20の充電を停止する。即ち、PWM信号の出力を停止すると共に、スイッチ駆動回路59を介してラインスイッチ回路58をオフする。
【0128】
スイッチ駆動回路59は、ES入力回路74からES許可信号が入力されている場合は、充電制御回路60から入力されるスイッチ駆動指令に従ってラインスイッチ回路58をオンまたはオフする。つまり、ES許可信号が入力されている間は、充電制御回路60によるラインスイッチ回路の制御が有効になる。
【0129】
一方、スイッチ駆動回路59は、ES入力回路74からES禁止信号が入力されている場合は、充電制御回路60から入力されるスイッチ駆動指令の内容にかかわらず、ラインスイッチ回路58を強制的にオフする。つまり、ES禁止信号が入力されている間は、充電制御回路60によるラインスイッチ回路の制御は無効にされる。なお、スイッチ駆動回路59は、ソフトウェア処理を行わず、ハードウェア処理にて、ラインスイッチ回路58をオンまたはオフするように構成されている。
【0130】
充電が行われているときにES入力回路74からES禁止信号が出力された場合、充電制御回路60は、ラインスイッチ回路58をオフするためのソフトウェア処理を行う。この場合、ES禁止信号が出力されてから、充電制御回路60がラインスイッチ回路58をオフさせるためのスイッチ駆動指令をスイッチ駆動回路59へ出力するまでの間に、一定のタイムラグが生じる。
【0131】
そのため、ES入力回路74からES禁止信号が出力された場合、スイッチ駆動回路59には、充電制御回路60からラインスイッチ回路58をオフさせるためのスイッチ駆動指令が入力されるよりも先に、ES禁止信号が入力される。このような構成により、本実施形態の充電器40では、ES入力回路74からES禁止信号が出力された場合、ラインスイッチ回路58をハードウェア処理にて迅速にオフすることができる。
【0132】
Rx回路75は、バッテリパック10から送信された送信データをRx端子45を介して受信し、その受信したデータを中継して充電制御回路60へ出力する。充電制御回路60は、Rx回路75を介して、バッテリパック10からの送信データを取得する。
【0133】
BD入力回路76は、BD端子46に接続されるバッテリパック10のBD/TS端子16のインピーダンスに応じた信号を充電制御回路60へ出力する。充電制御回路60は、BD入力回路76から入力される信号に応じて、バッテリパック10が充電器40に装着されているか否かを判断する。即ち、バッテリパック10のBD/TS端子16の入力インピーダンスが前述の第1インピーダンスである場合はバッテリパック10が装着されていると判断され、バッテリパック10のBD/TS端子16の入力インピーダンスが前述の第2インピーダンスである場合はバッテリパック10が装着されていないと判断される。
【0134】
Tx回路77は、充電制御回路60から出力される送信データを中継してバッテリパック10へ送信する。Tx回路77は、
図6に示すように、抵抗器R48,R49,R50と、スイッチング素子T44とを備える。スイッチング素子T44は例えばPNP形バイポーラトランジスタである。
【0135】
抵抗器R48の第1端は端子保護回路87(詳しくはダイオードD45のアノード)に接続されている。抵抗器R48の第2端はスイッチング素子T44のコレクタに接続されている。スイッチング素子T44のエミッタには第1電源電圧Vccが印加される。抵抗器R49は、スイッチング素子T44のエミッタとベースの間に接続されている。抵抗器R50の第1端はスイッチング素子T44のベースに接続されている。抵抗器R50の第2端には、充電制御回路60から送信データが入力される。充電制御回路60から出力される送信データの実体は、HレベルまたはLレベルの二値信号である。
【0136】
充電器40は、さらに、ファン90と、ロック検出回路91と、温度検出回路92とを備える。ファン90は、第2電源電圧VDによって回転し、充電器40における発熱部品(例えばメインコンバータ54における不図示のスイッチング素子)へ冷却風を送風する。充電制御回路60は、バッテリパック10へ充電電力を供給している間、連続的または断続的にファン90を駆動する。
