(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】饋電装置、及び饋電システム
(51)【国際特許分類】
B60M 3/02 20060101AFI20220803BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
B60M3/02 D
H02J1/00 304D
H02J1/00 306B
(21)【出願番号】P 2018083093
(22)【出願日】2018-04-24
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】野木 雅之
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-184911(JP,A)
【文献】特開2012-166646(JP,A)
【文献】特開2002-234365(JP,A)
【文献】特開2005-51868(JP,A)
【文献】特開昭58-224816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60M 3/02
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1饋電装置が接続される直流饋電回路に
前記第1饋電装置と異なる位置で電力を供給する饋電装置であって、
前記直流饋電回路に前記第1饋電装置が出力する電流の情報を取得する情報取得部と、
前記直流饋電回路に
前記第1饋電装置と異なる位置で供給する電力を生成する変換器部と、
前記電流の情報に基づき、前記電流が増加するにしたがい前記変換器部の出力電圧を増加させる第1制御を行う電圧制御部と、
を備える饋電装置。
【請求項2】
第1饋電装置が接続される直流饋電回路に電力を供給する饋電装置であって、
前記直流饋電回路の所定位置の電圧の情報を取得する情報取得部と、
前記直流饋電回路に供給する電力を生成する変換器部と、
前記電圧の情報に基づき、前記電圧が増加するにしたがい前記変換器部の出力電圧を低減させる第2制御を行う電圧制御部と、
を備える饋電装置。
【請求項3】
前記情報取得部は、直流饋電回路の所定位置の電圧の情報も取得しており、
前記電圧制御部は、前記電圧の情報に基づき、前記第1饋電装置が出力する電流を推定する、請求項1に記載の饋電装置。
【請求項4】
前記第1饋電装置は、前記変換器部が前記直流饋電回路に接続される接続点に隣接して配置されており、
前記電圧制御部は、隣接する饋電装置が二つある場合に、一方の饋電装置の出力電流、それぞれの饋電装置の出力電流の合算値、及びそれぞれの饋電装置の出力電流の平均値の内のいずれかに基づき、前記第1制御を行う、請求項1又は3に記載の饋電装置。
【請求項5】
前記電圧制御部は、前記電流を測定した電流計測部の出力信号の時間応答を遅らせた信号に基づき、前記出力電圧の第1制御を行う、請求項1、3、4のいずれか一項に記載の饋電装置。
【請求項6】
前記変換器部は、前記直流饋電回路に電力を放電する力行運転用の動作と、前記直流饋電回路からの電力を充電する回生運転用の動作と、が可能であり、
前記電圧制御部は、前記電圧が増加する場合に、前記変換器部の回生運転時の動作電圧を低下させる、請求項2に記載の饋電装置。
【請求項7】
前記第1饋電装置は、前記電圧が第1閾値より大きくなる場合に電流の供給を停止する動作を行っており、
前記電圧制御部は、前記第2制御において前記電圧が前記第1閾値より大きくなる場合に、前記変換器部における動作電圧を低下させる、請求項2又は6に記載の饋電装置。
【請求項8】
前記電圧制御部は、前記電圧を測定した電圧計測部の出力信号の時間応答を遅らせた信号に基づき、前記第2制御を行う、請求項2、6、7のいずれか一項に記載の饋電装置。
【請求項9】
前記第1饋電装置は、解列可能なシリコン整流器により前記直流饋電回路に電力を供給しており、
前記電圧制御部は、前記第1饋電装置の前記シリコン整流器が前記直流饋電回路から解列している場合に、前記電圧が増加するにしたがい前記変換器部の出力電圧を前記変換器部の送り出し電圧より低くする前記第2制御を行う、請求項2、6、7、8のいずれか一項に記載の饋電装置。
【請求項10】
前記情報取得部が取得する前記電圧
は、前記第1饋電装置が電力を供給する接続点における饋電電圧である、請求項2に記載の饋電装置。
【請求項11】
前記変換器部は、前記直流饋電回路に電力を充放電可能な蓄電装置、及びPWMコンバータの少なくとも一方を有する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の饋電装置。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の饋電装置と、
