(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20220803BHJP
C09K 11/73 20060101ALI20220803BHJP
C09K 11/59 20060101ALI20220803BHJP
C09K 11/80 20060101ALI20220803BHJP
C09K 11/64 20060101ALI20220803BHJP
C09K 11/79 20060101ALI20220803BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H01L33/50
C09K11/73
C09K11/59
C09K11/80
C09K11/64
C09K11/79
C09K11/08 J
(21)【出願番号】P 2019095441
(22)【出願日】2019-05-21
【審査請求日】2021-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2018105560
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩浅 真規子
(72)【発明者】
【氏名】藤尾 多茂
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-045896(JP,A)
【文献】特開2006-140207(JP,A)
【文献】国際公開第2018/043237(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/131402(WO,A1)
【文献】特開2016-111190(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0030555(US,A1)
【文献】国際公開第2017/135255(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0368210(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107546312(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
A61L 2/00- 2/28
A61L 11/00-12/14
C09K 11/00-11/89
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
380nm以上420nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子と、
前記発光素子からの光により励起されて発光する
、第一蛍光体、第二蛍光体及び第三蛍光体を含む蛍光部材と、を備え、
前記第一蛍光体は、下記式(I)で表される組成を含む蛍光体及び下記式(II)で表される組成を含む蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種の第一蛍光体を含み、
(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO4)6(F,Cl,Br,I)2:Eu (I)
(Ba,Sr,Ca)3MgSi2O8:Eu (II)
前記第二蛍光体は、下記式(III)で表される組成を含む蛍光体、下記式(IV)で表される組成を含む蛍光体、下記式(V)で表される組成を含む蛍光体、下記式(VI)で表される組成を含む蛍光体、及び下記式(VII)で表される組成を含む蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種の蛍光体を含み、
(Lu,Y,Gd,Tb)3(Al,Ga)5O12:Ce (III)
(Ca,Sr,Ba)8MgSi4O16(F,Cl,Br)2:Eu (IV)
Si6-zAlzOzN8-z:Eu(0<z<4.2) (V)
(La,Y,Gd)3(Al,Si)6N11:Ce (VI)
(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu (VII)
前記第三蛍光体は、下記式(VIII)で表される組成を含む蛍光体、下記式(IX)で表される組成を含む蛍光体、及び下記式(X)で表される組成を含む蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種の蛍光体を含み、
(Sr,Ca)AlSiN3:Eu (VIII)
(Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Eu (IX)
(Sr,Ca)LiAl3N4:Eu (X)
前記発光素子の光と前記蛍光体の光による混色光の相関色温度が、JIS Z8725に準拠した測定で2000K以上7500K以下であり、
発光
装置の分光分布において、380nm以上780nm以下の波長範囲の積分値を100%として、380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値の割合が15%以上であり、
以下の式(1)により定義される比率aが、0.9以上1.6以下である、発光装置。
【数5】
(式(1)中、B
Sは、前記発光装置が有する相関色温度における基準光源の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲内の最大発光強度であり、G
Sは、485nm以上548nm以下の波長範囲内の最大発光強度であり、式(1)の分母は、前記B
Sに対する前記G
Sの比である。式(1)中、B
Lは、前記発光装置の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲内の最大発光強度であり、G
Lは、485nm以上548nm以下の波長範囲内の最大発光強度であり、式(1)の分子は、前記B
Lに対する前記G
Lの比である。)
【請求項2】
前記発光素子が、400nm以上410nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
平均演色評価数Raが80以上、又は、特殊演色評価数R12が50以上である、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記比率aを1から差し引いた値の絶対値Aが0.6以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記式(1)、及び以下の式(2)から式(3)により定義される比率a、比率b、及び比率cの合計が、2.5以上4.5以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置。
【数6】
(式(2)中、B
Sは、前記発光装置が有する相関色温度における基準光源の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲の最大発光強度であり、Y
Sは、580nm以上610nm未満の波長範囲の最大発光強度であり、式(2)の分母は、前記B
Sに対するY
Sの比である。式(2)中、B
Lは、前記発光装置の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲の最大発光強度であり、Y
Lは、580nm以上610nm未満の波長範囲の最大発光強度であり、式(2)の分子は、前記B
Lに対する前記Y
Lの比である。)
【数7】
(式(3)中、B
Sは、前記発光装置が有する相関色温度における基準光源の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲の最大発光強度であり、R
Sは、610nm以上780nm以下の波長範囲の最大発光強度であり、式(3)の分母は、前記B
Sに対する前記R
Sの比である。式(3)中、B
Lは、前記発光装置の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲の最大発光強度であり、R
Lは、610nm以上780nm以下の波長範囲の最大発光強度であり、式(3)の分子は、前記B
Lに対する前記R
Lの比である。)
【請求項6】
前記比率a、前記比率b及び前記比率cの合計を3から差し引いた値の絶対値Bが1.5以下である、請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光装置の分光分布において、380nm以上780nm以下の波長範囲の積分値を100%として、380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値の割合が35%以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記
第一蛍光体が、前記発光素子からの光により励起されて430nm以上485nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有
し、
前記第二蛍光体が、前記発光素子からの光により励起されて485nm以上610nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有
し、
前記第三蛍光体が、前記発光素子からの光により励起されて610nm以上780nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有す
る、請求項1から7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記蛍光体の総質量中、前記第一蛍光体の含有率が1.0質量%以上50.0質量%以下であり、前記第二蛍光体の含有率が45.0質量%以上99.0質量%以下であり、前記第三蛍光体の含有率が0質量%以上50.0質量%以下である、請求項1
から8のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記発光素子及び前記蛍光部材を配置させる成形体を備え、前記成形体に配置された発光素子の側面方向に、405nmにおける反射率が50%以上の酸化物と樹脂を含む反射部材が前記成形体に配置されている、請求項1
から9のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記蛍光部材が、前記発光素子の上面に配置され、前記発光素子の側面が前記蛍光部材及び前記反射部材から露出されている、請求
項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記蛍光部材が、405nmにおける反射率が1%以上50%以下の蛍光体を含む第一の蛍光部材と、405nmにおける反射率が第一の蛍光部材よりも高い蛍光体を含む第二の蛍光部材と、を備え、前記発光素子の上面に前記第一の蛍光部材が配置され、前記第一の蛍光部材の上に前記第二の蛍光部材が配置されている、請求項1か
ら11のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項13】
前記酸化物が、イットリウム、ジルコニウム、アルミニウム、チタンからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む酸化物である、請求項
10に記載の発光装置。
【請求項14】