【0137】
ロック検出回路91は、ファン90のロックを検出する。充電制御回路60は、ファン90を駆動している間にロック検出回路91によってファン90のロックが検出された場合、メインコンバータ54から出力される電流の値を低下させることにより、メインコンバータ54における不図示のスイッチング素子の過熱を抑制する。
【0138】
温度検出回路92は、メインコンバータ54における不図示のスイッチング素子の温度を検出する。充電制御回路60は、温度検出回路92により検出された温度に基づいて充電電流の値を制御(即ちPWM信号を制御)する。例えば、検出された温度が温度閾値以上である場合、バッテリパック10からの充電電流指令値に応じたデューティよりも低いデューティのPWM信号を生成して、充電電流を低下させる。
【0139】
充電器40は、さらに、ブザー93と、減衰器94とを備える。ブザー93には、第2電源電圧VDが入力される。また、ブザー93には、充電器40に装着されたバッテリパック10からダイオードD42及び減衰器94を介してバッテリ電力が入力される。減衰器94は、バッテリ電圧を降圧してブザー93へ出力する。ブザー93は、第2電源電圧VDまたはバッテリ電力によって作動する。充電制御回路60は、例えば充電が完了したタイミング、あるいは何らかの異常が生じたタイミングなどの、種々のタイミングで、ブザー93を作動させることにより、使用者に当該タイミングの発生を聴覚的に認識させる。
【0140】
このように構成された充電器40では、充電制御回路60は、BD入力回路76から入力される信号によってバッテリパック10が充電器40に装着されたことを検出すると、バッテリ20を充電するための充電制御処理を実行する。具体的には、バッテリパック10とシリアルデータ通信を行うことにより、前述の充電電流指令値を含む各種情報を取得する。そして、バッテリ20の充電が必要な場合、ラインスイッチ回路58をオンし、充電電流指令値に応じたPWM信号を出力することにより、充電を開始する。バッテリ20の充電は、前述の通り、セル群切替回路57を第1接続状態と第2接続状態とに交互に切り替えながら行う。即ち、第1セル群21の充電と第2セル群22の充電とが並行して実行される。第1接続状態と第2接続状態との切り替えはどのようなタイミングで行ってもよい。例えば、一定期間(例えば1分)毎に切り替えるようにしてもよい。
【0141】
また、充電制御回路60は、バッテリパック10へ充電電力を供給開始する前(詳しくはラインスイッチ回路58をオンする前)に、放電回路67を制御することにより、平滑回路66におけるコンデンサC41に充電された電荷を放電させる。具体的には、充電制御回路60は、放電回路67におけるスイッチング素子T41を一定時間オンさせる。なお、放電回路67が設けられている主な理由は、充電開始時にコンデンサC41からバッテリパック10へ大電流が流れることを抑制するためである。
【0142】
(4)作業機本体の構成
図3に示すように、作業機本体200は、正極端子201、負極端子202、ES端子204、Rx端子205、TS端子206、Tx端子207、TFB端子208、及びTD端子209を備える。
【0143】
作業機本体200にバッテリパック10が装着されると、正極端子201にバッテリパック10の正極端子11が接続され、負極端子202にバッテリパック10の負極端子12が接続され、ES端子204にバッテリパック10のES端子14が接続され、Rx端子205にバッテリパック10のTx端子15が接続され、TS端子206にバッテリパック10のBD/TS端子16が接続され、Tx端子207にバッテリパック10のRx端子17が接続され、TFB端子208にバッテリパック10のVcc/TFB端子18が接続され、TD端子にバッテリパック10のTD端子19が接続される。
【0144】
作業機本体200は、バッテリパック10のセンター端子13に対応する端子を備えていない。そのため、バッテリパック10が作業機本体200に装着された場合、バッテリパック10のセンター端子13は、作業機本体200と電気的に接続されず、電気的にオープン状態となる。
【0145】