前記饋電装置が接続される直流饋電回路に電力を供給する前記第1饋電装置と、
を備える、饋電システム。
【請求項13】
直流饋電回路に電力を供給する第1饋電装置と、
前記第1饋電装置と異なる位置で前記直流饋電回路に電力を供給する第2饋電装置とを備える饋電システムであって、
第2饋電装置は、
前記直流饋電回路に前記第1饋電装置が出力する電流の情報を取得する情報取得部と、
前記直流饋電回路に
前記第1饋電装置と異なる位置で供給する電力を生成する変換器部と、
前記電流の情報に基づき、前記電流が増加するにしたがい前記変換器部の出力電圧を増加させる第1制御を行う電圧制御部と、
を有する饋電システム。
【請求項14】
直流饋電回路に電力を供給する第1饋電装置と、前記直流饋電回路に電力を供給する第2饋電装置とを備える饋電システムであって、
第2饋電装置は、
前記直流饋電回路の所定位置の電圧の情報を取得する情報取得部と、
前記直流饋電回路に供給する電力を生成する変換器部と、
前記電圧の情報に基づき、前記電圧が増加するにしたがい前記変換器部の出力電圧を低減させる第2制御を行う電圧制御部と、
を有する饋電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、饋電装置、及び饋電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
直流電気鉄道の饋電システムでは、変電所がダイオード整流などの直流整流を一般に行うので、電車が発生する回生電力を交流系統に回生することは行われない。このため、この回生電力を有効に利用するためには、力行する電車に回生電力を効率的に供給する必要がある。回生電力を力行する電車に供給する場合、列車の位置、状態に応じて変電所に設置される饋電装置の電圧を任意に可変する饋電システムが知られている。
【0003】
ところが、この饋電システムでは、饋電電圧又は饋電電流を測定するセンサ間に複数の電車が存在する場合に、軌道回路と連動して制御する必要がある。このため、運行管理システムと、電力供給装置との連携制御が必要となり、制御が複雑化してしまう恐れがある。また、饋電装置の電圧を変電所の電圧よりも低下させると、変電所が出力した電流が饋電装置に流入する横流が発生してしまい、電力を損出してしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明が解決しようとする課題は、力行する電車に効率的に電力を供給可能な饋電装置、及び饋電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、饋電装置は、第1饋電装置が接続される直流饋電回路に電力を供給する饋電装置であって、情報取得部と、変換器部と、電圧制御部と、を備える。情報取得部は、直流饋電回路に第1饋電装置が出力する電流の情報を取得する。換器部は、直流饋電回路に供給する電力を生成する。電圧制御部は、電流の情報に基づき、電流が増加するにしたがい変換器部の出力電圧を増加させる第1制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】第1饋電装置の出力電流と第2饋電装置の出力電圧との関係の一例を示す特性図。
【
図4】三相の変圧器を用いた変換器部の構成を例示する図。
【
図6】変換器(
図4)を用いた場合の電圧制御部の構成を例示する図。
【
図7】饋電装置の両隣に変電所が配置されている例を示す図。
【
図8】第1饋電装置の出力電圧と第2饋電装置の出力電圧との関係の一例を示す特性図。
【
図9】第2制御が可能な電圧制御部の構成を例示する図。
【
図10】変換器(
図4)を用いた場合の第2制御が可能な電圧制御部の構成を例示する図。
【
図11】饋電装置がレールの端部に配置されている例を示す図。
【
図12】饋電装置の両隣に変電所が配置されている例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る饋電装置、及び饋電システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、饋電システム1の構成を示すブロック図である。この
図1に示すように、本実施形態に係る饋電システム1は、直流饋電回路を通じて直流の電力を、例えば電車などに給電するシステムの一例である。饋電システム1は、第1饋電装置2と、第2饋電装置4とを、直流饋電回路6を介して接続して構成される。
【0010】