380nm以上420nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子からの光により励起されて発光する、第一蛍光体、第二蛍光体及び第三蛍光体であり、前記第一蛍光体、前記第二蛍光体及び前記第三蛍光体の総質量中、前記第一蛍光体の含有率を1.0質量%以上50.0質量%以下とし、前記第二蛍光体の含有率を45.0質量%以上99.0質量%以下とし、前記第三蛍光体の含有率を0質量%以上50.0質量%以下として、得られる発光装置の分光分布において、380nm以上780nm以下の波長範囲の積分値を100%として、380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値の割合が15%以上となるように、樹脂と前記第一蛍光体、前記第二蛍光体
及び前記第三蛍光体を配合した蛍光部材用組成物と、
前記発光素子を配置させる成形体と、を準備することと、
前記成形体に前記発光素子を載置した後、前記発光素子上に蛍光部材用組成物を配置して硬化させ、
前記発光素子の光と前記蛍光体の光による混色光の相関色温度が、JIS Z8725に準拠した測定で2000K以上7500K以下となり、
以下の式(1)により定義される比率aが、0.9以上1.6以下となるように、
蛍光部材を形成することと、を含み、
【数8】
(式(1)中、B
S
は、前記発光装置が有する相関色温度における基準光源の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲内の最大発光強度であり、G
S
は、485nm以上548nm以下の波長範囲内の最大発光強度であり、式(1)の分母は、前記B
S
に対する前記G
S
の比である。式(1)中、B
L
は、前記発光装置の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲内の最大発光強度であり、G
L
は、485nm以上548nm以下の波長範囲内の最大発光強度であり、式(1)の分子は、前記B
L
に対する前記G
L
の比である。)
前記第一蛍光体は、下記式(I)で表される組成を有する蛍光体及び下記式(II)で表される組成を有する蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種の第一蛍光体を含み、
(Ca,Sr,Ba,Mg)
10(PO
4)
6(F,Cl,Br,I)
2:Eu (I)
(Ba,Sr,Ca)
3MgSi
2O
8:Eu (II)
前記第二蛍光体は、下記式(III)で表される組成を含む蛍光体、下記式(IV)で表される組成を含む蛍光体、下記式(V)で表される組成を含む蛍光体、下記式(VI)で表される組成を含む蛍光体、及び下記式(VII)で表される組成を含む蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種の蛍光体を含み、
(Lu,Y,Gd,Tb)
3(Al,Ga)
5O
12:Ce (III)
(Ca,Sr,Ba)
8MgSi
4O
16(F,Cl,Br)
2:Eu (IV)
Si
6-zAl
zO
zN
8-z:Eu(0<z<4.2) (V)
(La,Y,Gd)
3(Al,Si)
6N
11:Ce (VI)
(Ba,Sr,Ca,Mg)
2SiO
4:Eu (VII)
前記第三蛍光体は、下記式(VIII)で表される組成を含む蛍光体、下記式(IX)で表される組成を含む蛍光体、及び下記式(X)で表される組成を含む蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種の蛍光体を含む、発光装置の製造方法。
(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu (VIII)
(Ca,Sr,Ba)
2Si
5N
8:Eu (IX)
(Sr,Ca)LiAl
3N
4:Eu (X)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light emitting diode、以下、「LED」とも記載する。)のような発光素子として、青色に発光する発光素子と、発光素子からの光に励起されて黄色発光する蛍光体を用いて白色系の混色光を発光する発光装置が知られている。このような発光装置は、380nm以上780nm以下の人間の可視光領域における放射強度が強く、発光効率は高いが、青緑色領域及び赤色領域における放射強度が十分に得られない場合がある。そのため、照射物の見え方(以下、「演色性」と呼ぶ。)には改良の余地がある。
【0003】
ここで、光源の演色性の評価手順は、JIS Z8726によって、所定の反射率特性を有する試験色(R1からR15)を、試験光源と基準光源とでそれぞれ測色した場合の色差ΔEi(iは1から15の整数)を数値計算して演色評価数を算出して行うと定められている。演色評価数Ri(iは1から15の整数)の上限は100である。つまり、試験光源とそれに対応する色温度の基準光源の色差が小さいほど、演色評価数は100に近づき高くなる。演色評価数のうち、R1からR8の平均値は平均演色評価数(以下、Raとも記載する。)と呼ばれ、R9からR15は特殊演色評価数と呼ばれる。特殊演色評価数について、R9は赤色、R10は黄色、R11は緑色、R12は青色、R13は西洋人の肌の色、R14は木の葉の色、R15は日本人の肌の色とされている。演色性を高めるために、例えば、特許文献1には、緑色から黄色に発光する蛍光体に加え、赤色に発光する蛍光体を用いた発光装置が提案されている。
【0004】
発光装置は、使用する場所によって、殺菌効果のある光を放射させ、使用環境において菌数を低減させる除菌効果が求められる場合がある。例えば、一般に細菌のDNA(デオキシリボ核酸)の光の吸収スペクトルは、260nm波長付近に吸収帯があり、300nm以下の紫外線放射は、殺菌効果を有することが知られている。しかしながら、300nm以下の紫外線は、人間や動物のDNAにも影響を及ぼすことも知られている。細菌の種類によっては、可視領域である380nm以上420nm以下の波長範囲内の紫色領域の光によっても菌数が低減され、除菌効果があることも知られている。可視領域の光は、人間や動物に及ぼす影響が300nm以下の波長範囲の紫外線領域の光よりも少なく、安全であるため、380nm以上420nm以下の波長範囲内の光を利用して、菌の増殖を抑制する試みがなされている。
【0005】
例えば、特許文献2には、400nmから410nmの波長範囲内に光強度の極大を有する光(近紫外光)を照射することで人体に悪影響を及ぼさず、殺菌する表面殺菌方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-34188号公報
【文献】特開2010-207278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、除菌効果がある380nm以上420nm以下の波長範囲内の光を放出する発光素子を用いた場合、白色系の混色光を発光する発光装置に用いられている、例えば450nm付近に発光ピーク波長を有する発光素子と比べて、紫色領域の放射強度が大きくなり、青色領域の放射強度が十分に得られなくなり、演色性に更なる改良が必要となる。
そこで、本発明の一態様は、除菌効果を有し、人間の視環境においても快適に使用できる高い演色性を有する発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を包含する。
本発明の第一の態様は、380nm以上420nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子と、前記発光素子からの光により励起されて発光する少なくとも一種の蛍光体を含む蛍光部材と、を備え、前記発光素子の光と前記蛍光体の光による混色光の相関色温度が、JIS Z8725に準拠した測定で2000K以上7500K以下であり、前記発光装置の分光分布において、380nm以上780nm以下の波長範囲の積分値を100%として、380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値の割合が15%以上であり、以下の式(1)により定義される比率aが、0.9以上1.6以下の範囲内である、発光装置である。
【0009】
【数1】
(式(1)中、B
Sは、前記発光装置が有する相関色温度における基準光源の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲内の最大発光強度であり、G
Sは、485nm以上548nm以下の波長範囲内の最大発光強度であり、式(1)の分母は、前記B
Sに対する前記G
Sの比である。式(1)中、B
Lは、前記発光装置の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲内の最大発光強度であり、G
Lは、485nm以上548nm以下の波長範囲内の最大発光強度であり、式(1)の分子は、前記B
Lに対する前記G
Lの比である。)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、除菌効果を有し、人間の視環境においても快適に使用できる高い演色性を有する発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、発光装置の一例を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、発光装置の第二の例を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、発光装置の第三の例を示す概略断面図である。
【
図4】
図4は、発光装置の第四の例を示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、発光装置の第五の例を示す概略断面図である。
【
図6】
図6は、発光装置の第六の例を示す概略断面図である。
【
図7】
図7は、発光装置の第七の例を示す概略断面図である。
【
図8】
図8は、実施例1から10及び比較例1から3の各発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる比率aと、平均演色評価数Raとを、プロットした図である。
【
図9】
図9は、実施例1から10及び比較例1から3の各発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる比率a、比率b及び比率cの合計と、平均演色評価数Raとを、プロットした図である。
【
図10】
図10は、実施例1から10及び比較例1から3の各発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる比率aを1から差し引いた値の絶対値Aと、平均演色評価数Raと、をプロットした図である。
【
図11】
図11は、実施例1、6、9及び比較例1から3の各発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる比率aを1から差し引いた値の絶対値Aと、平均演色評価数Raとを、プロットした図である。
【
図12】
図12は、実施例1から10及び比較例1から3の各発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる比率a、比率b及び比率cの合計を3から差し引いた値の絶対値Bと、平均演色評価数Raとを、プロットした図である。
【
図13】
図13は、実施例1、6、9及び比較例1から3の各発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる比率a、比率b及び比率cの合計を3から差し引いた値の絶対値Bと、平均演色評価数Raとを、プロットした図である。
【
図14】
図14は、相関色温度が3500K付近の実施例1から3及び比較例1から3の発光装置の発光スペクトルと、相関色温度が3500Kの基準光源(完全放射体)の発光スペクトルを示す図である。
【
図15】