作業機本体200は、モータ駆動回路211と、モータ212と、駆動機構213と、出力ツール214と、駆動スイッチ215と、スイッチ駆動回路216と、操作部217と、操作検出回路218と、駆動制御回路220と、ES入力回路224と、Rx回路225と、TS入力回路226と、Tx回路227と、TFB出力回路228と、TD出力回路229と、電源回路230とを備える。
【0146】
モータ駆動回路211には、正極端子201及び負極端子202からバッテリ電力が入力される。モータ駆動回路211は、駆動制御回路220から入力される駆動指令に基づき、モータ212へ電力を供給する。モータ212は、駆動制御回路220から供給される電力により回転する。駆動機構213は、モータ212の回転を出力ツール214に伝達する。出力ツール214は、モータ212の回転力を駆動源として駆動機構213を介して駆動される。出力ツール214は、作業機本体200の外部に作用することにより電動作業機の機能を達成するように構成されている。出力ツール214は、例えば、草や小径木などを刈り払うための回転刃であってもよい。また例えば、出力ツール214は、被加工材に穴を開けるためのドリルビットであってもよい。また例えば、出力ツール214は、送風または吸引するための羽根であってもよい。
【0147】
正極端子201とモータ駆動回路211との間の通電経路には、この通電経路を導通または遮断するための駆動スイッチ215が設けられている。駆動スイッチ215は、駆動制御回路220によりスイッチ駆動回路216を介して制御される。
【0148】
操作部217は、電動作業機の使用者により操作される。操作検出回路218は、使用者による操作部217の操作を検出し、操作を検出した場合に操作検出信号を駆動制御回路220及びTD出力回路229へ出力する。駆動制御回路220は、操作検出信号が入力された場合、駆動スイッチ215をオンすると共に、モータ駆動回路211を駆動することにより、モータ212を回転させる。
【0149】
TS入力回路226には、正極端子201からバッテリ電圧Vpが入力される。TS入力回路226は、TS端子206に接続されるバッテリパック10のBD/TS端子16のインピーダンスに応じて、バッテリ電圧Vbを出力する。即ち、バッテリパック10のBD/TS端子16の入力インピーダンスが前述の第1インピーダンスである場合は、TS入力回路226は、入力されたバッテリ電圧Vpを、不図示のスイッチング素子を介してバッテリ電圧Vbとして出力する。一方、バッテリパック10のBD端子16の入力インピーダンスが前述の第2インピーダンスである場合は、TS入力回路226は、バッテリ電圧Vbの出力を停止する。バッテリ電圧Vbは、電源回路230及びTFB出力回路228に入力される。
【0150】
TFB出力回路228には、TS入力回路226から出力されるバッテリ電圧Vbが入力される。TFB出力回路228は、入力されたバッテリ電圧Vbを降圧して、前述の本体検知電圧としてTFB端子208から出力する。
【0151】
電源回路230は、バッテリ電圧Vbを、そのバッテリ電圧Vbの電圧値よりも低い電圧値を有する直流の制御電源電圧Vdmに変換して出力する。駆動制御回路220を含む、作業機本体200内の各部は、制御電源電圧Vdmによって動作する。
【0152】
ES入力回路224は、ES端子204に接続されている。Rx回路225は、Rx端子205に接続されている。TS入力回路226は、TS端子206に接続されている。Tx回路227は、Tx端子207に接続されている。TFB出力回路228は、TFB端子208に接続されている。TD出力回路229は、TD端子209に接続されている。
【0153】
ES入力回路224は、本実施形態では、充電器40におけるES入力回路74と同じ構成を備えている。即ち、ES入力回路224は、前述のES許可信号またはES禁止信号を出力する。ES禁止信号は、駆動制御回路220及びスイッチ駆動回路216に入力される。
【0154】