第1饋電装置2は、例えば変電所であり、例えば10kmごと、または鉄道やモノレールなどの駅毎に設置され、直流饋電回路6を通じて直流の電力を電車に供給する。第2饋電装置4は、例えば5km毎などに分散して配置され、直流饋電回路6を介して電力を例えば充放電する。なお、第1饋電装置2及び第2饋電装置4の詳細な構成例は、後述する。本実施形態では、直流饋電回路6に電力を供給する電力供給装置を饋電装置と呼ぶこととし、その形態は本実施形態に係る第1饋電装置2、第2饋電装置4などに限定されない。
【0011】
直流饋電回路6は直流饋電線6aとレール6bとを有する直流電源系統である。なお、直流饋電線6aは、架線または電力線などと、呼ばれる場合があり、レール6bは、帰線などと呼ばれる場合がある。
【0012】
電車8a、8bは、鉄道やモノレールなどの交通機関における車両、例えば電車である。電車8a、8bは、制動の際に、回生ブレーキにより電力回生を行う。直流饋電回路6へ回生される電力は、回生電力と呼ばれる。ここで、例えば電車8aは、直流饋電回路6を介して電力の供給を受け、力行している力行中の電車を例示している。電車8bは、回生ブレーキにより発生した回生電力を直流饋電回路6に供給している回生中の電車を例示している。このように、電車8bで発生した回生電力は、力行を行っている電車8aに直流饋電回路6を通じて供給される。
【0013】
一方で、力行を行っている電車8aに供給されなかった回生電力は、所謂回生失効により回生車で無駄に消費される。このため、回生車による回生電力を有効活用するために、第1饋電装置2と直流饋電線6aとの接続点の電圧である第1饋電装置2の饋電電圧、及び第2饋電装置4と直流饋電線6aとの接続点の電圧である第2饋電装置4の饋電電圧を適切な値に制御する必要がある。
【0014】
ここで、第1饋電装置2の詳細な構成を説明する。第1饋電装置2は、例えば変換器部22と、電流計測部24と、電圧計測部26と、饋電センサ情報出力部28とを有している。
【0015】
変換器部22は、商用電源である交流電源系統から供給される交流電力を変圧し、直流電力に変換して、直流饋電回路6に供給する。例えば、変換器部22は、変圧器22aと整流器22bとを有している。変圧器22aは、交流電源系統の電圧を直流饋電回路6用の電圧へ変圧する。整流器22bは、例えばダイオード整流器やPWMコンバータなどであって、交流を直流に変換する交直変換器である。すなわち、整流器22bは、変圧器22aで変圧された交流電源系統の電力を直流に変換して、直流饋電回路6に供給する。なお、整流器22bを解列可能に構成してもよい。この場合、直流饋電回路6に電力を供給しない場合に、整流器22bを解列する。
【0016】
電流計測部24は、第1饋電装置2の出力電流を測定する。より具体的には、電流計測部24は、変換器部22から直流饋電回路6に供給される電流を測定し、饋電センサ情報出力部28に出力する。なお、電流計測部24は、更に時間応答を調整するフィルタを有してもよい。これにより、電流計測部24は、時間応答を遅らせた出力電流の情報を含む電流信号を饋電センサ情報出力部28に出力することが可能となる。このように、電流計測部24の出力信号の時間応答を遅らせることにより、第2饋電装置4の制御応答を第1饋電装置2の電流出力のタイミングに合わせることが可能となる。
【0017】
電圧計測部26は、第1饋電装置2における饋電電圧、すなわち、直流饋電回路6の電圧を測定し、饋電センサ情報出力部28に出力する。このように、電圧計測部26は、第1饋電装置2が動作特性を変更させる直流饋電回路6の所定位置の電圧の情報を取得する。この電圧は、電車8bの回生電力により変動する。なお、電圧計測部26は、更に時間応答を調整するフィルタを有してもよい。これにより、電圧計測部26は、時間応答を遅らせた出力電圧の情報を含む電圧信号を饋電センサ情報出力部28に出力することが可能となる。このように、電圧計測部26の出力信号の時間応答を遅らせることにより、第2饋電装置4の制御応答を第1饋電装置2の電圧変動のタイミングに合わせることが可能となる。
【0018】
饋電センサ情報出力部28は、直流饋電回路6に第1饋電装置2が出力する電流および直流饋電回路6の電圧の少なくとも一方に関する情報を第2饋電装置4に出力する。例えば、饋電センサ情報出力部28は、電流計測部24から入力された電流信号と、電圧計測部26から入力された電圧信号を第2饋電装置4に出力する。
【0019】
ここで、第2饋電装置4の詳細な構成を説明する。第2饋電装置4は、饋電センサ情報入力部42と、電源部44とを備える。
【0020】
饋電センサ情報入力部42は、直流饋電回路6に第1饋電装置2が出力する電流および直流饋電回路6の電圧の少なくとも一方に関する情報を取得する。より具体的には、饋電センサ情報入力部42は、饋電センサ情報出力部28から送信された電流信号及び電圧信号を受信して、電流信号に含まれる電流の情報と電圧信号に含まれる電圧の情報を電源部44に供給する。なお、本実施形態に係る饋電センサ情報入力部42が情報取得部に対応する。
