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特許7116290ホスト化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】ホスト化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20220803BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H05B33/14 B
C09K11/06 690
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019522931
(86)(22)【出願日】2017-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2017078041
(87)【国際公開番号】W WO2018083169
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】102016221628.7
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンゲラ・ディーゲンナーロ
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/069242(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0141387(US,A1)
【文献】国際公開第2007/069569(WO,A1)
【文献】特開2013-060411(JP,A)
【文献】特開2016-149520(JP,A)
【文献】国際公開第2015/169412(WO,A1)
【文献】特開2013-243266(JP,A)
【文献】特開2007-042875(JP,A)
【文献】国際公開第2012/124622(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
C09K 11/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの式(V):
【化1】
[式中:
1、A2、A3及びA4はそれぞれ互いに独立して、CH及びCRaからなる群より選択
され;
残基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R’1、R’2、R’3、R’4、R’5、R’6及びR’8は全てそれぞれ水素であり;
XはO又はSであり;
X’はNRe、O又はSであり;
a びReはそれぞれ、非置換又は置換されたC6-C18-アリール、C1-C20-アルキル、C7-C19-アルカリル、C1-C20-ヘテロアルキル及びC3-C17-ヘテロアリールからなる群より選択される]
のホスト化合物Hを含有する発光層Bを含む有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項2】
有機発光ダイオード、発光電気化学セル、及び発光トランジスタからなる群より選択されるデバイスである、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項3】
1、A2、A3及びA4の少なくとも2つはそれぞれCHであり、好ましくはここでA1
、A2、A3及びA4の少なくとも3つがそれぞれCHである、請求項1又は2に記載の有
機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項4】
1、A2、A3及びA4はそれぞれCHである、請求項1~3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項5】
X’はNReであり、そしてReは、フェニル、ピリジル、メチル、エチル、ビフェニル、及びターフェニルからなる群より選択される非置換又は置換された残基からなる群より選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項6】
ホスト化合物Hは、以下の式(II)~(IV):
【化2】
[式中、X及びX’は請求項1において定義されたとおりである]
の1つに従う構造を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項7】
ホスト化合物Hは、以下の式(VI)~(X):
【化3】
の1つに従う構造を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項8】
発光層Bは:
(i) 請求項1~7のいずれか1項に記載の少なくとも1つのホスト化合物H 5~99質量%、好ましくは30~94.9質量%、特に40~89質量%;
(ii) 少なくとも1つのエミッター化合物E 1~50質量%、好ましくは5~40質量%、特に10~30質量%;及び場合により
(iii) 式(I)に従わない少なくとも1つのさらなるホスト化合物D 0~94質量%、好ましくは0.1~65質量%、特に1~50質量%;及び場合により
(iv) 溶媒 0~94質量%、好ましくは0~65質量%、特に0~50質量%
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項9】
ホスト化合物Hは、-5~-6eVの範囲のエネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有し、そして少なくとも1つのさらなるホスト化合物Dは、エネルギーEHOMO(D)を有する最高被占分子軌道HOMO(D)を有し、ここでEHOMO(H)>EHOMO(D)である、請求項8に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項10】
ホスト化合物Hは、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有し、そして少なくとも1つのさらなるホスト化合物Dは、エネルギーELUMO(D)を有する最低空分子軌道LUMO(D)を有し、ここでELUMO(H)>ELUMO(D)である、請求項8又は9に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項11】
ホスト化合物Hは、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)及びエネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有し、そして
少なくとも1つのさらなるホスト化合物Dは、エネルギーEHOMO(D)を有する最高被占分子軌道HOMO(D)及びエネルギーELUMO(D)を有する最低空分子軌道LUMO(D)を有し、
エミッター化合物Eは、エネルギーEHOMO(E)を有する最高被占分子軌道HOMO(E)及びエネルギーELUMO(E)を有する最低空分子軌道LUMO(E)を有し、ここで
HOMO(H)>EHOMO(D)であり、そしてエミッター化合物Eの最高被占分子軌道HOMO(E)のエネルギーレベル(EHOMO(E))とホスト化合物Hの最高被占分子軌道HOMO(H)のエネルギーレベル(EHOMO(H))との間の差異は、-0.5eVと0.5eVとの間、より好ましくは-0.3eVと0.3eVとの間、さらにより好ましくは-0.2eVと0.2eVとの間又は-0.1eVと0.1eVとの間であり;そして
LUMO(H)>ELUMO(D)であり、そしてエミッター化合物Eの最低空分子軌道LUMO(E)のエネルギーレベル(ELUMO(E))と、少なくとも1つのさらなるホスト化合物Dの最低空分子軌道LUMO(D)のエネルギーレベル(ELUMO(D))との間の差異は、-0.5eVと0.5eVとの間、より好ましくは-0.3eVと0.3eVとの間、さらにより好ましくは-0.2eVと0.2eVとの間又は-0.1eVと0.1eVとの間である、
請求項8~10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項12】
少なくとも1つのさらなるホスト化合物Dは、式(XI):
【化4】
[式中:
1、K2及びK3はそれぞれ互いに独立して、CH、CRk、及びNからなる群より選択され;ここで残基K1、K2及びK3の少なくとも1つはNであり;
ここでRkは、非置換又は置換されたC1-C20-アルキル、C6-C18-アリール、C3-C17-ヘテロアリール、C7-C19-アルカリル、及び-SiRfghからなる群より選択され、ここでC6-C18-アリール、C3-C17-ヘテロアリール又はC7-C19-ア
ルカリルは、それぞれの存在について、C1-C20-アルキル、C7-C19-アルカリル及びC6-C18-アリールからなる群より選択される残基で場合により置換されていてもよ
く;
n及びRmはそれぞれ違いに独立して、水素、C1-C20-アルキル、C6-C18-アリール、C3-C17-ヘテロアリール、C7-C19-アルカリル及び-SiRfghからな
る群より選択され、ここでC6-C18-アリール、C3-C17-ヘテロアリール又はC7
19-アルカリルは、それぞれの存在について、C1-C20-アルキル、C7-C19-アルカリル、及びC6-C18-アリールからなる群より選択される残基で場合により置換され
ていてもよく;
bは、単結合及び場合により置換されたC6-C18-アリレンからなる群より選択され;
Gは、式(XII)~(XV)
【化5】
[式中:
#はLbへの結合部位であり;
X’’はO及びSからなる群より選択され;
XII、RXIII、RXIV、RXV、RXVI、RXVII、RXVIII、RXIX、RXX、RXXI XXII
、RXXIII、RXXIV、RXXV、RXXVI、RXXVII、RXXVIII、RXXIX、RXXX、RXXXI、RXXXII、RXXXIII、RXXXIV、RXXXV、RXXXVI、RXXXVII、RXXXVIII及びRXXXIXはそれぞ
れ互いに独立して、水素、-Cl、-Br、-I、-CN、-CF3、C1-C20-アルキル、C6-C18-アリール、C3-C17-ヘテロアリール、C7-C19-アルカリル及び-
SiRfghからなる群より選択され、ここでC6-C18-アリール、C3-C17-ヘテ
ロアリール又はC7-C19-アルカリルは、それぞれの存在について、C1-C20-アルキル、C7-C19-アルカリル、C6-C18-アリール、-CN及び-CH3からなる群より
選択される残基で場合により置換されていてもよく;
p及びRrはそれぞれ互いに独立して、水素、C1-C20-アルキル、C6-C18-アリール、C3-C17-ヘテロアリール、C7-C19-アルカリル及び-SiRfghからな
る群より選択され、ここでC6-C18-アリール、C3-C17-ヘテロアリール又はC7
19-アルカリルは、それぞれの存在について、C1-C20-アルキル、C7-C19-アルカリル、C6-C18-アリール、-CN及び-CH3からなる群より選択される残基で場合により置換されていてもよい]
のうちの1つの構造の基であるか又は該構造を含有する基であり;そして
f、Rg、及びRhはそれぞれ、非置換又は置換されたC6-C18-アリール、C1-C20-アルキル、C7-C19-アルカリル、C1-C20-ヘテロアルキル及びC3-C17-ヘテロアリールからなる群より選択される]
の構造を有するか該構造を含有する、請求項8~11のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項13】
少なくとも以下の層:
A) 酸化インジウムすず、インジウム亜鉛酸化物、PbO、SnO、グラファイト、ドープケイ素、ドープゲルマニウム、ドープGaAs、ドープポリアニリン、ドープポリピロール、ドープポリチオフェン、及びそれらの2つ又はそれ以上の混合物からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含有するアノード層A;
B) 発光層B;並びに
C) Al、Au、Ag、Pt、Cu、Zn、Ni、Fe、Pb、In、W、Pd、LiF、Ca、Ba、Mg、及びそれらの2つ又はそれ以上の混合物又は合金からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含有するカソード層C
を含み、
ここで、発光層Bはアノード層Aとカソード層Cとの間に位置する、
請求項1~12のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項14】
(i) 請求項1~13のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセントデバイスを準備する工程;及び
(ii) 該有機エレクトロルミネセントデバイスに電流を印加する工程
を含む、所望の波長範囲の光を発生させるための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)
【化1】
[式中、残基A、A、A及びAのうち2つ以下はそれぞれNであり、XはO又はSであり、そしてX’はNR、O又はSであり、好ましくはここで残基の全て、残基A、A、A及びAはそれぞれ、場合により置換された炭素原子である]の少なくとも1つのホスト化合物Hを含有する発光層Bを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。さらに、本発明は、本発明に従う有機エレクトロルミネセントデバイスに電流を印加することにより所望の波長範囲の光を生成するための方法に言及する。
【背景技術】
【0002】
有機物に基づく1つ又はそれ以上の発光層を含有する有機エレクトロルミネセントデバイス、例えば、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学セル(LEC)及び発光トランジスタは、重要性を増している。特に、OLEDは、例えば、スクリーン、ディスプレイ及び照明機器のような電子製品のための有望なデバイスである。本質的に無機物に基づく大部分のエレクトロルミネセントデバイスと対照的に、有機物に基づく有機エレクトロルミネセントデバイスは、しばしばむしろ可撓性であり、そして特定の薄層で製造可能である。現在すでに利用可能なOLEDベースのスクリーン及びディスプレイは、特に有益な鮮明な色、コントラストを有し、そしてそれらのエネルギー消費に関して比較的効率的である。