駆動制御回路220は、ES許可信号が入力されている場合に、操作部217の操作に応じてモータ212を駆動する。駆動制御回路220は、ES禁止信号が入力された場合は、操作部217が操作されていても、駆動回路211の動作を停止するとともに駆動スイッチ215をオフする。スイッチ駆動回路216は、ES許可信号が入力されている場合は、駆動制御回路220による駆動スイッチ215の制御を有効とするが、ES禁止信号が入力された場合は、駆動制御回路220による駆動スイッチ215の制御を無効とし、駆動スイッチ215を強制的にオフする。
【0155】
Rx回路225は、バッテリパック10から送信された送信データをRx端子205を介して受信し、その受信したデータを中継して駆動制御回路220へ出力する。Rx回路225は、例えば、充電器40におけるRx回路75と同様に構成されていてもよい。
【0156】
Tx回路227は、駆動制御回路220から出力される送信データを中継してバッテリパック10へ送信する。Tx回路227は、例えば、充電器40におけるTx回路77と同様に構成されていてもよい。
【0157】
TD出力回路229は、操作検出回路218から操作検出信号が入力されているか否かに応じて、操作部217が操作されているか否かを示す前述の操作信号を出力する。この操作信号は、TD端子209を介してバッテリパック10へ出力される。
【0158】
(5)バッテリパック及び充電器における端子配置
バッテリパック10において、正極端子11、負極端子12、センター端子13、ES端子14、Tx端子15、BD/TS端子16、Rx端子17、Vcc/TFB端子18、及びTD端子19は、
図7に示すように配置されている。センター端子13は、実際は、
図7に示すように、2つの分割端子13a,13bを備える。分割端子13a,13bは、電気的には導通されていて同電位である。なお、
図7に図示されているバッテリパック10は、これら各端子が配置されている配置面をその配置面に垂直な方向に見た状態を示している。
【0159】
充電器40において、正極端子41、負極端子42、センター端子43、ES端子44、Rx端子45、BD端子46、Tx端子47、及びVcc端子48は、
図7に示すように配置されている。なお、
図7に図示されている充電器40は、充電器40におけるこれら各端子が配置されている配置面をその配置面に垂直な方向に見た状態を示している。
【0160】
バッテリパック10は、充電器40に対して挿入方向に移動されることにより充電器40に装着される。挿入方向は、
図7における左方向に対応する。一方、充電器40に装着されたバッテリパック10は、充電器40に対して挿入方向とは逆の離脱方向に移動されることにより充電器40から離脱される。離脱方向は、
図7における右方向に対応する。なお、挿入方向及び離脱方向に垂直な方向を、以下、直交方向と称する。
【0161】
図7に示すように、本実施形態では、バッテリパック10におけるES端子14、Tx端子15、BD/TS端子16、Rx端子17、Vcc/TFB端子18、及びTD端子19は、離脱方向に沿って2列、直交方向に沿って3列に配置されている。
【0162】
具体的には、ES端子14、BD/TS端子16及びVcc/TFB端子18が、直交方向に沿って所定の間隔で一列に並んで配置されている。つまり、これら3つの端子の、離脱方向における位置は、同じである。
【0163】
Rx端子17は、離脱方向に沿ってES端子14と一列に並んで(ES端子14から離脱方向へ所定距離隔てて)配置されている。ES端子14とRx端子17の、直交方向における位置は、同じである。
【0164】
Tx端子15は、離脱方向に沿ってBD/TS端子16と一列に並んで(BD/TS端子16から離脱方向へ所定距離隔てて)配置されている。BD/TS端子16とTx端子15の、直交方向における位置は、同じである。
【0165】
TD端子19は、離脱方向に沿ってVcc/TFB端子18と一列に並んで(Vcc/TFB端子18から離脱方向へ所定距離隔てて)配置されている。Vcc/TFB端子18とTD端子19の、直交方向における位置は、同じである。
【0166】
バッテリパック10が充電器40から完全に離脱されている場合、
図7に示すように、バッテリパック10の各端子は充電器40における対応する端子に接続されていない。
バッテリパック10を充電器40に対して挿入方向へ移動させることによりバッテリパック10の充電器40への装着を開始すると、バッテリパック10と充電器40との位置関係が、例えば