【0021】
電源部44は、饋電センサ情報入力部42により供給された情報に基づき、直流饋電回路6に電力を供給する。すなわち、電源部44は、変換器部46と、電圧制御部48とを有する。
【0022】
変換器部46は、直流饋電回路6に供給する電力を生成する。この変換器部46は、例えばスイッチング素子をゲート駆動する昇降圧チョッパ回路(buck-boost Converter)などから構成されており、直流饋電回路6と蓄電素子との間で電圧を変換する。変換器部46の詳細な構成は後述する。
【0023】
図2は、第1饋電装置2の電流電圧特性の一例と、第2饋電装置4の出力電圧との関係の一例を示す特性図である。(a)は、第1饋電装置2の電流電圧特性の一例を示す図である。縦軸は、第1饋電装置2の出力電圧を示し、横軸は、第1饋電装置2の出力電流を示している。(b)は、第1饋電装置2の出力電流と第2饋電装置4の出力電圧との関係の一例を示す特性図である。縦軸は、第2饋電装置4の出力電圧を示し、横軸は、第1饋電装置2の出力電流を示している。
【0024】
図2に示すように、電圧制御部48は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、例えばPWM制御を行う。より具体的には、電圧制御部48は、饋電センサ情報入力部42により入力された情報に基づき、第1饋電装置2が直流饋電回路6に供給する電流が増加するにしたがい変換器部46の出力電圧を増加させる第1制御を行う。
【0025】
電圧制御部48は、例えば第1饋電装置2の出力電流がI1からI2に増加すると、第2饋電装置4の出力電圧をV1からV2に増加させる。このように、電圧制御部48は、第1饋電装置2が直流饋電回路6に供給する電流を増加させるにしたがい第2饋電装置4の出力電圧を増加させ、電車8aの力行用の電力供給を増加させる。これにより、第2饋電装置4から力行する電車8aに対する電力供給が増加され、電車8のパンタ点電圧を上昇させ、電車8aの加速性能を向上させることが可能となる。また、変換器部46の出力電圧を増加させることにより、第1饋電装置2の出力電流が第2饋電装置4内に供給される、所謂横流を抑制するも可能となる。電圧制御部48の詳細な構成は後述する。なお、
図2(a)に示すように、第1饋電装置2の出力電流と電圧は所定に関係を有するので、電圧制御部48は、第1饋電装置2の出力電流を第1饋電装置2の出力電圧から推定してもよい。
【0026】
ここで、
図3に基づき、変換器部46Aの詳細な構成例を説明する。
図3は、変換器部46Aの構成を例示する図である。
図3に示すように、変換器部46Aは、変換器50と、蓄電素子52と、コンデンサ54と、リアクトル56、58と、電流検出器60と、電圧検出器62とを、備えて構成されている。
図3には、更に接触器64が図示されている。
【0027】
変換器50は、PWMコンバータであり、電圧制御部48のゲート信号により、スイッチングデバイス50a、50bのスイッチングを行って直流電圧Vdcを出力する。より具体的には、スイッチングデバイス50a、50bには、自己消弧能力を有すると共にスイッチングを行うトランジスタと、トランジスタに対して逆並列に接続された(還流)ダイオードと、が含まれている。これらのスイッチングデバイス50aと、スイッチングデバイス50bとがノッドn2を介して直列に接続されている。そして、スイッチングデバイス50a、50bは、ノッドn4、n6を介してコンデンサ54と並列に接続されている。また、ノッドn2とノッドn8と間に、スイッチングデバイス50と、直列に接続されたリアクトル56及び蓄電素子52とが並列に接続されている。
【0028】
また、ノッドn4は、リアクトル58と接触器64とを介して直流饋電線6aに接続され、ノッドn6は、レール6bに接続されている。電流検出器60は、ノッドn2とリアクトル56との間に接続され、電圧検出器62は、ノッドn4’、n6’を介してコンデンサ54と並列に接続されている。蓄電素子52は、充放電が可能なエネルギー蓄積素子である。
【0029】
電圧制御部48は、饋電センサ情報入力部42が取得した情報に加え、電流検出器60、及び電圧検出器62から検出された電流値と電圧値に基づき、ノッドn4、n6間の電圧を制御するゲート信号を変換器50に出力する。このように、電圧制御部48は、スイッチングデバイス50a、50bをPWM制御することにより、蓄電素子52の電圧をノッドn4、n6間の直流電圧Vdc、すなわち、直流饋電回路6に供給する直流電圧Vdcに変換する制御を行う。
【0030】