【0003】
光を発生させるための有機エレクトロルミネセントデバイスの中心的要素は、アノードとカソードの間に配置された発光層である。電圧(及び電流)が有機エレクトロルミネセントデバイスに印加され、ホール及び電子がそれぞれアノード及びカソードから発光層へ注入される。次いで、ホールと電子との再結合により高エネルギーの励起子が生成される。このような励起された状態(例えば、S1のような一重項状態及び/又はT1のような三重項状態)の基底状態(S0)への減衰は、望ましくは発光を生じる。効率的なエネルギー輸送及び発光を可能にするために、有機エレクトロルミネセントデバイスは1つ又はそれ以上のホスト化合物及び1つ又はそれ以上のエミッター化合物をドーパントとして含む。
【0004】
有機エレクトロルミネセントデバイスを生成する場合の課題は、デバイスの照明レベル(すなわち、電流あたりの明るさ)の改善、所望の光スペクトルを得ること、及び適切な寿命の達成である。
【0005】
導入された電気エネルギーあたりのデバイスにより達成された照明レベルを改善するために、しばしばホスト化合物が使用され、これはエミッター化合物にエネルギーを移動させることができる。このようなホスト-エミッター系の理想的な場合において、大部分の励起子は、ホスト化合物からエミッター化合物の励起一重項S1又は三重項T1エネルギーレベルへとエネルギー及び/又は電荷移動を介して移動される。しばしばホスト化合物は、エミッター化合物を別のものと空間的に分離して、それにより(自己)消光を防止するために役立つ。さらに、ホスト化合物は、エミッター層の形態及び/又は熱安定性を改善するために役立ち得る。多種多様なホスト化合物が当該分野で公知である。
【0006】
しかし、当該分野で公知のホスト化合物の多くは、ホスト化合物の有用性、保存性及び寿命を損なう反応性官能基を保有する。例となる多くのホストは、特に酸化に感受性である。さらに、当該分野で公知のホスト化合物の多くは、比較的複雑な合成工程を必要とし、従って比較的高価である。さらに、特に低い駆動電圧及び/又は高い輝度を可能にするための電荷キャリア移動性をもたらすために適した二極性かつ/もしくはn型のホスト又は二極性かつ/もしくは電子豊富なp型ホストであるホスト化合物を得ることが望ましい。
【0007】
特許文献1及び特許文献2は、かなり複雑な三環式コア構造を有するホスト化合物を記載する。特許文献3は、カルバゾールの窒素原子が両方ともアリールに連結されているビス-カルバゾール誘導体を記載する。これらのホスト化合物はかなり安定で効率的である。しかし、これらの化合物は、複雑な合成を必要とするかなり複雑な構造を有する。さらに、それらの特徴及びエネルギー移動の能力はなお改善可能である。
【0008】
特許文献4はOLEDにおける使用のためのピリジン含有化合物を教示する。特許文献5及び特許文献6は両方とも、エレクトロルミネセントデバイス及びそれらにおける使用のための化合物を教示し、ここでこのような化合物は多数の置換基によりそれぞれ置換されている、特にそれぞれ2つの(ヘテロ)芳香族残基により置換されている複素環を有すると教示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】US-A 2015/0255731
【文献】KR-A 2012-0072784
【文献】WO 2016/010402
【文献】CN-A 1052946631
【文献】US-A 2015/0104636
【文献】US-A 2014/0231772
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
先行文献を考慮して、容易に入手可能でありかつ化学的及び熱的に安定で長い寿命を可能にするホスト化合物を提供する必要性がなお存在する。これらのホスト化合物が低い三重項消光をもたらす高い三重項エネルギーレベルを有し、そしてエネルギーをエミッター化合物により短い波長(深い青色、空色又は緑色)範囲で効率的に移動させることができることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、ヘテロ原子としてX=O又はS及びX’=NR、O又はS[ここでRは水素ではない]をそれぞれ含む2つの場合により置換されたカルバゾール、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェン残基を架橋する(ヘテロ)アリールから構成される本発明のホスト化合物Hは、特に有益な特性をもたらすということが見出された。該化合物は化学的及び熱的に安定であり、かつ長い寿命を可能にする。ホスト化合物Hは化学的に十分入手可能である。ホスト化合物Hの三重項エネルギーT1(H)はかなり高く、バンドギャップも同様で、低い三重項消光をもたらす。ホスト化合物Hは、可視範囲において低い駆動電圧及び高い輝度を可能にする。本発明のホスト化合物の極性は比較的低いので、放射の比較的低いレッドシフトがあり、それにより青色発光のより容易な実現を可能にする。
【0012】
概して、式(I)
【化2】
[式中、残基A、A、A及びAのうち2つ以下はそれぞれNであり、XはO又はSであり、そしてX’はNR、O又はSである]
のホスト化合物Hを少なくとも1つ含有する発光層Bを含む有機エレクトロルミネセントデバイスが教示される。
【0013】
より好ましくは、本発明は、式(I)の少なくとも1つのホスト化合物Hを含有する発光層Bを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関し、式中:
、A、A及びAはそれぞれ互いに独立して、CH、CR、及びNからなる群より選択され、ここで残基A、A、A及びAのうち2つ以下はNであり;
、R、R及びRの1つ並びにR’、R’、R’及びR’の1つはそれぞれ、残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基への結合部位であり、そして残りの残基R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’は、それぞれ互いに独立して、水素、C-C20-アルキル、C-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール、C-C19-アルカリル(alkaryl)、及び-SiRからなる群より選択され、ここでC-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール又はC-C19-アルカリルは、それぞれの存在について、C-C20-アルキル、C-C19-アルカリル、及びC-C18-アリールからなる群より選択される残基で場合により置換されていてもよく;
XはO又はSであり;
X’はNR、O又はSであり;そして
、R、R、R及びRはそれぞれ、非置換又は置換されたC-C18-アリール、C-C20-アルキル、C-C20-ヘテロアルキル及びC-C17-ヘテロアリールからなる群より選択される。
【0014】
本発明は、式(I):
【化3】
[式中:
、A、A及びAはそれぞれ互いに独立して、CH、CR、及びNからなる群より選択され、ここで残基A、A、A及びAのうち2つ以下はNであり;
、R、R及びRの1つ並びにR’、R’、R’及びR’の1つはそれぞれ、残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基への結合部位であり、そして残りの残基R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ、互いに独立して、水素、C-C20-アルキル、C-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール、C-C19-アルカリル、及び-SiRからなる群より選択され、ここでC-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール又はC-C19-アルカリルは、それぞれの存在について、C-C20-アルキル、C-C19-アルカリル、及びC-C18-アリールからなる群より選択される残基で場合により置換されていてもよく;
XはO又はSであり;
X’はNR、O又はSであり;そして
、R、R、R及びRはそれぞれ、非置換又は置換されたC-C18-アリール、C-C20-アルキル、C-C20-ヘテロアルキル及びC-C17-ヘテロアリールからなる群より選択される]
の少なくとも1つのホスト化合物Hを含有する発光層Bを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに言及する。
【0015】
本発明の局面は、式(I):
【化4】
[式中:
、A、A及びAはそれぞれ互いに独立して、CH及びCRからなる群より
選択され;
、R、R及びRの1つ並びにR’、R’、R’及びR’の1つはそれぞれ、残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基への結合部位であり、そして残りの残基R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ、互いに独立して、水素、C-C20-アルキル、C-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール、C-C19-アルカリル、及び-SiRからなる群より選択され、ここでC-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール又はC-C19-アルカリルは、それぞれの存在について、C-C20-アルキル、C-C19-アルカリル、及びC-C18-アリールからなる群より選択される残基で場合により置換されていてもよく、ここでR、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’のうち少なくとも13はそれぞれ水素であり;
XはO又はSであり;
X’はNR、O又はSであり;そして
、R、R、R及びRはそれぞれ、非置換又は置換されたC-C18-アリール、C-C20-アルキル、C-C20-ヘテロアルキル及びC-C17-ヘテロアリールからなる群より選択される]
の少なくとも1つのホスト化合物Hを含有する発光層Bを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに言及する。
【0016】
典型的に、式(I)のホスト化合物Hは、スルホン、ホスフィンオキシド、及びFのような潜在的に不安定な官能基を含まない。
【0017】
本明細書で使用される用語有機エレクトロルミネセントデバイス及び光-電子発光デバイスは、最も広い意味で、1つ又はそれ以上の有機ホスト化合物及び1つ又はそれ以上の有機エミッター化合物を含有する少なくとも1つの発光層を含むいずれかのデバイスとして理解され得る。発光層Bは、無機化合物及び有機化合物の両方から主に構成され得る。好ましくは、発光層Bは主に、又は完全に有機成分(本発明の少なくとも1つのホスト化合物H及び典型的には少なくとも1つのエミッター化合物Eを含めて)から構成される。
【0018】
本発明の文脈において使用される用語「層」は、好ましくは広く平面的な形状を有する物体である。発光層Bは好ましくは1mm以下、より好ましくは0.1mm以下、なおより好ましくは10μm以下、なおより好ましくは1μm以下、特に0.1μm以下の厚さを有する。
【0019】
他に特に規定がなければ、様々な実施態様の層はいずれも、いずれかの適切な方法により堆積され得る。発光層Bを含めて本発明の文脈における層は、液体処理(「液体処理」、「流体処理」、「溶液処理」又は「溶媒処理」とも指定される)により場合により製造され得る。
これは、それぞれの層に含まれる成分が、液体状態のデバイスの一部の表面に付着されることを意味する。好ましくは、発光層Bを含めて本発明の文脈における層は、スピンコーティングにより製造され得る。当業者に周知であるこの方法は、薄くかつ(本質的に)均質な層を得ることを可能にする。
【0020】
あるいは、発光層Bを含めて本発明の文脈における層は、例えば、鋳造(例えば、ドロップキャスト法(dropcasting))及び圧延法、並びに印刷法(例えば、インクジェット印刷、グラビア印刷、ブレードコーティング)のような液体処理に基づく他の方法により製造され得る。これは場合により不活性雰囲気下(例えば、窒素雰囲気中)で行われ得る。
【0021】
あるいは、発光層Bを含めて本発明の文脈における層は、当該分野で公知のいずれかの他の方法により製造され得、これらの方法としては、限定されないが、例えば、熱(共)蒸着、有機気相蒸着(OVPD)、及び有機蒸気ジェット印刷(OVJP)による蒸着のような当該分野で周知の真空処理方法が挙げられる。
【0022】
液体処理により層を製造する場合、層の成分(すなわち、本発明の発光層Bに関して、少なくとも1つのホスト化合物H及び典型的に、少なくとも1つのエミッター化合物E及び場合により1つ又はそれ以上の他のホスト化合物D)を含む溶液は、揮発性有機溶媒を更に含み得る。このような揮発性有機溶媒は、場合により、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロベンゼン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、ガンマ-ブチロラクトン、N-メチルピロリジノン、エトキシエタノール、キシレン、トルエン、アニソール、フェネトール、アセトニトリル、テトラヒドロチオフェン、ベンゾニトリル、ピリジン、トリヒドロフラン、トリアリールアミン、シクロヘキサノン、アセトン、プロピレンカーボネート、酢酸エチル、ベンゼン及びPGMEA(プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート)からなる群より選択されるものであり得る。2つ又はそれ以上の溶媒の組み合わせも使用され得る。液体状態で付着された後、続いて層は当該分野のいずれかの手段により、典型的には周囲温度で、高温(例えば、約50℃又は約60℃)で又は減圧で、乾燥されるか、そして/又は硬化され得る。
【0023】