図15は、相関色温度が3500K付近の実施例4から10の発光装置の発光スペクトルと、相関色温度が3500Kの基準光源(完全放射体)の発光スペクトルを示す図である。
【
図16】
図16は、実施例11及び比較例4から5の各発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる比率aと、平均演色評価数Raとを、プロットした図である。
【
図17】
図17は、実施例11及び比較例4から5の各発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる比率a、比率b及び比率cの合計と、平均演色評価数Raとを、プロットした図である。
【
図18】
図18は、相関色温度が4000K付近の実施例11及び比較例4、5の発光装置の発光スペクトルと、相関色温度が4000Kの基準光源(完全放射体)の発光スペクトルを示す図である。
【
図19】
図19は、実施例12及び比較例6から7の各発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる比率aと、平均演色評価数Raとを、プロットした図である。
【
図20】
図20は、実施例12及び比較例6から7の各発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる比率a、比率b及び比率cの合計と、平均演色評価数Raとを、プロットした図である。
【
図21】
図21は、相関色温度6500K付近の実施例12及び比較例6、7の発光装置の発光スペクトルと、相関色温度が6500Kの基準光源(CIE昼光)の発光スペクトルを示す図である。
【
図22】
図22は、実施例13から14及び比較例8から9の各発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる比率aと、平均演色評価数Raとを、プロットした図である。
【
図23】
図23は、実施例13から14及び比較例8から9の各発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる比率a、比率b及び比率cの合計と、平均演色評価数Raとを、プロットした図である。
【
図24】
図24は、相関色温度が2700K付近の実施例13、14及び比較例8、9の発光装置の発光スペクトルと、相関色温度が2700Kの基準光源(完全放射体)の発光スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る発光装置を一実施形態に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は、以下の発光装置に限定されない。なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。
【0013】
発光装置は、380nm以上420nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子と、前記発光素子からの光により励起されて発光する少なくとも一種の蛍光体を含む蛍光部材と、を備え、前記発光素子の光と前記蛍光体の光による混色光の相関色温度(correlated color temperature、以下「Tcp」と記載する場合がある。)が、JIS Z8725に準拠した測定で2000K以上7500K以下であり、前記発光装置の分光分布において、380nm以上780nm以下の波長範囲の積分値を100%として、380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値の割合が15%以上であり、以下の式(1)により定義される比率aが、0.9以上1.6以下である。
【0014】
【数2】
(式(1)中、B
Sは、前記発光装置が有する相関色温度における基準光源の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲内の最大発光強度であり、G
Sは、485nm以上548nm以下の波長範囲内の最大発光強度であり、式(1)の分母は、前記B
Sに対する前記G
Sの比G
S/B
Sである。式(1)中、B
Lは、前記発光装置の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲内の最大発光強度であり、G
Lは、485nm以上548nm以下の波長範囲内の最大発光強度であり、式(1)の分子は、前記B
Lに対する前記G
Lの比G
L/B
Lである。)
【0015】
本発明の一実施態様の発光装置の一例を図面に基づいて説明する。
図1は、発光装置100を示す概略断面図である。
【0016】
発光装置100は、
図1に示されるように、380nm以上420nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子10と、発光素子10からの光により励起されて発光する少なくとも一種の蛍光体70を含む蛍光部材50を備える。
【0017】
発光装置100は、例えば、成形体40と、発光素子10と、蛍光部材50とを備える。成形体40は、第一のリード20及び第二のリード30と、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を含む樹脂部42とが一体的に成形されてなるものである。成形体40は底面と側面を持つ凹部を形成しており、凹部の底面に発光素子10が載置されている。発光素子10は一対の正負の電極を有しており、その一対の正負の電極はそれぞれ第一のリード20及び第二のリード30とそれぞれワイヤ60を介して電気的に接続されている。発光素子10は蛍光部材50により被覆されている。蛍光部材50は、発光素子10からの光を波長変換する蛍光体70と封止材料を含む。蛍光体70は、発光素子からの光により励起されて特定の波長範囲に少なくとも一つの発光ピーク波長を有し、発光ピーク波長の波長範囲の異なる2種以上の蛍光体が含まれていてもよい。発光素子10の正負一対の電極に接続された第一のリード20及び第二のリード30は、発光装置100を構成するパッケージの外方に向けて、第一のリード20及び第二のリード30の一部が露出されている。これらの第一のリード20及び第二のリード30を介して、外部から電力の供給を受けて発光装置100を発光させることができる。
【0018】
発光装置に用いられる蛍光部材50は、蛍光体70及び封止材料を含むものであることが好ましい。封止材料は、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選ばれる樹脂を用いることができる。製造のし易さを考慮すると、封止材料として用いられる樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。蛍光部材は、蛍光体70及び封止材料の他に、フィラー、光安定剤、着色剤等のその他の成分を含んでいてもよい。フィラーとしては、例えばシリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等を挙げることができる。蛍光部材中の、蛍光体及び封止材料以外のその他の成分の含有量は、目的とする発光装置の大きさ、相関色温度、色調に基づいて、好適範囲に設定することができる。例えば、蛍光部材中の蛍光体及び封止材料以外のその他の成分の含有量は、封止材料100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下とすることができる。
【0019】
発光素子10は、励起光源として用いられる。発光素子10は、380nm以上420nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する。発光素子10の発光ピーク波長の範囲は、好ましくは385nm以上415nm以下の範囲内であり、より好ましくは390nm以上410nm以下の範囲内であり、さらに好ましくは400nm以上410nm以下の範囲内である。発光素子10が、380nm以上420nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有するものであると、発光装置から環境雰囲気中の細菌に対して殺菌効果を有する波長範囲の光を放射させ、環境雰囲気中の細菌の菌数を低減させて、除菌効果を有する発光装置を提供することができる。本明細書において、「除菌」とは、対象となる環境雰囲気中の細菌を殺菌し、菌数を低減させることをいう。発光素子10の発光スペクトルの半値幅は、例えば30nm以下でもよく、25nm以下でもよく、20nm以下でもよい。半値幅は、発光スペクトルにおける発光ピークの半値全幅(Full Width at Half Maximum:FWHM)をいい、各発光スペクトルにおける発光ピークの最大値の50%の値を示す発光ピークの波長幅をいう。発光素子10は、例えば、窒化物系半導体(InxAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いた半導体発光素子であることが好ましい。発光素子として、半導体発光素子を用いることによって、高効率で入力に対するリニアリティが高く機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。380nm未満の範囲に発光ピーク波長を有する発光素子は、殺菌効果は高くなるものの、人間や動物にも影響を及ぼし、演色性も低下するため好ましくない。420nmを超える範囲に発光ピーク波長を有する発光素子は、殺菌効果が低くなり、除菌効果が低くなるため、好ましくない。
【0020】
発光装置は、発光素子から放射される光と蛍光体からの光による混色光の相関色温度が、JIS Z8725に準拠した測定で2000K以上7500K以下の範囲内である。JIS Z9112では、発光装置の光源色と相関色温度の範囲の関係について、2600Kから3250Kを電球色、3250Kから3800Kを温白色、3800Kから4500Kを白色、4600Kから5500Kを昼白色、5700Kから7100Kを昼光色と定義している。発光装置の相関色温度が2000K以上7500K以下の範囲であると、JIS Z9112で定義された、電球色、温白色、白色、昼白色、昼光色の光源色の光を発する発光装置とすることができる。発光装置から発せられる混色光の相関色温度は、2700K以上7000K以下の範囲内であってもよく、2700K以上6500K以下の範囲内であってもよい。
【0021】
発光装置は、発光装置の分光分布において、380nm以上780nm以下の積分値を100%として、380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値の割合が15%以上である。発光装置の分光分布において、380nm以上780nm以下の積分値100%に対して、380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値の割合が15%以上であると、発光装置から発せられる混色光のうち、殺菌効果のある波長範囲の光成分を15%以上有することとなり、発光装置の除菌効果を高めることができる。発光装置から発せられる混色光のうち、殺菌効果のある波長範囲の光成分が多い方が除菌には有効であるが、殺菌効果のある波長範囲の光成分が多くなりすぎると、ヒトの標準比視感度(標準分光視感効率)のピークから離れた発光が多くなる為、発光効率が低下する。発光装置は、発光装置の分光分布において、380nm以上780nm以下の波長範囲の積分値を100%として、380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値の割合が、除菌効果の観点から、好ましくは16%以上であり、より好ましくは17%以上であり、発光効率の観点から、好ましくは50%以下であり、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは35%以下であり、よりさらに好ましくは30%以下である。以下、本明細書において、発光装置の分光分布において、380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値を「380nm-420nm発光量」と記載する場合があり、380nm以上780nm以下の波長範囲の積分値を「全発光量」と記載する場合がある。