図8に示す状態に変化する。
図8に示す位置関係においては、バッテリパック10の正極端子11が充電器40の正極端子41に接触し、バッテリパック10の負極端子12が充電器40の負極端子42に接触し、バッテリパック10のセンター端子13(詳しくは分割端子13b)が充電器40のセンター端子43に接触し、バッテリパック10のES端子14が充電器40のTx端子47に接触し、バッテリパック10のBD/TS端子16が充電器40のRx端子45に接触している。
【0167】
つまり、充電器40におけるRx端子45及びTx端子47は、バッテリパック10が充電器40に挿入される過程で、バッテリパック10における対応する端子(即ちバッテリパック10が完全に装着された場合に接続される端子)とは異なる端子(以下、「非対応端子」と称する)に一時的に接触する。
【0168】
図8に示す状態から、バッテリパック10を充電器40に対してさらに挿入方向へ移動させると、バッテリパック10と充電器40との位置関係は、例えば
図9に示す状態に変化する。
図9に示す位置関係においては、バッテリパック10の各端子が充電器40における対応する端子に接続されている。そのため、
図9に示す位置関係では、電気的には、バッテリパック10が充電器40に完全に装着された状態と同じである。
【0169】
図9に示す状態から、バッテリパック10を充電器40に対してさらに挿入方向へ移動させると、
図10に示すように、バッテリパック10が充電器40に完全に装着される。
図10に示すように充電器40に装着されたバッテリパック10を、充電器40から離脱させる際は、バッテリパック10を充電器40に対して離脱方向に移動させればよい。バッテリパック10を離脱方向へ移動させると、バッテリパック10と充電器40との位置関係が装着時とは逆に変化していく。そのため、例えば充電器40におけるTx端子47は、バッテリパック10が充電器40から離脱される過程で、バッテリパック10における対応する端子であるRx端子17が離脱した後、一時的に、非対応端子であるES端子14が接触する。
【0170】
(6)ES端子の配置位置について
本実施形態では、バッテリパック10のES端子14及び充電器40のES端子44は、充電器40に装着されたバッテリパック10が充電器40から離脱される離脱過程において充電器40のES端子44にバッテリパック10における非対応端子が接触しないように配置されている。より具体的には、本実施形態では、ES端子14,44は、離脱方向において最上流側に配置されている。そのため、離脱過程において、充電器40のES端子44からバッテリパック10のES端子14が離脱した後、充電器40のES端子44には、バッテリパック10のいずれの端子も接触しない。
【0171】
このように、離脱過程で充電器40のES端子44にバッテリパック10における非対応端子が接触しないように構成されている主な理由は、充電器40におけるES入力回路74の誤動作を抑制することにある。なお、ここでいうES入力回路74の誤動作は、ES入力回路74から意図せずES許可信号が出力されることを含む。
【0172】
ここで、例えば、充電器40におけるES端子44とTx端子47との位置関係、及びバッテリパック10におけるES端子14とRx端子17との位置関係が、
図7とは逆である場合を想定する。つまり、ES端子14が離脱方向においてRx端子17よりも下流側に配置され、ES端子44が離脱方向においてTx端子47よりも下流側に配置されている場合を想定する。また、バッテリパック10が充電器40に装着され、充電器40によりバッテリ20の充電が行われていること、つまりラインスイッチ回路58がオンし、正極ライン55にメインコンバータ54からバッテリパック10への充電電流が流れていること想定する。さらに、充電が行われている状態でバッテリパック10が充電器40から離脱されることを想定する。
【0173】