本出願全体にわたって使用される用語「アリール」及び「芳香族」は、最も広い意味で、単環式、二環式、又は多環式芳香族部分と理解され得る。他に規定されていなければ、アリールはまた、本出願の全体にわたってさらに例示される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されていてもよい。従って、用語「アリレン」は、他の分子構造への2つの結合部位を有し、それによりリンカー構造として役立つ二価の残基を指す。本出願全体にわたって使用される用語「ヘテロアリール」及び「ヘテロ芳香族」は、最も広い意味で、少なくとも1つのヘテロ原子を含む、特に芳香族環あたり1~3個のヘテロ原子を有するいずれかの単環式、二環式又は多環式ヘテロ芳香族部分と理解され得る。典型的に、ヘテロ芳香族化合物は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン及びピリミジンなどであり得る。他の指示がなければ、ヘテロアリールはまた、本出願全体にわたってさらに例示される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されていてもよい。従って、用語「ヘテロアリレン」は、他の分子構造への2つの結合部位を有し、そしてそれによりリンカー構造として役立つ二価の残基を指す。
【0024】
本出願全体にわたって使用される用語「アルキル」は、最も広い意味で、直鎖又は分枝鎖の両方のアルキル残基として理解され得る。好ましいアルキル残基は、1~15個の炭素原子を含有するものである。典型的には、アルキル残基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどであり得る。他の指示がなければ、アルキルはまた、本出願全体にわたってさらに例示される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換され得る。従って、用語「アルキレン」は、他の分子構造への2つの結合部位を有し、それによりリンカー構造として役立つ二価残基を指す。
【0025】
他の指示がなければ、本明細書で使用される、特にアリール、アリレン、ヘテロアリール、アルキルなどの文脈において使用される用語「置換された」は、最も広い意味で理解され得る。好ましくは、このような置換は、C-C20-アルキル、C-C19-アルカリル、及びC-C18-アリールからなる群より選択される残基を意味する。従って、好ましくは、このような置換基中に電荷部分はなく、より好ましくは官能基は存在しない。
【0026】
水素はそれぞれの存在について重水素により置き換えられ得るということがわかるだろう。
【0027】
有機エレクトロルミネセントデバイスは、最も広い意味で、可視又は近紫外(UV)範囲、すなわち、380~800nmの波長範囲の発光に適した有機材料に基づくいずれかのデバイスとして理解され得る。より好ましくは、有機エレクトロルミネセントデバイスは、可視範囲、すなわち400~800nmの光を発生することができるかもしれない。
【0028】
好ましい実施態様において、有機エレクトロルミネセントデバイスは、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学セル(LEC)及び発光トランジスタからなる群より選択されるデバイスである。
【0029】
特に好ましくは、有機エレクトロルミネセントデバイスは、有機発光ダイオード(OLED)である。場合により、OLEDはリン光有機発光ダイオード(PHOLED)であってもよい。場合により、OLEDはhyperfluorescenceを含み得る。場合により、有機エレクトロルミネセントデバイスは全体として、不透明でも、半透明でも、(本質的に)透明でもよい。
【0030】
残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基は、フェニル、ピリジン、ピリミジン及びピラジンからなる群より選択され得、これはそれぞれ、それぞれヘテロ原子X及びX’を有し、場合により置換されたカルバゾール、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェン残基により少なくともオルト置換され、そして場合によりさらに置換され得る。好ましくは、該C-C-(ヘテロ)アリレン残基はさらに置換されない。
好ましくは、式(I)のホスト化合物Hにおいて、残基A、A、A及びAのうちの1つ以下はNである。好ましくは、残基A、A、A及びAのうち2つ以下はCRである。より好ましくは、残基A、A、A及びAのうち1つ以下はNであり、そして残基A、A、A及びAのうちの2つ以下はCRである。
【0031】
オルト置換は、立体障害をもたらし得、これが同等に高い三重項エネルギーレベルT1(H)及び比較的高いバンドギャップを生じる改善されたデカップリングをもたらし得る。
【0032】
本発明によれば、A、A、A及びAは好ましくはそれぞれCH又はCRである。好ましくは、A、A、A及びAのうち少なくとも2つは本明細書においてそれぞれCHである。より好ましくは、A、A、A及びAの少なくとも3つは本明細書においてそれぞれCHである。
【0033】
従って、好ましい実施態様の例は:
=CH、A=CH、A=CH、かつA=CH;
=CR、A=CH、A=CH、かつA=CH;
=CH、A=CR、A=CH、かつA=CH;
=CH、A=CH、A=CR、かつA=CH;
=CH、A=CH、A=CH、かつA=CR
=N、A=CH、A=CH、かつA=CH;
=CH、A=N、A=CH、かつA=CH;
=CH、A=CH、A=N、かつA=CH;
=CH、A=CH、A=CH、かつA=N;
=CR、A=CH、A=CH、かつA=CH;
=CR、A=N、A=CH、かつA=CH;
=CR、A=CH、A=N、かつA=CH;
=CR、A=CH、A=CH、かつA=N;
=CR、A=CH、A=N、かつA=N;
=N、A=CR、A=CH、かつA=CH;
=CH、A=CR、A=N、かつA=CH;
=CH、A=CR、A=CH、かつA N;
=N、A=CH、A=CR、かつA=CH;
=CH、A=N、A=CR、かつA=CH;
=CH、A=CH、A=CR、かつA=N;
=N、A=CH、A=CH、かつA=CR
=CH、A=N、A=CH、かつA=CR
=CH、A=CH、A=N、かつA=CR
=CR、A=CR、A=CH、かつA=CH;
=CR、A=CH、A=CR、かつA=CH;
=CR、A=CH、A=CH、かつA=CR
=CH、A=CR、A=CR、かつA=CH;
=CH、A=CR、A=CH、かつA=CR;及び
=CH、A=CH、A=CR、かつA=CR
である。
【0034】
特に好ましい実施態様において、A、A、A及びAは全てそれぞれCHである。
【0035】
好ましくは、残基R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’の全て又は大部分は水素であり、そして上記残基の残りは、C-C20-アルキル、C-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール及び-SiRからなる群より選択される。
【0036】
好ましくは、R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’のうち少なくとも12はそれぞれ水素である。従って、残基R、R、R、R、R’、R’、R’及びR’のうち2つは、残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基への結合部位を表すので、2個以下の残基は、それぞれ場合により、水素以外の残基、すなわち置換基であってもよい。本発明によれば、R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’のうち少なくとも13は好ましくはそれぞれ水素である。従って、1つ以下の残基は場合により、水素以外の残基、すなわち置換基であってもよい。
【0037】
場合により、このような水素以外の置換基又はA、A、A、A、R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及び/もしくはR’のいずれか並びに/又はX及び/若しくはX’も、例えばホスト化合物H又はそれを含む組成物のガラス転移温度のようなホスト化合物Hの化学的及び/又は物理的特性を調整するために使用することができる。
【0038】
あるいは、R、R、R、R、R、R、R及びRのうち少なくとも6つ並びにR’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’のうち少なくとも6つはそれぞれ水素であり得ることが開示される。従って、残基R、R、R、Rのうちの1つ、さらに残基R’、R’、R’及びR’のうちの1つはそれぞれ、残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ
)アリレン残基への結合部位を表すので、残基R、R、R、Rのうち1つ以下、さらに残基R’、R’、R’及びR’のうち1つ以下は、場合によりそれぞれ水素以外の残基、すなわち置換基であってもよい。
【0039】
例示的に、以下の好ましい実施態様が提供され、ここで式(I)に従うホスト化合物Hにおいて、残基は以下のとおり定義される:
、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてRは水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてRは水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてRは水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてRは水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてRは水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてRは水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてRは水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてRは水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてRは水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR’は水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR’は水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR’は水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR’は水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR’は水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR’は水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR’は水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR’は水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR及びR’はそれぞれ水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR及びR’はそれぞれ水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR及びR’はそれぞれ水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR及びR’はそれぞれ水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR及びR’はそれぞれ水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR及びR’はそれぞれ水素以外の置換基である;
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR及びR’はそれぞれ水素以外の置換基である;又は
、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’はそれぞれ水素であり、そしてR及びR’はそれぞれ水素以外の置換基である。
【0040】
特に好ましい実施態様において、残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基への結合部位ではない残基R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’は全てそれぞれ水素である。
【0041】
、A、A及びAはそれぞれCH又はCRであり得、そして残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基への結合部位ではない残基R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’のうちの2つ以下は、水素以外の置換基であってもよく、そして残りの残基は全て水素であり得る。
【0042】
好ましくは、A、A、A及びAはそれぞれCH又はCRであり、そして残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基への結合部位ではない残基R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’は全て水素である。
【0043】
好ましくは、A、A、A及びAのうち少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つは、本明細書でそれぞれCHであり、そして残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基への結合部位ではない残基R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’のうち1つ以下は、水素以外の置換基であり、そして残りの残基は全て水素である。
【0044】