【0022】
発光装置は、式(1)において定義される比率aが0.9以上1.6以下の範囲内である。式(1)において定義される比率aは、発光装置が有する相関色温度における基準光源の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲の青色光の最大発光強度BSに対する、485nm以上548nm以下の波長範囲の緑色光の最大発光強度GSの比GS/BSを分母とし、発光装置の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲の青色光の最大発光強度BLに対する、485nm以上548nm以下の波長範囲の緑色光の最大発光強度GLの比GL/BLを分子とした比率である。発光装置の式(1)において定義される比率aが0.9以上1.6以下の範囲内であると、基準光源から発せられる光の青色成分に対する緑色成分の比率に対して、発光装置から発せられる混色光の青色成分に対する緑色成分の比率がほぼ同じか、緑色成分が補充された混色光が、発光装置から発せられることとなる。発光装置の式(1)において定義される比率aが0.9以上1.6以下の範囲内であると、発光装置は、除菌効果を有するとともに、演色性も高くなる。発光装置から発せられる混色光の相関色温度が2000K以上4000K未満の範囲内である場合には、発光装置から発せられる混色光の式(1)において定義される比率aは、除菌効果及び演色性の点から、好ましくは1.0以上1.6以下の範囲内であり、より好ましくは1.1以上1.6以下の範囲内である。発光装置から発せられる混色光の相関色温度が4000K以上7500K以下の範囲内である場合には、発光装置から発せられる混色光の式(1)において定義される比率aは、除菌効果及び演色性の観点から、さらに好ましくは1.1以上であり、好ましくは1.5以下である。JIS Z8726によれば、基準の光は、試料光源の相関色温度が5000K未満のときは、原則として完全放射体を用い、試料光源の相関色温度が5000K以上のときは、原則としてCIE(国際照明委員会:Commission International de l’ Eclairage)昼光を用いるとされている。本明細書において、基準光源は、JIS Z8726に規定された基準の光に準拠する。
【0023】
式(1)において定義される比率aを1から差し引いた値の絶対値Aは、0.6以下であることが好ましい。ここで、比率aを1から差し引いた値の絶対値Aは、発光装置が有する相関色温度における基準光源の分光分布における比GS/BSと、発光装置から発せられる混色光の分光分布における比GL/BLが同じ値である場合を1とし、比率aを1から差し引いた値の絶対値Aである。比率aを1から差し引いた値の絶対値Aが、発光装置が有する相関色温度の基準光源により近いと、青色成分と緑色成分のバランスがよい混色光が発光装置から発せられる。比率aを1から差し引いた値の絶対値Aが0.6以下であると、殺菌効果のある青色成分の光が発せられる発光装置であっても、発光装置が有する相関色温度の基準光源の混色光により近く、青色成分と緑色成分のバランスがよい混色光が、発光装置から発せられる。比率aを1から差し引いた値の絶対値Aは、0.5以下であってもよく、0.4以下であってもよい。
【0024】
発光装置は、平均演色評価数Raが80以上である。JIS Z9112の蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分によれば、LEDの演色性は、普通形と高演色形に区分され、高演色形の平均演色評価数Raが80以上であることが規定されている。CIEの指針によれば、使用される場所に応じた好ましい平均演色評価数Raは、一般作業を行う工場では60以上80未満、住宅、ホテル、レストラン、店舗、オフィス、学校、病院、精密作業を行う工場などでは80以上90未満、高い演色性が求められる美術館、博物館、臨床検査を行う場所などでは90以上とされている。発光装置の平均演色評価数Raが80以上であると、例えば、住宅、ホテル、レストラン、店舗などの人間の生活環境において快適に使用できる演色性を有する照明として使用可能である。発光装置の平均演色評価数Raは、除菌効果を有するものであれば、平均演色評価数Raがより高い数値であってもよく、平均演色評価数Raが81以上であってもよく、85以上であってもよく、90以上であってもよい。平均演色評価数Raが90以上であれば、より厳密な色の見え方が要求される色検査、美術館、博物館、臨床検査を行う場所などで使用可能である。
【0025】
発光装置は、特殊演色評価数R12が50以上であることが好ましい。特殊演色評価数R12は青色を表す。発光装置の特殊変色評価数R12が50以上であれば、380nm以上420nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する、可視領域において青紫色の光を発する発光素子を励起光源として用いた場合であっても、発光装置から発せられる光が、420nmを超えて500nm以下の青色成分から青緑色成分が少なくなることなく、発光装置から発せられる目的とする相関色温度の光のうち、各色成分のバランスを維持した混色光を得ることができる。発光装置の特殊演色評価数R12は、発光装置に照らされたものの見え方をより改善する観点から、より好ましくは55以上、さらに好ましくは60以上である。
【0026】
発光装置は、青色を表す特殊演色評価数R12以外の特殊演色評価数R9、R10、R11、R13、R14、R15については、発光装置を用いる場所によって求められる視認性及び識別性が異なるため、特に限定されない。発光装置は、赤色を表す特殊演色評価数R9がマイナスの数値であってもよく、特殊演色評価数R9が10以上であってもよい。例えば、赤色を確認することが多い手術室などで、除菌効果を高めるために発光装置を用いる場合には、特殊演色評価数R9の数値が高い方が好ましい。赤色を確認する必要が少ない場所で用いる場合には、発光装置の特殊演色評価数R9の数値は特に限定されない。
【0027】
発光装置は、式(1)、及び以下の式(2)から式(3)により定義される比率a、比率b、及び比率cの合計が、2.5以上4.5以下であることが好ましい。
【0028】
【0029】
式(2)中、BSは、発光装置が有する相関色温度における基準光源の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲の最大発光強度であり、YSは、580nm以上610nm未満の波長範囲の最大発光強度であり、式(2)の分母は、前記BSに対する前記YSの比YS/BSである。式(2)中、BLは、発光装置の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲の最大発光強度であり、YLは、580nm以上610nm未満の波長範囲の最大発光強度であり、式(2)の分子は、前記BLに対する前記YLの比YL/BLである。
【0030】
【0031】
式(3)中、BSは、発光装置が有する相関色温度における基準光源の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲の最大発光強度であり、RSは、610nm以上780nm以下の波長範囲の最大発光強度であり、式(3)の分母は、前記BSに対する前記RSの比RS/BSである。式(3)中、BLは、発光装置の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲の最大発光強度であり、RLは、610nm以上780nm以下の波長範囲の最大発光強度であり、式(3)の分子は、前記BLに対する前記RLの比RL/BLである。
【0032】
式(2)において定義される比率bは、発光装置が有する相関色温度における基準光源の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲の青色光の最大発光強度BSに対する、580nm以上610nm未満の波長範囲の黄色光の最大発光強度YSの比YS/BSを分母とし、発光装置の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲の青色光の最大発光強度BLに対する、580nm以上610nm未満の波長範囲の黄色光の最大発光強度YLの比YL/BLを分子とした比率である。また、式(3)において定義される比率cは、発光装置が有する相関色温度における基準光源の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲の青色光の最大発光強度BSに対する、610nm以上780nm以下の波長範囲の赤色光の最大発光強度RSの比RS/BSを分母とし、発光装置の分光分布において、430nm以上485nm未満の波長範囲の青色光の最大発光強度BLに対する、610nm以上780nm以下の波長範囲の赤色光の最大発光強度RLの比RL/BLを分子とした比率である。
【0033】
発光装置は、式(1)で定義される比率a、式(2)で定義される比率b、及び式(3)で定義される比率cの合計が、好ましくは2.5以上4.5以下の範囲内であり、より好ましくは2.6以上4.5以下の範囲内であり、さらに好ましくは2.8以上4.4以下の範囲内である。比率a、比率b及び比率cの合計が、2.5から4.5以下の範囲内である発光装置は、発光装置の相関色温度における基準光源の青色光に対する緑色光、黄色光、赤色光に対して、発光装置の青色光に対する緑色光、黄色光、赤色光の各色成分の光のバランスがよく、除菌効果を有するとともに、高い演色性を有する。
【0034】
比率bの範囲及び比率cの範囲は、特に限定されない。比率a、比率b、及び比率cの合計が2.5以上4.5以下の範囲内を満たしていることが好ましく、この範囲を満たしたうえで、比率bは、0.8以上1.7以下の範囲内であることが好ましく、比率cは、0.7以上1.5以下の範囲内であることが好ましい。
【0035】
式(1)で定義される比率a、式(2)で定義される比率b及び式(3)で定義される比率cの合計を3から差し引いた値の絶対値Bは、1.5以下であることが好ましい。ここで、比率a、比率b及び比率cの合計を3から差し引いた値の絶対値Bとは、比率a、比率b及び比率cにおいて、各波長範囲において、発光装置から発せられる混色光の分光分布における比GL/BL、比YL/BL、比RL/BLのそれぞれが、発光装置が有する相関色温度における基準光源の分光分布における比GS/BS、比YS/BS、比RS/BSのそれぞれと、同じ値である場合の合計値を3とし、比率a、比率b及び比率cの合計を3から差し引いた値の絶対値Bである。比率a、比率b及び比率cの合計を3から差し引いた値の絶対値Bは、発光装置が有する相関色温度の基準光源により近いと、青色成分、緑色成分、黄色成分及び赤色成分のバランスがよい混色光が発光装置から発せられる。比率a、比率b及び比率cを3から差し引いた値の絶対値Bが1.5以下であると、殺菌効果のある青色成分の光が発せられる発光装置であっても、発光装置が有する相関色温度の基準光源の混色光により近く、青色成分、緑色成分、黄色成分及び赤色成分のバランスがよい混色光が、発光装置から発せられる。比率a、比率b及び比率cを3から差し引いた値の絶対値Bは、1.4以下であってもよく、1.3以下であってもよい。