図4は、三相の変圧器を用いた変換器部46Bの構成を例示する図である。
図4に示すように、変換器部46Bは、変換器66と、三相の変圧器68と、コンデンサ70と、複数の電流検出器72と、電圧検出器74と、複数の電圧検出器76と、リアクトル78とを、備えて構成されている。
図4には、更に接触器64が図示されている。
【0031】
変換器66は、PWMコンバータであり、電圧制御部48のゲート信号により、スイッチングデバイス66a~66fのスイッチングを行って直流電圧Vdcを出力する。より具体的には、変換器66には、スイッチングデバイス66aと、スイッチングデバイス66bとがノッドn10を介して直列に接続され、スイッチングデバイス66cと、スイッチングデバイス66dとがノッドn12を介して直列に接続され、スイッチングデバイス66aと、スイッチングデバイス66bとがノッドn14を介して直列に接続されている。スイッチングデバイス66a~66bは、スイッチングデバイス50と同等の構成である。スイッチングデバイス66a、66b、スイッチングデバイス66c、66d、スイッチングデバイス66e、66fは、ノッドn16、n18を介してコンデンサ70と並列に接続されている。
【0032】
変圧器68は、相R、S、Tの三相電圧を出力する三相電源である。変圧器68には、例えば発電所から三相の交流電力が供給されている。
【0033】
電流検出器72では、ノッドn10、12、14と三相の変圧器68との間に、電流検出器72がそれぞれ接続されている。電流検出器72のそれぞれは、線電流Ir、Is、Itをそれぞれ測定する。
【0034】
電圧検出器74は、ノッドn16’、n18’を介してコンデンサ70と並列に接続されている。また、ノッドn10、12、14の各ノッド間には、電圧検出器76がそれぞれ接続され、電圧Vr、Vs、Vtをそれぞれ測定する。ノッドn16は、リアクトル72と接触器64とを介して直流饋電線6aに接続され、ノッドn18は、レール6bに接続されている。
【0035】
電圧制御部48は、饋電センサ情報入力部42が取得した情報に加え、電流検出器72、及び電圧検出器74、76から検出された電流値と電圧値に基づき、スイッチングデバイス66a~66fをPWM制御することにより、ノッドn4、n6間の直流電圧Vdc、すなわち、直流饋電回路6に供給する直流電圧Vdcを制御する。
【0036】
ここで、
図5に基づき、変換器50(
図3)を用いる場合の電圧制御部48Aの詳細な構成例を説明する。
図5は、電圧制御部48Aの構成を例示する図である。
図5に示すように、電圧制御部48Aは、記憶部80と、演算器82、86、90、92、94と、PI制御器84、88、96と、PWMキャリア比較器98とを備えて構成されている。
【0037】
記憶部80は、電圧指令加算値Vaddと第1饋電装置2の出力電流Iとの関係を示すテーブルTaを記憶している。
図5では、このテーブルTaに記載される電圧指令加算値Vaddと第1饋電装置2の出力電流Iとの関係を模式的に図示している。横軸は第1饋電装置2の出力電流Iを示し、縦軸は電圧指令加算値addを示している。電圧指令加算値Vaddは、第1饋電装置2の出力電流Iが増加するにしたがい増加する。
【0038】
演算器82は、放電電圧指令値Vdc1*と電圧指令加算値Vaddとを加算し、電圧検出器62(
図3)が検出した直流饋電回路6における饋電電圧Vdcとの差分ΔVdc1*を演算する。PI制御器84は、演算器82が演算した差分値ΔVdc1*を用いて、PI制御することにより、電流指令値Idc1*を生成する。PI制御器84は、放電側のPI制御器であり、出力リミッタの下限は0に制限される。放電電圧指令値Vdc1は、例えば電車8a、8b(
図1)が力行している場合の指令値であり、力行動作指令値と呼ばれる場合がある。
【0039】
演算器86は、充電電圧指令値Vdc2*と電圧指令加算値Vaddとを加算し、電圧検出器62(
図3)が検出した直流饋電回路6における饋電電圧Vdcとの差分ΔVdc2*を演算する。PI制御器88は、演算器82が演算した差分値ΔVdc2*を用いて、PI制御することにより、電流指令値Idc2*を生成する。PI制御器88は、充電側のPI制御器であり、出力リミッタの上限は0に制限される。充電電圧指令値Vdc2は、電車8b(
図1)が回生電力を生成している場合の指令値であり、回生動作指令値と呼ばれる場合がある。
【0040】
演算器90は、PI制御器84の電流指令値Idc1*とPI制御器88の電流指令値Idc2*の加算値Idc3*を演算する。演算器92は、演算器90の加算値Idc3*とダンピング制御指令値との差分ΔIdc4を演算する。実際には、放電指令と充電指令とが同時にでることはないので、ΔIdc4は、電流指令値Idc1*とダンピング指令値との差分値、或いは、電流指令値Idc2*とダンピング指令値との差分値となる。ダンピング制御指令値は、例えばPWM変換器の電圧を補償する値である。