好ましくは、A、A、A及びAはのうち少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つは、本明細書でそれぞれCHであり、そして残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基への結合部位ではない残基R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’は全て水素である。
【0045】
特に好ましい実施態様において、A、A、A及びAはそれぞれCHであり、そして残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基への結合部位ではない残基R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’は全てそれぞれ水素である。
【0046】
上で説明されるように、式(I)のホスト化合物Hにおいて、XはO又はSであり得、そしてX’はNR、O又はSであり得る。
【0047】
従って、式(I)のホスト化合物Hは、X及びX’の以下の定義を有し得る:
X=OかつX’=NR
X=OかつX’=O;
X=OかつX’=S;
X=SかつX’=NR
X=SかつX’=O;又は
X=SかつX’=S。
【0048】
好ましくは、X’はNRである。特に好ましくは、式(I)のホスト化合物Hにおいて、XはOであり、そしてX’はNRである。
【0049】
ここで、Rは、非置換又は置換されたC-C18-アリール、C-C20-アルキル、C-C20-ヘテロアルキル及びC-C17-ヘテロアリールからなる群より選択され得る。
【0050】
好ましくは、Rは、非置換又は置換されたC-C18-アリール及びC-C10-アルキルからなる群より選択され、より好ましくはフェニル、ピリジル、メチル、エチル、ビフェニル、及びターフェニルからなる群より選択される非置換又は置換された残基からなる群より選択される。
【0051】
従って、好ましい実施態様において、X’はNRであり、そしてRは、フェニル、ピリジル、メチル、エチル、ビフェニル、及びターフェニルからなる群より選択される非置換又は置換された残基からなる群より選択される。
【0052】
なおより好ましくは、X’はNRであり、そしてRは、フェニル、ピリジル、メチル、エチル、ビフェニル、及びターフェニルからなる群より選択される非置換の残基からなる群より選択される。特に好ましくは、X’はNRであり、そしてRはフェニルである。
【0053】
、A、A及びAはそれぞれCH又はCRであり得、残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基への結合部位ではない残基R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’のうち2つ以下は、水素以外の置換基であり得、そして残りの残基は全て水素であり得、そしてX’はNRであり得る。
【0054】
特に好ましい実施態様において、A、A、A及びAはそれぞれCHであり、残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基への結合部位ではない残基R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’は全て、それぞれ水素であり、そしてX’はNRである。
【0055】
上述のように、R、R、R及びRのうちの1つ並びにR’、R’、R’及びR’のうちの1つはそれぞれ、残基A、A、A及びAを含む、場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基への結合部位である。ここで、結合部位はR、R、R及びRのうちのいずれでも、そしてR’、R’、R’及びR’のうちのいずれでもよい。
【0056】
好ましくは、式(I)のホスト化合物Hの結合部位は以下のように定義され、すなわち、結合部位は: R及びR’又はR及びR’;R及びR’;又はR及びR’である。あるいは、式(I)のホスト化合物Hの結合部位は以下の通りであり得る:
及びR’;R及びR’;R及びR’;R及びR’;R及びR’;R及びR’;R及びR’;R及びR’;R及びR’;R及びR’;R及びR’;又はR及びR’。好ましくは、Rは結合部位を表し、かつ/又はR’は結合部位を表す。特にR及びR’は、残基A、A、A及びAを含む場合により置換されたC-C-(ヘテロ)アリレン残基への結合部位を表す。
【0057】
好ましい実施態様において、ホスト化合物Hは、以下の式(II)~(IV):
【化5】
[式中、X及びX’は本発明の文脈において説明されるように定義される]
のうちの1つに従う構造を有する。
【0058】
上で説明されるように、特に好ましくは、この文脈において、X’はNRであり、特にここでRは非置換又は置換されたC-C18-アリール及びC-C10-アルキル、例えばフェニルである。
【0059】
好ましい実施態様において、ホスト化合物Hは、以下の式(V):
【化6】
[式中、残基A、A、A、A、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、X、及びX’は上で定義されたとおりである]
の構造を有する。
【0060】
特に好ましい実施態様において、ホスト化合物Hは、以下の式(VI)~(X):
【化7】
のうちの1つに従う構造を有する。
【0061】
最も好ましい実施態様によれば、ホスト化合物Hは、式(VI):
【化8】
に従う構造を有する。
【0062】
本発明によれば、ホスト化合物Hは発光層Bに含まれる。この層は典型的には少なくとも1つのエミッター化合物Eをさらに含む。場合により、発光層Bは、式(I)のホスト化合物以外のさらなるホスト化合物及び/又は1つもしくはそれ以上の溶媒を含み得る。
【0063】
これらの成分は様々な量で含まれ得る。好ましくは、発光層Bは本発明に従う少なくとも1つのホスト化合物Hを5~99質量%、好ましくは30~94.9質量%、特に40~89質量%含む。
【0064】
好ましくは、発光層Bは、少なくとも1つのエミッター化合物Eを1~50質量%、好ましくは5~40質量%、特に10~30質量%更に含む。
【0065】
場合により、発光層Bは、1つ又はそれ以上のさらなるホスト化合物(D、D、D、・・・)、すなわち、式(I)に従わない少なくとも1つのさらなるホスト化合物D(D)を、94質量%まで、好ましくは0.1~65質量%、特に1~50質量%含み得る。
場合により、発光層Bは、溶媒を94質量%まで、好ましくは65質量%以下、より好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下含み得、特に溶媒を含まない。
【0066】
好ましい実施態様において、発光層Bは:
(i) 本発明に従う少なくとも1つのホスト化合物H 5~99質量%、好ましくは30~94.9質量%、特に40~89質量%;
(ii) 少なくとも1つのエミッター化合物E 1~50質量%、好ましくは5~40質量%、特に10~30質量%;及び場合により
(iii) 式(I)に従わない少なくとも1つのさらなるホスト化合物D 0~94質量%、好ましくは0.1~65質量%、特に1~50質量%;及び場合により
(iv) 溶媒 0~94質量%、好ましい0~65質量%、特に0~50質量%
を含む(又は(本質的に)これらからなる)。
【0067】
従って、好ましくは、発光層Bは:
(i) 本発明に従う少なくとも1つのホスト化合物H 5~99質量%;
(ii) 少なくとも1つのエミッター化合物E 1~50質量%;及び場合により
(iii) 式(I)に従わない少なくとも1つのさらなるホスト化合物D 0~94質量%;及び場合により
(iv) 溶媒 0~94質量%
を含む(又は(本質的に)これらからなる)。
【0068】
より好ましくは、発光層Bは:
(i) 本発明に従う少なくとも1つのホスト化合物H 30~94.9質量%;
(ii) 少なくとも1つのエミッター化合物E 5~40質量%;
(iii) 式(I)に従わない少なくとも1つのさらなるホスト化合物D 0.1~65質量%;及び場合により
(iv) 溶媒 0~65質量%
を含む(又は(本質的に)これらからなる)。
【0069】
なおより好ましくは、発光層Bは:
(i) 本発明に従う少なくとも1つのホスト化合物H 40~89質量%;
(ii) 少なくとも1つのエミッター化合物E 10~30質量%;
(iii) 式(I)に従わない少なくとも1つのさらなるホスト化合物D 1~50質量%;及び場合により
(iv) 溶媒0~50質量%
を含む(又は(本質的に)これらからなる)。
【0070】
流動特性を改善するために、さらに、1つ又はそれ以上の添加剤Sを場合により加えてもよい。例示的に、このような添加剤は、ポリエチルオキシド類(ポリエチレングリコール類)、ポリエチレンジアミン類、ポリアクリレート類(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリアクリル酸及びそれらの塩(超吸収体(superabsorber)))、置換又は非置換のポリスチレン類(例えば、ポリヒドロキシスチレン)、ポリビニルアルコール類、ポリエステル類又はポリウレタン類、ポリビニルカルバゾール類、ポリトリアリールアミン類、ポリチオフェン類及びポリ(ビニリデンフェニレン類)からなる群より選択され得る。2つ又はそれ以上の添加剤の組み合わせも使用され得る。
【0071】
発光層Bの発光スペクトル及び/又は吸収スペクトルをさらに改変するために、発光層Bは1つ又はそれ以上の色素を更に含み得る。このような色素は当該分野で公知のいずれかの色素であり得る。色素は場合により、発光層Bの発光スペクトル及び/又は吸収スペクトルをシフトさせることができる蛍光及び/又はリン光色素であり得る。場合により、二光子効果(すなわち、吸収極大のエネルギーの半分の2つの光子の吸収)も誘発し得る。場合により、発光層Bはまた、1つ又はそれ以上のホスト成分で場合により希釈された、蛍光性ポリマー(例えば、superyellow (SY))、フォトルミネセントナノ粒子(例えば、ケイ素(silicium)の入ったもの)、量子ドット、セレン化カドミウム及び/又はエキシプレックスを含んでいてもよい。
【0072】
特に発光電気化学セル(LEC)を対象とする場合、発光層はイオン性流体及び/又は2つもしくはそれ以上のイオン性液体の組み合わせを含み得る。例示的に、このようなイオン性流体は: メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート類(例えば、1-アルキル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、例えば1-メチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリニウム ヘキサフルオロホスフェート)、ジメチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート類(例えば、1-アルキル-2,3-ジメチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、例えば1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート)、3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート類(例えば、1-アルキル-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート類、例えば1-メチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、1-ペンチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート)、1-ブチル-1-(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)イミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、1-メチル-3-(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)イミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート類(例えば、1,3-ジメチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート、1-エチル-3-メチル-イミダゾリウム テトラフルオロボレート、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチル-イミダゾリウム テトラフルオロボレート)、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート、1-メチル-3-オクチル-イミダゾリウム テトラフルオロボレート、メチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホネート類(例えば、1-メチル-3-メチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホネート、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホネート)、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム メタンスルホネート、テトラブチルアンモニウム ビス-トリフルオロメタン スルホンイミデート、テトラブチルアンモニウム メタンスルホネート、テトラブチルアンモニウム ノナフルオロブタン スルホネート、テトラブチルアンモニウム ヘプタデカフルオロオクタン スルホネート、テトラヘキシルアンモニウム テトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウム トリフルオロメタンスルホネート、安息香酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハロゲン化物(例えば、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム)、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート、トリヘキシル-テトラデシルホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート、テトラブチル-ホスホニウム メタンスルホネート、テトラブチル-ホスホニウム テトラフルオロボレート、テトラブチル-ホスホニウムブロミド、1-ブチル-3-メチルピリジニウム-ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-4-メチルピリジニウム テトラフルオロボレート、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウム テトラフェニルボレート、テトラキス(1-イミダゾリル)ホウ酸ナトリウム及びテトラフェニルホウ酸セシウムからなる群より選択されるようなものであり得る。