【0036】
発光装置において、蛍光部材に含まれる蛍光体は、380nm以上420nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子からの光により励起されて430nm以上485nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有する第一蛍光体、発光素子からの光により励起されて485nm以上610nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有する第二蛍光体、及び発光素子からの光により励起されて610nm以上780nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する第三蛍光体、からなる群から選ばれる少なくとも一種の蛍光体を含むことが好ましい。
【0037】
第一蛍光体は、発光素子からの光により励起されて、430nm以上485nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有し、青紫色から青色の光を発する。第一蛍光体を含む発光装置は、発光装置から発せられる混色光が、380nm以上420nm以下の範囲内に発光ピークを有する発光素子からの光には不足している青色成分の光が第一蛍光体によって補なわれる。発光装置は、発光素子から発せられる光によって除菌効果を有し、演色性の高い混色光が発光装置から発せられる。
【0038】
第一蛍光体は、アルカリ土類金属元素からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素と、ハロゲンからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を組成に含み、Euで賦活されるハロゲン含有アルカリ土類金属リン酸塩を含む蛍光体、Ba、Sr及びCaからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素と、Mgとを組成に含み、Euで賦活されるアルカリ土類金属ケイ酸塩を含む蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種の第一蛍光体を含むことが好ましく、二種以上の第一蛍光体を含んでいてもよい。第一蛍光体は、アルカリ土類金属元素からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素と、ハロゲンからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を組成に含み、Euで賦活されるハロゲン含有アルカリ土類金属リン酸塩を含む蛍光体を含むことがより好ましい。
【0039】
第一蛍光体が、下記式(I)で表される組成を含む蛍光体及び下記式(II)で表される組成を含む蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種の蛍光体を含むことが好ましく、二種以上の蛍光体を含んでいてもよい。第一蛍光体が、下記式(I)で表される組成を含む蛍光体を含むことがより好ましい。
(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO4)6(F,Cl,Br,I)2:Eu (I)
(Ba,Sr,Ca)3MgSi2O8:Eu (II)
本明細書において、蛍光体の組成を表す式中、カンマ(,)で区切られて記載されている複数の元素は、これら複数の元素のうち少なくとも一種の元素を組成中に含むことを意味する。組成式中のカンマ(,)で区切られて記載されている複数の元素は、組成中にカンマで区切られた複数の元素から選ばれる少なくとも一種の元素を含み、前記複数の元素から二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。また、本明細書において、蛍光体の組成を表す式中、コロン(:)の前は母体結晶を構成する元素及びそのモル比を表し、コロン(:)の後は賦活元素を表す。
【0040】
第二蛍光体は、発光素子からの光により励起されて、485nm以上610nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有し、青緑色から橙色の光を発する。第二蛍光体を含む発光装置は、発光装置から発せられる混色光が、発光素子からの光及び第一蛍光体からの光には不足している色成分の光が第二蛍光体によって補われる。発光装置は、発光素子から発せられる光によって除菌効果を有し、演色性の高い混色光が発光装置から発せられる。
【0041】
第二蛍光体が、Ceを除く希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素と、Alと、必要に応じてGaとを組成に含み、Ceで賦活される希土類アルミン酸塩を含む蛍光体、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属元素と、F、Cl及びBrからなる群から選ばれる少なくとも一種のハロゲン元素を組成に含み、Euで賦活されるハロゲン含有アルカリ土類金属ケイ酸塩を含む蛍光体、Euで賦活されるβサイアロンを含む蛍光体、並びにLa、Y及びGdからなる群から選ばれる少なくとも一種の希土類元素と、Siを組成に含み、Ceで賦活される希土類窒化物を含む蛍光体、Euで賦活されるアルカリ土類金属ケイ酸塩を含む蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種の第二蛍光体を含むことが好ましく、二種以上の第二蛍光体を含んでいてもよい。
【0042】
第二蛍光体が、下記式(III)で表される組成を含む蛍光体、下記式(IV)で表される組成を含む蛍光体、下記式(V)で表される組成を含む蛍光体、下記式(VI)で表される組成を含む蛍光体、及び下記式(VII)で表される組成を含む蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種の蛍光体を含むことが好ましく、二種以上の蛍光体を含んでいてもよい。
(Lu,Y,Gd,Tb)3(Al,Ga)5O12:Ce (III)
(Ca,Sr,Ba)8MgSi4O16(F,Cl,Br)2:Eu (IV)
Si6-zAlzOzN8-z:Eu(0<z<4.2) (V)
(La,Y,Gd)3Si6N11:Ce (VI)
(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu (VII)
【0043】
第三蛍光体は、発光素子からの光により励起され、610nm以上780nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有し、赤色の光を発する。第三蛍光体を含む発光装置は、発光装置から発せられる混色光が、発光素子からの光、並びに第一蛍光体及び第二蛍光体からの光には不足している色成分の光が第三蛍光体によって補われる。発光装置は、発光素子から発せられる光によって除菌効果を有し、演色性の高い混色光が発光装置から発せられる。
【0044】
第三蛍光体が、アルカリ土類金属元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素と、Alと、Siと、を組成に含み、Euで賦活される窒化物を含む蛍光体、アルカリ土類金属元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素と、Siを組成に含み、Euで賦活される窒化物を含む蛍光体、アルカリ土類金属元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素と、Liと、Alと、を組成に含み、Euで賦活される窒化物を含む蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種の第三蛍光体を含むことが好ましく、二種以上の第三蛍光体を含んでいてもよい。第三蛍光体は、アルカリ土類金属元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素と、Alと、Siと、を組成に含み、Euで賦活される窒化物を含む蛍光体を含むことがより好ましい。
【0045】
第三蛍光体が、下記式(VIII)で表される組成を含む蛍光体、下記式(IX)で表される組成を含む蛍光体、及び下記式(X)で表される組成を含む蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種の蛍光体を含むことが好ましく、二種以上の蛍光体を含んでいてもよい。第三蛍光体が、下記式(VIII)で表される組成を含む蛍光体を含むことがより好ましい。
(Sr,Ca)AlSiN3:Eu (VIII)
(Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Eu (IX)
(Sr,Ca)LiAl3N4:Eu (X)
【0046】
蛍光体の総質量中、第一蛍光体の含有率が1.0質量%以上50.0質量%以下の範囲内であり、第二蛍光体の含有率が45.0質量%以上99.0質量%以下の範囲内であり、第三蛍光体の含有率が0質量%以上50.0質量%以下の範囲内であることが好ましい。蛍光体の総質量中、第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体の各蛍光体の含有率が前記範囲内であれば、発光装置は、380nm以上420nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子からの光によって除菌効果を有するとともに、演色性をより高くすることができる。第三蛍光体は、目的とする相関色温度を有する発光装置において、目的とする演色性を満たす発光装置が得られるのであれば、蛍光体中に含まれていなくてもよい。蛍光体の総質量中、第一蛍光体の含有率が1.0質量%以上49.0質量%以下の範囲内であり、第二蛍光体の含有率が45.0質量%以上98.0質量%以下の範囲内であり、第三蛍光体の含有率が1.0質量%以上49.0質量%以下の範囲内であることがより好ましい。蛍光体の総質量中、第一蛍光体の含有率が2.0質量%以上48.0質量%以下の範囲内であり、第二蛍光体の含有率が45.0質量%以上96.0質量%以下の範囲内であり、第三蛍光体の含有率が2.0質量%以上48.0質量%以下の範囲内であることがさらに好ましい。
【0047】
図2は、発光装置の第二の例を示す概略断面図である。
図2に示すように、発光装置200は、発光素子10及び蛍光部材50を配置させる成形体40を備え、成形体40に配置された発光素子10の側面方向に、405nmにおける反射率が50%以上の酸化物と樹脂を含む反射部材80が成形体40の凹部の底面から内壁面にかけて配置されている。反射部材80が、成形体40に配置された発光素子10の側面方向に配置されていることによって、発光素子10から発せられた380nm以上420nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子10から発せられた光が反射部材80によって効率よく反射され、殺菌効果の高い380nm以上420nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発光装置から効率よく放射させて、除菌効果を高めることができる。
【0048】
反射部材80に含まれる405nmにおける反射率が50%以上の酸化物は、イットリウム、ジルコニウム、アルミニウム、チタンからなる群から選択される少なくとも一種を含む酸化物であることが好ましい。このような酸化物が反射部材80に含まれることによって、効率よく発光素子から発せられた光を発光装置から放射させ、除菌効果を高めることができる。