【0041】
演算器94は、演算器92による差分値ΔIdc4とリアクトル電流検出値との差分ΔIdc5を演算する。リアクトル電流検出値は、例えばPWM変換器に位相補償の値である。PI制御器96は、演算器94が演算した差分値ΔIdc5を用いて、PI制御することにより、電圧指令値Vd*を生成する。
【0042】
PWMキャリア比較器98は、所謂変調波と所謂キャリアとの高低を比較することで、電圧指令値Vd*を変換器50(
図3)のゲート信号Gに変換する。これらから分かるように、電圧制御部48Aは、第1饋電装置2の出力電流が増加するにしたがい変換器部46の出力電圧Vdcを増加させるゲート信号Gを出力する。
【0043】
図6は、変換器66(
図4)を用いた場合の電圧制御部48Bの構成を例示する図である。
図4及び
図5で説明した構成と同等の構成には同一の番号を付して説明を省略する。ここでは、変圧器68の電源周波数(ω/2π)で回転する回転座標系で採用されるd軸、q軸を用いた表現を導入する。q軸はd軸に対して90度進相となる。
図6に示すように、電圧制御部48Bは、記憶部80と、演算器82、86、90、92、94、108と、PI制御器84、88、110、112と、位相検出器100と、PQ検出器104と、無効電力制御器106と、座標変換器112、114と、PWMキャリア制御器116と、を備えて構成されている。
【0044】
位相検出器100は、R-S相間電圧のゼロクロス信号φrsに基づいて電源位相θを検出する。座標変換器102は電源位相θに基づき、線電流Ir、Is、Itを3相/2相変換により、d軸-q軸座標系のd軸電流Idと、q軸成分であるq軸電流Iqと、に変換する。PQ検出器104は、電源位相θと線電流Ir、Is、Itとに基づき、瞬時実電流と瞬時虚電流を検出する。無効電力制御器106は、PQ検出器104が検出した瞬時実電流と瞬時虚電流とに基づき、無効電流を制御するq軸電流の指示値Iq*を出力する。
【0045】
演算器108は、q軸電流の指示値Iq*とq軸電流Iqとの差分値ΔIqを演算する。PI制御器110は、演算器108が演算した差分値ΔIqを用いて、PI制御することにより、電圧指令値Vq*を求める。
【0046】
一方で、演算器94は、演算器92による差分値ΔIdc4とd軸電流Idとの差分値ΔIdを演算する。PI制御器112は、演算器94が演算した差分値ΔIdを用いて、PI制御することにより、電圧指令値Vd*を生成する。座標変換器114は、電圧指令値Vq*、Vd*を2相/3相変換することにより、三相の電圧指令値Vr、Vd、Vtを生成する。PWM変換器116は、三相の電圧指令値Vr、Vd、Vtに基づき、ゲート信号Gを生成する。このように、電圧制御部48は、第1饋電装置2の出力電流が増加するにしたがい変換器部46の出力電圧Vdcを増加させるゲート信号Gを出力する。
【0047】
図7は、第2饋電装置4の両隣に第1饋電装置2a、第3饋電装置2bが配置されている例を示す図である。すなわち、変換器部46が直流饋電回路6に接続される接続点に隣接して第1饋電装置2a、第3饋電装置2bが配置されている。
図7に示すように、隣接する第1饋電装置2a、第3饋電装置2bが第2饋電装置4の両サイドに存在する場合、電圧制御に用いる変電所の電流値は、隣接する第1饋電装置2a、第3饋電装置2bの出力電流の合算値、平均値などを用いる。或いは、隣接する第1饋電装置2a、第3饋電装置2bの出力電流のいずれか一方の値を用いてもよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1饋電装置2が直流饋電回路6に出力する電流を増加させるにしたがい、電圧制御部48、48A、48Bは第2饋電装置4の変換器部46の出力電圧を増加させる第1制御を行うこととした。これにより、第2饋電装置4から力行する電車8aに対する電力供給が増加され、電車8のパンタ点電圧を上昇させ、電車8aの加速性能を向上させることが可能となる。また、第1饋電装置2が出力する電流が増加するにしたがい、第2饋電装置4の変換器部46の出力電圧を増加させるので、第1饋電装置2から第2饋電装置4に流入する横流を抑制できる。
【0049】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る第2饋電装置4は、第1饋電装置2の出力する電流が増加するにしたがい、出力電圧Vdcを増加させる第1制御を行っていたのに対し、本実施形態に係る第2饋電装置4は、第1饋電装置2における直流饋電回路6の電圧が増加するにしたがい、出力電圧Vdcを低下させる第2制御を行うことも可能である点で、第1実施形態と相違する。以下では第1実施形態に係る第2饋電装置4と相違する点を説明する。