【0073】
あるいは又はさらに、発光層Bは、芳香族化合物(例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン)、ヘテロ芳香族化合物(例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサジアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、セレノフェノジピリジン)、及びそれらの2つ又はそれ以上の組み合わせからなる群より選択される以下の化合物のうちの1つ又はそれ以上を含み得る。
【0074】
ホスト化合物H及び/又はエミッター化合物Eは、場合により電荷を輸送又は注入するためにも使用され得、そしてそれにより発光層B内の電荷を輸送するために役立つ。
【0075】
好ましくは、発光に併用される発光層Bは、電子輸送層、ホールブロック層、ホール輸送層、電子ブロック層、及び励起子ブロック層として役立つことからなる群より選択されるさらなる機能を有する。
【0076】
本明細書で使用される溶媒は、1つ、2つ又はそれ以上の溶解剤、典型的には液体から構成され得る。これらは原理的には有機液体でも無機液体でもよく、好ましくは有機液体である。
【0077】
例示的に、本明細書に開示されるホスト化合物Hは、多種多様なエミッター化合物E、輸送層、ブロック層、注入層、電極及び存在し得る他の層とともに使用され得る。本明細書に記載される材料は、本明細書において開示される化合物及び成分と組み合わせて有用であり得る材料の非限定的な例にすぎず、そして当業者は、本明細書と組み合わせて有用であり得る他の材料を同定するために文献を容易に参考にすることができる。
【0078】
存在する限り、ホスト化合物Hとエミッター化合物Eのとの間の比は、例えば、99:1~1:99の範囲、好ましくは70:30~30:70の範囲のようないずれのH:E比でもよい。
【0079】
原理的に、エミッター化合物Eは当該分野で公知のいずれのエミッター化合物でもよい。用語「エミッター化合物」は、最も広い意味で、特定の条件に依存して、本発明の有機エレクトロルミネセントデバイスにおける発光層B中に導入された場合に光を発生することができるいずれかの光学的に活性な化合物と理解され得る。従って、エミッター化合物Eは実際に光を生成するために使用され得る。適切な強度で電流をかけられた場合、エミッター化合物Eは、励起されて励起子を形成する(すなわち、S1(E)又はT1(E)のような励起状態、そして場合により、例えば、S2(E)などのようなより高いエネルギーレベル)。次いで励起子は、同時に光を放射することにより、それぞれの非励起状態S0(E)に対応する基底エネルギーレベルへと緩和し得る。励起子のエネルギーはまた、場合により、他の励起状態、さらなるエミッター化合物及び/又は色素の励起状態にも移動され得る。
【0080】
好ましくは、これは、エネルギーがホスト化合物Hからエミッター化合物Eへと移動され得るように、特にホスト化合物Hの第一励起三重項状態T1(H)からエミッター化合物Eの第一励起三重項状態T1(E)へと、かつ/又はホスト化合物Hの第一励起一重項状態S1(H)からエミッター化合物Eの第一励起一重項状態S1(E)へと移動され得るものである。
【0081】
好ましい実施態様において、エミッター化合物Eは、ホスト化合物Hの第一励起三重項状態T1(H)よりエネルギー的に低い第一励起三重項状態T1(E)、及びホスト化合物Hの第一励起一重項状態S1(H)より低い第一励起一重項状態S1(E)を有する無金属の熱活性化型遅延蛍光(TADF)エミッターである。
【0082】
好ましくは、ホスト化合物Hの最高被占分子軌道HOMO(H)のエネルギーレベルは、少なくとも1つのさらなるホスト化合物D(本明細書ではDと指定される、これが場合により唯一のさらなるホスト成分であってもよい)のレベルよりも高い。
【0083】
好ましくは、ホスト化合物Hは、-5~-6eVの範囲のエネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有する。
好ましくは、少なくとも1つのさらなるホスト化合物D(D)は、エネルギーEHOMO(D)を有する最高被占分子軌道HOMO(D)を有し、ここでEHOMO(H)>EHOMO(D)である。
【0084】
好ましい実施態様において、ホスト化合物Hは、-5~-6eVの範囲のエネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有し、そして少なくとも1つのさらなるホスト化合物D(D)は、エネルギーEHOMO(D)を有する最高被占分子軌道HOMO(D)を有し、ここでEHOMO(H)>EHOMO(D)である。
【0085】
従って、ホスト化合物Dは好ましくは: EHOMO(H)>EHOMO(D)である。
【0086】
さらなる好ましい実施態様において、ホスト化合物Hは、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有し、そして少なくとも1つのさらなるホスト化合物D(D)は、エネルギーELUMO(D)を有する最低空分子軌道LUMO(D)を有し、ここでELUMO(H)>ELUMO(D)である。
【0087】
従って、ホスト化合物Dは好ましくは: ELUMO(H)>ELUMO(D)である。
【0088】
より好ましくは:
HOMO(H)>EHOMO(D)であり、かつ
LUMO(H)>ELUMO(D)である。
【0089】
好ましい実施態様において、EHOMO(H)>EHOMO(D)であり、そしてエミッター化合物Eの最高被占分子軌道HOMO(E)のエネルギーレベル(EHOMO(E))と、ホスト化合物Hの最高被占分子軌道HOMO(H)のエネルギーレベル(EHOMO(H))との差は、-0.5eVと0.5eVとの間、より好ましくは-0.3eVと0.3eVとの間、なおより好ましくは-0.2eVと0.2eVとの間又は-0.1eVと0.1eVとの間である。
【0090】
好ましい実施態様において、ELUMO(H)>ELUMO(D)であり、かつエミッター化合物Eの最低空分子軌道LUMO(E)のエネルギーレベル(ELUMO(E))と少なくとも1つのさらなるホスト化合物Dの最低空分子軌道LUMO(D)(ELUMO(D))との差は、-0.5eVと0.5eVとの間、より好ましくは-0.3eVと0.3eVとの間、なおより好ましくは-0.2eVと0.2eVとの間、又は-0.1eVと0.1eVとの間である。
【0091】
好ましくは、エミッター化合物Eの最高被占分子軌道 HOMO(E)のエネルギーレベル(EHOMO(E))とホスト化合物Hの最高被占分子軌道HOMO(H)のエネルギーレベル(EHOMO(H))との差は、-0.5eVと0.5eVとの間、より好ましくは-0.3eVと0.3eVとの間、なおより好ましくは-0.2eVと0.2eVとの間、又は-0.1eVと0.1eVとの間である。
【0092】
さらに又はあるいは、好ましくは、エミッター化合物Eの最低空分子軌道LUMO(E)のエネルギーレベル(ELUMO(E))と少なくとも1つのさらなるホスト化合物Dの最低空分子軌道LUMO(D)(ELUMO(D))との差は、-0.5eVと0.5eV、より好ましくは-0.3eVと0.3eVとの間、さらにより好ましくは-0.2eVと0.2eVとの間、又は-0.1eVと0.1eVとの間である。
【0093】
従って、ホスト化合物Dについては、エミッター化合物Eの最低空分子軌道LUMO(E)のエネルギーレベル(ELUMO(E))とホスト化合物Dの最低空分子軌道LUMO(D)(ELUMO(D))との間の差は、好ましくは-0.5eVと0.5eVとの間、より好ましくは-0.3eVと0.3eVとの間、さらにより好ましくは-0.2eVと0.2eVとの間または-0.1eVと0.1eVとの間である。
【0094】
非常に好ましい実施態様において:
ホスト化合物Hは、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)及びエネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有し、そして
少なくとも1つのさらなるホスト化合物Dは、エネルギーEHOMO(D)を有する最高被占分子軌道HOMO(D)及びエネルギーELUMO(D)を有する最低空分子軌道LUMO(D)を有し、
エミッター化合物Eは、エネルギーEHOMO(E)を有する最高被占分子軌道HOMO(E)及びエネルギーELUMO(E)を有する最低空分子軌道LUMO(E)を有し、ここで
HOMO(H)>EHOMO(D)であり、かつエミッター化合物Eの最高被占分子軌道HOMO(E)のエネルギーレベル(EHOMO(E))とホスト化合物Hの最高被占分子軌道HOMO(H)のエネルギーレベル(EHOMO(H))との差は、-0.5eVと0.5eVとの間、より好ましくは-0.3eVと0.3eVとの間、さらにより好ましくは-0.2eVと0.2eVとの間、または-0.1eVと0.1eVとの間であり;そして
LUMO(H)>ELUMO(D)であり、かつエミッター化合物Eの最低空分子軌道LUMO(E)のエネルギーレベル(ELUMO(E))と少なくとも1つのさらなるホスト化合物Dの最低空分子軌道LUMO(D)(ELUMO(D))との差は、-0.5eVと0.5eVとの間、より好ましくは-0.3eVと0.3eVとの間、さらにより好ましくは-0.2eVと0.2eVとの間、または-0.1eVと0.1eVとの間である。
【0095】
したがって、ホスト化合物Dについて:
HOMO(H)>EHOMO(D)であり、かつエミッター化合物Eの最高被占分子軌道HOMO(E)のエネルギーレベル(EHOMO(E))とホスト化合物Hの最高被占分子軌道HOMO(H)のエネルギーレベル(EHOMO(H))との差は、-0.5eVと0.5eVとの間、より好ましくは-0.3eVと0.3eVとの間、さらにより好ましくは-0.2eVと0.2eVとの間、または-0.1eVと0.1eVとの間であり;そして
LUMO(H)>ELUMO(D)であり、かつエミッター化合物Eの最低空分子軌道LUMO(E)のエネルギーレベル(ELUMO(E))と少なくとも1つのさらなるホスト化合物Dの最低空分子軌道LUMO(D)(ELUMO(D))との間の差は、-0.5eVと0.5eVとの間、より好ましくは-0.3eVと0.3eVとの間、さらにより好ましくは-0.2eVと0.2eVとの間、または-0.1eVと0.1eVとの間である。
【0096】
ここで、好ましくは、EHOMO(H)は-5~-6eVの範囲である。
【0097】
軌道及び励起状態エネルギーは、実験的方法又は量子化学法、特に密度関数理論計算を使用して計算することのいずれかにより決定することができる。最高被占分子軌道のエネルギーEHOMOは、0.1eVの精度でサイクリックボルタンメトリー測定から当業者に公知の方法により決定され得る。最低空分子軌道のエネルギーELUMOは、EHOMO+Egapとして計算され得、ここでEgapは、以下のように決定され得る: ホスト化合物について、他の記載がなければ、PMMA中10%ホストを含むフィルムの発光の開始がEgapとして使用され得る。エミッター化合物については、Egapは、PMMA中10%エミッターを含むフィルムの励起及び発光スペクトルが交わるエネルギーとして決定される。
【0098】
第一励起三重項状態T1のエネルギーは、低温、典型的には77Kでの発光の開始から決定され得る。ホスト化合物については、第一励起一重項状態及び最低三重項状態が、典型的にはエネルギー的に>0.4eV離れている場合、リン光は通常2-Me-THF中の定常状態スペクトルにおいて可視である。従って、三重項エネルギーは、リン光スペクトルの開始として決定され得る。TADFエミッター化合物については、第一励起三重項状態T1のエネルギーは、他に記載されていなければ、エミッター10質量%を含むポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)のフィルムにおいて測定された77Kでの遅延発光スペクトルの開始から決定され得る。ホスト化合物及びエミッター化合物の両方とも、第一励起一重項状態S1のエネルギーは、他に記載されていない場合、エミッター10質量%を含むポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)において測定された発光スペクトルの開始から決定され得る。
【0099】
特に好ましくは、発光層Bは:
(i) 本発明に従う少なくとも1つのホスト化合物H 40~89質量%;
(ii) 少なくとも1つのエミッター化合物E 10~30質量%;
(iii) 式(I)に従わない少なくとも1つのさらなるホスト化合物D 1~50質量%;及び場合により
(iv) 溶媒0~50質量%
を含み(又は(本質的に)これらからなり)、ここで
HOMO(H)>EHOMO(D)であり、かつエミッター化合物Eの最高被占分子軌道HOMO(E)のエネルギーレベル(EHOMO(E))とホスト化合物Hの最高被占分子軌道HOMO(H)のエネルギーレベル(EHOMO(H))との差は、-0.5eVと0.5eVとの間、より好ましくは-0.3eVと0.3eVとの間、さらにより好ましくは-0.2eVと0.2eVとの間、又は-0.1eVと0.1eVとの間であり;そしてELUMO(H)>ELUMO(D)であり、かつエミッター化合物Eの最低空分子軌道LUMO(E)のエネルギーレベル(ELUMO(E))と少なくとも1つのさらなるホスト化合物Dの最低空分子軌道LUMO(D)(ELUMO(D))との間の差は、-0.5eVと0.5eVとの間、より好ましくは-0.3eVと0.3eVとの間、さらにより好ましくは-0.2eVと0.2eVとの間、又は-0.1eVと0.1eVとの間であり、ここで好ましくは、