この場合、離脱過程において充電器40のES端子44からバッテリパック10のES端子14が離脱すると、充電器40においてES入力回路74から出力される信号がES許可信号からES禁止信号に変化する。そのため、ラインスイッチ回路58が強制的にオフされる。ただし、ラインスイッチ回路58が強制的にオフされた直後は、充電制御回路60は、前述のタイムラグなどの影響で、PWM信号を出力している。そのため、ラインスイッチ回路58はオフされたものの、メインコンバータ54は通常通り作動している状態となる。これにより、正極ライン55における、ラインスイッチ回路58とメインコンバータ54との間の電圧値V1(
図2参照)が上昇していき、ラインスイッチ回路58とセル群切替回路57との間の電圧値V2(
図2参照)との差が増加していく。
【0174】
バッテリパック10の離脱がさらに進むと、充電器40のES端子44に、バッテリパック10における非対応端子であるRx端子17が接触する。
図6を用いて説明したように、バッテリパック10におけるRx端子17の入力インピーダンスは、低インピーダンスである。そのため、充電器40のES端子44にバッテリパック10のRx端子17が接触すると、電気的には、バッテリパック10においてES出力回路24に許可指令が入力されているとき(以下、「ES許可時」と称する)のバッテリパック10のES端子14に接触した状態と等価になる。よって、充電器40において、ES入力回路74からES許可信号が出力され、ラインスイッチ回路58がオンする。
【0175】
電圧値V1が電圧値V2よりも高くなっている状態で、ラインスイッチ回路58がオンすると、電圧値V1と電圧値V2との差によって、ラインスイッチ回路58に過大な電流が流れ、これによりラインスイッチ回路58が破損する可能性がある。
【0176】
ES入力回路74の誤動作は、ES端子44がバッテリパック10のRx端子17に接触した場合に限らず、バッテリパック10における、入力インピーダンスが低インピーダンスである他の端子(例えばTx端子15)に接触した場合にも起こり得る。
【0177】
そこで、本実施形態のバッテリパック10及び充電器40は、離脱過程において、充電器40のES端子44からバッテリパック10のES端子14が離脱した後、充電器40のES端子44にバッテリパック10のいずれの端子も接触しないように構成されている。
【0178】
なお、バッテリパック10において、ES端子14は本開示における第3パック端子の一例に相当し、Rx端子17は本開示における第2パック端子の一例に相当し、Vcc/TFB端子18は本開示における第1パック端子の一例に相当する。充電器40において、ES端子44は本開示における第3機器端子の一例に相当し、Tx端子47は本開示における第2機器端子の一例に相当し、Vcc端子48は本開示における第1機器端子の一例に相当する。バッテリパック10の装着検出回路28は本開示における状態設定回路の一例に相当する。充電器40において、ES入力回路74は本開示における機能回路の一例に相当し、メインコンバータ54は本開示における充電回路の一例に相当し、正極ライン55は本開示における電力経路の一例に相当し、ラインスイッチ回路58は本開示におけるスイッチ回路の一例に相当し、充電制御回路60は本開示におけるスイッチ制御回路の一例に相当し、スイッチ駆動回路59は本開示における強制遮断回路の一例に相当する。第1閾値以下の範囲は本開示における規定範囲の一例に相当する。
【0179】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0180】
(1)ES端子14,44は、離脱過程において、充電器40のES端子44からバッテリパック10のES端子14が離脱した後、充電器40のES端子44にバッテリパック10における非対応端子(ただし入力インピーダンスが高インピーダンスである端子)が接触するように配置されていてもよい。
【0181】
具体的な配置例を、
図11に示す。
図11においては、充電器40のES端子44は、離脱方向における下流側に配置されており、離脱方向における上流側にはVcc端子48が配置されている。そのため、離脱過程において、充電器40のES端子44は、バッテリパック10のES端子14が離脱した後に、バッテリパック10のVcc/TFB端子18が接触する。
【0182】