【0050】
図8は、第1饋電装置2の電流電圧特性の一例と、第2饋電装置4の出力電圧との関係の一例を示す特性図である。(a)は、第1饋電装置2の電流電圧特性の一例を示す図である。縦軸は、第1饋電装置2の出力電圧を示し、横軸は、第1饋電装置2の出力電流を示している。(b)は、第1饋電装置2の出力電圧と第2饋電装置4の出力電圧との関係の一例を示す特性図である。縦軸は、第2饋電装置4の出力電圧を示し、横軸は、第1饋電装置2の出力電流を示している。
【0051】
図8に示すように、変換器部46(
図1)は、直流饋電回路6に電力を放電する力行運転用の動作と、直流饋電回路6から電力を充電する回生運転用の動作と、が可能であり、電圧制御部48(
図1)は、第1饋電装置2が直流饋電回路6に供給する電圧が増加する場合に、変換器部46の回生運転時の動作電圧を低下させる。より具体的には、電圧制御部48(
図1)は、饋電センサ情報入力部42により入力された第1饋電装置2の電圧の情報に基づき、第1饋電装置2が直流饋電回路6に供給する電圧が増加するにしたがい変換器部46の動作点電圧を減少させる第1制御を行う。例えば、第1饋電装置2の電圧がΔV1増加すると、第2饋電装置4の放電電圧をΔV2低下させ、或いは、第2饋電装置4の充電電圧をΔV3低下させる。このように、電圧制御部48は、第1饋電装置2が直流饋電回路6に供給する電流を増加させるにしたがい第2饋電装置4の出力電圧、すなわち送り出し電圧を低下させ、電車8bから電車8aへの電力供給を増加させる。この場合、第1饋電装置2の出力電流は0であるので、所謂横流は生じない。
【0052】
図9は、変換器50(
図3)を用いる場合の電圧制御部48Cの構成を例示する図である。
図9に示すように、電圧制御部48Cの記憶部80は、第1饋電装置2の電圧値Vと電圧指令減算値Vsubの関係を記録するテーブルTbを更に有する点で、第1実施形態に係る電圧制御部48Aと相違する。すなわち、電圧制御部48Cは、電圧制御部48Cは、記憶部80と、演算器82、86、90、92、94、118、120と、PI制御器84、88、96と、PWMキャリア比較器98とを備えて構成されている。
図9では、このテーブルTbに記載される電圧指令減算値Vsubと第1饋電装置2における饋電電圧Vとの関係を模式的に示している。横軸は第1饋電装置2における饋電電圧Vを示し、縦軸は電圧指令減算値Vsubを示している。これから分かるように、電圧指令減算値Vsubは、第1饋電装置2における饋電電圧Vが増加するにしたがい減少する。電圧指令減算値Vsubは0以下の値である。ここで、第1閾値Vth0は、
図8に示した第1閾値Vth0と同等の値である。すなわち、電圧指令減算値Vsubがマイナスの値を有するのは、第1饋電装置2における出力電流が0の場合である。このように、饋電装置4の出力電圧Vdcを減少させても、第1饋電装置2からの横流は流入しないようにテーブルTbは構成されている。
【0053】
演算器118は、演算器82が演算した差分値ΔVdc1*に電圧指令減算値Vsubを加算した加算値Vdc3*を演算する。PI制御器84は、演算器118が演算した加算値Vdc3*を用いて、PI制御することにより、電流指令値Idc1*を生成する。
【0054】
演算器120は、演算器86が演算した差分値ΔVdc2*に電圧指令減算値Vsubを加算した加算値Vdc4*を演算する。PI制御器88は、演算器120が演算した加算値Vdc4*を用いて、PI制御することにより、電流指令値Idc2*を生成する。他の処理は
図5の説明と同等であるので、省略する。
【0055】
これから分かるように、テーブルTbを用いた第2制御では、第1饋電装置2における饋電電圧Vが増加するにしたがい変換器部46の出力電圧Vdcを減少させるゲート信号Gを出力する。このように第2饋電装置4の回生開始電圧を第1饋電装置2の変換器部22の送り出し電圧よりも下げる特性をテーブルTbに設定することにより、電車8bの回生電力を電車8aにより多く供給させることが可能となる。この場合、第1饋電装置2の供給電流は0なので、横流は発生しない。また、第2饋電装置4の回生開始電圧を第1饋電装置2の変換器部22の送り出し電圧よりも下げることにより、電車8bの回生電力による充電をより効率的に行え、回生失効を抑制することも可能となる。
【0056】
図10は、変換器66(
図4)を用いる場合の電圧制御部48Dの構成を例示する図である。