HOMO(H)は-5~-6eVの範囲である。
【0100】
さらなる好ましい実施態様において、少なくとも1つのさらなるホスト化合物D(D)は、式(XI):
【化9】
[式中:
、K及びKはそれぞれ互いに独立して、CH、CR、及びNからなる群より選択され;ここで残基K、K及びKの少なくとも1つはNであり;
ここでRは、非置換又は置換されたC-C20-アルキル、C-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール、C-C19-アルカリル、及び-SiRからなる群より選択され、ここでC-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール又はC-C19-アルカリルは、それぞれの存在について、C-C20-アルキル、C-C19-アルカリル、及びC-C18-アリールからなる群より選択される残基で場合により置換されていてもよく;
及びRはそれぞれ互いに独立して、水素、C-C20-アルキル、C-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール、C-C19-アルカリル及び-SiRからなる群より選択され、ここでC-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール又はC-C19-アルカリルは、それぞれの存在について、C-C20-アルキル、C-C19-アルカリル、及びC-C18-アリールからなる群より選択される残基で場合により置換されていてもよく;
は、単結合及び場合により置換されたC-C18-アリレンからなる群より選択され;
【0101】
Gは、式(XII)~(XV)
【化10】
[式中:
#はLへの結合部位であり;
X’’はO及びSからなる群より選択され;
XII、RXIII、RXIV、RXV、RXVI、RXVII、RXVIII、R
XIX、RXX、RXXI XXII、RXXIII、RXXIV、RXXV、RXXVI、RXXVII、RXXVIII、RXXIX、RXXX、RXXXI、RXXXII、RXXXIII、RXXXIV、RXXXV、RXXXVI、RXXXVII、RXXXVIII及びRXXXIXはそれぞれ互いに独立して、水素、-Cl、-Br、-I、-CN、-CF、C-C20-アルキル、C-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール、C-C19-アルカリル及び-SiRからなる群より選択され、ここでC-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール又はC-C19-アルカリルは、それぞれの存在について、C-C20-アルキル、C-C19-アルカリル、C-C18-アリール、-CN及び-CHからなる群より選択される残基で場合により置換されていてもよい]
のうちの1つの構造の基であるか該構造を含有する基であり;
及びRはそれぞれ互いに独立して、水素、C-C20-アルキル、C-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール、C-C19-アルカリル及び-SiRからなる群より選択され、ここでC-C18-アリール、C-C17-ヘテロアリール又はC-C19-アルカリルは、それぞれの存在について、C-C20-アルキル、C-C19-アルカリル、C-C18-アリール、-CN及び-CHからなる群より選択される残基で場合により置換されていてもよく;そして
、R、及びRはそれぞれ、非置換又は置換されたC-C18-アリール、C-C20-アルキル、C-C19-アルカリル、C-C20-ヘテロアルキル及びC-C17-ヘテロアリールからなる群より選択される]
の構造を有するか、該構造を含有する。
【0102】
適切なエミッター化合物Eの例を提供するだけのために、これらは以下の構造(EI)又は(EII):
【化11】
の1つを有し得る。
【0103】
式(EI)及び(EII)のエミッター化合物Eは、当該分野で公知のいずれかの手段により得られ得る。当業者は、このような化合物を得るためのいくつかの合成経路がわかるだろう。
【0104】
式(EI)のエミッター化合物は、例示的に、以下のように合成され得る:3-(2-ブロモカルバゾリル-N-メシチルフタルイミド(1当量(eq))及びCuCN(1.5eq)を、乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)中(臭化アリール1mmolあたり2mL)24時間150℃で窒素雰囲気下にて加熱し得る。室温(RT)まで冷却した後、形成された褐色沈殿物はろ過により分離し、そしてDMFで洗浄し得る。二倍量の水をろ過された沈殿物に加えることにより、粗生成物を黄色/緑色固体として沈殿させ得る。沈殿物をろ過により分離し、水で洗浄し、そして酢酸エチルに溶解し得る。得られた溶液をMgSOで乾燥し、そして残留溶媒を減圧にすることにより除去し得る。得られた生成物は、例として、MPLC(溶離液CHCl/シクロヘキサン50:50~100:0)により精製し得る。10質量%ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)中で、式(EI)のエミッター化合物は、半値全幅(FWHM)87nm(0,48eV)で発光極大463nm及びフォトルミネセンス量子収量(PLQY)36%を有する。
【0105】
式(EII)のエミッター化合物のようなエミッター化合物は、より一般的には、例として以下のように合成され得る:
【化12】
ここで、一般的に、Rはそれぞれの存在について、互いに独立して、水素、重水素、アルキル基又はアリール基、特に水素基であり得る。
【0106】
ここで、Rは多様な残基であり得る。本明細書において提供される式(EII)に従うエミッター化合物Eの例において、これは
【化13】
であり、ここで*は、分子の残りの部分への結合部位を示す。いずれの多数の変形も代わりに使用され得ることがわかるだろう。
【0107】
(EIIa)(1.00eq)、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.5x (n+m)
eq) トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.01 eq)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2‘,4‘,6‘-トリイソプロピルビフェニル(0.04 eq)及び第三リン酸カリウム(3n + 3m eq)は、ジオキサン中12~24時間110℃で窒素雰囲気下にて撹拌され得る。得られた中間体生成物は再結晶により精製され得る。次いで、生成物を以下のように更に処理し得る:
【0108】
【化14】
ここで、Rは多様な残基であり得る。本明細書において提供される式(EII)に従うエミッター化合物Eの例において、これは
【化15】
であり、ここで*は分子の残りの部分への結合部位を示す。さらに、本明細書において提供される式(EII)に従うエミッター化合物Eの例において、n=0、m=1である。いずれかの多数の変形も代わりに使用され得ることがわかるだろう。
【0109】
(EIIb) (1.00 eq)、R-Cl (1.3 n + 1.3 m eq)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.01 eq)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2‘,4‘,6‘-トリイソプロピルビフェニル (0.04 eq)及び第三リン酸カリウム(2.5 n + 2.5 m eq)は100℃でトルエン:水(10:1)混合物中12~24時間窒素雰囲気下で撹拌され得る。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー及び/又は再結晶により精製し得る。R-Clの代わりに、R-Br又はR-Iも使用し得る。10質量%ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)中で、式(EII)のエミッター化合物は、FWHM 92nm(0,47eV)で発光極大481nm及びPLQY 68%を有する。
【0110】
場合により、発光層Bは、例えば、WO 2016/010402の段落[181]~[207]のいずれかに開示されるもののような1つ又はそれ以上のドーパントを含み得る。
【0111】
当業者は、発光層Bが典型的に有機エレクトロルミネセントデバイスに組み込まれるということがわかるだろう。好ましくは、このような有機エレクトロルミネセントデバイスは、少なくとも以下の層を含む:少なくとも1つの発光層B、少なくとも1つのアノード層A及び少なくとも1つのカソード層C。
【0112】
好ましくは、アノード層Aは、酸化インジウムすず、インジウム亜鉛酸化物(indium zinc oxide)、PbO、SnO、グラファイト、ドープ(doped)ケイ素、ドープゲルマニウム、ドープGaAs、ドープポリアニリン、ドープポリピロール、ドープポリチオフェン、及びそれらの2つ又はそれ以上の混合物からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含有する。
【0113】
好ましくは、カソード層Cは、Al、Au、Ag、Pt、Cu、Zn、Ni、Fe、Pb、In、W、Pd、LiF、Ca、Ba、Mg、及びそれらの2つ又はそれ以上の混合物又は合金からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含有する。
【0114】
好ましくは、発光層Bはアノード層Aとカソード層Cとの間に位置する。従って、一般的な配置は好ましくはA-B-Cである。当然のことながらこれは1つ又はそれ以上の任意のさらなる層の存在を排除しない。これらはA、B及び/又はCのそれぞれの側に存在し得る。
【0115】
好ましい実施態様において、有機エレクトロルミネセントデバイスは少なくとも以下の層:
A) 酸化インジウムすず、インジウム亜鉛酸化物、PbO、SnO、グラファイト、ドープケイ素、ドープゲルマニウム、ドープGaAs、ドープポリアニリン、ドープポリピロール、ドープポリチオフェン、及びそれらの2つ又はそれ以上の混合物からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含有するアノード層A;
B) 発光層B;並びに
C) Al、Au、Ag、Pt、Cu、Zn、Ni、Fe、Pb、In、W、Pd、LiF、Ca、Ba、Mg、及びそれらの2つ又はそれ以上の混合物又は合金からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含有するカソード層C
を含み、ここで発光層Bは、アノード層Aとカソード層Cとの間に位置する。
【0116】
例示的に、有機エレクトロルミネセントデバイスがOLEDである場合、これは場合により以下の層構造を含み得る:
A) 例示的に酸化インジウムすず(ITO)を含むアノード層A;
HTL) ホール輸送層HTL;
B) 本明細書に記載される本発明に従う発光層B;
ETL) 電子輸送層ETL;並びに
C) 例示的にAl、Ca及び/又はMgを含むカソード層。
【0117】
好ましくは、ここで層の順序はA-HTL-B-ETL-Cである。
【0118】
さらに、有機エレクトロルミネセントデバイスは、例示的に湿気、蒸気及び/又はガスを含む環境中の有害化学種への損害を与える曝露からデバイスを保護する1つ又はそれ以上の保護層を場合により含み得る。
【0119】
好ましくは、アノード層Aは基板の表面上に位置する。基板はいずれかの材料又は材料の組成物により形成され得る。最も頻繁には、スライドガラスが基板として使用される。あるいは、金属薄層(例えば、銅、金、銀又はアルミニウム膜)又はプラスチックのフィルムもしくはスライドが使用され得る。これはより高度の可撓性を可能にし得る。アノード層Aは、大部分は(本質的に)透明なフィルムを得ることを可能にする材料から構成される。OLEDからの発光を可能にするために両方の電極のうちの少なくとも1つは(本質的に)透明であるべきであるので、アノード層A又はカソード層Cのいずれかは透明である。好ましくは、アノード層Aは、大量の透明伝導性酸化物(TCO)を含むか又はこれらからなる。このようなアノード層Aは、例示的に、酸化インジウムすず、アルミニウム亜鉛酸化物、フッ素酸化すず(fluor tin oxide)、インジウム亜鉛酸化物、PbO、SnO、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、グラファイト、ドープSi、ドープゲGe、ドープGaAs、ドープポリアニリン、ドープポリピロール、及び/又はドープポリチオフェンを含み得る。
【0120】
特に好ましくは、アノード層Aは、(本質的に)酸化インジウムすず(ITO)(例えば、(InO0.9(SnO0.1)からなる。透明伝導性酸化物(TCO)により生じるアノード層Aの粗度は、ホール注入層(HIL)を使用することにより補われ得る。さらに、HILは、擬電荷キャリア(quasi charge carriers)(すなわち、ホール)の注入を容易にし得、ここで擬電荷キャリアのTCOからホール輸送層(HTL)への輸送が促進される。ホール注入層(HIL)は、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリスチレンスルホネート(PSS)、MoO、V、CuPC又はCuI、特にPEDOT及びPSSの混合物を含み得る。ホール注入層(HIL)はまた、アノード層Aからホール輸送層(HTL)への金属の拡散を防止し得る。HILは、例示的にPEDOT:PSS (ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネート)、PEDOT (ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン)、mMTDATA (4,4’,4’’-トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン)、スピロ-TAD (2,2’,7,7’-テトラキス(n,n-ジフェニルアミノ)-9,9’-スピロビフルオレン)、DNTPD (N1,N1’-(ビフェニル-4,4’-ジイル)ビス(N1-フェニル-N4,N4-ジ-m-トリルベンゼン-1,4-ジアミン)、NPB (N,N’-nis-(1-ナフタレニル)-N,N’-ビス-フェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン)、NPNPB (N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ-[4-(N,N-ジフェニル-アミノ)フェニル]ベンジジン)、MeO-TPD (N,N,N’,N’-テトラキス(4-メトキシフェニル)ベンジジン)、HAT-CN (1,4,5,8,9,11-ヘキサアザトリフェニレン-ヘキサカルボニトリル)及び/又はスピロ-NPD (N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス-(1-ナフチル)-9,9’-スピロビフルオレン-2,7-ジアミン)を含み得る。