【0049】
反射部材80に含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。反射部材80に含まれる樹脂は、成形体40を構成する樹脂部42に含まれる樹脂と同一の樹脂であってもよく、樹脂部42に含まれる樹脂と異なる樹脂であってもよい。
【0050】
図3は、発光装置の第三の例を示す概略断面図である。
図3に示すように、発光装置300は、蛍光部材51が、発光素子10の上面に配置され、発光素子10の側面が蛍光部材51及び反射部材80から露出されている。発光素子10の上面に蛍光部材51が配置され、発光素子10の側面が蛍光部材51及び反射部材80から露出されていると、発光素子10の側面から、殺菌効果を有する380nm以上420nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光が、蛍光体71によって波長変換されることなく、直接発光素子10から発光装置300の外部へ放射させることができ、除菌効果を高めることができる。発光素子10から放射される光の一部は、発光素子10の上面に配置された蛍光部材51に含まれる蛍光体71によって波長変換され、発光素子10から発せられる光と、蛍光部材51に含まれる蛍光体71によって波長変換された光とが、発光装置300から放射され、所望の演色性を有する混色光が放射される。発光素子10は、蛍光部材51及び反射部材80から露出されていればよく、成形体40の底面と側面を持つ凹部内には、発光素子10、蛍光部材51、反射部材80、ワイヤ60が配置されている部分以外の部分に封止材料からなる封止部材90を配置することができる。封止部材90は、蛍光体70を含まない。封止材料は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。封止部材90に含まれる樹脂は、成形体40の樹脂部42に含まれる樹脂、反射部材80に含まれる樹脂、蛍光部材51に含まれる樹脂と同一の樹脂であってもよく、異なる樹脂であってもよい。また、封止部材90には、蛍光部材50、51と同様に、封止材料の他に、フィラー、光安定剤、着色剤等のその他の成分を含んでいてもよい。フィラーとしては、例えばシリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等を挙げることができる。
【0051】
発光素子10の上面に配置される蛍光部材51は、蛍光体で波長変換されない光が発光装置から放射されるように、発光素子10の上面に配置され、発光素子10の上面以外には配置されないようにすることができる。
【0052】
図4は、発光装置の第四の例を示す概略断面図である。
図4に示すように、発光装置400は、405nmにおける反射率が1%以上50%以下の範囲内の蛍光体71を含む第一の蛍光部材51と、この第一の蛍光部材51に含まれる蛍光体71よりも405nmにおける反射率が高い蛍光体72を含む第二の蛍光部材52と、を備える。発光素子10の上面に第一の蛍光部材51が配置され、第一の蛍光部材51の上に、第二の蛍光部材52が配置されている。
図4に示す発光装置400は、第一の蛍光部材51に含まれる405nmにおける反射率が1%以上50%以下の蛍光体によって、発光素子10から放射された光の一部が効率的に波長変換され、さらに発光素子10から放射された光と蛍光体71によって波長変換された光の混色光によって、人間の視環境においても快適に使用可能な、目的とする発光効率及び演色性を有する光を放射することができる。第二の蛍光部材52に含まれる蛍光体72は、第一の蛍光部材51に含まれる蛍光体71よりも405nmにおける反射率が高いため、発光素子10から放射された光よりも、第一の蛍光部材51から放射された光の方がより効率的に波長変換され、目的とする発光効率及び演色性を有する光を放射することができる。第二の蛍光部材52に含まれる蛍光体72は、第一の蛍光部材51に含まれる405nmにおける反射率が1%以上50%以下の蛍光体71よりも、405nmにおける反射率が高い蛍光体であればよい。例えば第一の蛍光部材51に含まれる蛍光体71が、405nmにおける反射率が1%の蛍光体71である場合には、第二の蛍光部材52に含まれる蛍光体72は、405nmにおける反射率が1%を超える蛍光体72であればよく、405nmにおける反射率が50%以下の蛍光体であってもよい。例えば第一の蛍光部材51に含まれる蛍光体71が、405nmにおける反射率が50%の蛍光体71である場合には、第二の蛍光部材52に含まれる蛍光体72は、405nmにおける反射率が50%を超える蛍光体72であればよい。
【0053】
第一の蛍光部材51に含まれる蛍光体71は、405nmにおける反射率が1%以上50%以下の蛍光体であればよい。第一の蛍光部材51に含まれる蛍光体71は、第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体、からなる群から選ばれる少なくとも一種の蛍光体を含むことが好ましく、二種以上の蛍光体を含んでいてもよい。第二の蛍光部材52に含まれる蛍光体72は、405nmにおける反射率が第一の蛍光部材51に含まれる蛍光体71よりも高い蛍光体であればよい。第二の蛍光部材52に含まれる蛍光体72は、第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種の蛍光体を含むことが好ましく、二種以上の蛍光体を含んでいてもよい。
【0054】
第一の蛍光部材51は、発光素子10から放射される光が、第一の蛍光部材51に含まれる蛍光体71で波長変換されて発光装置400から放射されるように、発光素子10の主面となる上面に配置される。また、
図4に示すように、第二の蛍光部材52は、第一の蛍光部材51の上に配置される。発光素子10から放射される光が、第一の蛍光部材51に含まれる蛍光体71及び第二の蛍光部材52に含まれる蛍光体72で波長変換されずに発光装置400から放射されるように、発光素子10の側面は、第一の蛍光部材51、第二の蛍光部材52及び反射部材80から露出されていてもよい。
【0055】
図5は、発光装置の第五の例を示す概略断面図である。
図5に示す発光装置500のように、第二の蛍光部材52が第一の蛍光部材51及び反射部材80の上に配置され、発光素子10の側面を覆うことで、発光素子10の側面が第二の蛍光部材52から露出されていなくてもよい。
【0056】
図6は、発光装置の第六の例を示す概略断面図である。
図6に示す発光装置600は、発光素子10の上面及び側面を覆うように第一の蛍光部材51が配置され、第一の蛍光部材51の上に、第二の蛍光部材52が配置されていてもよい。
図6に示す発光装置600において、第一の蛍光部材51に含まれる蛍光体71は、405nmにおける反射率が1%以上50%以下であり、この蛍光体71によって、発光素子10から放射された光が効率よく波長変換される。さらに発光装置600において、第一の蛍光部材51に含まれる蛍光体71によって波長変換された光が、第二の蛍光部材52に含まれる405nmにおける反射率が蛍光体71よりも高い蛍光体72によって、効率よく波長変換される。発光装置600において、発光素子10から放射された光と、蛍光体71によって波長変換された光と、蛍光体72によって波長変換された光との混色光が放射され、この混色光は、人間の視環境においても快適に使用可能な、目的とする発光効率及び演色性を有する。第二の蛍光部材52に含まれる蛍光体72は、第一の蛍光部材51に含まれる蛍光体71よりも405nmにおける反射率が高いため、発光素子10から放射された光よりも、第一の蛍光部材51に含まれる蛍光体71によって波長変換された光の方が、第二の蛍光部材52に含まれる蛍光体72によって、効率よく波長変換される。
【0057】
図7は、発光装置の第七の例を示す概略断面図である。
図7に示す発光装置700は、発光素子10の側面を第一の蛍光部材51が配置され、発光素子10の上面及び第一の蛍光部材51を覆うように第二の蛍光部材52が配置される。発光装置700における発光素子10の上面は、第一の蛍光部材51から露出され、第二の蛍光部材52で覆われる。発光装置700における発光素子10の上面が、第一の蛍光部材51から露出されていることで、発光素子10から放射される光が発光装置700から取り出されやすく、殺菌効果のある光成分が発光装置700から取り出されやすくしている。発光装置700から殺菌効果のある光成分が放射されると、除菌効果を高めることができるとともに、発光素子10の側面を覆う第一の蛍光部材51に含まれる蛍光体71と、発光素子10の上面及び第一の蛍光部材51の上面を覆う第二の蛍光部材52に含まれる蛍光体72によって、発光素子10から放射される光が波長変換され、人間の視環境においても快適に使用可能な、目的とする発光効率及び演色性を有する光が、発光装置700から放射される。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
蛍光体
実施例及び比較例で使用する第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体を表1に記載した。
【0060】
蛍光体の平均粒径
蛍光体の平均粒径として、フィッシャー・サブ・シーブ・サイザー(Fisher Suv Sieve Sizer)を用いる空気透過法で得られるフィッシャー・サブ・シーブ・サイザーズ・ナンバー(Fisher Sub Sieve Sizer’s Number)を各蛍光体について測定した。具体的には、1cm3分の試料を計り取り、専用の管状容器にパッキングした後、一定圧力の乾燥空気を流し、差圧から比表面積を読み取り、平均粒径に換算した値である。
【0061】
発光ピーク波長
各蛍光体の発光ピーク波長は、分光蛍光光度計(製品名:QE-2000、大塚電子株式会社製、もしくは製品名:F-4500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定した発光スペクトルから求めた。第一蛍光体は、励起波長405nmの光を照射して発光スペクトル測定した。第二蛍光体と第三蛍光体は励起波長450nmの光を照射して発光スペクトルを測定した。
【0062】
【0063】
実施例1
発光装置200は、発光ピーク波長が405nmである発光素子10として用いた。蛍光部材50を構成する封止材料としてシリコーン樹脂を用いた。第一蛍光体としてハロゲン含有アルカリ土類金属リン酸塩を含む蛍光体、第二蛍光体として、希土類アルミン酸塩を含む蛍光体、第三蛍光体として、窒化物を含む蛍光体を用いた。実施例及び比較例で使用する第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体を表1に記載した。発光素子10からの光と、第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体を含む蛍光体70の光による混色光の相関色温度が3500K付近となるように、第一蛍光体、第二蛍光体及び第三蛍光体を配合した。第一蛍光体、第二蛍光体及び第三蛍光体の総質量100%に対する各蛍光体の含有率を表2に示す。第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体を含む蛍光体70をシリコーン樹脂に添加し、混合分散した後、脱泡して蛍光部材を構成する蛍光部材用組成物を得た。また、シリコーン樹脂に405nmにおける反射率が56.5%である酸化チタンを添加し、混合分散した後、脱泡して反射部材用組成物を製造した。成形体40の凹部内に、反射部材用組成物を注入し、発光素子10の側面方向が反射部材用組成物から露出されるように反射部材用組成物を配置して硬化させ、反射部材80を形成した。得られた蛍光部材用組成物を成形体40の凹部の反射部材80及び発光素子の10上に注入して、成形体40の凹部に充填し、さらに150℃で3時間加熱し、蛍光部材用組成物を硬化させ、蛍光部材50を形成し、