ただし、バッテリパック10のVcc/TFB端子18の入力インピーダンスは、
図5を参照して説明したように、高インピーダンスである。そのため、このVcc/TFB端子18が充電器40のES端子44に接触しても、充電器40のES入力回路74は誤動作しない。
【0183】
このように、非対応端子であっても充電器40のES端子44に接触した場合にES入力回路74が誤動作しないように構成されている非対応端子(具体的には本実施形態では入力インピーダンスが高インピーダンスである端子)であれば、離脱過程において充電器40のES端子44に接触するように配置されていてもよい。
【0184】
(2)バッテリパック10及び充電器40における各端子の配置位置は、
図7及び
図11に例示した位置とは異なっていてもよい。
バッテリパック10及び充電器40における各端子は、離脱過程において、バッテリパック10における、入力インピーダンスが低インピーダンスである非対応端子(つまり充電器40のES端子44に接触するとES入力回路74の誤動作を引き起こし得る非対応端子)が、充電器40のES端子44を含まない通過領域を通過するように配置されていてもよい。
【0185】
換言すれば、充電器40のES端子44は、離脱過程において、バッテリパック10における、入力インピーダンスが低インピーダンスである非対応端子が接触することがないように配置されていてもよい。
【0186】
例えば、
図7において、Vcc/TFB端子18の位置と、Tx端子15(又はBD/TS端子16又はTD端子19)の位置とが逆であってもよい。また例えば、
図7において、Rx端子17の位置とTx端子15の位置とが逆であってもよい。また例えば、
図11において、Vcc/TFB端子18が配置されている位置に、他の端子(ただし入力インピーダンスが低インピーダンスではない端子。例えばBD/TS端子16。)が配置されていてもよい。また例えば、
図7において、ES端子14と、BD/TS端子16と、Vcc/TFB端子18とは、直交方向において必ずしも一列に並んで配置されていなくてもよい。Rx端子17とTx端子15とTD端子19との位置関係についても同様である。
【0187】
また、バッテリパック10及び充電器40における端子の総数はいくつであってもよい。
(3)充電器40のES入力回路74及びバッテリパック10のES出力回路24は、どのように構成されていてもよい。上記実施形態では、充電器40のES入力回路74は、その入力段にPNP形バイポーラトランジスタ(スイッチング素子T42)(以下、「入力スイッチ」と称する)が設けられているが、ES入力回路74は、入力段に例えばPNP形バイポーラトランジスタが設けられ、このトランジスタがオンまたはオフされることによってES許可信号またはES禁止信号を出力するように構成されていてもよい。
【0188】
バッテリパック10のES出力回路24は、例えば、バッテリ制御回路23から許可指令が入力された場合はES端子14を介して上記トランジスタのベースへHレベル信号を出力することにより上記トランジスタをオンさせ、バッテリ制御回路23から禁止指令が入力された場合はES端子14を介して上記トランジスタのベースへLレベル信号を出力することにより上記トランジスタをオフさせるように構成されていてもよい。
【0189】
この場合も、充電器40のES端子44は、離脱過程において、バッテリパック10における非対応端子のうち充電器40のES端子44に接触するとES入力回路74が誤動作する(つまり上記トランジスタがオンする)端子が接触しないように配置されていてもよい。
【0190】
(4)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0191】
10…バッテリパック、14…ES端子、17…Rx端子、18…Vcc/TFB端子、20…バッテリ、21…第1セル群、22…第2セル群、23…バッテリ制御回路、24…ES出力回路、27…Rx回路、28…装着検出回路、40…充電器、44…ES端子、47…Tx端子、48…Vcc端子、54…メインコンバータ、55…正極ライン、58…ラインスイッチ回路、59…スイッチ駆動回路、60…充電制御回路、200…作業機本体。