【0121】
アノード層A又はホール注入層(HIL)に隣接して、典型的にはホール輸送層(HTL)が位置する。本明細書において、いずれのホール輸送化合物も使用され得る。例示的に、トリアリールアミン類及び/又はカルバゾール類のような電子豊富なヘテロ芳香族化合物は、ホール輸送化合物として使用され得る。HTLは、アノード層Aと発光層B(発光(emitting)層(EML)として役立つ)との間のエネルギーバリアを減少させ得る。ホール輸送層(HTL)はまた、電子ブロック層(EBL)であってもよい。好ましくは、ホール輸送化合物は、それらの三重項状態T1の同等の高いエネルギーレベルを有する。例示的に、ホール輸送層(HTL)は、トリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン (TCTA)、ポリ-TPD (ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニル-アミン))、[アルファ]-NPD (ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニル-アミン))、TAPC (4,4’-シクロヘキシリデン-ビス[N,N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン])、2-TNATA (4,4’,4’’-トリス[2-ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン)、スピロ-TAD、DNTPD、NPB、NPNPB、MeO-TPD、HAT-CN及び/又はTrisPcz (9,9’-ジフェニル-6-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール)のような星型複素環を含み得る。さらに、HTLはp-ドープ層を含み得、これは有機ホール輸送マトリックス中の無機又は有機ドーパントから構成され得る。酸化バナジウム、酸化モリブデン又は酸化タングステンのような遷移金属酸化物は、例示的に無機ドーパントとして使用され得る。テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4-TCNQ)、銅-ペンタフルオロベンゾエート(Cu(I)pFBz)又は遷移金属錯体は、有機ドーパントとして例示的に使用され得る。
【0122】
EBLは例示的にmCP (1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン)、TCTA、2-TNATA、mCBP (3,3-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル)、トリス-Pcz、CzSi (9-(4-tert-ブチルフェニル)-3,6-ビス(トリフェニルシリル)-9H-カルバゾール)及び/又はDCB (N,N’-ジカルバゾリル-1,4-ジメチルベンゼン)を含み得る。
【0123】
ホール輸送層(HTL)に隣接して、典型的には、発光層Bが位置する。これは本発明の文脈において詳細に詳述される。
【0124】
発光層Bに隣接して、電子輸送層(ETL)が位置し得る。本明細書においていずれの電子輸送層も使用され得る。例示的に、例えば、ベンゾイミダゾール類、ピリジン類、トリアゾール類、オキサジアゾール類(例えば、1,3,4-オキサジアゾール)、ホスフィンオキシド類及びスルホンのような電子不足の化合物が使用され得る。例示的に、電子輸送体はまた、1,3,5-トリ(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル (TPBi)のような星形複素環であってもよい。電子輸送層(ETL)はまたホールをブロックし得、又はホールブロック層(HBL)が導入される。ETLは、例示的に、AlQ3、TSPO1、BPyTP2 (2,7-ジ(2,2’-ビピリジン-5-イル)トリフェニレン)、Sif87 (ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イルトリフェニルシラン)、Sif88 (ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イル)ジフェニルシラン)、BmPyPhB (1,3-ビス[3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル]ベンゼン)及び/又はBTB (4,4’-ビス-[2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル)]-1,1’-ビフェニル)を含み得る。
【0125】
HBLは、例示的に、BCP (2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン=バトクプロイン(Bathocuproine))、BAlq (ビス(8-ヒドロキシ-2-メチルキノリン)-(4-フェニルフェノキシ)アルミニウム)、NBphen (2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Alq3 (アルミニウム-トリス(8-ヒドロキシキノリン))、TSPO1 (ジフェニル-4-トリフェニルシリルフェニル-ホスフィンオキシド)及び/又はTCB/TCP (1,3,5-トリス(N-カルバゾリル)ベンゾール/1,3,5-トリス(カルバゾール)-9-イル)ベンゼン)を含み得る。
【0126】
電子輸送層(ETL)に隣接して、カソード層Cが位置し得る。例示的に、カソード層Cは、金属(例えば、Al、Au、Ag、Pt、Cu、Zn、Ni、Fe、Pb、LiF、Ca、Ba、Mg、In、W、又はPd)又は金属合金を含むかそれらからなるものであり得る。実用的な理由から、カソード層はまた、Mg、Ca又はAlのような(本質的に)不透明な金属からなるものであり得る。あるいは又はさらに、カソード層Cはまた、グラファイト及び又はカーボンナノチューブ(CNT)を含み得る。あるいは、カソード層Cはまたナノスケールの銀ワイヤからなるものであり得る。
【0127】
OLEDはさらに、電子輸送層(ETL)とカソード層Cとの間に保護層を場合により含み得る(これは電子注入層(EIL)とも指定される)。この層は、フッ化リチウム、フッ化セシウム、銀、Liq (8-ヒドロキシキノリノラトリチウム)、LiO、BaF、MgO及び/又はNaFを含み得る。
【0128】
場合により、電子輸送層(ETL)及び/又はホールブロック層(HBL)はまた1つ又はそれ以上のホスト化合物Hを含み得る。
【0129】
場合により、有機エレクトロルミネセントデバイス(例えば、OLED)は、例示的に、本質的に白色の有機エレクトロルミネセントデバイスであり得る。例示的に、このような白色有機エレクトロルミネセントデバイスは、少なくとも1つの(深)青色エミッター化合物並びに緑色及び/又は赤色光を発する1つ又はそれ以上のエミッター化合物を含み得る。次いで、場合により、上記の2つ又はそれ以上の化合物の間にエネルギー透過があり得る。
【0130】
有機エレクトロルミネセントデバイスはまた、全体で5mm以下、2mm以下、1mm以下、0,5mm以下、0,25mm以下、100μm以下、又は10μm以下の厚さの薄層を形成し得る。
【0131】
有機エレクトロルミネセントデバイス(例えば、OLED)は、小さいサイズ(例えば、5mm以下、又は1mm以下の大きさの表面を有する)、中間サイズ(例えば、0.5~20cmの範囲の表面を有する)、又は大きいサイズ(例えば、20cmより大きい表面を有する)であり得る。本発明に従う有機エレクトロルミネセントデバイス(例えば、OLED)は、場合により、スクリーンを生成するため、大面積照明デバイスとして、発光壁紙として、発光ウィンドウフレーム又はガラス、発光ラベル、発光性のポーズをとるもの又は可撓性スクリーンもしくはディスプレイとして使用され得る。一般的用法の次に、有機エレクトロルミネセントデバイス(例えば、OLED)は、例示的に、発光フィルム、「スマートパッケージ」ラベル、又は革新的なデザイン要素としても使用され得る。さらにそれらは、細胞検出及び試験(例えば、バイオ標識として)のために使用可能である。
【0132】
有機エレクトロルミネセントデバイスの主目的の1つは光の生成である。従って、本発明はさらに、いずれかの本発明に従う有機エレクトロルミネセントデバイスを準備する工程を含む、所望の波長の光を生成するための方法に関する。
【0133】
従って、本発明のさらなる局面は、所望の波長範囲の光を生成するための方法に関し、該方法は
(i) 本発明に従う有機エレクトロルミネセントデバイスを準備する工程;及び
(ii) 該有機エレクトロルミネセントデバイスに電流を印加する工程
を含む。
【0134】
従って、本発明はまた、青色、緑色、黄色、橙色及び赤色の光を生成するための方法に関する。
【0135】
特定の文脈においてより具体的に定義されていない場合、本明細書で使用される放射及び/又は吸収される色の指定は以下のとおりである:
紫色: 波長範囲 >380~420nm;
深青色: 波長範囲 >420~470nm;
空色: 波長範囲 >470~500nm;
緑色: 波長範囲 >500~560nm;
黄色: 波長範囲 >560~580nm;
橙色: 波長範囲 >580~620nm;
赤色: 波長範囲 >620~800nm。
【0136】
エミッター化合物Eに関して、上記色は発光極大を指す。従って、例示的に、深青色エミッターは420~470nmの範囲に発光極大を有し、空色エミッターは470~500nmの範囲に発光極大を有し、緑色エミッターは500~560nmの範囲に発光極大を有し、赤色エミッターは620~800nmの範囲に発光極大を有する。
【0137】
深青色エミッターは、好ましくは470nm未満、より好ましくは465nm未満、さらにより好ましくは460nm未満又は450nm未満の発光極大を有し得る。これは典型的には410nmより長い、好ましくは420nmより長い、より好ましくは430nmより長い。
【0138】
従って、本発明のさらなる局面はOLEDに関し、これは5%より高い、より好ましくは8%より高い、より好ましくは10%より高い、さらにより好ましくは13%より高い、もしくは20%より高い1000cd/mでの外部量子効率を示し、かつ/又は420nmと500nmとの間、好ましくは430nmと490nmとの間、より好ましくは440nmと480nmとの間、さらにより好ましくは450nmと470nmとの間の発光極大を示し、かつ/又は70時間より長い、好ましくは100時間より長い、より好ましくは200時間より長い、さらにより好ましくは300時間より長い、もしくは400時間より長い500 cd/mでのLT80値を示す。従って、本発明のさらなる局面は、その発光が、0.40未満、好ましくは0.30未満、より好ましくは0.20未満又は皿により好ましくは0.15未満又は0.1未満のCIE色座標を示すOLEDに関する。
【0139】
本発明のさらなる局面は、明確な色点(color point)で発光するOLEDに関する。本発明によれば、OLEDは狭い発光帯(小さな半値全幅(FWHM))をで発光する。一局面において、本発明に従うOLEDは、0.50eV未満、より好ましくは0.46eV未満、皿により好ましくは0.43eV未満又は0.41eV未満の主要発光ピークのFWHMを有する光を発する。
【0140】
以下において、ホスト化合物H及びデバイスのいくつかの例示的な構造及び使用が提供され、これらは、特許請求の範囲と一緒に、本発明をさらに説明することを意図される。
【図面の簡単な説明】
【0141】
図1図1は、時間[時間]にわたるデバイスD1の発光強度[cd/m]を示す。
【発明を実施するための形態】
【0142】
〔実施例〕
一般的実験手順
サイクリック・ボルタンメトリー
ジクロロメタン中10-3mol/lの濃度の有機分子及び支持電解質としてのテトラブチルアンモニウム ヘキサフルオロホスフェート(0.1mol/l)を有する溶液のサイクリックボルタモグラムを、モデル601Dシリーズ 電気化学アナライザを使用しワークステーション(CH Instruments)を用いてスキャン速度100mV/秒で記録した。測定は室温で窒素雰囲気下にて三電極アセンブリ(作用電極及び対電極:Ptワイヤ、参照電極:Ptワイヤ)を用いて行い、そして内部標準としてFeCp2/FeCp2+を使用して較正した。HOMOデータをSCEに対する内部標準としてフェロセンを使用して補正した。
【0143】
密度関数理論計算
分子構造を、BP86関数及び単位の分解(resolution of identity)アプローチ(RI)を使用して最適化した。励起エネルギーを、(BP86)最適化構造を使用して時間依存性DFT(TD-DFT)法を使用して計算した。軌道及び励起状態エネルギーをB3LYP関数を用いて計算した。Def2-SVP基本セット及び数値積分のためのm4-グリッドを使用した。Turbomoleプログラムパッケージを全ての計算に使用した(TURBOMOLE、カールスルーエ大学及びカールスルーエ研究所の開発、1989-2007、TURBOMOLE GmbH、2007年より)。
【0144】
光物理的測定
サンプル前処理:スピンコーティング
装置:Spin150、SPS euro.