図2に示されるような発光装置200を製造した。酸化チタンについて、分光蛍光光度計(製品名:F-4500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、波長405nmの反射率を測定した。具体的には、リン酸水素カルシウム(CaHPO
4)を基準として、酸化チタンの反射率を求めた。
【0064】
実施例2から10
第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体の種類と、蛍光体の総質量に対する各蛍光体の含有率を、表2に示すようにして、第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2から10の発光装置を製造した。
【0065】
比較例1
発光ピーク波長が450nmである発光素子を用い、第一蛍光体を使用することなく、第二蛍光体、及び第三蛍光体の種類と、蛍光体の総質量に対する各蛍光体の含有率を、表2に示すようにして、第二蛍光体、及び第三蛍光体を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の発光装置を製造した。
【0066】
比較例2から3
第一蛍光体を使用することなく、第二蛍光体及び第三蛍光体の種類と、蛍光体の総質量に対する各蛍光体の含有率を、表2に示すようにして、第二蛍光体及び第三蛍光体を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2及び3の発光装置を製造した。
【0067】
各実施例及び比較例の発光装置について、以下の評価を行った。
【0068】
発光スペクトル(分光分布)
各実施例及び各比較例の発光装置から発せられる混色光の発光スペクトル(分光分布)をマルチチャンネル分光器と積分球を組み合わせた光計測システムを用いて測定した。得られた結果を
図14、15、18、21、24に示す。
図14、15、18及び24は、基準光源のスペクトルとして、2000K以上5000K以下の範囲の各発光装置の相関色温度における完全放射体のスペクトルを記載した。
図21は、基準光源のスペクトルとして、5000Kを超える範囲の実施例12の相関色温度におけるCIE昼光のスペクトルを記載した。
【0069】
380nm-420nm発光量/全発光量
各実施例及び比較例の発光装置の分光分布において、380nm以上780nm以下の波長範囲の積分値を100%(全発光量)として、380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値(380nm-420nm発光量)の割合を算出した。結果を表2から表5に示す。
【0070】
比率a、比率b、比率c、及びこれらの合計
各実施例及び比較例の発光装置の発光スペクトル(分光分布)から、式(1)、式(2)、式(3)により定義される比率a、比率b、比率c及びこれらの合計(比率a+b+c)を求めた。また、比率aを1から差し引いた値の絶対値Aと、比率a、比率b及び比率cの合計を3から差し引いた値の絶対値Bを求めた。結果を表2から表9に示す。
図8、16、19及び22は、横軸を比率aとし、縦軸を平均演色評価数Raとして、各実施例及び比較例の発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる比率a及び平均演色評価数Raをプロットした図である。
図9、17、20及び23は、横軸を比率a、比率b及び比率cの合計とし、縦軸を平均演色評価数Raとして、各実施例及び比較例の発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる比率a、比率b及び比率cの合計と、平均演色評価数Raとをプロットした図である。
図10及び11は、横軸を比率aを1から差し引いた値の絶対値Aとし、縦軸を平均演色評価数Raとして、各実施例及び比較例の発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる絶対値Aと平均演色評価数Raをプロットした図である。
図12及び
図13は、横軸を比率a、比率b及び比率cの合計を3から差し引いた値の絶対値Bとし、縦軸を平均演色評価数Raとして、各実施例及び比較例の発光装置から発せられる混色光の発光スペクトルから得られる絶対値Bと平均演色評価数Raをプロットした図である。
【0071】
相関色温度、平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R9、R12
各実施例及び比較例の発光装置について、マルチチャンネル分光器と積分球を組み合わせた光計測システムで、JIS Z8725に準拠して相関色温度(Tcp;K)、JIS Z8726に準拠して平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R9、R12を測定した。結果を表2から表9に示す。
【0072】
相対発光効率(%)
各実施例及び比較例の発光装置について、積分球を使用した全光束測定装置を用いて単位電力当たりの全光束で表される発光効率(lm/W)を測定した。各相関色温度における発光ピーク波長が450nmである発光素子を使用した各比較例の発光装置の発光効率を100%として、他の実施例及び比較例の相対発光効率(%)を算出した。その結果を表2から表9に示す。
【0073】
【0074】
【0075】
表3及び
図8に示すように、相関色温度が3500K付近である実施例1から10の発光装置は、380nm以上780nm以下の波長範囲の積分値を100%として、380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値の割合(380nm-420nm発光量/全発光量)が17%から30%であり、比率aが1.1から1.6であり、殺菌効果のある380nm以上420nm以下の波長範囲の光を多く含む混色光が放射され、除菌効果を有していた。実施例1から10の発光装置は、特殊演色評価R12が60以上であり、450nmに発光ピーク波長を有する発光素子を用いた比較例1の特殊演色評価数R12の数値とほぼ同等であり、第一蛍光体を用いていない比較例2及び3の発光装置の特殊演色評価数R12よりも数値が大きくなっていた。この結果から、実施例1から10の発光装置に照らされたものは、青の見え方が改善された。
【0076】
表3及び
図9に示すように、実施例1から10の発光装置は、比率a、比率b及び比率cの合計が3.4以上4.4以下の範囲であり、殺菌効果のある青紫色成分の光を含むとともに、青色成分、緑色成分、黄色成分、赤色成分などの各色成分をバランスよく含む混色光が得られていた。実施例1から10の発光装置は、平均演色評価数Raが80以上の演色性を有していた。一般的に、発光効率と演色性はトレードオフの関係にあり、発光装置から発せられる混色光のうち、殺菌効果のある波長範囲の光成分が多い方が除菌効果には有効であるが、殺菌効果のある波長範囲の光成分が多くなりすぎると、ヒトの標準比視感度(標準分光視感効率)のピークから離れた波長の発光が多くなるため、発光効率が低下する。そのため、実施例1から10の相対発光効率は、比較例1に比べて低下するものの、比較例2及び3と比べると高かった。
【0077】
図10に示すように、実施例1から10の発光装置の発光スペクトルから得られる比率aを1から差し引いた値の絶対値Aは、0.6以下であり、殺菌効果のある光成分を発することができる発光装置においても、発光装置が有する相関色温度の基準光源により近く、青色光と緑色光のバランスがよい混色光を発することができた。
図11に示すように、実施例1、6及び9の発光装置の発光スペクトルから得られる比率aを1から差し引いた値の絶対値Aが小さいほど平均演色評価数Raは大きくなる傾向があった。この結果から、比率aを1から差し引いた値の絶対値Aが小さくなると、殺菌効果を有する青色光を発し除菌効果を高めた発光装置であっても、青色光と緑色光のバランスがよく、発光装置が有する相関色温度の基準光源により近い混色光を発することができ、人間の生活環境において快適に使用できる平均演色評価数Raが高くなることが確認できた。
【0078】
図12に示すように、実施例1から10の発光装置の発光スペクトルから得られる比率a、比率b及び比率cの合計を3から差し引いた値の絶対値Bは、1.5未満であり、殺菌効果のある光成分を発することができる発光装置においても、発光装置が有する相関色温度の基準光源により近く、青色光、緑色光、黄色光及び赤色光のバランスがよい混色光を発することができた。
図13に示すように、実施例1、6及び9の発光装置の発光スペクトルから得られる比率a、比率b及び比率cの合計を3から差し引いた値の絶対値Bが小さいほど平均演色評価数Raは大きくなる傾向があった。この結果から、比率a、比率b及び比率cの合計を3から差し引いた値の絶対値Bが小さくなると、殺菌効果を有する青色光を発し除菌効果を高めた発光装置であっても、青色光、緑色光、黄色光及び赤色光のバランスがよく、発光装置が有する相関色温度の基準光源により近い混色光を発することができ、人間の生活環境において快適に使用できる平均演色評価数Raが高くなることが確認できた。
【0079】
表3に示すように、比較例1の発光装置は、殺菌効果のある380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値の割合が0%であり、除菌効果を有していない。比較例2及び3の発光装置は、全発光量に対する380nm以上420nm以下の発光量の割合(380nm-420nm発光量/全発光量)が15%以上であるが、比率aが1.6を超えて大きく、混色光の色バランスが崩れていた。比較例2及び3の発光装置は、比率aが1.6を超えて大きく、青色の見え方を表す特殊演色評価数R12の数値が低くなった。
【0080】
図14に示すように、実施例1から3の発光装置は、各発光装置の発光スペクトル(分光分布)において、380nm以上420nm以下の範囲内に発光素子の発光ピーク波長があり、殺菌効果を有する波長範囲の光が発光素子から放射されるとともに、比較例2及び3の発光装置の発光スペクトルと比べて、430nm以上680nm以下の波長範囲において基準光源の発光スペクトルにより近い発光スペクトルを有しており、各色成分のバランスがよい混色光が放射されていた。
【0081】
図15に示すように、実施例4から10の発光装置は、各発光装置の発光スペクトル(分光分布)において、380nm以上420nm以下の範囲内に発光素子の発光ピーク波長があり、殺菌効果を有する波長範囲の光が発光素子から放射されるとともに、430nm以上680nm以下の波長範囲において基準光源の発光スペクトルにより近い発光スペクトルを有しており、各色成分のバランスがよい混色光が放射されていた。
【0082】
実施例11
第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体の種類と、蛍光体の総質量に対する各蛍光体の含有率を、表4に示すようにして、発光素子10からの光と、第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体を含む蛍光体70の光による混色光の相関色温度が4000K付近となるように、第一蛍光体、第二蛍光体及び第三蛍光体を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例11の発光装置を製造した。