図10に示すように、電圧制御部48Dの記憶部8は、第1饋電装置2の電圧値Vと電圧指令減算値Vsubの関係を記録するテーブルTbを更に有する点で、第1実施形態に係る電圧制御部48Bと相違する。すなわち、この電圧制御部48Dは、記憶部80と、演算器82、86、90、92、94、108、118、120と、PI制御器84、88、110、112と、位相検出器100と、PQ検出器104と、無効電力制御器106と、座標変換器112、114と、PWMキャリア制御器116と、を備えて構成されている。
図10では、このテーブルTbに記載される電圧指令減算値Vsubと第1饋電装置2における饋電電圧Vとの関係を模式的に示している。横軸は第1饋電装置2における饋電電圧Vを示し、縦軸は電圧指令減算値Vsubを示している。これから分かるように、電圧指令減算値Vsubは、第1饋電装置2の第1饋電装置2における饋電電圧Vが増加するにしたがい減少する。電圧指令減算値Vsubは0以下の値である。
【0057】
演算器118は、演算器82が演算した差分値ΔVdc1*に電圧指令減算値Vsubを加算した加算値Vdc3*を演算する。PI制御器84は、演算器118が演算した加算値Vdc3*を用いて、PI制御することにより、電流指令値Idc1*を生成する。
【0058】
演算器120は、演算器86が演算した差分値ΔVdc2*に電圧指令減算値Vsubを加算した加算値Vdc4*を演算する。PI制御器88は、演算器120が演算した加算値Vdc4*を用いて、PI制御することにより、電流指令値Idc2*を生成する。他の処理は
図6の説明と同等であるので、省略する。
【0059】
図11は、第2饋電装置4がレール6bの端部に配置されている例を示す図である。
図10に示すように隣接する変電所は第1饋電装置2のみであるので、電圧制御部48C、Dが制御に用いる電圧は、第1饋電装置2の電圧PT1を使用する。
【0060】
図12は、第2饋電装置4の両隣に第1饋電装置2a、第3饋電装置2bが配置されている例を示す図である。
図12に示すように、隣接する第1饋電装置2a、第3饋電装置2bが第2饋電装置4の両サイドに存在する場合、電圧制御部48C、Dは、第1饋電装置2a、第3饋電装置2bの電圧PT1、PT2の内において低い方の値を制御に用いる。これにより、隣接第1饋電装置2a、第3饋電装置2bから第2饋電装置4に流入する横流を抑制することが可能となる。第2饋電装置4が回生抵抗器のような余剰エネルギーを熱処理するような装置の場合、横流を抑制することができ、エネルギーの利用効率が向上する。
【0061】
一方で、第1饋電装置2a、第3饋電装置2bの電圧PT1、PT2の内において電圧の高い方の値を制御に用いた場合、回生車の回生失効を抑制することが可能となる。このため、横流が流れても省エネ性能を訴求する場合は、電圧PT1、PT2の内において電圧の高い方の値を制御に用いればよい。第2饋電装置4が横流を充電したり、施設などに供給したりすることが可能なタイプの場合、第2饋電装置4に流入した横流を有効に活用することも可能である。
【0062】
第1饋電装置2a、第3饋電装置2bの内の一方に近接して第2饋電装置4を設置する場合が有る。この場合、直流饋電回路6の抵抗がほとんどないため、第2饋電装置4の放電電開始電圧や、充電開始電圧を下げると、第1饋電装置2a、第3饋電装置2bの内の近接する変電所からの横流が第2饋電装置4に流れてしまうおそれがある。このため、近接する変電所の整流器22bが投入されている時は、第2饋電装置4におけるテーブルTbに基づく制御を停止させ、整流器22bが解放されている時に、テーブルTbに基づく制御を有効としてもよい。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば、本実施形態によれば、電圧制御部48A、48Bが直流饋電回路6の電圧が増加するにしたがい、第2饋電装置4の変換器部46の出力電圧を低減させる第2制御を行うこととした。これにより、回生中の電車8bから、力行中の電車8aへの回生電力の供給をより効率化することが可能となる。また、第2饋電装置4の変換器部46の出力電圧の低減は、第1閾値の電圧Vth0以上の場合に行われるので、第1饋電装置2a、2bの出力電流は0となり、第2饋電装置4への横流の流入が抑制される。
【0064】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1:饋電システム、2、2a:第1饋電装置、2b:第3饋電装置、4:第2饋電装置、6:直流饋電回路、8a、8b:電車、22:変換器部、22a:変圧器、22b:整流器、24:電流計測部、26:電圧計測部、42:饋電センサ情報入力部、46、46A、46B:変換器部、48A、4848B、48C、48D:電圧制御部