サンプル濃度は10mg/mlであり、適切な溶媒に溶解した。
プログラム:1) 400U/分で3秒;1000U/分で1000Upm/秒で20秒。3) 4000U/分で1000Upm/秒で10秒。コーティング後、フィルムを70℃で1分間試験した。
【0145】
フォトルミネセンス分光法及びTCSPC(時間相関単一光子計数法)
定常状態発光分光法を、150Wキセノン-アーク灯、励起及び発光単色光分光器並びにHamamatsu R928光電子増倍管並びに時間相関単一光子計数オプションを備えたHoriba Scientific、Modell FluoroMax-4を使用して記録した。発光及び励起スペクトルを標準的補正適合を使用して補正した。
【0146】
励起状態寿命を、同じシステムを採用してTCSPC法をFM-2013装置及び Horiba Yvon TCSPCハブを用いて使用して決定した。
励起光源:
NanoLED 370 (波長:371nm、パルス持続期間:1.1 ns)
NanoLED 290 (波長:294nm、パルス持続期間:<1 ns)
SpectraLED 310 (波長:314nm)
SpectraLED 355 (波長:355nm).
【0147】
データ解析(指数フィッティング)を、ソフトウェアスイートDataStation及びDAS6解析ソフトウェアを使用して行った。このフィッティングはカイ二乗検定を使用して特定された。
【0148】
フォトルミネセンス量子収量測定
フォトルミネセンス量子収量(PLQY)測定のために、Absolute PL量子収量測定C9920-03Gシステム(Hamamatsu Photonics)を使用した。量子収量及びCIE座標を、ソフトウェアU6039-05バージョン3.6.0を使用して決定した。発光極大をnmで示し、量子収量Φを%で示し、そしてCIE座標をx,y値として示す。PLQYを以下のプロトコルに従って決定した:
品質保証:エタノール中アントラセン(既知の濃度)を参照として使用する。
【0149】
励起波長:有機分子の吸収極大を決定し、そして分子をこの波長を使用して励起する
測定:量子収量を、窒素雰囲気下で溶液又はフィルムのサンプルについて測定する。収量は式:
【数1】
[式中、n光子は光子数を示し、そしてIntは強度である]
を使用して計算される。
【0150】
有機エレクトロルミネセンスデバイスの製造及び特徴づけ
真空蒸着法により、本発明に従う有機分子を含むOLEDデバイスを製造することができる。層が1つより多くの化合物を含有する場合、1つ又はそれ以上の化合物の質量パーセンテージを%で示す。合計質量パーセンテージ値は100%に等しく、従って値が示されていない場合、この化合物の割合は示された値と100%との間の差異に等しい。
【0151】
完全には最適化されていないOLEDを、標準的な方法を使用し、そしてエレクトロルミネセンススペクトル、光ダイオードにより検出された光を使用して計算された、強度に依存した外部量子効率(%)、及び電流を測定して特徴づけする。OLEDデバイス寿命は、一定電流密度での操作の間の輝度の変化から引き出される。LT50値は、測定された輝度が初期輝度の50%に減少した時間に相当し、同様にLT80は測定された輝度が初期輝度の80%に減少した時点に相当し、LT95は、測定されたきどが初期輝度の95%に減少した時点に対応するなどである。
【0152】
加速寿命測定を行った(例えば、増加した電流密度を印加する)。例示的に500cd/mでのLT80値を以下の等式を使用して決定した:
【数2】
式中、Lは印加された電流密度での初期輝度を示す。
値はいくつかの画素(典型的には2から8)の平均に相当する。図は1つのOLED画素についてのデータシリーズを示す。
【0153】
一般化合成経路:
【化16】
ここで、Halはハロゲン、好ましくはBr又はIである。ボロン酸の代わりに、等価なボロンエステル(例えばボロン酸ピナコールエステル)を使用することができる。n X及びX’は本明細書において説明されるとおりに定義される。
【0154】
化合物1
1.5当量の9H-カルバゾール-3-ボロン酸、1.0当量 2-(2-ブロモフェニル)ジベンゾフラン、2.0当量の炭酸カリウム及び0.01当量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを反応容器に入れ、これを10分間脱気し、次いで窒素で再充填して脱気したトルエン/水(9:1)を加えた。反応混合物を90℃に加熱して終夜撹拌した。室温(RT)まで冷却した後、反応混合物を水及びブラインで洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、ろ紙を通してろ過し、そして溶媒を除去した。生成物を固体(収率65%)として得た。
【0155】
代わりに1当量の9-フェニル-9H-3-(2-ブロモフェニル)-カルバゾール及び1.3当量 2-(ジベンゾフラニル)ボロン酸を用いた以外は同じ条件を用いた反応は収率8%を生じた。
【0156】
【化17】
H-NMR (500 MHz、CDCl):□ 8.19(dt、J=7.8、1.0Hz、1H)、8.03(dt、J=7.8、0.9Hz、3H)、7.92-7.86(m、4H)、7.79-7.70(m、1H)、7.68 - 7.61(m、2H)、7.60-7.55(m、7H)、7.51(dtt、J=6.8、3.0、1.5Hz、8H)、7.45(ddd、J=8.2、7.0、1.2Hz、1H)、7.40(ddd、J=7.9、2.1、1.2Hz、2H)、7.38-7.31(m、5H)、7.27(t、J=1.9Hz、2H)、7.14(td、J=7.5、0.9Hz、4H)、6.99(ddd、J=8.4、7.1、1.2Hz、4H)、6.81(d、J=8.2Hz、3H)。
【0157】
化合物2
化合物2を、化合物1と同様にして、遊離体として2-(2-ブロモフェニル)ジベンゾフランを2-(2-ブロモフェニル)ジベンゾチオフェンで置き換えて製造した。
【化18】
H-NMR(500 MHz、CDCl):□ 8.20(dt、J=7.7、0.9Hz、1H)、8.11(d、J=1.6Hz、2H)、8.04(tt、J=7.8、1.0Hz、5H)、7.96-7.90(m、2H)、7.86(d、J=8.2Hz、2H)、7.79-7.70(m、1H)、7.65-7.57(m、6H)、7.56-7.48(m、8H)、7.46(td、J=7.3、1.1Hz、3H)、7.42(ddd、J=7.8、2.1、1.1Hz、2H)、7.38(dd、J=8.3、1.8Hz、2H)、7.34(ddd、J=8.0、7.0、1.1Hz、1H)、7.31(t、J=1.9Hz、2H)、7.18-7.12(m、4H)、7.00(ddd、J=8.3、7.1、1.2Hz、3H)、6.80(d、J=8.2Hz、3H)。
【0158】
化合物3
2.2当量 2-(ジベンゾフラニル)ボロン酸、1.0当量 1,2-ジヨードベンゼン、2.0当量の炭酸カリウム及び0.01当量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを反応容器に入れて、これを10分間排気し、次いで窒素で再充填し、そして脱気したトルエン/水(9:1)を加えた。反応混合物を90℃に加熱し、そして終夜撹拌した。RTに冷却した後、反応混合物を水そしてブラインで洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、ろ紙を通してろ過し、そして溶媒を除去した。生成物を固体(収率46%)として得た。
【化19】
H-NMR(500 MHz、CDCl):□ 7.90(d、J=1.8Hz、1H)、7.87(dd、J=7.5、1.2Hz、1H)、7.60(dd、J=5.7、3.4Hz、1H)、7.56(d、J=8.2Hz、1H)、7.53(dd、J=5.7、3.4Hz、1H)、7.46(ddd、J=8.4、7.3、1.3Hz、1H)、7.36-7.30(m、2H)、7.19(dd、J=8.5、1.8Hz、1H)。
【0159】
化合物4を、化合物3と同様にして、遊離体として2-(ジベンゾフラニル)ボロン酸を2-(ジベンゾチオフェニル)ボロン酸で置き換えて製造した。
【化20】
H-NMR(500 MHz、CDCl):□□8.16(dd、J=1.7、0.5Hz、1H)、8.08-8.04(m、1H)、7.88-7.82(m、1H)、7.64(dd、J=5.7、3.4Hz、1H)、7.60(dd、J=8.4、0.6Hz、1H)、7.55(dd、J=5.7、3.4Hz、1H)、7.45(pd、J=7.2、1.5Hz、2H)、7.18(dd、J=8.3、1.7Hz、1H)。
【0160】
化合物5を、化合物1と同様にして、遊離体として2-(ジベンゾチオフェニル)ボロン酸及び2-(2-ブロモフェニル)ジベンゾフランを用いて製造した。
【化21】
H-NMR(500 MHz、CDCl):□ 8.49(dd、J=1.8、0.6Hz、1H)、8.34-8.29(m、1H)、8.14(dd、J=1.7、0.6Hz、2H)、8.09-8.03(m、2H)、8.00(dd、J=8.2、0.6Hz、1H)、7.96-7.91(m、3H)、7.90-7.82(m、6H)、7.65-7.59(m、7H)、7.58-7.51(m、9H)、7.49-7.41(m、7H)、7.38-7.30(m、5H)、7.19(ddd、J=13.9、8.4、1.8Hz、5H)。
【0161】
デバイス実施例
化合物1をOLEDデバイス(デバイスD1)で以下の表1に示される層構造を用いて試験した。
【0162】
【表1】
【0163】
発光極大を491nm、ターンオン電圧3.1Vで決定した。500cd/mでのLT80を449時間で決定した。
【0164】
比較のために、比較層構造をOLEDデバイスC1において以下の表2に示される層構造を用いて標準的ホストmCBPを用いて試験した。
【0165】
【表2】
【0166】
発光極大を480nm、ターンオン電圧2.2Vで決定した。500cd/mでのLT80を40時間で計算した。
図1