【0083】
比較例4
発光ピーク波長が450nmである発光素子を用い、第一蛍光体を使用することなく、第二蛍光体及び第三蛍光体の種類と、蛍光体の総質量に対する各蛍光体の含有率を、表4に示すようにして、第二蛍光体及び第三蛍光体を配合したこと以外は、実施例11と同様にして、比較例4の発光装置を製造した。
【0084】
比較例5
第一蛍光体を使用することなく、第二蛍光体及び第三蛍光体の種類と、蛍光体の総質量に対する各蛍光体の含有率を、表4に示すようにして、第二蛍光体及び第三蛍光体を配合したこと以外は、実施例11と同様にして、比較例5の発光装置を製造した。
【0085】
【0086】
【0087】
表5及び
図16に示すように、相関色温度が4000K付近である実施例11の発光装置は、全発光量に対する380nm以上420nm以下の発光量の割合(380nm-420nm発光量/全発光量)が30%であり、比率aが1.4であり、殺菌効果のある380nm以上420nm以下の波長範囲の光を多く含む混色光が放射され、除菌効果を有していた。実施例11の発光装置は、青色の見え方を表す特殊演色評価数R12が75であり、実施例11の発光装置は、特殊演色評価R12が60以上であり、450nmに発光ピーク波長を有する発光素子を用いた比較例4の特殊演色評価数R12の数値よりも大きなっており、発光装置に照らされたものの青の見え方が改善された。
【0088】
表5及び
図17に示すように、実施例11の発光装置は、比率a、比率b及び比率cの合計が4.4であり、殺菌効果のある青紫色成分の光を含むとともに、青色成分、緑色成分、黄色成分、赤色成分をバランスよく含む混色光が得られていた。実施例11の発光装置は、平均演色評価数Raが90であり、高い演色性を有していた。発光効率と演色性はトレードオフの関係にあり、発光装置から発せられる混色光のうち、殺菌効果のある波長範囲の光成分が多い方が除菌効果には有効であるが、殺菌効果のある波長範囲の光成分が多くなりすぎると、ヒトの標準比視感度(標準分光視感効率)のピークから離れた波長の発光が多くなるため、発光効率が低下する。そのため、実施例11の発光装置の相対発光効率は、比較例4に比べて低下するものの、比較例5と比べると高くなった。
【0089】
表5に示すように、比較例4の発光装置は、殺菌効果のある380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値の割合が0%であり、比率aも0.5と低く、除菌効果を有していない。比較例5の発光装置は、全発光量に対する380nm以上420nm以下の発光量の割合(380nm-420nm発光量/全発光量)が15%以上であるが、比率aが1.6を超えて大きく、混色光の色バランスが崩れていた。比較例5の発光装置は、比率aが2.6と大きく、青色の見え方を表す特殊演色評価数R12の数値が低く、相対発光効率も低くなった。
【0090】
図18に示すように、実施例11の発光装置は、発光スペクトル(分光分布)において、380nm以上420nm以下の波長範囲に発光素子の発光ピーク波長があり、殺菌効果を有する波長範囲の光が発光素子から放射されるとともに、比較例5の発光装置の発光スペクトルと比べて、430nm以上680nm以下の波長範囲において基準光源の発光スペクトルにより近い発光スペクトルを有しており、各色成分のバランスがよい混色光が放射されていた。
【0091】
実施例12
第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体の種類と、蛍光体の総質量に対する各蛍光体の含有率を、表6に示すようにして、発光素子10からの光と、第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体を含む蛍光体70の光による混色光の相関色温度が6500K付近となるように、第一蛍光体、第二蛍光体及び第三蛍光体を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例12の発光装置を製造した。
【0092】
比較例6
発光ピーク波長が450nmである発光素子を用い、第一蛍光体を使用することなく、第二蛍光体及び第三蛍光体の種類と、蛍光体の総質量に対する各蛍光体の含有率を、表6に示すようにして、第二蛍光体及び第三蛍光体を配合したこと以外は、実施例12と同様にして、比較例6の発光装置を製造した。
【0093】
比較例7
第一蛍光体を使用することなく、第二蛍光体及び第三蛍光体の種類と、蛍光体の総質量に対する各蛍光体の含有率を、表6に示すようにして、第二蛍光体及び第三蛍光体を配合したこと以外は、実施例12と同様にして、比較例7の発光装置を製造した。
【0094】
【0095】
【0096】
表7及び
図19に示すように、相関色温度が6500K付近である実施例12の発光装置は、全発光量に対する380nm以上420nm以下の発光量の割合(380nm-420nm発光量/全発光量)が24%であり、比率aが1.0であり、殺菌効果のある380nm以上420nm以下の波長範囲の光を多く含む混色光が放射され、除菌効果を有していた。実施例12の発光装置は、特殊演色評価R12が60以上であり、450nmに発光ピーク波長を有する発光素子を用いた比較例6の特殊演色評価数R12の数値よりも大きなっており、発光装置に照らされたものの青の見え方が改善された。
【0097】
表7及び
図20に示すように、実施例12の発光装置は、比率a、比率b及び比率cの合計が2.8であり、殺菌効果のある青紫色成分の光を含むとともに、青色成分、緑色成分、黄色成分、赤色成分などの各色成分をバランスよく含む混色光が得られていた。実施例12の発光装置は、平均演色評価数Raが97であり、高い演色性を有していた。発光効率と演色性はトレードオフの関係にあり、発光装置から発せられる混色光のうち、殺菌効果のある波長範囲の光成分が多い方が除菌効果には有効であるが、殺菌効果のある波長範囲の光成分が多くなりすぎると、ヒトの標準比視感度(標準分光視感効率)のピークから離れた波長の発光が多くなるため、発光効率が低下する。そのため、実施例12の発光装置の相対発光効率は、比較例6に比べて低下するものの、比較例7と比べると高くなった。
【0098】
表7に示すように、比較例6の発光装置は、殺菌効果のある380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値の割合が0%であり、比率aも0.4と低く、除菌効果を有していない。比較例7の発光装置は、全発光量に対する380nm以上420nm以下の発光量の割合(380nm-420nm発光量/全発光量)が70%であり、比率aが1.8と大きく、混色光の色バランスが崩れていた。比較例7の発光装置は、青色の見え方を表す特殊演色評価数R12の数値が低く、相対発光効率も低くなった。
【0099】
図21に示すように、実施例12の発光装置は、発光スペクトル(分光分布)において、380nm以上420nm以下の範囲内に発光素子の発光ピーク波長があり、殺菌効果を有する波長範囲の光が発光素子から放射されるとともに、比較例7の発光装置の発光スペクトルと比べて、430nm以上680nm以下の波長範囲において基準光源の発光スペクトルにより近い発光スペクトルを有しており、各色成分のバランスがよい混色光が放射されていた。
【0100】
実施例13及び14
第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体の種類と、蛍光体の総質量に対する各蛍光体の含有率を、表8に示すようにして、発光素子10からの光と、第一蛍光体、第二蛍光体、及び第三蛍光体を含む蛍光体70の光による混色光の相関色温度が2700K付近となるように、第一蛍光体、第二蛍光体及び第三蛍光体を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、各実施例の発光装置を製造した。
【0101】
比較例8
発光ピーク波長が450nmである発光素子を用い、第一蛍光体を使用することなく、第二蛍光体及び第三蛍光体の種類と、蛍光体の総質量に対する各蛍光体の含有率を、表8に示すようにして、第二蛍光体及び第三蛍光体を配合したこと以外は、実施例12と同様にして、比較例8の発光装置を製造した。
【0102】
比較例9
第一蛍光体を使用することなく、第二蛍光体及び第三蛍光体の種類と、蛍光体の総質量に対する各蛍光体の含有率を、表8に示すようにして、第二蛍光体及び第三蛍光体を配合したこと以外は、実施例12と同様にして、比較例9の発光装置を製造した。
【0103】
【0104】
【0105】
表9及び
図22に示すように、相関色温度が2700K付近である実施例13及び14の発光装置は、全発光量に対する380nm以上420nm以下の発光量の割合(380nm-420nm発光量/全発光量)が16%であり、比率aが1.3であり、殺菌効果のある380nm以上420nm以下の波長範囲の光を多く含む混色光が放射され、除菌効果を有していた。実施例13及び14の発光装置は、特殊演色評価R12が60以上であり、450nmに発光ピーク波長を有する発光素子を用いた比較例8の特殊演色評価数R12の数値よりも大きなっており、発光装置に照らされたものの青の見え方が改善された。
【0106】
表9及び
図23に示すように、実施例13及び14の発光装置は、比率a、比率b及び比率cの合計が3.3又は3.5であり、殺菌効果のある青紫色成分の光を含むとともに、青色成分、緑色成分、黄色成分、赤色成分などの各色成分をバランスよく含む混色光が得られていた。実施例13の発光装置は、平均演色評価数Raが94であり、高い演色性を有していた。実施例14の発光装置は、平均演色評価数Raが81であり、高い演色性を有していた。発光効率と演色性はトレードオフの関係にあり、発光装置から発せられる混色光のうち、殺菌効果のある波長範囲の光成分が多い方が除菌効果には有効であるが、殺菌効果のある波長範囲の光成分が多くなりすぎると、ヒトの標準比視感度(標準分光視感効率)のピークから離れた波長の発光が多くなるため、発光効率が低下する。そのため、実施例13及び14の発光装置の相対発光効率は、比較例8に比べて低下するものの、比較例9と比べると高くなった。
【0107】
表9に示すように、比較例8の発光装置は、殺菌効果のある380nm以上420nm以下の波長範囲の積分値の割合が0%であり、比率aも0.6と低く、除菌効果を有していない。比較例9の発光装置は、全発光量に対する380nm以上420nm以下の発光量の割合(380nm-420nm発光量/全発光量)が44%であり、比率aが2.7と大きく、混色光の色バランスが崩れていた。比較例9の発光装置は、青色の見え方を表す特殊演色評価数R12の数値が低く、相対発光効率も低くなった。
【0108】
図24に示すように、実施例13及び14の発光装置は、発光スペクトル(分光分布)において、380nm以上420nm以下の範囲内に発光素子の発光ピーク波長があり、殺菌効果を有する波長範囲の光が発光素子から放射されるとともに、比較例9の発光装置の発光スペクトルと比べて、430nm以上680nm以下の波長範囲において基準光源の発光スペクトルにより近い発光スペクトルを有しており、各色成分のバランスがよい混色光が放射されていた。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の一実施形態の発光装置は、照明器具、特に高い演色性と、使用環境における細菌の増殖を抑制する除菌効果が求められる医療用の照明器具、食品用の照明器具として利用することができる。
【符号の説明】
【0110】
10:発光素子、40:成形体、50、51、52:蛍光部材、70、71、72:蛍光体、80:反射部材、90:封止部材、100、200、300、400、500、600、700:発光装置。